JP4737753B2 - 水性懸濁農薬組成物 - Google Patents

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、比較的水溶解性が高い農薬活性成分を含有する水性懸濁農薬組成物、及びその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、農薬製剤としては、粒剤、粉剤、乳剤、水和剤、水性懸濁製剤、粒状水和剤等が知られている。これらの中で、水性懸濁製剤は散布液調製時の計量が容易なこと、粉立ちがないこと、希釈せずに原液を直接水田に散布することができる等の利点があり、広く使用されている製剤である。
【0003】
一般に水性懸濁製剤は、水と界面活性剤、増粘剤より成る水溶液中に農薬活性成分が均一に分散した製剤であるが、流通過程において数年間保管される場合があり、その間、成分の分解がなく、又、粒子の成長もなく、復元が難しいハードケーキング層の形成等がない安定した品質であることが要求される。一般的に、水性懸濁製剤の形態とするためには、農薬活性成分の水溶解度は低いことが必要であり、水溶解度が高い農薬活性成分は、経時的に著しく粒子が成長することから、水性懸濁製剤化ができなかった。
【0004】
ところで、水分散媒中での安定性が低いスルホニルウレア系除草剤の水性懸濁製剤化に際し、カルボン酸塩または無機酸塩を、組成物の水溶液相中10〜40%の範囲で加え、pHを6〜10の範囲とすることで、スルホニルウレア系除草剤の成分安定性を良好とならしめ、且つ粒子の成長もない製剤とする技術(日本国特開昭59−205305号公報)が開示されているが、含有させる塩濃度が高く、界面活性剤の効果が発現しなかったり、製剤の比重が約3割大きくなるため、体積規準で計量する場合、所定量よりも多く農薬活性成分を散布することになり、環境上の問題があった。又、同様に、スルホニルウレア系除草剤の水性懸濁製剤化に際し、酸あるいは緩衝剤を加えて製剤のpHを6以下とし、水溶解度がpHに依存するスルホニルウレア系除草剤の溶解度を低下させ、成分安定性を良好とならしめる技術(日本国特開平5−105606号公報)、さらに脂肪酸エステルを含有させた製剤(日本国特開2000−95620号公報)が開示されている。しかし、何れの先行技術も、水溶解度がpHに依存するスルホニルウレア系除草剤の水性懸濁製剤に関するものであり、pH調整により水溶解度を低下させた場合、スルホニルウレア系除草剤の安定pH域から外れるため、長期間の保管における成分安定性が十分でない問題があった。これらの開示されている技術には、スルホニルウレア系除草剤以外に種々の除草活性成分を含有できることが記載されているが、それらの除草活性成分が組成物中でどのような状態となっているか、全く類推できないものであった。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、比較的水溶解性が高い農薬活性成分を含有し、経時的な粒子成長が抑制され、長期保管が可能である、安定な水性懸濁農薬組成物、及びその製造法を得ることを課題とする。
【0006】
本発明者は、比較的水溶解性が高い農薬活性成分、中でも20℃における水溶解度が2g/100ml以上の常温で固体の農薬活性成分を含有する水性懸濁農薬組成物、及びその製造法について種々研究を重ねた結果、水性懸濁農薬組成物において、水溶性の特定の物質を必須成分として配合し、この組成物中の水溶性の特定の物質と水の配合比における水溶液に対し、農薬活性成分の溶解度が20℃において2g/100ml未満となるように調整した水性懸濁農薬組成物は、経時的な粒子成長が認められず安定であることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0007】
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1](A)4,5−ジヒドロ−3−メトキシ−4−メチル−5−オキソ−N−[2−(トリフルオロメトキシ)フェニルスルホニル]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミドナトリウム塩および2,6−ビス(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルオキシ)安息香酸ナトリウムからなる群から選ばれる農薬活性成分、(B)炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸水素アンモニウム及び酢酸ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の水溶性化合物、及び、(C)水を含有してなる水性懸濁農薬組成物であって、
(B)成分と水との配合比が該組成物中のそれと同じである(B)成分の水溶液に対し、(A)成分の20℃における溶解度が2g/100ml未満であることを特徴とする水性懸濁農薬組成物。
[2](B)成分の配合量が、農薬組成物全量100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲である[1]の水性懸濁農薬組成物。
