前記公報記載のメダル遊戯装置のボールは、それ自体で格別価値を持つものではなく、中央抽選装置における抽選のためである。そこで、このボール(異形物)に価値を持たせつつ、メダルゲームの遊戯性を改善することが望まれる。また、ボール自体は所定遊戯の成立があると必ずメダルフィールドに投入されるために、遊戯者にとってみればこの分メダル遊戯の遊戯性が制限されたものになる。
また、従来のメダル遊戯装置では、メダル貯留槽へのメダルの回収に手間取り、遊戯結果に応じて素早くメダルをゲームフィールドに補給できないという問題がある。すなわち、メダルの回収速度にメダル遊戯の遊戯性が律速されることになる。
そこで、この発明は、従来のメダル遊戯装置の遊戯性をより改善してなる新規なメダル遊戯装置を提供することを目的とするものである。
この目的を達成するために、本発明は、複数のメダルを載置するメダルフィールドと、このメダルフィールド上のメダルをメダルが落下する落下空間の側に押し出す往復動手段と、前記メダルフィールドに遊戯者がメダルを本体に入れる手段と、遊戯者が入れたメダルを前記メダルフィールドに導く手段と、遊戯者が入れたメダルによって実行される所定遊戯を制御する制御手段と、前記落下空間の一部に落下したメダルを遊戯者に供給する手段と、複数の景品を前記メダルフィールド外に貯えておく景品貯留手段と、遊戯者により操作され、前記景品を前記メダルフィールドに供給するための操作手段と、を備えるメダルゲーム機であることを特徴とするものである。
この発明のより具体的な形態は次のとおりである。メダル遊戯装置は、複数の遊戯者に対する遊戯領域(プレイフィールド又はサテライトとも呼ばれる。)を備える本体からなる。前記景品貯留手段は隣接する遊戯領域に対して共通に設けられている。本体は、マイクロコンピュータによって実現される制御手段を備えており、この制御手段は既述の所定遊戯を実行する。このマイクロコンピュータはこれ以外の制御も実行する。例えば、景品の払い出し、景品を払い出すために遊戯者によって操作される操作手段の制御、落下空間に落下したメダルの回収、回収されたメダルメダルフィールドへの補給することを制御する。各制御は単一のチップ或いは個別のチップによって達成される。例えば、各サテライト毎に制御基板が設けられ、さらに全サテライトを統括制御するメイン制御基板を備える。
所定遊戯の代表例は、スロット型抽選装置である。遊戯者が本体のメダル投入口からメダルを投入する。メダルが投入されたことを検知するセンサが設けられている。投入されたメダルは本体前面を不規則に落下する。落下経路の途中にはメダルの通過を検知し、スロットルを回転させる入賞口がある。入賞口のセンサによってメダルの通過が検知されるとスロットルが回転する。スロットルはパチスロのような回転胴式あるいはパチンコのようにデジタル式のいずれでも良い。所定役が揃うと、様々な特典が遊戯者に与えられる。
所定遊戯の他の例は次のとおりである。投入されたメダルの落下終端位置には、メダルが通過するゲートを複数設けておく。このうちメダルが通過すべきゲートを制御手段が遊戯プログラムに応じて適宜指定する。指定されたゲートはランプを点灯させるなどして遊戯者に告知する。投入口から投入されたメダルが指定されたゲートを通過すると、制御手段は遊戯の成功と判断する。各ゲートには、メダルの到達を検知するセンサが設けられている。ゲートを通過したメダルはメダルフィールドに堆積される。
メダルフィールド上に堆積したメダルは、前記往復動手段によって崩れるなどして落下空間に向けて落下する。落下空間に落下したメダルのうち、遊戯者に提供しても良いメダル、例えば、遊戯者の正面側の開口から落下したメダルを遊戯者に提供する。遊戯者はこのメダルを用いて遊戯を継続する。遊戯者に払い出されたメダルを獲得メダルという。
落下したメダルのうち、遊戯者に提供すべきでないメダルは、ホッパによって遊戯結果に応じながらメダルフィールドに補給される。遊戯装置本体の上部にメダルの貯留槽があり、この槽内にホッパからメダルが回収される。
