JP4706074B2 - 生体分子固定化用の三脚型機能性界面分子とこれを用いた遺伝子検出デバイス - Google Patents

生体分子固定化用の三脚型機能性界面分子とこれを用いた遺伝子検出デバイス Download PDF

Info

Publication number
JP4706074B2
JP4706074B2 JP2005093399A JP2005093399A JP4706074B2 JP 4706074 B2 JP4706074 B2 JP 4706074B2 JP 2005093399 A JP2005093399 A JP 2005093399A JP 2005093399 A JP2005093399 A JP 2005093399A JP 4706074 B2 JP4706074 B2 JP 4706074B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tripod
nucleic acid
oligonucleotide
immobilized
gene detection
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005093399A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006275670A (ja
Inventor
純夫 丸山
利弥 坂田
英典 大塚
裕二 宮原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute for Materials Science
Original Assignee
National Institute for Materials Science
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute for Materials Science filed Critical National Institute for Materials Science
Priority to JP2005093399A priority Critical patent/JP4706074B2/ja
Priority to PCT/JP2006/305959 priority patent/WO2006104035A1/ja
Publication of JP2006275670A publication Critical patent/JP2006275670A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4706074B2 publication Critical patent/JP4706074B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6813Hybridisation assays
    • C12Q1/6816Hybridisation assays characterised by the detection means
    • C12Q1/6825Nucleic acid detection involving sensors
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09BORGANIC DYES OR CLOSELY-RELATED COMPOUNDS FOR PRODUCING DYES, e.g. PIGMENTS; MORDANTS; LAKES
    • C09B11/00Diaryl- or thriarylmethane dyes
    • C09B11/04Diaryl- or thriarylmethane dyes derived from triarylmethanes, i.e. central C-atom is substituted by amino, cyano, alkyl
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09BORGANIC DYES OR CLOSELY-RELATED COMPOUNDS FOR PRODUCING DYES, e.g. PIGMENTS; MORDANTS; LAKES
    • C09B11/00Diaryl- or thriarylmethane dyes
    • C09B11/04Diaryl- or thriarylmethane dyes derived from triarylmethanes, i.e. central C-atom is substituted by amino, cyano, alkyl
    • C09B11/10Amino derivatives of triarylmethanes
    • C09B11/12Amino derivatives of triarylmethanes without any OH group bound to an aryl nucleus

