JP4730769B2 - 導電性ペースト - Google Patents

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本発明は、積層セラミックコンデンサー、多層セラミック基板などの多層セラミック電子部品を製造する際に使用される導電性ペーストに関するものである。
多層セラミック電子部品に使用されるセラミック積層体は、通常、誘電層となるセラミックグリーンシートの上に導電性ペーストをスクリーン印刷し、それを交互に数十層積み重ね同時焼成して得られる。多層セラミック電子部品は、このセラミック積層体に外部電極を塗布、焼き付け加工して得られる。
セラミックグリーンシートは、セラミック誘電体粉末にポリビニルブチラール樹脂などの有機バインダーおよびエタノールなどの有機溶剤を加え混合したセラミックスラリーをドクターブレード法によりシート状に成形したものが使用される。また、導電性ペーストは、Ni、Cu、Ag、Pdなどの金属粉末などの導電性材料を、エチルセルロース樹脂などの有機バインダーおよび溶剤に溶解した有機ビヒクルに分散させたものが使用される。
導電性ペーストに使用される溶剤としては、通常、ターピネオール、メチルエチルケトン、ブチルカルビトールアセテート、ケロシンなどの溶剤が使用されてきた(特許文献1)。
しかしながら、これらの溶剤を使用した導電性ペーストでは、セラミックグリーンシート上に導電性ペーストを印刷した際、溶剤がセラミックグリーンシート層に含まれる有機バインダーを溶解する、いわゆるシートアタック現象が生じる。積層時にシートアタック現象が発生すると、セラミック誘電層に穴や皺などが発生したり、膜厚の変動などにより焼成時に層間剥離現象(デラミネーション)と呼ばれる現象が生じ、積層セラミックコンデンサーの場合は、耐電圧性を低下させたり、静電容量不足が発生するなどの不具合が生じる。
また、このような耐電圧性の低下や静電容量不足は、積層セラミックコンデンサーのヒビやカケ破断の原因にもなっている。
このシートアタック現象を解決する方法として、特許文献2に水素添加ターピネオール、特許文献3にはイソボルニルアセテートおよび/またはノピルアセテート、特許文献4には水素添加ターピネオールアセテートを使用するペースト溶剤が提案されている。
しかしながら、これらの溶剤は、ポリビニルブチラール樹脂に対する溶解性が高く、完全にシートアタック現象を抑制することができていないのが現状である。今後、さらに欠品の削減や多層セラミック電子部品の薄膜化、高密度化に対応するためには、有機ビヒクルのエチルセルロース樹脂に対する溶解性を維持したままで、ポリビニルブチラール樹脂に代表される有機バインダーに対する溶解性を更にさらに下げる必要がある。
特開平2−5591号公報 特開平7−21833号公報 特開2002−270456号公報 特許第2976268号公報
本発明は、多層セラミック電子部品を製造する際に、シートアタック現象による層間剥離が生じない、電気的特性の劣化の発生しないセラミック積層体を製造するための導電性ペースト用の溶剤を提供することを目的とする。
本発明は、多層セラミック部品を製造する際に用いる導電性ペーストにおいて、溶剤成分として、ノルボルネン−(メタ)アクリレート系化合物および/またはその水添物を含有することを特徴とする導電性ペーストに関する。
ここで、上記ノルボルネン−(メタ)アクリレート系化合物としては、シクロペンタジエン系化合物と(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリレート系化合物とのディールス−アルダー反応を用いて製造されたディールスアルダー化合物が挙げられ、また、上記ノルボルネン−(メタ)アクリレート系化合物の水添物としては、該ディールスアルダー化合物の水添物が挙げられる。
また、上記ノルボルネン−(メタ)アクリレート系化合物としては、好ましくは下記式(I)で表され、ノルボルネン−(メタ)アクリレート系化合物の水添物としては、好ましくは下記式(II)で表される。
Figure 0004730769
〔ただし、式(I)において、RはHあるいはCH、Rは炭素数1〜10、好ましくは1〜8の炭化水素である。ここで、エステル側鎖部分であるRの炭素数が10を超えると、エチルセルロースへの溶解性が次第に悪くなる。〕
















Figure 0004730769
〔ただし、式(II)において、RはHあるいはCH、Rは炭素数1〜10、好ましくは1〜8の炭化水素である。ここで、エステル側鎖部分であるRの炭素数が10を超えると、エチルセルロースへの溶解性が次第に悪くなる。〕
本発明の導電性ペーストによれば、溶剤成分として、ノルボルネン−(メタ)アクリレート系化合物および/またはその水添物を含有することにより、セラミック誘電層とPd(パラジウム)などの貴金属電極との間に層間剥離現象(デラミネーション)と呼ばれる現象が生じない、電気的特性の劣化の発生しない積層セラミックコンデンサーなどを提供することが可能となる。
以下、本発明のノルボルネン−(メタ)アクリレート系化合物および/またはその水添物、好ましくはエステル側鎖部分が炭素数1〜10、さらにより好ましくは炭素数1〜8の炭化水素であるノルボルネン−(メタ)アクリレート系化合物および/またはその水添物について説明する。
本発明のノルボルネン−(メタ)アクリレート系化合物および/またはその水添物は、シクロペンタジエン系化合物と(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリレート系化合物とを反応させて得られるものである。好ましくは、(1)シクロペンタジエン系化合物と(メタ)アクリレート系化合物とのディールス−アルダー反応を用いて製造されるノルボルネン−(メタ)アクリレート系ディールス−アルダー化合物および/またはその水添物(以下「(1)反応」ともいう)、あるいは、(2)シクロペンタジエン系化合物と(メタ)アクリル酸とのディールス−アルダー反応を用いて製造されるノルボルネン−(メタ)アクリル酸系ディールス−アルダー化合物および/またはその水添物を、さらにアルコール類によりエステル化して得られる化合物(以下「(2)反応」ともいう)などである。
ただし、好ましくは(1)反応であり、反応の効率化などの点を配慮すると、実際は(2)反応は工業的ではない。
本発明の上記(1)〜(2)反応におけるシクロペンタジエン系化合物とは、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリレート系化合物と反応した後、ノルボルネン骨格を有する本発明のノルボルネン−(メタ)アクリレート系化合物になりうるものであり、具体的には、シクロペンタジエン、シクロペンタジエンの原料である熱分解前のジシクロペンタジエン、およびそれら誘導体である。
また、上記(1)反応に用いられる本発明の(メタ)アクリレート系化合物としては、具体的にはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エチルシクロヘキシルアクリレートなどが挙げられ、好ましくはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。
ただし、本発明は、これらに限定されるものではない。
一方、上記(2)反応に用いられる(メタ)アクリル酸としては、メタアクリル酸、アクリル酸が挙げられる。
また、本発明の(2)反応に用いられるアルコール類としては、具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、2−ペンタノール、アミルアルコール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール、2−エチルヘキサノールなどが挙げられる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
上記(1)〜(2)反応における反応形態については、ディールス−アルダー反応と呼ばれる環化付加反応や触媒下における付加反応などが挙げられる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
ここで、本発明のディールス−アルダー反応について説明する。
本発明のシクロペンタジエン系化合物と(メタ)アクリレート系化合物、あるいは、(メタ)アクリル酸とのディールス−アルダー反応とは、環化付加反応である。
本発明においては、シクロペンタジエン系化合物として、例えば、シクロペンタジエンを使用し、(メタ)アクリレート系化合物、あるいは、(メタ)アクリル酸と直接反応させてもよいし、また、ジシクロペンタジエンを使用し、それをシクロペンタジエンに熱分解させた後、(メタ)アクリレート系化合物、あるいは、(メタ)アクリル酸と反応させてもよい。
ディールス−アルダー反応は、一般的な化学書などに記載されている公知の反応であり、共役二重結合(1,3−ジエン)を有する化合物が、オレフィン類と環状付加して、シクロヘキセン骨格を生成する反応である。このようにして得られる化合物は、通常、二重結合を有する環化付加反応物である。
本発明のディールス−アルダー反応および他の付加反応の反応方式は特に限定されないが、バッチ反応でも連続反応でも反応できる。
なお、ディールス−アルダー反応におけるシクロペンタジエン系化合物と、(メタ)アクリレート系化合物、あるいは、(メタ)アクリル酸との反応は、シクロペンタジエン系化合物1モルに対し、通常、(メタ)アクリレート系化合物、あるいは、(メタ)アクリル酸が0.2〜3.0モル、好ましくは0.5〜1.5モルである。(メタ)アクリレート系化合物〔あるいは、(メタ)アクリル酸〕が0.2モル未満ではシクロペンタジエン系化合物が過剰に存在することになり製造コスト的に好ましくなく、一方、3.0モルを超えると(メタ)アクリレート系化合物〔あるいは、(メタ)アクリル酸〕が過剰に存在することになり製造コスト的に好ましくない。
このディールス−アルダー反応の反応温度は、通常、−78〜250℃、好ましくは−30〜100℃、さらに好ましくは0〜50℃に加熱することで反応が行なわれる。反応温度が−78℃未満では反応速度が極端に遅く、一方、250℃を超えると、重合などの副反応が顕著になり好ましくない。
ディールス−アルダー反応における溶媒は使用しなくてもよいが、パラメンタンなどの高沸点の二重結合や官能基を有しない溶媒を使用してもよい。
このディールス−アルダー反応は、通常、無触媒で行われるが、触媒を用いて行ってもよい。反応触媒としては特に限定されないが、好ましくは、通常、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、活性白土、有機酸などの酸触媒が用いられる。
式(I)の化合物は、例えば、シクロペンタジエン系化合物としてシクロペンタジエン、(メタ)アクリレート系化合物として、ブチルアクリレートを使用して、ディールス−アルダー反応で得られた化合物である。
式(II)の化合物は、原料である式(I)の化合物を水素添加(水添)することにより得られたものである。
本発明のノルボルネン−(メタ)アクリレート系化合物の水添物製造の際の水添反応について説明する。
水添する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、パラジウム、ルテニウム、ロジウムなどの貴金属またはそれらを活性炭素、活性アルミナ、珪藻土などの坦体上に担持したものを触媒として使用して行う方法が挙げられる。
この時、粉末状の触媒を懸濁攪拌しながら反応を行うバッチ方式にすることも、成形した触媒を充填した反応塔を用いた連続方式にすることも可能であり、反応形式に特に制限はない。
触媒の使用量は、反応がバッチ方式の場合、原料であるノルボルネン−(メタ)アクリレート系化合物に対し,0.1〜50重量%、好ましくは0.2〜20重量%である。触媒量が0.1重量%未満では、水素化反応速度が遅くなり、一方、50重量%を超えても触媒効果が上がらないので好ましくない。
水添の際、反応溶媒は用いなくてもよいが、通常、アルコール類、エーテル類、エステル類、飽和炭化水素類が使用される。
水添の際の反応温度は、特に限定されないが、通常、0〜250℃、好ましくは、20〜100℃である。反応温度が0℃未満であると、水素化速度が遅くなり、一方、250℃を超えると、水添物の分解が多くなる恐れがある。
水添の際の水素圧は、特に限定されないが、通常、5〜100kg/cm(0.49〜4.90MPa)好ましくは、20〜50kg/cm(1.96〜4.90MPa)である。5kg/cm未満であると、水素化速度が遅くなり、一方、100kg/cmを超えると、水添物の分解が多くなる恐れがある。
次に、上記(2)反応の場合には、シクロペンタジエン系化合物と(メタ)アクリル酸とのディールスアルダー反応によって得られるディールスアルダー化合物(水添物を含む)に、上記のアルコール類を反応させてエステル化合物とする。
このアルコール類とディールスアルダー化合物(水添物を含む)とのエステル化反応について説明する。
ディールスアルダー化合物(水添物を含む)を使用したエステル化反応の際のディールスアルダー化合物(水添物を含む)の仕込み比率は、アルコール類1モルに対し、0.1〜20モル、好ましくは1〜10モルである。ディールスアルダー化合物(水添物を含む)が、アルコール類1モルに対し0.1モル未満であるとエステル化反応が十分に進行しない可能性があり、一方、20モルを超えると未反応のディールスアルダー化合物(水添物を含む)が残存しコスト高となる可能性があるので好ましくない。
また、溶媒は、通常、水と共沸する溶剤として、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物、ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素化合物、などを使用するが、ディールスアルダー化合物(水添物を含む)などが溶媒を兼ねるため、使用しなくてもよい。
溶媒を使用する場合、該溶媒の使用量は、アルコール類に対し、30〜1,000重量%、好ましくは50〜700重量%である。
触媒としては、硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸、三フッ化ホウ素、イオン交換樹脂、活性白土、酵素などが使用できる。
触媒の使用量は、特に限定されるものではないが、アルコール類1モルに対し、0.0001〜0.1モル、好ましくは0.001〜0.01モルである。
このエステル化反応の際には、重合禁止剤を添加することが好ましい。重合禁止剤としては、反応系内に発生するラジカルを捕捉しうる化合物であれば、特に限定されるものではないが、例えばハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、t−ブチルハイドロキノンなどを使用できる。重合禁止剤の添加量は、仕込み(メタ)アクリル酸に対して、通常、5〜10,000ppm、好ましくは20〜5,000ppm、さらに好ましくは50〜1,000ppmである。
エステル化の反応温度は、30〜200℃、好ましくは60〜150℃である。反応温度が、30℃未満であると反応速度が極端に遅い可能性があり、一方、200℃を超えると重合などの副反応が顕著になり好ましくない。エステル化反応は、通常、常圧下で行うが、用いる溶剤の沸点によって、減圧または加圧下で行うこともできる。
なお、(2)反応における水添反応も、(1)反応における水添反応と同様である。
また、この(2)反応における水添物は、シクロペンタジエン系化合物と(メタ)アクリル酸とのディールスアルダー反応後、得られる化合物を上記アルコール類でエステル化したのちに、上記と同様にして水添したものであってもよい。
なお、本発明の導電性ペーストの溶剤中には、ボルナン骨格含有カルボン酸付加物やテルペン−(メタ)アクリレート系化合物、やボルナン骨格含有カルボン酸付加物テルペン−エーテル系化合物などを含有することが可能である。
また、本発明の導電性ペーストの溶剤中には、必要に応じて、各種添加剤、溶剤を含有させてもよい。
次に、本発明のセラミックグリーンシートについて説明する。
積層セラミックコンデンサーは、セラミック誘電層とPd(パラジウム)などの貴金属電極が交互に数十層積み重ねた積層体に外部電極が設けられた構造になっている。
セラミックグリーンシートは、このセラミック誘電層に相当するものであり、貴金属電極層が、塗布された、本発明の導電性ペーストに相当するものである。
このセラミックグリーンシートは、例えば、チタン酸バリウムや鉛を含むペロブスカイト型酸化物などのセラミック誘電体粉末とポリビニルブチラールなどの有機バインダー樹脂を混合して、ドクターブレード法により、シート状にしたものである。
このセラミックグリーンシートは、誘電体グリーンシートとも呼ばれている。
本発明の導電性ペーストについて説明する。
本発明の導電性ペーストは、貴金属電極層に相当するもので、有機バインダーとなる樹脂をノルボルネン−(メタ)アクリレート系化合物である本発明の有機溶剤に溶解して得られる有機ビヒクル中に、Pdなどの金属粉末を分散させたものである。
有機ビヒクル中のノルボルネン−(メタ)アクリレート系化合物は、60〜95重量%であることが好ましい。より好ましくは、65〜85重量%である。
60重量%未満では、エチルセルロースなどの溶解性が悪くなり、一方、95重量%を超えると、有機ビヒクルの粘度が低くなり過ぎて好ましくない。
有機バインダーとしては、エチルセルロース、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂や、ブチルメタクリレート、メチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂が使用される。
本発明の導電性ペースト中には、粘度調整用の希釈溶剤を使用してもよい。
導電性ペースト中における、上記有機ビヒクルは、5〜40重量%であることが好ましい。より好ましくは、10〜30重量%である。
有機ビヒクルは、5重量%未満であると、乾燥膜の強度が弱くなり、一方、40重量%を超えると、焼成後の電極厚さが薄くなりすぎて好ましくない。
具体的には、塗布膜厚などの粘度調製として、一般に回転粘度計において100回転での粘度が40,000cps以下になるようにエチルアルコール、トルエン、トリメチルベンゼンなどに希釈溶剤を加えていることが多い。
本発明の溶剤成分について説明する。
本発明の溶剤成分に含有されるノルボルネン−(メタ)アクリレート系化合物は、セラミックグリーンシートに使用されるポリビニルブチラールなどの有機バインダー樹脂に対する溶解性が低く、一方、導電性ペーストに使用されるエチルセルロース、ニトロセルロース、ブチルメタクリレート、メチルメタクリレートなどの有機バインダーに対しては良好な溶解性を示すものである。
したがって、セラミック誘電層とPd(パラジウム)などの貴金属電極が交互に、規則性をもって積み重ねた積層体を製造することが可能となり、デラミネーションが生じない、電気的特性の劣化の発生しない、積層セラミックコンデンサーを提供することを可能にするものである。
以下実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
合成例1
(式(I)で表される化合物の合成)
グリュー分留管、デジサーモを備えた500mlの三つ口フラスコにジシクロペンタジエン196.6g(和光純薬社製、純度96.5%、1.4モル)を仕込み、160℃で10時間加熱した。加熱後、反応液を、35〜40℃で分留し、シクロペンタジエン76.8g(1.1モル)を得た。このシクロペンタジエンを、ヒューレットパッカード製GC6890ガスクロマトグラフィーで測定したところ純度95%であった。
冷却管、温度計、撹拌棒を備えた500mlガラス製四つ口フラスコに、上記ジシクロペンタジエンの熱分解によって得られたシクロペンタジエン68.5g(純度95%、1.0モル)とメチルアクリレート85.6g(和光純薬社製、純度99%、1.0モル)を仕込み、内温が0〜20℃の範囲におさまるように水浴で冷却しながら、14時間撹拌し反応させた。反応後、反応液を減圧蒸留(7.6mmHg、108〜110℃)することにより式(I)で表されるメチルアクリレート化ノルボルネン127.3g(収率83.3%、純度98%)を得た。
合成例2
(式(I)で表される化合物の合成)
冷却管、温度計、撹拌棒を備えた500mlガラス製四つ口フラスコに、合成例1と同様の方法で得られたシクロペンタジエン76.8g(純度95%、1.1モル)、n−ブチルアクリレート99.3g(和光純薬社製、純度99%、0.8モル)を仕込み、内温が0〜20℃の範囲におさまるように水浴で冷却しながら、14時間撹拌し反応させた。反応後、反応液を減圧蒸留(7.6mmHg、108〜110℃)することにより式(I)で表されるn−ブチルアクリレート化ノルボルネン127.3g(収率83.3%、純度99%)を得た。
合成例3
(式(I)で表される化合物の合成)
冷却管、温度計、撹拌棒を備えた300mlガラス製四つ口フラスコに、合成例1と同様の方法で得られたシクロペンタジエン34.7g(純度95%、0.5モル)、t−ブチルアクリレート63.7g(和光純薬社製、純度99%、0.5モル)を仕込み、内温が0〜20℃の範囲におさまるように水浴で冷却しながら、24時間撹拌し反応させた。反応後、反応液を減圧蒸留(7.6mmHg、113〜116℃)することにより式(I)で表されるt−ブチルアクリレート化ノルボルネン59.7g(収率60.3%、純度98%)を得た。
合成例4
(式(I)で表される化合物の合成)
冷却管、温度計、撹拌棒を備えた300mlガラス製四つ口フラスコに、合成例1と同様の方法で得られたシクロペンタジエン52.1g(純度95%、0.75モル)、エチルシクロヘキシアクリレート91.2g(和光純薬社製、純度99%、0.5モル)を仕込み、内温が0〜20℃の範囲におさまるように水浴で冷却しながら、30時間撹拌し反応させた。反応後、反応液を減圧蒸留(5.0mmHg、121〜123℃)することにより式(I)で表されるエチルシクロヘキシルアクリレート化ノルボルネンを84.7g(収率67.6%、純度99%)を得た。
合成例5
(式(II)で表される化合物の合成)
合成例1と同様の方法で得られた式(I)で表される化合物を100.0g、および粉末状の活性化ニッケル1.0gを仕込み、次いで、これを密閉し、雰囲気を窒素ガスで置換した後、水素ガス10kg/cmの圧力をかけながら導入した。そして攪拌しながら加熱し30℃となったところで、水素の圧力を50kg/cmとし、吸収された水素を補うことで圧力を50kg/cmに保ちながら2時間反応させた。反応後、反応油に含まれる触媒を吸引ろ過にて除去し、減圧蒸留(6.1mmHg、63〜65℃)することにより式(II)で表される水添メチルアクリレート化ノルボルネン77.7g(収率75.9%、純度97.0%)を得た。
(ブチラール樹脂の溶解性試験:実施例1〜5)
50mL共栓付試験管にブチラール樹脂(和光純薬社製:重量平均分子量(MW)2,400、住友化学製:S−LEC BH−3)500mgと本発明の各溶剤(合成例1〜5で得られた式(I)、(II)の溶剤)25gを入れ、スターラーで撹拌しながら60℃で2時間加温した。加温終了後上清を分取し、さらに2,000rpmで5分間遠沈操作を行った。このものの上澄みを1g取り、標品(旭電化工業社製アデカスタブAO−20)を50mg加えてGPCを測定した。測定後、ブチラール樹脂の分子量に相当するピークエリアと標品のピークエリア比より、各溶剤25gに溶解したブチラール樹脂量(mg)を算出した。その結果を表1に示す。
(エチルセルロースの溶解性試験:実施例1〜5)
50mL共栓付試験管にエチルセルロースSTD45(和光純薬社製)1,250mgと本発明の各溶剤(合成例1〜5で得られた式(I)、(II)の溶剤)25gを入れ、スターラーで撹拌しながら60℃で2時間加温した。加温終了後室温まで放冷し、エチルセルロースの溶け残りが無いか目視で確認した。完全に溶解したものについては○、溶け残りが確認されたものについては×とした。その結果を表1に示す。
比較例1〜6
ターピネオール、ジヒドロターピネオール、イソボルニルアセテート、ノピルアセテート、ターピニルアセテート、ならびにジヒドロターピニルアセテートを比較溶剤として用い、実施例と同様のブチラール樹脂溶解性試験、ならびにエチルセルロースの溶解性試験を行った。その結果を表1に示す。
(デラミネーションの発生の測定方法:実施例1〜5、比較例1〜6)
積層セラミックコンデンサーを製造する場合について、以下の方法で、本発明の導電性ペーストを評価した。
微細化したチタン酸バリウム粉末90重量%とポリビニルブチラール(積水化学工業社製S−LEC SB3)4重量%、エチルアルコール6重量%からなる有機ビヒクルを混練してセラミックスラリーを作製し、ドクターブレード法により、誘電体グリーンシートを作製した。
次に、実施例1〜5および上記比較例で使用したそれぞれの溶剤30重量部に、エチルセルロース樹脂(和光純薬社製、エチルセルロース)5重量部を溶解させ、有機ビヒクルを調合した。次に、この有機ビヒクル10重量部と、Pd(パラジウム)粉末を10重量部混練して、導電性ペーストを作製した。
上記誘電体グリーンシート上に、この導電性ペーストをスクリーン印刷し、そのシートを120℃で10分間乾燥させた。その後、そのシートを積層し、80℃、100kg/cm2、3分間で熱圧着し、30層の積層体である内部電極を作製した。その積層体を3mm×5mm角に切断し、大気炉にて1,350℃で2時間焼成した。その後、焼成体を研磨し、断面を光学顕微鏡で観察し、デラミネーションの発生の有無を観察した。結果を表1に記載した。


















Figure 0004730769
表1に示すように、本発明の溶剤(実施例1〜5で得られた式(I)、(II)の溶剤)は、エチルセルロースに対する溶解性を保ちながらも従来の金属ペースト用溶剤として使用されているターピネオールやイソボルニルアセテート、ターピニルアセテートなどと比較して、ブチラール樹脂の溶解性が著しく低下している。この性質のため、これら溶剤を用いた導電性ペーストは、従来のものと比較し、積層時のシートアタック現象やそれに伴うデラミネーション現象を抑制することができる。
本発明の導電性ペーストは、積層セラミックコンデンサーなどの製造の際に使用される導電性ペーストとして利用できる。

Claims (2)

  1. 多層セラミック部品を製造する際に用いる導電性ペーストにおいて、溶剤成分として、シクロペンタジエン系化合物と(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリレート系化合物とのディールス−アルダー反応を用いて製造されたディールスアルダー化合物および/またはその水添物を含有することを特徴とする導電性ペースト。
  2. ディールスアルダー化合物が下記式(I)で表され、その水添物が下記式(II)で表される請求項1記載の導電性ペースト。
    Figure 0004730769
    〔ただし、式(I)において、Rは、HあるいはCH、Rは炭素数1〜10の炭化水素である。〕







    Figure 0004730769
    〔ただし、式(II)において、RはHあるいはCH、Rは炭素数1〜10の炭化水素である。〕
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