JP4734234B2 - 生体分子に関する形態及び情報をis−fetを利用して検出する測定法およびシステム - Google Patents

生体分子に関する形態及び情報をis−fetを利用して検出する測定法およびシステム Download PDF

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Description

本発明は、概して、半導体の分野にある。より詳細には、本発明は、半導体素子を用いて生体分子を測定するための方法およびシステムに関する。
生体分子を、半導体技術を用いて測定および検出するための技術開発が近年盛んである。特に、DNAデバイスなどの、バイオ技術とナノテク技術との融合技術の研究開発が盛んに行われている。
生体分子を測定するためには、例えば、ハイブリダイゼーションなどの生体特異的反応を利用することが多い。塩基の正確な対合によってDNAが2本鎖を形成するハイブリダイゼーションプロセスは、バイオテクノロジーの分野における重要な反応である。この反応を効率的に利用した生体情報デバイスは、ポストゲノムシークエンス時代のキーテクノロジーとして注目されている。デバイスの機能および不均一系のハイブリダイゼーション反応の効率的分子認識を行う遺伝子検出システムの開発に注目が集まっている。
従来開発されてきた遺伝子検出システムには、蛍光標識法、QCM法(=水晶発振子マイクロバランス測定法(Quarts Crystal Microbalance);水晶振動子の電極表面に物質が付着するとその質量に応じて共振周波数が変動する)、SPR法(表面プラズモン共鳴法)、電気化学的検出法等が挙げられる。中でも、電気化学的遺伝子検出法は、システムが簡単であること、シグナル応答が速い、さらに低価格化が可能であることなどから近年実用化に向けた開発が活発になっている。
電気化学的な手法には、酸化還元活性分子、酵素標識、金属粒子を利用した方法などマーカー分子の電気化学シグナルを検出する方法が中心に研究が行われている。DNAの構成分子そのものの酸化還元活性などを利用した方法、電極界面の表面ポテンシャルの変化をシグナルとして捉えたダイレクトな遺伝子検出法の開発も近年報告されている。
IS−FETは、ゲート絶縁体(インシュレーター)/電極近傍、界面の表面ポテンシャルの変化にセンシティブなデバイスとして知られており、種々のデバイスの開発が報告されている(非特許文献1〜2および特許文献1〜7)。生体分子への応用が報告されているが、その感度・取り扱いには、まだまだ問題が多い。
例えば、非特許文献1では、ケイ素表面をアルキル化してDNAを結合させた素子を使用しているが、この形態の素子では、サンプルを常に流しておく必要があり、複雑な構成を必要とする。
非特許文献2でもまた、ゲート電極に金属を使用した素子を使用する。この形態の素子では、サンプルを常に流動状態を維持しておく必要があり、複雑な構成、手順を必要とする。
特許文献1もまた、ケイ素酸化物を使用したFETに生体分子を結合させた半導体を利用したバイオセンサを開示する。しかし、ケイ素酸化物を用いたFETは、感度が低いことが指摘されている。
特許文献2には、DNAを利用したナノデバイスが開示されている。しかし、酸化物を素子には使用していない。
特許文献3には、DNAを表面に結合した金属粒子がゲート絶縁膜に結合した素子が開示されている。しかし、金属粒子がゲート絶縁膜に結合する方法では、結合が安定せず、その取り扱いも不安定である。
特許文献4には、FETに生体分子を用いた回路が記載されているが、生体分子はケイ素酸化物に結合されており、上記と同様の問題が生じる。
特許文献5には、電極にDNAプローブが結合した検査装置が開示されている。しかし、この装置は電気化学発光の検出に基づいており、電流電圧特性を検出するものではない。
特許文献6には、核酸配列決定のために電界効果トランジスタを利用する技術が記載されているが、ゲート電極に孔を空ける構造を記載するのみであり、ゲート電極自体には改良がなされていない。
特許文献7には、電気化学法を用いたバイオマイクロアレイが記載されているが、ゲート電極に関する改良は何ら記載されていない。
特許文献8には、分子化合物のハイブリダイゼーションを定量化するためのシステムが記載されているが、ここで使用されている担体はガラスなどのケイ素酸化物が例示されているのみである。
特許文献9は、半導体センシングデバイスを開示する。ここでは、シリコン基板に有機単分子修飾表面を載せて生体分子を含ませたチップが記載されている。しかし、二酸化ケイ素より誘電率の高い絶縁体が使用されているかどうか記載されておらず、しかも、酵素が使用されているだけである。
特許文献10は、ZnOという低誘電率の材料を用いたセンサを開示する。従って、二酸化ケイ素より誘電率の高い絶縁体を用いたゲート電極の使用は記載されていない。
特許文献11は、タンパク質の固定方法を記載する。しかし、生体分子と、二酸化ケイ素より誘電率の高い絶縁体である非ケイ素酸化物とを含む、ゲート電極は記載されていない。また、核酸については何ら記載していない。
特許文献12は、酸化タンタル水素イオン感知膜を有する感イオン電界効果トランジスタの製造法を記載する。しかし、生体分子と、二酸化ケイ素より誘電率の高い絶縁体である非ケイ素酸化物とを含む、ゲート電極は記載されていない。
特許文献13は、半導体バイオセンサを記載する。しかし、生体分子と、二酸化ケイ素より誘電率の高い絶縁体である非ケイ素酸化物とを含む、ゲート電極は記載されていない。
非特許文献3は、FETセンサを記載する。しかし、生体分子と、二酸化ケイ素より誘電率の高い絶縁体である非ケイ素酸化物とを含む、ゲート電極は記載されていない。
Wei F.et al.,Biosensors and Bioelectronics 18(2003)1157−1163 KIM D−S.et al.,Jpn.J.Appl.Phys.Vol.42(2003)4111−4115 電気化学および工業物理化学Vol.50、No.1、pp64−71.(1982) 特開2003−329638 特開2003−37313 特開2003−322633 特開2004−7572 国際公開00/01848パンフレット 特表2003−531592 特開2003−90818 特表2003−526096 特開2004−4007 国際公開03/104789パンフレット 特開平6−9698 特開平5−107224 特開2003−329638
本発明は、簡便に、効率よく生体分子との相互作用を検出するための技術を開発することを課題とする。特に、本発明は、DNAなどの核酸分子を簡便に、効率よく検出する技術を開発することを課題とする。また、酸化金属と生体分子とを結合させた基板を提供することも課題とする。
本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、本発明は、非ケイ素酸化物を用いたゲート電極に生体分子を固定することができる技術を見出したことによって上記課題が解決された。従って、本発明は、以下を提供する。
(1)生体分子と、非ケイ素酸化物とを含む、ゲート電極。
(2)上記非ケイ素酸化物は、酸化金属である、項目1に記載のゲート電極。
(3)上記非ケイ素酸化物は、酸化タンタル(Ta)、酸化カルシウム(CaO)、酸化鉛(PbO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化トリウム(ThO)、酸化アンチモン(Sb)、一酸化チタン(TiO)、二酸化チタン(TiO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化イッテルビウム(Yb)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化セリウム(CeO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ガドリニウム(Gd)、酸化クロム(Cr)、酸化タングステン(WO)、酸化銅(I)(CuO)、酸化銅(II)(CuO)、酸化鉄(II)(FeO)、酸化鉄(III)(Fe)、酸化ニッケル(NiO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化サマリウム(Sm)、酸化ネオジム(Nd)、酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)、酸化カドミウム(CdO)、酸化マンガン(MnO)、二酸化バリウム(BaO)および一酸化バリウム(BaO)からなる群より選択される、項目1に記載のゲート電極。
(4)上記非ケイ素酸化物は、酸化タンタル(Ta)、一酸化バリウム(BaO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化銅(II)(CuO)、酸化鉛(PbO)、酸化イッテルビウム(Yb)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ニオブ(Nb)および酸化ハフニウム(HfO)からなる群より選択される、項目1に記載のゲート電極。
(5)上記非ケイ素酸化物は、酸化タンタル(Ta)である、項目1に記載のゲート電極。
(6)上記生体分子は、上記非ケイ素酸化物に固定される、項目2に記載のゲート電極。
(7)上記非ケイ素酸化物は膜状形態をしており、上記生体分子は、上記非ケイ素酸化物膜上に固定される、項目6に記載のゲート電極。
(8)上記非ケイ素酸化物と、上記生体分子とは、シランカップリング剤により結合される、項目1に記載のゲート電極。
(9)上記非ケイ素酸化物と、上記生体分子とは−O−(SiR)−(CH−NH(CH−NH−O−(CH−O−CH−NH−というリンカーで結合され、ここで、n、mおよびkはそれぞれ独立して任意の正の整数であり、RおよびRは、独立して、任意の置換基または上記リンカーと同じ構造を有する別のリンカーのSi原子である、項目8に記載のゲート電極。
(10)上記生体分子は、他の生体分子と特異的相互作用をする能力を有する、項目1に記載のゲート電極。
(11)上記生体分子は、核酸、タンパク質、糖、脂質およびそれらの複合体からなる群より選択される、項目1に記載のゲート電極。
(12)上記生体分子は、核酸を含む、項目1に記載のゲート電極。
(13)上記生体分子は、DNA、RNAおよびPNAからなる群より選択される少なくとも1つの分子を含む、項目1に記載のゲート電極。
(14)上記生体分子は、PNAを含む、項目1に記載のゲート電極。
(15)上記生体分子は、一本鎖または二本鎖の形態で存在する、項目1に記載のゲート電極。
(16)上記生体分子は、他の生体分子とハイブリダイゼーションする能力を有する、項目1に記載のゲート電極。
(17)上記生体分子は、リガンド−レセプター相互作用する能力または抗原抗体反応する能力を有する、項目1に記載のゲート電極。
(18)上記生体分子は、無電荷またはほとんど電荷がないことを特徴とする、項目1に記載のゲート電極。
(19)上記生体分子は、疾患または障害の診断のためのプローブである、項目1に記載のゲート電極。
(20)上記生体分子は、1塩基多型(SNPs)を検出するためのプローブである、項目1に記載のゲート電極。
(21)生体分子と、非ケイ素酸化物とを含むゲート電極が、半導体素子上に一体化された、電界効果トランジスタ。
(22)上記半導体素子は、基板と、ソース部と、ドレイン部とを含む、項目21に記載の電界効果トランジスタ。
(23)上記トランジスタは、pチャネル型またはnチャネル型であり、そして、エンハンスメント型またはディプリション型である、項目21に記載の電界効果トランジスタ。
(24)上記ソース部および上記ドレイン部は、絶縁体で覆われる、項目21に記載のトランジスタ。
(25)さらに、電極を備える、項目21に記載のトランジスタ。
(26)上記ソース部からの電流を引き出すソース引き出し電極、上記ドレイン部からの電流を引き出すドレイン引き出し電極、上記基板からの電流を引き出す基板引き出し電極、上記ゲート電極由来の電流を引き出すためのゲート引き出し電極をさらに備える、項目21に記載のトランジスタ。
(27)上記ゲート電極は、電解液に浸される、項目21に記載のトランジスタ。
(28)上記ゲート引き出し電極は、Ag/AgClを含む、項目21に記載のトランジスタ。
(29)上記基板は、Siを含む、項目21に記載のトランジスタ。
(30)上記ゲート電極は、項目2〜20のいずれか1項に記載の特徴をさらに有する、項目21に記載のトランジスタ。
(31)以下:
A)生体分子と、非ケイ素酸化物とを含むゲート電極が半導体素子上に一体化された、電界効果トランジスタと、
B)電気信号検出手段
とを備える、上記生体分子との相互作用を検出するためのセンサ。
(32)生体分子が固定された、非ケイ素酸化物を含むゲート電極を作製する方法であって、
A)非ケイ素酸化物を含むゲート電極を提供する工程;
B)上記非ケイ素酸化物にアミノシラン含有物質を結合させる工程;
C)上記アミノシラン含有物質と、上記アミノシラン含有物質のアミノ基と反応し得るクロスリンカーを結合させて中間体を形成工程;および
D)上記中間体に生体分子を結合させる工程、
を包含する、方法。
(33)上記アミノシラン含有物質は、ω’−アミノアルキルトリアルコキシシランを含む、項目32に記載の方法。
(34)上記アミノシラン含有物質は、3’−アミノプロピルトリエトキシシランを含む、項目32に記載の方法。
(35)上記結合の前に、上記酸化金属を酸処理する工程をさらに包含する、項目32に記載の方法。
(36)上記酸化金属は、酸化タンタル(Ta)、酸化カルシウム(CaO)、酸化鉛(PbO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化トリウム(ThO)、酸化アンチモン(Sb)、一酸化チタン(TiO)、二酸化チタン(TiO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化イッテルビウム(Yb)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化セリウム(CeO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ガドリニウム(Gd)、酸化クロム(Cr)、酸化タングステン(WO)、酸化銅(I)(CuO)、酸化銅(II)(CuO)、酸化鉄(II)(FeO)、酸化鉄(III)(Fe)、酸化ニッケル(NiO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化サマリウム(Sm)、酸化ネオジム(Nd)、酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)、酸化カドミウム(CdO)、酸化マンガン(MnO)、二酸化バリウム(BaO)および一酸化バリウム(BaO)からなる群より選択される、項目32に記載の方法。
(37)上記クロスリンカーは、カルボジイミド類、アルデヒド類またはイミドエステル類を含む、項目32に記載の方法。
(38)上記クロスリンカーは、アルデヒド含有基を含む、項目32に記載の方法。
(39)上記クロスリンカーは、グルタルアルデヒドを含む、項目32に記載の方法。
(40)上記架橋において、紫外線照射が使用される、項目32に記載の方法。
(41)上記生体分子は、核酸を含む、項目32に記載の方法。
(42)上記生体分子は、DNAまたはPNAを含む、項目32に記載の方法。
(43)上記生体分子は、PNAを含む、項目32に記載の方法。
(44)還元する工程をさらに包含する、項目32に記載の方法。
(45)上記還元は、NaCNBHを用いて行われる、項目44に記載の方法。
(46)生体分子との相互作用を検出するための方法であって、
A)上記生体分子と、非ケイ素酸化物とを含む、ゲート電極が半導体素子上に一体化された、電界効果トランジスタを提供し、電流−電圧(I−V)特性を測定する工程;
B)上記電界効果トランジスタと、相互作用が生じるに十分な条件下でサンプルとを接触させる工程;
C)上記接触後に、上記電界効果トランジスタのI−V特性を測定する工程;および
D)上記接触前のI−V特性と、上記接触後のI−V特性とを比較して、上記I−V特性同士の相違から上記生体分子との上記相互作用を算出する工程、
を包含する、方法。
(47)上記I−V特性は、静特性飽和電流値または伝達特性閾値電圧を含む、項目46に記載の方法。
(48)上記生体分子は、核酸を含み、上記サンプルは、核酸と相互作用する分子を含む、項目46に記載の方法。
(49)上記生体分子は、PNAを含み、上記サンプルは、核酸を含む、項目46に記載の方法。
(50)上記生体分子は、核酸を含み、上記サンプルは、核酸と相互作用する分子を含み、上記電界効果トランジスタはp型トランジスタであり、上記I−V特性の静特性飽和電流値の減少または伝達特性閾値電圧の正シフトは、上記核酸と上記核酸と相互作用する分子とがハイブリダイゼーションしたことを示す、項目46に記載の方法。
(51)上記検出は、遺伝子状態の異常またはそれに起因する疾患もしくは障害を検出することを目的とする、項目46に記載の方法。
(52)A)生体分子と、非ケイ素酸化物とを含むゲート電極が半導体素子上に一体化された、電界効果トランジスタと、
B)上記電界効果トランジスタが露出するように配置された、サンプルを収容するための容器と、
C)上記電界効果トランジスタと電気的に結合する電気信号検出手段と、
D)上記電気信号検出手段と電気的に結合する電流−電圧(I−V)特性を算出する手段、
とを備える、生体分子との相互作用を検出するためのシステム。
(53)さらに、I−V特性に基づいて、上記生体分子との上記相互作用を算出する手段を備える、項目52に記載のシステム。
(54)上記検出は、遺伝子状態の異常またはそれに起因する疾患もしくは障害を検出することを目的とし、上記相互作用と、上記遺伝子状態とを相関付けるための手段を備える、項目52に記載のシステム。
好ましい実施形態では、本発明は、この電気化学的遺伝子検出法「ダイレクト遺伝子検出法」に応用される。デバイスには電界効果トランジスタを用い、またプローブ分子にはペプチド核酸分子を用いることができる。
ペプチド核酸分子は、2−アミノエチルグリシン骨格を有する実質的に無電荷の人工核酸分子である。DNA/DNAの2本鎖と比較すると、PNA/DNAは高い塩基配列選択性と熱安定性、さらに低塩濃度においてもハイブリ効率に影響が無く、酵素耐性があることからバイオテクノロジーの分野において実用的な分子として注目されている。IS−FETは、ゲートインシュレーター/電極近傍、界面の表面ポテンシャルの変化にセンシティブなデバイスとして知られており、PNAをゲート部に固定することによりDNAのハイブリ反応を効率的かつダイレクトに検出することが期待できる。
本発明は、非ケイ素酸化物(例えば、酸化金属)薄膜で構成されたIS−FETのゲート電極上に、核酸をシランカップリング剤などで固定したセンサが提供され、これにより、IS−FETのソース−ドレイン電極間、またはゲートに電圧を印加し、ソース・ドレイン間に流れる電流を測定することによって検出を行うことが可能になる。
従って、本発明のこれらおよび他の利点は、添付の図面を参照して、以下の詳細な説明を読みかつ理解すれば、当業者には明白になることが理解される。
本発明によって、効率よく、簡便に、生体分子の検出を行うことができる。特に、従来方法では、標識を付したり、生体分子を流しながら測定することが必要であったのに対して、本発明によって、バッチ法で測定をすることができるようになった。また、従来のケイ素酸化物を用いた電極に比べて、感度が良い検出を行うことができるようになった。また、PNAを用いた場合、電気特性の評価の感度が顕著に増加した。
本発明によれば、酸化タンタルのように誘電率の高いゲート絶縁体を用いたISFETは、従来のSiOなどの低い誘電率を利用したゲート絶縁体に比べて、種々な測定において有利である。例えば、このような材料では、理想的なISFET特性を示し(例えば、酸化タンタル)、水溶液中の塩濃度に依存しない安定した動作示し、測定される電流値の経時による変化が極めて少ないなどの効果がある。
本発明によれば、予め核酸などの生体分子を標識することなく、核酸などの生体分子の相互作用(例えば、ハイブリダイゼーション)を簡便に測定することができる。また、FET素子のような半導体を用いることにより、従来の蛍光顕微鏡などの手段を必要とせず、効率よく電気信号としてこれらの相互作用を迅速に測定することができ、臨床検査現場において、簡便かつ迅速な測定を行うことが可能になる。
特に、核酸は、負電荷を有することから、核酸をFETなどのゲート上に固定して負電荷の変化量によって、ハイブリダイゼーションなどの有無の検出を行うことができる。本発明は、半導体の素子を用いることによって、核酸のハイブリダイゼーション、一塩基多型の検出などの生体分子の形態変化および情報内容の検出を行うことができる。
本発明のゲート電極およびその周辺(半導体素子)の模式例を示す。 本発明のゲート電極に生体分子を結合させる、3’−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)を用いたスキーム例を示す。 本発明のゲート電極に生体分子を結合させる、フェニレンジイソチオシアネートを用いたスキーム例を示す。 本発明のトランジスタを用いた場合の回路例を示す。 DNAとPNAとのTm関係を示す。 実施例1の伝達特性閾値電圧の結果を示す。 実施例6におけるブランクの結果を示す。 図7は、実施例2の静特性飽和電流値の結果を示す。 図8は、実施例1および2の解離反応後の数値変化を示す。 図9は、PNAの代わりにDNAをプローブとして用いた実施例3の結果を示す。 IS−FETを用いたバイオセンサの作製例を示す。 IS−FETを用いたゲート電極の作製例を示す。 Id−Vd特性の例(ssDNAとdsDNAとの比較)を示す。 実施例4において行ったXPSスペクトルおよびIS−FET特性の結果を示す。 IS−FET型DNAチップの作製例を示す。
配列表の説明
配列番号1は、実施例1で作製した15マー合成PNA
配列番号2は、実施例1で作製した15マー合成DNA
配列番号3は、実施例1で使用した、検出対象となる、標的DNA
