生体分子に関する形態及び情報を IS— FETを利用して検出する測定法お よびシステム 技術分野
[0001] 本発明は、概して、半導体の分野にある。より詳細には、本発明は、半導体素子を 用いて生体分子を測定するための方法およびシステムに関する。
背景技術
[0002] 生体分子を、半導体技術を用いて測定および検出するための技術開発が近年盛 んである。特に、 DNAデバイスなどの、バイオ技術とナノテク技術との融合技術の研 究開発が盛んに行われて 、る。
[0003] 生体分子を測定するためには、例えば、ハイブリダィゼーシヨンなどの生体特異的 反応を利用することが多 ヽ。塩基の正確な対合によって DNAが 2本鎖を形成するハ イブリダィゼーシヨンプロセスは、バイオテクノロジーの分野における重要な反応であ る。この反応を効率的に利用した生体情報デバイスは、ポストゲノムシークェンス時代 のキーテクノロジ一として注目されている。デバイスの機能および不均一系のノ、イブリ ダイゼーシヨン反応の効率的分子認識を行う遺伝子検出システムの開発に注目が集 まっている。
[0004] 従来開発されてきた遺伝子検出システムには、蛍光標識法、 QCM法(=水晶発振 子マイクロバランス測定法(Quarts Crystal Microbalance);水晶振動子の電極 表面に物質が付着するとその質量に応じて共振周波数が変動する)、 SPR法 (表面 プラズモン共鳴法)、電気化学的検出法等が挙げられる。中でも、電気化学的遺伝 子検出法は、システムが簡単であること、シグナル応答が速い、さらに低価格化が可 能であることなど力も近年実用化に向けた開発が活発になっている。
[0005] 電気化学的な手法には、酸化還元活性分子、酵素標識、金属粒子を利用した方 法などマーカー分子の電気化学シグナルを検出する方法が中心に研究が行われて いる。 DNAの構成分子そのものの酸ィ匕還元活性などを利用した方法、電極界面の 表面ポテンシャルの変化をシグナルとして捉えたダイレクトな遺伝子検出法の開発も
近年報告されている。
[0006] IS— FETは、ゲート絶縁体 (インシュレーター) Z電極近傍、界面の表面ポテンシャ ルの変化にセンシティブなデバイスとして知られており、種々のデバイスの開発が報 告されている (非特許文献 1一 2および特許文献 1一 7)。生体分子への応用が報告 されている力 その感度 '取り扱いには、まだまだ問題が多い。
[0007] 例えば、非特許文献 1では、ケィ素表面をアルキルィ匕して DNAを結合させた素子 を使用している力 この形態の素子では、サンプルを常に流しておく必要があり、複 雑な構成を必要とする。
[0008] 非特許文献 2でもまた、ゲート電極に金属を使用した素子を使用する。この形態の 素子では、サンプルを常に流動状態を維持しておく必要があり、複雑な構成、手順を 必要とする。
[0009] 特許文献 1もまた、ケィ素酸ィ匕物を使用した FETに生体分子を結合させた半導体 を利用したバイオセンサを開示する。しかし、ケィ素酸ィ匕物を用いた FETは、感度が 低いことが指摘されている。
[0010] 特許文献 2には、 DNAを利用したナノデバイスが開示されている。しかし、酸ィ匕物 を素子には使用していない。
[0011] 特許文献 3には、 DNAを表面に結合した金属粒子がゲート絶縁膜に結合した素子 が開示されている。しかし、金属粒子がゲート絶縁膜に結合する方法では、結合が安 定せず、その取り扱いも不安定である。
[0012] 特許文献 4には、 FETに生体分子を用いた回路が記載されているが、生体分子は ケィ素酸ィ匕物に結合されており、上記と同様の問題が生じる。
[0013] 特許文献 5には、電極に DNAプローブが結合した検査装置が開示されている。し かし、この装置は電気化学発光の検出に基づいており、電流電圧特性を検出するも のではない。
[0014] 特許文献 6には、核酸配列決定のために電界効果トランジスタを利用する技術が記 載されているが、ゲート電極に孔を空ける構造を記載するのみであり、ゲート電極自 体には改良がなされて ヽな ヽ。
[0015] 特許文献 7には、電気化学法を用いたノィォマイクロアレイが記載されているが、ゲ
ート電極に関する改良は何ら記載されて 、な 、。
[0016] 特許文献 8には、分子化合物のハイブリダィゼーシヨンを定量ィ匕するためのシステ ムが記載されている力 ここで使用されている担体はガラスなどのケィ素酸ィ匕物が例 示されているのみである。
[0017] 特許文献 9は、半導体センシングデバイスを開示する。ここでは、シリコン基板に有 機単分子修飾表面を載せて生体分子を含ませたチップが記載されて ヽる。しかし、 ニ酸ィ匕ケィ素より誘電率の高い絶縁体が使用されているかどうか記載されておらず、 し力も、酵素が使用されているだけである。
[0018] 特許文献 10は、 ZnOという低誘電率の材料を用いたセンサを開示する。従って、 二酸化ケイ素より誘電率の高 、絶縁体を用いたゲート電極の使用は記載されて 、な い。
[0019] 特許文献 11は、タンパク質の固定方法を記載する。しかし、生体分子と、二酸化ケ ィ素より誘電率の高い絶縁体である非ケィ素酸ィ匕物とを含む、ゲート電極は記載され ていない。また、核酸については何ら記載していない。
[0020] 特許文献 12は、酸ィ匕タンタル水素イオン感知膜を有する感イオン電界効果トランジ スタの製造法を記載する。しかし、生体分子と、二酸化ケイ素より誘電率の高い絶縁 体である非ケィ素酸ィ匕物とを含む、ゲート電極は記載されて ヽな ヽ。
[0021] 特許文献 13は、半導体バイオセンサを記載する。しかし、生体分子と、二酸化ケィ 素より誘電率の高い絶縁体である非ケィ素酸ィ匕物とを含む、ゲート電極は記載されて いない。
[0022] 非特許文献 3は、 FETセンサを記載する。しかし、生体分子と、二酸化ケイ素より誘 電率の高 、絶縁体である非ケィ素酸ィ匕物とを含む、ゲート電極は記載されて 、な ヽ 非特許文献 1 : Wei F. et al. , Biosensors and Bioelectronics 18 (2003) 1 157-1163
非特許文献 2 :KIM D-S. et al. , Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 42 (2003) 4111— 4115
非特許文献 3 :電気化学および工業物理化学 Vol. 50、 No. 1、ρρ64— 71. (1982)
特許文献 1:特開 2003—329638
特許文献 2:特開 2003— 37313
特許文献 3:特開 2003—322633
特許文献 4:特開 2004— 7572
特許文献 5:国際公開 00Z01848パンフレット
特許文献 6 :特表 2003— 531592
特許文献 7:特開 2003— 90818
特許文献 8:特表 2003— 526096
特許文献 9:特開 2004— 4007
特許文献 10 :国際公開 03Z104789パンフレット
特許文献 11:特開平 6— 9698
特許文献 12:特開平 5 - 107224
特許文献 13:特開 2003—329638
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0023] 本発明は、簡便に、効率よく生体分子との相互作用を検出するための技術を開発 することを課題とする。特に、本発明は、 DNAなどの核酸分子を簡便に、効率よく検 出する技術を開発することを課題とする。また、酸化金属と生体分子とを結合させた 基板を提供することも課題とする。
課題を解決するための手段
[0024] 本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、本発明は、非ケィ素酸化物を用いたゲート 電極に生体分子を固定することができる技術を見出したことによって上記課題が解決 された。従って、本発明は、以下を提供する。
(1)生体分子と、非ケィ素酸ィ匕物とを含む、ゲート電極。
(2)上記非ケィ素酸ィ匕物は、酸化金属である、項目 1に記載のゲート電極。
(3)上記非ケィ素酸ィ匕物は、酸化タンタル (Ta O )、酸化カルシウム (CaO)、酸ィ匕
2 5
鉛(PbO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化トリウム(ThO )、酸化アンチモン(Sb O
2 2 3
)、一酸ィ匕チタン (TiO)、二酸化チタン (TiO )、酸ィ匕ハフニウム (HfO )、酸化イツテ
ルビゥム(Yb O )、酸化マグネシウム(MgO)、酸化インジウム(In O )、酸化スズ(S
2 3 2 3 ηθ )、酸化ジルコニウム(ZrO )、酸化セリウム(CeO )、酸化ニオブ(Nb O )、酸化
2 2 2 2 5 亜鉛 (ZnO)、酸ィ匕ガドリニウム(Gd O )、酸ィ匕クロム(Cr O )、酸化タングステン (W
2 3 2 3
O )、酸化銅 (I) (Cu Ο)、酸化銅 (II) (CuO)、酸ィ匕鉄 (Π) (FeO)、酸ィ匕鉄 (III) (Fe
3 2 2
O )、酸ィ匕ニッケル (NiO)、酸ィ匕ビスマス(Bi O )、酸ィ匕サマリウム(Sm O )、酸ィ匕
3 2 3 2 3 ネオジム(Nd O )、酸化バナジウム (V O )、酸化モリブデン(ΜθΟ )、酸化力ドミゥ
2 3 2 5 3 ム(CdO )、酸化マンガン(MnO )、二酸化バリウム(BaO )および一酸化バリウム(
2 2 2
BaO)力もなる群より選択される、項目 1に記載のゲート電極。
(4)上記非ケィ素酸ィ匕物は、酸化タンタル (Ta O )、一酸化バリウム (BaO)、酸化ビ
2 5
スマス (Bi O )、酸化銅 (II) (CuO)、酸ィ匕鉛 (PbO)、酸化イッテルビウム (Yb O )、
2 3 2 3 酸化ジルコニウム(ZrO )、酸化ニオブ(Nb O )および酸化ハフニウム(HfO )から
2 2 5 2 なる群より選択される、項目 1に記載のゲート電極。
(5)上記非ケィ素酸ィ匕物は、酸化タンタル (Ta O )である、項目 1に記載のゲート電
2 5
極。
(6)上記生体分子は、上記非ケィ素酸化物に固定される、項目 2に記載のゲート電 極。
(7)上記非ケィ素酸ィ匕物は膜状形態をしており、上記生体分子は、上記非ケィ素酸 化物膜上に固定される、項目 6に記載のゲート電極。
(8)上記非ケィ素酸化物と、上記生体分子とは、シランカップリング剤により結合され る、項目 1に記載のゲート電極。
(9)上記非ケィ素酸化物と、上記生体分子とは O - (SiR R )-(CH ) NH (CH
1 2 2 n 2
) -NH-0-(CH ) -O-CH NH—というリンカ一で結合され、ここで、 n、 mおよ m 2 k 2
び kはそれぞれ独立して任意の正の整数であり、 Rおよび Rは、独立して、任意の
1 2
置換基または上記リンカ一と同じ構造を有する別のリンカ一の Si原子である、項目 8 に記載のゲート電極。
(10)上記生体分子は、他の生体分子と特異的相互作用をする能力を有する、項目 1に記載のゲート電極。
(11)上記生体分子は、核酸、タンパク質、糖、脂質およびそれらの複合体からなる
群より選択される、項目 1に記載のゲート電極。
(12)上記生体分子は、核酸を含む、項目 1に記載のゲート電極。
(13)上記生体分子は、 DNA、 RNAおよび PNA力 なる群より選択される少なくとも 1つの分子を含む、項目 1に記載のゲート電極。
(14)上記生体分子は、 PNAを含む、項目 1に記載のゲート電極。
(15)上記生体分子は、一本鎖または二本鎖の形態で存在する、項目 1に記載のゲ ート電極。
(16)上記生体分子は、他の生体分子とハイブリダィゼーシヨンする能力を有する、項 目 1に記載のゲート電極。
(17)上記生体分子は、リガンドーレセプター相互作用する能力または抗原抗体反応 する能力を有する、項目 1に記載のゲート電極。
(18)上記生体分子は、無電荷またはほとんど電荷がないことを特徴とする、項目 1に 記載のゲート電極。
(19)上記生体分子は、疾患または障害の診断のためのプローブである、項目 1に記 載のゲート電極。
(20)上記生体分子は、 1塩基多型(SNPs)を検出するためのプローブである、項目 1に記載のゲート電極。
(21)生体分子と、非ケィ素酸ィ匕物とを含むゲート電極が、半導体素子上に一体化さ れた、電界効果トランジスタ。
(22)上記半導体素子は、基板と、ソース部と、ドレイン部とを含む、項目 21に記載の 電界効果トランジスタ。
(23)上記トランジスタは、 pチャネル型または nチャネル型であり、そして、ェンハンス メント型またはデイブリシヨン型である、項目 21に記載の電界効果トランジスタ。
(24)上記ソース部および上記ドレイン部は、絶縁体で覆われる、項目 21に記載のト ランジスタ。
(25)さらに、電極を備える、項目 21に記載のトランジスタ。
(26)上記ソース部からの電流を引き出すソース引き出し電極、上記ドレイン部からの 電流を引き出すドレイン引き出し電極、上記基板からの電流を弓 Iき出す基板引き出し
電極、上記ゲート電極由来の電流を引き出すためのゲート引き出し電極をさらに備え る、項目 21に記載のトランジスタ。
(27)上記ゲート電極は、電解液に浸される、項目 21に記載のトランジスタ。
(28)上記ゲート引き出し電極は、 AgZAgClを含む、項目 21に記載のトランジスタ。
(29)上記基板は、 Siを含む、項目 21に記載のトランジスタ。
(30)上記ゲート電極は、項目 2— 20のいずれか 1項に記載の特徴をさらに有する、 項目 21に記載のトランジスタ。
(31)以下:
A)生体分子と、非ケィ素酸ィ匕物とを含むゲート電極が半導体素子上に一体化された 、電界効果トランジスタと、
B)電気信号検出手段
とを備える、上記生体分子との相互作用を検出するためのセンサ。
(32)生体分子が固定された、非ケィ素酸化物を含むゲート電極を作製する方法で あって、
A)非ケィ素酸ィ匕物を含むゲート電極を提供する工程;
B)上記非ケィ素酸ィ匕物にアミノシラン含有物質を結合させる工程;
C)上記アミノシラン含有物質と、上記アミノシラン含有物質のァミノ基と反応し得るク ロスリンカーを結合させて中間体を形成工程;および
D)上記中間体に生体分子を結合させる工程、
を包含する、方法。
(33)上記アミノシラン含有物質は、 ω,一アミノアルキルトリアルコキシシランを含む、 項目 32に記載の方法。
(34)上記アミノシラン含有物質は、 3'—ァミノプロピルトリエトキシシランを含む、項目 32に記載の方法。
(35)上記結合の前に、上記酸化金属を酸処理する工程をさらに包含する、項目 32 に記載の方法。
(36)上記酸ィ匕金属は、酸化タンタル (Ta O )、酸ィ匕カルシウム(CaO)、酸ィ匕鉛 (Pb
2 5
0)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化トリウム(ThO )、酸化アンチモン(Sb O )、一
酸化チタン (TiO)、二酸化チタン (TiO )、酸化ハフニウム(HfO )、酸化イツテルビ
2 2
ゥム(Yb O )、酸化マグネシウム(MgO)、酸化インジウム(In O )、酸化スズ(SnO
2 3 2 3 2
)、酸化ジルコニウム(ZrO )、酸化セリウム(CeO )、酸化ニオブ (Nb O )、酸化亜
2 2 2 5
鉛 (ZnO)、酸ィ匕ガドリニウム(Gd O )、酸ィ匕クロム(Cr O )、酸化タングステン (WO
2 3 2 3 3
)、酸化銅 (I) (Cu 0)、酸化銅 (Il CuO)、酸化鉄 (II) (FeO)、酸ィ匕鉄 (III) (Fe O )
2 2 3
、酸ィ匕ニッケル (NiO)、酸ィ匕ビスマス(Bi O )、酸化サマリウム(Sm O )、酸化ネオ
2 3 2 3
ジム(Nd O )、酸化バナジウム(V O )、酸化モリブデン(MoO )、酸化カドミウム(C
2 3 2 5 3
dO )、酸化マンガン(MnO )、二酸化バリウム(BaO )および一酸化バリウム(BaO)
2 2 2
力 なる群より選択される、項目 32に記載の方法。
(37)上記クロスリンカ一は、カルポジイミド類、アルデヒド類またはイミドエステル類を 含む、項目 32に記載の方法。
(38)上記クロスリンカ一は、アルデヒド含有基を含む、項目 32に記載の方法。
(39)上記クロスリンカ一は、ダルタルアルデヒドを含む、項目 32に記載の方法。
(40)上記架橋において、紫外線照射が使用される、項目 32に記載の方法。
(41)上記生体分子は、核酸を含む、項目 32に記載の方法。
(42)上記生体分子は、 DNAまたは PNAを含む、項目 32に記載の方法。
(43)上記生体分子は、 PNAを含む、項目 32に記載の方法。
(44)還元する工程をさらに包含する、項目 32に記載の方法。
(45)上記還元は、 NaCNBHを用いて行われる、項目 44に記載の方法。
3
(46)生体分子との相互作用を検出するための方法であって、
A)上記生体分子と、非ケィ素酸化物とを含む、ゲート電極が半導体素子上に一体 化された、電界効果トランジスタを提供し、電流-電圧 (I-V)特性を測定する工程;
B)上記電界効果トランジスタと、相互作用が生じるに十分な条件下でサンプルとを接 触させる工程;
C)上記接触後に、上記電界効果トランジスタの I V特性を測定する工程;および
D)上記接触前の I V特性と、上記接触後の I V特性とを比較して、上記 I V特性同 士の相違から上記生体分子との上記相互作用を算出する工程、
を包含する、方法。
(47)上記 I - V特性は、静特性飽和電流値または伝達特性閾値電圧を含む、項目 4 6に記載の方法。
(48)上記生体分子は、核酸を含み、上記サンプルは、核酸と相互作用する分子を 含む、項目 46に記載の方法。
(49)上記生体分子は、 PNAを含み、上記サンプルは、核酸を含む、項目 46に記載 の方法。
(50)上記生体分子は、核酸を含み、上記サンプルは、核酸と相互作用する分子を 含み、上記電界効果トランジスタは p型トランジスタであり、上記 I V特性の静特性飽 和電流値の減少または伝達特性閾値電圧の正シフトは、上記核酸と上記核酸と相 互作用する分子とがハイブリダィゼーシヨンしたことを示す、項目 46に記載の方法。
(51)上記検出は、遺伝子状態の異常またはそれに起因する疾患もしくは障害を検 出することを目的とする、項目 46に記載の方法。
(52) A)生体分子と、非ケィ素酸ィ匕物とを含むゲート電極が半導体素子上に一体ィ匕 された、電界効果トランジスタと、
B)上記電界効果トランジスタが露出するように配置された、サンプルを収容するため の容器と、
C)上記電界効果トランジスタと電気的に結合する電気信号検出手段と、
D)上記電気信号検出手段と電気的に結合する電流 電圧 (I V)特性を算出する手 段、
とを備える、生体分子との相互作用を検出するためのシステム。
(53)さらに、 I V特性に基づいて、上記生体分子との上記相互作用を算出する手段 を備える、項目 52に記載のシステム。
(54)上記検出は、遺伝子状態の異常またはそれに起因する疾患もしくは障害を検 出することを目的とし、上記相互作用と、上記遺伝子状態とを相関付けるための手段 を備える、項目 52に記載のシステム。
好ま ヽ実施形態では、本発明は、この電気化学的遺伝子検出法「ダイレクト遺伝 子検出法」に応用される。デバイスには電界効果トランジスタを用い、またプローブ分 子にはペプチド核酸分子を用いることができる。
[0026] ペプチド核酸分子は、 2—アミノエチルダリシン骨格を有する実質的に無電荷の人 ェ核酸分子である。 DNAZDNAの 2本鎖と比較すると、 PNAZDNAは高い塩基 配列選択性と熱安定性、さらに低塩濃度においてもハイプリ効率に影響が無ぐ酵素 耐性があることからバイオテクノロジーの分野において実用的な分子として注目され ている。 IS— FETは、ゲートインシュレーター Z電極近傍、界面の表面ポテンシャル の変化にセンシティブなデバイスとして知られており、 PNAをゲート部に固定すること により DNAのハイプリ反応を効率的かつダイレクトに検出することが期待できる。
[0027] 本発明は、非ケィ素酸ィ匕物 (例えば、酸化金属)薄膜で構成された IS— FETのゲー ト電極上に、核酸をシランカップリング剤などで固定したセンサが提供され、これによ り、 IS— FETのソース—ドレイン電極間、またはゲートに電圧を印加し、ソース'ドレイン 間に流れる電流を測定することによって検出を行うことが可能になる。
[0028] 従って、本発明のこれらおよび他の利点は、添付の図面を参照して、以下の詳細な 説明を読みかつ理解すれば、当業者には明白〖こなることが理解される。
発明の効果
[0029] 本発明によって、効率よぐ簡便に、生体分子の検出を行うことができる。特に、従 来方法では、標識を付したり、生体分子を流しながら測定することが必要であつたの に対して、本発明によって、ノツチ法で測定をすることができるようになった。また、従 来のケィ素酸ィ匕物を用いた電極に比べて、感度が良 、検出を行うことができるように なった。また、 PNAを用いた場合、電気特性の評価の感度が顕著に増加した。
[0030] 本発明によれば、酸ィ匕タンタルのように誘電率の高!、ゲート絶縁体を用いた ISFE Tは、従来の SiOなどの低い誘電率を利用したゲート絶縁体に比べて、種々な測定
2
において有利である。例えば、このような材料では、理想的な ISFET特性を示し (例 えば、酸化タンタル)、水溶液中の塩濃度に依存しない安定した動作示し、測定され る電流値の経時による変化が極めて少ないなどの効果がある。
[0031] 本発明によれば、予め核酸などの生体分子を標識することなぐ核酸などの生体分 子の相互作用(例えば、ハイブリダィゼーシヨン)を簡便に測定することができる。また 、 FET素子のような半導体を用いることにより、従来の蛍光顕微鏡などの手段を必要 とせず、効率よく電気信号としてこれらの相互作用を迅速に測定することができ、臨
床検査現場において、簡便かつ迅速な測定を行うことが可能になる。
[0032] 特に、核酸は、負電荷を有することから、核酸を FETなどのゲート上に固定して負 電荷の変化量によって、ハイブリダィゼーシヨンなどの有無の検出を行うことができる 。本発明は、半導体の素子を用いることによって、核酸のハイブリダィゼーシヨン、一 塩基多型の検出などの生体分子の形態変化および情報内容の検出を行うことができ る。
図面の簡単な説明
[0033] [図 1]本発明のゲート電極およびその周辺(半導体素子)の模式例を示す。
[図 2A]本発明のゲート電極に生体分子を結合させる、 3'—ァミノプロピルトリエトキシ シラン (APTES)を用いたスキーム例を示す。
[図 2B]本発明のゲート電極に生体分子を結合させる、フエ-レンジイソチオシァネー トを用いたスキーム例を示す。
[図 3]本発明のトランジスタを用いた場合の回路例を示す。
[図 4]DNAと PNAとの Tm関係を示す。
[図 5]実施例 1の伝達特性閾値電圧の結果を示す。
[図 6]実施例 6におけるブランクの結果を示す。
[図 7]図 7は、実施例 2の静特性飽和電流値の結果を示す。
