以下、図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明の一例としての穀物調製設備のフローシート、図2は穀物調製設備を右前面から見た斜視図、図3は穀物調製設備を右後面から見た斜視図、図4は穀物調製設備の正面図、図5は穀物調製設備の平面図である。
図1に示すように、本発明の穀物調製設備1は、原料昇降機100、脱ぷ風選装置101A及び揺動選別装置101Bからなる揺動選別式籾摺機101、粒選別機投入昇降機102、仕上風選装置103、石抜機104、粒選別機105、色彩選別機投入昇降機106、色彩選別機107、製品昇降機108、製品タンク109などが備えられる。
先ず原料昇降機100について説明すると、前工程の粗精選処理を終えた米麦などの原料が供給される供給口100aに設けられた原料シャッタs10を開状態にすることで上昇搬送し原料出口から流出させるものであり、原料出口では、「循環」「取出」「自動」のうちの何れか一つの状態で作動し得る切替操作gが可能とされる。この際、「循環」状態は原料出口から流出した原料を脱ぷ風選装置101Aの原料タンク6へ落下させる状態をいい、また「取出」状態は原料出口から流出した原料を取出タンクt1に落下させる状態をいい、また「自動」は基本的には「循環」状態に準じて作動するが、予め設定された時間が経過する度に比較的短い時間だけ「取出」状態にされる。
次に揺動選別式籾摺機101について説明する。図6は、揺動選別式籾摺機の全体斜視図、図7は揺動選別式籾摺機の全体正面断面図、図8は揺動選別装置の正面模式図、図9は揺動選別装置の側面模式図を示す。揺動選別式籾摺機101は、脱ぷ風選装置101Aを揺動選別装置101B上に載設して構成され、揺動選別装置101B上部の外周囲に作業フロア2aが横外方への張出し状に設けられるとともに、揺動選別装置101Bの下端部a1と作業フロア2aとの間に昇降移動用の階段2bが設けられる。
脱ぷ風選装置101Aは、図6に示すように、作業フロア2aよりも上側で作業フロア2a上に立った状態の作業者の手の届く範囲内に、後述する本願発明の要部である左右一対の脱ぷロール3が設けられ、外面ケーシング5の上側には原料タンク6が設けられており、該原料タンク6から非脱ぷ状態である籾などの穀粒が、被処理物通路7を通じて、一対の脱ぷロール3上に落下され、脱ぷロール3は落下した穀粒を挟み付けて摩擦することにより脱ぷ処理し、図7に示すように脱ぷ処理された被処理物が案内板8a,8bに案内されて落下口9から落下する。なお、左右一対の脱ぷロール3は、不図示の駆動プーリにより異なる周速度で互いに逆方向に回転駆動され、原料穀粒から、もち米やうるち米などの所望製品に脱ぷ調製するため、対応する予め設定されたロール圧になるように一方の脱ぷロール3が、不図示のエアシリンダなどにより他方の脱ぷロール3と接近離間する間隔変位自在に設けられている。
そして、揺動選別装置101Bの外面ケーシング10内の空気が、この外面ケーシング10内に設けられた動力ファン11の吸引力により脱ぷ風選装置101Aの外面ケーシング5の下面に形成された空気入口12a,12b,12cから吸引されて矢印方向f1へ流動し、次に案内板8bと、この下側の案内板13とで囲まれた風選部である選別風路14内を矢印f2で示す右斜め上方へ流動し、この空気流動による風選作用により玄米などの脱ぷ状穀粒は取出樋15からオーガ15aの搬送作用で取り出され、脱ぷされなかった籾などの2番物は取出樋16からオーガ16aの搬送作用で外方へ取り出される。
選別風路14の右下側には案内板17a,17bで囲まれた塵埃分離室18が形成されており、この塵埃分離室18の底部には繰出しロータ19aを内包したエアロックバルブ19を介装した外殻排出路20が形成されると共に、塵埃分離室18の左上部には空気吸引孔21が形成され、この空気吸引孔21から、案内板22a,22bで囲まれた空気吸引路23が下方へ向けて延出される。