前記景品の好適例は、メダルが収容されたカプセルである。各カプセルに対するメダルの収容枚数は適宜変更されてよい。ここで、景品とは、遊戯者が遊戯に使用する通常のメダル(遊戯者がメダルフィールドに投入する通常メダル)と区別できるものであり、通常メダルと同形状であろうと異形状であろうと問わない。通常メダルと同形状である場合は、内部にICタグなどを埋設し、筺体にICタグのデータを読み取れる読取手段を設ければ通常メダルと区別される。異形状の景品の一例がカプセルである。カプセル以外の物でも良い。後に説明するように、メダルと落下したカプセルをメダルから区別してセンサで検知できる。
前記制御手段のメモリには、所定の遊戯などその他の制御内容を実行するためのプログラムが予め記憶されている。また、この制御に必要な各種データや遊戯結果を記憶する記憶領域がメモリ内に設定されている。
操作手段を操作する権利の発生の告知がされた後、所定時間内に遊戯者が操作手段を 操作すると、制御手段はこの操作手段の停止手段(例:電磁ブレーキ)を解除している。遊戯者がこの後操作手段を動かすと、複数の景品の中から一つが選択されて、これがメダルフィールドに向けて投入される。
前記景品貯留手段には、そこに貯留している景品を撹拌する撹拌手段が設けられていて、遊戯者が操作手段を操作するとそれに連動して撹拌するような機構になっており、撹拌された結果、1つの景品が選択される(選択手段)。よって、選択された景品がメダルフィールドに投入されるので、遊戯者にとっては何が選択されるのか予測できない楽しみがある。
また、メダルフィールドにメダルより大きな景品があると、メダルが体積した山の形や大きさが複雑に変わり、遊戯者にとってみると、投入口からうまい場所にメダルを投入してこの山を崩すことにより、多くのメダルを獲得できる期待が増す。さらに、景品そのものを得るという意欲もかきたてられる。
前記操作手段を操作する権利を、制御手段は無効として判断することがある。例えば、告知後所定時間内に操作手段(ハンドル等)を遊戯者が操作しない(回さない)と、この権利を消滅させる。制御手段は、権利の発生をフラグに記憶し、このフラグ設定後タイマによって操作手段の動作があったか否かをチェックする。なお、この所定時間はタイマによってカウントされ、その所定時間内に操作手段の操作を行えばその操作を有効として判断しゲームを進行させるが、その所定時間内のどのタイミングで操作したかに応じて遊戯者に特典を付与する手段を設けてもよい。たとえば、制限時間15秒、特典付与タイム10秒と予め設定(若しくは演算によりランダムに決定)しておき、制御手段が、カウント開始後10秒経過したときに、遊戯者による操作入力があったことを検知したら、もう一回、操作手段を操作する権利を付与するという特典を与える(結果としてハンドルを2回、回せることになる)。
この権利は、所定時間内に行使しても良いし、この行使を控えて権利を貯蓄することができる。制御手段の中央演算装置は、この権利の貯蓄を記憶する。この貯蓄された値によって、前記所定の遊戯性の困難度を変えたり、所定役の成立確率を上げたり、後述の貯留槽からメダルフィールドに補充されるメダル枚数を多くしたり、各種の特典を遊戯者側に与えることができる。
前記落下空間は、前記落下空間は第1空間と第2空間からなり、第1空間に落下したメダルは遊戯者側に獲得メダルとして提供され、第2空間に落下したメダルはメダル貯留手段に回収される。第2落下空間の先にはメダルの通過を検出するセンサが設けられている。このセンサがメダル通過数を検出すると、このメダル数は回収メダル数となる。この回収メダル数に基づいて、遊戯者側へのメダルに払い出し率(ペイアウト率)が制御手段によって演算される。補給枚数から回収枚数を減じることによって、間接的に遊戯者側へ供給されたメダル枚数を計算することができる。このペイアウト率によって、前記メダルフィールドに補給されるメダル数が制御される。前記所定遊戯の成立があると、この補給が実行される。ペイアウト率によって、遊戯の成功確率が変えられて、メダルの補給率を変えられる。