[3](B)炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸水素アンモニウム及び酢酸ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の水溶性化合物を水に溶解して水溶液を調製し、その水溶液に(A)4,5−ジヒドロ−3−メトキシ−4−メチル−5−オキソ−N−[2−(トリフルオロメトキシ)フェニルスルホニル]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミドナトリウム塩および2,6−ビス(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルオキシ)安息香酸ナトリウムからなる群から選ばれる農薬活性成分を加え、該水溶液を攪拌するか、または、(A)成分を粉砕して該水溶液中に(A)成分を分散させることを特徴とする水性懸濁農薬組成物の製造方法。
なお、本発明において、水溶解度とは純水に対する溶解度である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明農薬組成物において(A)成分として用いられる農薬活性成分は、20℃における水溶解度(以下、単に水溶解度とも言う)が2g/100ml以上、好ましくは2〜80g/100ml、より好ましくは3〜70g/100ml、中でも3〜10g/100mlの常温で固体の物質であれば特に限定されず、殺虫性農薬活性成分、殺菌性農薬活性成分、除草剤農薬活性成分、植物成長調整剤活性成分等が挙げられる。
【0009】
除草剤農薬活性成分としては、例えば、2,6−ビス(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルオキシ)安息香酸ナトリウム(ビスピリバック−ナトリウム、水溶解度:7.3g/100ml)、2−クロロ−6−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルチオ)安息香酸ナトリウム(ピリチオバック−ナトリウム、水溶解度:pH5のとき26.4g/100ml)、スルファミン酸アンモニウム(アンモニウム スルファメート、水溶解度:68.4g)、スルファニリルカルバミン酸メチルカルシウム(アシュラム−カルシウム、水溶解度:20g/100ml)、4,5−ジヒドロ−3−メトキシ−4−メチル−5−オキソ−N−[2−(トリフルオロメトキシ)フェニルスルホニル]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミドナトリウム塩(フルカルバゾン−ナトリウム、水溶解度:4.4g/100ml)、2−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−6−トリフルオロメチルニコチン酸メチルナトリウム塩(フルピルスルフロン−メチル−ナトリウム、水溶解度:6.3g/100ml)、(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)酢酸ナトリウム(MCPA−ナトリウム、水溶解度:27g/100ml)が挙げられる。殺菌性農薬活性成分としては、ビス(8−ヒドロキシキノリニウム)硫酸(8−ヒドロキシキノリン硫酸塩、水溶解度:30g/100ml)が挙げられる。殺虫性農薬活性成分としては、(EZ)−(RS)−1−メチル−2−ニトロ−3−(テトラヒドロ−3−フリルメチル)グアニジン(ジノテフラン、水溶解度:5.43g/100ml)が挙げられる。植物生長調整剤活性成分としては、2−(4−クロロフェニル)−3−エチル−2,5−ジヒドロ−5−オキソピリダジン−4−カルボン酸カリウム(クロフェンセット−カリウム、水溶解度:65.5g/100ml以上)が挙げられる。それらの中でも塩が好ましく、フルカルバゾンナトリウム、フルピルスルフロン−メチル−ナトリウム及びビスピリバック−ナトリウムが特に好ましい。
【0010】
農薬活性成分は2種以上を混合して用いてもよい。複数の農薬活性成分を用いる場合は、農薬活性成分の少なくとも1種以上が、20℃における水溶解度が2g/100ml以上の常温で固体の農薬活性成分であればよい。20℃における水溶解度が2g/100ml以上の常温で固体の農薬活性成分と、20℃における水溶解度が2g/100ml未満の農薬活性成分や、あるいは常温で液体の農薬活性成分とを組み合わせて用いることもできる。農薬活性成分の含量は、本発明農薬組成物全量100質量部に対して、通常5〜60質量部である。
【0011】