以下、本発明を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞、形容詞などは、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
(用語の定義)
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。
本明細書において使用される用語「生体分子」とは、生体に関連する分子をいう。本明細書において「生体」とは、生物学的な有機体をいい、動物、植物、菌類、ウイルスなどを含むがそれらに限定されない。従って、本明細書では生体分子は、生体から抽出される分子を包含するが、それに限定されず、生体に影響を与え得る分子(例えば、人工DNA、PNAなど、生体から抽出される核酸と相互作用する分子)であれば生体分子の定義に入る。したがって、コンビナトリアルケミストリで合成された分子、医薬品として利用され得る低分子(たとえば、生体レセプターと相互作用し得る低分子リガンドなど)もまた生体への効果が意図され得るかぎり、生体分子の定義に入る。そのような生体分子には、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド、ペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、核酸(例えば、cDNA、ゲノムDNAのようなDNA、mRNAのようなRNA、改変体であるPNAを含む)、ポリサッカライド、オリゴサッカライド、脂質、低分子(例えば、ホルモン、リガンド、情報伝達物質、有機低分子など)、これらの複合分子(糖脂質、糖タンパク質、リポタンパク質など)などが包含されるがそれらに限定されない。生体分子にはまた、細胞への導入が企図される限り、細胞自体、組織の一部も包含され得る。通常、生体分子は、核酸、タンパク質、脂質、糖、それらの複合体などであり得る。好ましくは、生体分子は、核酸(DNA、RNA、PNAなど)またはタンパク質を含む。別の好ましい実施形態では、生体分子は、核酸(例えば、ゲノムDNAまたはcDNA、あるいはPCRなどによって合成されたDNA、PNAなど)である。
本明細書において使用される用語「タンパク質」、「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」および「ペプチド」は、本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーをいう。このポリマーは、直鎖であっても分岐していてもよく、環状であってもよい。ポリペプチドに含まれるアミノ酸は、天然アミノ酸であっても非天然アミノ酸であってもよく、改変されたアミノ酸(例えば、糖鎖を結合し得る官能基を含むアミノ酸)であってもよい。この用語はまた、複数のポリペプチド鎖の複合体へとアセンブルされたものを包含し得る。この用語はまた、天然または人工的に改変されたアミノ酸ポリマーも包含する。そのような改変としては、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化または任意の他の操作もしくは改変(例えば、標識成分との結合体化)。この定義にはまた、例えば、アミノ酸の1または2以上のアナログを含むポリペプチド(例えば、非天然のアミノ酸などを含む)、ペプチド様化合物(例えば、ペプトイド)および当該分野において公知の他の改変が包含される。
本明細書において使用される用語「核酸」または「核酸分子」は、互換可能に用いられ、塩基部分を有するモノマー(代表的には、ヌクレオチドまたはその改変体)の任意の長さの重合体をいう。ここで、塩基とは、DNA、RNAなどのヌクレオチドのピリミジン核あるいはプリン核をもった通常は塩基性である部分をいう。ヌクレオチドの糖部分および燐酸部分と区別して塩基とよぶ。プリン塩基およびピリミジン塩基に大別され、プリン塩基にはアデニン、グアニンがあり、ピリミジン塩基にはシトシン、ウラシルおよびチミンなどがあるがそれに限定されない。核酸は、代表的には一本鎖、二本鎖などの形態で存在し得る。
本明細書において使用される核酸は、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド誘導体」、「ポリヌクレオチド誘導体」、「DNA」、「RNA」、「PNA」などを含む。従って、核酸は、任意の長さのヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体のポリマーであるといえる。
本明細書において「ヌクレオチド」とは、糖部分がリン酸エステルになっているヌクレオシドをいう。本明細書において「ヌクレオシド」とは、塩基と糖とがN−グリコシド結合をした化合物をいう。核酸は、塩基がピリミジン塩基またはプリン塩基のヌクレオチド(ピリミジンヌクレオチドおよびプリンヌクレオチド)の重合体(ポリヌクレオチド)である。糖部分がD−リボースのものをリボヌクレオチドといい、RNAの加水分解によって得られる.糖部分がD−2’−デオキシリボースのものをデオキシリボヌクレオチドといい、DNAの酵素分解によって得られる。天然のものでも非天然のものでもよい。「ヌクレオチド誘導体」または「ヌクレオチドアナログ」とは、天然に存在するヌクレオチドとは異なるがもとのヌクレオチドと同様の機能を有するものをいう。そのような誘導体ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログは、当該分野において周知である。そのような誘導体ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログの例としては、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート、メチルホスホネート、キラルメチルホスホネート、2−O−メチルリボヌクレオチド、ペプチド−核酸(PNA)が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書において「ペプチド核酸」または「PNA」とは、ヌクレオチドのリン酸骨格が無電荷のペプチド様骨格(代表的に、N−(2−アミノメチル)−グリシン単位)に置き換えられ、各々の単位がアミド結合で結合された核酸をいう。代表的に以下のような式の構造を有する。用語PNAはモノマーおよびポリマーの両方を指す。PNAは一本鎖であっても二本鎖であってもよい。
本明細書において「オリゴヌクレオチド誘導体」または「ポリヌクレオチド誘導体」とは、ヌクレオチドの誘導体を含むか、またはヌクレオチド間の結合が通常とは異なるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドをいい、互換的に使用される。そのようなオリゴヌクレオチドとして具体的には、例えば、2’−O−メチル−リボヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がホスホロチオエート結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がN3’−P5’ホスホロアミデート結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のリボースとリン酸ジエステル結合とがペプチド核酸結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体(ペプチド核酸=PNAともいう)、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5プロピニルウラシルで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5チアゾールウラシルで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のシトシンがC−5プロピニルシトシンで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のシトシンがフェノキサジン修飾シトシン(phenoxazine−modified cytosine)で置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、DNA中のリボースが2’−O−プロピルリボースで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体およびオリゴヌクレオチド中のリボースが2’−メトキシエトキシリボースで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体などが例示される。他にそうではないと示されなければ、特定の核酸配列はまた、明示的に示された配列と同様に、その保存的に改変された改変体(例えば、縮重コドン置換体)および相補配列を包含することが企図される。具体的には、縮重コドン置換体は、1または複数の選択された(または、すべての)コドンの3番目の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換された配列を作成することにより達成され得る(Batzerら、Nucleic Acid Res.19:5081(1991);Ohtsukaら、J.Biol.Chem.260:2605−2608(1985);Rossoliniら、Mol.Cell.Probes 8:91−98(1994))。本発明では、このような配列も使用され得ることが理解される。
核酸の代表例としては、例えば、cDNA、mRNA、ゲノムDNAなどが挙げられるがそれらに限定されない。核酸は、環状(例えば、環状ベクター、プラスミドなど)または直鎖状(例えば、PCR断片)で提供され得る。本発明では直鎖であることが好ましい。
本明細書において、「遺伝子」とは、遺伝形質を規定する因子をいう。通常染色体上に一定の順序に配列している。遺伝子は、通常、核酸によって規定される。従って、核酸の一部または全部は、遺伝子をコードするといえる。遺伝子のうち、タンパク質の一次構造を規定するものを構造遺伝子といい、その発現を左右するものを調節遺伝子(たとえば、プロモーター)という。本明細書では、遺伝子は、特に言及しない限り、構造遺伝子および調節遺伝子を包含する。本明細書では、「遺伝子」は、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「核酸」、「核酸分子」ならびに/または「タンパク質」、「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」および「ペプチド」を指すことがある。
本明細書において、「遺伝子産物」とは、遺伝子から目的のタンパク質またはRNAなどの核酸の生産過程において、生産される目的のタンパク質、核酸などを指す。従って、本明細書においてはまた、「遺伝子産物」は、遺伝子によって発現された「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」「核酸」および「核酸分子」ならびに/または「タンパク質」「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」および「ペプチド」を包含し得る。当業者であれば、遺伝子産物が何たるかはその状況に応じて理解することができる。ある遺伝子配列をコードする核酸分子はまた、「スプライス変異体(改変体)」を包含する。同様に、核酸によりコードされた特定のタンパク質は、その核酸のスプライス改変体によりコードされる任意のタンパク質を包含する。その名が示唆するように「スプライス変異体」は、遺伝子のオルタナティブスプライシングの産物である。転写後、最初の核酸転写物は、異なる(別の)核酸スプライス産物が異なるポリペプチドをコードするようにスプライスされ得る。スプライス変異体の産生機構は変化するが、エキソンのオルタナティブスプライシングを含む。読み過し転写により同じ核酸に由来する別のポリペプチドもまた、この定義に包含される。スプライシング反応の任意の産物(組換え形態のスプライス産物を含む)がこの定義に含まれる。このように本発明では、遺伝子産物の検出も可能であることが理解される。
本明細書において遺伝子(例えば、核酸配列、アミノ酸配列など)の「相同性」とは、2以上の遺伝子配列の、互いに対する同一性の程度をいう。従って、ある2つの遺伝子の相同性が高いほど、それらの配列の同一性または類似性は高い。2種類の遺伝子が相同性を有するか否かは、配列の直接の比較、または核酸の場合ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーション法によって調べられ得る。2つの遺伝子配列を直接比較する場合、その遺伝子配列間でDNA配列が、代表的には少なくとも50%同一である場合、好ましくは少なくとも70%同一である場合、より好ましくは少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である場合、それらの遺伝子は相同性を有する。本明細書において、遺伝子(例えば、核酸配列、アミノ酸配列など)の「類似性」とは、上記相同性において、保存的置換をポジティブ(同一)とみなした場合の、2以上の遺伝子配列の、互いに対する同一性の程度をいう。従って、保存的置換がある場合は、その保存的置換の存在に応じて同一性と類似性とは異なる。また、保存的置換がない場合は、同一性と類似性とは同じ数値を示す。本発明の技術を用いれば、このような相同性の程度も検出および定量することができる。定量は、例えば、電流−電圧(I−V)特性の測定および相同性との相関付けによって実行することができる。そのような類似性、相同性とI−V特性とを相関付ける式は、本明細書の記載に基づいて、当業者は作成することができることが理解される。
人工的に合成した遺伝子を作製するためのDNA合成技術および核酸化学については、例えば、Gait,M.J.(1985).Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRLPress;Gait,M.J.(1990).Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press;Eckstein,F.(1991).Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approac,IRL Press;Adams,R.L.et al.(1992).The Biochemistry of the Nucleic Acids,Chapman&Hall;Shabarova,Z.et al.(1994).Advanced Organic Chemistry of Nucleic Acids,Weinheim;Blackburn,G.M.et al.(1996).Nucleic Acids in Chemistry and Biology,Oxford University Press;Hermanson,G.T.(I996).Bioconjugate Techniques,Academic Pressなどに記載されており、これらは本明細書において関連する部分が参考として援用される。
PNAについては、P.E.Nielsen, M.Egholm, R.H.Berg, and O.Buchardt Science 1991, 254,1497−1500;P.E.Nielsen, M.Egholm, in Peptide Nucleic Acids: Protocols andApplications., Horizon Scientific Press, Norfolk, UK, 1999;Hiroshi Aoki, andYoshio Umezawa Trace analysis of an oligonucleotide with a specific sequenceusing PNA−based ion−channel sensors Analysts 2003, 128, 681−685などを参酌することができる。これらの文献は、それらすべてが本明細書において参考として援用される。
本明細書において、「ストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸」とは、当該分野で慣用される周知の条件をいう。本発明の核酸中から選択された核酸をプローブとして、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法等を用いることにより、そのような核酸を得ることができる。具体的には、核酸を固定した支持体、デバイスなどを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC(saline−sodium citrate)溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM 塩化ナトリウム、15mM クエン酸ナトリウムである)を用い、65℃条件下で支持体、デバイスなどを洗浄することにより同定できる核酸を意味する。ハイブリダイゼーションは、Molecular Cloning 2nd ed.,Current Protocols in Molecular Biology,Supplement 1〜38、DNA Cloning 1:Core Techniques,A Practical Approach,Second Edition,Oxford University Press(1995)等の実験書に記載されている方法に準じて行うことができる。ここで、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列からは、好ましくは、A配列のみまたはT配列のみを含む配列が除外される。「ハイブリダイズ可能な核酸」とは、上記ハイブリダイズ条件下で別の核酸にハイブリダイズすることができる核酸をいう。ハイブリダイズ可能な核酸として具体的には、本発明で具体的に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNAの塩基配列と少なくとも60%以上の相同性を有する核酸、好ましくは80%以上の相同性を有する核酸、さらに好ましくは95%以上の相同性を有する核酸を挙げることができる。
本明細書において「ハイブリダイズ可能な核酸」とは、上記ハイブリダイズ条件下で別の核酸にハイブリダイズすることができる核酸をいう。ハイブリダイズ可能な核酸として具体的には、配列表で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNAの塩基配列と少なくとも60%以上の相同性を有する核酸、好ましくは80%以上の相同性を有する核酸、さらに好ましくは95%以上の相同性を有する核酸を挙げることができる。核酸配列の相同性は、たとえばAltschulら(J.Mol.Biol.215,403−410(1990))が開発したアルゴリズムを使用した検索プログラムBLASTを用いることにより、scoreで類似度が示される。
本明細書において「高度にストリンジェントな条件」は、核酸配列において高度の相補性を有するDNA鎖のハイブリダイゼーションを可能にし、そしてミスマッチを有意に有するDNAのハイブリダイゼーションを除外するように設計された条件をいう。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、主に、温度、イオン強度、およびホルムアミドのような変性剤の条件によって決定される。このようなハイブリダイゼーションおよび洗浄に関する「高度にストリンジェントな条件」の例は、0.0015M塩化ナトリウム、0.0015M クエン酸ナトリウム、65〜68℃、または0.015M 塩化ナトリウム、0.0015M クエン酸ナトリウム、および50% ホルムアミド、42℃である。このような高度にストリンジェントな条件については、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual、 第2版、 ColdSpring Harbor Laboratory(Cold Spring Harbor,N,Y.1989)、同第3版(2001);およびAnderson etal.、Nucleic Acid Hybridization: A Practical approach、IV、IRL Press Limited(Oxford, England).Limited, Oxford, Englandを参照のこと。必要により、よりストリンジェントな条件(例えば、より高い温度、より低いイオン強度、より高いホルムアミド、または他の変性剤)を、使用してもよい。他の薬剤が、非特異的なハイブリダイゼーションおよび/またはバックグラウンドのハイブリダイゼーションを減少する目的で、ハイブリダイゼーション緩衝液および洗浄緩衝液に含まれ得る。そのような他の薬剤の例としては、0.1%ウシ血清アルブミン、0.1%ポリビニルピロリドン、0.1%ピロリン酸ナトリウム、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(NaDodSOまたはSDS)、Ficoll、Denhardt溶液、超音波処理されたサケ精子DNA(または別の非相補的DNA)および硫酸デキストランであるが、他の適切な薬剤もまた、使用され得る。これらの添加物の濃度および型は、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーに実質的に影響を与えることなく変更され得る。ハイブリダイゼーション実験は、通常、pH6.8〜7.4で実施されるが;代表的なイオン強度条件において、ハイブリダイゼーションの速度は、ほとんどpH独立である。Andersonet al.、 Nucleic Acid Hybridization: a Practical Approach、第4章、 IRL Press Limited(Oxford, England)を参照のこと。
DNA二本鎖の安定性に影響を与える因子としては、塩基の組成、長さおよび塩基対不一致の程度が挙げられる。ハイブリダイゼーション条件は、当業者によって調整され得、これらの変数を適用させ、そして異なる配列関連性のDNAがハイブリッドを形成するのを可能にする。完全に一致したDNA二本鎖の融解温度は、以下の式によって概算され得る。