第1空間に落下したメダルと景品とが区別される。例えば、メダルと景品の形状が異なる場合、落下通路の断面積を景品の径以下でメダルの径以上にすれば、遊戯者側にメダルと景品が提供される過程で、景品の落下をメダルから区別して検知することができる。景品の落下数を制御手段は積算記憶し、景品のメダルの平均収容枚数をこの積算値に乗じることによって、ペイアウト率を計算することが可能となる。ここで、平均枚数とは、景品の価値をメダル量(枚数)で表したものである。たとえば、カプセル1個をメダル10枚の価値、20枚分の価値、30枚分の価値、40枚分の価値・・・など、設定値を定義しておき、管理者によっていずれの価値に換算されるかを設定する設定手段を本体に設ける。その設定した価値をメモリなどの予め記憶手段に記憶しておくことで、たとえば、景品1個をメダル30枚の価値と設定しておけば、景品の落下を検知したときに、メダル30枚が落下したものとみなしてペイアウト率を計算する。
景品に対するメダル枚数を設定する手段としては、例えば、メダル遊戯装置に設けられた、設定スイッチ(20枚設定スイッチ、30枚設定スイッチなど)がある。その他、制御手段によってメモリに予め設定した設定値を記憶させるようにしても良い。制御手段は設置値に基づいてペイアウト率を演算する。
なお、この目的を達成するために、本発明は、複数のメダルを載置するメダルフィールドと、このメダルフィールド上のメダルをメダルが落下する落下空間の側に押し出す往復動手段と、前記メダルフィールドに遊戯者がメダルを本体に入れる手段と、遊戯者が入れたメダルを前記メダルフィールドに導く手段と、遊戯者が入れたメダルによって実行される所定遊戯を制御する制御手段と、前記落下空間の一部に落下したメダルを遊戯者に供給する手段と、複数の景品を前記メダルフィールド外に貯えておく景品貯留手段と、遊戯者により操作され、前記景品を前記メダルフィールドに供給するための操作手段とを備え、前記制御手段は、所定遊戯の成立に応じて前記操作手段の操作を有効として制御し、前記操作手段が操作された結果前記メダルフィールドに供給された前記景品は、前記往復動手段の往復動作により遊戯者に供給されるよう構成されたメダルゲーム機であることを特徴とするものであってもよい。
前記景品貯留手段は、メダル遊戯機に複数あるゲームフィールドのうち隣接するゲームフィールドに対して共通して設けられている。このために、景品が供給される通路を切り換え可能になっており、通路が向いた方向のメダルフィールド側のメダルフィールドに景品が供給される。通路切替部材がいずれかのメダルフィールド側に景品を供給できるように配置されているかを検知するセンサが設けられている。そのセンサを検知の有無に応じて、通路切替部材は切替機構によって移動可能に構成されているので、その機構を駆動する駆動手段によって景品の払い出し方向が切り替えられる。景品の払い出しを確認するために、景品の通過を検知するセンサが設けられている。操作手段を回し、かつ景品の通過がなければエラーが発生したと制御手段によって判断される。例えば、景品が所定数以下になった結果のエラーであれば、景品が貯留手段に補充される。
前記目的を達成する第2の発明は、複数の遊戯領域が設けられた本体からなり、各領域には複数のメダルを載置するメダルフィールドと、このメダルフィールド上のメダルをメダルが落下する落下空間の側に押し出す往復動手段と、遊戯者がメダルを投入する投入口と、遊戯者が投入したメダルを前記メダルフィールドに導く導入手段と、遊戯者が投入したメダルによって実行される所定遊戯を制御する制御手段と、前記落下空間の一部に落下したメダルを遊戯者に供給する供給手段と、各領域に対応して配置されるよう移動可能に設けられた複数のメダル貯留槽と、前記落下空間の他の一部に落下したメダルを前記貯留槽に回収する回収手段と、所定遊戯の成立に応じて前記貯留槽内のメダルを対応する遊戯領域のメダルフィールドに補給する補給手段が設けられてなるメダル遊戯装置であることを特徴とする。
この発明によれば、このメダルの回収が、貯留槽が移動することによって、サテライト毎に対応して配置された各貯留槽に行われるために、メダルの回収が迅速に行われる。これにより素早い展開の遊戯に対して有効である。さらに、全てのゲームフィールドで一体に行われるメダル遊戯に対して対応可能となる。
