JP4731057B2 - 導電性ペーストおよびそれを用いた配線基板の製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、絶縁基板内部に配線回路やビアホール導体等の導体配線層を形成した配線基板の導体配線層用として好適な導電性ペーストおよびそれを用いた少なくとも有機樹脂を含有する配線基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
近年、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を含む絶縁基板の表面に導体配線層を形成した、いわゆるプリント基板が、回路基板や半導体素子を搭載したパッケージ等に適用されている。このようなプリント基板において、導体配線層を形成する方法としては、絶縁基板の表面に銅箔を接着した後、これをエッチングして配線回路を形成する方法、または、配線回路に形成された銅箔を絶縁基板に転写する方法、絶縁基板の表面に金属メッキ法によって回路を形成する方法等が用いられている。
【0003】
また、導体配線層および異なる層間の導体配線層を電気的に接続するビアホール導体が多用され、該ビアホール導体として、銀、銅等の金属粉末にトリアリルイソシアヌレートや液状エポキシ系樹脂と硬化剤とを混合した導電性ペーストを塗布、または充填する方法が提案されている。
【0004】
一方、導電性ペーストとしては、例えば、特開平4−91111号公報に記載されるように、ポリフェニレンエーテルとトリアリルイソシアヌレートとの混合物、またはそれらをクロロホルム等を添加して溶解し、この溶液に対して、銀、銅等の金属粉末を添加、混合した溶液を用い、シート状導電体を作製することが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のエポキシ系樹脂等を含有する導電性ペーストでは、耐熱性が200℃程度と低く、配線基板を半田実装する場合に導体配線層中のエポキシ系樹脂が変質してしまう恐れがあった。
【0006】
また、トリアリルイソシアヌレートを用いた導電性ペーストでは、ペーストとして必要な粘度とするために、トリアリルイソシアヌレートを所定量添加した場合、ペースト中のトリアリルイソシアヌレートがビアホール導体から絶縁基板側に染み出してしまい、絶縁基板の導体配線、特にビアホール導体と接する部分で局所的にトリアリルイソシアヌレートの含有割合が増大してしまい、絶縁基板を加熱硬化する際に、絶縁基板の硬化を阻害したり、硬化後も残存したトリアリルイソシアヌレートが200℃以上の高温で半田実装を行う場合に絶縁基板に膨れを生じさせたり、絶縁基板内にボイドが発生して絶縁抵抗が劣化し信頼性を低下させるという問題があった。
【0007】
また、特開平4−91111号公報のポリフェニレンエーテルとトリアリルイソシアヌレートとを含有する溶液では、ポリフェニレンエーテルの融点が高いためにポリフェニレンエーテルが固体状で残存して溶液の均質性が低く、また、これを溶解するためにはクロロホルム等の特定の溶剤を添加しなければならず、溶剤に制限があるために作業性が悪いという問題があった。
【0008】
したがって、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、具体的には、金属粉末と樹脂分との濡れ性を改善し、ビアホール導体などの充填物として用いた場合でも、絶縁基板への樹脂分の浸み出しによって絶縁性を損ねることがなく、導電性ペーストによる保形性とビアホール等への埋込充填性に優れ、安定したビアホール導体等の形成が可能な導電性ペーストと、それを用いた配線基板の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題に対して検討を重ねた結果、導電性粉末を主成分とする導電性ペースト中に、特定の比率でトリアリルイソシアヌレートと、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートと、トリアリルイソイアヌレートプレポリマーとを含有せしめることにより、耐熱性が高く、絶縁基板の絶縁性を損なうことがないとともに、ペーストの保形性やビアホールへの充填性を高めた作業性に優れた導電性ペーストとなることを知見した。
