JP4736572B2 - 点火コイル及びその製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1においては、中心鉄芯(中心コア)と2次巻芯(2次コイルを巻回したスプール)との間に、絶縁シートを介在させている。そして、仮に、熱可塑性樹脂を用いて形成した2次巻芯に気泡等が発生していても、絶縁シートによって中心鉄芯と2次コイルとの間の電気的絶縁性を確保している。
また、特許文献2においては、中心コアに巻装した熱応力緩和部材としての絶縁シートの肉厚を、適切な厚みに設定している。これにより、中心コアと筒状のスプールとの間に充填された樹脂絶縁材に、熱応力によってクラック等が発生しないようにしている。
上記中心コアは、複数の鋼板を径方向に積層して略円形断面形状を有しており、当該中心コアの外周面には、上記鋼板同士の間に形成される複数の段差空間が、当該中心コアの軸方向に渡って形成されており、
上記中心コアの外周面に巻き付けた上記絶縁シートは、円筒形状に形成されており、
該絶縁シートは、合成樹脂からなる樹脂フィルム層と、該樹脂フィルム層の裏面に配設した接着層とからなり、上記中心コアの軸方向長さの0.8〜1.2倍のシート幅を有しており、その巻き終わり端は、上記中心コアの軸方向に対して傾斜する傾斜部分を有しており、
上記絶縁樹脂は、上記絶縁シートの上記巻き終わり端と隣接する内周側の部位に、該巻き終わり端における上記傾斜部分に沿った樹脂段差部を形成してなることを特徴とする点火コイルにある(請求項1)。
すなわち、中心コアの外周面に、中心コアの軸方向長さの0.8〜1.2倍のシート幅を有する絶縁シートを巻き付けて接着させたときには、この絶縁シートの巻き終わり端は、その傾斜部分が中心コアの軸方向に対して傾斜する。
また、絶縁シートを剥がれ難くすることができるため、上記絶縁シートの接着とは別の固定を、絶縁シートの巻き終わり端の全長に渡って行う必要がなくなり、中心コアに絶縁シートを巻き付けた状態の維持を簡単に行うことができる。
なお、絶縁シートのシート幅が中心コアの軸方向長さよりも短い場合には、絶縁シートを巻き付けていない外周面の部分は、例えば、別の構成部材によって覆うことができる。また、絶縁シートのシート幅が中心コアの軸方向長さよりも長い場合には、この長い軸方向余剰部分を中心コアの軸方向端面に折り返すことができる。
上記中心コアは、複数の鋼板を径方向に積層して略円形断面形状を有しており、当該中心コアの外周面には、上記鋼板同士の間に形成される複数の段差空間が、当該中心コアの軸方向に渡って形成されており、
上記中心コアの外周面に巻き付けた上記絶縁シートは、円筒形状に形成されており、
該絶縁シートは、合成樹脂からなる樹脂フィルム層と、該樹脂フィルム層の裏面に配設した接着層とからなり、上記中心コアに巻き付ける前の状態において、上記中心コアの軸方向長さの0.8〜1.2倍のシート幅を有していると共に、幅方向に位置する一対の軸方向端が互いに平行であり、かつ、上記中心コアに巻き付ける際の巻き終わり端が、上記幅方向に対して傾斜する傾斜部分を有しており、
また、上記絶縁シートは、その幅方向を上記中心コアの軸方向に平行にして、該中心コアに巻き付けてあり、
上記絶縁樹脂は、上記絶縁シートの上記巻き終わり端と隣接する内周側の部位に、該巻き終わり端における上記傾斜部分に沿った樹脂段差部を形成してなることを特徴とする点火コイルにある(請求項2)。
そして、本発明における絶縁シートは、中心コアに巻き付ける前の状態において、幅方向に位置する一対の軸方向端が互いに平行であり、中心コアに巻き付ける際の巻き終わり端に位置させる端部に傾斜部分を有している。そのため、絶縁シートを中心コアに巻き付けることが容易であり、絶縁シートを中心コアに巻き付けた後に、その巻き終わり端における傾斜部分を中心コアの軸方向に対して傾斜させて配置することが容易である。
その他、本発明における作用効果は、上記第1の発明と同様である。