Description

本発明は、遺伝子診断、遺伝子発現解析、あるいは遺伝子多型解析など、バイオテクノロジーの分野、特に遺伝子検査の分野において有用な、核酸を基板上に配向させて固定化することのできる新しい手段としての分子構成体と、これを用いた、複数の異なる核酸を高精度に並列的に解析することのできる遺伝子検出デバイスに関するものである。
ヒトゲノムの全塩基配列解読が終了し、他の生物のゲノム塩基配列解読が急速に進展する中、膨大な塩基配列情報が蓄積されつつある。これらのゲノム塩基配列情報をもとに、生体中における遺伝子の機能を明らかにすることにより、各種疾病の診断、医薬品の開発、農作物の品種改良など広範囲な分野で遺伝子関連技術の開発が飛躍的に進むものと期待されている。これらの新規な技術分野発展の基礎となるのが、塩基配列の情報に加えて、遺伝子の発現及び機能に関する情報である。このような遺伝子の機能及び発現解析を大規模に行い、遺伝子検査へ発展させる技術として、DNAチップあるいはDNAマイクロアレイ(以下、両者を総称してDNAマイクロアレイという)がAffymetrix社やNanogen社
などで開発されている。
これらのチップやマイクロアレイの技術において、ガラスなどの基板上への核酸の固定化方法には、ポリリジン、アミノシラン、チオールなどを用いる方法が開発されている。ポリリジンは水溶液中で正に帯電するので、ガラス基板にコーティングするとDNAの負電荷と静電的に引き合い、DNAがガラス基板上に固定化される。ただ、DNAは基板に静電的に吸着するので、密度や配向性の制御は困難である。アミノシランを用いる生体分子の固定化方法では、ガラス表面のシラノール基にアミノシラン剤を反応させてアミノ基を導入し、グルタルアルデヒドなどの二官能性試薬を作用させてアルデヒド基に置換し、末端をアミノ基で修飾したオリゴヌクレオチドを反応させて、オリゴヌクレオチドプローブを基板表面に固定化する。この方法では、オリゴヌクレオチドプローブには末端のアミノ基のほかに塩基にアミノ基が存在するため、必ずしも末端のアミノ基とのみアルデヒド基が反応するとは限らず、やはりオリゴヌクレオチドの配向性の制御は困難である。一方、チオールを用いる固定化方法は、チオールと金の親和性を利用する方法である。そのため基板表面に金の薄膜を形成する場合が多い。オリゴヌクレオチドプローブの末端をチオール基で修飾し、金表面に導入するとチオールと金の親和性によりオリゴヌクレオチドが基板表面に固定化される。原理的にこの方法ではオリゴヌクレオチドは金表面と末端のチオール基を介して固定化される。しかし、オリゴヌクレオチドはチオール基の固定化点のまわりに回転することができ、配向性よく固定化することは困難である。チオールの自己組織化により、基板上で密に配列される場合には一定角度の配向性を持って固定化される。しかし、温度やpHに対する安定性が悪く、核酸プローブが金表面から離脱しやすかった。また自己組織化により最密に固定化されるので、隣同士の核酸プローブの立体障害によりハイブリダイゼーション効率が低下する。
このように、金とチオールとの親和性を利用する現状のDNAプローブの固定化方法は密度と配向性の制御が困難であり、再現性の良好な結果を得るためには密度と配向性の制御が可能な固定化方法の開発が望まれている。
また、現在開発されているDNAマイクロアレイは、ハイブリダイゼーションに基づく二本鎖DNAの検出を基本原理としているので、反応の選択性があまり高くなく、精度向上が課題である。特に医療の分野では、テーラーメイド医療の実現には一塩基多型(SN
P)を高精度にかつ簡便に検出する必要がある。したがって簡便性と高精度化の両方を満足させる技術が求められる。これらの問題を解決する方法として、酸化・還元標識と組み合わせた電流検出方式のDNAマイクロアレイがいくつか報告されている。たとえば、分子ワイヤーと称する分子の一端を金属電極上に固定化し、他端に核酸プローブを結合させ、ターゲット遺伝子とのハイブリダイゼーションに基づく酸化・還元標識と金属電極の電子の授受を電流変化として検出し、ターゲット遺伝子を検出する方式が開発されている(非特許文献1)。また、電気化学的活性のある標識剤としてFerrocenylnaphthalene Diimideを用い、金属電極における酸化・還元電流を計測することにより、ハイブリダイゼー
ションを検出する方式も開発されている(非特許文献2)。電流検出方式DNAチップを用いて、C型肝炎の薬効検査を行うシステムも開発されている(非特許文献3)。この方式では高価なレーザや複雑な光学系を必要としないため、簡単で小型のシステムを構築することができる。しかしながら、金属電極上での酸化・還元反応を検出の基本原理としているため、試料中に酸化物質あるいは還元物質(例えばアスコルビン酸)が存在すると、酸化又は還元に基づく電流が流れ、遺伝子検出の妨害となり検出精度が劣化する。また、電流計測に伴い、金属電極上で電極反応が進行する。電極反応は不可逆で非平衡反応であるため電極の腐食、ガスの生成などが生じ、固定化した核酸の剥離や電流測定の安定性が損なわれたりするので、特に繰返し測定する場合に検出精度が劣化する。
さらにまた、電界効果デバイスを用いDNAのハイブリダイゼーションを検出する試みも報告されている(非特許文献4)。これはDNA分子が溶液中で負電荷を有していることを利用し、電界効果を利用してハイブリダイゼーションによる電荷変化を検出するものである。しかしながら、一塩基多型(Single Nucleotide Polymorphism,SNP)のように2つの遺伝子のわずかの違い(一塩基の違い)を検出するには感度、精度(選択性)共に悪く、また高価なデバイスを使い捨てにするため低価格化が課題である。
Nature Biotechnology,vol.16,(1998) p27,p40 Analytical Chemistry,72,(2000)1334 Intervirology,43(2000)124-127 J. Phys. Chem. B 101,(1997)2980-2985
そこで、本発明は、以上のような背景から、従来の核酸の固定化方法、そして従来のDNAチップの問題点を解消し、高感度・高精度に遺伝子測定が可能で、かつ低価格システムを実現することのできる新しい核酸固定化のための技術手段とこれを用いた遺伝子検出デバイスを提供することを課題としている。
高感度・高精度に遺伝子を検出するためには、核酸プローブを基板上に配向させて固定化することが重要である。そこで本発明では、基板と3点で結合する分子を介して核酸を固定化する。すなわち、炭素原子の正四面体構造の4つの頂点のうちの3つにチオール基を結合配置し、他のひとつにオリゴヌクレオチド結合性基を結合配置し、チオール基3点で金基板表面に固定化され、残りのオリゴヌクレオチド結合性基を利用してオリゴヌクレオチドを固定化することを可能としている。炭素原子の正四面体構造の骨格を利用しているため、オリゴヌクレオチドは基板表面に垂直に配向して固定化することができる。また、1個のオリゴヌクレオチドプローブに対してチオール基3点で基板表面に固定化されるので、1点での固定化より基板との結合力が強く、安定性に優れたオリゴヌクレオチドプローブを提供することができる。
このようにチオール基3点で固定化される本発明の三脚型界面分子においては、たとえばガラス基板にアレイ状に形成された金電極の表面にチオール基をもって結合される。そ