【0010】
すなわち、本発明の導電性ペーストは、全量中に14.3〜17.4重量%含有するトリアリルイソシアヌレートと、前記トリアリルイソシアヌレートとの合計100重量部中に5〜10重量部含有するジアリルモノグリシジルイソシアヌレートと、前記トリアリルイソシアヌレートとの合計100重量部中に10〜30重量部含有するトリアリルイソイアヌレートプレポリマーと、導電性粉末とを含有することを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の導電性ペーストでは、特に、このトリアリルイソシアヌレートプレポリマーは、重量平均分子量が1500〜70000であることがペーストの粘度を制御する上で望ましい。
【0014】
また、本発明の配線基板の製造方法は、少なくとも有機樹脂を含有する未硬化あるいは半硬化状態の絶縁シートに形成されたビアホールに上記の導電性ペーストを充填してビアホール導体を形成する工程と、前記ビアホール導体を含む前記絶縁シート表面に導体配線層を形成する工程と、前記絶縁シートを積層して一体化し、前記有機樹脂の硬化温度に加熱して一括硬化する工程とを具備することを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の導電性ペーストは、全量中に14.3〜17.4重量%含有するトリアリルイソシアヌレートと、トリアリルイソシアヌレートとの合計100重量部中に5〜10重量部含有するジアリルモノグリシジルイソシアヌレートと、トリアリルイソシアヌレートとの合計100重量部中に10〜30重量部含有するトリアリルイソイアヌレートプレポリマーと、導電性粉末とを含有するものである。
【0016】
すなわち、置換基としてグリシジル基を含むシアヌル酸骨格を有する誘導体であるジアリルモノグリシジルイソシアヌレートを添加することで導電性粉末との濡れ性を向上させることができ、ペーストの保形性を高めて、しみだしやにじみを抑制し、ビアホールへの埋込み充填性を高めることができる。さらに、シアヌル酸骨格を有する誘導体自体が耐熱性に優れることから、導電性ペーストの耐熱性を高めることができる。
【0018】
すなわち、シアヌル酸骨格を有する誘導体は、グリシジル基およびアリル基の両方の基を有することから、導電性粉末との濡れ性を高め、トリアリルイソシアヌレートとの高分子化も図れるために、信頼性の高い導電性ペーストを提供することができる。
【0019】
また、上記ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートは、トリアリルイソシアヌレートとの合計100重量部中において、導電性粉末との十分な濡れ性を確保し、且つペーストの保形性を高め、しみだし、にじみの発生を有効に防止するために5重量部以上必要であり、また、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートとトリアリルイソシアヌレートとを十分に反応させるとともに、モノマーとして残存させることなく、半田耐熱試験や半田リフロー試験の時に揮発することなく高い信頼性を得るために10重量部以下がよい。
【0020】
本発明の導電性ペーストに含まれる導体粉末は、金、銀、パラジウム、銅、ニッケル、錫および鉛の群から選ばれる少なくとも1種であることが低抵抗化を図る上で全量中に70〜90重量%の割合で含有せしめることが望ましく、具体的には、上記の純粋な金属およびそれらの合金あるいは混合物、さらには上記から選ばれる金属の核に他の金属を被覆したものを用いることができる。特に、絶縁基板へのマイグレーションがないことおよび低コストである点で銅を含むことが好ましく、さらに化学的安定性を考慮すると銀を被覆した銅粉末が最適である。また、銅に対して、さらに錫を含有する半田などの低融点金属を添加した場合には、Cu3Snを析出させて耐熱性を高めることが望ましい。
【0021】
なお、本発明の導電性ペーストにおいて、トリアリルイソシアヌレートの含有量が7重量%より少ないとペーストの粘度が高すぎてビアホール内への埋込性が悪くなりやすく、導体配線の抵抗が増大するおそれがある。逆に20重量%より多いとペーストとしての粘度が低くなり保形性が低下して絶縁基板の表面からペーストがにじむ恐れがあるとともに、ペースト中の導電性粒子の含有割合が低下してビアホール導体の抵抗が増大する場合がある。
【0022】
なお、前記トリアリルイソシアヌレートは、分子量が約250のモノマーであるが、これに前記トリアリルイソシアヌレートを重合させた前記トリアリルイソシアヌレートプレポリマーを所定の比率で配合させることにより、ペーストの保形性を高めてしみだし、にじみを抑制し、ビアホールへの埋込充填性を高めることができるとともに、絶縁基板を硬化する際にビアホール導体中のトリアリルイソシアヌレートおよびトリアリルイソシアヌレートプレポリマーが硬化物を形成して硬化後のビアホール導体の保形性をも高めることができる。
【0023】
この場合、トリアリルイソシアヌレートプレポリマーは、前記トリアリルイソシアヌレートとの合計100重量部中に10〜30重量部の割合で添加含有する必要がある。
【0024】
これは、トリアリルイソシアヌレートプレポリマーの含有量が5重量部より少ないと、ペースト中のトリアリルイソシアヌレートの粒子同士を付着させる力が低下してビアホール内に導電性ペーストを充填した後、ビアホールの上表面付近に存在するトリアリルイソシアヌレートが重力によって沈降し、該上表面の導電性粒子間が空隙となってしまい、取扱いや振動等によって前記導電性粒子の一部が絶縁基板表面に飛散する結果、隣接するビアホール間に前記飛散した導電性粒子が介在すると絶縁抵抗が劣化して信頼性に悪影響を及ぼしたり、場合によってはショートする恐れがあるためである。
【0025】
また、スクリーン印刷等を行う場合、トリアリルイソシアヌレートの導電性粉末間を付着する力が低いためにペースト中のトリアリルイソシアヌレートのみが優先的に流出して粘度が変化し連続して印刷することができないためである。
【0026】
なお、トリアリルイソイアヌレートプレポリマーの含有量が40重量部より多いとトリアリルイソシアヌレートプレポリマーを完全に溶解することができずペーストの均質性が低下し、作業性が悪くなる。このためトリアリルイソシアヌレートプレポリマーの含有量は、トリアリルイソイアヌレートとの合計量100重量部中に10〜30重量%であるのがよい。
【0027】
また、ペーストの粘度を所定の範囲とし、保形性およびビアホール等への充填性を高めるため、およびトリアリルイソシアヌレートと導電性粒子との分離を抑制し、かつペーストとして保形性およびビアホールへの埋込充填性を高めるために、トリアリルイソシアヌレートプレポリマーの重量平均分子量が1500〜70000のであることが望ましい。
【0028】
尚、本発明において、トリアリルイソシアヌレートとトリアリルイソシアヌレートプレポリマー以外に、トリメタリルイソシアヌレートやトリアリルシアヌレートを併用して配合することもできる。
【0029】
さらに、熱硬化性樹脂、硬化剤、硬化促進剤等を導電性粉末100重量部当り15重量部以下の割合で配合することが可能である。熱硬化性樹脂としては、特に限定されるものではなく、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂等を用いることができる。また、硬化剤や硬化促進剤としては、エポキシ樹脂等に使用されるものであれば特に限定されるものではなく、硬化剤としてフェノールノボラック樹脂、ジシアンジアミド、芳香族アミン類、ジアミノマレオニトリル、ヒドラジッド等を、硬化促進剤としてイミダゾール類、ベンジルジメチルアミン等をそれぞれ例示することができる。
【0030】
さらにこれら硬化剤や硬化促進剤としての効果を有するラジカル重合開始剤として、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアリルパーオキサイド等の有機過酸化物を全量中0.25〜3重量%の割合で配合することもできる。この有機過酸化物はトリアリルイソシアヌレートの硬化を促進することから該硬化温度を30℃以上、特に50℃以上低下させることができる。
【0031】
また、ペースト中にはラジカル反応禁止剤等は導体配線中のトリアリルイソシアヌレートの硬化を抑制することから添加しないことが望ましい。
【0032】
さらに、導電性ペースト中には、粘度調整のために、例えば、イソプロピルアルコール、テオピネオール、2−オクタール、ブチルカルビトールアセテート等を微量添加することもできるが、絶縁基板および導体配線を熱硬化させる際に溶剤成分が揮発し、導体配線中の充填密度が低下するとともに、揮発気体により絶縁層間に膨れを生じる等の問題があるために、溶剤を実質的に含有しないことが望ましい。
【0033】
導電性ペーストを調製するには、上記組成物を攪拌脱泡機、プラネタリーミキサ、回転ミルや3本ロール等で混練することにより所定粘度の導電性ペーストを作製することができる。
【0034】
また、上記混合方法により混合された導電性ペーストの粘度については、印刷した時にダレ、にじみが生じずファインピッチのビアホール導体を形成することができ、また、ペーストをビアホール内への埋込充填性を高める上で、せん断速度=100s-1において20〜1000Pa・sであることが望ましい。
【0035】
次に、上記導電性ペーストを用いて配線基板を作製する方法について説明する。
まず、図1(a)に示すように未硬化または半硬化状態の軟質の絶縁シート11に対して、レーザー加工やマイクロドリルなどによってビアホール12を形成する。
【0036】
絶縁シート11は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む絶縁材料から構成されるが、具体的には、有機樹脂としては例えば、PPE(ポリフェニレンエーテル)、BTレジン(ビスマレイミドトリアジン)、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂等の合成樹脂およびそれらの混合物が使用可能であるが、とりわけ誘電特性がよく、吸水率が低い点でPPE(ポリフェニレンエーテル)を含有することが望ましい。
【0037】
また、この有機樹脂の中には、基板全体の強度を高めるために、フィラーを複合化させることもできる。フィラーとしては、SiO2、Al2O3、ZrO2、TiO2、AlN、SiC、BaTiO3、SrTiO3、ゼオライト、CaTiO3等の無機質フィラーが好適に使用される。また、ガラスやアラミド樹脂からなる不織布、織布等に上記樹脂を含浸させて用いてもよい。このようにフィラーと複合化する場合、有機樹脂とフィラーとは体積比率で30:70〜70:30の比率で複合化することが望ましい。
【0038】
そして、図1(b)に示すように、そのビアホール12内に、前述したようにしてせん断速度=100s-1において、20〜1000Pa・sに調製された導電性ペーストをスクリーン印刷等によって充填してビアホール導体13を形成する。本発明の導電性ペーストによれば、ビアホールからの導電性ペーストの流出を防止し、ビアホールへのペーストの埋込充填性を高めることができる。また、導電性ペーストの粘度が上記範囲であれば、ビアホール内へ充填したペーストの上面の一部が絶縁シート表面に対して突出するように形成でき、これを後述する導体配線層の形成時または絶縁シートの積層時に圧縮することによってビアホール導体と導体配線層との接続性を高めることもできる。
【0039】
そして、ペースト充填後に、所望により、有機バインダの融点以下に冷却することにより、ビアホール内の導電性ペーストの粘度を、せん断速度=100s-1において、760〜2500Pa・sに高めることによりビアホール中のペーストの保形性を高め、ペーストのビアホールからのダレの発生やにじみを防止できる。
【0040】
また、ペースト充填時にビアホールの反対面を減圧吸引するか、または多孔質シートを載置してビアホール内へ充填されたペースト中の保形性に支障ない余剰のトリアリルイソシアヌレートおよびトリアリルイソシアヌレートプレポリマー等の樹脂成分を取り除くことによってビアホール導体の抵抗を低減させたり、導電性粒子の充填密度を高めることができ、接続信頼性を向上させる効果がある。
【0041】
次に、ビアホール導体13を形成した絶縁シート11の表面に、導体配線層14を形成する。導体配線層14としては、銅、アルミニウム、金、銀のうちから選ばれる少なくとも1種、または2種以上の合金、特に、銅あるいは銅を含む合金からなる厚さ5〜40μmの金属箔によって形成することにより、ビアホール導体13を両端を封止して外気の影響を防止でき、しかも導電性ペーストを充填して形成したビアホール導体13との電気的な接続性に優れることから最も望ましい。
【0042】
この金属箔による導体配線層14の形成は、a)絶縁シートの表面に金属箔を貼り付けた後、エッチング処理して回路パターンを形成する方法、b)絶縁シート表面にレジストを形成して、メッキにより金属箔層を形成する方法、c)転写シート表面に金属箔を貼り付けた後、エッチング処理して回路パターンを形成した後、この金属箔の回路パターンを絶縁シート表面に転写させる方法、等が挙げられるが、この中でも、絶縁シートをエッチングやメッキ液などに浸漬する必要がなく、ビアホール導体内への薬品の侵入を防止する上では、c)の転写法が最も望ましい。
【0043】
そこで、c)転写法による導体配線層を例にして以下に説明する。
図1(c)に示すように、転写シート15の表面に、金属箔からなる導体配線層14を形成する。この導体配線層14は、転写シート15の表面に金属箔を接着剤によって接着した後、この金属箔の表面にレジストを回路パターン状に塗布した後、エッチング処理およびレジスト除去を行って形成される。この時、金属箔からなる導体配線層14露出面は、エッチング等により表面粗さ(Ra)0.1〜5μm、特に0.2〜4μm程度に粗化されていることが望ましい。
【0044】
次に、図1(d)に示すように、導体配線層14が形成された転写シート15を前記ビアホール導体13が形成された軟質の絶縁シート11の表面に位置合わせして加圧積層した後、転写シート15を剥がして導体配線層14を絶縁シート11に転写させることにより配線層aが形成される。
【0045】
この時、絶縁シート11が軟質状態であることから、導体配線層14は、絶縁シート11の表面に埋設され、実質的に絶縁シート11表面と導体配線層14の表面が同一平面となるように加圧積層する。この時の加圧積層条件としては、圧力2MPa以上、温度60〜240℃が適当である。
【0046】
そして、上記のようにして作製された一単位の配線層aおよび同様にして作製された一単位の配線層b、cを図1(e)に示すように積層圧着し、所定の温度に加熱することにより絶縁シート11中の熱硬化性樹脂を完全硬化させることにより多層化された配線基板1を作製することができる。
【0047】
上記の転写シートからの回路転写の製造方法によれば、絶縁シート11へのビアホール12形成や積層化と、導体配線層14の形成工程を並列的に行うことができるために、配線基板における製造時間を大幅に短縮することができる。
【0048】
なお、上記の製造方法では、絶縁シート11の完全硬化およびビアホール導体13の加熱処理を多層化後に一括して行ったが、この加熱処理は、積層前に個々の絶縁シート11に対して施し硬化した後、積層して多層化することも可能である。
【0049】
また、上記導電性ペーストはビアホール導体13形成用として用いる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の導電性ペーストを前記導体配線層14用として用いることもできる。この場合は、絶縁シート11の表面に、導電性ペーストをスクリーン印刷法等によって導体配線層14を印刷形成することができる。かかる場合においても、本発明の導電性ペーストは、導体配線層14の保形性を高めるという効果がある。
【0050】
【実施例】
(導電性ペースト調製)
まず、平均粒径5μmの導電性粉末(Ag被覆Cu粉末については銀含有量3重量%)、トリアリルイソシアヌレートと、置換基としてグリシジル基を含むシアヌル酸骨格を有する誘導体として、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート(DA−MGIC)あるいはモノアリルジグリシジルイソシアヌレート(MA−DGIC)と、を表1に示す割合で調合した。また、平均分子量が30000〜60000のトリアリルイソシアヌレートプレポリマー(TAICPP)を表1の比率で、さらにジアリルパーオキサイドを1重量%の割合で添加して、3本ロールで混練して導電性ペーストを調製した。また、直径20mmのコーン型粘度計を用いて、せん断速度100s-1における粘度を測定し、表1に示した。