[図 8]図 8は、実施例 1および 2の解離反応後の数値変化を示す。
[図 9]図 9は、 PNAの代わりに DNAをプローブとして用いた実施例 3の結果を示す。
[図 10]IS-FETを用いたバイオセンサの作製例を示す。
[図 11]IS— FETを用いたゲート電極の作製例を示す。
[図 12]Id— Vd特性の例(ssDNAと dsDNAとの比較)を示す。
[図 13]実施例 4において行った XPSスペクトルおよび IS— FET特性の結果を示す。
[図 14]IS— FET型 DNAチップの作製例を示す。
配列表の説明
[0034] 配列番号 1は、実施例 1で作製した 15マー合成 PNA
配列番号 2は、実施例 1で作製した 15マー合成 DNA
配列番号 3は、実施例 1で使用した、検出対象となる、標的 DNA
発明を実施するための最良の形態
[0035] 以下、本発明を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及 しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形 の冠詞、形容詞などは、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解 されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、 当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがつ て、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技 術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味 を有する。矛盾する場合、本明細書 (定義を含めて)が優先する。
[0036] (用語の定義)
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。
[0037] 本明細書において使用される用語「生体分子」とは、生体に関連する分子をいう。
本明細書において「生体」とは、生物学的な有機体をいい、動物、植物、菌類、ウイ ルスなどを含むがそれらに限定されない。従って、本明細書では生体分子は、生体 力も抽出される分子を包含するが、それに限定されず、生体に影響を与え得る分子( 例えば、人工 DNA、 PNAなど、生体力 抽出される核酸と相互作用する分子)であ れば生体分子の定義に入る。したがって、コンビナトリアルケミストリで合成された分 子、医薬品として利用され得る低分子 (たとえば、生体レセプターと相互作用し得る 低分子リガンドなど)もまた生体への効果が意図され得る力ぎり、生体分子の定義に 入る。そのような生体分子には、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド、ペプチド 、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、核酸(例えば、 cDNA、ゲノム D NAのような DNA、 mRNAのような RNA、改変体である PNAを含む)、ポリサッカラ イド、オリゴサッカライド、脂質、低分子 (例えば、ホルモン、リガンド、情報伝達物質、 有機低分子など)、これらの複合分子 (糖脂質、糖タンパク質、リポタンパク質など)な どが包含されるがそれらに限定されない。生体分子にはまた、細胞への導入が企図 される限り、細胞自体、組織の一部も包含され得る。通常、生体分子は、核酸、タン パク質、脂質、糖、それらの複合体などであり得る。好ましくは、生体分子は、核酸 (D NA、 RNA、 PNAなど)またはタンパク質を含む。別の好ましい実施形態では、生体
分子は、核酸 (例えば、ゲノム DNAまたは cDNA、あるいは PCRなどによって合成さ れた DNA、 PNAなど)である。
[0038] 本明細書において使用される用語「タンパク質」、「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」 および「ペプチド」は、本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのアミノ酸 のポリマーをいう。このポリマーは、直鎖であっても分岐していてもよぐ環状であって もよい。ポリペプチドに含まれるアミノ酸は、天然アミノ酸であっても非天然アミノ酸で あってもよぐ改変されたアミノ酸 (例えば、糖鎖を結合し得る官能基を含むアミノ酸) であってもよい。この用語はまた、複数のポリペプチド鎖の複合体へとアセンブルされ たものを包含し得る。この用語はまた、天然または人工的に改変されたアミノ酸ポリマ 一も包含する。そのような改変としては、例えば、ジスルフイド結合形成、グリコシルイ匕 、脂質化、ァセチル化、リン酸ィ匕または任意の他の操作もしくは改変 (例えば、標識 成分との結合体化)。この定義にはまた、例えば、アミノ酸の 1または 2以上のアナログ を含むポリペプチド (例えば、非天然のアミノ酸などを含む)、ペプチド様ィ匕合物(例 えば、ぺプトイド)および当該分野において公知の他の改変が包含される。
[0039] 本明細書において使用される用語「核酸」または「核酸分子」は、互換可能に用い られ、塩基部分を有するモノマー(代表的には、ヌクレオチドまたはその改変体)の任 意の長さの重合体をいう。ここで、塩基とは、 DNA、 RNAなどのヌクレオチドのピリミ ジン核ある 、はプリン核をもった通常は塩基性である部分を 、う。ヌクレオチドの糖部 分および燐酸部分と区別して塩基とよぶ。プリン塩基およびピリミジン塩基に大別さ れ、プリン塩基にはアデニン、グァニンがあり、ピリミジン塩基にはシトシン、ゥラシル およびチミンなどがあるがそれに限定されない。核酸は、代表的には一本鎖、二本鎖 などの形態で存在し得る。
[0040] 本明細書において使用される核酸は、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「 オリゴヌクレオチド誘導体」、「ポリヌクレオチド誘導体」、「DNA」、「RNA」、「PNA」 などを含む。従って、核酸は、任意の長さのヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の ポリマーであるといえる。
[0041] 本明細書にぉ 、て「ヌクレオチド」とは、糖部分がリン酸エステルになって 、るヌクレ オシドをいう。本明細書において「ヌクレオシド」とは、塩基と糖とが N—グリコシド結合
をしたィ匕合物をいう。核酸は、塩基がピリミジン塩基またはプリン塩基のヌクレオチド X ピリミジンヌクレオチドおよびプリンヌクレオチド)の重合体 (ポリヌクレオチド)である。糖 部分が D—リボースのものをリボヌクレオチドと!/ 、、 RNAの加水分解によって得られ る.糖部分が D— 2,ーデォキシリボースのものをデォキシリボヌクレオチドといい、 DNA の酵素分解によって得られる。天然のものでも非天然のものでもよい。「ヌクレオチド 誘導体」または「ヌクレオチドアナログ」とは、天然に存在するヌクレオチドとは異なる 力 Sもとのヌクレオチドと同様の機能を有するものを 、う。そのような誘導体ヌクレオチド およびヌクレオチドアナログは、当該分野において周知である。そのような誘導体ヌク レオチドおよびヌクレオチドアナログの例としては、ホスホロチォエート、ホスホノレアミ デート、メチルホスホネート、キラルメチルホスホネート、 2—0—メチルリボヌクレオチド 、ペプチド 核酸 (PNA)が含まれる力 これらに限定されない。
本明細書にぉ 、て「ペプチド核酸」または「PNA」とは、ヌクレオチドのリン酸骨格が 無電荷のペプチド様骨格 (代表的に、 N— (2—アミノメチル) グリシン単位)に置き換 えられ、各々の単位がアミド結合で結合された核酸をいう。代表的に以下のような式 の構造を有する。用語 PNAはモノマーおよびポリマーの両方を指す。 PNAは一本 鎖であっても二本鎖であってもよ!/、。
[化 1]
本明細書にぉ 、て「オリゴヌクレオチド誘導体」または「ポリヌクレオチド誘導体」とは 、ヌクレオチドの誘導体を含むか、またはヌクレオチド間の結合が通常とは異なるオリ ゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドをいい、互換的に使用される。そのようなオリゴ ヌクレオチドとして具体的には、例えば、 2'— O—メチルーリボヌクレオチド、オリゴヌク レオチド中のリン酸ジエステル結合がホスホロチォエート結合に変換されたオリゴヌク レオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合が N3, -P5,ホスホロ アミデート結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のリボー スとリン酸ジエステル結合とがペプチド核酸結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導 体(ペプチド核酸 =PNAともいう)、オリゴヌクレオチド中のゥラシルが C— 5プロピ-ル ゥラシルで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のゥラシルが C 5チアゾールゥラシルで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中 のシトシンが C 5プロピ-ルシトシンで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌ
クレオチド中のシトシンがフエノキサジン修飾シトシン(phenoxazine— modified cy tosine)で置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、 DNA中のリボースが 2,ー0—プロピ ルリボースで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体およびオリゴヌクレオチド中のリボ ースが 2,ーメトキシエトキシリボースで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体などが例 示される。他にそうではないと示されなければ、特定の核酸配列はまた、明示的に示 された配列と同様に、その保存的に改変された改変体 (例えば、縮重コドン置換体) および相補配列を包含することが企図される。具体的には、縮重コドン置換体は、 1 または複数の選択された (または、すべての)コドンの 3番目の位置が混合塩基およ び Zまたはデォキシイノシン残基で置換された配列を作成することにより達成され得 る(Batzerら、 Nucleic Acid Res. 19: 5081 (1991) ; Ohtsukaら、 J. Biol. Che m. 260 : 2605— 2608 (1985) ;Rossoliniら、 Mol. Cell. Probes 8 : 91—98 (199 4) )。本発明では、このような配列も使用され得ることが理解される。
[0044] 核酸の代表例としては、例えば、 cDNA、 mRNA、ゲノム DNAなどが挙げられるが それらに限定されない。核酸は、環状 (例えば、環状ベクター、プラスミドなど)または 直鎖状 (例えば、 PCR断片)で提供され得る。本発明では直鎖であることが好ましい
[0045] 本明細書において、「遺伝子」とは、遺伝形質を規定する因子をいう。通常染色体 上に一定の順序に配列している。遺伝子は、通常、核酸によって規定される。従って 、核酸の一部または全部は、遺伝子をコードするといえる。遺伝子のうち、タンパク質 の一次構造を規定するものを構造遺伝子と!/ ヽ、その発現を左右するものを調節遺 伝子 (たとえば、プロモーター)という。本明細書では、遺伝子は、特に言及しない限 り、構造遺伝子および調節遺伝子を包含する。本明細書では、「遺伝子」は、「ポリヌ クレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「核酸」、「核酸分子」ならびに Zまたは「タンパク 質」、「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」および「ペプチド」を指すことがある。
[0046] 本明細書にぉ 、て、「遺伝子産物」とは、遺伝子から目的のタンパク質または RNA などの核酸の生産過程において、生産される目的のタンパク質、核酸などを指す。従 つて、本明細書においてはまた、「遺伝子産物」は、遺伝子によって発現された「ポリ ヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」「核酸」および「核酸分子」ならびに Zまたは「タン
パク質」「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」および「ペプチド」を包含し得る。当業者で あれば、遺伝子産物が何たるかはその状況に応じて理解することができる。ある遺伝 子配列をコードする核酸分子はまた、「スプライス変異体 (改変体)」を包含する。同様 に、核酸によりコードされた特定のタンパク質は、その核酸のスプライス改変体により コードされる任意のタンパク質を包含する。その名が示唆するように「スプライス変異 体」は、遺伝子のオルタナティブスプライシングの産物である。転写後、最初の核酸 転写物は、異なる(別の)核酸スプライス産物が異なるポリペプチドをコードするように スプライスされ得る。スプライス変異体の産生機構は変化するが、ェキソンのオルタナ ティブスプライシングを含む。読み過し転写により同じ核酸に由来する別のポリぺプ チドもまた、この定義に包含される。スプライシング反応の任意の産物 (組換え形態の スプライス産物を含む)がこの定義に含まれる。このように本発明では、遺伝子産物の 検出も可能であることが理解される。
本明細書にぉ 、て遺伝子 (例えば、核酸配列、アミノ酸配列など)の「相同性」とは、 2以上の遺伝子配列の、互いに対する同一性の程度をいう。従って、ある 2つの遺伝 子の相同性が高いほど、それらの配列の同一性または類似性は高い。 2種類の遺伝 子が相同性を有するか否かは、配列の直接の比較、または核酸の場合ストリンジェン トな条件下でのノ、イブリダィゼーシヨン法によって調べられ得る。 2つの遺伝子配列を 直接比較する場合、その遺伝子配列間で DNA配列が、代表的には少なくとも 50% 同一である場合、好ましくは少なくとも 70%同一である場合、より好ましくは少なくとも 80%、 90%、 95%、 96%、 97%、 98%または 99%同一である場合、それらの遺伝 子は相同性を有する。本明細書において、遺伝子 (例えば、核酸配列、アミノ酸配列 など)の「類似性」とは、上記相同性において、保存的置換をポジティブ(同一)とみな した場合の、 2以上の遺伝子配列の、互いに対する同一性の程度をいう。従って、保 存的置換がある場合は、その保存的置換の存在に応じて同一性と類似性とは異なる 。また、保存的置換がない場合は、同一性と類似性とは同じ数値を示す。本発明の 技術を用いれば、このような相同性の程度も検出および定量することができる。定量 は、例えば、電流 電圧 (I V)特性の測定および相同性との相関付けによって実行 することができる。そのような類似性、相同性と I V特性とを相関付ける式は、本明細
書の記載に基づいて、当業者は作成することができることが理解される。
[0048] 人工的に合成した遺伝子を作製するための DNA合成技術および核酸ィ匕学にっ ヽ ては、例えば、 Gait, M. J. (1985) . Oligonucleotide Synthesis : A Practical Approach, IRLPress ; Gait, M. J. (1990) . Oligonucleotide Synthesis : A Practical Approach, IRL Press ; Eckstein, F. 、上 991) . Oligonucleotides and Analogues : A Practical Approac, IRL Press ; Adams, R. L. et al. "992) . The Biochemistry of the Nucleic Acids, Chapman&Hall; Sha barova, Z. et al. (1994) . Advanced Organic Chemistry of Nucleic A cids, Weinheim ; Blackburn, G. M. et al. (1996) . Nucleic Acids in Che mistry and Biology, Oxford University Press; Hermanson, G. T. (1996 ) . Bioconjugate Techniques, Academic Pressなどに, d載されており、これら は本明細書において関連する部分が参考として援用される。
[0049] PNAについては、 P. E. Nielsen, M. Egholm, R.H. Berg, and O. Buchardt Science
1991, 254, 1497— 1500 ; P. E. Nielsen, M. Egholm, in Peptide Nucleic Acids:
Protocols andApplications., Horizon Scientific Press, Norfolk, UK, 1999 ; Hiroshi Aoki, andYosnio Umezawa Trace analysis of an oligonucleotide with a specific sequenceusing PNA— based ion— channel sensors Analysts 2003, 128, 681— 685なと 参酌することができる。これらの文献は、それらすべてが本明細書において参考とし て援用される。
[0050] 本明細書にぉ 、て、「ストリンジェントな条件でハイブリダィズする核酸」とは、当該 分野で慣用される周知の条件をいう。本発明の核酸中から選択された核酸をプロ一 ブとして、コ口-一'ハイブリダィゼーシヨン法、プラーク 'ハイブリダィゼーシヨン法ある いはサザンブロットハイブリダィゼーシヨン法等を用いることにより、そのような核酸を 得ることができる。具体的には、核酸を固定した支持体、デバイスなどを用いて、 0. 7 一 1. 0Mの NaCl存在下、 65°Cでハイブリダィゼーシヨンを行った後、 0. 1— 2倍濃 度の SSC (saline— sodium citrate)溶液(1倍濃度の SSC溶液の組成は、 150m M 塩化ナトリウム、 15mM クェン酸ナトリウムである)を用い、 65°C条件下で支持 体、デバイスなどを洗浄することにより同定できる核酸を意味する。ハイブリダィゼー
シヨンは、 Molecular Cloning 2nd ed. , Current Protocols in Molecular Biology, Supplement 1一 38、 DNA Cloning 1: Core Techniques, A P ractical Approach, Second Edition, Oxford University Press (1995)等 の実験書に記載されている方法に準じて行うことができる。ここで、ストリンジヱントな 条件下でノ、イブリダィズする配列からは、好ましくは、 A配列のみまたは T配列のみを 含む配列が除外される。「ハイブリダィズ可能な核酸」とは、上記ノ、イブリダィズ条件 下で別の核酸にハイブリダィズすることができる核酸を 、う。ノ、イブリダィズ可能な核 酸として具体的には、本発明で具体的に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド をコードする DNAの塩基配列と少なくとも 60%以上の相同性を有する核酸、好まし くは 80%以上の相同性を有する核酸、さらに好ましくは 95%以上の相同性を有する 核酸を挙げることができる。
[0051] 本明細書にぉ 、て「ハイブリダィズ可能な核酸」とは、上記ハイブリダィズ条件下で 別の核酸にハイブリダィズすることができる核酸を 、う。ノ、イブリダィズ可能な核酸とし て具体的には、配列表で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする DN Aの塩基配列と少なくとも 60%以上の相同性を有する核酸、好ましくは 80%以上の 相同性を有する核酸、さらに好ましくは 95%以上の相同性を有する核酸を挙げること ができる。核酸配列の相同性は、たとえば Altschulら(J.Mol.Biol.215,403—
410(1990))が開発したアルゴリズムを使用した検索プログラム BLASTを用いることに より、 scoreで類似度が示される。
[0052] 本明細書において「高度にストリンジェントな条件」は、核酸配列において高度の相 補性を有する DNA鎖のハイブリダィゼーシヨンを可能にし、そしてミスマッチを有意 に有する DNAのハイブリダィゼーシヨンを除外するように設計された条件を!、う。ハイ ブリダィゼーシヨンのストリンジエンシーは、主に、温度、イオン強度、およびホルムァ ミドのような変性剤の条件によって決定される。このようなハイブリダィゼーシヨンおよ び洗浄に関する「高度にストリンジェントな条件」の例は、 0. 0015M塩ィ匕ナトリウム、 0. 0015Mタエン酸ナ卜!;クム、 65— 68°C、または 0. 015M塩ィ匕ナ卜!;クム、 0. 00 15Mクェン酸ナトリウム、および 50%ホルムアミド、 42°Cである。このような高度にス トリンジェントな条件については、 Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory
ManuaU 第 2版、 ColdSpring Harbor Laboratory(Cold Spring Harbor,N,Y.1989)、同 ¾¾ύ¾χ (2001);および Anderson etal.、 Nucleic Acid Hybridization: A Practical approach^ IV、 IRL Press Limited(Oxford, England). Limited, Oxford, Englandを参照 のこと。必要により、よりストリンジェントな条件 (例えば、より高い温度、より低いイオン 強度、より高いホルムアミド、または他の変性剤)を、使用してもよい。他の薬剤が、非 特異的なノ、イブリダィゼーシヨンおよび Zまたはバックグラウンドのハイブリダィゼーシ ヨンを減少する目的で、ハイブリダィゼーシヨン緩衝液および洗浄緩衝液に含まれ得 る。そのような他の薬剤の例としては、 0. 1%ゥシ血清アルブミン、 0. 1%ポリビュル ピロリドン、 0. 1%ピロリン酸ナトリウム、 0. 1%ドデシル硫酸ナトリウム(NaDodSOま
