JP4734976B2 - エレベータの乗場装置及びその輸送方法 - Google Patents

エレベータの乗場装置及びその輸送方法

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この発明は、ビル火災発生時に用いられる遮煙・遮炎スクリーンが組み込まれたエレベータの乗場三方枠を工場で組立てて据付現場に搬入するエレベータの乗場装置及びその輸送方法に関するものである。
従来、乗場三方枠正面上部の幕板の背面側に遮煙・遮炎スクリーンが組み込まれたエレベータの乗場装置は、例えば、図1、図7及び図8に示すような構造である。図1はエレベータの乗場装置を示す乗場側の正面図、図7は従来のエレベータの乗場装置を示す図1のA−A線に沿った断面図、図8は従来のエレベータの乗場装置を示す図1のB−B線に沿った断面図である。
図において、1は乗場出入口、2は乗場の戸、3は乗場出入口を形成する乗場三方枠、3aは乗場三方枠の左右両側部を構成する縦枠、3bは乗場三方枠の正面上方部を構成する幕板、3cは乗場三方枠の上側水平部を構成する上枠、4は幕板3bの背面側でかつ上枠3cの上面側に設置された箱状のスクリーンケース、6は常時はスクリーンケース4内で収納状態に巻き取られている遮煙・遮炎スクリーンで、ビル火災時にはスクリーンケース4から引き下げられて乗場出入口1を閉鎖する。7は縦枠3aに設けられた遮煙・遮炎スクリーン6を昇降案内する昇降溝、8は遮煙・遮炎スクリーン6の下端部に取り付けられたスクリーン錘で、遮煙・遮炎スクリーン6の下端部を両面から挟み込むスクリーン座板8aにより構成される。9は乗場三方枠3を工場で組立てて据付現場に搬入する際、スクリーン錘8と上枠3cに形成されたスクリーンが挿通するスクリーン挿通穴の周縁部との間に設けられた緩衝材である。
以上のように構成された従来の遮煙・遮炎スクリーン組込型の乗場三方枠3を工場出荷して据付現場まで輸送する際に種々の問題が発生する。例えば、輸送中に緩衝材9が外れてスクリーン錘8がフリー状態となって、スクリーンの破れや、スクリーン錘の変形、傷付きの不具合が発生し、製品コストが嵩む。また、工場組付け時に乗場三方枠3の幕板3b及び上枠3cの意匠面で固定している為、意匠面を傷付けたりして工作性が悪い。更に、工場組付け時、乗場装置を横に倒して水平状態に置くために、スクリーン錘8の中央部の自重による変形(撓み)が発生し、スクリーンケース4の下面にスクリーン錘8の取っ手を取り付ける作業に時間が掛り、工作性が悪い。
また、他の従来技術としては、遮炎・遮煙シャッターが火災発生時に乗場の開口部を閉鎖する機能を阻害することなく、エレベータ利用者の視界から遮炎・遮煙シャッターを隠すことができるエレベータ乗場装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。更に、工場で一体的に組立てられてユニット化されるエレベータの乗場装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2004−51257号公報 特開平10−310354号公報
従来のエレベータの乗場装置では、遮煙・遮炎スクリーン組込型の乗場三方枠を工場出荷して据付現場まで輸送する際、輸送中に緩衝材が外れてスクリーン錘がフリー状態となり、スクリーンの破れや、スクリーン錘の変形、傷付きの不具合が発生し、製品コストが嵩む。また、工場組付け時に乗場三方枠の幕板及び上枠の意匠面を傷付けたりして工作性が悪い。更に、工場組付け時、乗場装置を横に倒して水平状態に置くために、スクリーン錘の中央部の自重による変形(撓み)が発生し、スクリーンケースの下面にスクリーン錘の取っ手を取り付ける作業に時間が掛り、工作性が悪いという問題があった。