Tm(℃)=81.5+16.6(log[Na+])+0.41(%G+C)−600/N−0.72(%ホルムアミド)
ここで、Nは、形成される二重鎖の長さであり、[Na]は、ハイブリダイゼーション溶液または洗浄溶液中のナトリウムイオンのモル濃度であり、%G+Cは、ハイブリッド中の(グアニン+シトシン)塩基のパーセンテージである。不完全に一致したハイブリッドに関して、融解温度は、各1%不一致(ミスマッチ)に対して約1℃ずつ減少する。
PNAを使用した場合は、例えば、図4に記載される相互関係を参照しながら決定することができる。
本明細書において「中程度にストリンジェントな条件」とは、「高度にストリンジェントな条件」下で生じ得るよりも高い程度の塩基対不一致を有するDNA二重鎖が、形成し得る条件をいう。代表的な「中程度にストリンジェントな条件」の例は、0.015M塩化ナトリウム、0.0015M クエン酸ナトリウム、50〜65℃、または0.015M 塩化ナトリウム、0.0015M クエン酸ナトリウム、および20%ホルムアミド、37〜50℃である。例として、0.015Mナトリウムイオン中、50℃の「中程度にストリンジェントな」条件は、約21%の不一致を許容する。
本明細書において「高度」にストリンジェントな条件と「中程度」にストリンジェントな条件との間に完全な区別は存在しないことがあり得ることが、当業者によって理解される。例えば、0.015Mナトリウムイオン(ホルムアミドなし)において、完全に一致した長いDNAの融解温度は、約71℃である。65℃(同じイオン強度)での洗浄において、これは、約6%不一致を許容にする。より離れた関連する配列を捕獲するために、当業者は、単に温度を低下させ得るか、またはイオン強度を上昇し得る。
約20ヌクレオチドまでのオリゴヌクレオチドプローブについて、1MNaClにおける融解温度の適切な概算は、
Tm=(1つのA−T塩基につき2℃)+(1つのG−C塩基対につき4℃)
によって提供される。なお、6×クエン酸ナトリウム塩(SSC)におけるナトリウムイオン濃度は、1Mである(Suggsら、Developmental Biology Using Purified Genes、683頁、Brown andFox(編)(1981)を参照のこと)。PNAを使用した場合は、例えば、図4に記載される相互関係を参照しながら決定することができる。
本明細書において配列(アミノ酸または核酸など)の「同一性」、「相同性」および「類似性」のパーセンテージは、比較ウィンドウで最適な状態に整列された配列2つを比較することによって求めることも可能である。ここで、ポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の比較ウィンドウ内の部分には、2つの配列の最適なアライメントについての基準配列(他の配列に付加が含まれていればギャップが生じることもあるが、ここでの基準配列は付加も欠失もないものとする)と比較したときに、付加または欠失(すなわちギャップ)が含まれる場合がある。同一の核酸塩基またはアミノ酸残基がどちらの配列にも認められる位置の数を求めることによって、マッチ位置の数を求め、マッチ位置の数を比較ウィンドウ内の総位置数で割り、得られた結果に100を掛けて同一性のパーセンテージを算出する。検索において使用される場合、相同性については、従来技術において周知のさまざまな配列比較アルゴリズムおよびプログラムの中から、適当なものを用いて評価する。このようなアルゴリズムおよびプログラムとしては、TBLASTN、BLASTP、FASTA、TFASTAおよびCLUSTALW(Pearsonand Lipman, 1988, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85(8): 2444−2448、 Altschul et al., 1990, J.Mol.Biol.215 (3): 403−410、 Thompsonet al., 1994, Nucleic Acids Res.22(2): 4673−4680、 Higgins et al., 1996, MethodsEnzymol.266: 383−402、 Altschul et al., 1990, J.Mol.Biol.215(3): 403−410、 Altschulet al., 1993, Nature Genetics 3: 266−272)があげられるが、何らこれに限定されるものではない。特に好ましい実施形態では、従来技術において周知のBasic Local Alignment Search Tool (BLAST)(たとえば、Karlinand Altschul, 1990, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87: 2267−2268、 Altschul et al., 1990, J.Mol.Biol.215: 403−410、 Altschul et al., 1993, Nature Genetics 3: 266−272、Altschul et al., 1997, Nuc.Acids Res.25: 3389−3402を参照のこと)を用いてタンパク質および核酸配列の相同性を評価する。特に、5つの専用BLASTプログラムを用いて以下の作業を実施することによって比較または検索が達成され得る。
(1) BLASTPおよびBLAST3でアミノ酸のクエリー配列をタンパク質配列データベースと比較;
(2) BLASTNでヌクレオチドのクエリー配列をヌクレオチド配列データベースと比較;
(3) BLASTXでヌクレオチドのクエリー配列(両方の鎖)を6つの読み枠で変換した概念的翻訳産物をタンパク質配列データベースと比較;
(4) TBLASTNでタンパク質のクエリー配列を6つの読み枠(両方の鎖)すべてで変換したヌクレオチド配列データベースと比較;
(5) TBLASTXでヌクレオチドのクエリ配列を6つの読み枠で変換したものを、6つの読み枠で変換したヌクレオチド配列データベースと比較。
BLASTプログラムは、アミノ酸のクエリ配列または核酸のクエリ配列と、好ましくはタンパク質配列データベースまたは核酸配列データベースから得られた被検配列との間で、「ハイスコアセグメント対」と呼ばれる類似のセグメントを特定することによって相同配列を同定するものである。ハイスコアセグメント対は、多くのものが従来技術において周知のスコアリングマトリックスによって同定(すなわち整列化)されると好ましい。好ましくは、スコアリングマトリックスとしてBLOSUM62マトリックス(Gonnet et al., 1992, Science 256: 1443−1445、 Henikoff and Henikoff, 1993, Proteins17: 49−61)を使用する。このマトリックスほど好ましいものではないが、PAMまたはPAM250マトリックスも使用できる(たとえば、Schwartzand Dayhoff, eds., 1978, Matrices for Detecting Distance Relationships: Atlasof Protein Sequence and Structure, Washington: National Biomedical ResearchFoundationを参照のこと)。BLASTプログラムは、同定されたすべてのハイスコアセグメント対の統計的な有意性を評価し、好ましくはユーザー固有の相同率などのユーザーが独自に定める有意性の閾値レベルを満たすセグメントを選択する。統計的な有意性を求めるKarlinの式を用いてハイスコアセグメント対の統計的な有意性を評価すると好ましい(Karlinand Altschul, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci.USA 87: 2267−2268を参照のこと)。このような相同性の計算は、そのような計算プログラムをコンピュータに実施させることによって実行することができる。
本明細書において、「改変体」とは、もとのポリペプチドまたはポリヌクレオチドなどの物質に対して、一部が変更されているものをいう。そのような改変体としては、置換改変体、付加改変体、欠失改変体、短縮(truncated)改変体、対立遺伝子変異体などが挙げられる。対立遺伝子(allele)とは、同一遺伝子座に属し、互いに区別される遺伝的改変体のことをいう。従って、「対立遺伝子変異体」とは、ある遺伝子に対して、対立遺伝子の関係にある改変体をいう。そのような対立遺伝子変異体は、通常その対応する対立遺伝子と同一または非常に類似性の高い配列を有し、通常はほぼ同一の生物学的活性を有するが、まれに異なる生物学的活性を有することもある。「種相同体またはホモログ(homolog)」とは、ある種の中で、ある遺伝子とアミノ酸レベルまたはヌクレオチドレベルで、相同性(好ましくは、60%以上の相同性、より好ましくは、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上の相同性)を有するものをいう。そのような種相同体を取得する方法は、本明細書の記載から明らかである。「オルソログ(ortholog)」とは、オルソロガス遺伝子(orthologous gene)ともいい、二つの遺伝子がある共通祖先からの種分化に由来する遺伝子をいう。例えば、多重遺伝子構造をもつヘモグロビン遺伝子ファミリーを例にとると、ヒトおよびマウスのαヘモグロビン遺伝子はオルソログであるが,ヒトのαヘモグロビン遺伝子およびβヘモグロビン遺伝子はパラログ(遺伝子重複で生じた遺伝子)である。オルソログは、分子系統樹の推定に有用である。オルソログは、通常別の種においてもとの種と同様の機能を果たしていることがあり得ることから、本発明のオルソログもまた、本発明において有用であり得る。
「保存的(に改変された)改変体」は、アミノ酸配列および核酸配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関して、保存的に改変された改変体とは、同一のまたは本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸をいい、核酸がアミノ酸配列をコードしない場合には、本質的に同一な配列をいう。遺伝コードの縮重のため、多数の機能的に同一な核酸が任意の所定のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCG、およびGCUはすべて、アミノ酸アラニンをコードする。したがって、アラニンがコドンにより特定される全ての位置で、そのコドンは、コードされたポリペプチドを変更することなく、記載された対応するコドンの任意のものに変更され得る。このような核酸の変動は、保存的に改変された変異の1つの種である「サイレント改変(変異)」である。ポリペプチドをコードする本明細書中のすべての核酸配列はまた、その核酸の可能なすべてのサイレント変異を記載する。当該分野において、核酸中の各コドン(通常メチオニンのための唯一のコドンであるAUG、および通常トリプトファンのための唯一のコドンであるTGGを除く)が、機能的に同一な分子を産生するために改変され得ることが理解される。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、記載された各配列において暗黙に含まれる。好ましくは、そのような改変は、ポリペプチドの高次構造に多大な影響を与えるアミノ酸であるシステインの置換を回避するようになされ得る。このような塩基配列の改変法としては、制限酵素などによる切断、DNAポリメラーゼ、Klenowフラグメント、DNAリガーゼなどによる処理等による連結等の処理、合成オリゴヌクレオチドなどを用いた部位特異的塩基置換法(特定部位指向突然変異法;Mark Zoller and Michael Smith,Methods in Enzymology,100,468−500(1983))が挙げられるが、この他にも通常分子生物学の分野で用いられる方法によって改変を行うこともできる。
本明細書において「アミノ酸」とは、当該分野において通常用いられる意味で用いられ、カルボキシル基とアミノ基とを有する有機化合物をいう。本明細書においてアミノ酸は、天然アミノ酸であっても非天然アミノ酸であっても良い。
アミノ酸は、その一般に公知の3文字記号か、またはIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される1文字記号のいずれかにより、本明細書中で言及され得る。ヌクレオチドも同様に、一般に認知された1文字コードにより言及され得る。
その文字コードは以下のとおりである。
塩基
記号 意味
a アデニン
g グアニン
c シトシン
t チミン
u ウラシル
r グアニン又はアデニンプリン
y チミン/ウラシル又はシトシンピリミジン
m アデニン又はシトシンアミノ基
k グアニン又はチミン/ウラシルケト基
s グアニン又はシトシン
w アデニン又はチミン/ウラシル
b グアニン又はシトシン又はチミン/ウラシル
d アデニン又はグアニン又はチミン/ウラシル
h アデニン又はシトシン又はチミン/ウラシル
v アデニン又はグアニン又はシトシン
n アデニン又はグアニン又はシトシン又はチミン/ウラシル、不明、または他の塩基

3文字記号 1文字記号 意味
Ala A アラニン
Cys C システイン
Asp D アスパラギン酸
Glu E グルタミン酸
Phe F フェニルアラニン
Gly G グリシン
His H ヒスチジン
Ile I イソロイシン
Lys K リジン
Leu L ロイシン
Met M メチオニン
Asn N アスパラギン
Pro P プロリン
Gln Q グルタミン
Arg R アルギニン
Ser S セリン
Thr T トレオニン
Val V バリン
Trp W トリプトファン
Tyr Y チロシン
Asx アスパラギン又はアスパラギン酸
Glx グルタミン又はグルタミン酸
Xaa 不明又は他のアミノ酸。
本明細書では、アミノ酸配列および塩基配列の類似性、同一性および相同性の比較は、配列分析用ツールであるBLASTを用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。
本明細書において生体分子の「固定」は、当該分野において周知の任意の方法によって実施することができる。そのような固定は、例えば、共有結合、水素結合などの相互作用を利用することによって行うことができる。固定には、共有結合を用いることが好ましい。
本明細書において「層状」の形態とは、原子が共有結合などによって強く結合して密に配列した面がファン・デル・ワールス力など弱い結合力によって平行に積み重なった構造をいう。本明細書では、層というときは、単層および多層の両方を含み得ることが理解される。
本明細書において「膜状」の形態とは、原子が共有結合などによって強く結合して密に配列した面で存在する構造をいう。
本明細書において「プローブ」とは、インビトロおよび/またはインビボなどのスクリーニングなどの生物学的実験において用いられる、検索の対象を検出するための物質をいい、例えば、特定の塩基配列を含む核酸分子または特定のアミノ酸配列を含むペプチドなどが挙げられるがそれに限定されない。
通常プローブとして用いられる核酸分子としては、目的とする遺伝子の核酸配列と相同なまたは相補的な、少なくとも8の連続するヌクレオチド長の核酸配列を有するものが挙げられる。そのような核酸配列は、好ましくは、少なくとも9の連続するヌクレオチド長の、より好ましく10の連続するヌクレオチド長の、さらに好ましくは11の連続するヌクレオチド長の、12の連続するヌクレオチド長の、13の連続するヌクレオチド長の、14の連続するヌクレオチド長の、15の連続するヌクレオチド長の、20の連続するヌクレオチド長の、25の連続するヌクレオチド長の、30の連続するヌクレオチド長の、40の連続するヌクレオチド長の、50の連続するヌクレオチド長の、核酸配列であり得る。プローブとして使用される核酸配列には、上述の配列に対して、少なくとも70%相同な、より好ましくは、少なくとも80%相同な、さらに好ましくは、90%相同な、95%相同な核酸配列が含まれる。
本明細書における「プライマー」とは、高分子合成酵素反応において、合成される高分子化合物の反応の開始に必要な物質をいう。核酸分子の合成反応では、合成されるべき高分子化合物の一部の配列に相補的な核酸分子(例えば、DNAまたはRNAなど)が用いられ得る。
通常プライマーとして用いられる核酸分子としては、目的とする遺伝子の核酸配列と相補的な、少なくとも8の連続するヌクレオチド長の核酸配列を有するものが挙げられる。そのような核酸配列は、好ましくは、少なくとも9の連続するヌクレオチド長の、より好ましく10の連続するヌクレオチド長の、さらに好ましくは11の連続するヌクレオチド長の、12の連続するヌクレオチド長の、13の連続するヌクレオチド長の、14の連続するヌクレオチド長の、15の連続するヌクレオチド長の、16の連続するヌクレオチド長の、17の連続するヌクレオチド長の、18の連続するヌクレオチド長の、19の連続するヌクレオチド長の、20の連続するヌクレオチド長の、25の連続するヌクレオチド長の、30の連続するヌクレオチド長の、40の連続するヌクレオチド長の、50の連続するヌクレオチド長の、核酸配列であり得る。プローブとして使用される核酸配列には、上述の配列に対して、少なくとも70%相同な、より好ましくは、少なくとも80%相同な、さらに好ましくは、90%相同な、95%相同な核酸配列が含まれる。プライマーとして適切な配列は、合成(増幅)が意図される配列の性質によって変動し得るが、当業者は、意図される配列に応じて適宜プライマーを設計することができる。そのようなプライマーの設計は当該分野において周知であり、手動でおこなってもよくコンピュータプログラム(例えば、LASERGENE,PrimerSelect,DNAStar)を用いて行ってもよい。
本明細書において、「エピトープ」とは、抗原決定基をいう。従って、エピトープには特定の免疫グロブリンによる認識に関与するアミノ酸残基のセット、または、T細胞の場合は、T細胞レセプタータンパク質および/もしくは主要組織適合性複合体(MHC)レセプターによる認識について必要であるアミノ酸残基のセットが包含される。この用語はまた、「抗原決定基」または「抗原決定部位」と交換可能に使用される。免疫系分野において、インビボまたはインビトロで、エピトープは、分子の特徴(例えば、一次ペプチド構造、二次ペプチド構造または三次ペプチド構造および電荷)であり、免疫グロブリン、T細胞レセプターまたはHLA分子によって認識される部位を形成する。ペプチドを含むエピトープは、エピトープに独特な空間的コンフォメーション中に3つ以上のアミノ酸を含み得る。一般に、エピトープは、少なくとも5つのこのようなアミノ酸からなり、代表的には少なくとも6つ、7つ、8つ、9つ、または10のこのようなアミノ酸からなる。エピトープの長さは、より長いほど、もとのペプチドの抗原性に類似することから一般的に好ましいが、コンフォメーションを考慮すると、必ずしもそうでないことがある。アミノ酸の空間的コンフォメーションを決定する方法は、当該分野で公知であり、例えば、X線結晶学、および2次元核磁気共鳴分光法を含む。さらに、所定のタンパク質におけるエピトープの同定は、当該分野で周知の技術を使用して容易に達成される。例えば、Geysenら(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998(所定の抗原における免疫原性エピトープの位置を決定するために迅速にペプチドを合成する一般的な方法);米国特許第4,708,871号(抗原のエピトープを同定し、そして化学的に合成するための手順);およびGeysenら(1986)Molecular Immunology 23:709(所定の抗体に対して高い親和性を有するペプチドを同定するための技術)を参照されたい。同じエピトープを認識する抗体は、単純な免疫アッセイにおいて同定され得る。このように、ペプチドを含むエピトープを決定する方法は、当該分野において周知であり、そのようなエピトープは、核酸またはアミノ酸の一次配列が提供されると、当業者はそのような周知慣用技術を用いて決定することができる。
本明細書において「1塩基多型」(SNPs)とは、ゲノム配列において、1塩基の違いによってのみ識別可能な改変体(variant)をいう。SNPsは、通常、個人の特性を規定する。そのような特性には、疾患罹患感受性などが含まれている。
(化合物)
本明細書において「非ケイ素酸化物」とは、絶縁体(または誘電体)として用いられ得る、ケイ素酸化物以外の物質を指す。代表的には、ケイ素酸化物以外の酸化物が挙げられるがそれらに限定されない。好ましい非ケイ素酸化物には、酸化金属を上げることができるがそれに限定されない。
本明細書において「絶縁体」とは、実質的に電気を伝えない物質をいう。実際上,電気伝導率が十分小さいものをさす。従って、絶縁体としては、抵抗が大きな(例えば、1010Ω・cm以上)の物質を使用することができる。そのような絶縁体としては、二酸化ケイ素、非ケイ素酸化物などを挙げる事ができるがそれらに限定されない。本発明では、ゲート端子、ドレイン端子、ソース端子などの絶縁体の材料としては、通常の半導体において使用される任意の絶縁体が使用され得ることが理解される。
本明細書において「酸化金属」とは、任意の金属の酸化物をいう。酸化金属としては、例えば、酸化タンタル(Ta)、酸化カルシウム(CaO)、酸化鉛(PbO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化トリウム(ThO)、酸化アンチモン(Sb)、一酸化チタン(TiO)、二酸化チタン(TiO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化イッテルビウム(Yb)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化セリウム(CeO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ガドリニウム(Gd)、酸化クロム(Cr)、酸化タングステン(WO)、酸化銅(I)(CuO)、酸化銅(II)(CuO)、酸化鉄(II)(FeO)、酸化鉄(III)(Fe)、酸化ニッケル(NiO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化サマリウム(Sm)、酸化ネオジム(Nd)、酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)、酸化カドミウム(CdO)、酸化マンガン(MnO)、一酸化バリウム(BaO)、二酸化バリウム(BaO)などを挙げることができるがそれらに限定されない。