して、オリゴヌクレオチド結合性基をもってオリゴヌクレオチドを結合することで複合体を形成することができる。
オリゴヌクレオチド結合性基は、カルボキシル基またはアミノ基とすることができる。これに対応して、オリゴヌクレオチド結合性基がカルボキシル基の場合にはオリゴヌクレオチド末端に修飾されたアミノ基、あるいはアルデヒド基を用いてオリゴヌクレオチドを結合して固定化することができる。このようにして形成されるDNAマイクロアレイは蛍光検出のほか電流検出方式にも使用することができる。さらに電界効果トランジスタのゲート絶縁膜表面に金ゲート電極の形成し、その表面に上記3点固定化三脚型界面分子複合体を形成することにより、遺伝子検出用電界効果トランジスタを製作することもできる。
また、本発明の遺伝子検出デバイスは、絶縁ゲート型電界効果トランジスタのゲート絶縁膜上にチャネル部に沿ってチャネル部を囲うように金属電極を形成し、上記3点で結合する三脚型機能性界面分子を介して核酸を該金属電極表面及び側面に固定化することができる。これによってターゲット遺伝子と金属表面及び側面でハイブリダイゼーションを行わせ、さらに酵素を用いたDNAの伸長反応やインターカレーター分子との反応など分子生物学的反応工程を金属表面及び側面上で行わせる。そしてその際に生ずる表面電荷密度の変化を電界効果トランジスタを利用して電気信号の変化として検出する。表面電荷密度の変化を大きくして高感度測定を実現するために、ターゲットDNA自身が持っている負電荷に加えて、核酸の伸長反応による負電荷の増大とインターカレータとの反応による正電荷の導入などにより、大きな信号/雑音比で遺伝子を検出できることが本発明の大きな特徴である。さらに本発明の遺伝子検出デバイスでは絶縁ゲート型電界効果トランジスタのゲート絶縁膜上にチャネル部に沿ってチャネル部を囲うように金属電極を形成し、3点で結合する三脚型機能性界面分子を介して核酸を該金属電極表面及び側面に配向性をそろえて固定化することができるので、金属電極の側面に固定化された核酸プローブは、伸長反応によりゲート絶縁膜表面に沿って横方向に相補鎖合成が行われる。したがって、横方向伸長反応によりチャネル部の表面近傍の電荷密度を大きく変化させることができ、高感度の測定を行うことができる。
金属電極表面及び側面に固定化する核酸プローブの塩基配列設計に際しては、ミューテーション(変異)の位置をDNAプローブ端に設定し、特定遺伝子のSNPの野生株(normal型)と変異株(Mutant型)に対応する核酸プローブを別々に固定化して、同時にハイブリダイゼーションを行わせ、引き続き伸長反応を行わせることにより、一塩基多型(SNP)を高精度に測定することができる。ハイブリダイゼーション後、タックポリメラーゼ、基質(dATP、dGTP、dCTP、dTTP)をゲート絶縁膜上に導入して伸長反応を行わせることで反応の特異性を高めることができ高精度のSNP解析が可能となる。これはミューテーションの位置が端にあるミスマッチプローブとのハイブリダイゼーションでは塩基同士の親和性が低いため十分に結合せず伸長反応が起こらないためである。一方フルマッチのプローブでは端部の塩基同士は水素結合でしっかり二本鎖を形成するため、伸長反応が起こり負電荷が増大する。これにより静電的相互作用で半導体表面のキャリア密度が変化し、これに伴う電界効果トランジスタの電気的特性の変化を測定することにより高精度にSNPを解析することができる。また、4つの異なる塩基を順次添加し、一塩基伸長反応を行わせて電界効果トランジスタの信号を測定することによりDNAの塩基配列を解析することができる。ゲート絶縁膜表面に沿って横方向に伸長反応を行わせることにより、解析可能な塩基長を長くすることができる。
本発明の遺伝子検出デバイスは、高価なレーザや複雑な光学検出系を必要とせず、また電流検出(アンペロメトリック)方式と異なり、基板の腐食やガスの発生、酸化/還元物質の妨害などによる信号値の不安定性は問題とならず、安定性に優れた高精度の遺伝子検出が可能となる。さらに従来のようにハイブリダイゼーションのみ検出する方式と異なり
、伸長反応やインターカレーターとの反応など分子生物学的反応と組み合わせることにより、反応の選択性を高め一塩基の違いを精度よく測定することができる。さらに、3点固定化の三脚型機能性界面分子によりオリゴヌクレオチドプローブを固定化しているので、固定化強度が高いため繰り返し使用可能であり、低価格の解析が可能となる。
本発明では、3点で結合する三脚型機能性界面分子を介して核酸を基板に固定化するので、基板表面に垂直方向に核酸分子を立てて固定化することができる。このため、ターゲットとなる核酸分子と効率的にハイブリダイゼーションすることができる。また、従来の1点による固定化より固定化強度を向上させることができ、温度、pHなどの変化に対しても核酸プローブを安定に使用することができる。したがって、核酸プローブの繰り返し使用が可能となり、アッセイ当たりのコストを低減し、遺伝子検査を低価格で行うことができる。
電界効果トランジスタのゲート表面において、チャネル近傍に形成された金属電極側面に核酸プローブを配向させて固定化することができるので、ターゲット遺伝子とのハイブリダイゼーション後、酵素と基質を導入することによりゲート表面に沿って横方向に伸長反応を行わせることができるので、表面電荷密度の変化を大きくすることができ、高感度・高精度に遺伝子を検出することができる。本発明の遺伝子検出デバイスは高価なレーザや複雑な光学系を必要とせず、小型でかつ高精度の測定が可能な遺伝子多型検査システムを提供することができる。
本発明をより詳細に説述するために、添付の図面に従ってこれを説明する。以下の図において、同じ機能部分には同じ符号を付けて説明する。
次の一般式は本発明の生体分子固定化用の三脚型機能性界面分子の構造を示したものである。
式中のAは、炭素原子の4個の結合手のうちの3個にチオール基を含む原子団を示し、Bはオリゴヌクレオチド結合性基を含む原子団を示している。原子団Aを構成するX1,X2,X3は、同一または別異の有機基を示し、そして原子団Bを構成するYは有機基を
示し、Zはオリゴヌクレオチオド結合性基を示している。
有機基X1,X2,X3は、基板へのチオール基による結合を安定なものとするためには、一般的には同一のものであることが好ましいが、基板の種類や表面の状態、あるいは配列パターン等によっては、適宜に異なるものとしてもよい。このX1,X2,X3の有機基としては、脂肪族,脂環式,芳香族等の飽和または不飽和の炭化水素基やその許容される置換基を有するものとすることができる。たとえば、−(CH2n−,−(CH2m−シクロヘキシル−(CH2l,−(CH2m−フェニル−(CH2l(ここで、nは12以下、好ましくは3〜8,mおよびlは、各々、0〜8,好ましくはmが1〜5,lが0〜2の整数を示す)で表わされるものが好適なものとして例示される。
また、有機基Yとしては、上記と同様に脂肪族、脂環式、芳香族等の飽和または不飽和の炭化水素基やその許容される置換基を有するものとすることができる。たとえば、
−(CH2P−,
−(CH2K−フェニル−(CH2R−,
−(CH2K−フェニル−(CH2S−フェニル−(CH2R−,
−(CH2K−フェニル−U−フェニル−(CH2R−,
(ここで、Pは12以下、好ましくは3〜8,K,R,Sは、各々、0〜8、Uは、−C=C−または−C≡C−を示す)で表わされるものが好適なものとして例示される。