選別風路14内を矢印方向f2へ流動する空気は、落下口9より落下した被処理物からその外殻を分離させるとともに、この外殻と一緒に塵埃分離室18内に流入して流速が低下し、外殻が重力分離されて空気のみが空気吸引路23を通じて下方へ流動される。一方、外殻は、塵埃分離室18の底部に降下した後、エアロックバルブ19で空気の流通を遮断された状態の下で外殻排出路20を通じて空気吸引路23の内方へ排出される。また、24a及び24bは、二番物取出樋16内からオーガ16aで取り出された小米や粃まどの二番物が落下する二番物落下路25を形成する案内板であり、この二番物落下路25は、揺動選別装置101Bの外面ケーシング10から突出された二番物取出口26に連通される。そして、外面ケーシング10の頂面部10aの上側に設けられた混合物タンク27に、脱ぷ風選装置101Aの玄米や混合米などの一番物取出樋15から取り出された被処理物が選別機投入昇降機28を介して搬送された後に投入される。
揺動選別装置101Bは、図7〜9に示すように、外面ケーシング10により略密閉状に囲まれた空間内に、前後方向と左右方向の双方に傾斜された選別要部29が設けてあり、この選別要部29は上面に凹凸の形成された平板状の揺動選別板29aを複数段に積み重ねて左右方向f3に揺動運動し、この揺動選別板29aの奥側である前後傾斜上位側に固定された供給タンク29b内に混合物タンク27の被処理物が供給され、前面側である前後傾斜下位側に固定された被処理物排出樋29cから揺動選別板29aで選別処理された後の被処理物が取り出される。
この被処理物排出樋29cの内方には脱ぷ状穀粒のみの一群とそれ以外の被処理物の一群とを分けて特定個所から落下させる仕切板g1が図示しないモータによる左右送り変位可能に設けられており、また被処理物排出樋29cから落下する穀粒の落下経路を切り替えるための通路切替弁g2が設けられている。この通路切替弁g2は支点p1回りへ揺動されて「自動」「循環」「仕上」の3つの状態のうちの何れかの状態に保持されるもので、「自動」の状態となされたときには、玄米などの脱ぷ状穀粒のみの落下経路h1に籾などの非脱ぷ状穀粒が混合する可能性が近づいたときにのみ、これを図示しないセンサが検出することなどに関連して、自動的に脱ぷ状穀粒のみの落下経路h1の出口を閉鎖する側へ揺動されて仮想線で示す位置p2に一時的に変位され、落下経路h1に案内されて落下した被処理物を脱ぷ状穀粒及び非脱ぷ状穀粒の混合物の落下経路h2内に落下させる。
また「循環」の状態では、仮想線で示す位置p2に保持されて脱ぷ状穀粒のみの落下経路h1の出口を常に閉鎖した状態とされ、落下経路h1に案内されて落下した被処理物を常に混合物の落下経路h2内に落下させる状態とし、また「仕上」の状態では、点線で示す位置に保持されて脱ぷ状穀粒のみの落下経路h1の出口を常に開放した状態となされて、脱ぷ状穀粒の落下経路h1の出口から、予定された脱ぷ状穀粒のみを落下させる状態とさせる。
外面ケーシング10の内方には、揺動選別装置101B全体を支持した図示しない本体基礎台と同体状に支持された固定枠板90に可動枠体91が左右向き支点軸92を介して結合され且つ前後傾斜角調節モータ93の駆動による左右向き支点軸92回りの揺動変位可能に装着されており、また可動枠体91上には左右の前後向き支持軸94,95を介して左右一対のリンクアーム体96,97が左右揺動可能に装着されるとともに、それぞれのリンクアーム体96,97の上側前後個所が選別要部29の対応個所に軸着されて、可動枠体91、選別要部29及び左右のリンクアーム体96,97を要素とした四節平行リンク機構が形成される。
そして、回転駆動軸98が回転駆動されることにより左右のリンクアーム体96,97が左右の前後向き支持軸94,95回りへ繰り返し揺動されて選別要部29が左右方向f3へ揺動される。また、前後傾斜角調節モータ93が回転作動されることにより選別要部29の前後傾斜角度が変更され、揺動位置調節モータ122が回転作動されることにより選別要部29の左右揺動範囲の角度位置が変更され、さらに左右傾斜角調節モータ127が回転作動されることにより選別要部29の左右傾斜角(選別角度)が変更される。
外面ケーシング10の前面部10bの大部分個所は第2の扉体T2から離れる側である左側縁に設けられた縦支軸129を介して支持され、且つこの軸129回りの開放変位可能となされた第1の扉体T1となされており、この扉体T1の内面側にはこれが閉鎖状態にあるときに選別要部29の前後傾斜下位側の被処理物の排出樋29cから送り出されて落下する被処理物を受け入れて特定個所へ重力作用により送り出すものとした被処理物自重落下案内路手段をなす配送シュート30が支持片を介して固定される。