上記中心コアは、複数の鋼板を径方向に積層して略円形断面形状に形成し、当該中心コアの外周面に、上記鋼板同士の間に形成される複数の段差空間を、当該中心コアの軸方向に渡って形成しておき、
上記中心コアの軸方向長さの0.8〜1.2倍のシート幅を有すると共に、幅方向に直交する巻付方向における少なくとも一方の端部に上記幅方向に対して傾斜する傾斜部分を設けた絶縁シートを形成するシート形成工程と、
上記絶縁シートの幅方向を上記中心コアの軸方向に合わせて、当該絶縁シートを上記中心コアの外周面に円筒形状に巻き付け、その巻き終わり端に上記傾斜部分を設けた端部を位置させる巻付工程と、
上記巻き終わり端に形成された鋭角状のシート角部に、剥がれ防止のための固定を行う固定工程と、
上記1次コイル、上記2次コイル、及び上記絶縁シートを巻き付けた上記中心コアをコイルケース内に組み付けて上記円筒部を形成する組付工程と、
上記円筒部内における隙間に上記絶縁樹脂を充填し、該絶縁樹脂を、上記絶縁シートの上記巻き終わり端と隣接する内周側の部位に、該巻き終わり端における上記傾斜部分に沿った樹脂段差部を形成する樹脂充填工程とを行うことを特徴とする点火コイルの製造方法にある(請求項9)。
すなわち、本発明においては、上記シート形成工程において、上記所定のシート幅を有し、上記巻付方向における少なくとも一方の端部に上記幅方向に対して傾斜する傾斜部分を設けた絶縁シートを形成する。
そのため、上記各工程を行って製造した点火コイルは、上記点火コイルの発明と同様の優れた作用効果を呈することができる。
それ故、本発明の製造方法によれば、絶縁シートを剥がれ難くすることができると共に、中心コアへの絶縁シートの巻付状態の維持を簡単に行うことができ、かつ絶縁シートを巻き付ける回数が増えることを抑制することができる点火コイルを製造することができる。
上記第1〜第3の発明において、上記絶縁シートのシート幅が上記中心コアの軸方向長さの0.8倍未満の場合には、絶縁シートを巻き付けていない中心コアの外周面の部分が広くなり、別の構成部材等によって覆うことが困難になる。一方、上記絶縁シートのシート幅が上記中心コアの軸方向長さの1.2倍を超える場合には、中心コアの軸方向端面から突出した絶縁シートの部分を、中心コアの軸方向端面に折り返すことが困難になる。
これにより、絶縁シートを中心コアに安定して巻き付けることが容易である。
上記中心コアが複数の鋼板を径方向に積層してなる場合には、中心コアの軸方向には、鋼板と鋼板とが重なり合う部分の軸方向に沿って段差空間が形成される。このとき、絶縁シートの巻き終わり端が上記段差空間に沿って位置すると、巻き終わり端が段差空間を介して径方向に変位し易くなり、剥がれ易くなってしまう。
これに対し、上記のごとく絶縁シートの巻き終わり端の少なくとも一部が中心コアの軸方向に対して傾斜していることにより、絶縁シートの巻き終わり端の少なくとも一部が上記段差空間に対して傾斜して位置することができる。これにより、中心コアが複数の鋼板を径方向に積層してなる場合においても、絶縁シートの巻き終わり端を剥がれ難くすることができる。
また、シート傾斜端部の傾斜角度が5°未満である場合には、傾斜角度が緩くて、上記点火コイルの優れた作用効果が得られないおそれがある。一方、シート傾斜端部の傾斜角度が60°を超える場合には、傾斜角度が急になり過ぎて、絶縁シートを巻き付ける回数が増えてしまうおそれがある。
これらの場合には、巻き終わり端の形成が容易であり、簡単な形状の絶縁シートによって、巻き終わり端が剥がれ難くすることができる。また、巻き終わり端における傾斜部分は、必ずしも直線状に傾斜している必要はなく、円弧状に傾斜していてもよい。例えば、中心コアの軸方向に対する巻き終わり端の傾斜角度は、鋭角状のシート角部に向かうにつれて小さくなるようにすることができる。
上記巻き終わり端は、その傾斜部分の全体を同じ方向に向けて傾斜形成するだけでなく、これらの場合のように、山状又は谷状に傾斜形成することもできる。これらの場合にも、巻き終わり端が剥がれ難くすることができる。