オリゴヌクレオチオド結合性基:Zは、オリゴヌクレオチオドの末端アミノ基とアミド結合形成可能なカルボキシル基,あるいはオリゴヌクレオチオドの末端カルボキシル基やアルデヒド基と結合可能なアミノ基をその代表的な例として示すことができる。
そして、上記分子のチオール基は金との親和性が高く、金の表面に結合する。炭素原子の各結合手は正四面体構造を構成するので、3個のチオール基を金の平面上に配置すると、オリゴヌクレオチドは平面に垂直方向に配置されて固定化される。したがって、配向性の優れた固定化オリゴヌクレオチドを形成することができる。
なお、本発明の上記のような三脚型機能性界面分子については、非特許文献として、J.
Am. Chem. SOC-,2002,124,532-533を参照することができる。
以上のような生体分子固定化用の三脚型機能性界面分子の具体的な例を次式に示すことができる。
この分子では、炭素原子1にベンゼン環を介してチオール基2を接続している。また、カルボキシル基は2個のベンゼン環を解して結合している。この機能性界面分子の合成スキームは、次の反応式として示すことができる。
この反応式に示したように、たとえば、より具体的には、4,4’−ジメチルベンゾフェノン(4,4’−dimethylbenzophenone)8のテトラヒドロフラン溶液にトーリーマグネシウムブロマイド(p−tolylmagnesium bromide)を添加して反応させ、さらに1N塩酸を加えて加水分解させる。この有機相をクロロフォルムで抽出し、水洗、ろ過した後、再結晶させると化合物9が得られる。この化合物にアセチルクロライド(acetyl chloride
)を添加して反応させ、再結晶化させると化合物10が得られる。該化合物10にアニリン(aniline)を添加し、加熱して反応させ、さらに塩酸を添加すると生成物が得られる
。この生成物を洗浄して再結晶させると、化合物11が得られる。該化合物11に塩酸、テトラヒドロフラン及び水を添加し、氷冷しながら窒化ナトリウム水溶液を添加する。こ
の混合液を炭酸カリウム、ジエチルアミン、テトラヒドロフラン、及び水を含む混合液に移し、氷冷しながら反応させる。この混合溶液の有機相をクロロホルムで抽出し、乾燥、濃縮後、生成すると化合物12が得られる。該化合物12とヨウ素、ヨウ化メチルを混合し、80℃で反応させる。ヨウ化メチルを除去した後、残渣物をクロロホルムで抽出し、有機相をろ過して乾燥させると化合物13が得られる。該化合物13とNBS、及びAI
BNを四塩化炭素中でリフラックスし、クロロホルムでろ過、濃縮する。得られた残渣物とカリウムチオアセテートをテトラヒドロフラン中でリフラックスし、減圧下で濃縮してクロロホルムに溶解する。この溶液を洗浄後、ろ過、濃縮すると化合物14が得られる。一方、4−イオドベンゾネート(4−iodobenzoate)15、Pd(PPh3)2Cl2及びCuIをテトラヒドロフラン及びトリエチルアミン(triethylamine)中で混合させる。この溶液に
トリメチルシリルアセチレン(trimethylsilylacetylene)を添加して反応させる。この
溶液を減圧下で、ろ過、濃縮し、ヘキサンに溶解して不溶化物を除去する。ろ液を濃縮し、精製すると化合物16が得られる。該化合物16とカリウムカーボネート(potassium carbonate)をジクロロメタンとメタノール中で混合し、ろ過、濃縮する。生成物をクロ
ロホルムに溶解してシリカゲル中を通過させると、化合物17が得られる。化合物14、化合物17、Pd(PPh3)2Cl2、及びCuIをテトラヒドロフラン及びトリエチルアミン中で攪拌して混合する。この混合液をろ過して不溶化物を取り除き、濃縮する。得られた残渣物をクロロホルムで抽出し、sodium thiosulfateで飽和させる。有機層を乾燥し、ろ過、濃縮すると化合物18が得られる。この化合物をテトラヒドロフランーエタノール混合液に溶解し、水酸化ナトリウムを添加する。この混合液に水を加え、さらに濃塩酸を加えてpHを1に調節する。得られた沈殿物をろ過して、乾燥すると目的化合物である三脚型機能性界面分子19が得られる。
生成された三脚型機能性界面分子19について、次の表1には、プロントNMRでその構造を確認した。
この三脚型機能性界面分子19の金電極表面への固定化強度を評価した結果を図1に示した。オリゴヌクレオチドの3’末端をアミノ基で修飾し、上記三脚型機能性界面分子19のカルボキシル基と反応させアミド結合によりオリゴヌクレオチドを結合させた。一方上記オリゴヌクレオチドの5’末端には蛍光色素Cy5を修飾し、蛍光検出できるようにした。ガラス基板に金薄膜を蒸着し、その上に上記オリゴヌクレオチドと三脚機能性界面型分子19との複合体を、3個のチオール基を介して固定化した。したがってオリゴヌク
レオチドは金薄膜と3点で結合することになる。一方、参照用の界面機能性化合物として、次式
に示した直線型界面分子を合成した。この直線型界面分子の一端にチオール基を、他端にカルボキシル基を配し、このカルボキシル基とオリゴヌクレオチドの3’末端に修飾したアミノ基とでアミド結合を形成させて、オリゴヌクレオチドと結合させた。また金電極表面とは1個のチオール基を介して結合させた。上記金表面と三脚型分子で3点で結合したオリゴヌクレオチドと直線型分子で1点で結合したオリゴヌクレオチドをpH7.0の緩
衝溶液中に60℃で保存し、蛍光強度の経時変化を調べた結果を図1に示す。直線型分子による1点固定化オリゴヌクレオチドは緩衝溶液に浸漬すると、固定化されたオリゴヌクレオチドの一部が剥離し、蛍光強度が減少する。一方、三脚型分子による3点固定化オリゴヌクレオチドは蛍光強度の減少率が小さく、1点固定化オリゴヌクレオチドより約3倍固定化強度が大きいことがわかる。以上のように本発明三脚型機能性界面分子を用いてオリゴヌクレオチドを固定化することにより、従来の1点で固定化されたオリゴヌクレオチドより強固な固定化強度が得られることがわかる。
図2は、本発明による遺伝子検出デバイスの第一の例を説明する断面模式図である。p型シリコン20の表面近傍にn型領域21,22を設けてそれぞれソース、ドレインとし、電界効果トランジスタを構成した遺伝子検出デバイスである。上記電界効果トランジスタのゲート絶縁膜23の表面において、チャネル部上に金属電極24を設けた構造である。ゲート絶縁膜表面に電解質溶液25を接触させて上記金属電極の表面及び側面に本発明の三脚型機能性界面分子19を介して核酸プローブ26を固定化する。電解質溶液の中には参照電極27が設置されており、シリコンと電気的に接続され、必要に応じて電圧VG
を印加する。核酸プローブはオリゴヌクレオチドまたはcDNAの断片を用い、通常300個以下の塩基から構成されており、オリゴヌクレオチドの場合は80個以下の塩基長の核酸断片であることが望ましい。上記ゲート絶縁膜は二酸化シリコン(SiO2)、窒化
シリコン(SiNまたはSi34)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化タンタル(Ta25)などの材料を単独または組み合わせて用い、通常はシリコン表面の電気的特性を良好に保つため、酸化シリコン(SiO2)の上に窒化シリコン(SiN)、酸化アルミ
ニウム(Al23)、酸化タンタル(Ta25)を積層する二層構造とする。
