JP4734499B2 - 弾球遊技機 - Google Patents
弾球遊技機Info
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は弾球遊技機の、逐次変化する遊技状態等を記憶するRAMのクリア処理に関する。
【0002】
【従来の技術】
弾球遊技機は、遊技客の操作で発射された遊技球が遊技盤の盤面上に設けられた入賞口に入ると賞球として遊技球を払い出す遊技機で、パチンコ遊技機が広く普及している。遊技球は、例えばパチンコ遊技機に隣接して付設された貸し球ユニットの挿入口に現金やプリペイドカードを挿入すると、貸し球としての所定数の遊技球が遊技球を容れる遊技球皿に払い出される。また、賞球は入賞口の種類や遊技の進行状態に応じて定められた個数が払い出される。
【0003】
今日の弾球遊技機は、ワンチップマイコン等によるCPUを中心に構成された制御手段としての通常複数の制御用の基板が、遊技の進行や遊技球の払い出し等を司る各種の被制御対象を制御するようにしたものが一般的であり、従来に増して、より娯楽性が付加されて遊技の進行が複雑かつ高度化している。例えば特別図柄の表示や確率変動として知られているように、遊技は遊技環境がダイナミックに変化しながら進行する。
【0004】
また、遊技球の払い出しは、センサが通過した遊技球を1つずつ検出し、遊技球の未払い数を減算更新しながら、遊技球の払い出しが決められた数だけなされるようになっている。
【0005】
このため、上記CPUの制御プログラムの作業領域としてのRAMには遊技状態や未払いの賞球個数等、種々のデータが格納されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、弾球遊技機の中には上記RAMの内容をクリアするクリアスイッチを備えたものがある。かかるRAMクリア処理が必要になる場合としては、パチンコ店において、パチンコ遊技機の管理上の要請から、例えば朝の開店時にパチンコ遊技機を前日の状態から連続していない状態にしておくべく、パチンコ遊技機の状態を初期状態に復することが必要になる場合が考えられる。また、制御用のCPUが暴走した場合に、RAMに異常値が書き込まれた状態から回復することが必要になる場合が考えられる。また、パチンコ遊技機を工場から出荷するに際し、確実にパチンコ遊技機の状態を初期状態としておくのが望ましいという要請も考えられる。
【0007】
しかしながら、単純にRAMをクリアするだけでは、かかる要請に応えることはできても、上記のごとく制御内容が複雑、高度化しているので、故障等のトラブル発生時に適正に対処できるとは限らない。
【0008】
また、RAMには上記のごとく複雑な遊技状態の詳細を規定するデータが格納されており、RAMの記憶内容をクリアする機能を付加すると、誤ってそのスイッチ操作をしてしまった時の結果が重大であることから、パチンコ店の従業員が点検その他の作業をする際に従業員に過度の注意負担を強いることになる。
【0009】
本発明は上記実情に鑑みなされたもので、故障等のトラブル発生時に適正に対処でき、かつ、RAMクリアスイッチを操作する者の誤操作を防止することのできる弾球遊技機を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、遊技制御プログラムの作業領域としてのRAMを備え被制御対象の作動を制御する制御手段と、上記RAMをクリアする時に操作されるクリアスイッチとを備え、電源投入時に上記クリアスイッチが操作されていれば上記RAMをクリアする弾球遊技機において、
上記制御手段として遊技の進行全体を司る主制御基板、及び上記制御手段としての入賞に応じた賞球の払出し制御を行う払出制御基板と、
ランプの点灯制御を行うランプ制御基板と、
上記主制御基板、払出制御基板及びランプ制御基板に電源を供給する電源基板と、を有し、
該電源基板はバックアップ電源生成回路から上記主制御基板及び払出制御基板に停電時に上記RAMの記憶を保持するバックアップ電源を供給し、
上記払出制御基板のCPUは、電源投入時のみに上記ROMに記憶されたプログラムに従ってセキュリティチェックを行い、該セキュリティチェック終了後であって上記遊技制御プログラムにより実行される通常時の処理の前に上記クリアスイッチが操作されているか否かを判断し、該判断の結果により上記RAMをクリアすべきと判断すれば初期状態から起動し、クリアすべきでないと判断すれば電源遮断前の状態から再開し、
一方、上記主制御基板のCPUは、電源投入時のみに上記ROMに記憶されたプログラムに従ってセキュリティチェックを行い、該セキュリティチェック終了後であって上記遊技制御プログラムにより実行される通常時の処理の前に上記クリアスイッチが操作されているか否かを判断し、該判断の結果により上記RAMをクリアすべきと判断すれば初期状態から起動し、クリアすべきでないと判断すれば電源遮断前の状態から再開し、更に、上記初期状態から起動するときには上記RAMをクリアしたことを報知する初期装飾を表示する旨のコマンドデータを上記ランプ制御基板に送信し、
上記主制御基板及び払出制御基板の両CPUは、電源投入時でないときには上記クリアスイッチが操作されているか否かを判断しなく、
上記RAMをクリアすべきとの判断は、上記セキュリティチェック終了後であって上記通常時の処理の前に遊技者が上記クリアスイッチを操作している場合に行われ、
上記RAMをクリアすべきでないとの判断は、上記セキュリティチェック終了後であって上記通常時の処理の前に遊技者が上記クリアスイッチを操作していない場合に行われる構成とする。
【0013】
クリアスイッチが操作されているか否かの判断を、電源投入時に制限することで、クリアスイッチの誤操作を防止することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本発明の好適な実施の形態を図面にしたがって説明する。図1は本発明を適用したパチンコ遊技機の全体を示すもので、本パチンコ遊技機は、後述する遊技盤等の遊技機本体部分を保持する長方形の外枠111と前面枠112とを有し、外枠111の左隣に公知のプリペードカードユニット131が設置されている。前面枠112は、左端上下のヒンジ116a,116bにより外枠111に対し水平方向に回動自在に取り付けられており、メンテナンス時等に上記遊技機本体部分を手前側に出すことが可能である。
【0028】