4 たは SDS)、 Ficoll、 Denhardt溶液、超音波処理されたサケ精子 DNA (または別の 非相補的 DNA)および硫酸デキストランであるが、他の適切な薬剤もまた、使用され 得る。これらの添加物の濃度および型は、ハイブリダィゼーシヨン条件のストリンジェ ンシ一に実質的に影響を与えることなく変更され得る。ハイブリダィゼーシヨン実験は 、通常、 pH6. 8-7. 4で実施される力 代表的なイオン強度条件において、ハイプリ ダイゼーシヨンの速度は、ほとんど pH独立である。 Andersonet al.、 Nucleic Acid Hybridization: a Practical Approach^ ¾¾4早、 IRL Press Limited(Oxford, England) 参照のこと。
[0053] DNA二本鎖の安定性に影響を与える因子としては、塩基の組成、長さおよび塩基 対不一致の程度が挙げられる。ハイブリダィゼーシヨン条件は、当業者によって調整 され得、これらの変数を適用させ、そして異なる配列関連性の DNAがハイブリッドを 形成するのを可能にする。完全に一致した DNA二本鎖の融解温度は、以下の式に よって概算され得る。
Tm (°C) =81.5+16.6(log[Na1)+0.41(%G+C)-600/N-0.72 (%ホルムアミド)
ここで、 Nは、形成される二重鎖の長さであり、 [Na+]は、ノ、イブリダィゼーシヨン溶 液または洗浄溶液中のナトリウムイオンのモル濃度であり、%G + Cは、ノ、イブリツド 中の(グァニン +シトシン)塩基のパーセンテージである。不完全に一致したノヽイブリ ッドに関して、融解温度は、各 1%不一致 (ミスマッチ)に対して約 1°Cずつ減少する。
[0054] PNAを使用した場合は、例えば、図 4に記載される相互関係を参照しながら決定
することができる。
[0055] 本明細書において「中程度にストリンジェントな条件」とは、「高度にストリンジェント な条件」下で生じ得るよりも高 、程度の塩基対不一致を有する DNA二重鎖が、形成 し得る条件をいう。代表的な「中程度にストリンジヱントな条件」の例は、 0. 015M塩 ィ匕ナ卜リクム、 0. 0015Mクェン酸ナトリウム、 50— 65°C、または 0. 015M塩ィ匕ナ卜 リウム、 0. 0015Mクェン酸ナトリウム、および 20%ホルムアミド、 37— 50。Cである。 例として、 0. 015Mナトリウムイオン中、 50°Cの「中程度にストリンジェントな」条件は 、約 21%の不一致を許容する。
[0056] 本明細書において「高度」にストリンジェントな条件と「中程度」にストリンジェントな条 件との間に完全な区別は存在しないことがあり得ることが、当業者によって理解される 。例えば、 0. 015Mナトリウムイオン (ホルムアミドなし)において、完全に一致した長 い DNAの融解温度は、約 71°Cである。 65°C (同じイオン強度)での洗浄において、 これは、約 6%不一致を許容にする。より離れた関連する配列を捕獲するために、当 業者は、単に温度を低下させ得るか、またはイオン強度を上昇し得る。
[0057] 約 20ヌクレオチドまでのオリゴヌクレオチドプローブについて、 lMNaClにおける融 解温度の適切な概算は、
Tm= (1つの A— T塩基につき 2°C) + (1つの G—C塩基対につき 4°C)
によって提供される。なお、 6 Xクェン酸ナトリウム塩 (SSC)におけるナトリウムイオン 濃度は、 1Mで to (Suggsら、 Developmental Biology Using Purified uenes^ 683貞、 Brown andFox (編) (1981)を参照のこと)。 PNAを使用した場合は、例えば、図 4に記 載される相互関係を参照しながら決定することができる。
[0058] 本明細書において配列(アミノ酸または核酸など)の「同一性」、「相同性」および「 類似性」のパーセンテージは、比較ウィンドウで最適な状態に整列された配列 2つを 比較することによって求めることも可能である。ここで、ポリヌクレオチド配列またはポリ ペプチド配列の比較ウィンドウ内の部分には、 2つの配列の最適なァライメントについ ての基準配列 (他の配列に付加が含まれて 、ればギャップが生じることもある力 ここ での基準配列は付加も欠失もな ヽものとする)と比較したときに、付加または欠失 (す なわちギャップ)が含まれる場合がある。同一の核酸塩基またはアミノ酸残基がどちら
の配列にも認められる位置の数を求めることによって、マッチ位置の数を求め、マツ チ位置の数を比較ウィンドウ内の総位置数で割り、得られた結果に 100を掛けて同一 性のパーセンテージを算出する。検索において使用される場合、相同性については 、従来技術にぉ 、て周知のさまざまな配列比較アルゴリズムおよびプログラムの中か ら、適当なものを用いて評価する。このようなアルゴリズムおよびプログラムとしては、
TBLASTN、 BLASTPゝ FASTAゝ TFASTAおよび CLUSTALW (Pearsonand Lipman, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85(8): 2444— 2448、 Altschul et al., 1990, J. Mol. Biol. 215 (3): 403—410、 Thompsonet al, 1994, Nucleic Acids Res. 22(2): 4673—4680、 Higgins et al., 1996, MethodsEnzymol. 266: 383—402 、 Altschul et al., 1990, J. Mol. Biol. 215(3): 403—410、 Altschulet al., 1993, Nature Genetics 3: 266-272)があげられるが、何らこれに限定されるものではない。 特に好ましい実施形態では、従来技術において周知の Basic Local Alignment
Search Tool (BLAST) (たとえば、 Karlinand Altschul, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 2267—2268、 Altschul et al., 1990, J. Mol. Biol. 215: 403— 410、 Altschul et al., 1993, Nature Genetics 3: 266—272、 Altschul et al., 1997, Nuc. Acids Res. 25: 3389— 3402を参照のこと)を用いてタンパク質および核酸配列 の相同性を評価する。特に、 5つの専用 BLASTプログラムを用いて以下の作業を実 施することによって比較または検索が達成され得る。
(1) BLASTPおよび BLAST3でアミノ酸のクエリー配列をタンパク質配列データ ベースと比較;
(2) BLASTNでヌクレオチドのクエリー配列をヌクレオチド配列データベースと比 較;
(3) BLASTXでヌクレオチドのクエリー配列(両方の鎖)を 6つの読み枠で変換し た概念的翻訳産物をタンパク質配列データベースと比較;
(4) TBLASTNでタンパク質のクエリー配列を 6つの読み枠(両方の鎖)すべてで 変換したヌクレオチド配列データベースと比較;
(5) TBLASTXでヌクレオチドのクエリ配列を 6つの読み枠で変換したものを、 6 つの読み枠で変換したヌクレオチド配列データベースと比較。
[0060] BLASTプログラムは、アミノ酸のクエリ配列または核酸のクエリ配列と、好ましくはタ ンパク質配列データベースまたは核酸配列データベース力 得られた被検配列との 間で、「ハイスコアセグメント対」と呼ばれる類似のセグメントを特定することによって相 同配列を同定するものである。ハイスコアセグメント対は、多くのものが従来技術にお V、て周知のスコアリングマトリックスによって同定 (すなわち整列化)されると好ま U、。
1992, Science 256: 1443—1445、 Henikoff and Henikoff, 1993, Proteins 17: 49 61)を使用する。このマトリックスほど好ましいものではないが、 PAMまたは PAM250 マトリックスも使用できる(たとえば、 Schwartzand Dayhoff, eds., 1978, Matrices for Detecting Distance Relationships: Atlasof Protein sequence and Structure, Washington: National Biomedical ResearchFoundationを参照のこと)。 BLASTプロ グラムは、同定されたすベてのハイスコアセグメント対の統計的な有意性を評価し、 好ましくはユーザー固有の相同率などのユーザーが独自に定める有意性の閾値レ ベルを満たすセグメントを選択する。統計的な有意性を求める Karlinの式を用いて ハイスコアセグメント対の統計的な有意性を評価すると好まし 、 (Karlinand Altschul, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 2267— 2268を参照のこと)。このような相 同性の計算は、そのような計算プログラムをコンピュータに実施させることによって実 行することができる。
[0061] 本明細書において、「改変体」とは、もとのポリペプチドまたはポリヌクレオチドなどの 物質に対して、一部が変更されているものをいう。そのような改変体としては、置換改 変体、付加改変体、欠失改変体、短縮 (truncated)改変体、対立遺伝子変異体な どが挙げられる。対立遺伝子 (allele)とは、同一遺伝子座に属し、互いに区別される 遺伝的改変体のことをいう。従って、「対立遺伝子変異体」とは、ある遺伝子に対して 、対立遺伝子の関係にある改変体をいう。そのような対立遺伝子変異体は、通常そ の対応する対立遺伝子と同一または非常に類似性の高い配列を有し、通常はほぼ 同一の生物学的活性を有するが、まれに異なる生物学的活性を有することもある。「 種相同体またはホモログ (homolog)」とは、ある種の中で、ある遺伝子とアミノ酸レべ ルまたはヌクレオチドレベルで、相同性 (好ましくは、 60%以上の相同性、より好まし
くは、 80%以上、 85%以上、 90%以上、 95%以上の相同性)を有するものをいう。 そのような種相同体を取得する方法は、本明細書の記載から明らかである。「オルソ ログ(ortholog)」とは、オノレソロガス遺伝子(orthologous gene)とも ヽ!ヽ、二つの 遺伝子がある共通祖先からの種分化に由来する遺伝子をいう。例えば、多重遺伝子 構造をもつヘモグロビン遺伝子ファミリーを例にとると、ヒトおよびマウスの αへモグロ ビン遺伝子はオルソログであるが,ヒトの aヘモグロビン遺伝子および j8ヘモグロビン 遺伝子はパラログ (遺伝子重複で生じた遺伝子)である。オルソログは、分子系統樹 の推定に有用である。オルソログは、通常別の種においてもとの種と同様の機能を果 たしていることがあり得ることから、本発明のオルソログもまた、本発明において有用 であり得る。
「保存的(に改変された)改変体」は、アミノ酸配列および核酸配列の両方に適用さ れる。特定の核酸配列に関して、保存的に改変された改変体とは、同一のまたは本 質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸をいい、核酸がアミノ酸配列をコードしな い場合には、本質的に同一な配列をいう。遺伝コードの縮重のため、多数の機能的 に同一な核酸が任意の所定のタンパク質をコードする。例えば、コドン GCA、 GCC、 GCG、および GCUはすべて、アミノ酸ァラニンをコードする。したがって、ァラニンが コドンにより特定される全ての位置で、そのコドンは、コードされたポリペプチドを変更 することなぐ記載された対応するコドンの任意のものに変更され得る。このような核 酸の変動は、保存的に改変された変異の 1つの種である「サイレント改変(変異)」で ある。ポリペプチドをコードする本明細書中のすべての核酸配列はまた、その核酸の 可能なすべてのサイレント変異を記載する。当該分野において、核酸中の各コドン( 通常メチォニンのための唯一のコドンである AUG、および通常トリプトファンのための 唯一のコドンである TGGを除く)が、機能的に同一な分子を産生するために改変され 得ることが理解される。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異 は、記載された各配列において暗黙に含まれる。好ましくは、そのような改変は、ポリ ペプチドの高次構造に多大な影響を与えるアミノ酸であるシスティンの置換を回避す るようになされ得る。このような塩基配列の改変法としては、制限酵素などによる切断 、 DNAポリメラーゼ、 Klenowフラグメント、 DNAリガーゼなどによる処理等による連
結等の処理、合成オリゴヌクレオチドなどを用いた部位特異的塩基置換法 (特定部 位指向突然変異法; Mark Zoller and Michael Smith, Methods in Enzy mology, 100, 468—500 (1983) )が挙げられるが、この他にも通常分子生物学の 分野で用いられる方法によって改変を行うこともできる。
[0063] 本明細書において「アミノ酸」とは、当該分野において通常用いられる意味で用いら れ、カルボキシル基とアミノ基とを有する有機化合物をいう。本明細書においてァミノ 酸は、天然アミノ酸であっても非天然アミノ酸であっても良い。
[0064] アミノ酸は、その一般に公知の 3文字記号力、または IUPAC— IUB Biochemical
Nomenclature Commissionにより推奨される 1文字記号のいずれかにより、本 明細書中で言及され得る。ヌクレオチドも同様に、一般に認知された 1文字コードによ り言及され得る。
[0065] その文字コードは以下のとおりである。
塩基
記号 意味
a アデニン
g グァニン
c シトシン
t チミン
U ゥラシル
r グァニン又はアデニンプリン m アデニン又はシトシンアミノ基
k グァニン又はチミン Zゥラシノレケト基
s グァニン又はシトシン
w アデニン又はチミン Zゥラシル
b グァニン又はシトシン又はチミン Zゥラシノレ
d アデニン又はグァニン又はチミン Zゥラシル
h アデニン又はシトシン又はチミン Zゥラシル
V アデニン又はグァニン又はシトシン
n アデニン又はグァニン又はシトシン又はチミン Zゥラシル、不明、または他の塩 基
3文字記号 1文字記号 意味
Ala A ァラニン
Cys C システィン
Asp D ァスノ ラギン酸
Glu E グルタミン酸
Phe F フエ-ルァラニン
Gly G グリシン
His H ヒスチジン
He I イソロイシン
Lys K リジン
Leu L ロイシン
Met M メチォニン
Asn N ァスノ ラギン
Pro P プロリン
Gin Q グルタミン
Arg R ァノレギニン
Ser S セリン
Thr T トレオニン
Val V パリン
Trp w トリブトファン
Tyr Y チロシン
Asx ァスパラギン又はァスパラギン酸
Glx グルタミン又はグルタミン酸
Xaa 不明又は他のアミノ酸。
[0066] 本明細書では、アミノ酸配列および塩基配列の類似性、同一性および相同性の比 較は、配列分析用ツールである BLASTを用いてデフォルトパラメータを用いて算出 される。
[0067] 本明細書において生体分子の「固定」は、当該分野において周知の任意の方法に よって実施することができる。そのような固定は、例えば、共有結合、水素結合などの 相互作用を利用することによって行うことができる。固定には、共有結合を用いること が好ましい。
[0068] 本明細書において「層状」の形態とは、原子が共有結合などによって強く結合して 密に配列した面がファン ·デル 'ワールスカなど弱い結合力によって平行に積み重な つた構造をいう。本明細書では、層というときは、単層および多層の両方を含み得るこ とが理解される。
[0069] 本明細書にぉ 、て「膜状」の形態とは、原子が共有結合などによって強く結合して 密に配列した面で存在する構造を!ヽぅ。
[0070] 本明細書にぉ 、て「プローブ」とは、インビトロおよび Zまたはインビボなどのスクリ 一ユングなどの生物学的実験において用いられる、検索の対象を検出するための物 質をいい、例えば、特定の塩基配列を含む核酸分子または特定のアミノ酸配列を含 むペプチドなどが挙げられるがそれに限定されない。
[0071] 通常プローブとして用いられる核酸分子としては、 目的とする遺伝子の核酸配列と 相同なまたは相補的な、少なくとも 8の連続するヌクレオチド長の核酸配列を有するも のが挙げられる。そのような核酸配列は、好ましくは、少なくとも 9の連続するヌクレオ チド長の、より好ましく 10の連続するヌクレオチド長の、さらに好ましくは 11の連続す るヌクレオチド長の、 12の連続するヌクレオチド長の、 13の連続するヌクレオチド長の 、 14の連続するヌクレオチド長の、 15の連続するヌクレオチド長の、 20の連続するヌ クレオチド長の、 25の連続するヌクレオチド長の、 30の連続するヌクレオチド長の、 4 0の連続するヌクレオチド長の、 50の連続するヌクレオチド長の、核酸配列であり得る 。プローブとして使用される核酸配列には、上述の配列に対して、少なくとも 70%相 同な、より好ましくは、少なくとも 80%相同な、さらに好ましくは、 90%相同な、 95% 相同な核酸配列が含まれる。
[0072] 本明細書における「プライマー」とは、高分子合成酵素反応において、合成される 高分子化合物の反応の開始に必要な物質をいう。核酸分子の合成反応では、合成 されるべき高分子化合物の一部の配列に相補的な核酸分子 (例えば、 DNAまたは RNAなど)が用いられ得る。
[0073] 通常プライマーとして用いられる核酸分子としては、 目的とする遺伝子の核酸配列 と相補的な、少なくとも 8の連続するヌクレオチド長の核酸配列を有するものが挙げら れる。そのような核酸配列は、好ましくは、少なくとも 9の連続するヌクレオチド長の、よ り好ましく 10の連続するヌクレオチド長の、さらに好ましくは 11の連続するヌクレオチ ド長の、 12の連続するヌクレオチド長の、 13の連続するヌクレオチド長の、 14の連続 するヌクレオチド長の、 15の連続するヌクレオチド長の、 16の連続するヌクレオチド 長の、 17の連続するヌクレオチド長の、 18の連続するヌクレオチド長の、 19の連続 するヌクレオチド長の、 20の連続するヌクレオチド長の、 25の連続するヌクレオチド 長の、 30の連続するヌクレオチド長の、 40の連続するヌクレオチド長の、 50の連続 するヌクレオチド長の、核酸配列であり得る。プローブとして使用される核酸配列には 、上述の配列に対して、少なくとも 70%相同な、より好ましくは、少なくとも 80%相同 な、さらに好ましくは、 90%相同な、 95%相同な核酸配列が含まれる。プライマーと して適切な配列は、合成 (増幅)が意図される配列の性質によって変動し得るが、当 業者は、意図される配列に応じて適宜プライマーを設計することができる。そのような プライマーの設計は当該分野において周知であり、手動でおこなってもよくコンビュ ータプログラム(例えば、 LASERGENE, PrimerSelect, DN AS tar)を用いて行つ てもよい。
[0074] 本明細書において、「ェピトープ」とは、抗原決定基をいう。従って、ェピトープには 特定の免疫グロブリンによる認識に関与するアミノ酸残基のセット、または、 T細胞の 場合は、 T細胞レセプタータンパク質および Zもしくは主要組織適合性複合体 (MH C)レセプターによる認識について必要であるアミノ酸残基のセットが包含される。この 用語はまた、「抗原決定基」または「抗原決定部位」と交換可能に使用される。免疫系 分野において、インビボまたはインビトロで、ェピトープは、分子の特徴 (例えば、一 次ペプチド構造、二次ペプチド構造または三次ペプチド構造および電荷)であり、免
疫グロブリン、 T細胞レセプターまたは HLA分子によって認識される部位を形成する 。ペプチドを含むェピトープは、ェピトープに独特な空間的コンフオメーシヨン中に 3 つ以上のアミノ酸を含み得る。一般に、ェピトープは、少なくとも 5つのこのようなァミノ 酸からなり、代表的には少なくとも 6つ、 7つ、 8つ、 9つ、または 10のこのようなァミノ 酸力もなる。ェピトープの長さは、より長いほど、もとのペプチドの抗原性に類似する ことから一般的に好ましいが、コンフオメーシヨンを考慮すると、必ずしもそうでないこ とがある。アミノ酸の空間的コンフオメーシヨンを決定する方法は、当該分野で公知で あり、例えば、 X線結晶学、および 2次元核磁気共鳴分光法を含む。さらに、所定のタ ンパク質におけるェピトープの同定は、当該分野で周知の技術を使用して容易に達 成される。例えば、 Geysenら(1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81 : 3998 ( 所定の抗原における免疫原性ェピトープの位置を決定するために迅速にペプチドを 合成する一般的な方法);米国特許第 4, 708, 871号 (抗原のェピトープを同定し、 そして化学的に合成するための手順);および Geysenら(1986) Molecular Immu nology 23: 709 (所定の抗体に対して高 、親和性を有するペプチドを同定するた めの技術)を参照されたい。同じェピトープを認識する抗体は、単純な免疫アツセィ において同定され得る。このように、ペプチドを含むェピトープを決定する方法は、当 該分野において周知であり、そのようなェピトープは、核酸またはアミノ酸の一次配列 が提供されると、当業者はそのような周知慣用技術を用いて決定することができる。
[0075] 本明細書において「1塩基多型」(SNPs)とは、ゲノム配列において、 1塩基の違い によってのみ識別可能な改変体 (variant)をいう。 SNPsは、通常、個人の特性を規 定する。そのような特性には、疾患罹患感受性などが含まれている。
[0076] (化合物)
本明細書にぉ 、て「非ケィ素酸ィ匕物」とは、絶縁体 (または誘電体)として用いられ 得る、ケィ素酸化物以外の物質を指す。代表的には、ケィ素酸化物以外の酸化物が 挙げられるがそれらに限定されない。好ましい非ケィ素酸ィ匕物には、酸化金属を上 げることができるがそれに限定されない。
[0077] 本明細書において「絶縁体」とは、実質的に電気を伝えない物質をいう。実際上, 電気伝導率が十分小さいものをさす。従って、絶縁体としては、抵抗が大きな (例え
ば、 101() Ω 'cm以上)の物質を使用することができる。そのような絶縁体としては、二 酸化ケィ素、非ケィ素酸ィ匕物などを挙げる事ができるがそれらに限定されない。本発 明では、ゲート端子、ドレイン端子、ソース端子などの絶縁体の材料としては、通常の 半導体において使用される任意の絶縁体が使用され得ることが理解される。