各サテライト毎に遊戯者によるメダル遊戯が可能である。したがって、各遊戯者は個別にメダル遊戯を行うことができるし、貯留槽が全てのサテライトに対応して存在しているために、複数の遊戯者間で統一された遊戯を行うことができる。各遊戯はメモリに記憶されたプログラムに応じて制御手段によって区別され、且つ制御される。
複数の貯留槽のそれぞれのメダル数が順にN倍になるように、各貯留槽のメダル数が異なっている。Nは2以上の自然数であり、好適には2である。貯留槽はゲームフィールドに沿って、回転する。例えば、あるサテライトにおいて所定遊戯が成功して、ある枚数のメダルを獲得したとする。こののち、再挑戦プログラムによって、獲得メダル数を賭けて、メダルの倍増挑戦を遊戯者が行うことが可能である。この再挑戦の結果、遊戯者がメダルを用いた所定遊戯に失敗するとメダルの獲得権を失う代わりに、成功すれば倍のメダルを得ることができる。制御手段は、この再挑戦の成功があったときは、このサテライトに倍のメダルが貯蔵された他の貯留槽を到達させ、貯留槽のメダル収容手段を解除することによって、貯留槽内のメダルをこのサテライトのメダルフィールドに一気に補充できるようにした。獲得したメダルをそのまま得るか、獲得メダル数を倍増させるかは遊戯者の選択による。遊戯装置本体にはこの選択手段(例:ボタン)が設けられている。
各サテライトに対応して、落下したメダルを前記貯留槽に回収する手段が存在する。例えば、メダルを遊戯装置本体の上部にある貯留槽まで持ち上げる手段である。この手段としては既述の特許文献に記載のものを用いることができる。遊戯結果に応じて、メダルフィールドに回収手段からメダルを直接補給することができる。一方、貯留槽にメダルを貯蔵するために、回収手段はメダルフィールドにメダルを供給することなく、貯留槽にメダルを供給する。これら2系統の供給路を切り換える手段が、回収手段の途中に設けられている。なお、前記景品貯留手段と操作手段とは、例えば、公知のカプセル自動販売機に用いられる類似機構から構成される。
次に本発明の好適な実施形態について説明する。図1はメダル遊戯機全体を示す正面図であり、図2はその平面図である。メダル遊戯機本体10は正六角形状に構成され、複数(6箇所)のサテライト12が存在する。各サテライトは各遊戯者に対応しており、遊戯者はサテライト毎にメダル遊戯を行う。符号14は本体の上部に位置する演出領域である。サテライトの正面には、遊戯者に臨む遊戯盤16とこの遊戯盤の下端において遊戯者側にせり出したメダルフィールド18が存在する。
符号20は景品を貯留する貯留容器であり、この容器内に複数の景品22が収容されている。符号24はハンドルであり、このハンドルを回転させることによって景品をメダルフィールドに向けて容器から投入できる。符号26はメダルフィールドから落下して遊戯者側にメダルを供給するための受皿である。景品も受皿を介して遊戯者側に提供される。
符号28はメダルフィールドに補給されるメダルを貯留する貯留槽である。この貯留槽は麦酒樽に似た形状を持ち、かつサテライトの数分存在する。本体10はこの貯留槽28を回転させる回転機構を備えている。所定の貯留槽が特定のサテライトに対応して停止される。各貯留槽内のメダル数は、25枚→50枚→100枚→200枚→400枚→800枚である。
貯留槽のロック手段(例:外層昇降手段)が開放されると貯留槽28内のメダルが槽から落下して、入り口が拡がった開口を介して、メダルフィールドまで槽内のメダルを導く経路30を介してメダルフィールドに貯留槽内のメダルが補給される。この経路は落下メダルをじぐざぐに落下させる形状になっている。符号32は遊戯者によって投入されるメダルの投入口であり、ここから投入されたメダルが遊戯盤正面を落下する。32bは遊戯者によって操作される操作ボタンである。遊戯内容を決定する場合等、必要な場合に押下される。
