JP4731311B2 - カム構造及び該カム構造を使用するコネクタ - Google Patents

カム構造及び該カム構造を使用するコネクタ Download PDF

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Description

本発明は、電気又は電子機器に使用されるカム構造に関するもので、特にカムの形状を変化させることで相手物に与える力や作用を変化させるカム構造に関するものである。
機械構造分野においては、機構カムとして、カム形状を変えることで、タイミングを変える方法がよく取られている。しかし、電気又は電子機器の分野においては、該機器が小型化する一方で、カム形状を変えて、タイミングを変えるようなことは行なわれていなかった。
例えば、 携帯電話やCCDカメラ等に使用されるコネクタは、狭ピッチで極薄(所謂軽薄短小)であり、主にハウジングとコンタクトと回動部材とを備え、ハウジングにFPCを挿入し、前記回動部材を嵌合側もしくはその反対側で回転させることで、前記コンタクトの接触部を前記FPCに接触させる構造のものがある。
ハウジングには、コンタクトが挿入される所要数の挿入孔が設けられるとともにFPCが挿入される嵌合口が設けられている。
コンタクトは主にFPCと接触する接触部と基板等に接続する接続部とハウジングに固定される固定部とを備えている。このコンタクトは、圧入等によってハウジングに固定されている。
下記にZIFタイプの所謂バックロックタイプとしての特許文献1(特開2003−297489)と特許文献2(特開平11−307198号)と本出願人が既に提案した特許文献3(特開2004−71160)を例示する。また、FFCをロックする構造として、特許文献4(実開平6−82783号)及び本出願人が既に提案した特許文献5(特願2003−422258)、特許文献6(特願2004−307793)、特許文献7(特願2005−178666)を例示する。
特開2003−297489の要約によると、アクチュエータを小さい操作力で操作でき、また、アクチュエータによるコンタクトの移動量を大きくして接続を確実に行うことができ、更に、低背のコネクタを提供することを目的とし、アクチュエータは、カム部と操作部を有し、前記両部の間に各コンタクトのばね部の先端付近が挿入脱出可能な逃げ溝を形成され、アクチュエータを支点を中心として90°右回転すると、カム部は各コンタクトのばね部と連結ばね部を弾性変形させ、すると、接触部の突起と接触部の突起との間で、FPCは挟圧され、したがって、FPCのパターンは、各コンタクトの端子部を介してプリント基板に接続され、インシュレータの天井部は、各コンタクトの接触部を被覆し、天井部の前面側の下部には、FPCをコネクタに挿入するためのガイド部が形成された構造のコネクタが開示されている。 特開平11−307198号の要約によると、複数の端子を接続し、FPC等を保持するプリント配線板用コネクターの操作性、保持性能を向上することを目的とし、ハウジングに、FPC等が差し込まれる挿入溝を設け、複数のコンタクトを、接触部を挿入溝に対して突出後退自在に、並列して設け、操作部材を、接続位置と解除位置とに回動自在に設け、操作部材に、複数のカムを設け、操作部材が接続位置のとき、コンタクトが、カムに被操作部を押圧されて接触部を挿入溝に突出させ、FPC等の端子に圧接して、端子を接続すると共にFPC等を保持し、操作部材が解除位置のとき、一部のコンタクトが、カムに被操作部を押圧されて接触部を挿入溝に対して僅かに突出させ、FPC等に当接して、FPC等を仮保持し、残りのコンタクトは、接触部を挿入溝に対して後退させる構造のプリント配線板用コネクターが開示されている。 特開2004−71160の要約によると、各部位の強度や仕様等を損なうことなく、スライダーでFPC又はFFCを確実にコンタクトの接触部に押圧することができ、作業性がよく、ピッチの狭小化や低背位化が可能なコネクタを提供することを目的とし、コンタクトの接触部と接続部との間に弾性部と支点部とを設けるとともに接触部と弾性部と支点部と接続部とを略クランク形状に配置し、かつ、接続部と対向する位置に弾性部から延設された押受部を設け、スライダーに長手方向に連設した押圧部を設け、押圧部がコンタクトの接続部と押受部との間で回動自在にスライダーをハウジングに装着する構造のコネクタが開示されている。 