また、上記山状又は谷状の傾斜部分は、巻き終わり端において1つ形成することができ、複数形成することもできる。
これらの場合には、絶縁シートの巻き終わり端の一部を、中心コアの軸方向端面に折り返すことができ、絶縁シートの巻き終わり端が剥がれないようにすることができる。
この場合には、軸方向両端部に磁石をそれぞれ配設してなる中心コアに対して、絶縁シートの巻き終わり端を剥がれ難くすることができる。
(実施例1)
本例の点火コイル1は、図1に示すごとく、棒状の中心コア3と、この中心コア3の周りに同心円状に巻回した1次コイル21及び2次コイル22を備えた円筒部2とを有し、中心コア3の外周面301に絶縁シート4を巻き付け、この絶縁シート4と上記円筒部2との間に絶縁樹脂5を充填してなる。
以下に、これを詳説する。
上記円筒部2は、コイルケース20内に、外周コア24、1次コイル21、2次コイル22、及び中心コア3を挿通配設してなる。すなわち、上記1次コイル21は、絶縁被覆したワイヤを円筒状に巻回してなり、上記2次コイル22は、円筒状の2次スプール221の外周面に1次コイル21よりも多い巻回数で絶縁被覆したワイヤを巻回してなる。また、2次コイル22は、1次コイル21の内周側に挿通されており、2次コイル22の内周側には、棒状で金属製の中心コア3が配設されている。また、1次コイル21は、円筒状の外周コア24内に挿通されており、この外周コア24は、コイルケース20内に挿通されている。
なお、中心コア3の軸方向両端部32には、上記弾性部材321の代わりに、上記1次コイル21による磁束をさらに増大させるための永久磁石を配設することもできる。
また、中心コア3と2次コイル22との間、2次コイル22と1次コイル21との間、1次コイル21と外周コア24との間の各隙間29には、絶縁樹脂5が充填されている。
また、本例の絶縁シート4における樹脂フィルム層45は、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなり、絶縁シート4における接着層46は、アクリル系の接着剤(粘着剤)からなる。
また、本例の絶縁樹脂5は、エポキシ樹脂からなる。
また、図6に示すごとく、本例の絶縁シート4は、ロール状に巻き付けてなる長尺状の絶縁シート材40を、所定長さで繰り返し切断して、同一形状のものを量産してなるものである。
また、本例の絶縁シート4は、幅方向Wにおける両端部43の長さが同じであると共に、巻付方向(長さ方向)Dにおける両端部40の長さ及び傾斜角度θも同じであり、平行四辺形の形状を有している。
また、絶縁シート4は、中心コア3の軸方向Lの各巻付位置において、2重以上巻き付けることが好ましい。
本例においては、以下のシート形成工程、巻付工程、固定工程、組付工程及び樹脂充填工程を行って、点火コイル1を製造する。
まず、図6に示すごとく、シート形成工程においては、中心コア3の軸方向長さxの0.8〜1.2倍のシート幅wを有し、ロール状に巻き付けてなる長尺状の絶縁シート材40を、所定長さで切断し、絶縁シート4を形成する。また、絶縁シート材40は、先に巻き付けた部分の樹脂フィルム層45が後に巻き付けた部分の接着層46と仮接着されて、ロール状に巻き付けられている。
こうして、中心コア3の軸方向長さxの0.8〜1.2倍のシート幅wを有すると共に、幅方向Wに直交する巻付方向Dにおける両端部40が傾斜してなる絶縁シート4が形成される。
そして、絶縁シート4は、その接着層46を中心コア3の外周面301に対面させ、上記傾斜状の切断端部40の一方を巻き始め端41として、この巻き始め端41における鋭角状のシート角部411から中心コア3に巻き始める。
こうして、図3に示すごとく、絶縁シート4は、上記傾斜状の切断端部40を巻き終わり端42として、この巻き終わり端42における鋭角状のシート角部421において巻き終わる。
なお、絶縁シート4の巻き終わり端42には、鈍角状のシート角部422も位置するが、この鈍角状のシート角部422は、剥がれ難いと考えられ、上記剥がれ防止用の固定49は行わない。