前面枠112の内側には、前面枠112の高さ方向の上側略2/3の大きさをカバーする金枠113が取り付けられ、金枠113の左側を支軸にして金枠113の内周を縁取るガラス枠114が開閉可能に蝶着される。ガラス枠114には板ガラス115が二重にはめ込まれている。ガラス枠114と金枠113とにガラス枠114の開放を検出するガラス枠開放スイッチ161が取り付けられている。板ガラス115の奥には図示しない遊技盤が収納され、板ガラス115を挟んで遊技者と対向するようになっている。
【0029】
前面枠112の内側にはまた、金枠113の下方にバスタブ状の遊技球皿である上皿121と下皿124とが手前側に突出して設けられている。上皿121は遊技球を容れる凹み部分がやや左側に偏して形成され、凹み非形成の右端部には上面に貸出釦134、精算釦135および残高表示部136が設けられている。残高表示部136には、上記プリペードカードユニット131のカード口132にプリペードカードを挿入するとプリペードカードに記憶された残高が表示され、貸出釦134を押下すると所定数の遊技球の貸出しが実行され、上皿121の側面に開口する払い出し口122から上皿121内に遊技球が払い出される。
【0030】
下皿124は遊技者が上皿球抜きレバー123を操作することにより上皿121と連通自在に構成され、上皿121の遊技球を溢れ球排出口125から下皿124に移動することが可能である。また、下皿124が遊技球で満杯となった時には、下皿球抜きレバー126の操作により下皿124の底面が開口して下皿124の下方に排出可能であり、遊技球を別箱に移すことができる。
【0031】
下皿124の右側には発射ハンドル141が設けられている。発射ハンドル141は、手前側に突出して取り付けられたグリップ部142の外周にリング状のタッチプレート143を同軸に設けてなり、遊技者がタッチプレート143を時計方向に回動すれば、上皿121から供給される遊技球を後述する遊技盤の盤面上に発射することができる。
【0032】
また、前面枠112には、上辺部に確変表示部152と大当たり表示部153とを備えたトップランプ151が設けてあり、前面枠112の右辺部には発射ハンドル141が操作されていることを示すタッチランプ154が設けられている。
【0033】
次に、図2により遊技盤について説明する。遊技盤21の盤面上には、盤面上を略円形に縁取るように盤面に対して垂直に帯状のレール22、23が設けてある。レール22、23は図中左側の一部が二重になっており、発射ハンドル141の操作で遊技球が外側レール23に沿って発射され、レール22、23で囲まれた盤面中央の略円形領域内に入る。この略円形領域の中央の開口部には図柄表示枠24が嵌設され、図柄表示枠24内に特別図柄を表示するLCDパネルユニット641が表示面を手前に向けて設けられる。図柄表示枠24の上部には普通図柄表示部41が設けられ、図柄表示枠24の下部には普通図柄保留表示部42が設けられる。そして、普通図柄表示部41に表示される図柄の変動開始に用いられる普通図柄作動ゲート34が図柄表示枠24の左右に設けられる。
【0034】
図柄表示枠24の下方には、入賞口である第1種始動口としての普通電動役物31と、アタッカー扉33が電動で開閉する大入賞口32とがこの順に設けられる。遊技盤21の盤面上にはまた、その他の各種の入賞口35、36が各所に配置されるとともに、盤面の最下部にはアウト口37が開口している。また盤面には、多数の遊技釘25、風車26、27等が備えられている。
【0035】
遊技盤21の盤面上に発射された遊技球は、上記各入賞口31等に入賞すれば遊技盤21の裏側へと入賞球として取り込まれ、入賞しなければアウト口37からアウト球として取り込まれる。
【0036】
また、遊技盤21の盤面にはその左右両端部にサイドランプ28が設けられ、また、一部の風車27は、色付き透明プラスティック製とするとともに、その背後に図示しないランプを設けて輝くように構成され、さらに、図示しないスピーカから遊技の進行に合わせて音を発生させて、臨場感を高めている。
【0037】
図3によりパチンコ遊技機の裏側の構成について説明する。上述の遊技盤21には、その裏面に沿って機構盤51が脱着可能に設けてある。機構盤51には、上部に球タンク52が設けられ、遊技球がタンクレール53、カーブレール54を介して貸球払い出し装置55と賞球払い出し装置56とにそれぞれ供給可能となっている。貸球払い出し装置55は内蔵の貸球ソレノイド85が作動すると、賞球払い出し装置56は内蔵の賞球モータ93が作動すると、遊技球の下流への流下が許容され、上皿121へと供給するようになっている。
【0038】
また、遊技盤21や機構盤51には、遊技の進行全体を司る主制御基板61が、また、主制御基板61との一方向通信により本パチンコ遊技機各部を作動せしめる種々のサブ制御基板62、63、642、65、66が取り付けられる。サブ制御基板62〜66には、貸球や賞球の払い出しを制御するもの(以下、適宜、払出制御基板という)62、遊技球の発射を制御するもの(以下、適宜、発射制御基板という)63、LCDパネルユニット641における表示を制御するもの(以下、適宜、図柄制御基板という)642、種々の表示用、演出用のランプの発光を制御するもの(以下、適宜、ランプ制御基板という)65、スピーカの出力音を制御するもの(以下、適宜、音制御基板という)66がある。かかる制御用の基板61〜66の他、本パチンコ遊技機の各部に給電するための電源基板67が設けられている。図柄制御基板642は上記LCDパネルユニット641や図示しない付属ユニットとともにアッセンブリ化され特別図柄表示装置64となっている。また、第1の外部接続端子基板68と第2の外部接続端子基板68aとが設けられており、第1外部接続端子基板68と第2外部接続端子基板68aとは、図示を省略したパチンコ店管理コンピュータに接続され、パチンコ遊技機等の管理をしている。
【0039】
第1外部接続端子基板68は遊技状況の送信手段を備えており、大当たり、特別図柄表示装置64の図柄変動および入賞状況の送信を行っている。第2外部接続端子基板68aは遊技状況を除く当該パチンコ遊技機の動作状況を送信するものであって、ガラス枠114の開放、満杯検出、払出個数、遊技客がタッチプレート143を回動していた時間等が送信され、さらに当該パチンコ遊技機の稼働を停止目的の打ち止め信号を受信するようにもなっている。これら外部接続端子基板68,68aから出力される情報に基づいて、入賞信号、払出信号および満杯信号から停電現象により記憶された入賞情報が当該パチンコ遊技機に記憶されたものと管理コンピュータに記憶されたものとに不一致が生じないように管理している。
【0040】