実開平6−82783号の要約によると、フレキシブルケーブルの裏面にリジットな補強板が取り付けられているフラットケーブルでも容易にスライダーの爪に係止させられることを目的とし、コンタクトピンを内装し、フラットケーブルを差し込む嵌合空間を形成したハウジングの嵌合空間内に、スライダーを挿抜自在に且つ抜き出し時に外側に回動可能に取り付け、前記嵌合空間にフラットケーブルを差し込んでからスライダーを嵌合空間に押し込むと、フラットケーブルがコンタクトピンに電気的に接続されるにおいて、前記スライダーのフラットケーブル当接面に、フレキシブルケーブルの裏面に補強板があてがわれたフラットケーブルのフレキシブルケーブル及び補強板に形成された係止部に挿入係止される係止突子を突設した構造のものが開示されている。 FPCをロックする構造として、本出願人が提案した特願2003−422258に、少芯数のコネクタでも、要求されたFPCの保持力を確保することができ、接続不良にも繋がらないコネクタを提供することを目的に、FPCと着脱自在に嵌合するコネクタであって、FPCと接触する接触部を有する所要数のコンタクトと、このコンタクトが保持・固定されるとともにFPCが挿入される嵌合口を有するハウジングとを備えるコネクタにおいて、FPCに係止部を設け、係止部と係合する係合部を有するロック部材をハウジングに装着し、ロック部材の係合部をFPCの係止部に係合させることによりFPCがハウジングから抜けないようにすることにより達成でき、更に前記係合部に対応した位置に溝部を設けることでより確実なロックができる構造のコネクタが開示されている。 防塵性を高めるために、本出願人が提案した特願2004−307793の要約には、FPCの挿入力が掛からないで、防塵性を高めるコネクタを提供することを目的とし、所要数のコンタクトとハウジングと回動部材とを備えるコネクタにおいて、コンタクトは少なくと接触部と接続部と支点部と連結部と押受部とを備え、略倒H形状に配置し、接続部と押受部との間で回動部材の押圧部を回動させると接触部が接続対象物に接続するような構造にし、ハウジングにはコンタクトの接触部を被覆する天井部と押受部を覆う上壁部とを備え、回動部材には操作部と押圧部と押受部と係止孔とカバー部とを備え、回動部材が回動した後、回動部材のカバー部でコンタクトテール側を覆うようにする構造のものが開示されている。 防塵性を高めるために、本出願人が提案した特願2005−178666の要約には、FPCの挿入力が掛からないで、防塵性を高めるコネクタを提供することを目的とし、所要数のコンタクトとハウジングと回動部材とを備えるコネクタにおいて、コンタクトは少なくと接触部と接続部と支点部と連結部と押受部とを備え、略倒H形状に配置し、接続部と押受部との間で回動部材の押圧部を回動させると接触部が接続対象物に接続するような構造にし、ハウジングにはコンタクトの接触部を被覆する天井部と押受部を覆う上壁部とを備え、回動部材には操作部と押圧部と押受部と係止孔とカバー部とを備え、回動部材が回動した後、上壁部の先端と操作部との間及び上壁部と回動部材の操作部と反対側の先端との間を、回動時に回動部材がハウジングの上壁部に触れない範囲で狭くする構造のものが開示されている。
コネクタ分野においても、上記特許文献1から7のように、カム構造を利用してフレキシブルプリント基板(以下「FPC」という)等の接続対象物にコンタクトを接触させるものが多く見られるようになってきている。上記特許文献1から7のコネクタの芯数も、多いものでは80芯を越えるようなものがある。80芯を越えるコンタクトを一度にカムを回転することによって、コンタクトをFPC等の接続対象物に接触させるためには約90N以上のかなり大きな力が必要になってしまい、コネクタが小型化する一方ではカムを回転させるために操作する部分も小さくなり、手ではカムを回転することが出来なくなってしまう。
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、カムを回転させる際に大きな力が掛かることがなく、かつ、仕様に併せて接触タイミングをズラすことができるカム構造を提供せんとするものである。