その後、樹脂充填工程においては、円筒部2内における隙間29及びイグナイタ配置凹部25内に絶縁樹脂5としてのエポキシ樹脂を充填し、各部品を一体化させて点火コイル1を製造する。
また、この樹脂充填工程においては、中心コア3の外周面301に巻き付けられた絶縁シート4と、その外周側に位置する2次コイル22の2次スプール221との間にも絶縁樹脂5が充填される。
そのため、中心コア3に巻き付けた絶縁シート4において、中心コア3に巻き付けたときの弾性変形を復元させようとする力が、当該絶縁シート4を剥がそうとする力として作用しても、この絶縁シート4を剥がそうとする力を低減させることができる。
また、上記固定49は、絶縁シート4の巻き終わり端42の全長に渡って行う必要がなく、中心コア3に絶縁シート4を巻き付けた状態の維持を簡単に行うことができる。
すなわち、図5に示すごとく、中心コア3は、渦電流の発生を抑制するために複数の鋼板31を径方向に積層してなるものを用いている。そのため、中心コア3の外周面301には、鋼板31同士の間に形成される段差空間311が、中心コア3の軸方向Lに渡って形成されている。
この樹脂段差部51は、上記従来の絶縁シート94を中心コア3に巻き付けた場合には、上記中心コア3の軸方向Lに平行な巻き終わり端942により、上記円筒形状の絶縁樹脂5の軸方向Lに平行に形成される(図18参照)。
そのため、本例の絶縁シート4を用いた点火コイル1においては、点火コイル1がエンジンの加熱後に冷却される際に、上記円筒形状の絶縁樹脂5が熱応力によって径方向に収縮するときには、樹脂段差部51に生ずる応力集中は、中心コア3の周方向Rにおける1箇所に集中して発生せず、中心コア3の周方向Rに分散して発生する。それ故、本例の点火コイル1によれば、樹脂段差部51に応力集中が作用しても、円筒形状の絶縁樹脂5を割れ難くすることができる。
本例は、図7、図8に示すごとく、上記巻き終わり端42が谷状に傾斜してなる絶縁シート4を巻き付けた中心コア3を備えた点火コイル1を示す例である。
本例の谷状の巻き終わり端42は、傾斜方向が途中で逆転してなるものである。
また、本例の絶縁シート4は、上記実施例1に示したものと同様に、長尺状の絶縁シート材40をカッター6によって繰り返し切断して量産されるものであり、巻き始め端41は、谷状の巻き終わり端42の形状に沿った山状の巻き始め端41を有している。
また、本例の巻き終わり端42は、1つの谷形状を有してなり、中心コア3の軸方向Lの両端に鋭角状のシート角部421をそれぞれ有している。そして、本例の絶縁シート4は、2つの鋭角状のシート角部421に上記剥がれ防止用の固定49を行って、剥がれ防止がなされている。
本例においても、その他は上記実施例1と同様であり、上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
本例は、図11〜図13に示すごとく、中心コア3に巻き付けた絶縁シート4において、中心コア3の軸方向端面32から突出した軸方向余剰部分(突出端部)44を、中心コア3の軸方向端面32に折り返してなる点火コイル1を示す例である。
本例においては、図11、図12に示すごとく、絶縁シート4の軸方向余剰部分44を、中心コア3の軸方向端面32に折り返すための折返し治具7を使用する。この折返し治具7は、中心コア3の軸方向端面32の外径よりも若干大きな内径を有する円形状凹部71を備えてなる。この円形状凹部71は、底面711と、絶縁シート4の軸方向余剰部分44を折り返すために、底面711の外周から傾斜形成した傾斜内壁面712とを有している。
そして、本例においては、巻き終わり端42における鋭角状のシート角部421の剥がれ防止用の固定49は、上記折返し治具7によって鋭角状のシート角部421を中心コア3の軸方向端面32に折り返すことによって行う。
こうして、絶縁シート4の軸方向余剰部分44を中心コア3の軸方向端面32に折り返して、絶縁シート4の巻き終わり端42の固定49を行うことができる。