[0078] 本明細書にぉ 、て「酸化金属」とは、任意の金属の酸ィ匕物を!、う。酸化金属として は、例えば、酸化タンタル (Ta O )、酸化カルシウム(CaO)、酸化鉛(PbO)、酸化ス
2 5
トロンチウム(SrO)、酸化トリウム (ThO )、酸化アンチモン(Sb O )、一酸化チタン(
2 2 3
TiO)、二酸化チタン (TiO )、酸化ハフニウム(HfO )、酸化イッテルビウム(Yb O )
2 2 2 3
、酸ィ匕マグネシウム(MgO)、酸化インジウム (In O )、酸化スズ (SnO )、酸化ジル
2 3 2
コニゥム(ZrO )、酸化セリウム(CeO )、酸化ニオブ (Nb O )、酸化亜鉛 (ZnO)、酸
2 2 2 5
化ガドリニウム(Gd O )、酸ィ匕クロム(Cr O )、酸化タングステン (WO )、酸化銅(1) (
2 3 2 3 3
Cu O)、酸化銅 (II) (CuO)、酸ィ匕鉄(II) (FeO)、酸ィ匕鉄(III) (Fe O )、酸化ニッケ
2 2 3
ル(NiO)、酸化ビスマス(Bi O )、酸化サマリウム(Sm O )、酸化ネオジム(Nd O )
2 3 2 3 2 3
、酸化バナジウム (V O )、酸化モリブデン(MoO )、酸化カドミウム(CdO )、酸化マ
2 5 3 2 ンガン(MnO )、一酸化バリウム(BaO)、二酸化バリウム(BaO )などを挙げることが
2 2 できるがそれらに限定されない。
[0079] 本明細書において「シランカップリング剤」とは、 Si原子を有する、 2つの化合物と化 学結合できる官能基をもつ有機ケィ素化合物をいう。通常、 Y— CH SIXの一般式
2 3 を有する。 Xはアルコキシ基、ハロゲンなどの加水分解性の置換基で無機質などと反 応し、 Yとしては有機物質と反応しやすいビニル基、エポキシ基、アミノ基などが代表 例として挙げられるがそれらに限定されない。
[0080] 本明細書にお!、て「アミノシラン含有物質」とは、アミノ基を有するシランィ匕合物を 、 う。アミノシラン含有物質は、シランカップリング剤として使用される。そのようなアミノシ ラン含有物質としては、例えば、 ω '—ァミノアルキルトリアルコキシシラン (代表的には 、 3'—ァミノプロピルトリエトキシシラン)を挙げることができるがそれらに限定されない
[0081] 本明細書において「クロスリンカ一」とは、架橋剤とも呼ばれ、 2つの分子の間に共 有結合を生成することによって架橋する物質を ヽぅ。そのようなクロスリンカ一としては
、例えば、アルデヒド類 (例えば、ダルタルアルデヒド)、カルポジイミド類、イミドエステ ル類など挙げることができるがそれらに限定されない。アミノ基含有物質を架橋する 場合、アルデヒド含有基、例えば、ダルタルアルデヒドを用いることが好ましい。
[0082] 本明細書にぉ 、て「酸処理」とは、任意の酸に、ある物質を浸すことを 、う。アミノシ ラン含有物質などを基板 (代表的には、無機材料で構成される)に結合させる場合、 このような酸処理をすることが好まし 、ことが知られる。
[0083] 本明細書にぉ 、て「紫外線照射」とは、ある物質を紫外線に照射することを 、う。本 明細書において「紫外線」とは、可視光線の短波長端約 360— 400應を上限とし,下 限は約 1應までの波長範囲の電磁波をいう。下限はあまり明確でなく,数十 nm以下 は軟 X線と重なることから、本明細書では、 X線と重複する範囲をさすことが理解され る。光源にとしては、例えば、石英水銀灯、炭素アーク灯、火花放電、水素または希 ガスの放電、シンクロトロン放射などが用いられ得るがそれらに限定されない。紫外線 照射は、光量計による測定などによって測量することができる。
[0084] 本明細書において「還元」とは、当該分野において通常使用されるのと同じ意味で 使用され、酸ィ匕状態を低くすることをいう。そのような還元には、任意の還元剤(例え ば、シッフ塩基の二重結合を単結合にすることができる任意の還元剤;例えば、水素 化シァノホウ素ナトリウム(NaCNBH )、ジメチルァミンボラン((CH ) HNBH )、トリ
3 3 2 3 メチルァミンボラン((CH ) NBH )、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH )、ボラン(BH
3 3 4 4 3
)、ァ-リン(C H NH )、ヒドラジン(N H )、クェン酸(C H O )、シユウ酸((COO
6 5 2 2 4 6 8 7
H) )、水素化リチウムアルミニウム (LiAlH )、ヒドロキノン (C H (OH) )など)を用
2 4 6 4 2 いることができるが、好ましくは、 NaCNBHを用いることができる。
3
[0085] 本発明で使用されるリンカ一は、代表的に、一部が無機物と親和性がある部分であ り、他の一部が有機物と親和性がある部分である。そのような有機物と親和性がある 部分は、通常、任意の有機置換基を有する。以下に本発明のリンカ一において含有 され得る有機置換基を説明する。
[0086] 本明細書にぉ 、て「アルキル」とは、メタン、ェタン、プロパンのような脂肪族炭化水 素(アルカン)力も水素原子が一つ失われて生ずる 1価の基をいい、一般に C H
n 2n+ l 一で表される(ここで、 nは正の整数である)。アルキルは、直鎖または分枝鎖であり得
る。本明細書において「置換されたアルキル」とは、以下に規定する置換基によって アルキルの Hが置換されたアルキルをいう。これらの具体例は、 C1一 C2アルキル、 C1一 C3アルキル、 C1一 C4アルキル、 C1一 C5アルキル、 C1一 C6アルキル、 C1 一 C7アルキル、 C1一 C8アルキル、 C1一 C9アルキル、 C1一 C10アルキル、 C1一 C11アルキルまたは C1一 C12アルキル、 C1一 C2置換されたアルキル、 C1一 C3置 換されたアルキル、 C1一 C4置換されたアルキル、 C1一 C5置換されたアルキル、 C 1一 C6置換されたアルキル、 C1一 C7置換されたアルキル、 C1一 C8置換されたァ ルキル、 C1一 C9置換されたアルキル、 C1一 C10置換されたアルキル、 C1一 C11 置換されたアルキルまたは C1一 C 12置換されたアルキルであり得る。ここで、例えば C 1一 C 10アルキルとは、炭素原子を 1一 10個有する直鎖または分枝状のアルキル を意味し、メチル(CH—)、ェチル(C H一)、 n プロピル(CH CH CH一)、イソプ
3 2 5 3 2 2 口ピル((CH ) CH—)、 n ブチル(CH CH CH CH一)、 n ペンチル(CH CH C
3 2 3 2 2 2 3 2
H CH CH -)、 n—へキシル(CH CH CH CH CH CH -)、 n—ヘプチル(CH C
2 2 2 3 2 2 2 2 2 3
H CH CH CH CH CH -)、 n—ォクチル(CH CH CH CH CH CH CH CH
2 2 2 2 2 2 3 2 2 2 2 2 2 2
)、 n—ノ-ル(CH CH CH CH CH CH CH CH CH -)
3 2 2 2 2 2 2 2 2 、 n—デシル(CH CH C
3 2
H CH CH CH CH CH CH CH一)、 C (CH ) CH CH CH (CH ) CH C
2 2 2 2 2 2 2 2 3 2 2 2 3 2 2
H (CH ) などが例示される。また、例えば、 C1一 C10置換されたアルキルとは、 C1
3 2
一 C10アルキルであって、そのうち 1または複数の水素原子が置換基により置換され ているものをいう。
[0087] 本明細書において「置換されていてもよいアルキル」とは、上で定義した「アルキル」 または「置換されたアルキル」の 、ずれであってもよ 、ことを意味する。
[0088] 本明細書にぉ 、て「アルキレン」とは、メチレン、エチレン、プロピレンのような脂肪 族炭化水素 (アルカン)力も水素原子が二つ失われて生ずる 2価の基を 、 、、一般に — C H 一で表される(ここで、 nは正の整数である)。アルキレンは、直鎖または分枝 n 2n
鎖であり得る。本明細書において「置換されたアルキレン」とは、以下に規定する置換 基によってアルキレンの Hが置換されたアルキレンをいう。これらの具体例は、 C1一 C2アルキレン、 C1一 C3アルキレン、 C1一 C4アルキレン、 C1一 C5アルキレン、 C1 一 C6アルキレン、 C1一 C7アルキレン、 C1一 C8アルキレン、 C1一 C9アルキレン、 C
1一 CIOアルキレン、 CI一 CI 1アルキレンまたは CI一 C12アルキレン、 C1一 C2置 換されたアルキレン、 C1一 C3置換されたアルキレン、 C1一 C4置換されたアルキレ ン、 C1一 C5置換されたアルキレン、 C1一 C6置換されたアルキレン、 C1一 C7置換 されたアルキレン、 C1一 C8置換されたアルキレン、 C1一 C9置換されたアルキレン、 C1一 C10置換されたアルキレン、 C1一 C11置換されたアルキレンまたは C1一 C12 置換されたアルキレンであり得る。ここで、例えば C1一 C10アルキレンとは、炭素原 子を 1一 10個有する直鎖または分枝状のアルキレンを意味し、メチレン (一 CH—)、
2 エチレン(一 C H一)、 n プロピレン (一 CH CH CH一)、イソプロピレン (一(CH ) C
2 4 2 2 2 3 2 一)、 n—ブチレン (一 CH CH CH CH一)、 n ペンチレン (一 CH CH CH CH CH
2 2 2 2 2 2 2 2 2 一)、 n—へキシレン (一 CH CH CH CH CH CH一)、 n 一 CH CH C
2 2 2 2 2 2 —へプチレン (
2 2
H CH CH CH CH -)、 n—オタチレン (― CH CH CH CH CH CH CH CH -)
2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2
、 n—ノニレン (一 CH CH CH CH CH CH CH CH CH一)、 n—デシレン (一 CH C
2 2 2 2 2 2 2 2 2 2
H CH CH CH CH CH CH CH CH )、一 CH C (CH )—などが例示される。
2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 3 2
また、例えば、 C1一 C10置換されたアルキレンとは、 C1一 C10アルキレンであって、 そのうち 1または複数の水素原子が置換基により置換されているものをいう。本明細 書において「アルキレン」は、酸素原子および硫黄原子力も選択される原子を 1また はそれ以上含んで!/ヽてもよ!/ヽ。
[0089] 本明細書にぉ 、て「置換されて 、てもよ 、アルキレン」とは、上で定義した「アルキレ ン」または「置換されたアルキレン」の 、ずれであってもよ 、ことを意味する。
[0090] 本明細書にお!、て「シクロアルキル」とは、環式構造を有するアルキルを 、う。「置換 されたシクロアルキル」とは、以下に規定する置換基によってシクロアルキルの Hが置 換されたシクロアルキルをいう。具体例としては、 C3— C4シクロアルキル、 C3— C5 シクロアルキル、 C3— C6シクロアルキル、 C3— C7シクロアルキル、 C3— C8シクロ アルキル、 C3— C9シクロアルキル、 C3— C10シクロアルキル、 C3— C11シクロアル キル、 C3— C12シクロアルキル、 C3— C4置換されたシクロアルキル、 C3— C5置換 されたシクロアルキル、 C3— C6置換されたシクロアルキル、 C3— C7置換されたシク 口アルキル、 C3— C8置換されたシクロアルキル、 C3— C9置換されたシクロアルキ ル、 C3— C10置換されたシクロアルキル、 C3— C11置換されたシクロアルキルまた
は C3— C12置換されたシクロアルキルであり得る。例えば、シクロアルキルとしては、 シクロプロピル、シクロへキシルなどが例示される。
[0091] 本明細書において「置換されていてもよいシクロアルキル」とは、上で定義した「シク 口アルキル」または「置換されたシクロアルキル」の 、ずれであってもよ 、ことを意味す る。
[0092] 本明細書において「ァルケニル」とは、分子内に二重結合を一つ有する脂肪族炭 化水素から水素原子が一つ失われて生ずる 1価の基を 、 、、一般に C H 一で表
n 2n-l される(ここで、 nは 2以上の正の整数である)。「置換されたァルケニル」とは、以下に 規定する置換基によってァルケ-ルの Hが置換されたァルケ-ルを!、う。具体例とし ては、 C2— C3ァノレケニノレ、 C2— C4ァノレケニノレ、 C2— C5ァノレケニノレ、 C2— C6ァ ルケ-ル、 C2— C7アルケ-ル、 C2— C8アルケ-ル、 C2— C9アルケ-ル、 C2— C 10ァルケ-ル、 C2— C11ァルケ-ルまたは C2— C12ァルケ-ル、 C2— C3置換さ れたァルケ-ル、 C2— C4置換されたァルケ-ル、 C2— C5置換されたァルケ-ル、 C2— C6置換されたァルケ-ル、 C2— C7置換されたァルケ-ル、 C2— C8置換され たァルケ-ル、 C2— C9置換されたァルケ-ル、 C2— C10置換されたァルケ-ル、 C2— C11置換されたァルケ-ルまたは C2— C12置換されたァルケ-ルであり得る。 ここで、例えば C2— C10アルキルとは、炭素原子を 2— 10個含む直鎖または分枝状 のァルケ-ルを意味し、ビュル(CH =CH— )、ァリル(CH =CHCH―)、 CH CH
2 2 2 3
=CH—などが例示される。また、例えば、 C2— C 10置換されたァルケ-ルとは、 C2 一 C 10ァルケ-ルであって、そのうち 1または複数の水素原子が置換基により置換さ れているものをいう。
[0093] 本明細書にぉ 、て「置換されて 、てもよ 、ァルケ-ル」とは、上で定義した「ァルケ -ル」または「置換されたァルケ-ル」の 、ずれであってもよ 、ことを意味する。
[0094] 本明細書において「ァルケ-レン」とは、分子内に二重結合を一つ有する脂肪族炭 化水素から水素原子が二つ失われて生ずる 2価の基を 、 、、一般に - C H -で表
n 2n-2 される(ここで、 nは 2以上の正の整数である)。「置換されたァルケ-レン」とは、以下 に規定する置換基によってァルケ-レンの Hが置換されたァルケ-レンを!、う。具体 例としては、 C2— C25ァルケ-レンまたは C2— C25置換されたァルケ-レンが挙げ
られ、なかでも特に C2— C3アルケ-レン、 C2— C4アルケ-レン、 C2— C5アルケ- レン、 C2一 C6アルケニレン、 C2一 C7アルケニレン、 C2一 C8アルケニレン、 C2一 C 9ァルケ-レン、 C2— C10ァルケ-レン、 C2— C11ァルケ-レンまたは C2— C12ァ ルケ-レン、 C2— C3置換されたァルケ-レン、 C2— C4置換されたァルケ-レン、 C 2— C5置換されたァルケ-レン、 C2— C6置換されたァルケ-レン、 C2— C7置換さ れたァルケ-レン、 C2— C8置換されたァルケ-レン、 C2— C9置換されたァルケ- レン、 C2— C10置換されたァルケ-レン、 C2— C11置換されたァルケ-レンまたは C2— C12置換されたァルケ-レンが好ましい。ここで、例えば C2— C10アルキルと は、炭素原子を 2— 10個含む直鎖または分枝状のァルケ-レンを意味し、 CH = C H -、 -CH = CHCH -
2 、— (CH ) C = CH-などが例示される。また、例えば、 C2—
3
C 10置換されたァルケ-レンとは、 C2— C10ァルケ-レンであって、そのうち 1また は複数の水素原子が置換基により置換されて 、るものを 、う。本明細書にぉ 、て「ァ ルケ-レン」は、酸素原子および硫黄原子力 選択される原子を 1またはそれ以上含 んでいてもよい。
[0095] 本明細書において「置換されていてもよいァルケ-レン」とは、上で定義した「アル ケ-レン」または「置換されたァルケ-レン」の 、ずれであってもよ 、ことを意味する。
[0096] 本明細書にぉ 、て「シクロアルケ-ル」とは、環式構造を有するァルケ-ルを 、う。「 置換されたシクロアルケ-ル」とは、以下に規定する置換基によってシクロアルケ-ル の Hが置換されたシクロアルケ-ルをいう。具体例としては、 C3— C4シクロアルケ- ル、 C3— C5シクロアルケ-ル、 C3— C6シクロアルケ-ル、 C3— C7シクロアルケ- ル、 C3— C8シクロアルケ-ル、 C3— C9シクロアルケ-ル、 C3— C10シクロアルケ -ル、 C3— C 11シクロアルケ-ル、 C3— C 12シクロアルケ-ル、 C3— C4置換され たシクロアルケ-ル、 C3— C5置換されたシクロアルケ-ル、 C3— C6置換されたシク ロアルケ-ル、 C3— C7置換されたシクロアルケ-ル、 C3— C8置換されたシクロアル ケ -ル、 C3— C9置換されたシクロアルケ-ル、 C3— C10置換されたシクロアルケ- ル、 C3— C11置換されたシクロアルケ-ルまたは C3— C12置換されたシクロアルケ -ルであり得る。例えば、好ましいシクロアルケ-ルとしては、 1ーシクロペンテ-ル、 2 —シクロへキセニルなどが例示される。
[0097] 本明細書において「置換されていてもよいシクロアルケ-ル」とは、上で定義した「シ クロアルケ-ル」または「置換されたシクロアルケ-ル」の 、ずれであってもよ 、ことを 意味する。
[0098] 本明細書において「アルキ -ル」とは、アセチレンのような、分子内に三重結合を一 つ有する脂肪族炭化水素から水素原子が一つ失われて生ずる 1価の基を 、い、一 般に C H 一で表される(ここで、 nは 2以上の正の整数である)。「置換されたアルキ n 2n— 3
-ル」とは、以下に規定する置換基によってアルキ-ルの Hが置換されたアルキ-ル をいう。具体例としては、 C2— C3アルキ-ル、 C2— C4アルキ-ル、 C2— C5アルキ ニル、 C2— C6アルキ-ル、 C2— C7アルキ-ル、 C2— C8アルキ-ル、 C2— C9ァ ルキ -ル、 C2— C10アルキ-ル、 C2— C11アルキ-ル、 C2— C12アルキ-ル、 C2 一 C3置換されたアルキ-ル、 C2— C4置換されたアルキ-ル、 C2— C5置換された アルキ -ル、 C2— C6置換されたアルキ-ル、 C2— C7置換されたアルキ-ル、 C2 一 C8置換されたアルキ-ル、 C2— C9置換されたアルキ-ル、 C2— C10置換され たアルキ-ル、 C2— CI 1置換されたアルキ-ルまたは C2— C12置換されたアルキ -ルであり得る。ここで、例えば、 C2— C10アルキ-ルとは、例えば炭素原子を 2— 1 0個含む直鎖または分枝状のアルキ-ルを意味し、ェチニル(CH≡C—)、 1 プロピ -ル(CH C≡C— )などが例示される。また、例えば、 C2— C10置換されたアルキ-
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ルとは、 C2— C10アルキ-ルであって、そのうち 1または複数の水素原子が置換基 により置換されて 、るものを 、う。
[0099] 本明細書にぉ 、て「置換されて 、てもよ 、アルキ -ル」とは、上で定義した「アルキ
-ル」または「置換されたアルキ-ル」の 、ずれであってもよ 、ことを意味する。
[0100] 本明細書において「アルコキシ」とは、アルコール類のヒドロキシ基の水素原子が失 われて生ずる 1価の基をいい、一般に C H O—で表される(ここで、 nは 1以上の整
n 2n+ l
数である)。「置換されたアルコキシ」とは、以下に規定する置換基によってアルコキシ の Hが置換されたアルコキシをいう。具体例としては、 C1一 C2アルコキシ、 C1一 C3 アルコキシ、 C1一 C4アルコキシ、 C1一 C5アルコキシ、 C1一 C6アルコキシ、 C1一 C 7アルコキシ、 C1一 C8アルコキシ、 C1一 C9アルコキシ、 C1一 C10アルコキシ、 C1 一 C11アルコキシ、 C1一 C12アルコキシ、 C1一 C2置換されたアルコキシ、 C1一 C3
置換されたアルコキシ、 C1一 C4置換されたアルコキシ、 C1一 C5置換されたアルコ キシ、 C1一 C6置換されたアルコキシ、 C1一 C7置換されたアルコキシ、 C1一 C8置 換されたアルコキシ、 C1一 C9置換されたアルコキシ、 C1一 C10置換されたアルコキ シ、 C1一 C11置換されたアルコキシまたは C1一 C12置換されたアルコキシであり得 る。ここで、例えば、 C1一 C10アルコキシとは、炭素原子を 1一 10個含む直鎖または 分枝状のアルコキシを意味し、メトキシ(CH O—)、エトキシ(C H O—)、 n プロポキ
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シ(CH CH CH 0-)などが例示される。
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[0101] 本明細書において「置換されていてもよいアルコキシ」とは、上で定義した「アルコキ シ」または「置換されたアルコキシ」の 、ずれであってもよ 、ことを意味する。
[0102] 本明細書にぉ 、て「ヘテロ環 (基)」とは、炭素およびへテロ原子をも含む環状構造 を有する基をいう。ここで、ヘテロ原子は、 0、 Sおよび N力もなる群より選択され、同 一であっても異なっていてもよぐ 1つ含まれていても 2以上含まれていてもよい。へテ 口環基は、芳香族系または非芳香族系であり得、そして単環式または多環式であり 得る。ヘテロ環基は置換されていてもよい。
[0103] 本明細書にぉ 、て「置換されて 、てもよ 、ヘテロ環 (基)」とは、上で定義した「へテ 口環 (基)」または「置換されたへテロ環 (基)」の 、ずれであってもよ 、ことを意味する
[0104] 本明細書において「アルコール」とは、脂肪族炭化水素の 1または 2以上の水素原 子をヒドロキシル基で置換した有機化合物をいう。本明細書においては、 ROHとも表 記される。ここで、 Rは、アルキル基である。好ましくは、 Rは、 C1一 C6アルキルであり 得る。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、 1 プロパノール、 2—プロ パノールなどが挙げられるがそれらに限定されない。
[0105] 本明細書にぉ 、て「炭素環基」とは、炭素のみを含む環状構造を含む基であって、 前記の「シクロアルキル」、「置換されたシクロアルキル」、「シクロアルケ-ル」、「置換 されたシクロアルケ-ル」以外の基を 、う。炭素環基は芳香族系または非芳香族系で あり得、そして単環式または多環式であり得る。「置換された炭素環基」とは、以下に 規定する置換基によって炭素環基の Hが置換された炭素環基を 、う。具体例として は、 C3— C4炭素環基、 C3— C5炭素環基、 C3— C6炭素環基、 C3— C7炭素環基