上記目的は、電子部品内で回動することで他の部品に作用を及ぼすカム構造において、カムの形状をカムの長手方向で、作用する他の部品に対し、接するカムの角度を5度ずつ段階的に変化させることで、回動時に他の部品に及ぼす作用のタイミングズラすことにより達成できる。
コネクタ10内で回動することで、コネクタ10内に挿入される接続対象物とコンタクト14、16とを接触させるカム構造においては、カムの形状をカムの長手ピッチ方向で、作用する前記コンタクトに対し、接するカムの角度を5度ずつ段階的に変化させることで、回動時に前記コンタクトに及ぼす作用のタイミングをズラす
また、請求項3記載のコネクタ10は、接続対象物と着脱自在に嵌合するコネクタ10であって、該接続対象物と接触する接触部26を有する所要数のコンタクト14、16と、このコンタクト14、16が保持・固定されるとともに前記接続対象物が挿入される嵌合口20を有するハウジング12と、前記コンタクト14、16を押圧するカム部54を有する回動部材18とを備えるコネクタ10においては、前記コンタクト14、16は一端側に前記接続対象物と接触する接触部26と他端側に前記回動部材18のカム部54により押圧される押受部32とを有し、前記回動部材18が前記コンタクト14、16の押受部32を押圧するように前記ハウジング12に回動できるように装着されるとともに前記カム部54の形状をコネクタの長手ピッチ方向で、作用する前記コンタクト14、16の押受部32に対し、接するカム部54の角度を10〜20芯の間で、10度から始め5度ずつ段階的に変化させることで、回動時に前記コンタクト14、16に及ぼす作用のタイミングをズラす
請求項4記載のコネクタ10は、前記コンタクト14、16は一端側に前記接続対象物と接触する接触部26と他端側に前記回動部材18のカム部54により押圧される押受部32とを有する第一片22と、一端側にもう一つの接触部26若しくは固定部38を有する延設部36と他方側に基板と接続する接続部40とを有する第二片24と、前記第一片22と前記第二片24とを連結する連結部支点部30とを備え、前記ハウジング12は前記コンタクト14、16の接触部26を被覆する天井部50を有し、前記回動部材18は回動させるための操作部56と長手方向に連設したカム部54と前記押受部32が挿入できる別個独立の係止孔58とを備え、前記カム部54が前記コンタクト14、16の接続部40と押受部32との間で回動するように前記ハウジング12に装着させる。
また、請求項5記載のコネクタ10は、前記コンタク14、16は一端側に前記接続対象物と接触する接触部26と他端側に前記回動部材18のカム部54により押圧される押受部32とを有する第一片22と、一端側に基板に接続する接続部40と他方側に延設部36とを有する第二片24と、前記第一片22と前記第二片24とを連結する連結支点部30とを備え、前記ハウジング12は前記コンタクト14、16の接触部26を被覆する天井部50を有し、前記回動部材18は回動させるための操作部56と長手方向に連設したカム部54と前記押受部32が挿入できる別個独立の係止孔58とを備え、前記カム部54が前記コンタクト14、16の接続部40と押受部32との間で回動するように前記ハウジング12に装着させる。
請求項6記載のコネクタ10は、前記接続部40と連結支点部30との中間にもう一つの接触部26を設ける。
以上の説明から明らかなように、本発明のカム構造と該カム構造を使用するコネクタ10によると、次のような優れた顕著な効果が得られる。
(1)電子部品内で回動することで他の部品に作用を及ぼすカム構造において、カムの形状を部分的に変化させることで、回動時に他の部品に及ぼす作用を変化させているので、容易に接触するタイミングをズラすことが可能になる。
(2)コネクタ10内で回動することで、コネクタ10内に挿入される接続対象物とコンタクト14、16とを接触させるカム構造においては、カムの形状を部分的に変化させることで、前記コンタクト14、16の接触圧を制御しているので、容易にコンタクト毎の接触タイミングをズラすことが可能になる。