試料中に測定すべきターゲット遺伝子を含む多数の遺伝子が存在し、上記遺伝子検出デバイスの金属電極にターゲット遺伝子と相補的塩基配列を有する核酸プローブが固定化されていると、適切な反応条件のもとでターゲット遺伝子と核酸プローブがハイブリダイズして、ターゲット遺伝子と核酸プローブが二本鎖を形成する。反応に用いるバッファ溶液のpHの適切な条件下では、核酸は負に帯電している。したがって、ハイブリダイズによる二本鎖形成によりゲート絶縁膜表面の負電荷が増大し、その結果、静電的相互作用によりシリコン表面におけるキャリア密度が変化する。この静電的相互作用によるキャリア密度の変化は電界効果トランジスタのしきい値電圧VTの変化として検出することができる
。さらに、金属電極上でDNAの伸長反応を行わせると、二本鎖の長さが長くなるため表面の負電荷がさらに増大し、しきい値電圧はさらに大きく変化する。したがって、しきい値電圧のシフト量ΔVTはを測定することにより、ゲート表面でのハイブリダイゼーショ
ン及び伸長反応を検出することができる。
SNP解析を行うためには少なくとも2種類の核酸プローブと2つの遺伝子検出デバイスを用い、上記2種類の核酸プローブをそれぞれ別々の遺伝子検出デバイスの金属電極上に形成する。検出対象となる核酸が含まれる試料を上記遺伝子検出デバイスとハイブリダイゼーションを行わせ、引き続き伸長反応を行わせる。その結果、遺伝子検出デバイスの出力を比較することにより検出対象の核酸の遺伝子型(SNP)を解析することができる。
図3は、本発明による遺伝子検出デバイスの第2の例を説明する断面模式図である。第一の例と同様にp型シリコン20、n型のソース、ドレイン領域21,22、及びゲート絶縁膜23からなる電界効果トランジスタにおいて、ゲート絶縁膜23の表面において、チャネル部の境界に沿ってチャネル部の外側に金属電極24を設けた構造である。金属電極材料としては金、白金、銀、塩化銀などを用いることができる。該金属電極表面に本発明の三脚型機能性界面分子19を介してオリゴヌクレオチド26を固定化した構造である。電界効果トランジスタではチャネル部表面近傍で起こる電荷密度変化を高感度に検出する。本構造の遺伝子検出デバイスにおいて、オリゴヌクレオチドは金属のすべての表面に固定化されるが、金属表面に固定化された核酸プローブのうち、金属電極側面に固定化され、チャネル部表面上に配向されて固定化された核酸プローブのみが、ハイブリダイゼーション及び伸長反応により、電界効果トランジスタの出力信号を変化させる。すなわち図3(b)に示したようにゲート絶縁膜表面に平行に横方向に固定化されたオリゴヌクレオチドにより誘起された電荷密度変化が効果的にチャネル部の導電率を変化させ、遺伝子検出デバイスとして大きな信号が得られる。本発明の三脚型機能性界面分子を用いることにより金属電極の側面に垂直に、すなわちゲート絶縁膜表面に平行にオリゴヌクレオチドを配向させて固定化することができる。本発明の遺伝子検出デバイスは、オリゴヌクレオチドにより誘起される電荷を静電的相互作用により検出する。したがって、高感度検出のためにはオリゴヌクレオチドをゲート表面にできるだけ近づけて固定化することが望ましい。電界効果トランジスタを利用する従来のDNA検出方式では、オリゴヌクレオチドをゲート表面に直接に固定化していた。したがって、オリゴヌクレオチドはゲート表面に垂直に固定化されているので、塩基長が長くなるとゲート表面から電荷が遠ざかり、静電的相互作用が弱くなるためDNAの検出ができなくなる。一方、本発明の遺伝子検出デバイスでは、オリゴヌクレオチドを横方向に固定化することにより、長い塩基長のターゲット遺伝子の検出でもゲート表面とターゲット遺伝子を常に一定の距離に維持しておくことができ、したがって遺伝子の電荷とシリコン中の電子との間で常に一定の静電的相互作用が働くので、ハイブリダイゼーション及び伸長反応の信号を高感度に検出することができる。特に従来のようにゲートに垂直にオリゴヌクレオチドを固定化する方式では、伸長反応により合成される塩基の長さが長くなると、検出ができなくなるという問題があった。本発明の遺伝子検出デバイスでは、ゲート表面に平行に伸長反応が進行し、一定の静電的相互
作用が維持されるため、検出可能な塩基長に制限がない。この点が本発明の大きな特長のひとつである。
図4はナノ構造ゲートを有する本発明の遺伝子検出デバイスの第3の例を説明する断面模式図である。電界効果デバイスのゲート絶縁膜表面23に、それぞれ分離した島状の金属電極ドット28を形成した構造である。該金属電極ドットの大きさは直径50nmから1000nm、高さ10nmから100nm程度に制御されることが望ましい。また、断面形状は円形の他、四角形、三角形などでもかまわない。このような金属電極ドットの表面及び側面にオリゴヌクレオチドプローブを三脚型機能性界面分子を用いて固定化する。特に上記金属電極ドット側面に固定化したオリゴヌクレオチドは図3の例よりも高密度に固定化することができるので、ハイブリダイゼーションや伸長反応の大きなシグナルが得られる。本構造においても、ナノ構造電極ドットの側面に固定化したオリゴヌクレオチドプローブでは、ゲート表面に平行に伸長反応が進行し、DNAの電荷とシリコン中のキャリアの電荷との間で常に一定の静電的相互作用が維持されるため、検出可能な塩基長に制限がない。従って、長い塩基長のDNAの配列解析に有効である。さらに本構造では高密度にオリゴヌクレオチドプローブが固定化されるので、高感度測定に適している。
そこで以下に具体例についてさらに説明する。
(第1の実施例)
血液凝固遺伝子の一つであるFactor VII遺伝子には複数の一塩基多型が存在することが知られている。そのうちの一つである−122部位のSNPは野生株(正常)がチミンT
、変異株がシトシンCであることが知られている。このFactor VII遺伝子−122部位のSNPを検出するために、野生株及び変異株それぞれに対応する11塩基からなる2種類の核酸プローブを合成した。それらの塩基配列を下記に示す。
野生株核酸プローブ:5’−CGTCCTCTGAA−3’
変異株核酸プローブ:5’−CGTCCTCTGAG−3’
上記核酸プローブの3’末端側にちょうどSNP部位の塩基がくるように合成する。すなわち、野生株核酸プローブでは3’末端の塩基がアデニンAであり、変異株核酸プローブではグアニンGとなっている。その他の塩基配列は野生株、変異株ともすべて同じであり、検出対象のFactor VII遺伝子にハイブリダイゼーションすることができる。一方、上記核酸プローブの5’末端側には前記具体例〔化2〕としての図2に示した三脚型機能性界面分子を結合して、金属電極表面に固定化する。本実施例の電界効果トランジスタのゲート絶縁膜には窒化シリコンが用いられており、金属電極材料として金を用いた。三脚型機能性界面分子は金電極の表面及び側面に配向して固定化される。
野生株核酸プローブを図3に示した第二の例の一つの電界効果トランジスタの金電極表面に固定化し、変異株核酸プローブを他の電界効果トランジスタの金電極表面に固定化して、あらかじめPCRで増幅した試料を反応させた。試料は、血液中の白血球からヒトゲノムを抽出し、上記SNP部位を含む20塩基長の領域を増幅した後、野生株核酸プローブ、変異株核酸プローブが固定化された遺伝子検出デバイスに導入して、45℃で8時間、ハイブリダイゼーションを行わせた。ハイブリダイゼーション後、緩衝液により洗浄して未反応の試料を除去した。野生株核酸プローブの塩基配列は野生株試料の塩基配列に完全に相補的であるので、SNP部位も含めて完全に相補鎖結合して二本鎖DNAを形成する。一方、変異株核酸プローブの場合、3’末端の塩基がグアニンGであるため、野生株試料核酸上の塩基チミンTとは相補鎖結合せず、3’末端が開いた形で二本鎖DNAを形