図3はゲームフィールドの正面の遊戯盤である。この遊戯盤には、釘状のもの34が形成されており、メダル投入口32(図1)から投入されたメダルが落下する程でこの釘突起に衝突するため、メダルの落下経路を不規則に変更することができる。符号36は抽選結果を表示するデジタル表示器であり、符号38はスタートチャッカ(入賞口)である。
落下するメダルがこのチャッカを通過すると、制御装置による内部抽選が行われて、抽選結果がデジタル表示器に表示される。このチャッカはメダルの通過を検出するセンサを備えている。
符号40A乃至40Hは、メダルの落下経路の終点付近に設けられたメダルのゲートであり、これは複数、図示する例では8箇所設けられている。各ゲートにはメダルの通過を検知するセンサが42が存在する。ゲートに至ったメダルは、ゲート通過後メダルフィールドに落下して堆積される。符号44はメダルフィールドを構成するテーブルである。このテーブルは弾性手段であるスプリング46によってフラットプレート48に押し付けられている。スラットプレートは、底面が矩形波状に形成され、前記テーブルの底面の隙間にメダルが入り込まないように前記スプリングによって装置の平面に押し付けられている。
符号50は、複数の櫛歯状アクチュエータであり、軸52を中心にして往復小回転する。前記投入口から投入されたメダルが、このアクチュエータに接触することによってメダルの落下方向が不規則に変化させられる。符号は30既述のメダル貯留槽から放出されたメダルを一気にメダルフィールドに供給する通路である。この通路内でメダルが波型突起に接触しながら落下し、メダルフィールドに向かって放出される。この通路はジグザグシュートと呼ばれる。
図4は貯留槽28へのメダルの回収及び貯留槽からメダルフィールドに対するメダルの補給の関係を説明する機構図である。複数の貯留槽は装置本体の中心線を中心に回転し、特定のサテライトに対応した位置に停止して、外ケース54を後述の手段によって上昇させると槽内にメダルがメダル放出口56に放出される。この放出口はロート状に末広がりに形成されている。放出されたメダルはこの放出口に全部投入される。メダルは前記じぐざぐシュート30をじぐざぐ運動しながら落下してメダルフィールド内に補給される。図1から分かるように、じぐざぐシュート30は遊戯盤の左右の両端部にそれぞれ設けている。
符号60は第2の落下空間に連結したシュートであり、このシュート内に落下したメダルはカウントホッパ62を介して払い出しホッパ64にまで至る。払い出しホッパ内のメダルはメダルをリフト装置66によってメダル振り分けメカ68(振り分け手段)まで汲み上げられる。メダル振り分けメカは払い出しホッパ64内のメダルを貯留槽28まで導くものであるが、その途中にはメダルの落下孔70とこの落下孔を開閉するソレノイド72(開閉手段)が設けられている。メダルの落下孔がソレノイドによって閉鎖されている場合には、メダルは貯留槽28内に向けて移動する。一方、この落下孔70が開放されている場合には、メダルは落下孔70からメダル搬送シュート74を介してメダル放出口56に落下する。後述の制御部は、スロットルの抽選結果(所定遊戯の成立)によって前記ソレノイドを制御して落下孔の閉鎖及び開放を制御する。メダルが落下孔を介して放出口に落下するか、貯留層からメダルが放出口に落下するかは遊戯結果による。メダル振り分けメカの基端部にはメダルの通過を検知するセンサがある。このセンサ出力によって放出口に放出されたメダル数及び貯留槽内に供給されたメダル数を制御部はモニタしている。
カウントホッパ62は払い出しホッパ64に送られるメダル数を検出するセンサを備えている。このセンサによって検出されたメダル数が積算記憶され、この数値を用いることにより遊戯者側に獲得されたメダル数(又はペイアウト率)が間接的にマイクロコンピュータによって演算される。カウントホッパはメダルフィールドの両サイドに位置する第2空間(落下孔)からこぼれたメダルを回収する。
符号80は前記メダルフィールドの正面にある第1空間(獲得メダル用落下孔)にこぼれたメダルを遊戯者に提供するためのシュートである。このシュート内を落下してメダルが受皿26に到達する。なお、前記景品としてのカプセルもこのシュートを落下して受皿に到着する。なお、第1空間に臨む落下孔にはカプセルが落下しないようになっている。