本明細書において「シランカップリング剤」とは、Si原子を有する、2つの化合物と化学結合できる官能基をもつ有機ケイ素化合物をいう。通常、Y〜CHSiXの一般式を有する。Xはアルコキシ基、ハロゲンなどの加水分解性の置換基で無機質などと反応し、Yとしては有機物質と反応しやすいビニル基、エポキシ基、アミノ基などが代表例として挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において「アミノシラン含有物質」とは、アミノ基を有するシラン化合物をいう。アミノシラン含有物質は、シランカップリング剤として使用される。そのようなアミノシラン含有物質としては、例えば、ω’−アミノアルキルトリアルコキシシラン(代表的には、3’−アミノプロピルトリエトキシシラン)を挙げることができるがそれらに限定されない。
本明細書において「クロスリンカー」とは、架橋剤とも呼ばれ、2つの分子の間に共有結合を生成することによって架橋する物質をいう。そのようなクロスリンカーとしては、例えば、アルデヒド類(例えば、グルタルアルデヒド)、カルボジイミド類、イミドエステル類など挙げることができるがそれらに限定されない。アミノ基含有物質を架橋する場合、アルデヒド含有基、例えば、グルタルアルデヒドを用いることが好ましい。
本明細書において「酸処理」とは、任意の酸に、ある物質を浸すことをいう。アミノシラン含有物質などを基板(代表的には、無機材料で構成される)に結合させる場合、このような酸処理をすることが好ましいことが知られる。
本明細書において「紫外線照射」とは、ある物質を紫外線に照射することをいう。本明細書において「紫外線」とは、可視光線の短波長端約360〜400nmを上限とし,下限は約1nmまでの波長範囲の電磁波をいう。下限はあまり明確でなく,数十nm以下は軟X線と重なることから、本明細書では、X線と重複する範囲をさすことが理解される。光源にとしては、例えば、石英水銀灯、炭素アーク灯、火花放電、水素または希ガスの放電、シンクロトロン放射などが用いられ得るがそれらに限定されない。紫外線照射は、光量計による測定などによって測量することができる。
本明細書において「還元」とは、当該分野において通常使用されるのと同じ意味で使用され、酸化状態を低くすることをいう。そのような還元には、任意の還元剤(例えば、シッフ塩基の二重結合を単結合にすることができる任意の還元剤;例えば、水素化シアノホウ素ナトリウム(NaCNBH)、ジメチルアミンボラン((CHHNBH)、トリメチルアミンボラン((CHNBH)、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)、ボラン(BH)、アニリン(CNH)、ヒドラジン(N)、クエン酸(C)、シュウ酸((COOH))、水素化リチウムアルミニウム(LiAlH)、ヒドロキノン(C(OH))など)を用いることができるが、好ましくは、NaCNBHを用いることができる。
本発明で使用されるリンカーは、代表的に、一部が無機物と親和性がある部分であり、他の一部が有機物と親和性がある部分である。そのような有機物と親和性がある部分は、通常、任意の有機置換基を有する。以下に本発明のリンカーにおいて含有され得る有機置換基を説明する。
本明細書において「アルキル」とは、メタン、エタン、プロパンのような脂肪族炭化水素(アルカン)から水素原子が一つ失われて生ずる1価の基をいい、一般にC2n+1−で表される(ここで、nは正の整数である)。アルキルは、直鎖または分枝鎖であり得る。本明細書において「置換されたアルキル」とは、以下に規定する置換基によってアルキルのHが置換されたアルキルをいう。これらの具体例は、C1〜C2アルキル、C1〜C3アルキル、C1〜C4アルキル、C1〜C5アルキル、C1〜C6アルキル、C1〜C7アルキル、C1〜C8アルキル、C1〜C9アルキル、C1〜C10アルキル、C1〜C11アルキルまたはC1〜C12アルキル、C1〜C2置換されたアルキル、C1〜C3置換されたアルキル、C1〜C4置換されたアルキル、C1〜C5置換されたアルキル、C1〜C6置換されたアルキル、C1〜C7置換されたアルキル、C1〜C8置換されたアルキル、C1〜C9置換されたアルキル、C1〜C10置換されたアルキル、C1〜C11置換されたアルキルまたはC1〜C12置換されたアルキルであり得る。ここで、例えばC1〜C10アルキルとは、炭素原子を1〜10個有する直鎖または分枝状のアルキルを意味し、メチル(CH−)、エチル(C−)、n−プロピル(CHCHCH−)、イソプロピル((CHCH−)、n−ブチル(CHCHCHCH−)、n−ペンチル(CHCHCHCHCH−)、n−ヘキシル(CHCHCHCHCHCH−)、n−ヘプチル(CHCHCHCHCHCHCH−)、n−オクチル(CHCHCHCHCHCHCHCH−)、n−ノニル(CHCHCHCHCHCHCHCHCH−)、n−デシル(CHCHCHCHCHCHCHCHCHCH−)、−C(CHCHCHCH(CH、−CHCH(CHなどが例示される。また、例えば、C1〜C10置換されたアルキルとは、C1〜C10アルキルであって、そのうち1または複数の水素原子が置換基により置換されているものをいう。
本明細書において「置換されていてもよいアルキル」とは、上で定義した「アルキル」または「置換されたアルキル」のいずれであってもよいことを意味する。
本明細書において「アルキレン」とは、メチレン、エチレン、プロピレンのような脂肪族炭化水素(アルカン)から水素原子が二つ失われて生ずる2価の基をいい、一般に−C2n−で表される(ここで、nは正の整数である)。アルキレンは、直鎖または分枝鎖であり得る。本明細書において「置換されたアルキレン」とは、以下に規定する置換基によってアルキレンのHが置換されたアルキレンをいう。これらの具体例は、C1〜C2アルキレン、C1〜C3アルキレン、C1〜C4アルキレン、C1〜C5アルキレン、C1〜C6アルキレン、C1〜C7アルキレン、C1〜C8アルキレン、C1〜C9アルキレン、C1〜C10アルキレン、C1〜C11アルキレンまたはC1〜C12アルキレン、C1〜C2置換されたアルキレン、C1〜C3置換されたアルキレン、C1〜C4置換されたアルキレン、C1〜C5置換されたアルキレン、C1〜C6置換されたアルキレン、C1〜C7置換されたアルキレン、C1〜C8置換されたアルキレン、C1〜C9置換されたアルキレン、C1〜C10置換されたアルキレン、C1〜C11置換されたアルキレンまたはC1〜C12置換されたアルキレンであり得る。ここで、例えばC1〜C10アルキレンとは、炭素原子を1〜10個有する直鎖または分枝状のアルキレンを意味し、メチレン(−CH−)、エチレン(−C−)、n−プロピレン(−CHCHCH−)、イソプロピレン(−(CHC−)、n−ブチレン(−CHCHCHCH−)、n−ペンチレン(−CHCHCHCHCH−)、n−ヘキシレン(−CHCHCHCHCHCH−)、n−ヘプチレン(−CHCHCHCHCHCHCH−)、n−オクチレン(−CHCHCHCHCHCHCHCH−)、n−ノニレン(−CHCHCHCHCHCHCHCHCH−)、n−デシレン(−CHCHCHCHCHCHCHCHCHCH−)、−CHC(CH−などが例示される。また、例えば、C1〜C10置換されたアルキレンとは、C1〜C10アルキレンであって、そのうち1または複数の水素原子が置換基により置換されているものをいう。本明細書において「アルキレン」は、酸素原子および硫黄原子から選択される原子を1またはそれ以上含んでいてもよい。
本明細書において「置換されていてもよいアルキレン」とは、上で定義した「アルキレン」または「置換されたアルキレン」のいずれであってもよいことを意味する。
本明細書において「シクロアルキル」とは、環式構造を有するアルキルをいう。「置換されたシクロアルキル」とは、以下に規定する置換基によってシクロアルキルのHが置換されたシクロアルキルをいう。具体例としては、C3〜C4シクロアルキル、C3〜C5シクロアルキル、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C7シクロアルキル、C3〜C8シクロアルキル、C3〜C9シクロアルキル、C3〜C10シクロアルキル、C3〜C11シクロアルキル、C3〜C12シクロアルキル、C3〜C4置換されたシクロアルキル、C3〜C5置換されたシクロアルキル、C3〜C6置換されたシクロアルキル、C3〜C7置換されたシクロアルキル、C3〜C8置換されたシクロアルキル、C3〜C9置換されたシクロアルキル、C3〜C10置換されたシクロアルキル、C3〜C11置換されたシクロアルキルまたはC3〜C12置換されたシクロアルキルであり得る。例えば、シクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロヘキシルなどが例示される。
本明細書において「置換されていてもよいシクロアルキル」とは、上で定義した「シクロアルキル」または「置換されたシクロアルキル」のいずれであってもよいことを意味する。
本明細書において「アルケニル」とは、分子内に二重結合を一つ有する脂肪族炭化水素から水素原子が一つ失われて生ずる1価の基をいい、一般にC2n−1−で表される(ここで、nは2以上の正の整数である)。「置換されたアルケニル」とは、以下に規定する置換基によってアルケニルのHが置換されたアルケニルをいう。具体例としては、C2〜C3アルケニル、C2〜C4アルケニル、C2〜C5アルケニル、C2〜C6アルケニル、C2〜C7アルケニル、C2〜C8アルケニル、C2〜C9アルケニル、C2〜C10アルケニル、C2〜C11アルケニルまたはC2〜C12アルケニル、C2〜C3置換されたアルケニル、C2〜C4置換されたアルケニル、C2〜C5置換されたアルケニル、C2〜C6置換されたアルケニル、C2〜C7置換されたアルケニル、C2〜C8置換されたアルケニル、C2〜C9置換されたアルケニル、C2〜C10置換されたアルケニル、C2〜C11置換されたアルケニルまたはC2〜C12置換されたアルケニルであり得る。ここで、例えばC2〜C10アルキルとは、炭素原子を2〜10個含む直鎖または分枝状のアルケニルを意味し、ビニル(CH=CH−)、アリル(CH=CHCH−)、CHCH=CH−などが例示される。また、例えば、C2〜C10置換されたアルケニルとは、C2〜C10アルケニルであって、そのうち1または複数の水素原子が置換基により置換されているものをいう。
本明細書において「置換されていてもよいアルケニル」とは、上で定義した「アルケニル」または「置換されたアルケニル」のいずれであってもよいことを意味する。
本明細書において「アルケニレン」とは、分子内に二重結合を一つ有する脂肪族炭化水素から水素原子が二つ失われて生ずる2価の基をいい、一般に−C2n−2−で表される(ここで、nは2以上の正の整数である)。「置換されたアルケニレン」とは、以下に規定する置換基によってアルケニレンのHが置換されたアルケニレンをいう。具体例としては、C2〜C25アルケニレンまたはC2〜C25置換されたアルケニレンが挙げられ、なかでも特にC2〜C3アルケニレン、C2〜C4アルケニレン、C2〜C5アルケニレン、C2〜C6アルケニレン、C2〜C7アルケニレン、C2〜C8アルケニレン、C2〜C9アルケニレン、C2〜C10アルケニレン、C2〜C11アルケニレンまたはC2〜C12アルケニレン、C2〜C3置換されたアルケニレン、C2〜C4置換されたアルケニレン、C2〜C5置換されたアルケニレン、C2〜C6置換されたアルケニレン、C2〜C7置換されたアルケニレン、C2〜C8置換されたアルケニレン、C2〜C9置換されたアルケニレン、C2〜C10置換されたアルケニレン、C2〜C11置換されたアルケニレンまたはC2〜C12置換されたアルケニレンが好ましい。ここで、例えばC2〜C10アルキルとは、炭素原子を2〜10個含む直鎖または分枝状のアルケニレンを意味し、−CH=CH−、−CH=CHCH−、−(CH)C=CH−などが例示される。また、例えば、C2〜C10置換されたアルケニレンとは、C2〜C10アルケニレンであって、そのうち1または複数の水素原子が置換基により置換されているものをいう。本明細書において「アルケニレン」は、酸素原子および硫黄原子から選択される原子を1またはそれ以上含んでいてもよい。
本明細書において「置換されていてもよいアルケニレン」とは、上で定義した「アルケニレン」または「置換されたアルケニレン」のいずれであってもよいことを意味する。
本明細書において「シクロアルケニル」とは、環式構造を有するアルケニルをいう。「置換されたシクロアルケニル」とは、以下に規定する置換基によってシクロアルケニルのHが置換されたシクロアルケニルをいう。具体例としては、C3〜C4シクロアルケニル、C3〜C5シクロアルケニル、C3〜C6シクロアルケニル、C3〜C7シクロアルケニル、C3〜C8シクロアルケニル、C3〜C9シクロアルケニル、C3〜C10シクロアルケニル、C3〜C11シクロアルケニル、C3〜C12シクロアルケニル、C3〜C4置換されたシクロアルケニル、C3〜C5置換されたシクロアルケニル、C3〜C6置換されたシクロアルケニル、C3〜C7置換されたシクロアルケニル、C3〜C8置換されたシクロアルケニル、C3〜C9置換されたシクロアルケニル、C3〜C10置換されたシクロアルケニル、C3〜C11置換されたシクロアルケニルまたはC3〜C12置換されたシクロアルケニルであり得る。例えば、好ましいシクロアルケニルとしては、1−シクロペンテニル、2−シクロヘキセニルなどが例示される。
本明細書において「置換されていてもよいシクロアルケニル」とは、上で定義した「シクロアルケニル」または「置換されたシクロアルケニル」のいずれであってもよいことを意味する。
本明細書において「アルキニル」とは、アセチレンのような、分子内に三重結合を一つ有する脂肪族炭化水素から水素原子が一つ失われて生ずる1価の基をいい、一般にC2n−3−で表される(ここで、nは2以上の正の整数である)。「置換されたアルキニル」とは、以下に規定する置換基によってアルキニルのHが置換されたアルキニルをいう。具体例としては、C2〜C3アルキニル、C2〜C4アルキニル、C2〜C5アルキニル、C2〜C6アルキニル、C2〜C7アルキニル、C2〜C8アルキニル、C2〜C9アルキニル、C2〜C10アルキニル、C2〜C11アルキニル、C2〜C12アルキニル、C2〜C3置換されたアルキニル、C2〜C4置換されたアルキニル、C2〜C5置換されたアルキニル、C2〜C6置換されたアルキニル、C2〜C7置換されたアルキニル、C2〜C8置換されたアルキニル、C2〜C9置換されたアルキニル、C2〜C10置換されたアルキニル、C2〜C11置換されたアルキニルまたはC2〜C12置換されたアルキニルであり得る。ここで、例えば、C2〜C10アルキニルとは、例えば炭素原子を2〜10個含む直鎖または分枝状のアルキニルを意味し、エチニル(CH≡C−)、1−プロピニル(CHC≡C−)などが例示される。また、例えば、C2〜C10置換されたアルキニルとは、C2〜C10アルキニルであって、そのうち1または複数の水素原子が置換基により置換されているものをいう。
本明細書において「置換されていてもよいアルキニル」とは、上で定義した「アルキニル」または「置換されたアルキニル」のいずれであってもよいことを意味する。
本明細書において「アルコキシ」とは、アルコール類のヒドロキシ基の水素原子が失われて生ずる1価の基をいい、一般にC2n+1O−で表される(ここで、nは1以上の整数である)。「置換されたアルコキシ」とは、以下に規定する置換基によってアルコキシのHが置換されたアルコキシをいう。具体例としては、C1〜C2アルコキシ、C1〜C3アルコキシ、C1〜C4アルコキシ、C1〜C5アルコキシ、C1〜C6アルコキシ、C1〜C7アルコキシ、C1〜C8アルコキシ、C1〜C9アルコキシ、C1〜C10アルコキシ、C1〜C11アルコキシ、C1〜C12アルコキシ、C1〜C2置換されたアルコキシ、C1〜C3置換されたアルコキシ、C1〜C4置換されたアルコキシ、C1〜C5置換されたアルコキシ、C1〜C6置換されたアルコキシ、C1〜C7置換されたアルコキシ、C1〜C8置換されたアルコキシ、C1〜C9置換されたアルコキシ、C1〜C10置換されたアルコキシ、C1〜C11置換されたアルコキシまたはC1〜C12置換されたアルコキシであり得る。ここで、例えば、C1〜C10アルコキシとは、炭素原子を1〜10個含む直鎖または分枝状のアルコキシを意味し、メトキシ(CHO−)、エトキシ(CO−)、n−プロポキシ(CHCHCHO−)などが例示される。
本明細書において「置換されていてもよいアルコキシ」とは、上で定義した「アルコキシ」または「置換されたアルコキシ」のいずれであってもよいことを意味する。
本明細書において「ヘテロ環(基)」とは、炭素およびヘテロ原子をも含む環状構造を有する基をいう。ここで、ヘテロ原子は、O、SおよびNからなる群より選択され、同一であっても異なっていてもよく、1つ含まれていても2以上含まれていてもよい。ヘテロ環基は、芳香族系または非芳香族系であり得、そして単環式または多環式であり得る。ヘテロ環基は置換されていてもよい。
本明細書において「置換されていてもよいヘテロ環(基)」とは、上で定義した「ヘテロ環(基)」または「置換されたヘテロ環(基)」のいずれであってもよいことを意味する。
本明細書において「アルコール」とは、脂肪族炭化水素の1または2以上の水素原子をヒドロキシル基で置換した有機化合物をいう。本明細書においては、ROHとも表記される。ここで、Rは、アルキル基である。好ましくは、Rは、C1〜C6アルキルであり得る。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなどが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において「炭素環基」とは、炭素のみを含む環状構造を含む基であって、前記の「シクロアルキル」、「置換されたシクロアルキル」、「シクロアルケニル」、「置換されたシクロアルケニル」以外の基をいう。炭素環基は芳香族系または非芳香族系であり得、そして単環式または多環式であり得る。「置換された炭素環基」とは、以下に規定する置換基によって炭素環基のHが置換された炭素環基をいう。具体例としては、C3〜C4炭素環基、C3〜C5炭素環基、C3〜C6炭素環基、C3〜C7炭素環基、C3〜C8炭素環基、C3〜C9炭素環基、C3〜C10炭素環基、C3〜C11炭素環基、C3〜C12炭素環基、C3〜C4置換された炭素環基、C3〜C5置換された炭素環基、C3〜C6置換された炭素環基、C3〜C7置換された炭素環基、C3〜C8置換された炭素環基、C3〜C9置換された炭素環基、C3〜C10置換された炭素環基、C3〜C11置換された炭素環基またはC3〜C12置換された炭素環基であり得る。炭素環基はまた、C4〜C7炭素環基またはC4〜C7置換された炭素環基であり得る。炭素環基としては、フェニル基から水素原子が1個欠失したものが例示される。ここで、水素の欠失位置は、化学的に可能な任意の位置であり得、芳香環上であってもよく、非芳香環上であってもよい。
本明細書において「置換されていてもよい炭素環基」とは、上で定義した「炭素環基」または「置換された炭素環基」のいずれであってもよいことを意味する。
本明細書において「ヘテロ環基」とは、炭素およびヘテロ原子をも含む環状構造を有する基をいう。ここで,ヘテロ原子は、O、SおよびNからなる群より選択され、同一であっても異なっていてもよく、1つ含まれていても2以上含まれていてもよい。ヘテロ環基は、芳香族系または非芳香族系であり得、そして単環式または多環式であり得る。「置換されたヘテロ環基」とは、以下に規定する置換基によってヘテロ環基のHが置換されたヘテロ環基をいう。具体例としては、C3〜C4炭素環基、C3〜C5炭素環基、C3〜C6炭素環基、C3〜C7炭素環基、C3〜C8炭素環基、C3〜C9炭素環基、C3〜C10炭素環基、C3〜C11炭素環基、C3〜C12炭素環基、C3〜C4置換された炭素環基、C3〜C5置換された炭素環基、C3〜C6置換された炭素環基、C3〜C7置換された炭素環基、C3〜C8置換された炭素環基、C3〜C9置換された炭素環基、C3〜C10置換された炭素環基、C3〜C11置換された炭素環基またはC3〜C12置換された炭素環基の1つ以上の炭素原子をヘテロ原子で置換したものであり得る。ヘテロ環基はまた、C4〜C7炭素環基またはC4〜C7置換された炭素環基の炭素原子を1つ以上へテロ原子で置換したものであり得る。ヘテロ環基としては、チエニル基、ピロリル基、フリル基、イミダゾリル基、ピリジル基などが例示される。水素の欠失位置は、化学的に可能な任意の位置であり得、芳香環上であってもよく、非芳香環上であってもよい。
本明細書において、炭素環基またはヘテロ環基は、下記に定義されるように1価の置換基で置換され得ることに加えて、2価の置換基で置換され得る。そのような二価の置換は、オキソ置換(=O)またはチオキソ置換(=S)であり得る。
本明細書において「ハロゲン」とは、周期表7B族に属するフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)などの元素の1価の基をいう。
本明細書において「ヒドロキシ」とは、−OHで表される基をいう。「置換されたヒドロキシ」とは、ヒドロキシのHが下記で定義される置換基で置換されているものをいう。
本明細書において「チオール」とは、ヒドロキシ基の酸素原子を硫黄原子で置換した基(メルカプト基)であり、−SHで表される。「置換されたチオール」とは、メルカプトのHが下記で定義される置換基で置換されている基をいう。
本明細書において「シアノ」とは、−CNで表される基をいう。「ニトロ」とは、−NOで表される基をいう。「アミノ」とは、−NHで表される基をいう。「置換されたアミノ」とは、アミノのHが以下で定義される置換基で置換されたものをいう。
本明細書において「カルボキシ」とは、−COOHで表される基をいう。「置換されたカルボキシ」とは、カルボキシのHが以下に定義される置換基で置換されたものをいう。