、 C3— C8炭素環基、 C3— C9炭素環基、 C3— C10炭素環基、 C3— C11炭素環基 、 C3— C12炭素環基、 C3— C4置換された炭素環基、 C3— C5置換された炭素環 基、 C3— C6置換された炭素環基、 C3— C7置換された炭素環基、 C3— C8置換さ れた炭素環基、 C3— C9置換された炭素環基、 C3— C10置換された炭素環基、 C3 一 C11置換された炭素環基または C3— C12置換された炭素環基であり得る。炭素 環基はまた、 C4一 C7炭素環基または C4一 C7置換された炭素環基であり得る。炭 素環基としては、フエニル基力 水素原子が 1個欠失したものが例示される。ここで、 水素の欠失位置は、化学的に可能な任意の位置であり得、芳香環上であってもよぐ 非芳香環上であってもよ 、。
[0106] 本明細書にぉ 、て「置換されて 、てもよ 、炭素環基」とは、上で定義した「炭素環基 」または「置換された炭素環基」の 、ずれであってもよ ヽことを意味する。
[0107] 本明細書にぉ 、て「ヘテロ環基」とは、炭素およびへテロ原子をも含む環状構造を 有する基をいう。ここで,ヘテロ原子は、 0、 Sおよび N力もなる群より選択され、同一 であっても異なっていてもよく、 1つ含まれていても 2以上含まれていてもよい。ヘテロ 環基は、芳香族系または非芳香族系であり得、そして単環式または多環式であり得 る。「置換されたへテロ環基」とは、以下に規定する置換基によってへテロ環基の Hが 置換されたへテロ環基をいう。具体例としては、 C3— C4炭素環基、 C3— C5炭素環 基、 C3— C6炭素環基、 C3— C7炭素環基、 C3— C8炭素環基、 C3— C9炭素環基 、 C3— C10炭素環基、 C3— C11炭素環基、 C3— C12炭素環基、 C3— C4置換さ れた炭素環基、 C3— C5置換された炭素環基、 C3— C6置換された炭素環基、 C3 一 C7置換された炭素環基、 C3— C8置換された炭素環基、 C3— C9置換された炭 素環基、 C3— C10置換された炭素環基、 C3— C11置換された炭素環基または C3 一 C 12置換された炭素環基の 1つ以上の炭素原子をへテロ原子で置換したものであ り得る。ヘテロ環基はまた、 C4一 C7炭素環基または C4一 C7置換された炭素環基 の炭素原子を 1つ以上へテロ原子で置換したものであり得る。ヘテロ環基としては、 チェニル基、ピロリル基、フリル基、イミダゾリル基、ピリジル基などが例示される。水 素の欠失位置は、化学的に可能な任意の位置であり得、芳香環上であってもよぐ非 芳香環上であってもよい。
[0108] 本明細書において、炭素環基またはへテロ環基は、下記に定義されるように 1価の 置換基で置換され得ることに加えて、 2価の置換基で置換され得る。そのような二価 の置換は、ォキソ置換 ( = O)またはチォキソ置換( = S)であり得る。
[0109] 本明細書において「ハロゲン」とは、周期表 7B族に属するフッ素 (F)、塩素(Cl)、 臭素(Br)、ヨウ素(I)などの元素の 1価の基をいう。
[0110] 本明細書において「ヒドロキシ」とは、 OHで表される基をいう。「置換されたヒドロキ シ」とは、ヒドロキシの Hが下記で定義される置換基で置換されて 、るものを 、う。
[0111] 本明細書にぉ 、て「チオール」とは、ヒドロキシ基の酸素原子を硫黄原子で置換し た基 (メルカプト基)であり、 SHで表される。「置換されたチオール」とは、メルカプト の Hが下記で定義される置換基で置換されて 、る基を 、う。
[0112] 本明細書において「シァノ」とは、—CNで表される基をいう。「ニトロ」とは、 -NOで
2 表される基をいう。「ァミノ」とは、 NHで表される基をいう。「置換されたァミノ」とは、
2
ァミノの Hが以下で定義される置換基で置換されたものをいう。
[0113] 本明細書において「カルボキシ」とは、 COOHで表される基をいう。「置換された力 ルボキシ」とは、カルボキシの Hが以下に定義される置換基で置換されたものをいう。
[0114] 本明細書において「チォカルボキシ」とは、カルボキシ基の酸素原子を硫黄原子で 置換した基をいい、 -C ( = S) OH、 -C ( = 0) SHまたは- CSSHで表され得る。「置 換されたチォカルボキシ」とは、チォカルボキシの Hが以下に定義される置換基で置 換されたものをいう。
[0115] 本明細書において「ァシル」とは、カルボン酸から OHを除いてできる 1価の基をいう 。ァシル基の代表例としては、ァセチル(CH CO— )、ベンゾィル(C H CO—)などが
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挙げられる。「置換されたァシル」とは、ァシルの水素を以下に定義される置換基で置 換したものをいう。
[0116] 本明細書において「アミド」とは、アンモニアの水素を酸基 (ァシル基)で置換した基 であり、好ましくは、 CONHで表される。「置換されたアミド」とは、アミドが置換され
2
たものをいう。
[0117] 本明細書において「カルボ-ル」とは、アルデヒドおよびケトンの特性基である (C
=〇)—を含むものを総称したものをいう。「置換されたカルボ-ル」は、下記において
選択される置換基で置換されているカルボ-ル基を意味する。
[0118] 本明細書において「チォカルボ-ル」とは、カルボニルにおける酸素原子を硫黄原 子に置換した基であり、特性基 (C = S)—を含む。チォカルボ-ルには、チオケトン およびチォアルデヒドが含まれる。「置換されたチォカルボ-ル」とは、下記において 選択される置換基で置換されたチォカルボニルを意味する。
[0119] 本明細書において「スルホ -ル」とは、特性基である— SO—を含むものを総称した
2
ものをいう。「置換されたスルホニル」とは、下記において選択される置換基で置換さ れたスルホニルを意味する。
[0120] 本明細書にぉ 、て「スルフィエル」とは、特性基である— SO—を含むものを総称した ものをいう。「置換されたスルフィエル」とは、下記において選択される置換基で置換 されて!/、るスルフィエルを意味する。
[0121] 本明細書において「ァリール」とは、芳香族炭化水素の環に結合する水素原子が 1 個離脱して生ずる基をいい、本明細書において、炭素環基に包含される。
[0122] 本明細書においては、特に言及がない限り、置換は、ある有機化合物または置換 基中の 1または 2以上の水素原子を他の原子または原子団で置き換えることをいう。 水素原子を 1つ除去して 1価の置換基に置換することも可能であり、そして水素原子 を 2つ除去して 2価の置換基に置換することも可能である。
[0123] 本明細書においては、特に言及がない限り、置換は、ある有機化合物または置換 基中の 1または 2以上の水素原子を他の原子または原子団で置き換えることをいう。 水素原子を 1つ除去して 1価の置換基に置換することも可能であり、そして水素原子 を 2つ除去して 2価の置換基に置換することも可能である。
[0124] 本発明における置換基としては、アルキル、シクロアルキル、ァルケ-ル、シクロア ルケ-ル、アルキ -ル、アルコキシ、炭素環基、ヘテロ環基、ハロゲン、ヒドロキシ、チ オール、シァ入ニトロ、アミ入カルボキシ、力ルバモイル、ァシル、ァシルァミノ、チォ カルボキシ、アミド、置換されたカルボ-ル、置換されたチォカルボ-ル、置換された スルホニルまたは置換されたスルフィニル、あるいは任意の無機置換基 (例えば、ケ ィ素含有置換基)が挙げられるがそれらに限定されない。このような置換基は、本発 明において、リンカ一、生体分子の改変の設計のときに、適宜利用することができる。
[0125] 好ましくは、置換基は、複数存在する場合それぞれ独立して、水素原子またはアル キルあるいは任意の無機置換基 (例えば、ケィ素含有置換基)であり得るが、複数の 置換基全てが水素原子であることはない。より好ましくは、独立して、置換基は、複数 存在する場合それぞれ独立して、水素および C1一 C6アルキル力もなる群あるいは 任意の無機置換基 (例えば、ケィ素含有置換基)より選択され得る。置換基は、すべ てが水素以外の置換基を有していても良いが、好ましくは、少なくとも 1つの水素、よ り好ましくは、 2— n (ここで nは置換基の個数)の水素を有し得る。置換基のうち水素 の数が多!ヽことが好ましくあり得る。大きな置換基または極性のある置換基は本発明 の効果 (結合特性)に障害を有し得るからである。従って、水素以外の置換基として は、好ましくは、 C1一 C6アルキル、 C1一 C5アルキル、 C1一 C4アルキル、 C1一 C3 アルキル、 C1一 C2アルキル、メチルあるいは任意の無機置換基 (例えば、ケィ素含 有置換基)などであり得る。ただし、本発明の効果を増強し得ることもあることから、大 きな置換基を有することもまた好ましくあり得る。
[0126] 本明細書において、 Cl、 C2、、、 Cnは、炭素数を表す。従って、 C1は炭素数 1個 の置換基を表すために使用される。
[0127] 本明細書において、「光学異性体」とは、結晶または分子の構造が鏡像関係にあつ て、重ねあわせることのできない一対の化合物の一方またはその組をいう。立体異性 体の一形態であり、他の性質は同じであるにもかかわらず、旋光性のみが異なる。本 発明では、好ましくは、光学異性体の純度が高いものが使用され得る。
[0128] 本明細書において「保護反応」とは、 Bocのような保護基を、保護が所望される官能 基に付加する反応をいう。保護基により官能基を保護することによって、より反応性の 高い官能基の反応を抑制し、より反応性の低い官能基のみを反応させることができる 。保護反応は、例えば、脱水反応により行うことができる。
[0129] 本明細書にぉ ヽて「脱保護反応」とは、 Bocのような保護基を脱離させる反応を ヽぅ 。脱保護反応としては、 PdZCを用いる還元反応のような反応が挙げられる。脱保護 反応は、例えば、加水分解により行うことができる。
[0130] 本明細書にぉ 、て「保護基」としては、例えば、フルォレニルメトキシカルボ-ル(F moc)基、ァセチル基、ベンジル基、ベンゾィル基、 t ブトキシカルボ-ル基、 tーブチ
ルジメチル基、シリル基、トリメチルシリルェチル基、 N フタルイミジル基、トリメチルシ リルェチルォキシカルボ-ル基、 2—-トロー 4, 5—ジメトキシベンジル基、 2—-トロー 4 , 5—ジメトキシベンジルォキシカルボニル基、力ルバメート基などが代表的な保護基 として挙げられる。保護基は、生体分子において結合に関与しない部分を保護する ために用いることができる。保護基は、例えば、アミノ基、カルボキシル基などの反応 性の官能基を保護するために用いることができる。反応の条件や目的に応じ、種々 の保護基を使い分けることができる。ヒドロキシ基の保護基にはァセチル基、ベンジ ル基、シリル基またはそれらの誘導体などが、ァミノ基の保護基にはァセチル基のほ かべンジルォキシカルボ-ル基、 t ブトキシカルボ-ル基またはそれらの誘導体など を使用することができる。アミノォキシ基および N アルキルアミノォキシ基の保護基と して、トリメチルシリルェチルォキシカルボ-ル基、 2—二トロー 4, 5—ジメトキシベンジ ルォキシカルボ-ル基またはそれらの誘導体が好ましい。
[0131] 本発明の各方法において、 目的とする生成物は、反応液から夾雑物 (未反応減量 、副生成物、溶媒など)を、当該分野で慣用される方法 (例えば、抽出、蒸留、洗浄、 濃縮、沈澱、濾過、乾燥など)によって除去した後に、当該分野で慣用される後処理 方法 (例えば、吸着、溶離、蒸留、沈澱、析出、クロマトグラフィーなど)を組み合わせ て処理して単離し得る。
[0132] (デバイス ·電極 ·素子)
電界効果トランジスタ(Field effect transistor、 FET)とは、ゲート電極に電圧 をかけ、チャネルの電界により電子または正孔の流れに関門(ゲート)を設ける原理で 、ソース端子 (電極)とドレイン端子 (電極)との間の電流を制御するトランジスタである 。一種類のキャリアしか用いないことから、ュニポーラトランジスタとも呼ばれる。ソース 、ゲート、およびドレインを端子または電極と呼ぶ。便宜的にソースとドレインとを区別 しているが、構造上電流の向きは双方向通過可能である。トランジスタに P型と N型が あるように、 FETにも pチャネルおよび nチャネルのものがある。例えば、半導体にシリ コンが使われている場合は、ホウ素をドープすることで p型半導体に、リンをドープす ることで n型半導体になる。
[0133] 従って、本明細書において「ゲート電極」とは、トランジスタの構造上、「水門」にあた
る部分の電極をいう。ゲート電極は、その構造上、絶縁膜と電極部分とから構成され る。現在は、二酸化ケイ素(SiO )を絶縁膜として使用することが多い。半導体部分の
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表面を酸ィ匕することによって簡便に作製することができる力もである。ゲート電極は、 電圧の変化(印加)によって、ソースからドレインへの電流を発生させる。従って、ゲー ト電極は、電荷のある物質 (例えば、 DNA)などの検出に使用可能である。
[0134] 本明細書において「ソース部」、「ソース端子」または「ソース電極」とは、互換可能に 使用され、電界効果トランジスタにおいて、キャリアが素子に供給される源となる電極 (または端子)をいう。
[0135] 本明細書にぉ 、て「ドレイン部」、「ドレイン端子」または「ドレイン電極」とは、互換可 能に使用され、電界効果トランジスタにおいて、ソース電極力 キャリアが供給される 電極 (端子)をいう。
[0136] 本明細書において「引き出し電極」とは、トランジスタの電極力も電流を引き出すた めの電極をいう。トランジスタの構造によっては、トランジスタ内の電極と同一のものを 使用できるが、構造上、引き出し電極が分離していてもよい。そのような引き出し電極 としては、例えば、ソース引き出し電極、ドレイン引き出し電極、ゲート引き出し電極な どを挙げることができる。電解液に浸されている場合には、電極は、 AgZAgClのよう な物質を用いることができるがそれらに限定されない。
[0137] 本明細書にぉ 、て「キャリア」とは、電荷を担うものを 、う。キャリアとしては、例えば 、電気伝導に寄与する固体中の電子、ホール、イオン伝導体での伝導するイオンな どが挙げられるがそれらに限定されない。特に、半導体中の不純物等によって生じる 余剰な電子、または不足によって生じるホールのことをキャリアと呼ぶことが多いがそ れに限定されない。
[0138] 本明細書において「電解液」とは、溶融塩または溶液 (多くの場合水溶液)にすると 電気伝導性となる物質が溶解された溶液をいう。溶媒とイオン的に解離した溶質とか らなり、この溶液が電流を伝え、イオンは荷電電極に析出することにより溶液力も分離 される。
[0139] FETのうち、ゲート接合部の構造による分類を行うとすると、代表的なものに、金属 酸化膜形(Metal Oxide Semiconductor FET)があり、この型は、ゲート部分が
半導体の酸ィ匕皮膜上の金属電極になっており、 MOSFETともいう。このほか、接合 形 (Junction FET):普通のトランジスタと同じように、ゲートが異種半導体の接合面 になっているもの;金属半導体形(Metal Semiconductor FET; MESFET): ゲート部分が金属電極と半導体の直接接合になっているものが存在する。
[0140] 例えば、 MOSFETの構造において、ゲートの部分に注目すると、金属(Metal)、 酸化物(絶縁体)(Oxide)、半導体(Semiconductor)となっている。酸化物につい ては、 p型半導体にシリコンを使っていれば酸化させてやることで、酸化物と同時に絶 縁体の SiO層をつくることができる。ケィ素酸ィ匕物以外の非ケィ素酸ィ匕物を絶縁体
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に用いる場合は、接合させる必要がある。金属に該当する部分には、通常、アルミ- ゥム、ポリシリコンなどが使われている。このように、 FETには三つの電極がある力 中 央のゲート電極が重要な水門の役割を果たす。
[0141] ゲート電極に電圧をかけないで、両端の電極だけに電圧をかけた場合、 npnの接 合面のうちどちらかは逆バイアスの状態になっているはずであるから、トランジスタに 電流は流れない。これは、トランジスタのオフの状態であるという。
[0142] ゲート電極に正の電圧をかけた場合、ゲート電極の正の電荷が p型層の上面にある 正孔をはねのけて奥の方へ追いやることになる。 p型層の少数の伝導電子 (少数キヤ リア)はゲート電極の正の電荷に引き寄せられて、上面に集まる。ただし絶縁層を通り ぬけることはできない。こうして p型層の上面に n型のチャンネル (水路)ができあがる。 これは反転層と呼ばれている。この層ができあがることによって電子は、逆バイアスの pn接合を通ることなぐソース力もゲートへと移動することができる。こうしてトランジス タを電流が流れる。
[0143] 上記例示は、チャンネルが n型であるものの説明であり、 NMOS型とも呼ばれてい る。チャンネルが ρ型で PMOS型と呼ばれるものもある。 PMOS型では正孔がキヤリ ァになっており、ゲート電圧や電流の向きが逆になる。 p型、 n型のどちらの構造でも MOS FETをつくることは可能だ力 一般に Nチャンネルの方が性能がよい。なぜな ら、電子のほうが正孔よりも有効質量が小さいためキャリアとしてすばやく動くことが可 能だ力もである力 本発明はそれに限定されない。
[0144] FETには、大ま力〖こ分けて、 2種類のゲート—ドレイン関係が存在し、ェンハンスメン
ト型 (enhancement type ;ノーマリーオフ开 (normally off type)とも呼ばれる )とディプリシヨン型(depletion type =ノーマリーオン开 (normally on type)と も呼ばれる)があり、エンハンスメント型は、ゲート電圧をかけないときはチャネルが存 在せずドレイン電流が流れない FETであり、ディプリシヨン型は、ゲート電圧をかけな いときにチャネルが存在しドレイン電流が流れる FETである。
[0145] 本明細書にぉ 、て「デバイス」とは、装置の一部または全部を構成することができる 部分をいい、支持体 (好ましくは固相支持体、絶縁膜など)およびその支持体に担持 されるべき標的物質 (生体分子)など力 構成される。そのようなデバイスとしては、上 記のようなトランジスタ、チップ、アレイなどが挙げられるがそれらに限定されない。
[0146] 本明細書において使用される「支持体」または「基板」は、互換可能に用いられ、生 体分子のような物質を固定することができる材料 (好ましくは固体)を 、う。支持体の 材料としては、共有結合かまたは非共有結合のいずれかで、本発明において使用さ れる生体分子のような物質に結合する特性を有する力またはそのような特性を有する ように誘導体化され得る、任意の固体材料が挙げられる。
[0147] 支持体、基板などとして使用するためのそのような材料としては、固体表面を形成し 得る任意の材料が使用され得るが、例えば、ガラス、シリコン (ケィ素、 Si)、セラミック 、二酸化珪素、プラスチック、金属 (合金も含まれる)、天然および合成のポリマー(例 えば、ポリスチレン、セルロース、キトサン、デキストラン、およびナイロン)などが挙げ られるがそれらに限定されない。本明細書において半導体材料として使用される場 合、半導体を使用することが好ましい。支持体は、複数の異なる材料の層から形成さ れていてもよい。例えば、ガラス、石英ガラス、アルミナ、サファイア、フォルステライト、 酸化珪素、炭化珪素、窒化珪素などの無機絶縁材料を使用することができる。ポリエ チレン、エチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、不飽 和ポリエステル、含フッ素榭脂、ポリ塩化ビュル、ポリ塩ィ匕ビユリデン、ポリ酢酸ビュル 、ポリビュルアルコール、ポリビュルァセタール、アクリル榭脂、ポリアクリロニトリル、ポ リスチレン、ァセタール榭脂、ポリカーボネート、ポリアミド、フエノール榭脂、ユリア榭 脂、エポキシ榭脂、メラミン榭脂、スチレン'アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル ブタジエンスチレン共重合体、シリコーン榭脂、ポリフエ-レンオキサイド、ポリスルホ
ンなどの有機材料を用いることができる。本発明においてはまた、ニトロセルロース膜 、ナイロン膜、 PVDF膜など、ブロッテイングに使用される膜を用いることもできる。支 持体を構成する材料が固相である場合、本明細書において特に「固相支持体」という
[0148] 基板は、半導体の一部として使用されることから、 Si、 GaZAsなどの半導体を使用 することが好ましい。
[0149] 本明細書において「液相」とは、当該分野において通常用いられる意味と同じ意味 で用いられ、通常、溶液中での状態をいう。
[0150] 本明細書において「固相」とは、当該分野において用いられる意味と同じ意味で用 いられ、通常、固体の状態をいう。本明細書において液体および固体を総合して流 体ということがある。
[0151] 本明細書において「コーティング」とは、支持体または基板について用いられるとき 、その支持体または基板の表面上にある物質の膜を形成させることおよびそのような 膜をいう。コーティングは種々の目的で行われ、例えば、支持体および基板の品質向 上 (例えば、寿命の向上、耐酸性などの耐環境性の向上)、支持体または基板に結 合されるべき物質の親和性の向上、絶縁性の向上などを目的とすることが多い。その ようなコーティングのための物質としては、種々の物質が用いられ得、上述の支持体 および基板自体に使用される物質のほか、 DNA、 RNA、タンパク質、脂質などの生 体分子、ポリマー(例えば、ポリ- L-リジン、 MAS,疎水性フッ素榭脂)、シラン (APS (例えば、 γ—ァミノプロビルシラン) )、アミノシラン誘導体、金属(例えば、金など)が 使用され得るがそれらに限定されない。そのような物質の選択は当業者の技術範囲 内にあり、当該分野において周知の技術を用いて場合ごとに選択することができる。
[0152] 本明細書において「チップ」または「マイクロチップ」は、互換可能に用いられ、多様 の機能をもち、システムの一部となる超小型集積回路をいう。チップのうち、生体分子 が結合したものを「バイオチップ」とも呼び、バイオチップとしては、例えば、 ΡΝΑチッ プ、 DNAチップ、プロテインチップなどが挙げられるがそれらに限定されない。
[0153] 本明細書において「アレイ」とは、 1以上 (例えば、 1000以上)の標的物質 (例えば 、 PNA、 DNA、タンパク質などの生体分子)を含む組成物が整列されて配置された
パターンまたはパターンを有する基板 (例えば、チップ)そのものをいう。アレイの中で