本発明農薬組成物において(B)成分として用いられる水溶性化合物は農薬活性成分以外の物質であり、分子量1000以下、好ましくは500以下、さらに好ましくは、300以下の水溶性のものが挙げられる。このようなものとしては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、ホウ酸等の無機酸や、リン酸水素二ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ホウ酸ナトリウム等の無機酸のアルカリ金属塩や、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等の無機酸のアルカリ土類金属塩や、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム等の無機酸のアンモニウム塩や、酢酸、クエン酸、マレイン酸、フマル酸及び酒石酸の中から選ばれた少なくとも1種の有機酸や、該有機酸のアルカリ金属塩(例えば、酢酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等)、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩の中から選ばれた少なくとも1種の有機酸塩や、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物などが挙げられる。これらの水溶性化合物は1種用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよく、中でもリン酸水素二ナトリウムとクエン酸、酢酸ナトリウムと塩酸、酢酸ナトリウムと酢酸、酒石酸と酒石酸ナトリウム、ホウ酸とホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウム等の緩衝作用を有する組み合わせを選択して用いるのが組成物の経時的なpH変化を防止するためにも好ましい。
【0012】
(B)成分の水溶性化合物については、それと水との配合比が本発明農薬組成物中におけると同じである、すなわち該組成物中の(B)成分と(C)水の配合比である、(B)成分の水溶液に対し、(A)成分の農薬活性成分の20℃における溶解度が2g/100ml未満となるように、(B)成分の種類及び配合量が適宜調整される。
【0013】
上記(B)成分の水溶性化合物の水溶液に対する(A)成分の農薬活性成分の溶解度の測定法は特に限定されないが、例えば、水に所定量の水溶性化合物を溶解させた水溶液に、過剰量の農薬活性成分を加え、室温にて数時間攪拌した後、メンブランフィルター等で濾過した濾液を、個々の農薬活性成分の分析法に従って分析し算出すればよい。本発明においては、無機酸、所定有機酸、それらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩等の各種(B)成分の濃度別の水溶液を調製し、各水溶液への農薬活性成分の溶解度を求め、農薬活性成分の溶解度が2g/100ml未満となる水溶性化合物の濃度を決定する。
【0014】
通常、(B)成分の水溶性化合物の配合量は、農薬組成物全量100質量部に対して0.1〜10質量部である。この配合量が10質量部を超えると、水性懸濁農薬組成物の比重が大きくなり、単位面積当りの散布薬量を農薬の体積で秤量する農薬散布習慣において、農薬活性成分の散布量が過剰となり、薬害が発生する恐れがあるばかりか、環境への負荷が大きくなることから好ましくない。0.1質量部未満では(A)成分の農薬活性成分の溶解度が2g/100ml未満とならない。
【0015】
本発明の水性懸濁農薬組成物は、通常、界面活性剤を含有する。界面活性剤は特に限定されないが、一般に水性懸濁農薬組成物に配合するアニオン系やノニオン系の界面活性剤を使用することができる。例えば、ポリエチレングリコール高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル、ソルビタンモノアルキレート、アセチレンアルコールおよびアセチレンジオール並びにそれらのアルキレンオキシド付加物等のノニオン性界面活性剤、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩及びその縮合物、アルキル硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルアリール硫酸塩、アルキルアリールリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル硫酸塩、ポリカルボン酸型高分子活性剤等のアニオン性界面活性剤等、さらにはシリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤を挙げることができる。
【0016】
本発明の水性懸濁農薬組成物には、増粘剤、凍結防止剤等、一般に水性懸濁農薬組成物に配合される補助成分を含有させることができる。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、ホワイトカーボン、ベントナイト、スメクタイト等を、また、凍結防止剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、水溶性塩類等をそれぞれ挙げることができるが、これらは特に限定されない。
【0017】
本発明の水性懸濁農薬組成物の調製は、(B)成分の水溶性化合物を水に溶解し、その水溶液に、予め衝撃式粉砕機や高速気中粉砕機等の乾式粉砕機にて微粉化した(A)成分の農薬活性成分、及び必要に応じて界面活性剤や補助成分を加え混合又は攪拌して分散させるか、あるいは、前記水溶液に農薬活性成分、及び必要に応じて界面活性剤や補助成分を加えて混合後、ガラスビーズ等の粉砕メディアと供に高速で攪拌し、湿式粉砕機にて粉砕し、粉砕メディアと分別するなどして行うことができる。