また、従来技術のエレベータ乗場装置では、塞ぎ板が利用者の視界から錘を隠し、第三者のイタズラを防止するものであり、据付前の輸送を考慮したものではない。更に、他の従来技術のエレベータの乗場装置は、ハンガーケースと敷居を固定金具により連結し、三方枠を強度部材として使用するものであり、遮煙・遮炎スクリーン組込型の乗場三方枠を対象にしたものではない。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、輸送中に緩衝材が外れてスクリーン錘がフリー状態とならず、スクリーンの破れやスクリーン錘の変形、傷付き等の不具合を解消するようにしたエレベータの乗場装置及びその輸送方法を提供することを目的とする。
この発明に係るエレベータの乗場装置は、左右両側部を構成する縦枠、正面上方部を構成する幕板及び上側水平部を構成する上枠からなる乗場出入口を形成する乗場三方枠と、
幕板の背面側でかつ上枠の上面側に設置され、火災時に収納状態から引き下げられて乗場出入口を閉鎖する遮煙・遮炎スクリーンが収納された遮煙・遮炎スクリーン装置と、遮煙・遮炎スクリーンの下端部に設けられたスクリーン錘と、スクリーン錘の上端部に上方に延びるように設けられ、乗場三方枠を組付けて輸送する時に遮煙・遮炎スクリーン装置の下面に上端部を着脱自在に固定される取っ手と、幕板の背面でかつ上枠と遮煙・遮炎スクリーン装置との間に位置するように設置され、乗場三方枠を組付けて輸送する時にスクリーン錘との間に緩衝材を挿入可能な隙間を形成する当て板とを備えたものである。
また、この発明に係るエレベータの乗場装置の輸送方法は、乗場三方枠の縦板、幕板及び上枠を組付けた後、当て板を設置位置に固定するステップと、遮煙・遮炎スクリーン装置を設置固定するステップと、乗場三方枠の輸送時に、遮煙・遮炎スクリーンを全開放位置にした状態で遮煙・遮炎スクリーン装置の下面にスクリーン錘の取っ手の上端部を固定するとともに、スクリーン錘と当て板との間に形成される隙間に緩衝材を挿入固定するステップとを備えたものである。
この発明によれば、輸送中に緩衝材が外れてスクリーン錘がフリー状態とならないので、スクリーンの破れやスクリーン錘の変形、傷付き等の不具合を安価に解消することができる。
実施の形態1.
図1はエレベータの乗場装置を示す乗場側の正面図、図2はこの発明の実施の形態1におけるエレベータの乗場装置を示す図1のA−A線に沿った断面図を更に90度横に倒した図、図3はこの発明の実施の形態1におけるエレベータの乗場装置の上部構造を背面側から見た上部背面図である。
図において、1は乗場出入口、2は乗場の戸、3は乗場出入口1を形成する乗場三方枠、3aは乗場三方枠の左右両側部を構成する縦枠、3bは乗場三方枠の正面上方部を構成する幕板、3cは乗場三方枠の上側水平部を構成する上枠、4は幕板3bの背面側でかつ上枠3cの上面側に設置された箱状のスクリーンケース、6は常時はスクリーンケース4内で収納状態に巻き取られている遮煙・遮炎スクリーンで、ビル火災時にはスクリーンケース4から引き下げられ、上枠3cに形成されたスクリーン挿通穴を挿通して乗場出入口1を閉鎖する。7は縦枠3aに設けられた遮煙・遮炎スクリーン6を昇降案内する昇降溝、10は遮煙・遮炎スクリーン6の下端部に取り付けられたスクリーン錘で、遮煙・遮炎スクリーン6の下端部を両面から挟み込むスクリーン座板10aにより構成される。10bはスクリーン錘10を構成するスクリーン座板10aの上端部中央に上方へ延びるように設けられたL字状の取っ手、11は乗場三方枠3を工場で組立てて据付現場に搬入する際、スクリーン錘10のL字状取っ手10bの上端水平部をスクリーンケース4の下面に固定するためのネジ、12は幕板3bの背面と昇降溝7との間でかつ上枠3cの上面とスクリーンケース9の下面との間に位置するように設置された当て板である。この当て板12は、遮煙・遮炎スクリーン6が乗場出入口1を閉鎖する時に延伸する方向に沿って配設されて当て板の役目を果たすとともに、上枠3cとスクリーンケース4を連結して上枠3cの補強材としての役目を果たし、併せて上枠3c裏面を二重構造として防火性を高めている。13は乗場三方枠3を工場で組立てて据付現場に搬入する際、スクリーン錘10と当て板12との間に設けられた緩衝材である。