前記払い出しホッパ64内にはニアエンプティセンサ82が設けられている。ホッパ内のメダルが少なくなると、このセンサが反応しこのホッパ内のメダルを前記貯留槽28に積み込まないように、メダルの昇降装置66が駆動することを制限する。不足分のメダル数は異なるサテライトのホッパからメダルが不足した貯留槽に積み込むようにする。メダル数が少なくなると、メダルフィールドに払い出すべきメダルが不足する不具合を防止する。なお、符号81はキャッシュボックスであり、払い出しホッパから溢れたメダルを貯えておくものである。
図5は貯留槽をさらに詳しく説明するための機構図である。符号90と符号92はそれぞれ前記貯留槽を遊戯本体の中心回りに回転させるための、回転プーリとモータである。貯留槽は外槽96と内層98とから構成され、外層が外層昇降手段100によって持ち上げられると、内層98が露出して内層98と外層96との間に収納されていたメダルが内層の傾斜面102に沿って落下し、前記受け入れ口56(図4)からじぐざぐシュート30内に投入される。符号101は外層96が下がりきった位置にあることを検出するセンサである。外層が下がりきっていない状態でメダル貯留槽28を回転させると外層が他部品と緩衝して損傷する可能性がある。
図6は貯留槽の昇降メカの機構図であり、(1)はその正面図であり、(2)はその側面図である。この昇降メカは突起104を備え、この突起が外層背面の受部176(図5)に当接する。この突起はピニオンギヤ108とラックギア110とモータによって遊戯装置に沿って上下動する。
符号112はセンサプレートであり、符号114はこのセンサプレートに反応する第1センサであり、符号116は第2センサである。第1センサは前記突起が下端にあることを検知し、第2センサは前記突起が上端にあることを検知する。制御手段が、第2センサが反応するまで突起を上昇させると、メダル貯留槽の外層が持ち上げられたことになる。一方、制御手段が、第1センサが反応するまで突起を下降させると、メダル貯留槽の外層と内層との間が閉じられたことになる。突起が第2センサの位置で貯留槽内からメダルの放出が行われ、第1センサの位置で貯留槽内にメダルの補充が行われる。
図7は景品貯留装置の斜視図である。この景品貯留装置は、本体ケース120と、本体ケース内の景品貯留空間122と、この空間の下端にある景品の搬送円盤124と、この搬送円盤を回転させるハンドル126と、ハンドルの回転を搬送円盤にまで伝達する伝達ギヤ128とを備えている。円盤には複数の球状の切欠き130があり、この切欠き内に景品であるカプセルを載せ置く事ができる。符号132はカプセルの払い出し方向変更シュートである。このシュートは前記円盤の切欠きの一つに面しており、切欠きに対面するとカプセルがシュートに落下する。シュートは隣接するサテライトのいずれかに向いており、向いている方向のサテライトの開口134からサテライト内にカプセルが投入される。
図8はこの方向変更シュートの詳細図である。符号136は払い出し変更シュートの回転モータである。このモータを回転させることによってシュートが向いている方向を設定する。符号138はシュートの方向を検出するポジションセンサであり、このセンサは左右用に二つ設けられている。シュートは左右の何れかの向きを取るようになっている。符号140は前記円盤124(図8)からシュート132へカプセルが落下したことを検出するセンサである。
図9はハンドル126(図7)の詳細機構図である。このハンドルは正逆回転保護機構を備えており、正転のみするように構成されている。符号142は逆転防止リミッタである。符号144はハンドルの定位置を検出する定位置センサである。符号146はハンドルに対する電磁ブレーキである。制御手段は前記スロットルにおいて所定役が揃った場合にこの電磁ブレーキを解除して、ハンドルの回転を許容する。ハンドルが回転するとその回転が伝達ギヤ148を介してカプセル搬送ディスク124に伝達される。ハンドルが回転されたことはハンドル定位置用センサによって検出される。