本明細書において「チオカルボキシ」とは、カルボキシ基の酸素原子を硫黄原子で置換した基をいい、−C(=S)OH、−C(=O)SHまたは−CSSHで表され得る。「置換されたチオカルボキシ」とは、チオカルボキシのHが以下に定義される置換基で置換されたものをいう。
本明細書において「アシル」とは、カルボン酸からOHを除いてできる1価の基をいう。アシル基の代表例としては、アセチル(CHCO−)、ベンゾイル(CCO−)などが挙げられる。「置換されたアシル」とは、アシルの水素を以下に定義される置換基で置換したものをいう。
本明細書において「アミド」とは、アンモニアの水素を酸基(アシル基)で置換した基であり、好ましくは、−CONHで表される。「置換されたアミド」とは、アミドが置換されたものをいう。
本明細書において「カルボニル」とは、アルデヒドおよびケトンの特性基である−(C=O)−を含むものを総称したものをいう。「置換されたカルボニル」は、下記において選択される置換基で置換されているカルボニル基を意味する。
本明細書において「チオカルボニル」とは、カルボニルにおける酸素原子を硫黄原子に置換した基であり、特性基−(C=S)−を含む。チオカルボニルには、チオケトンおよびチオアルデヒドが含まれる。「置換されたチオカルボニル」とは、下記において選択される置換基で置換されたチオカルボニルを意味する。
本明細書において「スルホニル」とは、特性基である−SO−を含むものを総称したものをいう。「置換されたスルホニル」とは、下記において選択される置換基で置換されたスルホニルを意味する。
本明細書において「スルフィニル」とは、特性基である−SO−を含むものを総称したものをいう。「置換されたスルフィニル」とは、下記において選択される置換基で置換されているスルフィニルを意味する。
本明細書において「アリール」とは、芳香族炭化水素の環に結合する水素原子が1個離脱して生ずる基をいい、本明細書において、炭素環基に包含される。
本明細書においては、特に言及がない限り、置換は、ある有機化合物または置換基中の1または2以上の水素原子を他の原子または原子団で置き換えることをいう。水素原子を1つ除去して1価の置換基に置換することも可能であり、そして水素原子を2つ除去して2価の置換基に置換することも可能である。
本明細書においては、特に言及がない限り、置換は、ある有機化合物または置換基中の1または2以上の水素原子を他の原子または原子団で置き換えることをいう。水素原子を1つ除去して1価の置換基に置換することも可能であり、そして水素原子を2つ除去して2価の置換基に置換することも可能である。
本発明における置換基としては、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アルコキシ、炭素環基、ヘテロ環基、ハロゲン、ヒドロキシ、チオール、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、アシル、アシルアミノ、チオカルボキシ、アミド、置換されたカルボニル、置換されたチオカルボニル、置換されたスルホニルまたは置換されたスルフィニル、あるいは任意の無機置換基(例えば、ケイ素含有置換基)が挙げられるがそれらに限定されない。このような置換基は、本発明において、リンカー、生体分子の改変の設計のときに、適宜利用することができる。
好ましくは、置換基は、複数存在する場合それぞれ独立して、水素原子またはアルキルあるいは任意の無機置換基(例えば、ケイ素含有置換基)であり得るが、複数の置換基全てが水素原子であることはない。より好ましくは、独立して、置換基は、複数存在する場合それぞれ独立して、水素およびC1〜C6アルキルからなる群あるいは任意の無機置換基(例えば、ケイ素含有置換基)より選択され得る。置換基は、すべてが水素以外の置換基を有していても良いが、好ましくは、少なくとも1つの水素、より好ましくは、2〜n(ここでnは置換基の個数)の水素を有し得る。置換基のうち水素の数が多いことが好ましくあり得る。大きな置換基または極性のある置換基は本発明の効果(結合特性)に障害を有し得るからである。従って、水素以外の置換基としては、好ましくは、C1〜C6アルキル、C1〜C5アルキル、C1〜C4アルキル、C1〜C3アルキル、C1〜C2アルキル、メチルあるいは任意の無機置換基(例えば、ケイ素含有置換基)などであり得る。ただし、本発明の効果を増強し得ることもあることから、大きな置換基を有することもまた好ましくあり得る。
本明細書において、C1、C2、、、Cnは、炭素数を表す。従って、C1は炭素数1個の置換基を表すために使用される。
本明細書において、「光学異性体」とは、結晶または分子の構造が鏡像関係にあって、重ねあわせることのできない一対の化合物の一方またはその組をいう。立体異性体の一形態であり、他の性質は同じであるにもかかわらず、旋光性のみが異なる。本発明では、好ましくは、光学異性体の純度が高いものが使用され得る。
本明細書において「保護反応」とは、Bocのような保護基を、保護が所望される官能基に付加する反応をいう。保護基により官能基を保護することによって、より反応性の高い官能基の反応を抑制し、より反応性の低い官能基のみを反応させることができる。保護反応は、例えば、脱水反応により行うことができる。
本明細書において「脱保護反応」とは、Bocのような保護基を脱離させる反応をいう。脱保護反応としては、Pd/Cを用いる還元反応のような反応が挙げられる。脱保護反応は、例えば、加水分解により行うことができる。
本明細書において「保護基」としては、例えば、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)基、アセチル基、ベンジル基、ベンゾイル基、t−ブトキシカルボニル基、t−ブチルジメチル基、シリル基、トリメチルシリルエチル基、N−フタルイミジル基、トリメチルシリルエチルオキシカルボニル基、2−ニトロ−4,5−ジメトキシベンジル基、2−ニトロ−4,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル基、カルバメート基などが代表的な保護基として挙げられる。保護基は、生体分子において結合に関与しない部分を保護するために用いることができる。保護基は、例えば、アミノ基、カルボキシル基などの反応性の官能基を保護するために用いることができる。反応の条件や目的に応じ、種々の保護基を使い分けることができる。ヒドロキシ基の保護基にはアセチル基、ベンジル基、シリル基またはそれらの誘導体などが、アミノ基の保護基にはアセチル基のほかベンジルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基またはそれらの誘導体などを使用することができる。アミノオキシ基およびN−アルキルアミノオキシ基の保護基として、トリメチルシリルエチルオキシカルボニル基、2−ニトロ−4,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル基またはそれらの誘導体が好ましい。
本発明の各方法において、目的とする生成物は、反応液から夾雑物(未反応減量、副生成物、溶媒など)を、当該分野で慣用される方法(例えば、抽出、蒸留、洗浄、濃縮、沈澱、濾過、乾燥など)によって除去した後に、当該分野で慣用される後処理方法(例えば、吸着、溶離、蒸留、沈澱、析出、クロマトグラフィーなど)を組み合わせて処理して単離し得る。
(デバイス・電極・素子)
電界効果トランジスタ(Field effect transistor、FET)とは、ゲート電極に電圧をかけ、チャネルの電界により電子または正孔の流れに関門(ゲート)を設ける原理で、ソース端子(電極)とドレイン端子(電極)との間の電流を制御するトランジスタである。一種類のキャリアしか用いないことから、ユニポーラトランジスタとも呼ばれる。ソース、ゲート、およびドレインを端子または電極と呼ぶ。便宜的にソースとドレインとを区別しているが、構造上電流の向きは双方向通過可能である。トランジスタにP型とN型があるように、FETにもpチャネルおよびnチャネルのものがある。例えば、半導体にシリコンが使われている場合は、ホウ素をドープすることでp型半導体に、リンをドープすることでn型半導体になる。
従って、本明細書において「ゲート電極」とは、トランジスタの構造上、「水門」にあたる部分の電極をいう。ゲート電極は、その構造上、絶縁膜と電極部分とから構成される。現在は、二酸化ケイ素(SiO)を絶縁膜として使用することが多い。半導体部分の表面を酸化することによって簡便に作製することができるからである。ゲート電極は、電圧の変化(印加)によって、ソースからドレインへの電流を発生させる。従って、ゲート電極は、電荷のある物質(例えば、DNA)などの検出に使用可能である。
本明細書において「ソース部」、「ソース端子」または「ソース電極」とは、互換可能に使用され、電界効果トランジスタにおいて、キャリアが素子に供給される源となる電極(または端子)をいう。
本明細書において「ドレイン部」、「ドレイン端子」または「ドレイン電極」とは、互換可能に使用され、電界効果トランジスタにおいて、ソース電極からキャリアが供給される電極(端子)をいう。
本明細書において「引き出し電極」とは、トランジスタの電極から電流を引き出すための電極をいう。トランジスタの構造によっては、トランジスタ内の電極と同一のものを使用できるが、構造上、引き出し電極が分離していてもよい。そのような引き出し電極としては、例えば、ソース引き出し電極、ドレイン引き出し電極、ゲート引き出し電極などを挙げることができる。電解液に浸されている場合には、電極は、Ag/AgClのような物質を用いることができるがそれらに限定されない。
本明細書において「キャリア」とは、電荷を担うものをいう。キャリアとしては、例えば、電気伝導に寄与する固体中の電子、ホール、イオン伝導体での伝導するイオンなどが挙げられるがそれらに限定されない。特に、半導体中の不純物等によって生じる余剰な電子、または不足によって生じるホールのことをキャリアと呼ぶことが多いがそれに限定されない。
本明細書において「電解液」とは、溶融塩または溶液(多くの場合水溶液)にすると電気伝導性となる物質が溶解された溶液をいう。溶媒とイオン的に解離した溶質とからなり、この溶液が電流を伝え、イオンは荷電電極に析出することにより溶液から分離される。
FETのうち、ゲート接合部の構造による分類を行うとすると、代表的なものに、金属酸化膜形(Metal Oxide Semiconductor FET)があり、この型は、ゲート部分が半導体の酸化皮膜上の金属電極になっており、MOSFETともいう。このほか、接合形(Junction FET):普通のトランジスタと同じように、ゲートが異種半導体の接合面になっているもの;金属半導体形(Metal Semiconductor FET; MESFET):ゲート部分が金属電極と半導体の直接接合になっているものが存在する。
例えば、MOSFETの構造において、ゲートの部分に注目すると、金属(Metal)、酸化物(絶縁体)(Oxide)、半導体(Semiconductor)となっている。酸化物については、p型半導体にシリコンを使っていれば酸化させてやることで、酸化物と同時に絶縁体のSiO層をつくることができる。ケイ素酸化物以外の非ケイ素酸化物を絶縁体に用いる場合は、接合させる必要がある。金属に該当する部分には、通常、アルミニウム、ポリシリコンなどが使われている。このように、FETには三つの電極があるが、中央のゲート電極が重要な水門の役割を果たす。
ゲート電極に電圧をかけないで、両端の電極だけに電圧をかけた場合、npnの接合面のうちどちらかは逆バイアスの状態になっているはずであるから、トランジスタに電流は流れない。これは、トランジスタのオフの状態であるという。
ゲート電極に正の電圧をかけた場合、ゲート電極の正の電荷がp型層の上面にある正孔をはねのけて奥の方へ追いやることになる。p型層の少数の伝導電子(少数キャリア)はゲート電極の正の電荷に引き寄せられて、上面に集まる。ただし絶縁層を通りぬけることはできない。こうしてp型層の上面にn型のチャンネル(水路)ができあがる。これは反転層と呼ばれている。この層ができあがることによって電子は、逆バイアスのpn接合を通ることなく、ソースからゲートへと移動することができる。こうしてトランジスタを電流が流れる。
上記例示は、チャンネルがn型であるものの説明であり、NMOS型とも呼ばれている。チャンネルがp型でPMOS型と呼ばれるものもある。PMOS型では正孔がキャリアになっており、ゲート電圧や電流の向きが逆になる。p型、n型のどちらの構造でもMOS FETをつくることは可能だが、一般にNチャンネルの方が性能がよい。なぜなら、電子のほうが正孔よりも有効質量が小さいためキャリアとしてすばやく動くことが可能だからであるが、本発明はそれに限定されない。
FETには、大まかに分けて、2種類のゲート−ドレイン関係が存在し、エンハンスメント型 (enhancement type;ノーマリーオフ形(normally off type)とも呼ばれる)とディプリション型(depletion type=ノーマリーオン形 (normally on type)とも呼ばれる)があり、エンハンスメント型は、ゲート電圧をかけないときはチャネルが存在せずドレイン電流が流れないFETであり、ディプリション型は、ゲート電圧をかけないときにチャネルが存在しドレイン電流が流れるFETである。
本明細書において「デバイス」とは、装置の一部または全部を構成することができる部分をいい、支持体(好ましくは固相支持体、絶縁膜など)およびその支持体に担持されるべき標的物質(生体分子)などから構成される。そのようなデバイスとしては、上記のようなトランジスタ、チップ、アレイなどが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において使用される「支持体」または「基板」は、互換可能に用いられ、生体分子のような物質を固定することができる材料(好ましくは固体)をいう。支持体の材料としては、共有結合かまたは非共有結合のいずれかで、本発明において使用される生体分子のような物質に結合する特性を有するかまたはそのような特性を有するように誘導体化され得る、任意の固体材料が挙げられる。
支持体、基板などとして使用するためのそのような材料としては、固体表面を形成し得る任意の材料が使用され得るが、例えば、ガラス、シリコン(ケイ素、Si)、セラミック、二酸化珪素、プラスチック、金属(合金も含まれる)、天然および合成のポリマー(例えば、ポリスチレン、セルロース、キトサン、デキストラン、およびナイロン)などが挙げられるがそれらに限定されない。本明細書において半導体材料として使用される場合、半導体を使用することが好ましい。支持体は、複数の異なる材料の層から形成されていてもよい。例えば、ガラス、石英ガラス、アルミナ、サファイア、フォルステライト、酸化珪素、炭化珪素、窒化珪素などの無機絶縁材料を使用することができる。ポリエチレン、エチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、シリコーン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホンなどの有機材料を用いることができる。本発明においてはまた、ニトロセルロース膜、ナイロン膜、PVDF膜など、ブロッティングに使用される膜を用いることもできる。支持体を構成する材料が固相である場合、本明細書において特に「固相支持体」という。
基板は、半導体の一部として使用されることから、Si、Ga/Asなどの半導体を使用することが好ましい。
本明細書において「液相」とは、当該分野において通常用いられる意味と同じ意味で用いられ、通常、溶液中での状態をいう。
本明細書において「固相」とは、当該分野において用いられる意味と同じ意味で用いられ、通常、固体の状態をいう。本明細書において液体および固体を総合して流体ということがある。
本明細書において「コーティング」とは、支持体または基板について用いられるとき、その支持体または基板の表面上にある物質の膜を形成させることおよびそのような膜をいう。コーティングは種々の目的で行われ、例えば、支持体および基板の品質向上(例えば、寿命の向上、耐酸性などの耐環境性の向上)、支持体または基板に結合されるべき物質の親和性の向上、絶縁性の向上などを目的とすることが多い。そのようなコーティングのための物質としては、種々の物質が用いられ得、上述の支持体および基板自体に使用される物質のほか、DNA、RNA、タンパク質、脂質などの生体分子、ポリマー(例えば、ポリ−L−リジン、MAS、疎水性フッ素樹脂)、シラン(APS(例えば、γ−アミノプロピルシラン))、アミノシラン誘導体、金属(例えば、金など)が使用され得るがそれらに限定されない。そのような物質の選択は当業者の技術範囲内にあり、当該分野において周知の技術を用いて場合ごとに選択することができる。
本明細書において「チップ」または「マイクロチップ」は、互換可能に用いられ、多様の機能をもち、システムの一部となる超小型集積回路をいう。チップのうち、生体分子が結合したものを「バイオチップ」とも呼び、バイオチップとしては、例えば、PNAチップ、DNAチップ、プロテインチップなどが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において「アレイ」とは、1以上(例えば、1000以上)の標的物質(例えば、PNA、DNA、タンパク質などの生体分子)を含む組成物が整列されて配置されたパターンまたはパターンを有する基板(例えば、チップ)そのものをいう。アレイの中で、小さな基板(例えば、10×10mm上など)上にパターン化されているものはマイクロアレイというが、本明細書では、マイクロアレイとアレイとは互換可能に使用される。従って、上述の基板より大きなものにパターン化されたものでもマイクロアレイと呼ぶことがある。例えば、アレイはそれ自身固相表面または膜に固定されている所望のトランスフェクト混合物のセットで構成される。アレイは好ましくは同一のまたは異なる抗体を少なくとも10個、より好ましくは少なくとも10個、およびさらに好ましくは少なくとも10個、さらにより好ましくは少なくとも10個を含む。これらの抗体は、好ましくは表面が125×80mm、より好ましくは10×10mm上に配置される。形式としては、96ウェルマイクロタイタープレート、384ウェルマイクロタイタープレートなどのマイクロタイタープレートの大きさのものから、スライドグラス程度の大きさのものが企図される。固定される標的物質を含む組成物は、1種類であっても複数種類であってもよい。そのような種類の数は、1個〜スポット数までの任意の数であり得る。例えば、約10種類、約100種類、約500種類、約1000種類の標的物質を含む組成物が固定され得る。
基板のような固相表面または膜には、上述のように任意の数の標的物質(例えば、抗体のようなタンパク質)が配置され得るが、通常、基板1つあたり、10個の生体分子まで、他の実施形態において10個の生体分子まで、10個の生体分子まで、10個の生体分子まで、10個の生体分子まで、10個の生体分子まで、または10個の生体分子までの個の生体分子が配置され得るが、10個の生体分子を超える標的物質を含む組成物が配置されていてもよい。これらの場合において、基板の大きさはより小さいことが好ましい。特に、標的物質を含む組成物(例えば、抗体のようなタンパク質)のスポットの大きさは、単一の生体分子のサイズと同じ小さくあり得る(これは、1−2nmの桁であり得る)。最小限の基板の面積は、いくつかの場合において基板上の生体分子の数によって決定される。本発明では、細胞への導入が企図される標的物質を含む組成物は、通常、0.01mm〜10mmのスポット状に共有結合あるいは物理的相互作用によって配列固定されている。
アレイ上には、生体分子の「スポット」が配置され得る。本明細書において「スポット」とは、標的物質を含む組成物の一定の集合をいう。本明細書において「スポッティング」とは、ある標的物質を含む組成物のスポットをある基板またはプレートに作製することをいう。スポッティングはどのような方法でも行うことができ、例えば、ピペッティングなどによって達成され得、あるいはプリンターなどの自動装置で行うこともでき、そのような方法は当該分野において周知である。
本明細書において使用される用語「アドレス」とは、基板上のユニークな位置をいい、他のユニークな位置から弁別可能であり得るものをいう。アドレスは、そのアドレスを伴うスポットとの関連づけに適切であり、そしてすべての各々のアドレスにおける存在物が他のアドレスにおける存在物から識別され得る(例えば、光学的)、任意の形状を採り得る。アドレスを定める形は、例えば、円状、楕円状、正方形、長方形であり得るか、または不規則な形であり得る。したがって、「アドレス」は、抽象的な概念を示し、「スポット」は具体的な概念を示すために使用され得るが、両者を区別する必要がない場合、本明細書においては、「アドレス」と「スポット」とは互換的に使用され得る。
各々のアドレスを定めるサイズは、とりわけ、その基板の大きさ、特定の基板上のアドレスの数、標的物質を含む組成物の量および/または利用可能な試薬、微粒子のサイズおよびそのアレイが使用される任意の方法のために必要な解像度の程度に依存する。大きさは、例えば、1−2nmから数cmの範囲であり得るが、そのアレイの適用に一致した任意の大きさが可能である。
アドレスを定める空間配置および形状は、そのマイクロアレイが使用される特定の適用に適合するように設計される。アドレスは、密に配置され得、広汎に分散され得るか、または特定の型の分析物に適切な所望のパターンへとサブグループ化され得る。
マイクロアレイについては、ゲノム機能研究プロトコール(実験医学別冊 ポストゲノム時代の実験講座1)、ゲノム医科学とこれからのゲノム医療(実験医学増刊)などに広く概説されている。
マイクロアレイから得られるデータは膨大であることから、クローンとスポットとの対応の管理、データ解析などを行うためのデータ解析ソフトウェアが重要である。そのようなソフトウェアとしては、各種検出システムに付属のソフトウェアが利用可能である(Ermolaeva Oら(1998)Nat.Genet.20:19−23)。また、データベースのフォーマットとしては、例えば、Affymetrixが提唱しているGATC(genetic analysis technology consortium)と呼ばれる形式が挙げられる。