また、当該パチンコ遊技機より送信されるこれらの種々の情報に基づいて、パチンコ店管理コンピュータは、遊技中におけるベース値管理を行っている。このベース値管理は、例えば設定値40として打ち球数100に対して遊技球を40個、賞球として払い出したかを監視するもので、ベース値が設定値よりも異常に上昇したら、当該パチンコ遊技機に何らかの故障が発生したか又は遊技客の違法行為によりベース値が変化したものと判断し、即座にこれらの事態に対応することができる。この他にも管理コンピュータは、パチンコ遊技機の良否の判定材料となる稼働率の監視および稼働率に対してガラス枠114が何回開放されたかも調査対象となっており、発射ハンドル141の操作中を示すタッチ信号、上皿121の満杯を示す満杯信号およびガラス枠114の開放信号とで、遊技客と店員とのなれ合いによる不正の調査もしている。
【0041】
なお、管理コンピュータの作動に関わる詳細説明は省略する。
【0042】
図4により、上記主制御基板61、サブ制御基板62〜66等により構成される本パチンコ遊技機の電気的構成を説明する。なお、図中には信号の受け渡しを行う所謂中継基板等は記載を省略している。
【0043】
主制御基板61は、遊技制御プログラムを記憶したROMおよび演算等の作業領域として働くRAMを内蔵した8ビットワンチップマイコンを中心とした論理演算回路として構成され、この他に各基板または各種スイッチ類および各種アクチュエータ類との入出力を行うための外部入出力回路も設けられている。
【0044】
主制御基板61に入力するスイッチ類として、第1種始動口スイッチ711、普通図柄作動スイッチ712、役物連続作動スイッチ(以下、単にVスイッチという)713、カウントスイッチ714、複数のその他入賞口スイッチ715、満タンスイッチ716、補給スイッチ717等が設けられている。また、主制御基板61の出力側には、普通役物ソレノイド721、大入賞口ソレノイド722、Vソレノイド723および外部接続端子基板68等が接続されている。
【0045】
第1種始動口スイッチ711は普通電動役物31内に、普通図柄作動スイッチ712は普通図柄作動ゲート34内に設けられ、Vスイッチ713は大入賞口32内の特別装置作動領域(以下、特別領域という)内に、カウントスイッチ714も同じく大入賞口32内に設けられ、その他入賞口スイッチ715は普通電動役物31および大入賞口32以外の各入賞口35、36に設けられ、それぞれの作動ゲート34や入賞口31等を遊技球が通過したことを検知する。ここで、Vスイッチ713は大入賞口32内に入賞した遊技球が特別領域を通過したことを、カウントスイッチ714は大入賞口32内に入賞するすべての遊技球を検出する。
【0046】
満タンスイッチ716は下皿124内に設けられ、下皿124が遊技球で満タン状態になったことを検出する。補給スイッチ717は球タンク52内に設けられ、球タンク52内に遊技球が存在することを検出する。
【0047】
また、賞球センサ94,95は賞球払出装置55内に設けられ、払い出される賞球を1つずつ検出する。主制御基板61では入賞の種類に対応した規定の賞球個数を初期値とする未払い数を、賞球センサ94、95により遊技球が検出されるごとに減算更新し、未払いの賞球個数を監視する。
【0048】
また、主制御基板61の出力側に接続された普通役物ソレノイド721は普通電動役物31の開閉に、大入賞口ソレノイド722はアタッカー扉33の開閉に、Vソレノイド723は大入賞口32内の上記特別領域の開閉に、それぞれ使用される。
【0049】
払出制御基板62はマイクロコンピュータを用いた論理演算回路として構成され、主制御基板61からの指令コマンドに従って入賞があった場合に賞球の払い出しの制御を行うとともに、上記のプリペードカードユニット131およびCR精算表示基板69と双方向通信を行い貸球の払い出しの制御を行う。CR精算表示基板69は上記上皿121内の釦類134、135および残高表示部136形成位置に内蔵され、貸出釦134の押下でオンする貸出スイッチ691、精算釦134の押下でオンする精算スイッチ692および残高表示部136における数値表示用のLED693から構成されている。
【0050】
払出制御基板62の入力側には、上記主制御基板61の他、貸球センサ89、賞球センサ94、95が接続されている。
【0051】
払出制御基板62の出力側には、上記貸球払出装置55に内蔵された上記貸し球ソレノイド85が、賞球払出装置56に内蔵された上記賞球モータ93が接続される。
【0052】
払出制御基板62は、上皿121にある上記貸出釦134が押下されると上記球貸しソレノイド85を作動せしめて遊技球を払い出すとともに、貸出釦134に応じた所定の貸し球数を初期値とする未払い数を、貸球センサ89により遊技球が検出されるごとに減算更新して、未払い数が0になると球貸しソレノイド85を停止する。これにより、遊技球が上記所定の貸し球数だけ払い出し口122から上皿121内に払い出される。
【0053】
払出制御基板62はまた、遊技盤21の上記各入賞口31等に遊技球が入賞すれば、上記賞球モータ93を作動せしめて遊技球を払い出すとともに、入賞口に対応した所定の賞球数を初期値とする未払い数を、賞球センサ94、95により遊技球が検出されるごとに減算更新して、未払い数が0になると賞球モータ93を停止する。これにより、遊技球が上記所定の賞球数だけ払い出し口122から上皿121内に払い出される。
【0054】
発射制御基板63は、遊技者が操作する発射ハンドル141からの回動量に応じて発射モータ761を駆動制御するもので、入力側にはまた、タッチスイッチ751、発射停止スイッチ752が接続される。タッチスイッチ751は発射ハンドル141に内蔵され、遊技者が発射ハンドル141に触れていることを検出する。発射制御基板63は上記タッチスイッチ751がオン状態のときタッチランプ154を点灯させたり、遊技者が発射停止スイッチ752を押下したとき発射を停止させる。
【0055】
上記図柄制御基板642は上記LCDパネルユニット641を駆動制御するもので、上記主制御基板61と同様に8ビットワンチップマイコンを中心とした論理演算回路として構成される。図柄制御基板642は、上述のようにバックライトやインバータ基板等の付属ユニット643および上記LCDパネルユニット641とともに特別図柄表示装置64を構成する。
【0056】
ランプ制御基板65は、主としてトランジスタ等の駆動素子から構成されており、主制御基板61からの指令を受けて普通図柄表示部41の7セグメントのLED771、普通図柄保留表示部42のランプ772、大当たり表示部153に内蔵のランプ等の各種ランプ773やLED類774を点灯させるためのものである。
【0057】
音制御基板66は多数の音声データを記憶したマスクROM内蔵の1チップCPUと、このCPUに制御される音源ICおよびアンプ等から構成されており、主制御基板61および図柄制御基板642の指令を受けてスピーカ781を駆動制御する。
【0058】
主制御基板61と上記サブ制御基板62〜66との間の送受信回路は、主制御基板61からのみ送信する一方向通信の回路として構成されている。この一方向通信の構成はインバータ回路やラッチ回路を用いて構成できる。
【0059】
図5に電源基板67と、主制御基板61、払出制御基板62を含む遊技機各部との間の給電および信号系を示し、図6に電源基板67の外観を示す。各パチンコ遊技機の電源基板67は、パチンコ店側に設けられたAC24V電源を電源スイッチ671を介して電源生成回路672が受けており、電源生成回路672が、図示の主制御基板61、払出制御基板62を含む遊技機各部に給電する。電源スイッチ671はオンまたはオフの操作をするとその状態を保持するタイプが用いられる。図例のようにスライド方式のスイッチの他、セルフロック方式の押し釦タイプが用いられ得る。
【0060】
電源生成回路672における全波24V出力は電源電圧監視回路673に入力し、電源電圧監視回路673による全波24V出力の有無の検出結果に基づいてリセット信号発生回路674がリセット信号を出力もしくは解除する。すなわち、電源電圧監視回路673は所定の基準電圧以上の非出力状態が所定の時間、維持すれば全波24V出力停止と判断し、リセット信号発生回路674は全波24V出力停止との判断に応じてリセット信号を出力する。一方、全波24V出力が開始されるとリセット信号は解除される。ここで、リセット信号の出力とはロウレベルの信号を出力することであり、解除とはロウレベルからハイレベルに変化することをいう。なお、リセット信号の解除は、全波24V出力の検出時点から遅延時間Ta の後なされる。
【0061】
リセット信号発生回路674の出力は主制御基板61、払出制御基板62それぞれの遅延回路612、622を介して各制御基板61、62のCPU611、621のリセット端子に出力される。主制御基板61の遅延回路612ではリセット信号の解除に所定の遅延時間Tc が与えられ、払出制御基板62の遅延回路622ではリセット信号の解除に所定の遅延時間Tb が与えられる。
【0062】
電源電圧監視回路673の出力を入力として停電信号発生回路675が設けてあり、停電等の電源遮断時に停電信号を各制御基板CPU611、621のNMI端子に出力するようになっており、制御基板CPU611、621は所定の電源遮断に伴う制御プログラムを実行する。すなわち、遊技の進行や賞球の払い出し等を停止せしめるとともに、RAMの所定領域にバックアップフラグとして所定の事項が書き込まれ、その後、RAMへのアクセスを禁止する。停電信号は電源遮断に伴ってハイレベルからロウレベルに変化する信号であり、リセット信号が出力するに先立って出力するように出力タイミングが設定されている。
【0063】
また、電源基板67は、コンデンサを含み構成されたバックアップ電源生成回路679によりDC5Vのバックアップ電源(VBB)を生成する構成となっており、バックアップ電源(VBB)出力は各制御基板CPU611、621のバックアップ端子(VBB) に出力され、上記電源遮断時には主制御基板CPU611のRAMでは遊技の進行が禁止された後の特別図柄や図柄変動の保留数等の遊技状態や未払いの賞球の個数等のデータが保持される。また、払出制御基板CPU621のRAMでは未払いの賞球の個数等のデータが保持される。
【0064】
電源基板67はまた、RAMクリアスイッチ676を備えている。RAMクリアスイッチ676は後述するように制御基板CPU611、621のRAMに記憶されている内容をクリアするために設けられる。
【0065】
RAMクリアスイッチ676には押下時のみオンするノンロック方式の押し釦スイッチが用いられ、上記リセット信号の解除時にRAMクリアスイッチ676がオンであれば、RAMクリア信号発生回路677が、ハイレベルの信号であるRAMクリア信号を主制御基板61、払出制御基板62それぞれの入力ポート613、623に一定時間Tg の間、出力する。すなわち、RAMクリア信号はリセット信号が解除される電源投入時のみ出力される。ここで電源スイッチ671のオンからリセット信号解除までの遅延時間Ta は例えば100msに設定され、RAMクリア信号を発生せしめるにはRAMクリアスイッチ676を押下しながら電源スイッチ671をオンすることになる。
【0066】
また、電源基板67には設定手段であるDIPスイッチ回路678が設けてあり、その各スイッチは非接地側の接点がDC5Vでプルアップされ、このDC5Vと0Vの二値信号が、スイッチの出力信号として主制御基板61、払出制御基板62の各入力ポート613,623に入力している。DIPスイッチ回路678の各スイッチは、後述するようにクリアするRAMの範囲を設定するもので、5種類のクリアするRAMの範囲が1対1に対応している。すなわち、第1のスイッチは主制御基板CPU611のRAM、払出制御基板CPU621のRAMの両方の全領域のクリア、第2のスイッチは主制御基板CPU611のRAMの全領域のクリア、第3のスイッチは払出制御基板CPU621のRAMの全領域のクリア、第4のスイッチは主制御基板CPU611のRAMのうち遊技状態が格納された領域のクリア、第5のスイッチは主制御基板CPU611のRAMのうち払い出すべき賞球の個数が格納された領域および払出制御基板CPU621のRAMのうち払い出すべき賞球の個数が格納された領域のクリアとなっている。
【0067】
各制御基板CPU611、621は入力ポート613、623におけるRAMクリア信号の有無およびDIPスイッチ回路678の設定状態をデータバスを介して監視する。
【0068】
また、電源基板67の外観を示す図6において、電源スイッチ671、RAMクリアスイッチ676は、いずれも電源基板67の一方の面に固定されており、電源基板67は、これらスイッチ671、676固定面側から樹脂を成形した箱状のカバー8により覆われている。カバー8は開口端面の一部が対向辺位置で舌片状に突出して係合爪8a、8bとしてある。係合爪8a、8bはその端縁部が外側方向に厚肉に成形されて、電源基板67の対向位置に形成された係合穴670a、670bと係合し、カバー8が電源基板67に固定されるようになっている。カバー8を外すにはカバー8を係合爪8a、8bの配置方向に押して変形させつつ外す。