本例においても、絶縁シート4の巻き終わり端42が剥がれないようにすることができる。
また、上記折返し治具7は、上記軸方向余剰部分44を中心コア3の軸方向端面32に接着する際には、この軸方向余剰部分44に超音波溶着等を行って、一層確実に絶縁シート4の巻き終わり端42が剥がれないようにすることもできる。
本例においても、その他は上記実施例1、2と同様であり、上記実施例1、2と同様の作用効果を得ることができる。
本例は、図14に示すごとく、中心コア3Aの軸方向両端部を、永久磁石33をそれぞれ配設して形成した例である。
そして、本例の絶縁シート4は、一対の永久磁石33の軸方向長さを含めた上記中心コア3Aの軸方向長さxの0.8〜1.2倍のシート幅wを有している。
本例においても、その他は上記実施例1〜3と同様であり、上記実施例1〜3と同様の作用効果を得ることができる。
また、巻き始め端41における傾斜部分についても、同様にして曲線状に傾斜形成することができる。
2 円筒部
21 1次コイル
22 2次コイル
29 隙間
3 中心コア
301 外周面
31 鋼板
32 軸方向端面
4 絶縁シート
41 巻き始め端
42 巻き終わり端
421 鋭角状のシート角部
44 軸方向余剰部分
49 剥がれ防止用の固定
5 絶縁樹脂
x 中心コアの軸方向長さ
w シート幅
L 軸方向
W 幅方向
D 巻付方向
θ 傾斜角度
Claims (14)
- 棒状の中心コアの周りに同心円状に巻回した1次コイル及び2次コイルを備えた円筒部を有し、上記中心コアの外周面に絶縁シートを巻き付け、上記円筒部内の隙間に絶縁樹脂を充填してなる点火コイルにおいて、
上記中心コアは、複数の鋼板を径方向に積層して略円形断面形状を有しており、当該中心コアの外周面には、上記鋼板同士の間に形成される複数の段差空間が、当該中心コアの軸方向に渡って形成されており、
上記中心コアの外周面に巻き付けた上記絶縁シートは、円筒形状に形成されており、
該絶縁シートは、合成樹脂からなる樹脂フィルム層と、該樹脂フィルム層の裏面に配設した接着層とからなり、上記中心コアの軸方向長さの0.8〜1.2倍のシート幅を有しており、その巻き終わり端は、上記中心コアの軸方向に対して傾斜する傾斜部分を有しており、
上記絶縁樹脂は、上記絶縁シートの上記巻き終わり端と隣接する内周側の部位に、該巻き終わり端における上記傾斜部分に沿った樹脂段差部を形成してなることを特徴とする点火コイル。 - 棒状の中心コアの周りに同心円状に巻回した1次コイル及び2次コイルを備えた円筒部を有し、上記中心コアの外周面に絶縁シートを巻き付け、上記円筒部内の隙間に絶縁樹脂を充填してなる点火コイルにおいて、
上記中心コアは、複数の鋼板を径方向に積層して略円形断面形状を有しており、当該中心コアの外周面には、上記鋼板同士の間に形成される複数の段差空間が、当該中心コアの軸方向に渡って形成されており、
上記中心コアの外周面に巻き付けた上記絶縁シートは、円筒形状に形成されており、
該絶縁シートは、合成樹脂からなる樹脂フィルム層と、該樹脂フィルム層の裏面に配設した接着層とからなり、上記中心コアに巻き付ける前の状態において、上記中心コアの軸方向長さの0.8〜1.2倍のシート幅を有していると共に、幅方向に位置する一対の軸方向端が互いに平行であり、かつ、上記中心コアに巻き付ける際の巻き終わり端が、上記幅方向に対して傾斜する傾斜部分を有しており、
また、上記絶縁シートは、その幅方向を上記中心コアの軸方向に平行にして、該中心コアに巻き付けてあり、
上記絶縁樹脂は、上記絶縁シートの上記巻き終わり端と隣接する内周側の部位に、該巻き終わり端における上記傾斜部分に沿った樹脂段差部を形成してなることを特徴とする点火コイル。 - 請求項1又は2において、上記巻き終わり端は、鋭角状のシート角部を有しており、該鋭角状のシート角部は、剥がれ防止のための固定がなされていることを特徴とする点火コイル。