成する。野生株核酸プローブと変異株核酸プローブとで塩基配列が異なっているので、両者の解離温度Tmが異なり、ハイブリダイゼーション温度を制御することにより、二本鎖形成の選択性を高めることができる。
次に酵素タックポリメラーゼ(Taq polymerase)、及び基質となるdATP、dGTP、dCTP、dTTPの混合液を試料中に導入し、温度を62℃に設定してゲート絶縁薄膜上で伸長反応を行わせた。野生株核酸プローブを固定化した電界効果トランジスタでは、野生株試料の導入により末端を含めて完全相補鎖の二本鎖を形成するので、伸長反応により二本鎖が合成される。この伸長反応により野生株を固定化した電界効果トランジスタの出力が15mV変化した。一方、変異株核酸プローブを固定化した電界効果トランジスタでは、3’末端の塩基が結合せず開いた形のため、伸長反応が起こらない。したがって変異株を固定化した電界効果トランジスタの出力はほとんど変化せず1mVの変化であった。逆に、変異株のみを含む試料を導入すると変異株核酸プローブを固定化した電界効果トランジスタのみで伸長反応がおき、その出力が12mV変化した。この場合は、野生株を固定化した電界効果トランジスタの出力はほとんど変化せず0.5mVの変化であった。野生株、変異株の両方を含む試料を導入した場合、両方の電界効果トランジスタの出力が変化し、野生株核酸プローブを固定化した電界効果トランジスタの出力は11mV、変異株核酸プローブを固定化した電界効果トランジスタの出力は10mV変化した。以上のように、3’末端の塩基がSNP部位となるように核酸プローブを設計し、野生株と変異株の核酸プローブをそれぞれ電界効果トランジスタのゲート絶縁薄膜上に固定化し、試料とハイブリダイゼーションを行わせ、引き続き伸長反応を行わせることにより、試料中の核酸のSNPを検出することができる。さらに野生株と変異株の核酸プローブを固定化した電界効果トランジスタの出力の大きさを比較することにより、野生株のホモザイゴート(homozygote),野生株と変異株のヘテロザイゴート(heterozygote)、変異株のホモザイゴートを識別することができ、遺伝子型(genotype)を検出することができる。
本実施例のように電界効果トランジスタと伸長反応を利用するSNP検出及びジェノタイピング(genotyping)では、金電極上への試料導入、ハイブリダイゼーション、伸長反応の各プロセスの進行中、常時電位計測を行い反応の進行をモニタリングすることができる。したがって反応の完了を電位変化から検出することができ、効率的にSNP検出及びジェノタイピングを行うことができる。野生株を含む試料を野生株を固定化した電界効果トランジスタのゲート表面でハイブリダイゼーション反応させ、DNAポリメラーゼを導入して伸長反応を行わせた時の電界効果トランジスタの信号の時間変化を図4に示した。DNAポリメラーゼを導入後、電界効果トランジスタの信号が約10mV変化しており、約30秒で一定値になっている。これより、本発明の遺伝子検出デバイスを用いることにより迅速にジェノタイピング測定を行うことができることがわかる。また、本実施例では横方向伸長反応に伴う塩基の合成を電荷の増加量として検出するため、核酸プローブと試料核酸の塩基長および伸長合成される塩基長を最適化することにより高感度に核酸を検出することができる。
(第2の実施例)
本発明の遺伝子検出デバイスと一塩基伸長反応を組み合わせ、DNAポリメラーゼ及びアデニン、グアニン、シトシン、チミンの4種類の基質を順次添加し、電界効果トランジスタのしきい値電圧を順次測定することによりDNA塩基配列解析を行うことができる。遺伝性ヘモクロマトーシス遺伝子H63Dを用いて塩基配列解析を行った結果を図5に示した。図3に示した第二の例の電界効果トランジスタのゲート絶縁膜表面に下記の塩基配列を有する核酸プローブを三脚型機能性界面分子を介して固定化した。
核酸プローブ:5’−GTTCTATGATC−3’
上記電界効果トランジスタ上に固定化された上記核酸プローブと21塩基のターゲット遺伝子をハイブリダイズさせ、その後さらにDNAポリメラーゼとdCTP,dATP,dGTP,dTTPを順次添加して一塩基伸長反応を行わせ、トランジスタのしきい値電圧を測定した。DNAポリメラーゼとdCTP,dATP,dGTP,dTTPの添加を繰り返しながらしきい値電圧を測定した結果を図5に示した。まずDNAポリメラーゼとdCTPを添加すると、対応するターゲット遺伝子の塩基がチミン(T)であり相補的ではないため伸長反応は起こらない。した
がって、洗浄後、pH6.86の緩衝溶液中で電界効果トランジスタのしきい値電圧を測
定しても変化しない。次にDNAポリメラーゼとdATPを添加すると、この場合はアデニンとチミンが相補的であるため伸長反応が起こり、アデニンが二本鎖DNAに組み込まれる。したがって、一塩基合成された分電荷が増加する。その結果、洗浄後しきい値電圧を測定すると図5に示すように約4mVのしきい値電圧変化が得られる。次にDNAポリメラーゼとdGTPを添加してしきい値電圧を測定するとほとんど変化しないため、ターゲット遺伝子の次の塩基はシトシンではないことがわかる。次に、DNAポリメラーゼとdTTPを添加してしきい値電圧を測定すると約3mVのしきい値電圧変化が得られる。したがって、ターゲット遺伝子の次の塩基はアデニン(A)であることがわかる。さらに最初に戻りD
NAポリメラーゼとdCTPを添加して、しきい値電圧を測定する。このように、DNAポリメラーゼとdCTP,dATP,dGTP,dTTPの添加を繰り返しながらしきい値電圧を測定し、しきい値電圧の変化と添加した塩基とからターゲット遺伝子の塩基配列を解析することができる。本発明の遺伝子解析デバイスでは三脚型機能性界面分子を用いてゲート絶縁膜に平行な横方向に一塩基伸長反応を繰り返しているので、伸長合成された塩基の電荷とシリコン表面の電子との静電的相互作用は塩基長に依存せず、常に一定である。そのため、塩基配列を読み取れる塩基の長さに制限がなく、長い塩基長の遺伝子の塩基配列を解析することができる。
本発明の三脚型機能性界面分子の金属電極表面への固定化強度の経時変化を示した図である。 本発明の遺伝子検出用電界効果デバイスタの一例を説明する断面模式図である。 (a)(b)は本発明の横方向伸長反応を利用する遺伝子検出用デバイスの一例を説明する断面模式図である。 (a)(b)は本発明のナノ構造ゲート遺伝子検出用デバイスの一例を説明する断面模式図である。 本発明の遺伝子検出デバイスを用いた伸長反応のモニタリングを示した図である。 本発明の遺伝子検出デバイスを用いたDNAシーケンシングの一例を説明する図である。
符号の説明
1 炭素原子
2 チオール基
3 チオール基を含む原子団
4 カルボキシル基
8 4,4’-ジメチルベンゾフェノン
9 中間化合物
10 中間化合物
11 中間化合物
12 中間化合物
13 中間化合物
14 中間化合物
15 中間化合物
16 中間化合物
17 中間化合物
18 中間化合物
19 三脚型機能性界面分子
20 シリコン基板
21 ソース
22 ドレイン
23 ゲート絶縁膜
24 金属電極
25 電解質溶液
26 オリゴヌクレオチド
27 参照電極
28 金属電極ドット