(3)請求項3記載のコネクタは、接続対象物と着脱自在に嵌合するコネクタ10であって、該接続対象物と接触する接触部26を有する所要数のコンタクト14、16と、このコンタクト14、16が保持・固定されるとともに前記接続対象物が挿入される嵌合口20を有するハウジング12と、前記コンタクト14、16を押圧するカム部54を有する回動部材18とを備えるコネクタ10においては、前記コンタクト14、16は一端側に前記接続対象物と接触する接触部26と他端側に前記回動部材18のカム部54により押圧される押受部32とを有し、前記回動部材18が前記コンタクト14、16の押受部32を押圧するように前記ハウジング12に回動できるように装着されるとともに前記カム部54の形状を部分的に変化させることで、前記接続対象物への前記コンタクト14、16の接触圧を制御しているので、容易にコンタクト毎の接触タイミングをズラすことが可能になり、カムを回転する力も容易に変更することが可能になる。
(4)請求項4記載のコネクタは、前記コンタクト14、16は一端側に前記接続対象物と接触する接触部26と他端側に前記回動部材18のカム部54により押圧される押受部32とを有する第一片22と、一端側にもう一つの接触部26若しくは固定部38を有する延設部36と他方側に基板と接続する接続部40とを有する第二片24と、前記第一片22と前記第二片24とを連結する連結部支点部30とを備え、前記ハウジング12は前記コンタクト14、16の接触部26を被覆する天井部50を有し、前記回動部材18は回動させるための操作部56と長手方向に連設したカム部54と前記押受部32が挿入できる別個独立の係止孔58とを備え、前記カム部54が前記コンタクト14、16の接続部40と押受部32との間で回動するように前記ハウジング12に装着させているので、容易にコンタクト毎の接触タイミングをズラすことが可能になり、カムを回転する力も容易に変更することが可能になり、コネクタの低背や小型化もできる。
(5)請求項5記載のコネクタは、前記コンタク14、16は一端側に前記接続対象物と接触する接触部26と他端側に前記回動部材18のカム部54により押圧される押受部32とを有する第一片22と、一端側に基板に接続する接続部40と他方側に延設部36とを有する第二片24と、前記第一片22と前記第二片24とを連結する連結支点部30とを備え、前記ハウジング12は前記コンタクト14、16の接触部26を被覆する天井部50を有し、前記回動部材18は回動させるための操作部56と長手方向に連設したカム部54と前記押受部32が挿入できる別個独立の係止孔58とを備え、前記カム部54が前記コンタクト14、16の接続部40と押受部32との間で回動するように前記ハウジング12に装着させているので、容易にコンタクト毎の接触タイミングをズラすことが可能になり、カムを回転する力も容易に変更することが可能になり、コネクタの低背や小型化もできる。
(6)請求項6記載のコネクタは、前記接続部40と連結支点部30との中間にもう一つの接触部26を設けているので、容易にコンタクト毎の接触タイミングをズラすことが可能になり、カムを回転する力も容易に変更することが可能になり、コネクタの低背や小型化もできる。
(7)請求項7記載のコネクタ10は、前記カム部54の角度を10〜20芯の間で、10度から始め5度間隔で変えているので、カムを回転する力が分散しているため容易にカムを回転(回動)することができ、安定した接続を得ることができる。ここの数値は、下述するように解析によって得られたもので、単なる設計的事項ではない。
図1から図8に基づいて、本発明のカム構造を使用するコネクタの一実施例について説明する。
図1(A)は回転力を緩和するカム形状を示す斜視図であり、(B)は回転力を緩和するカム形状を示す側面図である。図2(A)はFPC挿入側よりみた回動部材が開いた状態のコネクタの斜視図であり、(B)は回動部材が閉じた状態のコネクタの斜視図である。図3は回動部材の斜視図であり、図4はハウジングの斜視図である。図5(A)は一方のコンタクトの斜視図であり、(B)はもう一方のコンタクトの斜視図である。図6(A)は回動部材が開いた状態の一方のコンタクト部分の断面図であり、(B)は回動部材が閉じた状態の一方のコンタクト部分の断面図である。図7(A)は回動部材が閉じた状態のもう一方のコンタクト部分の断面図であり、(B)は回動部材が閉じた状態のもう一方のコンタクト部分の断面図である。図8(A)は挿入される前のFPCとコネクタの斜視図であり、(B)はFPCが挿入された状態のコネクタの斜視図である。
一実施例の本発明のコネクタは、主にハウジング12と回動部材18とコンタクト14、16とを備えている。該コネクタ10は、2種類のコンタクト14、16をハウジング12への挿入方向を変えて千鳥に配列しており、挿入方向を変えて千鳥に配列することによってピッチの狭小化と低背位化に対応させたものである。