微細加工については、例えば、Campbell,S.A.(1996).The Science and Engineering of Microelectronic Fabrication,Oxford University Press;Zaut,P.V.(1996).Micromicroarray Fabrication:a Practical Guide to Semiconductor Processing,Semiconductor Services;Madou,M.J.(1997).Fundamentals of Microfabrication,CRC1 5 Press;Rai−Choudhury,P.(1997).Handbook of Microlithography,Micromachining,& Microfabrication:Microlithographyなどに記載されており、これらは本明細書において関連する部分が参考として援用される。
本明細書において、「センサ」とは、計測対象(例えば、生体分子)の状態および特性値などに関する物理量を、伝送、記録または信号処理しやすいような別の物理量に変換する素子をいう。従って、センサは、外界からの何らかの物理量や化学量をとらえて、電気的信号に変換して検知するデバイスであるといえる。
このうち、特に、生体分子を含む、特定の化学物質に応答を示し、その種類や濃度を電気的信号に変換表示するものは化学センサと呼ばれる。化学センサには、pHセンサに代表されるイオンセンサ、O、CO、Hなどを検出するガスセンサ、生体活動に利用されるバイオセンサの他、各種微生物センサ、免疫センサなどがある。これらのセンサの原理は、被測定物質を識別する素子と、そこから得られる化学情報を電気信号に変換する電気化学デバイスから構成され、その変換方式は電位法(potentiometry)と電流法(amperometry)とに大別される。
本明細書において「IS−FET(Ion Sensitive Field−Effect Transistor;イオン感受性電界効果トランジスタ)」とは、ゲート電極が電解液中のある種のイオンに対して感受性をもつ電界効果トランジスタをいう。代表的には、IS−FETは、MOS電界効果トランジスタ(MOSFET) をイオンセンサとして応用して作製される(Bergveld, Development of an Ion−Sensitive Solid−State Device for Neurophysiological Measurements, IEEE Trans.Biomed.Eng.BME−19 (1970) 70)。溶液と感応膜との界面電位の分だけゲート閾値電圧が変化することを利用したセンサで、プロトン感応膜として、絶縁体であるSiO、Si、Al、Taなどを用いることによってpHセンサとして作動する。ガラス電極と比較すると、半導体技術の利用によって小型化ができ、ゲート部分の化学修飾によって様々なイオンの検出が可能となる。IS−FETは、ゲート膜上のpH変化に伴うゲート閾値電圧シフトを利用しているといえる。従って、絶縁層の性質にその性能が大きく依存する。従来は、SiOが汎用されているが、感度などの点から、非ケイ素酸化物を用いることが有利であるとされており、特に酸化金属を用いると、感度が顕著に増加することが知られている(Schoening MJ et al.,Sensots and Actuators B35(1996)228-233)。酸化金属(金属酸化物)を利用することの利点としてはまた、水溶液中で使用されるIS−FETは、水溶液と、IS−FET内部との間に完全な絶縁が保たれなければならないという背景において、水溶液中へのリーク電流を防ぐという効果があり、耐水浸入性を考慮すると、酸化金属が有利であることが挙げられる。しかし、生体分子を酸化金属などの非ケイ素酸化物に配置する技術はこれまでなかった。
絶縁層はキャパシタンス(Ci)の働きをしているので、その内部では一様な電界が生じている。溶液と接するセンサ表面には窒化膜(Si)を用いているが、これは、酸化物(SiO)に比べて溶液のpHに対する感度特性がよく、溶液に対する保護作用が強いためであり、表面にSiO膜を用いると、膨潤するために非常に大きなドリフトを引き起こすことが知られている。pHセンサの感度特性としては、Al、Ta膜などの酸化金属のような非ケイ素酸化物の方が優れている。
本明細書において「電流−電圧特性」または「I−V特性」とは、ある電気信号について、電流値と電圧値との関係を示す関係をいう。I−V特性は、例えば、静特性飽和電流値、伝達特性閾値電圧などを用いて表現することができる。このような特性は、通常の計算手段を用いて算出することができる。
本明細書において「静特性飽和電流値」とは、トランジスタに対するすべての他の動作電圧が一定に保たれた状態において,電極電圧と電極電流との間のような1対の変数の間に成り立つ関係における、飽和電流値をいい、ドレイン電流−ドレイン電圧特性(I−V)測定において、ドレイン電流は、ドレイン電圧に比例して増加するが、電圧が増すと、それに従って、チャンネル(ソース/ドレイン間のn型チャンネル:電子キャリア)の電気抵抗が大きくなるため、電圧に対する電流の傾きは次第に小さくなる。さらに電圧を大きくすると、ピンチオフ状態となり、ドレイン電流は、一定値を示すようになる。このピンチオフにおける電流値を飽和電流といい、IDSで表す。IDS飽和電流値の具体的な計算方法は以下のとおりである。
ドレイン電流I=μCiW/L×{(V・V)VD・1/2V }
このI値で最大となるV=V・Vの点がピンチオフとなる飽和ドレイン電流値となる。
DS=μCiW/2L×(V・V

ここで、μ:キャリア濃度、Ci:絶縁体容量、V:ゲート電圧、V:閾値点圧(ドレイン電流が流れ始める電圧)である。

という式で算出する。この電流値の減少は、p型トランジスタの場合、負の物質がゲート電極に相互作用していることを示す。
本明細書において「伝達特性閾値電圧」とは、他の電極電圧をすべて一定に保った条件のもとで、ある電極の電圧ともう一つの電極に流れる電流の間に成り立つ関係における閾値電圧をいい、伝達特性は、ドレイン電流−ゲート電圧特性測定の結果を示すもので、閾値電圧(threshold voltage)は、ドレイン電流が流れ始めるゲート電圧を示している。すなわち、閾値電圧は、チャネル内に伝導電子を誘起するために必要な最小の電圧である。ゲート電圧VがVより小さな場合は、ドレイン電流は流れない。この電圧(グラフ)の正シフトは、p型トランジスタの場合、負の物質がゲート電極に相互作用していることを示す。

本明細書では、

=√(2IDSL/μW)+V

ここで、μ:キャリア濃度、Ci:絶縁体容量、V:閾値点圧(ドレイン電流が流れ始める電圧)

という式で算出する。

(検出)
本発明の方法では、生体分子の情報またはそれに相互作用する物質に起因する情報を検出することができる限り、種々の検出方法および検出手段を用いることができる。本発明では、生体分子の他の分子との相互作用を電気信号に変換することから、検出方法および検出手段としては、電気信号を検出することができる限り、どのような技術を用いてもよいことが理解される。本発明における検出は、IS−FETのソース−ドレイン電極間、またはゲートに電圧を印加し、ソース・ドレイン間に流れる電流を測定することによって検出を行うことができる。
本明細書において「電気信号検出手段」とは、電気信号(例えば、電流)を検出する任意の手段をいう。電気信号検出手段としては、例えば、電流計、電圧計、電流電圧計、ポテンシオメーターなどを挙げることができるがそれらに限定されない。電気信号検出手段は、例えば、トランジスタと電気的に結合することによって、そのトランジスタから引き出される電気信号を検出する。
本明細書において「標識」とは、目的となる分子または物質を他から識別するための存在(たとえば、物質、エネルギー、電磁波など)をいう。そのような標識方法としては、RI(ラジオアイソトープ)法、蛍光法、ビオチン法、化学発光法等を挙げることができる。上記の核酸断片および相補性を示すオリゴヌクレオチドを何れも蛍光法によって標識する場合には、蛍光発光極大波長が互いに異なる蛍光物質によって標識を行う。蛍光発光極大波長の差は、10nm以上であることが好ましい。蛍光物質としては、核酸の塩基部分と結合できるものであれば何れも用いることができるが、シアニン色素(例えば、CyDyeTMシリーズのCy3、Cy5等)、ローダミン6G試薬、N−アセトキシ−N2−アセチルアミノフルオレン(AAF)、AAIF(AAFのヨウ素誘導体)等を使用することが好ましい。蛍光発光極大波長の差が10nm以上である蛍光物質としては、例えば、Cy5とローダミン6G試薬との組み合わせ、Cy3とフルオレセインとの組み合わせ、ローダミン6G試薬とフルオレセインとの組み合わせ等を挙げることができる。本発明では、このような標識を利用して、使用される検出手段に検出され得るように目的とする対象を改変することができる。そのような改変は、当該分野において公知であり、当業者は標識におよび目的とする対象に応じて適宜そのような方法を実施することができる。
本明細書において「相互作用」には、疎水性相互作用、親水性相互作用、水素結合、ファンデルワールス力、イオン性相互作用、非イオン性相互作用、静電的相互作用などが挙げられるがそれらに限定されない。例えば、PNA、DNAなどの核酸が用いられる場合、相補体が水素結合によってハイブリダイズすること、抗原抗体反応、リガンド−レセプター反応などもまた、相互作用の範疇に入ることが理解される。
本明細書において「相互作用のレベル」とは、2つの物質(例えば、生体分子)の間の相互作用について言及する場合、その2つの物質の間の相互作用の程度または頻度をいう。そのような相互作用のレベルは、当該分野において周知の方法によって測定することができる。特に、本発明では、電気信号の変化、例えば、電流の変化、電圧の変化、電流−電圧特性の変化などを用いて相互作用のレベルを表現または算出することができることが理解される。このような測定値から、例えば、あるスポットにおいて存在する特定の生体分子に関連する情報またはそれと相互作用する分子の情報(例えば、ハイブリダイゼーション情報)を得ることができる。
本明細書において、生体分子(例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドなど)に対して「特異的に相互作用する」とは、その生体分子に対する親和性が、他の無関連の(特に、ポリヌクレオチド、ポリペプチドなどであれば、例えば、同一性が30%未満の)ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに対する親和性よりも、代表的には同等またはより高いか、好ましくは有意に高いことをいう。そのような親和性は、例えば、ハイブリダイゼーションアッセイ、結合アッセイなどによって測定することができる。
本明細書において生体分子などが「無電荷」であるとは、電荷が実質的にないことをいう。電荷は、物質のもつ電気量は構成素粒子の電気量の総和で表すことができることからその電気量を計算することによって、生体分子が無電荷であるかどうかを判定することができる。本明細書では、実質的に電荷がないとは、電気量が1nC(ナノクーロン)以下のことをいう。、電気量がこの閾値以上の場合(好ましくは0でないとき)に、その物質は、帯電しているという。本明細書において、「ほとんど電荷がない」とは、生体分子の検出に影響がない程度に電荷が低いことをいう。
(提示、表示、入力)
本明細書において「表示」、「ディスプレイ」および「提示」とは、交換可能に用いられ、ある信号を感覚器官(例えば、視覚、聴覚、嗅覚など)によって知覚されるように変換して表現することをいう。代表的には、視覚的に表示することが挙げられ、ディスプレイとは、特に限定的な意味で用いる場合、視覚的に信号を表示する手段をさす。従って、「表示」、「ディスプレイ」および「提示」とは、本発明の方法に従って得られた電気信号またはそれから作製した生体分子に関する情報を直接または間接的にあるいは情報処理をした形態で具現化することをいう。そのような表示の形態としては、グラフ、写真、表、アニメーションなど種々の方法があるが、それらに限定されない。
リアルタイムの表示および提示もまた、当該分野において周知の技術を用いて行うことができる。例えば、全てのイメージが取得され、半永久的メモリに格納された後、あるいはイメージの取得と実質的に同時に、適切なアプリケーションソフトウェアで処理し、処理されたデータを得ることができる。例えば、取得されたデータを処理する方法は、画像が中断されないシーケンスをプレイバックする、あるいは、リアルタイムで表示する、焦点面における変化および連続として、照射光を示す「ムービー」として表示することができる。
指標設定画面では、キーボード、タッチパネルまたはマウスなどを用いて画面上で条件を入力することにより、所望の複雑な反応条件の設定が可能である。その他、生体分子との相互作用条件(例えば、ハイブリダイゼーションの温度、pHなどの諸条件)の設定をキーボード、マウスなどを用いて行うことができる。
表示画面では、生体分子から検出された情報をリアルタイムでまたは記録後に表示する。記録情報の表示とともに、記録時の測定指標(刺激条件、記録条件、表示条件、処理条件、細胞の諸条件、温度、pH等)もまたリアルタイムで表示することができる。温度またはpHが許容範囲を外れたときの警報機能も備えられていてもよい。
データ解析画面では、種々の数理解析、フーリエ変換、クラスター解析、FFT解析、コヒーレンス解析、コリレーション解析などの条件を設定することが可能である。一時的なプロファイル表示機能、トポグラフィー表示機能、も備えていてもよい。これらの解析結果は、記録媒体に保存されている情報とともに表示することができる。
(スクリーニング)
本明細書において「スクリーニング」とは、目的とするある特定の性質をもつ生物または物質などの標的を、特定の操作/評価方法で多数を含む集団の中から選抜することをいう。スクリーニングのために、本発明の方法またはシステムを使用することができる。本発明では、相互作用に関する情報に基づいてスクリーニングを行うことができる。
(診断)
本明細書において「診断」とは、被検体における疾患、障害、状態などに関連する種々の指標を同定し、そのような疾患、障害、状態の現状を判定することをいう。本発明の方法、装置、システムを用いることによって、生体分子との相互作用を分析し、そのような情報を用いて、被検体における疾患、障害、状態、投与すべき処置または予防のための処方物または方法などの種々の指標を選定することができる。
本発明の診断方法は、原則として、身体から出たものを利用することができることから、医師などの医療従こと者の手を離れて実施することができることから、産業上有用である。
本明細書において「指示書」は、本発明のシステム、デバイス、方法などを用いて実施できる診断・治療方法などを医師、患者など投与を行う人に対して記載したものである。この指示書は、本発明の装置、デバイスなどを操作する方法を指示する文言が記載されている。この指示書は、必要に応じて、本発明が実施される国の監督官庁(例えば、日本であれば厚生労働省、米国であれば食品医薬品局(FDA)など)が規定した様式に従って作成され、その監督官庁により承認を受けた旨が明記される。指示書は、いわゆる添付文書(package insert)であり、通常は紙媒体で提供されるが、それに限定されず、例えば、電子媒体(例えば、インターネットで提供されるホームページ、電子メール)のような形態でも提供され得る。
(好ましい実施形態の説明)
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本発明のよりよい理解のために提供されるものであり、本発明の範囲は以下の記載に限定されるべきでないことが理解される。従って、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。
(ゲート電極)
1つの局面において、本発明は、生体分子と、非ケイ素酸化物とを含む、ゲート電極を提供する。ここで、生体分子は、本明細書において上記されるように、生体に存在する物質の他、生体に存在する物質と相互作用する物質(例えば、人工DNA、PNAなど)を用いることができる。通常、生体分子としては、有機化合物が使用されることが理解される。生体分子と、非ケイ素酸化物とは、ゲート電極が形成されるように構成される限り、どのように配置されていても良い。好ましくは、非ケイ素酸化物上に結合される。
本発明において使用される非ケイ素酸化物としては、従来使用されていた二酸化ケイ素より誘電率の高い絶縁体が使用される。二酸化ケイ素の25℃での誘電率は、およそ3.9であることから、それより大きな誘電率を有する物質であれば、どのようなものでも使用することができる。従って、好ましい実施形態では、本発明において使用される非ケイ素酸化物の25℃での誘電率は、少なくとも6以上であり、より好ましくは、8.5以上であり、さらに好ましくは10以上であり、さらにより好ましくは15以上であり、最も好ましくは20以上である。
好ましい実施形態において、非ケイ素酸化物は、酸化金属である。本発明において開示された結合方法を使用することができ、おおむね大きな誘電率を有するからである。使用され得る酸化金属としては、例えば、酸化タンタル(Ta)、酸化カルシウム(CaO)、酸化鉛(PbO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化トリウム(ThO)、酸化アンチモン(Sb)、一酸化チタン(TiO)、二酸化チタン(TiO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化イッテルビウム(Yb)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化セリウム(CeO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化ガドリニウム(Gd)、酸化クロム(Cr)、酸化タングステン(WO)、酸化銅(I)(CuO)、酸化銅(II)(CuO)、酸化鉄(II)(FeO)、酸化鉄(III)(Fe)、酸化ニッケル(NiO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化サマリウム(Sm)、酸化ネオジム(Nd)、酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)、酸化カドミウム(CdO)、酸化マンガン(MnO)、二酸化バリウム(BaO)および一酸化バリウム(BaO)などを挙げることができるがそれらに限定されない。好ましい実施形態では、この非ケイ素酸化物は、酸化タンタル(Ta)、一酸化バリウム(BaO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化銅(II)(CuO)、酸化鉛(PbO)、酸化イッテルビウム(Yb)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ニオブ(Nb)および酸化ハフニウム(HfO)などを挙げることができる。最も好ましくは、非ケイ素酸化物は、酸化タンタル(Ta)である。酸化タンタルはおよそ25の誘電率を有していることから、従来のケイ素酸化物(二酸化ケイ素)の6倍以上の誘電率を有する。このような誘電率を有していても、バイオセンサとして構成することができることが本願において初めて見出された。このほかにも、チタン系の酸化物は、概して高い誘電率を有していることから、本発明における絶縁体である非ケイ素酸化物として好ましい。代表的な酸化金属の25℃または室温(例外は括弧で示す。)での誘電率(比誘電率ともいう)は、BaOが34、BaOが10.7、Biが18.2、CaOが11.8(10℃)、Crが12.0、CuOが18.1、CuOが12.0、FeOが14.2、PbOが25.9、MgOが9.65、SrOが13.3、SrTiOが332、ThOが10.6、ZrOである。
好ましくは、生体分子は、非ケイ素酸化物に固定される。固定は、任意の固定技術を用いて実現することができるが、好ましくは、共有結合させることによって実現される。共有結合には、クロスリンカーを用いることが好ましい。このような結合様式については、本明細書において詳述される。代表的には、結合は、シランカップリング剤によって実現されることが理解される。従って、好ましい実施形態では、このゲート電極は、生体分子と、非ケイ素酸化物とがシランカップリング剤による結合による結合部分(代表的には、シランカップリング剤から結合反応によって除去された残留部分)をも含むことが理解される。
好ましい実施形態では、本発明のゲート電極において、非ケイ素酸化物と生体分子とは、アミノシラン化合物によって(好ましくは共有結合)結合される。従来このような結合によって構成されたゲート電極は知られておらず、本発明は、有用なバイオセンサとして使用可能なゲート電極を提供する。
1つの好ましい実施形態では、このような結合部分は、
−O−(SiR)−(CH−NH(CH−NH−O−(CH−O−CH−NH−
で示される。ここで、n、mおよびkはそれぞれ独立して任意の正の整数である。好ましくは、n、mおよびkは、独立して1〜6の整数、より好ましくは独立して1〜3の整数であり得る。ここで、RおよびRは、独立して、任意の置換基または該リンカーと同じ構造を有する別のリンカーのSi原子であり得る。従って、別のリンカーである場合は、非ケイ素酸化物面上に層状に生体分子を結合させることができる。
好ましい実施形態において、本発明のゲート電極の非ケイ素酸化物は膜状形態または層状形態をしており、生体分子は、この非ケイ素酸化物膜上に固定される。非ケイ素酸化物は、複数の層が積層していてもよい。そのような場合、最も上には非ケイ素酸化物(好ましくは、酸化金属)を配置することが好ましい。複数層が使用される場合は、中の層としては、例えば、Siなどの他の絶縁体およびSiOのような絶縁体を配置することができる。
好ましい実施形態において、本発明のゲート電極に備えられる生体分子は、他の生体分子と特異的相互作用をする能力を有する。そのような相互作用は、例えば、核酸同士のハイブリダイゼーション、タンパク質と核酸との相互作用(例えば、転写因子と転写因子結合配列など)、タンパク質同士の相互作用、抗原抗体反応、リガンド−レセプター反応などを挙げることができるがそれらに限定されない。