図10はメダルフィールド18を往復動するプッシャの動作機構を説明する平面図である。符号160はプッシャであり、モータ162の回転によって伝達腕164が往復動する。この伝達腕の往復動によって伝達腕と連結される往復動プレート166がメダルフィールドを往復する。このメダルフィールドには装置本体の上部に向かった突起168が複数設けられている。往復動プレートがメダルフィールドを往復動すると、複数のメダルが堆積して出来た山を適当に崩れ、その結果メダルがメダルフィールド18の遊戯者側にある開口に落下する。
符号170はモータの回転位置を検出するセンサである。このセンサによってテーブルがメダルフィールドに対してどのような位置にあるかが分かる。例えば、制御手段はテーブルが遊戯者に対して最も後退した位置にあるときにカプセルがメダルフィールドに投入されるように前記振り分け装置132にシャッターを設けても良い。このようにすることにより、カプセルがテーブルのコーナに当って破損することを防止できる。
図11は遊戯者側の受皿26(図1)に連結するシュート180の透視図である。このシュートはメダルフィールドから落下したメダル及びカプセル22を振り分けて、カプセルの通過数を検出可能に構成されている。このシュートはY字型になっており、終端においてメダルは仕切り板182を通過して、終端外の受皿26に到達する。カプセルは仕切り板を通過できず、仕切り板の傾斜に応じて横方向の開口186を介して遊戯者側の受皿に到達する。符号188はカプセルカウントセンサであり、アクチュエータ付きの光学センサから構成される。カプセルがアクチュエータ190に接触すると、アクチュエータがカプセルに沿って押され光学センサがONし、カプセルの通過が光学的に検知される。この検出結果は制御手段に記憶される。カプセルの通過の累積数とカプセル内のメダルの平均収容枚数を乗じることによって遊戯者側へ提供されたメダル数を演算できる。この演算は制御手段によって行われても良いし、人によって行われても良い。カプセル内のメダルの平均収容枚数はメダル遊戯装置の管理者によって適宜設定され、メイン制御部のメモリ内に予め設定記憶される。
図12は遊戯装置の制御ブロック図であり、既述の制御手段を構成するために、マイクロコンピュータ等によって構成される。
制御システムは、複数のサテライトを統括制御するメイン制御部200と、各サテライトを制御するサテライト制御部202からなる。サテライト制御部はサテライト毎に設けられている。各サテライト制御部はメイン制御部によって統括制御される。
メイン制御部はI/Oインターフェース204を介して、複数のメダル貯留槽を回転させるモータ206と、メダル貯留槽の外層を昇降させる突起を上下させるモータ208とに制御信号を演算して出力する。メイン制御部はまた、メダル遊戯装置の各種遊戯プログラムを実行して、この実行結果に基づいて前記モータを制御し、或いは各サテライト制御部を制御する。モータの回転位置はエンコーダによって常時監視される。
次に各サテライト制御部の構成について説明する。各サテライト制御部は、I/O220を介して各サテライトのデジタル表示パネル部222の制御を実行する。メダルのゲートの8つのセンサ出力224とスタートチャッカのセンサ出力226は各サテライト制御部202に入力されている。メダル投入口から投入されたメダルのセンサ出力228及びカプセルがシュートから払い出されたことを検出するセンサ出力231 は各サテライト制御部に入力されている。メイン制御部と各サテライト制御部は通信によって接続されており、各サテライト制御部はメイン制御部の制御指令を受けて各サテライトの払い出しホッパ64(図4)を制御する(230)。各サテライト制御部又はメイン制御部はメダルのカウント値及びカプセルのカウント値からペイアウト率を演算する(230)。