、小さな基板(例えば、 10 X 10mm上など)上にパターン化されているものはマイクロ アレイというが、本明細書では、マイクロアレイとアレイとは互換可能に使用される。従 つて、上述の基板より大きなものにパターンィ匕されたものでもマイクロアレイと呼ぶこと がある。例えば、アレイはそれ自身固相表面または膜に固定されている所望のトラン スフェクト混合物のセットで構成される。アレイは好ましくは同一のまたは異なる抗体 を少なくとも 102個、より好ましくは少なくとも 103個、およびさらに好ましくは少なくとも 104個、さらにより好ましくは少なくとも 105個を含む。これらの抗体は、好ましくは表面 力 25 X 80mm、より好ましくは 10 X 10mm上に配置される。形式としては、 96ゥェ ノレマイクロタイタープレート、 384ウエノレマイクロタイタープレートなどのマイクロタイタ 一プレートの大きさのものから、スライドグラス程度の大きさのものが企図される。固定 される標的物質を含む組成物は、 1種類であっても複数種類であってもよい。そのよ うな種類の数は、 1個一スポット数までの任意の数であり得る。例えば、約 10種類、約 100種類、約 500種類、約 1000種類の標的物質を含む組成物が固定され得る。
[0154] 基板のような固相表面または膜には、上述のように任意の数の標的物質 (例えば、 抗体のようなタンパク質)が配置され得るが、通常、基板 1つあたり、 108個の生体分 子まで、他の実施形態において 107個の生体分子まで、 106個の生体分子まで、 105 個の生体分子まで、 104個の生体分子まで、 103個の生体分子まで、または 102個の 生体分子までの個の生体分子が配置され得るが、 108個の生体分子を超える標的物 質を含む組成物が配置されていてもよい。これらの場合において、基板の大きさはよ り小さいことが好ましい。特に、標的物質を含む組成物(例えば、抗体のようなタンパ ク質)のスポットの大きさは、単一の生体分子のサイズと同じ小さくあり得る(これは、 1 — 2nmの桁であり得る)。最小限の基板の面積は、いくつかの場合において基板上の 生体分子の数によって決定される。本発明では、細胞への導入が企図される標的物 質を含む組成物は、通常、 0. 01mm— 10mmのスポット状に共有結合あるいは物 理的相互作用によって配列固定されている。
[0155] アレイ上には、生体分子の「スポット」が配置され得る。本明細書において「スポット」 とは、標的物質を含む組成物の一定の集合をいう。本明細書において「スポッティン
グ」とは、ある標的物質を含む組成物のスポットをある基板またはプレートに作製する ことをいう。スポッティングはどのような方法でも行うことができ、例えば、ピぺッティン グなどによって達成され得、あるいはプリンターなどの自動装置で行うこともでき、そ のような方法は当該分野において周知である。
[0156] 本明細書において使用される用語「アドレス」とは、基板上のユニークな位置をいい 、他のユニークな位置から弁別可能であり得るものをいう。アドレスは、そのアドレスを 伴うスポットとの関連づけに適切であり、そしてすベての各々のアドレスにおける存在 物が他のアドレスにおける存在物力も識別され得る(例えば、光学的)、任意の形状 を採り得る。アドレスを定める形は、例えば、円状、楕円状、正方形、長方形であり得 る力、または不規則な形であり得る。したがって、「アドレス」は、抽象的な概念を示し 、 「スポット」は具体的な概念を示すために使用され得るが、両者を区別する必要がな い場合、本明細書においては、「アドレス」と「スポット」とは互換的に使用され得る。
[0157] 各々のアドレスを定めるサイズは、とりわけ、その基板の大きさ、特定の基板上のァ ドレスの数、標的物質を含む組成物の量および Zまたは利用可能な試薬、微粒子の サイズおよびそのアレイが使用される任意の方法のために必要な解像度の程度に依 存する。大きさは、例えば、 1— 2nm力も数 cmの範囲であり得る力 そのアレイの適用 に一致した任意の大きさが可能である。
[0158] アドレスを定める空間配置および形状は、そのマイクロアレイが使用される特定の 適用に適合するように設計される。アドレスは、密に配置され得、広汎に分散され得 る力、または特定の型の分析物に適切な所望のパターンへとサブグループィ匕され得 る。
[0159] マイクロアレイについては、ゲノム機能研究プロトコール(実験医学別冊 ポストゲノ ム時代の実験講座 1)、ゲノム医科学とこれからのゲノム医療 (実験医学増刊)などに 広く概説されている。
[0160] マイクロアレイ力 得られるデータは膨大であることから、クローンとスポットとの対応 の管理、データ解析などを行うためのデータ解析ソフトウェアが重要である。そのよう なソフトウェアとしては、各種検出システムに付属のソフトウェアが利用可能である(Er molaeva Oら(1998) Nat. Genet. 20 : 19— 23)。また、データベースのフォーマ
ットとしては、例えば、 Affymetrixが提唱している GATC (genetic analysis tech nology consortium)と呼ばれる形式が挙げられる。
[0161] 微細加工については、例えば、 Campbell, S. A. ( 1996) . The Science and
Engineering of Microelectronic Fabrication, Oxford University Pres s ; Zaut, P. V. (, 1996) . Micromicroarray Fabrication: a Practical Guide to Semiconductor Processing, Semiconductor Services ; Madou, M. J. ( 1997) . Fundamentals of Microfabrication, CRC1 5 Press ;Rai—Choud hury, P. ( 1997) . Handbook of Microlithography, Micromachining , & Microfabrication : Microlithographyなどに記載されており、これらは本明細書に おいて関連する部分が参考として援用される。
[0162] 本明細書において、「センサ」とは、計測対象 (例えば、生体分子)の状態および特 性値などに関する物理量を、伝送、記録または信号処理しやすいような別の物理量 に変換する素子をいう。従って、センサは、外界からの何らかの物理量や化学量をと らえて、電気的信号に変換して検知するデバイスであるといえる。
[0163] このうち、特に、生体分子を含む、特定の化学物質に応答を示し、その種類や濃度 を電気的信号に変換表示するものは化学センサと呼ばれる。化学センサには、 pHセ ンサに代表されるイオンセンサ、 O、 CO、 H
2 2 2などを検出するガスセンサ、生体活動 に利用されるバイオセンサの他、各種微生物センサ、免疫センサなどがある。これら のセンサの原理は、被測定物質を識別する素子と、そこから得られる化学情報を電 気信号に変換する電気化学デバイスから構成され、その変換方式は電位法 (potent iometry)と電流法 (amperometry)とに大別される。
[0164] 本明細書において「IS— FET (Ion Sensitive Field-Effect Transistor ;ィォ ン感受性電界効果トランジスタ)」とは、ゲート電極が電解液中のある種のイオンに対 して感受性をもつ電界効果トランジスタをいう。代表的には、 IS— FETは、 MOS電界 効果トランジスタ(MOSFET) をイオンセンサとして応用して作製される(Bergveld , Development of an Ion— sensitive Solid— state Device lor Neurop hysiological Measurements, IEEE Trans. Biomed. Eng. BME— 19 ( 19 70) 70)。溶液と感応膜との界面電位の分だけゲート閾値電圧が変化することを利
用したセンサで、プロトン感応膜として、絶縁体である SiO、 Si N、 Al O、 Ta Oな
2 3 4 2 3 2 5 どを用いることによって pHセンサとして作動する。ガラス電極と比較すると、半導体技 術の利用によって小型化ができ、ゲート部分の化学修飾によって様々なイオンの検 出が可能となる。 IS-FETは、ゲート膜上の pH変化に伴うゲート閾値電圧シフトを利 用しているといえる。従って、絶縁層の性質にその性能が大きく依存する。従来は、 S iOが汎用されているが、感度などの点から、非ケィ素酸ィ匕物を用いることが有利で
2
あるとされており、特に酸化金属を用いると、感度が顕著に増加することが知られてい る(Schoening MJ et al.Sensots and Actuators B35(1996)228- 233)。酸化金属(金属 酸ィ匕物)を利用することの利点としてはまた、水溶液中で使用される IS— FETは、水 溶液と、 IS— FET内部との間に完全な絶縁が保たれなければならないという背景に おいて、水溶液中へのリーク電流を防ぐという効果があり、耐水浸入性を考慮すると、 酸ィ匕金属が有利であることが挙げられる。しかし、生体分子を酸ィ匕金属などの非ケィ 素酸化物に配置する技術はこれまでな力つた。
[0165] 絶縁層はキャパシタンス(Ci)の働きをしているので、その内部では一様な電界が生 じている。溶液と接するセンサ表面には窒化膜 (Si N )を用いている力 これは、酸
3 4
化物(SiO )に比べて溶液の pHに対する感度特性がよぐ溶液に対する保護作用が
2
強いためであり、表面に SiO膜を用いると、膨潤するために非常に大きなドリフトを引
2
き起こすことが知られている。 pHセンサの感度特性としては、 Al O、 Ta O膜など
2 3 2 5 の酸ィ匕金属のような非ケィ素酸ィ匕物の方が優れている。
[0166] 本明細書にぉ 、て「電流 電圧特性」または「I V特性」とは、ある電気信号につ!/ヽ て、電流値と電圧値との関係を示す関係をいう。 I - V特性は、例えば、静特性飽和電 流値、伝達特性閾値電圧などを用いて表現することができる。このような特性は、通 常の計算手段を用いて算出することができる。
[0167] 本明細書において「静特性飽和電流値」とは、トランジスタに対するすべての他の 動作電圧が一定に保たれた状態において,電極電圧と電極電流との間のような 1対 の変数の間に成り立つ関係における、飽和電流値をいい、ドレイン電流 ドレイン電 圧特性 (I -V )測定において、ドレイン電流は、ドレイン電圧に比例して増加するが
D D
、電圧が増すと、それに従って、チャンネル(ソース Zドレイン間の n型チャンネル:電
子キャリア)の電気抵抗が大きくなるため、電圧に対する電流の傾きは次第に小さくな る。さらに電圧を大きくすると、ピンチオフ状態となり、ドレイン電流は、一定値を示す ようになる。このピンチオフにおける電流値を飽和電流といい、 I
DSで表す。 I
DS飽和電 流値の具体的な計算方法は以下のとおりである。
[0168] ドレイン電流 I = μ CiW/L X { (V -V ) VD - 1/2V
D e G T D 1 この I値で最大となる V =v ·νの点がピンチオフとなる飽和ドレイン電流値とな
D D G Τ
る。
[0169] I = μ CiW/2L X (V -V ) 2
DS e G T ここで、 μ :キャリア濃度、 Ci :絶縁体容量、 V :ゲート電圧、 V:閾値点圧(ドレイン
e G T 電流が流れ始める電圧)である。
[0170]
という式で算出する。この電流値の減少は、 p型トランジスタの場合、負の物質がゲ ート電極に相互作用していることを示す。
[0171] 本明細書において「伝達特性閾値電圧」とは、他の電極電圧をすベて一定に保つ た条件のもとで、ある電極の電圧ともう一つの電極に流れる電流の間に成り立つ関係 における閾値電圧をいい、伝達特性は、ドレイン電流 ゲート電圧特性測定の結果を 示すもので、閾値電圧(threshold voltage)は、ドレイン電流が流れ始めるゲート電 圧を示している。すなわち、閾値電圧は、チャネル内に伝導電子を誘起するために 必要な最小の電圧である。ゲート電圧 Vが Vより小さな場合は、ドレイン電流は流れ
G T
ない。この電圧(グラフ)の正シフトは、 p型トランジスタの場合、負の物質がゲート電極 に相互作用して 、ることを示す。
[0172]
本明細書では、
V = (21 L μ C W) +V
G DS e i ' ここで、 μ :キャリア濃度、 Ci :絶縁体容量、 V:閾値点圧(ドレイン電流が流れ始め
る電圧) という式で算出する。
[0173]
(検出)
本発明の方法では、生体分子の情報またはそれに相互作用する物質に起因する 情報を検出することができる限り、種々の検出方法および検出手段を用いることがで きる。本発明では、生体分子の他の分子との相互作用を電気信号に変換することか ら、検出方法および検出手段としては、電気信号を検出することができる限り、どのよ うな技術を用いてもよいことが理解される。本発明における検出は、 IS— FETのソー スードレイン電極間、またはゲートに電圧を印加し、ソース'ドレイン間に流れる電流を 測定することによって検出を行うことができる。
[0174] 本明細書において「電気信号検出手段」とは、電気信号 (例えば、電流)を検出す る任意の手段をいう。電気信号検出手段としては、例えば、電流計、電圧計、電流電 圧計、ポテンシォメーターなどを挙げることができるがそれらに限定されない。電気信 号検出手段は、例えば、トランジスタと電気的に結合することによって、そのトランジス タカゝら引き出される電気信号を検出する。
[0175] 本明細書において「標識」とは、目的となる分子または物質を他力も識別するため の存在 (たとえば、物質、エネルギー、電磁波など)をいう。そのような標識方法として は、 RI (ラジオアイソトープ)法、蛍光法、ピオチン法、化学発光法等を挙げることがで きる。上記の核酸断片および相補性を示すオリゴヌクレオチドを何れも蛍光法によつ て標識する場合には、蛍光発光極大波長が互いに異なる蛍光物質によって標識を 行う。蛍光発光極大波長の差は、 lOnm以上であることが好ましい。蛍光物質として は、核酸の塩基部分と結合できるものであれば何れも用いることができる力 シァニン 色素(例えば、 CyDye™シリーズの Cy3、 Cy5等)、ローダミン 6G試薬、 N—ァセトキ シー N2—ァセチルァミノフルオレン (AAF)、 AAIF (AAFのヨウ素誘導体)等を使用 することが好ましい。蛍光発光極大波長の差が lOnm以上である蛍光物質としては、 例えば、 Cy5とローダミン 6G試薬との組み合わせ、 Cy3とフルォレセインとの組み合
わせ、ローダミン 6G試薬とフルォレセインとの組み合わせ等を挙げることができる。本 発明では、このような標識を利用して、使用される検出手段に検出され得るように目 的とする対象を改変することができる。そのような改変は、当該分野において公知で あり、当業者は標識におよび目的とする対象に応じて適宜そのような方法を実施する ことができる。
[0176] 本明細書において「相互作用」には、疎水性相互作用、親水性相互作用、水素結 合、ファンデルワールス力、イオン性相互作用、非イオン性相互作用、静電的相互作 用などが挙げられるがそれらに限定されない。例えば、 PNA、 DNAなどの核酸が用 いられる場合、相補体が水素結合によってノ、イブリダィズすること、抗原抗体反応、リ ガンドーレセプター反応などもまた、相互作用の範疇に入ることが理解される。
[0177] 本明細書において「相互作用のレベル」とは、 2つの物質 (例えば、生体分子)の間 の相互作用について言及する場合、その 2つの物質の間の相互作用の程度または 頻度をいう。そのような相互作用のレベルは、当該分野において周知の方法によって 測定することができる。特に、本発明では、電気信号の変化、例えば、電流の変化、 電圧の変化、電流 電圧特性の変化などを用いて相互作用のレベルを表現または 算出することができることが理解される。このような測定値から、例えば、あるスポットに おいて存在する特定の生体分子に関連する情報またはそれと相互作用する分子の 情報 (例えば、ノ、イブリダィゼーシヨン情報)を得ることができる。
[0178] 本明細書にぉ 、て、生体分子 (例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドなど)に 対して「特異的に相互作用する」とは、その生体分子に対する親和性が、他の無関連 の(特に、ポリヌクレオチド、ポリペプチドなどであれば、例えば、同一性が 30%未満 の)ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに対する親和性よりも、代表的には同等また はより高いか、好ましくは有意に高いことをいう。そのような親和性は、例えば、ハイブ リダィゼーシヨンアツセィ、結合アツセィなどによって測定することができる。
[0179] 本明細書において生体分子などが「無電荷」であるとは、電荷が実質的にないこと をいう。電荷は、物質のもつ電気量は構成素粒子の電気量の総和で表すことができ ることからその電気量を計算することによって、生体分子が無電荷であるかどうかを判 定することができる。本明細書では、実質的に電荷がないとは、電気量が InC (ナノク
一ロン)以下のことをいう。、電気量力 sこの閾値以上の場合 (好ましくは 0でないとき)に
、その物質は、帯電しているという。本明細書において、「ほとんど電荷がない」とは、 生体分子の検出に影響がな 、程度に電荷が低!、ことを ヽぅ。
[0180] (提示、表示、入力)
本明細書において「表示」、「ディスプレイ」および「提示」とは、交換可能に用いられ 、ある信号を感覚器官 (例えば、視覚、聴覚、嗅覚など)によって知覚されるように変 換して表現することをいう。代表的には、視覚的に表示することが挙げられ、ディスプ レイとは、特に限定的な意味で用いる場合、視覚的に信号を表示する手段をさす。 従って、「表示」、「ディスプレイ」および「提示」とは、本発明の方法に従って得られた 電気信号またはそれ力 作製した生体分子に関する情報を直接または間接的にある いは情報処理をした形態で具現ィ匕することをいう。そのような表示の形態としては、グ ラフ、写真、表、アニメーションなど種々の方法があるが、それらに限定されない。
[0181] リアルタイムの表示および提示もまた、当該分野において周知の技術を用いて行う ことができる。例えば、全てのイメージが取得され、半永久的メモリに格納された後、 あるいはイメージの取得と実質的に同時に、適切なアプリケーションソフトウェアで処 理し、処理されたデータを得ることができる。例えば、取得されたデータを処理する方 法は、画像が中断されないシーケンスをプレイバックする、あるいは、リアルタイムで 表示する、焦点面における変化および連続として、照射光を示す「ムービー」として表 示することができる。
[0182] 指標設定画面では、キーボード、タツチパネルまたはマウスなどを用いて画面上で 条件を入力することにより、所望の複雑な反応条件の設定が可能である。その他、生 体分子との相互作用条件 (例えば、ハイブリダィゼーシヨンの温度、 pHなどの諸条件 )の設定をキーボード、マウスなどを用いて行うことができる。
[0183] 表示画面では、生体分子力 検出された情報をリアルタイムでまたは記録後に表示 する。記録情報の表示とともに、記録時の測定指標 (刺激条件、記録条件、表示条件 、処理条件、細胞の諸条件、温度、 pH等)もまたリアルタイムで表示することができる 。温度または pHが許容範囲を外れたときの警報機能も備えられて 、てもよ 、。
[0184] データ解析画面では、種々の数理解析、フーリエ変換、クラスター解析、 FFT解析
、コヒーレンス解析、コリレーション解析などの条件を設定することが可能である。一時 的なプロファイル表示機能、トポグラフィー表示機能、も備えていてもよい。これらの 解析結果は、記録媒体に保存されている情報とともに表示することができる。
[0185] (スクリーニング)
本明細書において「スクリーニング」とは、目的とするある特定の性質をもつ生物ま たは物質などの標的を、特定の操作 Z評価方法で多数を含む集団の中から選抜す ることをいう。スクリーニングのために、本発明の方法またはシステムを使用することが できる。本発明では、相互作用に関する情報に基づいてスクリーニングを行うことがで きる。
[0186] (診断)
本明細書において「診断」とは、被検体における疾患、障害、状態などに関連する 種々の指標を同定し、そのような疾患、障害、状態の現状を判定することをいう。本発 明の方法、装置、システムを用いることによって、生体分子との相互作用を分析し、そ のような情報を用いて、被検体における疾患、障害、状態、投与すべき処置または予 防のための処方物または方法などの種々の指標を選定することができる。
[0187] 本発明の診断方法は、原則として、身体力も出たものを利用することができることか ら、医師などの医療従こと者の手を離れて実施することができることから、産業上有用 である。
[0188] 本明細書において「指示書」は、本発明のシステム、デバイス、方法などを用いて実 施できる診断'治療方法などを医師、患者など投与を行う人に対して記載したもので ある。この指示書は、本発明の装置、デバイスなどを操作する方法を指示する文言が 記載されている。この指示書は、必要に応じて、本発明が実施される国の監督官庁( 例えば、 日本であれば厚生労働省、米国であれば食品医薬品局 (FDA)など)が規 定した様式に従って作成され、その監督官庁により承認を受けた旨が明記される。指 示書は、いわゆる添付文書 (package insert)であり、通常は紙媒体で提供される 力 それに限定されず、例えば、電子媒体 (例えば、インターネットで提供されるホー ムページ、電子メール)のような形態でも提供され得る。
[0189] (好ましい実施形態の説明)
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本 発明のよりよい理解のために提供されるものであり、本発明の範囲は以下の記載に 限定されるべきでないことが理解される。従って、当業者は、本明細書中の記載を参 酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。
[0190] (ゲート電極)
1つの局面において、本発明は、生体分子と、非ケィ素酸ィ匕物とを含む、ゲート電 極を提供する。ここで、生体分子は、本明細書において上記されるように、生体に存 在する物質の他、生体に存在する物質と相互作用する物質 (例えば、人工 DNA、 P NAなど)を用いることができる。通常、生体分子としては、有機化合物が使用される ことが理解される。生体分子と、非ケィ素酸ィ匕物とは、ゲート電極が形成されるように 構成される限り、どのように配置されていても良い。好ましくは、非ケィ素酸化物上に 結合される。
[0191] 本発明において使用される非ケィ素酸ィ匕物としては、従来使用されていた二酸ィ匕 ケィ素より誘電率の高い絶縁体が使用される。ニ酸ィ匕ケィ素の 25°Cでの誘電率は、 およそ 3. 9であることから、それより大きな誘電率を有する物質であれば、どのような ものでも使用することができる。従って、好ましい実施形態では、本発明において使 用される非ケィ素酸ィ匕物の 25°Cでの誘電率は、少なくとも 6以上であり、より好ましく は、 8. 5以上であり、さらに好ましくは 10以上であり、さらにより好ましくは 15以上であ り、最も好ましくは 20以上である。
[0192] 好ましい実施形態において、非ケィ素酸ィ匕物は、酸化金属である。本発明におい て開示された結合方法を使用することができ、おおむね大きな誘電率を有するから である。使用され得る酸化金属としては、例えば、酸化タンタル (Ta O )、酸化カル
2 5
シゥム(CaO)、酸ィ匕鉛 (PbO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化トリウム (ThO )、酸
2 化アンチモン(Sb O )、一酸化チタン (TiO)、二酸化チタン (TiO )、酸化ハフニゥ
2 3 2
ム(HfO )、酸化イツテノレビゥム (Yb O )、酸化マグネシウム(MgO)、酸化インジゥ
2 2 3
ム(In O )、酸化スズ(SnO )、酸化ジルコニウム(ZrO )、酸化セリウム(CeO )、酸
2 3 2 2 2 ィ匕ニオブ (Nb O )、酸ィ匕ガドリニウム(Gd O )、酸ィ匕クロム(Cr O )、酸化タンダステ
2 5 2 3 2 3
ン (WO )、酸化銅 (I) (Cu O)、酸化銅 (II) (CuO)、酸ィ匕鉄 (Π) (FeO)、酸ィ匕鉄 (III) (
Fe O )、酸化ニッケル(NiO)、酸化ビスマス(Bi O )、酸化サマリウム(Sm O )、酸
2 3 2 3 2 3 化ネオジム(Nd O )、酸化バナジウム (V O )、酸化モリブデン(MoO )、酸化カドミ
2 3 2 5 3
ゥム(CdO )、酸化マンガン(MnO )、二酸化バリウム(BaO )および一酸化バリウム
2 2 2
(BaO)などを挙げることができるがそれらに限定されな 、。好ま 、実施形態では、 この非ケィ素酸ィ匕物は、酸化タンタル (Ta O )、一酸化バリウム (BaO)、酸化ビスマ
2 5
ス (Bi O )、酸化銅 (II) (CuO)、酸化鉛 (PbO)、酸化イッテルビウム (Yb O )、酸ィ匕
2 3 2 3 ジルコニウム ば) )、酸化ニオブ(Nb O )および酸化ハフニウム(HfO )などを挙
2 2 5 2 げることができる。最も好ましくは、非ケィ素酸ィ匕物は、酸化タンタル (Ta O )である。
2 5 酸ィ匕タンタルはおよそ 25の誘電率を有して 、ることから、従来のケィ素酸化物(二酸 化ケィ素)の 6倍以上の誘電率を有する。このような誘電率を有していても、バイオセ ンサとして構成することができることが本願において初めて見出された。このほかにも 、チタン系の酸ィ匕物は、概して高い誘電率を有していることから、本発明における絶 縁体である非ケィ素酸ィ匕物として好まし、。代表的な酸ィ匕金属の 25°Cまたは室温( 例外は括弧で示す。)での誘電率 (比誘電率ともいう)は、 BaOが 34、 BaO力 lO. 7
2
、 Bi Oカ 18. 2、 CaO力 11. 8 (10°C) , Cr Oカ 12. 0、 CuOカ 18. 1、 Cu Oカ 12
2 3 2 3 2
. 0、 FeOカ 14. 2、 PbOカ 25. 9、 MgOカ 9. 65、 SrOカ 13. 3、 SrTiOカ 332、 T
3 hO力 ^IO. 6
2 、ZrOである。
2
[0193] 好ましくは、生体分子は、非ケィ素酸ィ匕物に固定される。固定は、任意の固定技術 を用いて実現することができる力 好ましくは、共有結合させることによって実現される 。共有結合には、クロスリンカ一を用いることが好ましい。このような結合様式につい ては、本明細書において詳述される。代表的には、結合は、シランカップリング剤によ つて実現されることが理解される。従って、好ましい実施形態では、このゲート電極は 、生体分子と、非ケィ素酸ィ匕物とがシランカップリング剤による結合による結合部分( 代表的には、シランカップリング剤カゝら結合反応によって除去された残留部分)をも 含むことが理解される。
[0194] 好ましい実施形態では、本発明のゲート電極において、非ケィ素酸化物と生体分 子とは、アミノシランィ匕合物によって (好ましくは共有結合)結合される。従来このよう な結合によって構成されたゲート電極は知られておらず、本発明は、有用なバイオセ
ンサとして使用可能なゲート電極を提供する。
[0195] 1つの好ましい実施形態では、このような結合部分は、
— O— (SiR R )— (CH )— NH (CH ) — NH— O— (CH )— O— CH— NH—
1 2 2 n 2 m 2 k 2
で示される。ここで、 n、 mおよび kはそれぞれ独立して任意の正の整数である。好ま しくは、 n、 mおよび kは、独立して 1一 6の整数、より好ましくは独立して 1一 3の整数 であり得る。ここで、 Rおよび Rは、独立して、任意の置換基または該リンカ一と同じ
1 2
構造を有する別のリンカ一の Si原子であり得る。従って、別のリンカ一である場合は、 非ケィ素酸ィ匕物面上に層状に生体分子を結合させることができる。
[0196] 好ましい実施形態において、本発明のゲート電極の非ケィ素酸ィ匕物は膜状形態ま たは層状形態をしており、生体分子は、この非ケィ素酸ィ匕物膜上に固定される。非ケ ィ素酸ィ匕物は、複数の層が積層していてもよい。そのような場合、最も上には非ケィ 素酸化物 (好ましくは、酸化金属)を配置することが好ましい。複数層が使用される場 合は、中の層としては、例えば、 Si Nなどの他の絶縁体および SiOのような絶縁体
3 4 2
を配置することができる。
[0197] 好ましい実施形態において、本発明のゲート電極に備えられる生体分子は、他の 生体分子と特異的相互作用をする能力を有する。そのような相互作用は、例えば、 核酸同士のハイブリダィゼーシヨン、タンパク質と核酸との相互作用(例えば、転写因 子と転写因子結合配列など)、タンパク質同士の相互作用、抗原抗体反応、リガンド レセプター反応などを挙げることができるがそれらに限定されない。
[0198] 本発明のゲート電極で使用される生体分子としては、核酸、タンパク質、糖、脂質 およびそれらの複合体などを挙げることができるがそれらに限定されない。
[0199] 好ま 、実施形態では、生体分子は、核酸を含み得る。このような核酸としては、例 えば、 DNA、 RNAおよび PNAを含む。より好ましくは、生体分子は、 PNAを含む。 PNAは、無電荷であり、マイナスの電荷を有する DNAに比べて、検出感度が格段 に上昇することが期待されるからである。実際に、 PNAを用いた場合には、 DNAを 用いた場合よりも 2— 10倍またはそれ以上に感度が上昇したことが本発明によって 示された。
[0200] 本発明にお 、て用いられる生体分子は、一本鎖または二本鎖の形態で存在し得る
[0201] 好ましくは、本発明のゲート電極において用いられる生体分子は、ストリンジェントな ハイブリダィゼーシヨン条件他の生体分子とハイブリダィゼーシヨンする能力を有する 。そのようなハイブリダィゼーシヨンする能力を有する生体分子の設計は、当該分野 において公知の任意の技術を用いて実施することができる。そのような設計方法につ いては、本明細書において、上記されている。
[0202] 本発明のゲート電極において用いられる生体分子は、リガンドーレセプター相互作 用または抗原抗体反応する能力を有していてもよい。このような物質は、タンパク質、 有機低分子などであり得ることが理解される。
[0203] 好ましくは、本発明において用いられる生体分子は、無電荷またはほとんど電荷が ないことが有利である。そのような生体分子としては、 PNAなどを挙げることができる がそれらに限定されない。電荷がないかまたはほとんどないことによって、半導体に おける反応性が格段に上昇するため、検出感度が格段に上昇することが期待される
[0204] 好ま 、実施形態では、本発明のゲート電極に配置される生体分子は、疾患また は障害の診断のためのプローブである。このようなプローブを配置することによって、 本発明のゲート電極は、診断チップなどに応用することが可能である。そのようなプロ ーブは、当該分野において公知の情報力 当業者は容易に設計することができるこ とが理解される。プローブは、例えば、対象となる核酸配列に対してパーフェクトマツ チの相補性を有していてもよぐあるいは、 1塩基違うものを用いてもよい。 1つの実施 形態では、本発明において用いられる生体分子は、 1塩基多型 (SNPs)を検出する ためのプローブであり得る。
[0205] 図 11には、ゲート電極の作製模式図を示す。このように、 Siの上に、 SiO膜、 Si N
2 3 膜を積層し、その上に Ta Oが積層される。
4 2 5
[0206] 別の好ましい実施形態では、電極と生体分子 (例えば、核酸分子)との間に、ァミノ シランとクロスリンカ一で架橋して、自由度を持たせることによって、ハイブリダィゼー シヨンの効率を有利に働かせることも可能である。
[0207] (電界効果トランジスタ)
1つの局面において、本発明は、生体分子と、非ケィ素酸ィ匕物とを含むゲート電極 力 半導体素子上に一体化された、電界効果トランジスタを提供する。個々で使用さ れるゲート電極は、本明細書において上記 (ゲート電極)において説明される任意の 形態を用いることができる。
[0208] 本発明において用いられる半導体素子は、通常、ゲート電極の他、基板と、ソース 部と、ドレイン部とを含む。このような基板、ソース部、ドレイン部などは、通常の半導 体素子に用いられる任意の技術を用いることができることが理解される。
[0209] 本発明の電界効果トランジスタは、ゲート電極を用いるものである限り、 pチャネル型 または nチャネル型であり、そして、エンハンスメント型またはディプリシヨン型であり得 る。
[0210] 好ましい実施形態では、本発明の半導体素子におけるソース部およびドレイン部は 、絶縁体で覆われていることが有利である。ゲート電極のゲート効果を有効に活用す ることがでさるカゝらである。
[0211] 本発明の電界効果トランジスタは、ゲート電極以外の電極が備えられていてもよい。
そのようなさらなる電極の例としては、例えば、ソース部からの電流を引き出すソース 引き出し電極、ドレイン部からの電流を引き出すドレイン引き出し電極、基板からの電 流を引き出す基板引き出し電極、ゲート電極由来の電流を引き出すためのゲート引 き出し電極などを挙げることができる。
[0212] 本発明の電界効果トランジスタにおいてゲート電極は、電解液に浸されていてもよ い。
[0213] 引き出し電極には、どのようなものを使用しても良いが、例えば、 AgZAgClを含む 電極が使用されても良い。
[0214] 本発明の半導体素子に使用される基板は、通常の半導体技術において用いられ る任意の材料カゝら形成され得ることが理解され、例えば、 Siを含む材料から形成され ていてもよい。
[0215] (センサ)
別の局面において、本発明は、以下: A)生体分子と、非ケィ素酸ィ匕物とを含むゲ ート電極が半導体素子上に一体化された、電界効果トランジスタと、 B)電気信号検
出手段とを備える、該生体分子との相互作用を検出するためのセンサを提供する。こ こで、ゲート電極、電界効果トランジスタには、上述の(ゲート電極)および(トランジス タ)に記載される任意の形態を用いることができることが理解される。
[0216] 本発明のセンサにおいて使用される電気信号検出手段は、電気信号を検出するこ とができる限り、どのような手段でも用いることができ、例えば、電圧計、電流計、電流 電圧計、ポテンシォメーターなどが例示され得る。
[0217] 好ま ヽ実施形態では、本発明のセンサは、ディスプレイのような提示手段を備え ていてもよい。そのようなディスプレイを備えることによって、使用者は、即座に生体分 子に関する情報を得ることができる。
[0218] (ゲート電極作製法)
別の局面において、本発明は、生体分子が固定された、非ケィ素酸化物を含むゲ ート電極を作製する方法であって、 A)非ケィ素酸化物を含むゲート電極を提供する 工程; B)該非ケィ素酸化物に無機材料と有機材料とをィ匕学的に結合させるカツプリ ング試薬 (例えば、アミノシラン含有物質)を結合させる工程; C)該カップリング試薬と 、該カップリング試薬と反応し得るクロスリンカ一(例えば、カルポジイミド類、アルデヒ ド類、イミドエステル類、フエ-レンイソチオシァネート類、エポキシシラン類、シラン力 ップリング剤)を結合させて中間体を形成工程;および D)該中間体に生体分子を結 合させる工程、を包含する、方法を提供する。従来非ケィ素酸化物、特に酸化金属 に、 DNAのような生体分子を結合させることができるようになつたことは、従来達成さ れていな力つた。従来の技術では、ケィ素酸ィ匕物に生体分子を結合させて、電極を 作製する試みがなされているが、そのようなゲート電極およびそのゲート電極を使用 した半導体素子、システム、センサーなどを実現することができな力つた。酸化金属 のような非ケィ素酸ィ匕物を使用することで、ゲート電極の感度が格段に上昇すること が知られている。本発明は、生体分子をゲート電極に結合させることによって、生体 分子による高感度センサなどを作製することができるという利点も有する。本発明で は、非ケィ素酸ィ匕物を含むゲート電極 (好ましくは、ケィ素で作製される)を提供した 後、そのゲート電極をアミノシラン含有物質 (例えば、ァミノプロピルトリエトキシシラン など)などを結合させた後に、生体分子をそのアミノシラン含有物質などに直接また
はクロスリンカ一(例えば、ダルタルアルデヒドなど)を用いて間接的に結合させること によって、本発明のゲート電極を作製することができることが実証されたという点で評 価されるべさである。
[0219] 好ましい実施形態では、本発明において用いられるカップリング試薬は、網のシラ ン含有物質が有利である。
[0220] より好まし 、実施形態にぉ 、て、本発明にお 、て使用されるアミノシラン含有物質 は、 ω '—アミノアルキルトリアルコキシシラン、より好ましくは、 3'—ァミノプロピルトリエ トキシシランを含む。 3'—ァミノプロピルトリエトキシシランによって、効率よぐ確実に、 有機物質 (例えば、核酸)を、非ケィ素酸ィ匕物 (特に、酸ィ匕金属)のような無機物質に 結合させることが可能になったことが本発明によって初めて実証された。
[0221] 好ましい実施形態では、本発明において、アミノシラン含有物質の結合の前に、酸 化金属は、酸処理されることが有利である。酸処理によって、非ケィ素酸化物におけ る酸素含有基が水酸基に一部置換されることによって、アミノシラン含有物質との結 合が促進されるからである。ここで、酸処理に使用する酸は、塩酸、硫酸などの無機 酸、または酢酸などの有機酸であり得ることが理解される。酸には、ェチルアルコー ル、メチルアルコールなどのアルコールをカ卩えることができることが理解される。
[0222] 本発明のゲート電極作製法において使用される非ケィ素酸ィ匕物は、好ましくは、酸 化金属であり、酸化タンタル (Ta O )、酸化カルシウム(CaO)、酸化鉛(PbO)、酸
2 5
化ストロンチウム(SrO)、酸化トリウム (ThO )、酸化アンチモン(Sb O )、一酸化チ
2 2 3
タン (TiO)、二酸化チタン (TiO )、酸化ハフニウム(HfO )、酸化イッテルビウム (Y
2 2 2
O )、酸ィ匕マグネシウム(MgO)、酸化インジウム (In O )、酸化スズ (SnO )、酸化ジ
3 2 3 2 ルコニゥム(ZrO )、酸化セリウム(CeO )、酸化ニオブ(Nb O )、酸化亜鉛(ZnO)、
2 2 2 5
酸ィ匕ガドリニウム (Gd O )、酸ィ匕クロム(Cr O )、酸化タングステン (WO )、酸化銅(
2 3 2 3 3
I) (Cu 0)、酸化銅 (Il CuO)、酸ィ匕鉄 (II) (FeO)、酸ィ匕鉄 (III) (Fe O )、酸化ニッ
2 2 3 ケル(NiO)、酸化ビスマス(Bi O )、酸化サマリウム(Sm O )、および酸化ネオジム
2 3 2 3
(Nd O )などの、本明細書において「ゲート電極」の節に記載される任意の形態を採
2 3
り得ることが理解される。
[0223] 好ましい実施形態において、本発明の方法において用いられるクロスリンカ一は、
カルボジイミド類、アルデヒド類、イミドエステル類、フエ-レンジイソチオシァネート( 図 2Bを参照)、エポキシシラン、シランカップリング剤などを含む。
[0224] より好ましい実施形態では、本発明において使用されるクロスリンカ一は、アルデヒ ド含有基を含み、さらに好ましくは、クロスリンカ一は、ダルタルアルデヒドを含む。
[0225] 本発明において、架橋処理には、任意の技術が用いられ得、ラジカル反応を生じさ せる技術などを用いることができる。そのような技術としては、例えば、 X線照射、紫外 線照射、電子線照射、 0線照射、分子の熱分解、光分解、放射線分解、電子授受反 応などを挙げることができるがそれらに限定されない。
[0226] 本明細書において使用される生体分子もまた、本明細書において「ゲート電極」に おいて記載される任意の形態を用いることができることが理解される。好ましくは、生 体分子は、生体分子は、核酸を含み、より好ましくは、生体分子は、 DNAまたは PN Aを含み、さらに好ましくは、生体分子は、 PNAを含む。
[0227] 本発明の好ましい実施形態において、クロスリンクが終わった後、生成物を還元す ることが好ましい。還元することによって、生体分子の結合が安定ィ匕する力もである。 そのような還元は、シッフ塩基の還元に用いることができる限り、そのようなものでも用 いる琴ができる力 例えば、水素化シァノホウ素ナトリウム(NaCNBH )、ジメチルァ
3
ミンボラン((CH ) HNBH )、トリメチルァミンボラン((CH ) NBH )、水素化ホウ素
3 2 3 3 3 4
ナトリウム(NaBH )、ボラン(BH )、ァ-リン(C H NH )、ヒドラジン(N H )、タエン
4 3 6 5 2 2 4 酸(C H O )、シユウ酸((COOH) )、水素化リチウムアルミニウム(LiAlH )、ヒドロ
6 8 7 2 4 キノン (C H (OH) )などを用いることができるがそれらに限定されない。好ましくは、
6 4 2
還元は、 NaCNBHを用いて行われることが好ましい。
3
[0228] 別の好ましい実施形態では、電極と生体分子 (例えば、核酸分子)との間に、ァミノ シランとクロスリンカ一で架橋して、 自由度を持たせることによって、ハイブリダィゼー シヨンの効率を有利に働かせることも可能である。架橋の方法は、本明細書において 別の箇所にぉ 、て記載されて 、るように、当該分野にぉ 、て公知の任意の方法を利 用することが可能である。
[0229] (生体分子に関する情報検出法)
別の局面において、本発明は、生体分子との相互作用を検出するための方法であ
つて、 A)該生体分子と、非ケィ素酸ィ匕物とを含む、ゲート電極が半導体素子上に一 体化された、電界効果トランジスタを提供し、電流-電圧 (I-V)特性を測定する工程; B)該電界効果トランジスタと、相互作用が生じるに十分な条件下でサンプルとを接触 させる工程; C)該接触後に、該電界効果トランジスタの ι-ν特性を測定する工程;お よび D)該接触前の I V特性と、該接触後の I V特性とを比較して、該 I V特性同士 の相違から該生体分子との該相互作用を算出する工程、を包含する、方法を提供す る。
[0230] 本発明では、 IS— FETのソース—ドレイン電極間、またはゲートに電圧を印加し、ソ ース 'ドレイン間に流れる電流を測定することによって検出を行うことが可能になる。
[0231] ここで、ゲート電極、電界効果トランジスタについては、本明細書において、それぞ れ「ゲート電極」、「電界効果トランジスタ」に記載される任意の形態を用いることがで きることが理解される。
[0232] I V特性は、任意の電気信号検出手段によって測定することができることが理解さ れる。そのような検出手段は、本明細書において他の場所において記載されており、 本明細書にぉ 、て「センサ」に記載される任意の形態を用いることができることが理解 される。
[0233] 本発明にお 、て利用される I V特性の表現形としては、静特性飽和電流値、伝達 特性閾値電圧などを挙げることができるがそれらに限定されな 、。これらの値の相違 は、それぞれ、電流値の増減、 IV特性曲線のシフト (正負)などによって表現すること ができる。
[0234] 本発明において用いられる生体分子は、任意の生体分子を用いることができるが、 好ましくは、核酸が用いられる。このような場合、本発明の検出対象となるサンプルは 、核酸と相互作用する分子を含む力または含むと予測されるか、あるいは核酸と相互 作用する物質を含む力または含むと予測されるサンプル (例えば、血液、尿)などを 用いることができることが理解される。
[0235] 本発明の検出方法において用いられる生体分子は、 PNAを含み、この場合検出 対象とされるサンプルは、核酸を含む力または含むと予測される力、あるいは核酸と 相互作用する物質を含む力または含むと予測されることが好ましい。
[0236] 本発明の検出方法では、使用される生体分子は、核酸を含み、検出対象となるサ ンプルは、核酸と相互作用する分子を含む。この場合、電界効果トランジスタは、 p型 トランジスタであり、 I V特性の静特性飽和電流値の減少または伝達特性閾値電圧 の正シフトは、核酸と、核酸と相互作用する分子とがハイブリダィゼーシヨンしたことを 示す。シフトおよび電流値の増減と、相互作用との相関付けは、一度標準曲線を作 成すること〖こよって実施することができることが理解される。本発明では、この電流値 の増減の幅、およびシフトの移動幅力 従来のケィ素酸ィ匕物を用いた場合よりも、は るかに改善したことが留意されるべきである。あるいは、特に、 PNAを用いた場合は、 電荷がない状態で測定されることから、電荷を有する DNAの測定感度が飛躍的に 上昇したことに留意すべきである。
[0237] (検出システム)
別の局面において、本発明は、 A)生体分子と、非ケィ素酸ィ匕物とを含むゲート電 極が半導体素子上に一体化された、電界効果トランジスタと、 B)該電界効果トランジ スタが露出するように配置された、サンプルを収容するための容器と、 C)該電界効果 トランジスタと電気的に結合する電気信号検出手段と、 D)該電気信号検出手段と電 気的に結合する電流 -電圧 (I - V)特性を算出する手段、とを備える、生体分子との 相互作用を検出するためのシステムを提供する。このシステムにおいて使用されるゲ ート電極、電界効果トランジスタ、電気信号検出手段は、本明細書において「ゲート 電極」、「電界効果トランジスタ」、 「センサ」などにおいて詳述される任意の形態を用 いることができることに留意すべきである。本発明では、 IS— FETのソース一ドレイン電 極間、またはゲートに電圧を印加し、ソース'ドレイン間に流れる電流を測定すること によって検出を行うことが可能になる。ここで、サンプルを収容するための容器は、サ ンプルを収容することができ、電界効果トランジスタが露出することができるように配 置される限り、どのような容器を用いることでも用いることができることが理解される。本 発明において使用される I V特性の算出手段もまた、電気信号から電流値および電 圧値を算出し、その関係を算出し、必要に応じて数学的処理を行うことができるような 手段を用いることができる限りどのような手段を用いてもよい。通常、 CPU、入力手段 、出力手段、格納手段、表示手段などを備えたコンピュータを用いることができるがそ
れらに限定されない。
[0238] 本発明のこのような検出システムは、例えば、図 10に例示されるように構成される。
ここでは、 IS— FETの半導体素子部分が左上に例示される。左下には、 4 X 4で構成 した場合のチップの平面図を示す。右側には、 IS— FETにおける検出を例示する。こ こでは、一本鎖(SS— DNA)の場合と、二本鎖(DS— DNA)の場合とで、ミスマッチを 検出する模式図を示す。フェリシアン化鉄の酸化還元によって簡単に電荷の移動を 観察することができることが理解される。一本鎖と二本鎖との I -Vの相対的比較図を d d
図 12に示す。
[0239] このようなシステムは、さらに、 I V特性に基づいて、生体分子との相互作用に関す る情報を算出する手段を備える。
[0240] 別の局面において、本発明は、そのような生体分子との相互作用に関する情報を 算出するためのコンピュータプログラムを提供することが理解される。
[0241] (本発明の用途)
本発明の方法、ゲート電極、トランジスタおよびシステムは、例えば、診断、法医学 、薬物探索(医薬品のスクリーニング)および開発、分子生物学的分析 (例えば、ァレ ィベースのヌクレオチド配列分析およびアレイベースの遺伝子配列分析)、タンパク 質特性および機能の分析、薬理ゲノム学、プロテオミタス、環境調査ならびにさらなる 生物学的およびィ匕学的な分析において使用され得る。
[0242] 本発明の方法、ゲート電極、トランジスタおよびシステムは、種々の遺伝子の検出に 使用することができ、検出する遺伝子は特に限定されない。そのような検出される遺 伝子としては、例えば、ウィルス病原体 (たとえば、肝炎ウィルス (A、 B、 C、 D、 E、 F 、 G型)、 HIV、インフルエンザウイルス、ヘルぺス群ウィルス、アデノウイルス、ヒトポリ ォーマウィルス、ヒトパピローマウィルス、ヒトパルボウイルス、ムンプスゥイノレス、ヒトロ タウィルス、ェンテロウィルス、 日本脳炎ウィルス、デングウィルス、風疹ウィルス、 HT LVを含むがそれらに限定されな 、)の遺伝子;細菌病原体 (たとえば、黄色ブドウ球 菌、溶血性連鎖球菌、病原性大腸菌、腸炎ビブリオ菌、へリコパクターピロリ菌、カン ピロパクター、コレラ菌、赤痢菌、サルモネラ菌、エルシニア、淋菌、リステリア菌、レ プトスビラ、レジオネラ菌、スピロヘータ、肺炎マイコプラズマ、リケッチア、クラミジァを
含むがそれらに限定されない)の遺伝子、マラリア、赤痢アメーバ、病原真菌、寄生 虫、真菌の遺伝子の検出に用いることができる。
[0243] 本発明の方法、ゲート電極、トランジスタおよびシステムはまた、遺伝性疾患、網膜 芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、家族性結腸ポリープ症、神経腺維腫症、家族性乳癌、 色素性乾皮症、脳腫瘍、 P腔癌、食道癌、胃癌、結腸癌、肝臓癌、脾臓癌、肺癌、 甲状腺腫瘍、乳腺腫瘍、泌尿器腫瘍、男性器腫瘍、女性器腫瘍、皮膚腫瘍、骨,軟 部腫瘍、白血病、リンパ腫、固形腫瘍、等の腫瘍性疾患を検査および診断するため に使用され得る。
[0244] 本発明はさらに、 RFLP、 SNP解析等の多型解析、塩基配列の解析等にも適応する ことが可能である。本発明はまた、医薬品のスクリーニングにおいて使用することがで きる。
[0245] 本発明はまた、医療以外にも、食品検査、検疫、医薬品検査、法医学、農業、畜産 、漁業、林業などで、生体分子の検査が必要なものに全て適応可能である。本発明 においては特に、食料の安全目的のための(たとえば、 BSE検査)使用も企図される
[0246] 本発明はまた、生化学検査データを検出するために用いられ得る。生化学検査の 項目としては、たとえば、総蛋白、アルブミン、チモール反応、クンケル硫酸亜鉛試験 、血漿アンモニア、尿素窒素、クレアチュン、尿酸、総ビリルビン、直接ピリルビン、 G OT、 GPT、コリンエステラーゼ、アルカリホスファターゼ、ロイシンアミノぺプチターゼ 、 yーグルタミルトランスぺプチターゼ、クレアチュンフォスキナーゼ、乳酸デヒドロゲ ナーゼ、アミラーゼ、ナトリウム、カリウム、塩素イオン(クロール)、総カルシウム、無機 リン、血清鉄、不飽和鉄結合能、血清浸透圧、総コレステロール、遊離コレステロ一 ル、 HDL-コレステロール、トリダリセライド、リン脂質、遊離脂肪酸、血漿グルコース、 インシュリン、 BSP停滞率、 ICG消失率、 ICG停滞率、髄液'総蛋白、髄液'糖、髄液 •塩素、尿 ·総蛋白、尿 *ブドウ糖、尿,アミラーゼ、尿 ·尿酸、尿 ·尿素窒素、尿,クレア チュン、尿'カルシウム、尿'浸透圧、尿 ·無機リン、尿 'ナトリウム、尿'カリウム、尿'ク ロール、尿中 Nァセチルダルコサミニダーゼ、 1時間クレアチニンクレアランス、 24時 間クレアチュンクレアランス、フエノールスルホンフタレイン、 C-反応性タンパクなどが
挙げられるがそれらに限定されない。このような検査項目を測定する方法および原理 は当該分野において周知慣用されている。
[0247] 本発明はまた、生体から直接採取したサンプル以外に、 PCR、 SDA、 NASBA法 等で増幅した遺伝子の検出に対しても用いることは可能である。本発明はさらに、標 的遺伝子は予め電気化学的に活性な物質や、 FITC、ローダミン、アタリジン、 Texa s Red,フルォレセインなどの蛍光物質、アルカリホスファターゼ、ペルォキシダーゼ 、グルコースォキシダーゼなどの酵素、ハプテン、発光物質、抗体、抗原、金コロイド などのコロイド粒子、金属、金属イオン、およびトリスビピリジン、トリスフエナント口リン、 へキサァミンなどとの金属キレートなどで標識しておくことも可能である。
[0248] 本発明が検査または診断目的とする試料は特に限定されず、例えば、血液、血清 、白血球、尿、便、精液、唾液、組織、培養細胞、喀痰等を用いることができる。
[0249] 以下に、実施例に基づいて本発明を説明するが、以下の実施例は、例示の目的の みに提供される。従って、本発明の範囲は、上記発明の詳細な説明にも下記実施例 にも限定されるものではなぐ特許請求の範囲によってのみ限定される。
実施例
[0250] (実施例 1 :ペプチド核酸分子と電界効果トランジスタを組み合わせた生体情報デ バイスの作製)
生体分子の代表例としてペプチド核酸分子と、電界効果トランジスタとを組み合わ せた生体情報デバイスを作製し、遺伝子検出の可能性について評価した。作製した 電界効果トランジスタの模式図を図 1に示す。
[0251] (実験方法)
以下にこの手順の詳細を示す。
[0252] (材料)
3, -ァミノプロピルトリエトキシシラン (APTESとも 、う)を信越化学 (東京、日本)か ら購入した、 25%ダルタルアルデヒド、水素化シァノホウ素ナトリウム(NaBH CN)、
3
20 X SSC、0. 5M EDTA溶液およびリン酸緩衝液(pH7. 0, 1Z15M)は、和 光純薬 (大阪、 日本)から購入した。
[0253] IS— FETの電極などは、 BAS Inc.力ら購入した。
[0254] N末端にエチレングリコールスぺーサ一を含む 15マー合成 PNAは、 FASMAC Co. Ltd.力ら購入した。この PNAは、 NH— O— GGC AGT GCC TCA CAA
2
(配列番号 1)を有した。ここで、 oはエチレングリコールを示す。
[0255] 別の生体分子としては、 DNAを用いた。この DNAは、 NH— (CH ) GGC AG
2 2 6
T GCC TCA CAA (配列番号 2)という配列を有した。
[0256] サンプルの代わりとして、検出対象となる、標的 DNAは、 Sigma Genosys Japa n K. K. (東京、 日本)から購入した。この DNAは、上記 PNAとは相補的な配列を 有しており、その配列は、 5'— TTG TGA GGC ACT GCC (配列番号 3)であつ た。
[0257] (PNA固定)
IS— FETゲート電極の表面処理を、以下の手順で行った。この処理は、洗浄、 AP TESグラフト処理、グルタルアルデヒドとのカップリング反応および PNA固定から主 に構成される。以下に詳細に説明する。その反応模式図は、図 2Aに示す。図 2Bの ように、フエ-レンジイソチオシァネートを用いてもよ ヽ。
[0258] A) IS— FETの洗浄
アミノシランィ匕の処理前に IS— FETを HC1:メタノール(1: 2)溶液に 30分浸した。そ の後、滅菌脱イオン水でこの IS— FETを洗浄した。
[0259] 次に、この IS— FETを、 10% H SO〖こ 30分間浸し、滅菌脱イオン水で洗浄した。
2 4
IS— FETを、さらに 30分間沸騰水に浸した。
[0260] 2) 3,ーァミノプロピルトリエトキシシラン (APTES)グラフト処理
上記処理した IS— FETを、 95%アセトン Z水中の 1%APTES溶液中に浸した。こ の IS— FETは、アセトンで 5回洗浄し、その後 110°Cで 5分間乾燥させた。
[0261] 3)グルタルアルデヒドとのカップリング反応
上記処理した IS— FETを、 5%ダルタルアルデヒドリン酸緩衝液 (pH7. 0、 1/15 M)中に 37°Cで 2時間浸した。ついで、この IS— FETを脱イオン水で洗浄した。
[0262] 4) PNA固定
この IS— FETを、 PNAプローブ溶液(5 μ Μ)中に 37°Cで 12時間浸した。 PNAプ ローブが固定されたこの IS— FETを、 PNAと完全に相補的な配列を有する標的 DN
A (5 M)を含むハイブリダィゼーシヨン緩衝液 (300mM塩化ナトリウム、 30mMタエ ン酸ナトリウム ZlmM EDTA、これは、 2 X SSCZEDTA緩衝液という)に、 60°C で 12時間浸した。ハイブリダィゼーシヨン反応後、この IS— FETを、 2 X SSCZEDT Aで洗浄し、 5分間浸して非特異的に結合した DNAを取り除 、た。
[0263] (I V特性の測定)
I— V特性の測定は、 KEITHLEY 4200 (KEITHLEY Instruments, Inc. Cleveland, OH, USA)を用いて、室温でソース端子、ドレイン端子、ゲート端子 を含む 3つの端子を用いた半導体特徴づけシステムを用いて行った。その模式図を 図 3に示す。図 3左には、本発明の IS— FETを用いたときの回路図を示す。右上には 、使用した IS— FETの実物写真を示す。右中には、トランジスタの電流発生模式図を 示す。右下には、シフトの算出模式図を示す。
[0264] DNAと PNAとのハイブリダィゼーシヨン曲線は、図 4に示す。図 4では、等量の PN Aと標的 DNAとを混合したときの、熱解離曲線が示される。また、 DNAと PNAとを用 V、た場合の Tmの比較を以下に示す。
[0265] [表 1]
表 1では、 PNAZDNAの Tmを、 DNA/DNAの Tmと比較して提示している。ま た、塩濃度による相違も示した。 2 X SSC/lmM EDTA(NaCl: 300mM) ;0. 2 X SSC/0. ImM EDTA(NaCl: 30mM) o
[0266] これにより、 PNAZDNAは、 15マーの場合、 Tm値は 69。C、 DNA/DNAの Tm 値は 54°Cであることが分かる。また、塩基配列中に 1塩基配列置換があった場合、そ のミスマッチにより、 Tm値は、 PNA/DNAの場合で、 8— 21°C減少し、 DNAZD NAの場合 4一 16°C減少する。
[0267] 電解液には、 0. 2 X SSC/0. ImM EDTA(30mM塩化ナトリウムを含む)を用 いた。標準的な AgZAgClを標準電極として用いた。 I-V特性を測定する前に、 IS-
FETを、 30分間喑条件下に置き、測定は、暗条件ですベて行った。半導体電極に おける電荷キャリアが光生成するのを避けるためである。ドレインにおける I -V特性
D D
(Dはドレインを示す。 I -V特性は、飽和電流値の定義にもあるように、ドレイン電流
D D
ドレイン電圧測定における飽和電流値の変化を測定するものである。ゲート面に固 定された DNA、 PNAなどの生体分子に対して、相補的な標的 DNA (ポリア-オン 性 DNA)がノ、イブリダィゼーシヨンしたときに生じる飽和電流値の変化を測定すること になる)を測定するために、ドレイン ソースバイアスを、 OVから 7Vまで変動させ、ゲ ートバイアスは、 IVおきに OV力も 4Vにまで変動させた。ドレイン ソース特性である I -V特性 (I -V特性は、ドレイン電流 ゲート電圧測定における海面電位の変化
D G D G
を測定するものであり、ドレイン電流が流れ始める閾値電圧の確認のために必要な測 定である)では、ゲートソースバイアスを 3Vから 5Vに変動させ、ドレイン ソースバイ ァスは、 IVずつ 4Vから 7Vに変動させた。
[0268] 飽和電流値は以下のように算出した。
[0269] [数 1]
B3和 J. i r μ
― ' 'ひ、、: ν \ Υ τ ' つ
j · Ϊ J ― J 广
i . 1! L - 、 t '
ここで、 C = ε · ε /ά= ε Zdであり、 ε は、ゲート絶縁体の比誘電率であり、 ox r 0 r
ε
0は真空中の誘電率であり、 εはゲート絶縁体の誘電率であり、 dはゲート絶縁体 の膜厚である。
[0270] ゲートに使用される絶縁体特性として、高い誘電率をもつことが本明細書において 好ましい。酸ィ匕タンタルの誘電率は約 25であることから、ゲートの絶縁体としてよく用 いられる SiOの誘電率( ε = 3. 9)のおよそ 6倍である。本発明の場合、このように誘
2
電率の高いゲート絶縁体を利用することによって、 DNAの負電荷で効率よく酸ィ匕タ ンタルを誘電させることができ、このとき測定される電流値は上記より SiOの場合に
2 比べて 6倍増加することになる。このように、本発明では、高い誘電率を有する材料で
もバイオセンサを構成することができることを見出したという点で従来にないゲート電 極を提供することになる。
[0271] 酸化タンタルのように誘電率の高!、ゲート絶縁体を用いた ISFETは、従来の SiO
2 などの低い誘電率を利用したゲート絶縁体に比べて、種々な測定において有利であ る。例えば、このような材料では、理想的な ISFET特性を示し (例えば、酸化タンタル )、水溶液中の塩濃度に依存しない安定した動作示し、測定される電流値の経時に よる変化が極めて少な!/、などの効果がある。
[0272] 以下に、本実施例において使用した技術についての参考文献を列挙する。
[0273] (QCM法)
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(結果)
図 5上に、 Id Vg特性評価による伝達特性の結果を示す。図 5下には、これを対数 表示した結果および Id1/2ZA1/2をプロットした結果を示す。ブランクの Id Vg特性評 価による伝達特性の結果を図 6に示す。伝達特性の結果、 Vds=4Vにおいて閾値電 圧力^ 70mV正シフトすることが観察された。
[0274] ハイブリダィゼーシヨン後 95°C、 1時間滅菌水中で解離反応を行い再度伝達特性 評価を行なった結果、解離反応により伝達特性閾値電圧の負シフト (約 60mV)が観 察された(図 8左)。同時に PNA— IS— FETのハイブリダィゼーシヨンブランク実験を行 なったが、 I V特性における界面電位の正シフトは観察されな力 た。
[0275] 上記同条件において再現実験を行なった結果、上記結果と同様の傾向は示される ことが明らかになった。従って、本発明のゲート電極およびそれを使用したシステム は、リサイクルして使用できることが明らかになった。
[0276] PNAは、 2 アミノエチルダリシンを骨格とする無電荷の人工核酸分子で熱安定性 、塩基配列選択性、塩濃度非依存性などにおいて、 DNAよりもハイブリダィゼーショ ン反応に優れ、また IS FETは電極 Z溶液界面の表面ポテンシャルの変化に対しセ ンシティブである為、 PNA、 IS— FET両者を組み合わせたバイオセンサは効率的か つダイレクトにハイブリダィゼーシヨン前後の変化を検出することが期待できる。 IS-F ETゲート面 Ta Oプロトン感受性膜にアミノシラン誘導体を導入後、ダルタルアルデ
2 5
ヒドによる架橋を組み合わせ PNAを固定した。その後相補鎖 DNAとのハイブリダィ ゼーシヨン反応を行い、ノ、イブリ前後の I V特性を測定した。結果ハイブリダィゼーシ
ヨン反応により静特性飽和電流値が 100 A減少、また伝達特性閾値電圧が 170m
V— 200mV正シフトすることが確認され、 PNA— IS— FET型デバイスのバイオセンサ としての可能性を確認することができた。
[0277] (実施例 2:静特性飽和電流値)
次に、実施例 1に記載される実験において、静特性飽和電流値を測定した。その結 果である Id— Vd特性評価による静特性の結果を、図 7に示す。電流値は、 ssPNAお よび dsPNAZDNAの両方の実験結果を示す。
[0278] 静特性の結果、ゲート電圧 Vg = 0— 4V何れの電圧においても DNAのハイブリダィ ゼーシヨンにより飽和電流値が 100 A (Vg = OV)力 200 A (Vg=4V)減少する ことが確認された。
[0279] ハイブリダィゼーシヨン後 95°C、 1時間滅菌水中で解離反応を行い再度静特性を 行なった結果、解離反応により静特性飽和電流値の上昇 (約 70 μ Α)が観察された ( 図 8右)。同時に PN A— IS— FETのハイブリダィゼーシヨンブランク実験を行なったが 、 I V特性における界面電位の正シフトは観察されな力つた。
[0280] 上記同条件において再現実験を行なった結果、上記結果と同様の傾向は示される ことが明らかになった。従って、本発明のゲート電極およびそれを使用したシステム は、リサイクルして使用できることが明らかになった。
[0281] 実施例 1および 2の結果から、静特性において飽和電流値が減少することおよび伝 達特性にぉ 、て界面電位の正シフトが誘起された現象は、ポリア-オン性 DNAのハ イブリダィゼーシヨンにより正のゲート電圧が相殺されたことに起因する現象と考えら れる。従って IS— FETと PNAを組み合わせたセンサーデバイスを作製することにより、 ダイレクトな遺伝子検出ができることが示された。
[0282] (実施例 3: DN Aをプローブとして用いた場合)
次に、 DNAをプローブとして用いた場合の実験を行った。 PNAの代わりに DNAを 用いた以外は実施例 1に記載されるように行った。
[0283] その結果を図 9に示す。図 9左には Id— Vd特性評価による静特性の結果を示し、右 には Id-Vg特性評価による伝達特性の結果を示す。
[0284] 示されるように、ハイブリダィゼーシヨン後、電流値は約 100 A減少し、電圧は、約
30mV正にシフトしていた。従って、 DNAを用いた場合でも、本発明の効果が示され ることが明らかになった。ただし、感度は、 PNAの方が 5倍程度よいことも明らかにな つた o
[0285] (実施例 4 :XPSと IS— FET特性)
上記実施例によって DNAが Ta O上に固定されているかどうかを、 XPSによって
2 5
測定した。シランカップリング剤の導入前後では、 Si のピークに着目すると、導入前
2p
では、 Ta O薄膜基板である Si に起因するピークが見られた。導入後では、さらに
2 5 2p
、 Si のピークが増加することから、 Ta O上にシランカップリングによる Siが結合され
2p 2 5
たことが明らかになった。
[0286] IS— FET素子のアレイ化を行った。同じサイズの素子が 2個 1組になっており、 8サ ィズ全 16素子アレイ化されている。 2個 1組の同じサイズ素子それぞれに、核酸を固 定した素子と固定しないで標準として作動させる素子とを組み合わせ、差動増幅回 路によって測定することで、先に得られた測定における精度の向上を図る。これによ り、さらなる再現性および測定精度の向上を得た。また、異なる配列を持つ 8種類の DNAをそれぞれ固定することで、同時に 8種類の測定または検診をおこなうことがで きる。
[0287] (実施例 5 : DNAチップの作製)
次に、本発明の仕組みを活力して、 DNAをあれ異常に配置して、 IS-FET型 DN Aチップを作製する。その作製例は、図 14に示す。
[0288] これは、以下のように作製する。
[0289] インクジェット装置(例えば、 Canonなど力も入手可能)を利用して、アレイ化された 個々の IS— FET上へ DNAの固定を行う。その方法は、先に述べた後に、シランカツ プリング溶液をインクジェットより個々の IS— FET上に射出し、続いてクロスリンカ一溶 液を射出し、最後に DNAなどの生体溶液を射出することによって作製する。
[0290] 以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきた力 本発 明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求 の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、 本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に
基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引 用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載さ れているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであるこ とが理解される。
産業上の利用可能性
本発明は、生体分子を用いたセンサなどの情報機器に応用可能である。従って、 本発明は、電子情報分野の機器を、生体分子を用いて作製することを可能にする。 さらに、本発明は、生体分子として疾患に関連する分子を用いることによって、診断 デバイスなどに応用することも可能である。