以上のように構成された乗場三方枠3は縦枠3a、幕板3b及び上枠3cを組付けた後、当て板12を幕板3bの背面と昇降溝7との間でかつ上枠3cの上面側に固定し、次にスクリーン錘10、遮煙・遮炎スクリーン6を昇降溝7に通し、スクリーンケース4を乗場三方枠3に固定する。この状態で遮煙・遮炎スクリーン6を全開放可能な位置、すなわち、スクリーンケース4の下面にスクリーン錘10のL字状取っ手10bの上端水平部を当接させた状態で、ネジ11によりスクリーンケース4の下面に固定する。取っ手10bは、スクリーン錘10を構成するスクリーン座板10aの上端部中央に上方へ延びるように設けたが、両側部、両側部と中央部を含む三箇所、或いは出入口の全幅に連続して設けてもよい。最後に、当て板12の両側部とスクリーン錘10との間の隙間に緩衝材13を挿入し固定してから工場より出荷する。
このような出荷方法により、スクリーンケース4とスクリーン錘10が取っ手10bの上端水平部により機械的に固定されている為、従来のように輸送中に緩衝材13が外れてスクリーン錘10がフリー状態になることがない。したがって、スクリーンの破れやスクリーン錘の変形、傷付き等の不具合がなくなり、製品コストが安価になる。また、工場組付け時に乗場三方枠の幕板、上枠への緩衝材によるスクリーン錘の固定を廃止したので、乗場三方枠の意匠面への傷もなくなり、工作性が向上する。また、乗場三方枠が輸送される時に、図2に示すように、横に倒された状態になることがあるが、その時スクリーン錘10の自重は、緩衝材13を介して当て板12で受けることが可能となる。
したがって、この実施の形態1によるエレベータの乗場装置では、輸送中に緩衝材が外れてスクリーン錘がフリー状態とならず、スクリーンの破れやスクリーン錘の変形、傷付き等の不具合を安価に解消することができる。
実施の形態2.
図4はこの発明の実施の形態2におけるエレベータの乗場装置を示す図1のA−A線に沿った断面図、図5はこの発明の実施の形態2におけるエレベータの乗場装置の上部構造を背面側から見た上部背面図、図6はこの発明の実施の形態2におけるエレベータの乗場装置のガイド板部分を示す拡大図である。
この実施の形態2では、上記実施の形態1と同一又は相当部分に同一符号を付して説明を省略する。14は当て板12の昇降溝7側に固定されたガイド板である。このガイド板14の当て板12への固定は、実施の形態1で説明したスクリーン組込み後、スクリーン錘10の下方において、ネジ15により固定する。
このような出荷方法により、ガイド板14を設けたので、工場組付け時或いは輸送時に乗場三方枠3を横に倒した状態にしても、スクリーン錘10の全長近くまで渡ってガイド板14がスクリーン錘10の重量を受けるので、スクリーン錘10中央部の自重による変形もなくなる。また、ガイド板14により、当て板12とスクリーン錘10との位置が定まり、取っ手10bをネジ11で締め付ける時の位置決めとなるので、スクリーンケースの下面へのスクリーン錘の取り付けが容易となる。また、ガイド板14が緩衝材13の差込ストッパーとなるため、工作性が向上するとともに、緩衝材13の輸送中のずれも少ない。
したがって、実施の形態2によれば、工場組付け時或いは輸送時に乗場三方枠を横に倒した状態にしても、スクリーン錘中央部の自重による変形もなくなる。また、スクリーンケースの下面へのスクリーン錘の取り付けが容易となる。また、工作性が向上するとともに、緩衝材の輸送中のずれも少なくなる。
エレベータの乗場装置を示す乗場側の正面図である。 この発明の実施の形態1におけるエレベータの乗場装置を示す図1のA−A線に沿った断面図を更に90度横に倒した図である。 この発明の実施の形態1におけるエレベータの乗場装置の上部構造を背面側から見た上部背面図である。 この発明の実施の形態2におけるエレベータの乗場装置を示す図1のA−A線に沿った断面図である。 この発明の実施の形態2におけるエレベータの乗場装置の上部構造を背面側から見た上部背面図である。 この発明の実施の形態2におけるエレベータの乗場装置のガイド板部分を示す拡大図である。 従来のエレベータの乗場装置を示す図1のA−A線に沿った断面図である。 従来のエレベータの乗場装置を示す図1のB−B線に沿った断面図である。
符号の説明
1 乗場出入口
2 乗場の戸
3 乗場三方枠
3a 縦枠