まず、図1に基づいて、本発明のポイントであるカム構造について、ANSYSによる解析結果を交えて説明する。グラフ1はカムの角度を変えて行なったカムの反力を表した解析結果であり、今回は1芯ごとの標準状態と角度を10度、15度、20度、25度、30度として解析を行なった。グラフ1の解析結果をみると、反力の加わる始点がズレているだけで、終点は同一で1芯当たり約1.1Nに達することが判り、かつ、角度を変えることで反力が掛かるタイミングをズラすことが出来ることが判り、この結果から芯数によって加わる反力は1.1Nの芯数倍ということになる。手でカムを回転させ易さを考えると、10〜20N程度が望ましいと考えられ、本実施例では図1(B)のように10度から開始し、5度ずつ、15芯ごとに変化させることにした。つまり、今回の総芯数が80芯なので、15芯までが10度で、30芯までが15度で、45芯までが20度で、60芯までが25度で、75芯までが30度で、76〜80芯までが標準(角度なし)とした。芯数毎に角度を変化させるというには、図1(A)の斜視図で説明すると、図の左側がカム部54の標準状態であり、その右側が10度変化させた状態で、またその右側が20度変化させた状態で、さらにその右側が30度変化させた状態である。
Figure 0004731311
グラフ1
次に、図5に基づいて、2種類のコンタクト14、16について説明する。この2種類のコンタクト14、16は金属製であり、公知技術のプレス加工によって製作されている。前記コンタクト14、16の材質としては、バネ性や導電性などが要求されるので、黄銅やベリリウム銅やリン青銅等を挙げることができる。
最初に、図5(A)の一方のコンタクト14について説明する。一方の前記コンタクト14は図5(A)のように倒略H形状をし、少なくとも前記FPC64と接触する接触部26(図5(A)の図面の上側)と基板等に接続する接続部40と前記ハウジング12に固定する固定部38と連結支点部30と回動部材18によって押圧される押受部32とを備えている。前記接触部26と前記押受部32とは略クランク状の板状片の第一片22の両端に設けられ、前記押受部32の先端には内側に突出した突出部42が設けられている。一端側に前記ハウジング12に挿入される固定部38を有する延設部36と他端側に基板と接続する接続部40とを有する第ニ片24を備え、前記第一片22と前記第二片24はほぼ中間付近で連結支点部30によって連結されている。前記接触部26と前記連結支点部30と前記接続部40とは略クランク形状に配置されており、前記接続部40には前記押受部32側に突出するような突出台44が設けられ、前記押受部32と前記突出台44との間で前記回動部材18のカム部54が回動するようなっている。本実施例では前記コンタクト14の連結支点部30付近に、前記嵌合口20と反対方向に傾斜する傾斜部28が設けられている。該傾斜部28を設けることで、低背化を図っている。また、前記突出台44は前記回動部材18のカム部54が回動する際に安定した回動をするために、押受部32と接続部40との間の間隔を調整するためのものであり、突出量はこのようなことを考慮して適宜設計する。
前記接続部40の配置位置としては、基板のランド位置や基板のパターン位置や狭スペース等を考慮して適宜設計する。即ち、前記接続部40は要求仕様に応じて、前記接触部26に対向する側や前記押受部32に対向する側に設けられることになり、また、ランドの位置によっては千鳥に設けることもある。一方の前記コンタクト14では、前記接続部40を前記押受部32に対向する側に設けている。前記接触部26は、FPC64と接触し易いように凸部形状にしており、前記接続部40は本実施例では図5(A)のように表面実装タイプ(SMT)にしているが、ディップタイプでも良い。前記FPC64の仕様によっては、前記接触部26と対向する側にも接触部26を設ける場合もある。即ち、2つの接触部26、26を設けて、前記FPC64を挟持するようにしてもよい。本実施例では、一方の前記コンタクト14では、前記連結支点部30から前記接触部26に対向するように延設部36を設け、該延設部36上に前記ハウジング12に固定するための固定部38を設けている。前記固定部38の大きさや形状は、保持力や前記ハウジング12の強度等を考慮して適宜設計する。