Claims (7)

  1. 以下の構造式で表される三脚型機能性界面分子。
  2. 請求項1に記載の三脚型機能性界面分子と、
    末端のアミノ基で前記三脚型機能性界面分子のカルボキシル基と結合しているオリゴヌクレオチドと、
    を設けた三脚型機能性界面分子複合体。
  3. 請求項2に記載の三脚型機能性界面分子複合体と
    金属電極を有する基板と、
    を設けた遺伝子検出デバイス。
  4. 前記基板は電界効果トランジスタが設けられたシリコン基板である、請求項3に記載の遺伝子検出デバイス。
  5. 前記電界効果トランジスタのゲート絶縁膜表面上の、チャネル部の外側であって前記チャネル部に沿った位置に前記金属電極を設け、
    3つのチオール基が前記金属電極の表面に結合配置された前記三脚型機能性界面分子複合体を設け、
    前記チャネル部上で前記オリゴヌクレオチドを試料中の核酸と結合させる、
    請求項4に記載の遺伝子検出デバイス。
  6. 前記金属電極は前記電界効果トランジスタのゲート絶縁膜表面に島状に分離した複数の金属電極であり、
    3つのチオール基が前記金属電極の表面及び側面に結合配置された前記三脚型機能性界面分子複合体を設け、
    前記チャネル部上で前記オリゴヌクレオチドを試料中の核酸と結合させる、
    請求項4に記載の遺伝子検出デバイス。
  7. 前記金属電極は金、白金、銀、イリジウムなどの貴金属、またはこれらを組み合わせたものである、請求項3から6の何れかに記載の遺伝子検出デバイス。
JP2005093399A 2005-03-29 2005-03-29 生体分子固定化用の三脚型機能性界面分子とこれを用いた遺伝子検出デバイス Expired - Fee Related JP4706074B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005093399A JP4706074B2 (ja) 2005-03-29 2005-03-29 生体分子固定化用の三脚型機能性界面分子とこれを用いた遺伝子検出デバイス
PCT/JP2006/305959 WO2006104035A1 (ja) 2005-03-29 2006-03-24 生体分子固定化用の三脚型機能性界面分子とこれを用いた遺伝子検出デバイス