【0069】
電源スイッチ671は電源基板67の1辺の近傍に設けられ、RAMクリアスイッチ676はその対向辺の近傍に設けられており、電源スイッチ671とRAMクリアスイッチ676とが互いに離れた位置に配置してある。
【0070】
図7にRAMクリアスイッチ676を押下しながら電源スイッチ671をオンし電源基板67から給電を開始した時の電源基板67、主制御基板61および払出制御基板62の各部の作動状態を示す。
【0071】
電源スイッチ671のオンから時間Ta 経過後にリセット信号が解除され、このリセット信号解除が主制御基板CPU611においては時間Tc 経過後に、払出制御基板CPU621においては時間Tb 経過後に有効になると、有効になった時点から各制御基板CPU611、621がセキュリティチェックを開始する。ここで、主制御基板CPU611の遅延時間Tc が払出制御基板CPU621の遅延時間Tb よりも長く設定されている。セキュリティチェック時間Td はCPUの種類、システムクロック周波数等にもよるが、本具体例において主制御基板CPU611、払出制御基板CPU621両方に使用したLE2080A-PA(システムクロック周波数6MHz)では185msとした。なお、セキュリティチェックとは、周知のごとくワンチップマイコンである各CPU611、621等が遊技の進行内容を書き込んだROMの内容が正規の内容であるか否かをチェックすることである。
【0072】
主制御基板CPU611のセキュリティチェック時間Td が払出制御基板CPU621と同等以上で、かつ、主制御基板CPU611のセキュリティチェック開始時期が払出制御基板CPU621のセキュリティチェック開始時期よりも遅く実行されるようになっていれば(Tb <Tc )、主制御基板CPU611のセキュリティチェック完了時には払出制御基板CPU621はセキュリティチェックが完了し、主制御基板CPU611がROMに書き込まれたプログラムにしたがって遊技の制御を開始する時には、払出制御基板CPU621は既に遊技の制御を実行している。この結果、電源投入後、主制御基板CPU611が直ちに払出制御基板CPU621にデータを送信しても、払出制御基板CPU621はセキュリティチェックを終え自身の制御を実行しているので確実にデータを受信することができる。
【0073】
一方、RAMクリアスイッチ676を押下しながら電源スイッチ671をオンしているので、リセット信号が解除された時点からRAMクリア信号が時間Tg の間出力されることになる。ここで、RAMクリア信号の出力時間Tg を、遅くセキュリティチェックの完了する主制御基板CPU611についてのリセット信号解除からセキュリティチェック完了までの時間(リセット信号遅延時間Tc +セキュリティチェック時間Td )を考慮して、払出制御基板CPU621がセキュリティチェック完了後にRAMクリア信号を確実に受信できるようにする。
【0074】
本パチンコ遊技機の電源投入時の処理について説明する。図8に払出制御基板CPU621の電源投入時の概略制御フローを示す。セキュリティチェックが完了しRAMへのアクセスが許可されると(ステップS101)、ステップS102でバックアップフラグがオンか否かを判断する。この判断は、上記バックアップフラグの領域の記憶内容と上記所定事項とに差異がないか否かを判断することで行う。
【0075】
ステップS102で肯定判断されると、RAMクリア信号がオンか否かを判断する(ステップS103)。ここでは、RAMクリア信号が非入力の場合の他、DIPスイッチ回路678のうち、払出制御基板CPU621のRAMをクリアする旨の上記第1、第3、第5のスイッチがオンしていない場合も否定判断される。
【0076】
ステップS103が肯定判断されるとステップS104に進む。ステップS104ではDIPスイッチ回路678の設定内容によってRAMをクリアするモードを判定する。第5のスイッチがオンの場合には賞球個数の格納領域のみをクリアするモード(第1のRAMクリアモード)と判定し、第1または第3のスイッチがオンの場合にはRAMの全領域をクリアするモード(第2のRAMクリアモード)と判定する。
【0077】
第1のRAMクリアモードの場合はRAMの賞球個数の格納領域をクリアし(ステップS105)、電源復帰時処理が実行される(ステップS106)。そして、遊技進行プログラムが再開され、通常処理を再開する(ステップS107)。
【0078】
第2のRAMクリアモードの場合はスタックの設定処理(ステップS108)、RAMの作業領域のクリア処理(ステップS109)を実行し、作業領域を初期化する(ステップS110)。以降、通常時の処理となる(ステップS111)。
【0079】
なお、バックアップフラグがオフのときは適正に停電時処理がなされていないということであり、第2のRAMクリアモードの場合と同様に上記ステップS108〜S111を実行する。
【0080】
RAMクリア信号がオンか否かを判じるステップS103が否定判断された場合は、電源復帰時処理が実行され(ステップS112)、電源遮断時における払出制御基板62の作動状態を示すRAMの記憶データに基づいて停電発生により中断された遊技進行プログラムが再開される(ステップS112)。
【0081】
図9に主制御基板CPU611の電源投入時の概略制御フローを示す。セキュリティチェックが完了しRAMへのアクセスが許可されると(ステップS201)、ステップS202でバックアップフラグがオンか否かを判断する。この判断は、上記バックアップフラグの領域の記憶内容と上記所定事項とに差異がないか否かを判断することで行う。
【0082】
ステップS202で肯定判断されると、RAMクリア信号がオンか否かを判断する(ステップS203)。ここでは、RAMクリア信号が非入力の場合の他、DIPスイッチ回路678のうち、主制御基板CPU611のRAMをクリアする旨の上記第1、第2、第4、第5のスイッチがオンしていない場合も否定判断される。
【0083】
ステップS203が肯定判断されるとステップS204に進む。ステップS204ではDIPスイッチ回路678の設定内容によってRAMをクリアするモードを判定する。第5のスイッチがオンの場合には賞球個数の格納領域のみをクリアするモード(第1のRAMクリアモード)と判定し、第4のスイッチがオンの場合には遊技状態の格納領域のみをクリアするモード(第2のRAMクリアモード)と判定し、第1または第2のスイッチがオンの場合にはRAMの全領域をクリアするモード(第3のRAMクリアモード)と判定する。