3b 幕板
3c 上枠
4 スクリ−ンケース
6 遮煙・遮炎スクリーン
7 昇降溝
8、10 スクリーン錘
8a、10a スクリーン座板
9、13 緩衝材
10b 取っ手
11、15 ネジ
12 当て板
14 ガイド板

Claims (4)

  1. 左右両側部を構成する縦枠、正面上方部を構成する幕板及び上側水平部を構成する上枠からなる乗場出入口を形成する乗場三方枠と、
    前記幕板の背面側でかつ前記上枠の上面側に設置され、火災時に収納状態から引き下げられて前記乗場出入口を閉鎖する遮煙・遮炎スクリーンが収納された遮煙・遮炎スクリーン装置と、
    前記遮煙・遮炎スクリーンの下端部に設けられたスクリーン錘と、
    前記スクリーン錘の上端部に上方に延びるように設けられ、前記乗場三方枠を組付けて輸送する時に前記遮煙・遮炎スクリーン装置の下面に上端部を着脱自在に固定される取っ手と、
    前記幕板の背面でかつ前記上枠と前記遮煙・遮炎スクリーン装置との間に位置するように設置され、前記乗場三方枠を組付けて輸送する時に前記スクリーン錘との間に緩衝材を挿入可能な隙間を形成する当て板と、
    を備えたことを特徴とするエレベータの乗場装置。
  2. 当て板のスクリーン錘側に固定されるガイド板を更に備え、前記ガイド板の前記当て板への固定は、乗場三方枠を組付けて輸送する時に前記スクリーン錘の下方において固定されることを特徴とする請求項記載のエレベータの乗場装置。
  3. 左右両側部を構成する縦枠、正面上方部を構成する幕板及び上側水平部を構成する上枠からなる乗場出入口を形成する乗場三方枠と、前記幕板の背面側でかつ前記上枠の上面側に設置され、火災時に収納状態から引き下げられて前記乗場出入口を閉鎖する遮煙・遮炎スクリーンが収納された遮煙・遮炎スクリーン装置と、前記遮煙・遮炎スクリーンの下端部に設けられたスクリーン錘と、前記スクリーン錘の上端部に上方に延びるように設けられた取っ手と、前記幕板の背面でかつ前記上枠と前記遮煙・遮炎スクリーン装置との間に位置するように設置された当て板とを備えたエレベータの乗場装置であって、
    前記乗場三方枠の縦板、幕板及び上枠を組付けた後、前記当て板を前記設置位置に固定するステップと、
    前記遮煙・遮炎スクリーン装置を設置固定するステップと、
    前記乗場三方枠の輸送時に、前記遮煙・遮炎スクリーンを全開放位置にした状態で前記遮煙・遮炎スクリーン装置の下面にスクリーン錘の取っ手の上端部を固定するとともに、前記スクリーン錘と前記当て板との間に形成される隙間に緩衝材を挿入固定するステップと、
    を備えたことを特徴とするエレベータの乗場装置の輸送方法。
  4. 左右両側部を構成する縦枠、正面上方部を構成する幕板及び上側水平部を構成する上枠からなる乗場出入口を形成する乗場三方枠と、前記幕板の背面側でかつ前記上枠の上面側に設置され、火災時に収納状態から引き下げられて前記乗場出入口を閉鎖する遮煙・遮炎スクリーンが収納された遮煙・遮炎スクリーン装置と、前記遮煙・遮炎スクリーンの下端部に設けられたスクリーン錘と、前記スクリーン錘の上端部に上方に延びるように設けられた取っ手と、前記幕板の背面でかつ前記上枠と前記遮煙・遮炎スクリーン装置との間に位置するように設置された当て板と、前記当て板のスクリーン錘側に固定されるガイド板とを備えたエレベータの乗場装置であって、
    前記乗場三方枠の縦板、幕板及び上枠を組付けた後、前記当て板を前記設置位置に固定するステップと、
    前記遮煙・遮炎スクリーン装置を設置固定するステップと、
    前記乗場三方枠の輸送時に、前記遮煙・遮炎スクリーンを全開放位置にした状態で前記遮煙・遮炎スクリーン装置の下面にスクリーン錘の取っ手の上端部を固定し、前記スクリーン錘の下方で前記ガイド板を前記当て板に固定し、更に前記スクリーン錘と前記当て板との間に形成される隙間に緩衝材を挿入固定するステップと、
    を備えたことを特徴とするエレベータの乗場装置の輸送方法。
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