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005093399A JP4706074B2 (ja) 2005-03-29 2005-03-29 生体分子固定化用の三脚型機能性界面分子とこれを用いた遺伝子検出デバイス

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006275670A JP2006275670A (ja) 2006-10-12
JP4706074B2 true JP4706074B2 (ja) 2011-06-22

Family

ID=37053292

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005093399A Expired - Fee Related JP4706074B2 (ja) 2005-03-29 2005-03-29 生体分子固定化用の三脚型機能性界面分子とこれを用いた遺伝子検出デバイス

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP4706074B2 (ja)
WO (1) WO2006104035A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4921213B2 (ja) * 2007-03-19 2012-04-25 キヤノン株式会社 検出素子、検出素子装置及び検出方法
JP5300205B2 (ja) * 2007-03-22 2013-09-25 キヤノン株式会社 標的物質検出素子、標的物質検出方法、標的物質検出素子の製造方法
JP5093661B2 (ja) * 2007-12-06 2012-12-12 独立行政法人産業技術総合研究所 生体関連物質センシングのための基板及びこれを用いたタンパク、金属イオン等の回収方法もしくは検出方法
KR20200123465A (ko) * 2018-02-20 2020-10-29 프로미넌트 메디칼 인코포레이션 산화 알루미늄 표면 및 계면 분자

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0493642A1 (en) * 1991-01-02 1992-07-08 Takeo Dr. Takayanagi Novel sulfonyl derivatives
JP2001520383A (ja) * 1997-10-09 2001-10-30 コールター インターナショナル コーポレイション タンパク質コロイド金属アミノデキストラン被覆粒子および製造方法および使用
WO2003052097A1 (en) * 2001-12-19 2003-06-26 Hitachi High-Technologies Corporation Potentiometric dna microarray, process for producing the same and method of analyzing nucleic acid
JP2004508349A (ja) * 2000-09-05 2004-03-18 ポハン アイアン アンド スチール カンパニー リミテッド 調節されたアミン基密度と空間を提供する分子層を表面に含む基質及びその製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0493642A1 (en) * 1991-01-02 1992-07-08 Takeo Dr. Takayanagi Novel sulfonyl derivatives
JP2001520383A (ja) * 1997-10-09 2001-10-30 コールター インターナショナル コーポレイション タンパク質コロイド金属アミノデキストラン被覆粒子および製造方法および使用
JP2004508349A (ja) * 2000-09-05 2004-03-18 ポハン アイアン アンド スチール カンパニー リミテッド 調節されたアミン基密度と空間を提供する分子層を表面に含む基質及びその製造方法
WO2003052097A1 (en) * 2001-12-19 2003-06-26 Hitachi High-Technologies Corporation Potentiometric dna microarray, process for producing the same and method of analyzing nucleic acid

Also Published As

Publication number Publication date
WO2006104035A1 (ja) 2006-10-05
WO2006104035A8 (ja) 2009-08-27
WO2006104035A9 (ja) 2009-01-08
JP2006275670A (ja) 2006-10-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3903183B2 (ja) 遺伝子検出電界効果デバイスおよびこれを用いた遺伝子多型解析方法
JP4608697B2 (ja) 電界効果デバイスを用いたdna塩基配列解析方法及び塩基配列解析装置
Yu et al. Electronic detection of single-base mismatches in DNA with ferrocene-modified probes
US8283936B2 (en) Nano-scale biosensors
Paleček et al. Electrochemistry of nucleic acids and development of DNA sensors
Xiao et al. An electrochemical sensor for single nucleotide polymorphism detection in serum based on a triple-stem DNA probe
Lucarelli et al. Coupling of an indicator-free electrochemical DNA biosensor with polymerase chain reaction for the detection of DNA sequences related to the apolipoprotein E
Khoshfetrat et al. Wireless electrochemiluminescence bipolar electrode array for visualized genotyping of single nucleotide polymorphism
EP2145023A2 (en) Colorimetric method and kit for the detection of specific nucleic acid sequences using metal nanoparticles functionalized with modified oligonucleotides
JP2002195997A (ja) 核酸検出用センサ
JP4706074B2 (ja) 生体分子固定化用の三脚型機能性界面分子とこれを用いた遺伝子検出デバイス
JP2003090815A (ja) 遺伝子の電気化学的検出方法と核酸チップ
JP2006170615A (ja) 遺伝子の検出方法、検出装置、並びに検出用チップ
US20100035248A1 (en) Surface-based nucleic acid assays employing morpholinos
KR100482718B1 (ko) 핵산 프로브 고정화 기체 및 그것을 이용한 표적 핵산의존재를 검출하는 방법
Choi et al. Hybridization by an electrical force and electrochemical genome detection using an indicator-free DNA on a microelectrode-array DNA chip
JP4516032B2 (ja) ハイブリダイゼーションによる核酸の検出方法およびアッセイキット
US7321831B2 (en) Nucleic acid fragment-fixed electrode and its use
US20020182606A1 (en) Detection of single nucleotide polymorphisms
US7132266B2 (en) Method and kit for analyzing target nucleic acid fragment
JP5676846B2 (ja) ヘリコバクター属の微生物由来の核酸を特異的に増幅するためのプライマーセット、前記微生物を検知および/または分類するための方法
JP3917640B2 (ja) 核酸プローブ固定化基体を用いた標的核酸の存在を検出する方法
Miyahara et al. Microbial genetic analysis based on field effect transistors
KR20070031957A (ko) 나노크기 전자 검출 시스템 및 그의 제조 방법
JP3790194B2 (ja) 核酸プローブ固定化基体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080327

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101124

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110121

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110222

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110224

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140325

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees