JP4737272B2 - 冷却装置の防食構造 - Google Patents

Description

本発明は、冷媒の導入される冷媒配管、及び伝熱を担う冷却部材の腐食を予防する冷却装置の防食構造に関する。

パワーモジュールのような発熱する電装部品を冷却するには、アルミニウムの冷却部材に形成された溝部に、冷媒の導入される銅製の冷媒配管を挿入し、上記の電装部品に冷却部材を接触するようにしている。この場合、冷却部材の溝部に挿入された冷媒配管を、プレス機械等を用いて、冷却部材の溝部に密接するよう塑性変形させることにより、冷媒配管と冷却部材とを接合する。

しかしながら、冷媒配管と冷却部材が、大気よりも低温に冷却されたときに結露すると、冷媒配管と冷却部材との接合部（境界）に浸入する湿気に起因して、これらが腐食するという問題がある。金属を劣化させる有害ガスが大気に含まれているとき、又は塩分の飛散する環境下で、有害ガス又は塩分が結露水に溶け込むと、上記の問題は顕著になる。また、冷媒配管と冷却部材の腐食が進行するに従って、両者の接合部の熱抵抗が増加し、電装部品の冷却が妨げられる。これは電装部品の性能を低下させることになる。

冷媒配管と冷却部材との接合に係る技術が、下記の特許文献に開示されている。
特開昭５８−１０６３９５号公報

本発明の目的とするところは、冷媒配管と冷却部材の腐食を予防し、両者間の伝熱を良好に保つことのできる冷却装置の防食構造を提供することにある。

本発明は上記目的を達成するため、冷却部材の表面に開放された溝部に冷媒配管を挿入された冷却装置の防食構造であって、前記冷却部材と前記冷媒配管との接合部に沿うように前記冷却部材の表面と前記冷媒配管に塗布されたコーティング材によって前記接合部を大気から遮断したことを特徴とする。

本発明に係る冷却装置の防食構造は、冷却部材の表面、及び冷媒配管の溝部に挿入された冷媒配管をコーティング材で被覆することにより、冷媒配管と冷却部材との接合部から周囲の大気を遮断しているので、冷媒配管と冷却部材とが結露することがあっても、これらの接合部に湿気が浸入するのを予防することができる。また、冷媒配管と冷却部材とが有害ガスに触れ、又は塩分の飛散する環境下に置かれることがあっても、冷媒配管と冷却部材の腐食を未然に防止することができる。しかも、本発明に係る冷却装置の防食構造は、冷媒配管と冷却部材との間の良好な伝熱を確保し、電装部品の冷却を促進できるので、電装部品にその性能を適切に発揮させることができる。

また、本発明に係る冷却装置の防食構造は、冷却部材の表面及び冷媒配管にコーティング材を塗布するだけで、上記の効果を容易に達成することができる。

本発明に係る冷却装置の防食構造の実施形態について説明する。図１（ａ）に示すように、冷却装置の防食構造１は、冷却部材３の溝部５に冷媒配管７を圧入して成る冷媒ジャケット９に、冷却部材３の表面１１、及び冷媒配管７を被覆する被覆材１３を設けたものである。同図（ｂ）に示すように、電装部品１５にはアルミニウム板から成る伝熱部材１７が取付けられ、伝熱部材１７を介して冷却部材３と電装部品１５とが接続されているが、伝熱部材１７を省略し、冷却部材３と電装部品１５とを直に接続しても良い。

冷却部材３は、アルミニウム板であり、溝部５は冷却部材３の表面１１に開放されている。被覆材１３は、冷却部材３の表面１１、及び冷媒配管７に図中でドットを付した領域に塗布されたコーティング材である。少なくとも冷却部材３と冷媒配管７との接合部１９に沿ってコーティング材が塗布されていれば足りる。

以上に述べた冷却装置の防食構造１によれば、冷却部材３と冷媒配管７との接合部１９をコーティング材によって周囲の大気から遮断できるので、冷却部材３と冷媒配管７とが結露することがあっても、接合部１９に湿気の浸入するのを予防できる。また、冷却部材３と冷媒配管７とが有害ガスに触れ、又は塩分の飛散する環境下に置かれることがあっても、コーティング材によって接合部１９に有害ガス又は塩分の浸入するのを予防できる。これにより、冷媒配管７と冷却部材３の腐食を未然に防止することができる。

しかも、冷却装置の防食構造１は、冷却部材３と冷媒配管７との間の良好な伝熱を以下に述べるよう確保し、電装部品１５の冷却を促すことにより、電装部品１５にその性能を適切に発揮させることができる。即ち、図１（ａ）に示す冷媒ジャケット９を実施例サンプルとし、同様の冷媒ジャケットから被覆材が取り除かれた比較サンプルを準備する。そして、酢酸塩水を実施例サンプル及び比較サンプルのそれぞれの接合部１９へ向けて噴霧し、所定の時間が経過する毎に、冷却部材３と冷媒配管７との熱抵抗比を計測する。この結果は、酢酸塩水の噴霧される噴霧時間を横軸とし熱抵抗比を縦軸とした図２のグラフに表れている。同図の実線Ｓは、実施例サンプルの熱抵抗比が殆ど増加しないことを示しているのに対し、点線Ｃは、比較サンプルの熱抵抗比が噴霧時間の経過に従い増加することを示している。

また、以上の効果は、コーティング材を冷却部材３の表面１１、及び冷媒配管７に塗布するだけで容易に達成することができる。

尚、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施することができる。

本発明は、電装部品を冷却するための冷媒ジャケット等を製造するのに有益な技術である。

（ａ）は本発明の実施形態に係る冷却装置の防食構造の平面図、（ｂ）はそのＡ−Ａ線断面図。 本発明の実施形態に係る冷却装置の防食構造の酢酸塩水噴霧試験による熱抵抗比の変化を示すグラフ。

１...冷却装置の防食構造、３...冷却部材、５...溝部、７...冷媒配管、１１...表面、１３...被覆材、１５...電装部品、１７...伝熱部材。

Claims (1)

1. 冷却部材の表面に開放された溝部に冷媒配管を挿入された冷却装置の防食構造であって、
   前記冷却部材と前記冷媒配管との接合部に沿うように前記冷却部材の表面と前記冷媒配管に塗布されたコーティング材によって前記接合部を大気から遮断したことを特徴とする冷却装置の防食構造。

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