各サテライト制御部から制御信号がI/O232を介してカプセル払い出しメカの電磁ブレーキ234に出力される。さらに制御信号がカプセル払い出し方向変更シュートを回転させるモータ236に出力される。方向シュートの位置センサの出力238は各サテライト制御部に入力されている。方向シュート内のカプセルの通過を検出するセンサ240及びハンドルの位置センサ242の出力も各サテライト制御部に供給されている。なお、サテライト制御部は隣接する二つのサテライトで共有されている。カプセル貯留装置は隣接するサテライトで共有されているので、隣接する遊戯者間でカプセルの払い出しに関して競争心理が働き、遊戯性が改善される。
次にカプセルの払い出しの動作について説明する。図13はこの過程を示すフローチャートである。各サテライトにおいてメダル遊戯がスタートすると、サテライト制御部は、メダルの投入を検出し(S10)、次いでセンターチャッカにメダルが入ったか否かをセンサ出力から判断する(S12)。メダルの通過が許容された場合には、内部抽選を遊戯プログラムによって実行する(S14)。
カプセル当り(所定の役)の成立があったか否かがサテライト制御部において判断され、カプセル当りが判定されると、カプセルの払い出し制御が実行される。この制御は各サテライト制御部によって行われる。
サテライト制御部がカプセル当りの役の成立を検出すると、カプセル当りをしたサテライトに切換シュートが向いているかをセンサ出力から判定する。これが肯定された場合にはカプセルが払い出されるまで電磁ブレーキを解除状態に制御し(S18)、ハンドルの回転を許容する。これが否定された場合には、対応するサテライトの方向に切換シュートを回転させる(S20)。
次いで、サテライト制御部はハンドル位置センサからハンドルが回転されたか否かを判定し(S22)、これが肯定された場合には、切換シュートにカプセルが投入されたか否かをセンサ出力に基づいて判定する(S24)。この判定が許容された場合には、カプセルがメダルフィールドに放出されたことになるので、この処理ルーチンを終了してリターンする。次いで、前記S22において否定判定されると、所定時間経過が判定され(S26)、所定時間経過後電磁ブレーキをONして(S28)リターンする。これにより、カプセルの獲得権が失効する。
S24においてカプセルの放出が行われないときには、ハンドルの位置センサからハンドルの回転累積値を検討し、これが所定回数未満の場合にはS24にリターンする。この値が所定値に至った場合には、景品貯留槽内の景品が空になったか、或いはカプセルの搬送機構に弊害が起きたものとしてエラー表示(サービス要求表示)をする(S30)。この後ハンドルをロックし(S32)、リターンする。
遊戯者の側に供給された景品数はシュート内のセンサ(図11の188)から検出できる。各サテライト制御部はこの景品数に応じて遊戯者に特典を与える。景品が遊戯者に獲得される都度、特典ゲームに挑戦する権利が与えられるようにしてもよい。この権利は直ちに行使しても良いし、これを貯蓄することもできる。貯蓄された権利数に応じて、特典ゲームの内容が変更される。権利数が多いほど、特典ゲームにおいて当選する確率が高くなり、獲得メダル数も多くなる。当選する確率とは、内部抽選の確率であり、すなわちスロット抽選における特定役の成立確率である。
次に、貯留槽からメダルフィールドへのメダルの払い出しについて説明する。サテライト制御部はメダルがセンターチャッカを通過したことを検知して、内部抽選を行い所定の役が揃うとこれをデジタル表示部に表示する。所定役が貯留槽からサテライトへメダルを投入することに対応する役の場合には、メイン制御部は、サテライト制御部の役成立フラグを受けて、対応枚数を貯留する貯留槽を当該サテライトまで移動させる。次いで、貯留槽の外槽を持ち上げて、貯留槽内のメダルをサテライトのメダルフィールドに放出する。
次いで、サテライト制御部は、このサテライトのメダルホッパを駆動させて、貯留槽内に規定枚数のメダルをカウントしながら補充する。このサテライトのメダルホッパのエンプティセンサからの制御信号をサテライト制御部が受信すると、貯留槽へのメダルの補充を停止する。サテライト制御部からのメダル不足信号をメイン制御部が受信すると、他のサテライト、例えば隣接するサテライトに貯留槽を移動させて不足する枚数のメダルをこのサテライトの制御部がカウントしながら補充する。