【0084】
第1のRAMクリアモードの場合はRAMの賞球個数の格納領域をクリアし(ステップS205)、電源復帰時処理が実行される(ステップS206)。そして、遊技進行プログラムが再開され、通常時の処理を再開する(ステップS207)。電源復帰時処理では各サブ制御基板62〜66に停電から復旧したことを報知するコマンドコードを送信する。このコマンドコードを受信した特別図柄表示基板64はLCDパネル641の画面上に「停電復旧処理中」、「停電前のゲーム内容から続行しています」等のメッセージを表示する処理を行う。あるいは音制御基板66が音声により上記メッセージと同等の内容で停電があったことを報知する。
【0085】
第2のRAMクリアモードの場合はRAMの遊技状態の格納領域をクリアする(ステップS208)。次いで、特別図柄表示装置64へ、初期画面を表示する旨のコマンドデータを送信し(ステップS209)、ランプ制御基板65へ、初期装飾を表示すべき旨のコマンドデータを送信する(ステップS210)。以降、通常時の処理となる(ステップS211)。
【0086】
第3のRAMクリアモードの場合はスタックの設定処理(ステップS212)、RAMの作業領域のクリア処理(ステップS213)を実行し、作業領域を初期化する(ステップS214)。次いで、第2のクリアモードと同様に上記ステップS209〜S211を実行する。
【0087】
なお、バックアップフラグがオフのときは適正に停電時処理がなされていないということであり、第3のRAMクリアモードの場合と同様に上記ステップS212移行の手順を実行する。
【0088】
RAMクリア信号がオンか否かを判じるステップS203が否定判断された場合は、電源復帰時処理が実行され(ステップS206)、電源遮断時における主制御基板CPU611の作動状態を示すRAMの記憶データに基づいて停電発生により中断された遊技進行プログラムが再開される(ステップS207)。この場合は、すべてが実質的に停電前と連続した作動となる。
【0089】
以上、説明したように、RAMクリア信号がオンの時にDIPスイッチ回路678の設定に応じてRAMの所定範囲をクリアすることができるが、RAMクリア信号は上記のごとくRAMクリアスイッチ676を押下しながら電源スイッチ671をオンした時にのみ生成されるから、RAMクリアスイッチ676を電源スイッチ671をオンする時以外で押下してもRAMクリアがなされることがなく不用意にパチンコ遊技機の一部又は前部が初期状態に戻されることを防止できる。
【0090】
また、クリアするRAMの範囲をDIPスイッチ回路678により設定できるので、例えば、主制御基板CPU611が暴走してもDIPスイッチ回路678を第2のスイッチをオンに設定してRAMクリア処理を行えば、払出制御基板CPU621のRAMのデータはリセットされずに払出個数はそのまま残り、そのデータに基づいて賞球の払い出しを適正に行い得る。
【0091】
また、賞球個数をカウントするための賞球センサ94の異常等があれば、DIPスイッチ回路678の第5のスイッチをオンに設定してRAMクリア処理を行うことで、異常値の蓋然性の高い賞球個数の格納領域のみがクリアされて他の遊技状態等のデータはそのまま保持されるから、大当たり中か否かや保留記憶数等の遊技者にとって重要なデータが改変しない。しかも、賞球センサ94により払い出すべき賞球個数をカウントするのは主制御基板CPU611と払出制御基板CPU621との両方で行われ、いずれもRAMの賞球個数の格納領域がクリアされるので、主制御基板CPU611と払出制御基板CPU621とで賞球個数の不整合が生じるのを回避することができる。
【0092】
また、クリアするRAMの範囲を5種類変えられるので、トラブル発生時には、それぞれについて作動結果を観察することで、トラブル原因の究明に有効な情報を得ることができる。
【0093】
また、RAMのクリア範囲をDIPスイッチ回路678により予め設定しておけるから、RAMのクリア範囲が何であってもRAMクリア処理において同じスイッチ671,676を同じように操作すればよく、操作性がよい。
【0094】
また、電源基板67のサイズを目一杯使って電源スイッチ671とRAMクリアスイッチ676とをできる限り離すことで、上記のごとくRAMクリア信号を出力する必要がある場合には、スイッチ671、676操作において、一方の手でRAMクリアスイッチ676を押下しながら他方の手で電源スイッチ671をオンに切り替えることが要求される。これにより、RAMクリアが不用意になされない。しかも、電源スイッチ671およびRAMクリアスイッチ676を脱着可能なカバー8で覆い、RAMクリア時にはスイッチ671、676操作に先立ってカバー8を外すことを作業者に要求することになるので、より、誤操作の回避を図ることができる。
【0095】
本パチンコ遊技機は、クリアスイッチであるRAMクリアスイッチ676と、クリア許容スイッチである電源スイッチ671と、クリア許容スイッチのオンに応じて一時的にクリア許容信号を出力するクリア許容信号出力手段であるリセット信号発生回路675とを具備している。一時的に出力されるクリア許容信号はリセット信号のロウレベルからハイレベルへの変化であり、この変化は、上記のごとく電源スイッチ671のオンに際して一度だけ生じる。そして、遊技の進行を制御する制御手段を構成する演算手段である主制御基板CPU611、払出制御基板CPU621は、クリア許容信号の出力時期に予めクリアスイッチがオン状態のとき、RAMのクリアを可能とする構成として、クリアスイッチのオン時期を、クリア許容スイッチをオンする際に制限したから、誤操作を防止することができる。
【0096】
ここで、クリア許容スイッチを電源スイッチ671としたからクリア許容信号が電源投入の際以外では生成されず、クリア許容スイッチを電源スイッチ671とは別体とした構成に比してメモリクリアの機会がさらに限定され、より誤操作の回避を図ることができるようになっているが、勿論、クリア許容スイッチは、クリア許容信号出力手段に一時的にクリア許容信号を出力せしめる、電源スイッチではないスイッチとするのもよい。
【0097】
また、DIPスイッチ回路678により設定可能なRAMの範囲は上記5種類に限定されるものではなく、本発明の趣旨に関しない限り、任意である。
【0098】
(第2実施形態)
図10に本発明の第2実施形態になるパチンコ遊技機の主制御基板、払出制御基板および電源基板を中心とする電気構成を示し、図11に電源基板の外観を示す。第1実施形態とは別の構成で、クリアするRAMの範囲を設定可能としたもので、各部は基本的に第1実施形態のものと同じ作動をするようになっており、第1実施形態と実質的に同じ作動をする部分には同じ番号を付して説明する。
【0099】
本実施形態における電源基板67AはRAMクリアスイッチとRAMクリア信号発生回路が2組設けてある。各RAMクリアスイッチ676a,676bおよびRAMクリア信号発生回路677a,677bは第1実施形態のものと同様である。電源スイッチ671が投入された状態で第1のRAMクリアスイッチ676aを押下すると第1のRAMクリア信号発生回路677aがRAMクリア信号を主制御基板61の入力ポート613に出力する。一方、電源スイッチ671が投入された状態で第2のRAMクリアスイッチ676bを押下すると第2のRAMクリア信号発生回路677bがRAMクリア信号を払出制御基板62Aの入力ポート623に出力する。
【0100】
また、払出制御基板62AのCPU621Aは電源投入時において、バックアップフラグがオンでRAMクリア信号の入力があると、RAMの全作業領域をクリアする(上記ステップS108〜S111参照)。
【0101】
また、主制御基板61AのCPU611Aは電源投入時において、バックアップフラグがオンでRAMクリア信号の入力があると、RAMの全作業領域をクリアし、特別図柄表示装置64に初期画面を表示する旨のコマンドを送信する等の、RAMクリアに伴う作動を行う(上記ステップS212〜S214,S209〜S211参照)。
【0102】
ここで、両RAMクリアスイッチ676a,676bは互いに近接して設けられて片手で一時に操作可能としてある。一方、これらRAMクリアスイッチ676a,676bと電源スイッチ671とは電源基板67Aの異なる辺の近くに互いに間をとって配置されており、両手を使って操作する方が容易で自然な操作となる。
【0103】
しかして、押下するRAMクリアスイッチ676a,676bの選択で、主制御基板CPU611AのRAMもしくは払出制御基板CPU621AのRAMのいずれかをクリアすることができる。また、両RAMクリアスイッチ676a,676bは片手で一時に操作可能であるから、両方を押下すれば、主制御基板CPU611AのRAMと払出制御基板CPU621AのRAMの両方をクリアすることができ、クリアするRAMの範囲を3種類選択することができる。勿論、操作性では落ちるが、一方のRAMクリアスイッチを電源スイッチに近接して配置するのもよい。
【0104】
このように本実施形態によっても、クリアするRAMの範囲を選択することができる。
【0105】
(第3実施形態)
図12に本発明の第3実施形態になるパチンコ遊技機の主制御基板、払出制御基板および電源基板を中心とする電気構成を示す。RAMクリアスイッチによりクリアされるRAMの範囲を第2実施形態と違えたもので、各部は基本的に第2実施形態のものと同じ作動をするようになっており、第1、第2実施形態と実質的に同じ作動をする部分には同じ番号を付して説明する。
【0106】
本実施形態も電源基板67BにRAMクリアスイッチとRAMクリア信号発生回路が2組設けてあり、各RAMクリアスイッチ676a,676bおよびRAMクリア信号発生回路677a,677bは第2実施形態のものと同様の構成である。電源スイッチ671がオンされた状態で第1のRAMクリアスイッチ676aを押下すると第1のRAMクリア信号発生回路677aがRAMクリア信号を主制御基板61Bおよび払出制御基板62Bの入力ポート613,623に出力する。一方、電源スイッチ671がオンされた状態で第2のRAMクリアスイッチ676bを押下すると第2のRAMクリア信号発生回路677bがRAMクリア信号を主制御基板61Bの入力ポート613のみに出力する。
【0107】
主制御基板61Bでは第1のRAMクリア信号発生回路677aから出力されるRAMクリア信号と、第2のRAMクリア信号発生回路677bから出力されるRAMクリア信号とは入力ポート613の互いに異なる入力端に入力するようになっており、どのRAMクリア信号であるかが知られるようになっている。
【0108】
また、払出制御基板CPU621Bは電源投入時において、バックアップフラグがオンで上記第1のRAMクリア信号の入力があると、RAMの賞球個数領域をクリアする(上記ステップS105〜S107参照)。
【0109】
また、主制御基板CPU611Bは電源投入時において、バックアップフラグがオンで第1のRAMクリア信号の入力があると、RAMの賞球個数領域をクリアする(上記ステップS205〜S207参照)。
【0110】
また、主制御基板CPU611Bは電源投入時において、バックアップフラグがオンで第2のRAMクリア信号の入力があると、RAMの遊技状態領域をクリアし、特別図柄表示装置64に初期画面を表示する旨のコマンドを送信する等の、RAMクリアに伴う作動を行う(上記ステップS208〜S211参照)。
【0111】
かかる構成とすることにより、クリアするRAMの範囲を設定することができる。本実施形態では賞球個数の領域と遊技状態の領域とを選択的にクリアでき、不具合の内容によって一方のみをクリアすることができる。また、両方のRAMクリアスイッチを押下すれば賞球個数の領域と遊技状態の領域との両方をクリアすることができる。
【0112】
しかも、賞球個数の領域をクリアする場合には主制御基板CPU611Bと払出制御基板CPU621Bの両方にRAMクリア信号が出力されるので、主制御基板CPU611Bと払出制御基板CPU621Bとで賞球個数に不整合を生じない。
【0113】
なお、RAMクリアスイッチおよびRAMクリア信号発生回路をさらに2つ増設して、主制御基板CPUおよび払出制御基板CPUの制御プログラムを、増設されたRAMクリア信号発生回路からのRAMクリア信号に対して第2実施形態のごとく、主制御基板CPUのRAMの全領域または払出制御基板CPUのRAMの全領域がクリアされるように設定すれば、クリアするRAMの範囲の種類を多くすることができる。
【0114】
なお、上記各実施例ではRAMクリア信号は電源スイッチのオンから100ms程度で生成することになるが、作業者はどうしても電源スイッチのオン後もある程度余裕をもってRAMクリアスイッチを押下し続けることになる。そこで、クリア許容信号としてのリセット信号の解除がなされたらパイロットランプが点灯もしくは消灯する構成とするのもよい。これにより、作業者はパイロットランプの点灯もしくは消灯を確認したらRAMクリアスイッチから手を戻せばよく、ユーザーフレンドリーである。
【0115】
また、電源基板を覆うカバーは電源スイッチ若しくはRAMクリアスイッチのいずれかのみを覆う構成でもよい。また、箱状である必要はなく、電源スイッチ若しくはRAMクリアスイッチの周囲の数カ所に電源基板表面からスイッチの高さよりも高い脚部を立設してその上に載置される平板状のものであってもよい。
【0116】
また、RAMクリアスイッチは電源基板に固定する必要はなく、他の適当な場所に設けることができる。また、パチンコ遊技機ごとに設ける必要もなく、RAMクリアスイッチと電源スイッチとを複数のパチンコ遊技機群に共通に構成して、パチンコ遊技機群ごとにRAMクリアを行うのでもよい。この場合、RAMクリアスイッチと電源スイッチとが、パチンコ店内すべてのパチンコ遊技機に共通とすることも可能である。
【0117】
また、上記各実施形態においては、RAMクリアスイッチを押下した状態で電源スイッチをオフからオンに切り替えたときのみRAMクリア信号発生回路からRAMクリア信号を出力するよう構成したが、プログラム処理により判断する構成としてもよい。すなわち、RAMクリアスイッチのオンオフ信号をDC5Vでプルアップして主制御基板CPU、払出制御基板CPUのそれぞれの入力ポートに入力する構成とするとともに、主制御基板CPU、払出制御基板CPUは、電源投入直後に実行されるセキュリティチェック終了後にRAMクリアスイッチが押下されているか否かを判断し、押下されている場合にはRAMをクリアするよう構成すればよい。
【0118】
この場合は、上記クリア許容信号に相当するのは、セキュリティチェックに続いて立ち上がる、RAMクリアスイッチが押下されているか否かの判断プログラムにより生成されるデータである。上記のごとくセキュリティチェック時間はごく短時間であり、RAMクリアスイッチ676を押下した状態で、電源スイッチ671をクリア許容スイッチとしてオフからオンに切り替えることで、RAMクリア信号発生回路677がRAMクリア信号を出力する上記具体例と同様にRAMクリアを行い得る。セキュリティチェックは少なくとも電源投入直後には実行されるので、制御プログラムの構成を大きく変更することなく実施可能である。
【0119】
また、上記各実施形態では、プリペードカードを使用して遊技球の貸し出しを行うパチンコ遊技機について説明したが、本発明は現金の投入により遊技球の貸し出しを行うパチンコ遊技機についても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したパチンコ遊技機の全体斜視図である。
【図2】上記パチンコ遊技機の遊技盤の正面図である。
【図3】上記パチンコ遊技機の背面図である。
【図4】上記パチンコ遊技機の電気構成を示すブロック図である。
【図5】上記パチンコ遊技機の要部の詳細電気構成を示すブロック図である。
【図6】上記パチンコ遊技機の電源基板の分解斜視図である。
【図7】上記パチンコ遊技機の作動を示すタイミングチャートである。
【図8】上記パチンコ遊技機を構成する払出制御基板のCPUで実行されるソフトウェアを示すフローチャートである。
【図9】上記パチンコ遊技機を構成する主制御基板のCPUで実行されるソフトウェアを示すフローチャートである。
【図10】本発明を適用した別のパチンコ遊技機の要部の詳細電気構成を示すブロック図である。
【図11】上記パチンコ遊技機の電源基板の分解斜視図である。
【図12】本発明を適用したさらに別のパチンコ遊技機の要部の詳細電気構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
61,61A,61B 主制御基板(制御手段)
62,62A,62B 払出制御基板(制御手段)
611,611B 主制御基板CPU
621,621B 払出制御基板CPU
67,67A,67B 電源基板(制御手段)
671 電源スイッチ
674 リセット信号発生回路
676,676a,676b RAMクリアスイッチ
678 DIPスイッチ回路
65 ランプ制御基板
773 ランプ
Claims (1)
- 遊技制御プログラムの作業領域としてのRAMを備え被制御対象の作動を制御する制御手段と、上記RAMをクリアする時に操作されるクリアスイッチとを備え、電源投入時に上記クリアスイッチが操作されていれば上記RAMをクリアする弾球遊技機において、
上記制御手段として遊技の進行全体を司る主制御基板、及び上記制御手段としての入賞に応じた賞球の払出し制御を行う払出制御基板と、
ランプの点灯制御を行うランプ制御基板と、
上記主制御基板、払出制御基板及びランプ制御基板に電源を供給する電源基板と、を有し、
該電源基板はバックアップ電源生成回路から上記主制御基板及び払出制御基板に停電時に上記RAMの記憶を保持するバックアップ電源を供給し、
上記払出制御基板のCPUは、電源投入時のみに上記ROMに記憶されたプログラムに従ってセキュリティチェックを行い、該セキュリティチェック終了後であって上記遊技制御プログラムにより実行される通常時の処理の前に上記クリアスイッチが操作されているか否かを判断し、該判断の結果により上記RAMをクリアすべきと判断すれば初期状態から起動し、クリアすべきでないと判断すれば電源遮断前の状態から再開し、
一方、上記主制御基板のCPUは、電源投入時のみに上記ROMに記憶されたプログラムに従ってセキュリティチェックを行い、該セキュリティチェック終了後であって上記遊技制御プログラムにより実行される通常時の処理の前に上記クリアスイッチが操作されているか否かを判断し、該判断の結果により上記RAMをクリアすべきと判断すれば初期状態から起動し、クリアすべきでないと判断すれば電源遮断前の状態から再開し、更に、上記初期状態から起動するときには上記RAMをクリアしたことを報知する初期装飾を表示する旨のコマンドデータを上記ランプ制御基板に送信し、
上記主制御基板及び払出制御基板の両CPUは、電源投入時でないときには上記クリアスイッチが操作されているか否かを判断しなく、
上記RAMをクリアすべきとの判断は、上記セキュリティチェック終了後であって上記通常時の処理の前に遊技者が上記クリアスイッチを操作している場合に行われ、
上記RAMをクリアすべきでないとの判断は、上記セキュリティチェック終了後であって上記通常時の処理の前に遊技者が上記クリアスイッチを操作していない場合に行われる、ことを特徴とする弾球遊技機。
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