- 請求項1〜3のいずれか一項において、上記巻き終わり端における傾斜部分は、上記中心コアの軸方向に対して5〜60°の傾斜角度を有していることを特徴とする点火コイル。
- 請求項1〜4のいずれか一項において、上記巻き終わり端は、その傾斜部分の全体が同じ方向に傾斜していることを特徴とする点火コイル。
- 請求項1〜4のいずれか一項において、上記巻き終わり端は、その傾斜部分の傾斜方向が途中で逆転して、谷状を呈していることを特徴とする点火コイル。
- 請求項1〜6のいずれか一項において、上記中心コアの軸方向両端部は、磁石をそれぞれ配設して形成してあり、上記絶縁シートは、上記一対の磁石の軸方向長さを含めた上記中心コアの軸方向長さの0.8〜1.2倍のシート幅を有していることを特徴とする点火コイル。
- 請求項1〜7のいずれか一項において、上記絶縁シートのシート幅が上記中心コアの軸方向長さよりも長く、該絶縁シートの巻付状態において該絶縁シートの軸方向余剰部分が形成される場合、該軸方向余剰部分が上記中心コアの軸方向端面に折り返してあることを特徴とする点火コイル。
- 棒状の中心コアの周りに同心円状に巻回した1次コイル及び2次コイルを備えた円筒部を有し、上記中心コアの外周面に絶縁シートを巻き付け、上記円筒部内の隙間に絶縁樹脂を充填してなる点火コイルの製造方法において、
上記中心コアは、複数の鋼板を径方向に積層して略円形断面形状に形成し、当該中心コアの外周面に、上記鋼板同士の間に形成される複数の段差空間を、当該中心コアの軸方向に渡って形成しておき、
上記中心コアの軸方向長さの0.8〜1.2倍のシート幅を有すると共に、幅方向に直交する巻付方向における少なくとも一方の端部に上記幅方向に対して傾斜する傾斜部分を設けた絶縁シートを形成するシート形成工程と、
上記絶縁シートの幅方向を上記中心コアの軸方向に合わせて、当該絶縁シートを上記中心コアの外周面に円筒形状に巻き付け、その巻き終わり端に上記傾斜部分を設けた端部を位置させる巻付工程と、
上記巻き終わり端に形成された鋭角状のシート角部に、剥がれ防止のための固定を行う固定工程と、
上記1次コイル、上記2次コイル、及び上記絶縁シートを巻き付けた上記中心コアをコイルケース内に組み付けて上記円筒部を形成する組付工程と、
上記円筒部内における隙間に上記絶縁樹脂を充填し、該絶縁樹脂を、上記絶縁シートの上記巻き終わり端と隣接する内周側の部位に、該巻き終わり端における上記傾斜部分に沿った樹脂段差部を形成する樹脂充填工程とを行うことを特徴とする点火コイルの製造方法。 - 請求項9において、上記シート形成工程において、上記絶縁シートの上記巻付方向における一方の端部の傾斜部分は、上記絶縁シートの幅方向に対して5〜60°の傾斜角度で傾斜させることを特徴とする点火コイルの製造方法。
- 請求項9又は10において、上記シート形成工程において、上記絶縁シートの上記巻付方向における一方の端部は、その傾斜部分の全体を同じ方向に向けて傾斜形成することを特徴とする点火コイルの製造方法。
- 請求項9又は10において、上記シート形成工程において、上記絶縁シートの上記巻付方向における一方の端部は、その傾斜部分の傾斜方向を途中で逆転させて、谷状に形成することを特徴とする点火コイルの製造方法。
- 請求項9〜12のいずれか一項において、上記中心コアの軸方向両端部は、磁石をそれぞれ配設して形成してあり、上記絶縁シートは、上記一対の磁石の軸方向長さを含めた上記中心コアの軸方向長さの0.8〜1.2倍のシート幅を有していることを特徴とする点火コイルの製造方法。
- 請求項9〜13のいずれか一項において、上記巻付工程において、上記絶縁シートのシート幅が上記中心コアの軸方向長さよりも長く、該絶縁シートを巻き付けた際に該絶縁シートの軸方向余剰部分が形成される場合、上記絶縁シートは、上記中心コアの軸方向端面から突出させて巻き付け、該巻付状態における軸方向余剰部分を上記中心コアの軸方向端面に折り返すことを特徴とする点火コイルの製造方法。
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