前記連結支点部30と前記押受部32とは、前記FPC64が挿入された際に、次のような作用を果たすための部分である。前記FPC64が前記ハウジング12の嵌合口20内に挿入された後に、前記回動部材18のカム部54が前記コンタクト14の接続部40の突出台44と押受部32との間で回動すると、前記押受部32がカム部54によって押し上げられることで前記コンタクト14の連結支点部30の下端(図5(A)の下側)を支点にし、前記コンタクト14の連結支点部30の上端が前記接触部26側に傾くことによって、前記接触部26が前記FPC64側に押圧される。前記連結支点部30と前記押受部32の大きさや形状は、このような作用を果たすために、適宜設計されている。また、前記コンタクト14の押受部32の先端に突出部42を設け、回動部材18のカム部54をコンタクト14の押受部32と接続部40の突出台44との間で回動させるとき、前記回動部材18の係止孔58に係合させることで、回動部材18の回動に対する強い反発力に対抗することが望ましい。前記突出部42の大きさは、このような役割を果たすことが出来れば如何なる大きさでもよく、回動部材18の係止孔が引っ掛かる程度に適宜設計する。
次に、もう一方のコンタクト16について説明する。ここでは、上述した一方のコンタクト14との相違部分についてのみ説明する。もう一方の前記コンタクト16も図5(B)のように一方の前記コンタクト14と同様に倒略H字形状をしており、主にFPC64と接触する接触部26(図5(B)の図面の上側)と基板に接続する接続部40とハウジング12に固定する固定部38と連結支点部30と前記回動部材18のよって押圧される押受部32とを備えている。これらの前記接触部26と前記連結支点部30と前記接続部40は、略倒U字形状に配置されている。前記接続部40は、一方のコンタクトと同様に表面実装タイプ(SMT)にしているが、ディップタイプでも良い。
一方の前記コンタクト14ともう一方の前記コンタクト16の相違点は、幾分形状的な違いはあるものの前記接続部40と前記延設部36とが逆にしただけである。即ち、一方の前記コンタクト14では、前記接続部40を前記押受部32と対向する側に、前記延設部36を前記接触部26と対向する側に設けているのに対し、もう一方の前記コンタクト16では、前記接続部40を前記接触部26と対向する側に、前記延設部36を前記押受部32と対向する側に設けている。もう一方の前記コンタクト16の延設部36に前記ハウジング12に固定するための固定部38を設けている。
次に、回動部材18について説明する。この回動部材18は電気絶縁性のプラスチックであり、公知技術の射出成形によって製作され、この材質としては寸法安定性や加工性やコスト等を考慮して適宜選択するが、一般的にはポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリアミド(66PA、46PA)や液晶ポリマー(LCP)やポリカーボネート(PC)やこれらの合成材料を挙げることができる。
該回動部材18は主にハウジング12に回動可能に装着される軸部分と前記コンタクト14、16の押受部32を押圧するカム部54と前記コンタクト14、16の突出部42が係合する係止孔58と操作部56を備えている。本実施例では、前記回動部材18を断面略U字形状にしている。前記軸は、回動部材18を回動するための支点であり、ハウジング12の長手方向両側に回動部材18が回動可能に適宜装着され、上述したように前記カム部54が回動する際に回転軸72が変化するように前記軸と前記ハウジング12の軸受け部との関係ではクリアランスを設けている。また、長手方向両側には、前記コンタクト14、16の押受部32を押圧した際に回動部材18が高さ(図面の上)方向に持ち上がらないようにするためにハウジング12と係合するロック部が設けられている。ロック部の形状や大きさ等は、ハウジング12に係合できれば如何なるものでもよく、上述の役割やコネクタ10の大きさや強度等を考慮して適宜設計する。