【0018】
次に、実施例により本発明を実施するための最良の形態を説明するが、本発明はこれらの例により何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例において部は質量部を表す。
【0019】
【実施例1】
水46.77部に炭酸水素ナトリウム1.6部、炭酸ナトリウム0.18部を溶解した水溶液に、農薬活性成分としてビスピリバック−ナトリウム40部、界面活性剤としてポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸塩1部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル0.3部、凍結防止剤としてプロピレングリコール10部、増粘剤としてキサンタンガム0.15部を加えて混合後、ガラスビーズを粉砕メディアとした湿式粉砕機にて高速攪拌して粉砕して水性懸濁農薬組成物を得た。なお、ビスピリバック−ナトリウム(水溶解度7.3g/100ml)の上記水溶液に対する溶解度は1.4g/100mlであった。
【0020】
【実施例2】
水74.16部に炭酸水素ナトリウム3.9部、炭酸ナトリウム0.44部を溶解した水溶液に、農薬活性成分としてビスピリバック−ナトリウム10部、界面活性剤としてポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸塩1部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル0.3部、凍結防止剤としてプロピレングリコール10部、増粘剤としてキサンタンガム0.2部を加えて混合後、ガラスビーズを粉砕メディアとした湿式粉砕機にて高速攪拌して粉砕して水性懸濁農薬組成物を得た。なお、ビスピリバック−ナトリウム(水溶解度7.3g/100ml)の上記水溶液に対する溶解度は0.4g/100mlであった。
【0021】
【実施例3】
水75.4部に塩化ナトリウム3.1部を溶解した水溶液に、農薬活性成分としてビスピリバック−ナトリウム10部、界面活性剤としてポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸塩1部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル0.3部、凍結防止剤としてプロピレングリコール10部、増粘剤としてキサンタンガム0.2部を加えて混合後、ガラスビーズを粉砕メディアとした湿式粉砕機にて高速攪拌して粉砕して水性懸濁農薬組成物を得た。なお、ビスピリバック−ナトリウム(水溶解度7.3g/100ml)の上記水溶液に対する溶解度は0.6g/100mlであった。
【0022】
【実施例4】
水75.4部に炭酸水素アンモニウム3.1部を溶解した水溶液に、農薬活性成分としてビスピリバック−ナトリウム10部、界面活性剤としてポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸塩1部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル0.3部、凍結防止剤としてプロピレングリコール10部、増粘剤としてキサンタンガム0.2部を加えて混合後、ガラスビーズを粉砕メディアとした湿式粉砕機にて高速攪拌して粉砕して水性懸濁農薬組成物を得た。なお、ビスピリバック−ナトリウム(水溶解度7.3g/100ml)の上記水溶液に対する溶解度は0.9g/100mlであった。
【0023】
【実施例5】
水73.77部に酢酸0.23部、酢酸ナトリウム2.8部を溶解した水溶液に、農薬活性成分としてフルカルバゾンナトリウム20部、界面活性剤としてポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸塩2部、ドデシルベンゼンスルホン酸塩1部、増粘剤としてキサンタンガム0.2部を加えて混合後、ガラスビーズを粉砕メディアとした湿式粉砕機にて高速攪拌して粉砕して水性懸濁農薬組成物を得た。なお、フルカルバゾンナトリウム(水溶解度4.4g/100ml)の上記水溶液に対する溶解度は1.1g/100mlであった。
【0024】
比較例1
水78.5部、農薬活性成分としてビスピリバック−ナトリウム10部、界面活性剤としてポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸塩1部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル0.3部、凍結防止剤としてプロピレングリコール10部、増粘剤としてキサンタンガム0.2部を加えて混合後、ガラスビーズを粉砕メディアとした湿式粉砕機にて高速攪拌して粉砕し、水性懸濁農薬組成物を得た。なお、ビスピリバック−ナトリウムの該農薬組成物中の水に対する溶解度は7.3g/100mlであった。
【0025】