本発明のゲート電極で使用される生体分子としては、核酸、タンパク質、糖、脂質およびそれらの複合体などを挙げることができるがそれらに限定されない。
好ましい実施形態では、生体分子は、核酸を含み得る。このような核酸としては、例えば、DNA、RNAおよびPNAを含む。より好ましくは、生体分子は、PNAを含む。PNAは、無電荷であり、マイナスの電荷を有するDNAに比べて、検出感度が格段に上昇することが期待されるからである。実際に、PNAを用いた場合には、DNAを用いた場合よりも2〜10倍またはそれ以上に感度が上昇したことが本発明によって示された。
本発明において用いられる生体分子は、一本鎖または二本鎖の形態で存在し得る。
好ましくは、本発明のゲート電極において用いられる生体分子は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件他の生体分子とハイブリダイゼーションする能力を有する。そのようなハイブリダイゼーションする能力を有する生体分子の設計は、当該分野において公知の任意の技術を用いて実施することができる。そのような設計方法については、本明細書において、上記されている。
本発明のゲート電極において用いられる生体分子は、リガンド−レセプター相互作用または抗原抗体反応する能力を有していてもよい。このような物質は、タンパク質、有機低分子などであり得ることが理解される。
好ましくは、本発明において用いられる生体分子は、無電荷またはほとんど電荷がないことが有利である。そのような生体分子としては、PNAなどを挙げることができるがそれらに限定されない。電荷がないかまたはほとんどないことによって、半導体における反応性が格段に上昇するため、検出感度が格段に上昇することが期待される。
好ましい実施形態では、本発明のゲート電極に配置される生体分子は、疾患または障害の診断のためのプローブである。このようなプローブを配置することによって、本発明のゲート電極は、診断チップなどに応用することが可能である。そのようなプローブは、当該分野において公知の情報から当業者は容易に設計することができることが理解される。プローブは、例えば、対象となる核酸配列に対してパーフェクトマッチの相補性を有していてもよく、あるいは、1塩基違うものを用いてもよい。1つの実施形態では、本発明において用いられる生体分子は、1塩基多型(SNPs)を検出するためのプローブであり得る。
図11には、ゲート電極の作製模式図を示す。このように、Siの上に、SiO膜、Si膜を積層し、その上にTaが積層される。
別の好ましい実施形態では、電極と生体分子(例えば、核酸分子)との間に、アミノシランとクロスリンカーで架橋して、自由度を持たせることによって、ハイブリダイゼーションの効率を有利に働かせることも可能である。
(電界効果トランジスタ)
1つの局面において、本発明は、生体分子と、非ケイ素酸化物とを含むゲート電極が、半導体素子上に一体化された、電界効果トランジスタを提供する。個々で使用されるゲート電極は、本明細書において上記(ゲート電極)において説明される任意の形態を用いることができる。
本発明において用いられる半導体素子は、通常、ゲート電極の他、基板と、ソース部と、ドレイン部とを含む。このような基板、ソース部、ドレイン部などは、通常の半導体素子に用いられる任意の技術を用いることができることが理解される。
本発明の電界効果トランジスタは、ゲート電極を用いるものである限り、pチャネル型またはnチャネル型であり、そして、エンハンスメント型またはディプリション型であり得る。
好ましい実施形態では、本発明の半導体素子におけるソース部およびドレイン部は、絶縁体で覆われていることが有利である。ゲート電極のゲート効果を有効に活用することができるからである。
本発明の電界効果トランジスタは、ゲート電極以外の電極が備えられていてもよい。
そのようなさらなる電極の例としては、例えば、ソース部からの電流を引き出すソース引き出し電極、ドレイン部からの電流を引き出すドレイン引き出し電極、基板からの電流を引き出す基板引き出し電極、ゲート電極由来の電流を引き出すためのゲート引き出し電極などを挙げることができる。
本発明の電界効果トランジスタにおいてゲート電極は、電解液に浸されていてもよい。
引き出し電極には、どのようなものを使用しても良いが、例えば、Ag/AgClを含む電極が使用されても良い。
本発明の半導体素子に使用される基板は、通常の半導体技術において用いられる任意の材料から形成され得ることが理解され、例えば、Siを含む材料から形成されていてもよい。
(センサ)
別の局面において、本発明は、以下:A)生体分子と、非ケイ素酸化物とを含むゲート電極が半導体素子上に一体化された、電界効果トランジスタと、B)電気信号検出手段とを備える、該生体分子との相互作用を検出するためのセンサを提供する。ここで、ゲート電極、電界効果トランジスタには、上述の(ゲート電極)および(トランジスタ)に記載される任意の形態を用いることができることが理解される。
本発明のセンサにおいて使用される電気信号検出手段は、電気信号を検出することができる限り、どのような手段でも用いることができ、例えば、電圧計、電流計、電流電圧計、ポテンシオメーターなどが例示され得る。
好ましい実施形態では、本発明のセンサは、ディスプレイのような提示手段を備えていてもよい。そのようなディスプレイを備えることによって、使用者は、即座に生体分子に関する情報を得ることができる。
(ゲート電極作製法)
別の局面において、本発明は、生体分子が固定された、非ケイ素酸化物を含むゲート電極を作製する方法であって、A)非ケイ素酸化物を含むゲート電極を提供する工程;B)該非ケイ素酸化物に無機材料と有機材料とを化学的に結合させるカップリング試薬(例えば、アミノシラン含有物質)を結合させる工程;C)該カップリング試薬と、該カップリング試薬と反応し得るクロスリンカー(例えば、カルボジイミド類、アルデヒド類、イミドエステル類、フェニレンイソチオシアネート類、エポキシシラン類、シランカップリング剤)を結合させて中間体を形成工程;およびD)該中間体に生体分子を結合させる工程、を包含する、方法を提供する。従来非ケイ素酸化物、特に酸化金属に、DNAのような生体分子を結合させることができるようになったことは、従来達成されていなかった。従来の技術では、ケイ素酸化物に生体分子を結合させて、電極を作製する試みがなされているが、そのようなゲート電極およびそのゲート電極を使用した半導体素子、システム、センサーなどを実現することができなかった。酸化金属のような非ケイ素酸化物を使用することで、ゲート電極の感度が格段に上昇することが知られている。本発明は、生体分子をゲート電極に結合させることによって、生体分子による高感度センサなどを作製することができるという利点も有する。本発明では、非ケイ素酸化物を含むゲート電極(好ましくは、ケイ素で作製される)を提供した後、そのゲート電極をアミノシラン含有物質(例えば、アミノプロピルトリエトキシシランなど)などを結合させた後に、生体分子をそのアミノシラン含有物質などに直接またはクロスリンカー(例えば、グルタルアルデヒドなど)を用いて間接的に結合させることによって、本発明のゲート電極を作製することができることが実証されたという点で評価されるべきである。
好ましい実施形態では、本発明において用いられるカップリング試薬は、網のシラン含有物質が有利である。
より好ましい実施形態において、本発明において使用されるアミノシラン含有物質は、ω’−アミノアルキルトリアルコキシシラン、より好ましくは、3’−アミノプロピルトリエトキシシランを含む。3’−アミノプロピルトリエトキシシランによって、効率よく、確実に、有機物質(例えば、核酸)を、非ケイ素酸化物(特に、酸化金属)のような無機物質に結合させることが可能になったことが本発明によって初めて実証された。
好ましい実施形態では、本発明において、アミノシラン含有物質の結合の前に、酸化金属は、酸処理されることが有利である。酸処理によって、非ケイ素酸化物における酸素含有基が水酸基に一部置換されることによって、アミノシラン含有物質との結合が促進されるからである。ここで、酸処理に使用する酸は、塩酸、硫酸などの無機酸、または酢酸などの有機酸であり得ることが理解される。酸には、エチルアルコール、メチルアルコールなどのアルコールを加えることができることが理解される。
本発明のゲート電極作製法において使用される非ケイ素酸化物は、好ましくは、酸化金属であり、酸化タンタル(Ta)、酸化カルシウム(CaO)、酸化鉛(PbO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化トリウム(ThO)、酸化アンチモン(Sb)、一酸化チタン(TiO)、二酸化チタン(TiO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化イッテルビウム(Y)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化セリウム(CeO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ガドリニウム(Gd)、酸化クロム(Cr)、酸化タングステン(WO)、酸化銅(I)(CuO)、酸化銅(II)(CuO)、酸化鉄(II)(FeO)、酸化鉄(III)(Fe)、酸化ニッケル(NiO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化サマリウム(Sm)、および酸化ネオジム(Nd)などの、本明細書において「ゲート電極」の節に記載される任意の形態を採り得ることが理解される。
好ましい実施形態において、本発明の方法において用いられるクロスリンカーは、カルボジイミド類、アルデヒド類、イミドエステル類、フェニレンジイソチオシアネート(図2Bを参照)、エポキシシラン、シランカップリング剤などを含む。
より好ましい実施形態では、本発明において使用されるクロスリンカーは、アルデヒド含有基を含み、さらに好ましくは、クロスリンカーは、グルタルアルデヒドを含む。
本発明において、架橋処理には、任意の技術が用いられ得、ラジカル反応を生じさせる技術などを用いることができる。そのような技術としては、例えば、X線照射、紫外線照射、電子線照射、γ線照射、分子の熱分解、光分解、放射線分解、電子授受反応などを挙げることができるがそれらに限定されない。
本明細書において使用される生体分子もまた、本明細書において「ゲート電極」において記載される任意の形態を用いることができることが理解される。好ましくは、生体分子は、生体分子は、核酸を含み、より好ましくは、生体分子は、DNAまたはPNAを含み、さらに好ましくは、生体分子は、PNAを含む。
本発明の好ましい実施形態において、クロスリンクが終わった後、生成物を還元することが好ましい。還元することによって、生体分子の結合が安定化するからである。そのような還元は、シッフ塩基の還元に用いることができる限り、そのようなものでも用いる琴ができるが、例えば、水素化シアノホウ素ナトリウム(NaCNBH)、ジメチルアミンボラン((CHHNBH)、トリメチルアミンボラン((CHNBH)、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)、ボラン(BH)、アニリン(CNH)、ヒドラジン(N)、クエン酸(C)、シュウ酸((COOH))、水素化リチウムアルミニウム(LiAlH)、ヒドロキノン(C(OH))などを用いることができるがそれらに限定されない。好ましくは、還元は、NaCNBHを用いて行われることが好ましい。
別の好ましい実施形態では、電極と生体分子(例えば、核酸分子)との間に、アミノシランとクロスリンカーで架橋して、自由度を持たせることによって、ハイブリダイゼーションの効率を有利に働かせることも可能である。架橋の方法は、本明細書において別の箇所において記載されているように、当該分野において公知の任意の方法を利用することが可能である。
(生体分子に関する情報検出法)
別の局面において、本発明は、生体分子との相互作用を検出するための方法であって、A)該生体分子と、非ケイ素酸化物とを含む、ゲート電極が半導体素子上に一体化された、電界効果トランジスタを提供し、電流−電圧(I−V)特性を測定する工程;B)該電界効果トランジスタと、相互作用が生じるに十分な条件下でサンプルとを接触させる工程;C)該接触後に、該電界効果トランジスタのI−V特性を測定する工程;およびD)該接触前のI−V特性と、該接触後のI−V特性とを比較して、該I−V特性同士の相違から該生体分子との該相互作用を算出する工程、を包含する、方法を提供する。
本発明では、IS−FETのソース−ドレイン電極間、またはゲートに電圧を印加し、ソース・ドレイン間に流れる電流を測定することによって検出を行うことが可能になる。
ここで、ゲート電極、電界効果トランジスタについては、本明細書において、それぞれ「ゲート電極」、「電界効果トランジスタ」に記載される任意の形態を用いることができることが理解される。
I−V特性は、任意の電気信号検出手段によって測定することができることが理解される。そのような検出手段は、本明細書において他の場所において記載されており、本明細書において「センサ」に記載される任意の形態を用いることができることが理解される。
本発明において利用されるI−V特性の表現形としては、静特性飽和電流値、伝達特性閾値電圧などを挙げることができるがそれらに限定されない。これらの値の相違は、それぞれ、電流値の増減、IV特性曲線のシフト(正負)などによって表現することができる。
本発明において用いられる生体分子は、任意の生体分子を用いることができるが、好ましくは、核酸が用いられる。このような場合、本発明の検出対象となるサンプルは、核酸と相互作用する分子を含むかまたは含むと予測されるか、あるいは核酸と相互作用する物質を含むかまたは含むと予測されるサンプル(例えば、血液、尿)などを用いることができることが理解される。
本発明の検出方法において用いられる生体分子は、PNAを含み、この場合検出対象とされるサンプルは、核酸を含むかまたは含むと予測されるか、あるいは核酸と相互作用する物質を含むかまたは含むと予測されることが好ましい。
本発明の検出方法では、使用される生体分子は、核酸を含み、検出対象となるサンプルは、核酸と相互作用する分子を含む。この場合、電界効果トランジスタは、p型トランジスタであり、I−V特性の静特性飽和電流値の減少または伝達特性閾値電圧の正シフトは、核酸と、核酸と相互作用する分子とがハイブリダイゼーションしたことを示す。シフトおよび電流値の増減と、相互作用との相関付けは、一度標準曲線を作成することによって実施することができることが理解される。本発明では、この電流値の増減の幅、およびシフトの移動幅が、従来のケイ素酸化物を用いた場合よりも、はるかに改善したことが留意されるべきである。あるいは、特に、PNAを用いた場合は、電荷がない状態で測定されることから、電荷を有するDNAの測定感度が飛躍的に上昇したことに留意すべきである。
(検出システム)
別の局面において、本発明は、A)生体分子と、非ケイ素酸化物とを含むゲート電極が半導体素子上に一体化された、電界効果トランジスタと、B)該電界効果トランジスタが露出するように配置された、サンプルを収容するための容器と、C)該電界効果トランジスタと電気的に結合する電気信号検出手段と、D)該電気信号検出手段と電気的に結合する電流−電圧(I−V)特性を算出する手段、とを備える、生体分子との相互作用を検出するためのシステムを提供する。このシステムにおいて使用されるゲート電極、電界効果トランジスタ、電気信号検出手段は、本明細書において「ゲート電極」、「電界効果トランジスタ」、「センサ」などにおいて詳述される任意の形態を用いることができることに留意すべきである。本発明では、IS−FETのソース−ドレイン電極間、またはゲートに電圧を印加し、ソース・ドレイン間に流れる電流を測定することによって検出を行うことが可能になる。ここで、サンプルを収容するための容器は、サンプルを収容することができ、電界効果トランジスタが露出することができるように配置される限り、どのような容器を用いることでも用いることができることが理解される。本発明において使用されるI−V特性の算出手段もまた、電気信号から電流値および電圧値を算出し、その関係を算出し、必要に応じて数学的処理を行うことができるような手段を用いることができる限りどのような手段を用いてもよい。通常、CPU、入力手段、出力手段、格納手段、表示手段などを備えたコンピュータを用いることができるがそれらに限定されない。
本発明のこのような検出システムは、例えば、図10に例示されるように構成される。ここでは、IS−FETの半導体素子部分が左上に例示される。左下には、4×4で構成した場合のチップの平面図を示す。右側には、IS−FETにおける検出を例示する。ここでは、一本鎖(SS−DNA)の場合と、二本鎖(DS−DNA)の場合とで、ミスマッチを検出する模式図を示す。フェリシアン化鉄の酸化還元によって簡単に電荷の移動を観察することができることが理解される。一本鎖と二本鎖とのI−Vの相対的比較図を図12に示す。
このようなシステムは、さらに、I−V特性に基づいて、生体分子との相互作用に関する情報を算出する手段を備える。
別の局面において、本発明は、そのような生体分子との相互作用に関する情報を算出するためのコンピュータプログラムを提供することが理解される。
(本発明の用途)
本発明の方法、ゲート電極、トランジスタおよびシステムは、例えば、診断、法医学、薬物探索(医薬品のスクリーニング)および開発、分子生物学的分析(例えば、アレイベースのヌクレオチド配列分析およびアレイベースの遺伝子配列分析)、タンパク質特性および機能の分析、薬理ゲノム学、プロテオミクス、環境調査ならびにさらなる生物学的および化学的な分析において使用され得る。
本発明の方法、ゲート電極、トランジスタおよびシステムは、種々の遺伝子の検出に使用することができ、検出する遺伝子は特に限定されない。そのような検出される遺伝子としては、例えば、ウイルス病原体(たとえば、肝炎ウイルス(A、B、C、D、E、F、G型)、HIV、インフルエンザウイルス、ヘルペス群ウイルス、アデノウイルス、ヒトポリオーマウイルス、ヒトパピローマウイルス、ヒトパルボウイルス、ムンプスウイルス、ヒトロタウイルス、エンテロウイルス、日本脳炎ウイルス、デングウイルス、風疹ウイルス、HTLVを含むがそれらに限定されない)の遺伝子;細菌病原体(たとえば、黄色ブドウ球菌、溶血性連鎖球菌、病原性大腸菌、腸炎ビブリオ菌、ヘリコバクターピロリ菌、カンピロバクター、コレラ菌、赤痢菌、サルモネラ菌、エルシニア、淋菌、リステリア菌、レプトスピラ、レジオネラ菌、スピロヘータ、肺炎マイコプラズマ、リケッチア、クラミジアを含むがそれらに限定されない)の遺伝子、マラリア、赤痢アメーバ、病原真菌、寄生虫、真菌の遺伝子の検出に用いることができる。
本発明の方法、ゲート電極、トランジスタおよびシステムはまた、遺伝性疾患、網膜芽細胞腫、ウイルムス腫瘍、家族性結腸ポリープ症、神経腺維腫症、家族性乳癌、色素性乾皮症、脳腫瘍、口腔癌、食道癌、胃癌、結腸癌、肝臓癌、膵臓癌、肺癌、甲状腺腫瘍、乳腺腫瘍、泌尿器腫瘍、男性器腫瘍、女性器腫瘍、皮膚腫瘍、骨・軟部腫瘍、白血病、リンパ腫、固形腫瘍、等の腫瘍性疾患を検査および診断するために使用され得る。
本発明はさらに、RFLP、SNP解析等の多型解析、塩基配列の解析等にも適応することが可能である。本発明はまた、医薬品のスクリーニングにおいて使用することができる。
本発明はまた、医療以外にも、食品検査、検疫、医薬品検査、法医学、農業、畜産、漁業、林業などで、生体分子の検査が必要なものに全て適応可能である。本発明においては特に、食料の安全目的のための(たとえば、BSE検査)使用も企図される。
本発明はまた、生化学検査データを検出するために用いられ得る。生化学検査の項目としては、たとえば、総蛋白、アルブミン、チモール反応、クンケル硫酸亜鉛試験、血漿アンモニア、尿素窒素、クレアチニン、尿酸、総ビリルビン、直接ビリルビン、GOT、GPT、コリンエステラーゼ、アルカリホスファターゼ、ロイシンアミノペプチターゼ、γ−グルタミルトランスペプチターゼ、クレアチニンフォスキナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、アミラーゼ、ナトリウム、カリウム、塩素イオン(クロール)、総カルシウム、無機リン、血清鉄、不飽和鉄結合能、血清浸透圧、総コレステロール、遊離コレステロール、HDL-コレステロール、トリグリセライド、リン脂質、遊離脂肪酸、血漿グルコース、インシュリン、BSP停滞率、ICG消失率、ICG停滞率、髄液・総蛋白、髄液・糖、髄液・塩素、尿・総蛋白、尿・ブドウ糖、尿・アミラーゼ、尿・尿酸、尿・尿素窒素、尿・クレアチニン、尿・カルシウム、尿・浸透圧、尿・無機リン、尿・ナトリウム、尿・カリウム、尿・クロール、尿中Nアセチルグルコサミニダーゼ、1時間クレアチニンクレアランス、24時間クレアチニンクレアランス、フェノールスルホンフタレイン、C-反応性タンパクなどが挙げられるがそれらに限定されない。このような検査項目を測定する方法および原理は当該分野において周知慣用されている。
本発明はまた、生体から直接採取したサンプル以外に、PCR、SDA、NASBA法等で増幅した遺伝子の検出に対しても用いることは可能である。本発明はさらに、標的遺伝子は予め電気化学的に活性な物質や、FITC、ローダミン、アクリジン、Texas Red、フルオレセインなどの蛍光物質、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼなどの酵素、ハプテン、発光物質、抗体、抗原、金コロイドなどのコロイド粒子、金属、金属イオン、およびトリスビピリジン、トリスフェナントロリン、ヘキサアミンなどとの金属キレートなどで標識しておくことも可能である。
本発明が検査または診断目的とする試料は特に限定されず、例えば、血液、血清、白血球、尿、便、精液、唾液、組織、培養細胞、喀痰等を用いることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明を説明するが、以下の実施例は、例示の目的のみに提供される。従って、本発明の範囲は、上記発明の詳細な説明にも下記実施例にも限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