前記回動部材18の前記カム部54は、コンタクト14、16の押受部32に押し付ける部分であり、その形状としては細長形状にすることが望ましく、本実施例では略楕円形状をしている。このように楕円形状にすることによって、コンタクト14、16の押受部32と接続部40の突出台44との間で回転させることで、カム部54の大きさの変化によりコンタクト14、16の押受部32が持ち上げられ、FPC64をコンタクト14、16の接触部26側に押し付けている。カム部54の形状としては、コンタクト14、16の押受部32と接続部40の突出台44との間で回転でき、長軸と短軸といった大きさの違いによりコンタクト14、16の押受部32を押し上げられ、図1(A)のように15芯おきに角度を変化させることで前記回動部材18の回転力を緩和でき、かつ、タイミングをズラすことができれば、如何なるものでもよい。前記カム部54の形状や大きさは、このようなことを考慮して適宜設計する。本実施例では、総芯数が80芯のため、10度から開始し、15芯おきに角度を5度ずつ変化させている。つまり、1〜15芯が10度で、16〜30芯が15度で、31〜45芯が20度で、46〜60芯が25度で、61〜75芯が30度で、76〜80芯が標準にしている。
また、前記回動部材18には、操作性を考慮して、操作部56が設けられている。特徴的なのは、一方の前記コンタクト14の押受部32と突出台44との間で回動することで、一方及びもう一方の前記コンタクト14、16の押受部32を押し上げて、一方及びもう一方の前記コンタクト14、16の接触部26をFPC64に接触させている。
また、前記回動部材18を回動した際に、回動部材18の回動に対する反発力が強い為に、前記コンタクト14、16の突出部42が係合する係止孔58が別個独立に設けられている。前記係止孔58を別個独立に設けることで、回動部材18の強度アップや回動時の変形を防止している。
上述した前記回動部材18は前記ハウジング12の嵌合口20と反対側(一方のコンタクト14の接続部側)に回動自在に装着されている。前記回動部材18は、一方のコンタクト14の接続部40方向から、一方並びにもう一方のコンタクト14、16とが前記ハウジング12に固定された後に、挿入され、保持されている。
次に、ハウジング12について説明する。このハウジング12は電気絶縁性のプラスチックであり、公知技術の射出成形によって製作され、この材質としては寸法安定性や加工性やコスト等を考慮して適宜選択するが、一般的にはポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリアミド(66PA、46PA)や液晶ポリマー(LCP)やポリカーボネート(PC)やこれらの合成材料を挙げることができる。
前記ハウジング12には、所要数のコンタクト14、16が装着される挿入溝48が設けられており、圧入や引っ掛け(ランス)や溶着等によって固定されている。また、前記ハウジング12には前記FPC64が挿入される嵌合口20が設けられ、前記嵌合口20の大きさは前記FPC64が挿入でき、前記FPC64が挿入された際に前記回動部材18で前記コンタクト14、16に押圧できるように適宜設計されている。前記ハウジング12の長手方向両側には、前記回動部材18の軸が回動可能に装着される軸受部が設けられている。前記軸と前記軸受けとの関係は、上述したような前記回動部材18のカム部54のコンパクトな回転が可能なようにクリアランスが設けられている。この軸受部の形状や大きさは、回動部材18の軸が回動でき、前記カム部54のコンパクトな回転が可能なように装着されていれば如何なるものでもよく、この役割やハウジング12の強度や大きさ等を考慮して適宜設計する。
前記ハウジング12には、前記コンタクト14、16の接触部26、26を被覆する天井部50が設けられている。前記天井部50は、前記コンタクト14、16の防塵性を高めるためのものであり、その大きさや形状はこの役割や前記ハウジング12の強度や前記回動部材18の回動性や強度等を考慮して適宜設計する。低背化を考慮して、前記ハウジング12の肉厚は出来るかぎり薄くしている。
本発明の活用例としては、薄型テレビやリアプロジェクション等の電気又は電子機器に使用されるFPC64を使用したコネクタに活用され、特にカムの形状を変化させることで相手物に与える力や作用を変化させるカム構造に関するものである。