比較例2
水76.94部に炭酸水素ナトリウム1.4部、炭酸ナトリウム0.16部を溶解した水溶液に、農薬活性成分としてビスピリバック−ナトリウム10部、界面活性剤としてポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸塩1部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル0.3部、凍結防止剤としてプロピレングリコール10部、増粘剤としてキサンタンガム0.2部を加えて混合後、ガラスビーズを粉砕メディアとした湿式粉砕機にて高速攪拌して粉砕し、水性懸濁農薬組成物を得た。なお、ビスピリバック−ナトリウム(水溶解度は7.3g/100ml)の上記水溶液に対する溶解度は3g/100mlであった。
【0026】
試験例
実施例1〜5、比較例1〜2の水性懸濁農薬組成物を、直径4.5cm、高さ12cmのポリ容器に約180ml入れ、40℃にて1〜3ヶ月間、室温にて1年間静置した。なお、容器は各々10本用意し、以下の試験に供試した。
【0027】
(粘度の測定)
B型粘度計((株)東京計器製)を用い、ローターNo.2、30rpmの条件にて測定した。結果を表1に記す。
【0028】
(分離の測定)
所定期間毎に容器に入れた水性懸濁農薬組成物の全体の高さ、及び上澄み液の高さをノギスで計測した。比較例1〜2と比べて実施例1〜5は上澄みが少なく、分離し難かった。結果を表1に記す。
【0029】
【表1】
Figure 0004737753
【0030】
(堆積層の確認)
所定期間毎に容器に入れた水性懸濁農薬組成物を静かに傾斜して抜き取った後、ガラス棒を用いて底部の堆積層の有無を確認した。実施例1〜5は堆積層がなかったが、比較例1〜2は堆積層が認められた。結果を表2に記す。
【0031】
【表2】
Figure 0004737753
【0032】
(平均粒径の測定)
水性懸濁農薬組成物を入れた容器を良く振った後、一部を取り、レーザー回折式粒度分布装置[(株)セイシン企業製、LMS−24型]にて、組成物中に懸濁している農薬活性成分粒子の平均粒径を測定した。なお、平均粒径を測定する際の分散媒は、農薬活性成分の飽和水溶液を用いた。実施例1〜5は平均粒径の増大がほとんどなかったが、比較例1〜2は平均粒径が増大した。結果を表3に記す。
【0033】
【表3】
Figure 0004737753
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の水性懸濁農薬組成物は、水溶解性が高い農薬活性成分を含有するが、経時的な粒子成長がほとんどないため、保管時の分離、堆積層の形成が抑制され、長期間の保存が可能である。

Claims (3)

  1. (A)4,5−ジヒドロ−3−メトキシ−4−メチル−5−オキソ−N−[2−(トリフルオロメトキシ)フェニルスルホニル]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミドナトリウム塩および2,6−ビス(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルオキシ)安息香酸ナトリウムからなる群から選ばれる農薬活性成分、(B)炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸水素アンモニウム及び酢酸ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の水溶性化合物、及び、(C)水を含有してなる水性懸濁農薬組成物であって、
    (B)成分と水との配合比が該組成物中のそれと同じである(B)成分の水溶液に対し、(A)成分の20℃における溶解度が2g/100ml未満であることを特徴とする水性懸濁農薬組成物。
  2. (B)成分の配合量が、農薬組成物全量100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲である請求項1記載の水性懸濁農薬組成物。
  3. (B)炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸水素アンモニウム及び酢酸ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の水溶性化合物を水に溶解して水溶液を調製し、その水溶液に(A)4,5−ジヒドロ−3−メトキシ−4−メチル−5−オキソ−N−[2−(トリフルオロメトキシ)フェニルスルホニル]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミドナトリウム塩および2,6−ビス(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルオキシ)安息香酸ナトリウムからなる群から選ばれる農薬活性成分を加え、該水溶液を攪拌するか、または、(A)成分を粉砕して該水溶液中に(A)成分を分散させることを特徴とする水性懸濁農薬組成物の製造方法。
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