【0051】
(配線基板の作製)
一方、ポリフェニレンエーテル樹脂40体積%と、シリカを60体積%からなるBステージの絶縁シートに対して、マイクロドリルによって直径が200μmのビアホールをビアホールの中心間の間隔500μmで2つ形成し、そのビアホール内に前記のようにして調製した導電性ペーストを充填した。
【0052】
そして、導電性ペーストを埋め込んだBステージ状態の絶縁シートの両面に、厚さ12μmの銅箔からなる導体配線層を転写法により前記ビアホール導体の両端を挟持するように貼り合わせた後、200℃で、2MPaの圧力で、60分間硬化処理を行い、単層の配線基板を作製した。
【0053】
得られた配線基板におけるビアホール導体の体積固有抵抗率(表中ではビア抵抗と記載)を測定し、表1に示した。なお、この体積固有抵抗の測定は、ビアホール導体を両側から挟持する金属箔からなる導体配線層間の抵抗を測定したものである。
【0054】
また、硬化後の配線基板を200℃に加熱、冷却した後、絶縁基板のビアホール導体形成部周囲への浸み出し状態を観察し、ビアホール導体の周辺への最大のにじみ幅を測定した。また、ビアホール導体の表面を観察して、金属粒子と樹脂分との濡れ状態について観察した。観察の結果、金属粒子の表面全体が樹脂分と濡れて粒子と粒子間が樹脂分によって緻密に充填された状態を〇、金属粒子の一部が樹脂分と濡れており、一部に金属粒子形が明確に観察でき、金属粒子間に一部に空隙が観察される状態を△、金属粒子の表面に樹脂が存在するものと、粒子個々が独立して存在し、粒子間に空隙が存在する状態を×として、表1に示した。なお、試料No.8〜16は本発明の範囲外の試料である。
【0055】
【表1】
【0056】
表1の結果から明らかなように、誘導体を含まない場合(No.1、7)では、にじみが大きく、しかもビアホール導体は、粒子と樹脂の濡れ性がなく、ビアホール導体内には多くの気孔が存在していた。
【0057】
これに対して、所定の誘導体を含むことによって、にじみが少なくなり、同時にビアホール導体も粒子と樹脂分が完全に濡れておりビアホール導体内にはほとんど気孔は存在しないものであった。特に誘導体の量がトリアリルイソシアヌレートとの比率で5〜30重量部で特に良好な結果を得た。
【0058】
【発明の効果】
以上詳述べたように、本発明の導電性ペーストは、ビアホール導体などの充填物として用いた場合においても、トリアリルイソシアヌレートの絶縁基板へのにじみを有効に防止し、絶縁基板の絶縁性を損ねることがなく、また導電性ペーストによる保形性とビアホール等への埋込充填性に優れ、安定したビアホール導体等の形成を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配線基板の製造方法の一例を説明するための工程図である。
【符号の説明】
11 絶縁シート
12 ビアホール
13 ビアホール導体
14 導体配線層
15 転写シート
Claims (3)
- 全量中に14.3〜17.4重量%含有するトリアリルイソシアヌレートと、前記トリアリルイソシアヌレートとの合計100重量部中に5〜10重量部含有するジアリルモノグリシジルイソシアヌレートと、前記トリアリルイソシアヌレートとの合計100重量部中に10〜30重量部含有するトリアリルイソイアヌレートプレポリマーと、導電性粉末とを含有することを特徴とする導電性ペースト。
- 前記トリアリルイソシアヌレートプレポリマーの重量平均分子量が1500〜70000であることを特徴とする請求項1記載の導電性ペースト。
- 少なくとも有機樹脂を含有する未硬化あるいは半硬化状態の絶縁シートに形成されたビアホールに請求項1または2に記載の導電性ペーストを充填してビアホール導体を形成する工程と、前記ビアホール導体を含む前記絶縁シート表面に導体配線層を形成する工程と、前記絶縁シートを積層して一体化し、前記有機樹脂の硬化温度に加熱して一括硬化する工程とを具備することを特徴とする配線基板の製造方法。
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