JP4728888B2 - 鉄道車両の乗降扉用戸先ゴム - Google Patents
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例えば、鉄道車両の乗降扉に設置した戸先ゴム内に、密閉された空気室を設け、その空気室の上端にビニールチューブを連通し、そのビニールチューブの反対側に空気圧センサを連通する。乗降扉に人や物が挟まれたり、挟まれた物を引き抜こうとすると、戸先ゴムが圧迫され、戸先ゴムの空気室内の空気圧が上昇する。その空気圧の上昇が、ビニールチューブを伝わって、空気圧センサに届き、空気圧センサの接点が接触する。これにより電気信号が発せられ戸挟みが検知される。本発明は、このような戸挟み検知に用いられる戸先ゴムである。
また、上記の特許文献1に記載された、光ファイバーを使用して車外側からの戸挟みを検知する方法は、光量を検知する装置が別に必要になるため、コストが高く、また、多くの設置スペースが必要になるという問題があった。
本発明は、戸挟み検知に使用する戸先ゴムであって、特別なコストや仮設スペースの必要なしに簡易な構成で戸挟みを検知することができる鉄道車両の乗降扉用戸先ゴムの提供を目的とする。
また、本発明は、乗降扉に挟まれた物が車外のプラットホーム側から引っ張られた時の戸挟みの検知感度を敏感にし、乗降扉に挟まれた物が車内側から引っ張られた時の戸挟みの検知感度を鈍感にする(検知感度に指向性を持たせる)ことを可能とする鉄道車両の乗降扉用戸先ゴムの提供を目的とする。
また、本発明は、乗降扉に物が挟まれた場合の戸挟みの検知感度を敏感にする鉄道車両の乗降扉用戸先ゴムの提供を目的とする。
鉄道車両の乗降扉の戸先に設置され、弾性部材から構成される戸挟み検知装置用戸先ゴムである、鉄道車両の乗降扉用戸先ゴムを設ける。該戸先ゴムには空気室が設けられ、該戸先ゴムをその長手方向に直交する平面で切ったときの該空気室の断面形状は半円状であって、該半円形状の空気室は該戸先ゴムの車内側に配置され、該戸先ゴムの車外側は中実であり、該空気室は圧力センサが設けられた空間に連通している。
該戸先ゴムは、該乗降扉が閉じるときに接触する一対のゴムからなり、該一対の戸先ゴムのそれぞれに設けられた断面形状が半円状の空気室は、以下のように配置される。
それぞれの戸先ゴムに設けられた半円状の空気室の直線部分は、その円弧部分が対向するように該乗降扉の開閉方向に対してそれぞれ異なった方向に傾いており、かつ、それぞれの空気室の円弧部分が該戸先ゴムの先端部の近傍に位置し、さらに、該円弧部分が車内側を向くように配置される。
なお、上記戸先ゴムの先端部は、乗降扉が閉じるときに一対の戸先ゴムが互いに接触する部分を言う。
(1)本発明の鉄道車両の乗降扉用戸先ゴムには、該戸先ゴムをその長手方向に直交する平面で切ったときの断面形状が半円状である空気室が設けられる。また、上記空気室は圧力センサが設けられた空間に連通している。本発明の鉄道車両の乗降扉用戸先ゴムによれば、例えば、光ファイバー等光量を検知するための手段を必要としないため、特別なコストや設置スペースの必要なしに、簡易な構成で戸挟みを検知することができる。
(2)本発明の鉄道車両の乗降扉用戸先ゴムに設けられる該半円形状の空気室は戸先ゴムの車内側に配置され、戸先ゴムの車外側は中実である。従って、乗降扉に挟まれた物を車外のプラットホーム側から引っ張ると、戸先ゴムの車内側が圧迫されて、該半円形状の空気室が変形し、空気室内の圧力が上昇し、圧力センサを通じて戸挟みが検知される。本発明の鉄道車両の乗降扉用戸先ゴムによれば、乗降扉に挟まれた物を車外のプラットホーム側から引っ張った場合の戸挟みの検知感度を敏感にすることができる。
一方、乗降扉に挟まれた物を車内側から引っ張ると、戸先ゴムの車外側が圧迫されるが、戸先ゴムの車外側は中実であるので、空気室は少ししか変形せず、戸挟みが検知され難くなる。すなわち、本発明の鉄道車両の乗降扉用戸先ゴムによれば、乗降扉に挟まれた物を車内側から引っ張った場合の戸挟みの検知感度を鈍感にすることができる。
上記のように、本発明の鉄道車両の乗降扉用戸先ゴムによれば、戸挟みの検知感度に指向性を持たせることができる。その結果、危険性が高い車外からの物の引っ張りに対しては、敏感に戸挟みを検知して事故を防止することができ、危険性の低い車内からの物の引っ張りに対しては、戸挟みを検知しないで定時運行を維持することができる。
(3)本発明の鉄道車両の乗降扉用戸先ゴムは、乗降扉が閉じるときに接触する一対のゴムからなり、該一対の戸先ゴムに設けられた断面形状が半円状の空気室は、その円弧部分が対向するように、その直線部分が乗降扉の開閉方向に対してそれぞれ異なった方向に傾いており、かつ、それぞれの空気室の円弧部分が該戸先ゴムの先端部の近傍に位置し、さらに、該円弧部分が車内側を向くように配置される。