(A) 回転力を緩和するカム形状を示す斜視図である。(B) 回転力を緩和するカム形状を示す側面図である。 (A) FPC挿入側よりみた回動部材が開いた状態のコネクタの斜視図である。(B) 回動部材が閉じた状態のコネクタの斜視図である。 回動部材の斜視図である。 ハウジングの斜視図である。 (A) 一方のコンタクトの斜視図である。(B) もう一方のコンタクトの斜視図である。 (A) 回動部材が開いた状態の一方のコンタクト部分の断面図である。(B) 回動部材が閉じた状態の一方のコンタクト部分の断面図である。 (A) 回動部材が開いた状態のもう一方のコンタクト部分の断面図である。(B) 回動部材が閉じた状態のもう一方のコンタクト部分の断面図である。 (A) 挿入される前のFPCとコネクタの斜視図である。(B) FPCが挿入された状態のコネクタの斜視図である。
符号の説明
10 コネクタ
12 ハウジング
14、16 コンタクト
18 回動部材
20 嵌合口
22 第一片
24 第二片
26 接触部
28 傾斜部
30 連結支点部
32 押受部
34 接触片
36 延設部
38 固定部
40 接続部
42 突出部
44 突出台
46 係合部
48 挿入溝
50 天井部
54 カム部
55 角度変更部分
56 操作部
58 係止孔
62 挿入孔
64 FPC
66 係止部

Claims (6)

  1. 電子部品内で回動することで他の部品に作用を及ぼすカム構造において、
    カムの形状をカムの長手方向で、作用する他の部品に対し、接するカムの角度を5度ずつ段階的に変化させることで、回動時に他の部品に及ぼす作用のタイミングズラすことを特徴とするカム構造。
  2. コネクタ内で回動することで、コネクタ内に挿入される接続対象物とコンタクトとを接触させるカム構造において、
    カムの形状をカムの長手ピッチ方向で、作用する前記コンタクトに対し、接するカムの角度を5度ずつ段階的に変化させることで、回動時に前記コンタクトに及ぼす作用のタイミングをズラすことを特徴とするカム構造。
  3. 接続対象物と着脱自在に嵌合するコネクタであって、該接続対象物と接触する接触部を有する所要数のコンタクトと、このコンタクトが保持・固定されるとともに前記接続対象物が挿入される嵌合口を有するハウジングと、前記コンタクトを押圧するカム部を有する回動部材とを備えるコネクタにおいて、
    前記コンタクトは一端側に前記接続対象物と接触する接触部と他端側に前記回動部材のカム部により押圧される押受部とを有し、
    前記回動部材が前記コンタクトの押受部を押圧するように前記ハウジングに回動できるように装着されるとともに前記カム部の形状をコネクタの長手ピッチ方向で、作用する前記コンタクトの押受部に対し、接するカム部の角度を10〜20芯の間で、10度から始め5度ずつ段階的に変化させることで、回動時に前記コンタクトに及ぼす作用のタイミングをズラすことを特徴とするコネクタ。
  4. 前記コンタクトは一端側に前記接続対象物と接触する接触部と他端側に前記回動部材のカム部により押圧される押受部とを有する第一片と、一端側にもう一つの接触部若しくは固定部を有する延設部と他方側に基板と接続する接続部とを有する第二片と、前記第一片と前記第二片とを連結する連結支点部とを備え、前記ハウジングは前記コンタクトの接触部を被覆する天井部を有し、前記回動部材は回動させるための操作部と長手方向に連設したカム部と前記押受部が挿入できる別個独立の係止孔とを備え、前記カム部が前記コンタクトの接続部と押受部との間で回動するように前記ハウジングに装着することを特徴とする請求項3記載のコネクタ。
  5. 前記コンタクトは一端側に前記接続対象物と接触する接触部と他端側に前記回動部材のカム部により押圧される押受部とを有する第一片と、一端側に基板に接続する接続部と他方側に延設部とを有する第二片と、前記第一片と前記第二片とを連結する連結支点部とを備え、前記ハウジングは前記コンタクトの接触部を被覆する天井部を有し、前記回動部材は回動させるための操作部と長手方向に連設したカム部と前記押受部が挿入できる別個独立の係止孔とを備え、前記カム部が前記コンタクトの接続部と押受部との間で回動するように前記ハウジングに装着することを特徴とする請求項3記載のコネクタ。
  6. 前記接続部と連結支点部との中間にもう一つの接触部を設けることを特徴とする請求項5記載のコネクタ。
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