(実施例1:ペプチド核酸分子と電界効果トランジスタを組み合わせた生体情報デバイスの作製)
生体分子の代表例としてペプチド核酸分子と、電界効果トランジスタとを組み合わせた生体情報デバイスを作製し、遺伝子検出の可能性について評価した。作製した電界効果トランジスタの模式図を図1に示す。
(実験方法)
以下にこの手順の詳細を示す。
(材料)
3’−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTESともいう)を信越化学(東京、日本)から購入した、25%グルタルアルデヒド、水素化シアノホウ素ナトリウム(NaBHCN)、20×SSC、0.5M EDTA溶液およびリン酸緩衝液(pH7.0, 1/15M)は、和光純薬(大阪、日本)から購入した。
IS−FETの電極などは、BAS Inc.から購入した。
N末端にエチレングリコールスペーサーを含む15マー合成PNAは、FASMAC Co.Ltd.から購入した。このPNAは、NH−O−GGC AGT GCC TCA CAA(配列番号1)を有した。ここで、Oはエチレングリコールを示す。
別の生体分子としては、DNAを用いた。このDNAは、NH−(CH−GGC AGT GCC TCA CAA(配列番号2)という配列を有した。
サンプルの代わりとして、検出対象となる、標的DNAは、Sigma Genosys Japan K.K.(東京、日本)から購入した。このDNAは、上記PNAとは相補的な配列を有しており、その配列は、5’−TTG TGA GGC ACT GCC(配列番号3)であった。
(PNA固定)
IS−FETゲート電極の表面処理を、以下の手順で行った。この処理は、洗浄、APTESグラフト処理、グルタルアルデヒドとのカップリング反応およびPNA固定から主に構成される。以下に詳細に説明する。その反応模式図は、図2Aに示す。図2Bのように、フェニレンジイソチオシアネートを用いてもよい。
A)IS−FETの洗浄
アミノシラン化の処理前にIS−FETをHCl:メタノール(1:2)溶液に30分浸した。その後、滅菌脱イオン水でこのIS−FETを洗浄した。
次に、このIS−FETを、10% HSOに30分間浸し、滅菌脱イオン水で洗浄した。IS−FETを、さらに30分間沸騰水に浸した。
2)3’−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)グラフト処理
上記処理したIS−FETを、95%アセトン/水中の1%APTES溶液中に浸した。このIS−FETは、アセトンで5回洗浄し、その後110℃で5分間乾燥させた。
3)グルタルアルデヒドとのカップリング反応
上記処理したIS−FETを、5%グルタルアルデヒドリン酸緩衝液(pH7.0、1/15M)中に37℃で2時間浸した。ついで、このIS−FETを脱イオン水で洗浄した。
4)PNA固定
このIS−FETを、PNAプローブ溶液(5μM)中に37℃で12時間浸した。PNAプローブが固定されたこのIS−FETを、PNAと完全に相補的な配列を有する標的DNA(5μM)を含むハイブリダイゼーション緩衝液(300mM塩化ナトリウム、30mMクエン酸ナトリウム/1mM EDTA、これは、2×SSC/EDTA緩衝液という)に、60℃で12時間浸した。ハイブリダイゼーション反応後、このIS−FETを、2×SSC/EDTAで洗浄し、5分間浸して非特異的に結合したDNAを取り除いた。
(I−V特性の測定)
I−V特性の測定は、KEITHLEY 4200(KEITHLEY Instruments, Inc. Cleveland, OH, USA)を用いて、室温でソース端子、ドレイン端子、ゲート端子を含む3つの端子を用いた半導体特徴づけシステムを用いて行った。その模式図を図3に示す。図3左には、本発明のIS−FETを用いたときの回路図を示す。右上には、使用したIS−FETの実物写真を示す。右中には、トランジスタの電流発生模式図を示す。右下には、シフトの算出模式図を示す。
DNAとPNAとのハイブリダイゼーション曲線は、図4に示す。図4では、等量のPNAと標的DNAとを混合したときの、熱解離曲線が示される。また、DNAとPNAとを用いた場合のTmの比較を以下に示す。
表1では、PNA/DNAのTmを、DNA/DNAのTmと比較して提示している。また、塩濃度による相違も示した。2×SSC/1mM EDTA(NaCl:300mM);0.2×SSC/0.1mM EDTA(NaCl:30mM)。
これにより、PNA/DNAは、15マーの場合、Tm値は69℃、DNA/DNAのTm値は54℃であることが分かる。また、塩基配列中に1塩基配列置換があった場合、そのミスマッチにより、Tm値は、PNA/DNAの場合で、8〜21℃減少し、DNA/DNAの場合4〜16℃減少する。
電解液には、0.2×SSC/0.1mM EDTA(30mM塩化ナトリウムを含む)を用いた。標準的なAg/AgClを標準電極として用いた。I−V特性を測定する前に、IS−FETを、30分間暗条件下に置き、測定は、暗条件ですべて行った。半導体電極における電荷キャリアが光生成するのを避けるためである。ドレインにおけるI−V特性(Dはドレインを示す。I−V特性は、飽和電流値の定義にもあるように、ドレイン電流−ドレイン電圧測定における飽和電流値の変化を測定するものである。ゲート面に固定されたDNA、PNAなどの生体分子に対して、相補的な標的DNA(ポリアニオン性DNA)がハイブリダイゼーションしたときに生じる飽和電流値の変化を測定することになる)を測定するために、ドレイン−ソースバイアスを、0Vから7Vまで変動させ、ゲートバイアスは、1Vおきに0Vから4Vにまで変動させた。ドレイン−ソース特性であるI−V特性(I−V特性は、ドレイン電流−ゲート電圧測定における海面電位の変化を測定するものであり、ドレイン電流が流れ始める閾値電圧の確認のために必要な測定である)では、ゲートソースバイアスを−3Vから5Vに変動させ、ドレイン−ソースバイアスは、1Vずつ4Vから7Vに変動させた。
飽和電流値は以下のように算出した。
ここで、Cox=ε・ε/d=ε/dであり、εは、ゲート絶縁体の比誘電率であり、εは真空中の誘電率であり、εはゲート絶縁体の誘電率であり、dはゲート絶縁体の膜厚である。
ゲートに使用される絶縁体特性として、高い誘電率をもつことが本明細書において好ましい。酸化タンタルの誘電率は約25であることから、ゲートの絶縁体としてよく用いられるSiOの誘電率(ε=3.9)のおよそ6倍である。本発明の場合、このように誘電率の高いゲート絶縁体を利用することによって、DNAの負電荷で効率よく酸化タンタルを誘電させることができ、このとき測定される電流値は上記よりSiOの場合に比べて6倍増加することになる。このように、本発明では、高い誘電率を有する材料でもバイオセンサを構成することができることを見出したという点で従来にないゲート電極を提供することになる。
酸化タンタルのように誘電率の高いゲート絶縁体を用いたISFETは、従来のSiOなどの低い誘電率を利用したゲート絶縁体に比べて、種々な測定において有利である。例えば、このような材料では、理想的なISFET特性を示し(例えば、酸化タンタル)、水溶液中の塩濃度に依存しない安定した動作示し、測定される電流値の経時による変化が極めて少ないなどの効果がある。
以下に、本実施例において使用した技術についての参考文献を列挙する。
(QCM法)
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(結果)
図5上に、Id−Vg特性評価による伝達特性の結果を示す。図5下には、これを対数表示した結果およびId1/2/A1/2をプロットした結果を示す。ブランクのId−Vg特性評価による伝達特性の結果を図6に示す。伝達特性の結果、Vds=4Vにおいて閾値電圧が170mV正シフトすることが観察された。
ハイブリダイゼーション後95℃、1時間滅菌水中で解離反応を行い再度伝達特性評価を行なった結果、解離反応により伝達特性閾値電圧の負シフト(約60mV)が観察された(図8左)。同時にPNA−IS−FETのハイブリダイゼーションブランク実験を行なったが、I−V特性における界面電位の正シフトは観察されなかった。
上記同条件において再現実験を行なった結果、上記結果と同様の傾向は示されることが明らかになった。従って、本発明のゲート電極およびそれを使用したシステムは、リサイクルして使用できることが明らかになった。
PNAは、2−アミノエチルグリシンを骨格とする無電荷の人工核酸分子で熱安定性、塩基配列選択性、塩濃度非依存性などにおいて、DNAよりもハイブリダイゼーション反応に優れ、またIS−FETは電極/溶液界面の表面ポテンシャルの変化に対しセンシティブである為、PNA、IS−FET両者を組み合わせたバイオセンサは効率的かつダイレクトにハイブリダイゼーション前後の変化を検出することが期待できる。IS−FETゲート面Taプロトン感受性膜にアミノシラン誘導体を導入後、グルタルアルデヒドによる架橋を組み合わせPNAを固定した。その後相補鎖DNAとのハイブリダイゼーション反応を行い、ハイブリ前後のI−V特性を測定した。結果ハイブリダイゼーション反応により静特性飽和電流値が100μA減少、また伝達特性閾値電圧が170mV−200mV正シフトすることが確認され、PNA−IS−FET型デバイスのバイオセンサとしての可能性を確認することができた。
(実施例2:静特性飽和電流値)
次に、実施例1に記載される実験において、静特性飽和電流値を測定した。その結果であるId−Vd特性評価による静特性の結果を、図7に示す。電流値は、ssPNAおよびdsPNA/DNAの両方の実験結果を示す。
静特性の結果、ゲート電圧Vg=0−4V何れの電圧においてもDNAのハイブリダイゼーションにより飽和電流値が100μA(Vg=0V)から200μA(Vg=4V)減少することが確認された。
ハイブリダイゼーション後95℃、1時間滅菌水中で解離反応を行い再度静特性を行なった結果、解離反応により静特性飽和電流値の上昇(約70μA)が観察された(図8右)。同時にPNA−IS−FETのハイブリダイゼーションブランク実験を行なったが、I−V特性における界面電位の正シフトは観察されなかった。
上記同条件において再現実験を行なった結果、上記結果と同様の傾向は示されることが明らかになった。従って、本発明のゲート電極およびそれを使用したシステムは、リサイクルして使用できることが明らかになった。
実施例1および2の結果から、静特性において飽和電流値が減少することおよび伝達特性において界面電位の正シフトが誘起された現象は、ポリアニオン性DNAのハイブリダイゼーションにより正のゲート電圧が相殺されたことに起因する現象と考えられる。従ってIS−FETとPNAを組み合わせたセンサーデバイスを作製することにより、ダイレクトな遺伝子検出ができることが示された。
(実施例3:DNAをプローブとして用いた場合)
次に、DNAをプローブとして用いた場合の実験を行った。PNAの代わりにDNAを用いた以外は実施例1に記載されるように行った。
その結果を図9に示す。図9左にはId−Vd特性評価による静特性の結果を示し、右にはId−Vg特性評価による伝達特性の結果を示す。
示されるように、ハイブリダイゼーション後、電流値は約100μA減少し、電圧は、約30mV正にシフトしていた。従って、DNAを用いた場合でも、本発明の効果が示されることが明らかになった。ただし、感度は、PNAの方が5倍程度よいことも明らかになった。
(実施例4:XPSとIS−FET特性)
上記実施例によってDNAがTa上に固定されているかどうかを、XPSによって測定した。シランカップリング剤の導入前後では、Si2pのピークに着目すると、導入前では、Ta薄膜基板であるSi2pに起因するピークが見られた。導入後では、さらに、Si2pのピークが増加することから、Ta上にシランカップリングによるSiが結合されたことが明らかになった。
IS−FET素子のアレイ化を行った。同じサイズの素子が2個1組になっており、8サイズ全16素子アレイ化されている。2個1組の同じサイズ素子それぞれに、核酸を固定した素子と固定しないで標準として作動させる素子とを組み合わせ、差動増幅回路によって測定することで、先に得られた測定における精度の向上を図る。これにより、さらなる再現性および測定精度の向上を得た。また、異なる配列を持つ8種類のDNAをそれぞれ固定することで、同時に8種類の測定または検診をおこなうことができる。
(実施例5:DNAチップの作製)
次に、本発明の仕組みを活かして、DNAをあれ異常に配置して、IS−FET型DNAチップを作製する。その作製例は、図14に示す。
これは、以下のように作製する。
インクジェット装置(例えば、Canonなどから入手可能)を利用して、アレイ化された個々のIS−FET上へDNAの固定を行う。その方法は、先に述べた後に、シランカップリング溶液をインクジェットより個々のIS−FET上に射出し、続いてクロスリンカー溶液を射出し、最後にDNAなどの生体溶液を射出することによって作製する。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本発明は、生体分子を用いたセンサなどの情報機器に応用可能である。従って、本発明は、電子情報分野の機器を、生体分子を用いて作製することを可能にする。さらに、本発明は、生体分子として疾患に関連する分子を用いることによって、診断デバイスなどに応用することも可能である。

Claims (42)

  1. 生体分子と、二酸化ケイ素より誘電率の高い絶縁体である非ケイ素酸化物とを含む、ゲート電極であって、該生体分子は、PNAを含み、
    該非ケイ素酸化物は、酸化タンタル(Ta)であり、
    該非ケイ素酸化物は、アミノシラン化合物による結合により該生体分子に固定される、ゲート電極。
  2. 前記非ケイ素酸化物は膜状形態をしている、請求項1に記載のゲート電極。
  3. 前記非ケイ素酸化物と、前記生体分子とは−O−(SiR)−(CH−NH(CH−NH−O−(CH−O−CH−NH−というリンカーで結合され、ここで、n、mおよびkはそれぞれ独立して任意の正の整数であり、RおよびRは、独立して、任意の置換基または該リンカーと同じ構造を有する別のリンカーのSi原子である、請求項1に記載のゲート電極。
  4. 前記生体分子は、他の生体分子と特異的相互作用をする能力を有する、請求項1に記載のゲート電極。
  5. 前記生体分子は、一本鎖または二本鎖の形態で存在する、請求項1に記載のゲート電極。
  6. 前記生体分子は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で他の生体分子とハイブリダイゼーションする能力を有する、請求項1に記載のゲート電極。
  7. 前記生体分子は、無電荷またはほとんど電荷がないことを特徴とする、請求項1に記載のゲート電極。
  8. 前記生体分子は、疾患または障害の診断のためのプローブである、請求項1に記載のゲート電極。
  9. 前記生体分子は、1塩基多型(SNPs)を検出するためのプローブである、請求項1に記載のゲート電極。
  10. 生体分子と、二酸化ケイ素より誘電率の高い絶縁体である非ケイ素酸化物とを含むゲート電極が、半導体素子上に一体化された、電界効果トランジスタであって、
    該生体分子は、PNAを含み、
    該非ケイ素酸化物は、酸化タンタル(Ta)であり、
    該非ケイ素酸化物は、アミノシラン化合物による結合により該生体分子に固定される
    電界効果トランジスタ。
  11. 前記半導体素子は、基板と、ソース部と、ドレイン部とを含む、請求項10に記載の電界効果トランジスタ。
  12. 前記トランジスタは、pチャネル型またはnチャネル型であり、そして、エンハンスメント型またはディプリション型である、請求項10に記載の電界効果トランジスタ。
  13. 前記ソース部および前記ドレイン部は、絶縁体で覆われる、請求項1に記載の電界効果トランジスタ。
  14. 前記ソース部からの電流を引き出すソース引き出し電極、前記ドレイン部からの電流を引き出すドレイン引き出し電極、前記基板からの電流を引き出す基板引き出し電極、前記ゲート電極由来の電流を引き出すためのゲート引き出し電極をさらに備える、請求項1に記載の電界効果トランジスタ。
  15. 前記ゲート電極は、電解液に浸される、請求項10に記載の電界効果トランジスタ。
  16. 前記ゲート引き出し電極は、Ag/AgClを含む、請求項1に記載の電界効果トランジスタ。
  17. 前記基板は、Siを含む、請求項1に記載の電界効果トランジスタ。
  18. 前記非ケイ素酸化物は膜状形態をしている、請求項10に記載の電界効果トランジスタ。
  19. 前記非ケイ素酸化物と、前記生体分子とは−O−(SiR )−(CH −NH(CH −NH−O−(CH −O−CH −NH−というリンカーで結合され、ここで、n、mおよびkはそれぞれ独立して任意の正の整数であり、R およびR は、独立して、任意の置換基または該リンカーと同じ構造を有する別のリンカーのSi原子である、請求項10に記載の電界効果トランジスタ。
  20. 前記生体分子は、他の生体分子と特異的相互作用をする能力を有する、請求項10に記載の電界効果トランジスタ。
  21. 前記生体分子は、一本鎖または二本鎖の形態で存在する、請求項10に記載の電界効果トランジスタ。
  22. 前記生体分子は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で他の生体分子とハイブリダイゼーションする能力を有する、請求項10に記載の電界効果トランジスタ。
  23. 前記生体分子は、無電荷またはほとんど電荷がないことを特徴とする、請求項10に記載の電界効果トランジスタ。
  24. 前記生体分子は、疾患または障害の診断のためのプローブである、請求項10に記載の電界効果トランジスタ。
  25. 前記生体分子は、1塩基多型(SNPs)を検出するためのプローブである、請求項10に記載の電界効果トランジスタ。
  26. 以下:
    A)請求項10〜25のいずれか1項に記載の電界効果トランジスタと、
    B)電気信号検出手段
    とを備える、該生体分子との相互作用を検出するためのセンサ。
  27. 生体分子が固定された、非ケイ素酸化物を含むゲート電極を作製する方法であって、該生体分子は、PNAを含み、該非ケイ素酸化物は、酸化タンタル(Ta)であり、該方法は:
    A)非ケイ素酸化物を含むゲート電極を提供する工程;
    B)該非ケイ素酸化物にアミノシラン含有物質を結合させる工程;
    C)該アミノシラン含有物質と、該アミノシラン含有物質のアミノ基と反応し得るクロスリンカーを結合させて中間体を形成工程;および
    D)該中間体に生体分子を結合させる工程、
    を包含する、方法。
  28. 前記アミノシラン含有物質は、ω’−アミノアルキルトリアルコキシシランを含む、請求項2に記載の方法。
  29. 前記アミノシラン含有物質は、3’−アミノプロピルトリエトキシシランを含む、請求項2に記載の方法。
  30. 前記アミノシラン含有物質を結合させる前に、前記酸化タンタル(Ta)を酸処理する工程をさらに包含する、請求項2に記載の方法。
  31. 前記クロスリンカーは、カルボジイミド類、アルデヒド類またはイミドエステル類を含む、請求項2に記載の方法。
  32. 前記クロスリンカーは、アルデヒド含有基を含む、請求項2に記載の方法。
  33. 前記クロスリンカーは、グルタルアルデヒドを含む、請求項2に記載の方法。
  34. 前記クロスリンカーの結合は、紫外線照射による架橋によって形成される、請求項27に記載の方法。
  35. 前記クロスリンカーを結合させることにより得られた中間体を還元する工程をさらに包含する、請求項2に記載の方法。
  36. 前記還元は、NaCNBHを用いて行われる、請求項35に記載の方法。
  37. 生体分子との相互作用を検出するための方法であって、
    A)該生体分子と、二酸化ケイ素より誘電率の高い絶縁体である非ケイ素酸化物とを含む、ゲート電極が半導体素子上に一体化された、電界効果トランジスタを提供し、電流−電圧(I−V)特性を測定する工程であって、該生体分子は、PNAを含み、該非ケイ素酸化物は、酸化タンタル(Ta)であり、該非ケイ素酸化物は、アミノシラン化合物による結合により該生体分子に固定される、工程;
    B)該電界効果トランジスタと、相互作用が生じるに十分な条件下でサンプルとを接触させる工程;
    C)該接触後に、該電界効果トランジスタのI−V特性を測定する工程;および
    D)該接触前のI−V特性と、該接触後のI−V特性とを比較して、該I−V特性同士の相違から該生体分子との該相互作用を算出する工程、
    を包含する、方法。
  38. 前記I−V特性は、静特性飽和電流値または伝達特性閾値電圧を含む、請求項3に記載の方法。
  39. 前記検出は、遺伝子状態の異常またはそれに起因する疾患もしくは障害を検出することを目的とする、請求項3に記載の方法。
  40. A)生体分子と、二酸化ケイ素より誘電率の高い絶縁体である非ケイ素酸化物とを含むゲート電極が半導体素子上に一体化された、電界効果トランジスタであって、該生体分子は、PNAを含み、該非ケイ素酸化物は、酸化タンタル(Ta)であり、該非ケイ素酸化物は、アミノシラン化合物による結合により該生体分子に固定される、電界効果トランジスタと、
    B)該電界効果トランジスタが露出するように配置された、サンプルを収容するための容器と、
    C)該電界効果トランジスタと電気的に結合する電気信号検出手段と、
    D)該電気信号検出手段と電気的に結合する電流−電圧(I−V)特性を算出する手段とを備える、生体分子との相互作用を検出するためのシステム。
  41. さらに、I−V特性に基づいて、該生体分子との該相互作用を算出する手段を備える、請求項40に記載のシステム。
  42. 前記検出は、遺伝子状態の異常またはそれに起因する疾患もしくは障害を検出することを目的とし、前記相互作用と、該遺伝子状態とを相関付けるための手段を備える、請求項40に記載のシステム。
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