例えば、該一対の戸先ゴムに設けられた空気室は車内側に45°回転した位置に配置される。
上記構成を採る鉄道車両の乗降扉用戸先ゴムによれば、乗降扉に物が挟まれた場合に、乗降扉に挟まれた物が、戸先ゴムの先端部を圧迫して、該先端部の近傍に上記円弧部分が位置するように配置された空気室3の空気圧を敏感に上昇させ、圧力センサに戸挟みを検知させる。その結果、乗降扉に物が挟まれた場合の戸挟みの検知感度を敏感にすることができる。
乗降扉に人や物が挟まれたり、人が、挟まれた物を引き抜こうとすると、戸先ゴム2が圧迫され、戸先ゴム2に設けられた空気室3内の空気圧が上昇する。空気室3内の空気圧の上昇が、ビニールチューブ4を伝わって、空気圧センサ5に届き、空気圧センサの接点が接触することによって、電気信号が発せられて、例えばランプ6が発光し、戸挟みが検知される。また、空気室3の上端と下端に芯ゴム7を詰め込み、通常の戸閉操作の際は、芯ゴム7が戸閉力を受けて、空気室3の圧迫を無くし、誤検知を防止する。
図2(A)は、乗降扉1に挟まれた介在物8がプラットホーム側(車外側)から引っ張られた場合の戸先ゴムの動作例を示している。介在物8がプラットホーム側から引っ張られると、介在物8が、戸先ゴム2a内の空気室3の近傍(板厚の薄い部分)を圧迫するため、空気室3の空気圧を敏感に上昇させ、空気室3に連通する図1に示す空気圧センサ5に戸挟みを検知させる。
図2に示す構成を採る戸先ゴムによれば、コストアップや設置スペースの増加なしに、乗降扉に挟まれた介在物8をプラットホーム側から引っ張った場合と車内側から引っ張った場合の戸挟みの検知感度を異ならせて、検知感度に指向性を持たせることが可能になる。その結果、危険性が高い車外側からの引っ張りに対しては、戸挟みを敏感に検知して事故を確実に防止でき、危険性の低い車内側からの引っ張りに対しては、戸挟みを検知しないで、定時運行を維持することができる。
なお、図2では、戸先ゴムを乗降扉の開閉方向に対して車内側と車内側に二分したとき、空気室3が戸先ゴム2aの車内側部分に配置されている場合について示しているが、戸先ゴム2aの空気室3は、要は介在物8が車外側から引っ張られた場合に空気室3が変形し、介在物8が車内側から引っ張られた場合に空気室3が変形しないように配置されていればよく、空気室が車内側寄りに配置されるなど、その他の任意の構成を採ることができる。
図3(A)は、乗降扉1に挟まれた介在物8がプラットホーム側から引っ張られた場合の戸先ゴムの動作例を示している。介在物8がプラットホーム側から引っ張られると、介在物8が、戸先ゴム2cの空気室3の近傍(板厚の薄い部分)を圧迫するため、空気室3の空気圧を敏感に上昇させ、空気室3に連通する図1に示す空気圧センサ5に戸挟みを検知させる。
図3(A)及び図3(B)を参照して動作を説明した戸先ゴム2cによれば、コストアップや設置スペースの増加なしに、乗降扉1に挟まれた介在物8をプラットホーム側から引っ張った場合と車内側から引っ張った場合の、戸挟みの検知感度を異ならせて、検知感度に指向性を持たせることが可能になる。その結果、危険性が高い車外側からの引っ張りに対しては、戸挟みを敏感に検知して事故を確実に防止でき、危険性の低い車内側からの引っ張りに対しては、戸挟みを検知しないで、定時運行を維持することができる。
図3(C)を参照して動作を説明した戸先ゴム2cによれば、コストアップや設置スペースの増加なしに、乗降扉1に介在物8が挟まれた場合の戸挟みの検知感度を敏感にすることができ、戸挟みによる事故を確実に防止できる。
2、2a、2c 戸先ゴム
3 空気室
4 ビニールチューブ
5 空気圧センサ
6 ランプ
7 芯ゴム
8 介在物
Claims (1)
- 鉄道車両の乗降扉の戸先に設置され、弾性部材から構成される戸挟み検知装置用戸先ゴムであって、
該戸先ゴムは、該乗降扉が閉じるときに接触する一対のゴムからなり、該戸先ゴムには空気室が設けられ、該戸先ゴムをその長手方向に直交する平面で切ったときの該空気室の断面形状は半円状であって、該半円形状の空気室は該戸先ゴムの車内側に配置され、
該一対の戸先ゴムに設けられた断面形状が半円状の空気室は、該空気室の直線部分が前記乗降扉の開閉方向に対して傾いており、該空気室の円弧部分が対向し、かつ、該空気室の円弧部分が戸先ゴムの先端部近傍であって、車内側を向くように配置され、該戸先ゴムの車外側は中実であり、該空気室は圧力センサが設けられた空間に連通している
ことを特徴とする鉄道車両の乗降扉用戸先ゴム。
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