この配送シュート30は、3つの独立した案内路30a,30b,30cを具備していて、各案内路30a,30b,30cの受入部はホッパ状とされ、左端の案内路30aは選別要部29から受け入れた脱ぷ状穀粒を粒選別機投入昇降機102の供給口102aで外面ケーシング10の左側面内方に設けられたシュート130の内方に落下させる。また、中間位置の案内路30bは、脱ぷ状穀粒及び非脱ぷ状穀粒の混合物を選別機投入昇降機28の供給口28aの内方に移送するために選別要部29下側に前後向きに配設された振動コンベア31の搬送始端に落下させる。さらに、右端の案内路30cは非脱ぷ状穀粒を原料昇降機100の供給口100aの内方に移送するために選別要部29下側に前後向きに配設された振動コンベア32の搬送始端に落下させるような構成とされる。なお、蓋体e2は、透孔e1を略気密状に閉鎖するもので、上方へ揺動開放可能かつ位置保持可能とさせる。
外面ケーシング10の内方右部には前記動力ファン11が固設してあり、この動力ファン11の空気吸引口には脱ぷ風選装置101Aの空気吸引路23と外殻排出路20の出口とが外面ケーシング10内の風路筒33を介して連通状に結合されるとともに、動力ファン11の空気吐出口からは不図示の排塵筒が外面ケーシング10の外方へ向けて延出される。そして、動力ファン11が作動しているときは動力ファン11の空気吸引作用により外面ケーシング10内の空気が脱ぷ風選装置101Aの空気入口12a,12b,12c及び空気吸引路23及び風路筒33を通じて吸引された後に図5に示す排塵筒34を通じて外側ケーシング10の外方へ排出される。この際、床面a2と外面ケーシング10との間の隙間や、スリット35を通じて外面ケーシング10の外側の空気がこれの内方へ吸引され、この吸引された空気により外面ケーシング10内に空気流が生成され、この空気流が外面ケーシング10内の塵埃の堆積し易い個所の塵埃を空気入口12a,12b,12c内に流入される。
次に、仕上風選装置103について説明する。図10は、仕上風選装置及び石抜機の側面断面図を示す。仕上風選装置103の外面ケーシング37は後述の石抜機外面ケーシング53の上面に気密状に連続して形成される。そして、粒選別機投入昇降機102で移送された脱ぷ状穀粒が、貯溜室42内に投入口38から投入される。
貯溜室42の下側には案内板41およびこの下側に固定された案内板47とで囲まれた傾斜状の選別風路48が形成され、この選別風路48の上端が上下向きの仕切板49で囲まれた吸引室50に連通され、一方では風選装置外面ケーシング37の下面側の空気入口51から吸引した空気が仕切板49で矢印方向f4へ案内されて流入し、続いて選別風路48の下端から矢印方向f5へ流動し、この空気流動により落下口42aから落下している脱ぷ状穀粒に混入している比較的小さい塵埃を選別風路48で分離させ、これら塵埃を吸引室50、空気吸引口39及び風路管40を経て、風路筒33内に前記動力ファン11の吸引力で吸引される。こうして風路筒33内に吸引された塵埃は動力ファン11に吸引され、籾殻などの外殻などと一緒に排塵筒34を通じて外方へ排出される。
次に、石抜機104について説明する。上述した仕上風選装置103の下方に設けられた石抜機104は、多数の噴風口を有する多孔選別板54が揺動作動されて、送風ファン56により石抜機外面ケーシング53の側面に形成された図示しない空気入口を通じて外気が吸引され、この吸引された外気によりファンケース57内に生成された風が多数の前記噴風口から上方へ向け吹き抜けている状態の下で、仕上風選装置103から落下した脱ぷ状穀粒が、案内板58a,58bに案内されて多孔選別板54上に供給されると、滑落し易い脱ぷ状穀粒は下位側へ流動して案内板59で囲まれた穀粒落下路60を通じて下方へ落下する。一方、滑落し難い石などの異物は、上位側へ送り移動されて多孔選別板54の上端から石取出し空間132内に落下され、続いてファンケース57の下側で石抜機外面ケーシング53の内方を密閉状に横断するように配設され石取出空間132の下面をなしている収集樋状部61の底部に収集され、この収集された異物は収集樋状部61の底部に設けられたオーガ62により石抜機外面ケーシング53の外方へ排出される。
次いで粒選別機105は、図3に示すように6本の回転選別胴64を縦2列で三段階に配列したものとなされ、各回転選別胴64については周面に無数の選別孔を形成して排出側を供給側よりも少し低くした略水平姿勢となされ且つ回動可能に架設され、各回転選別胴64の供給側の内方に石抜機104の穀粒落下路60から落下した穀粒を前記選別孔の大きさに関連した大小に選別し、大きい粒形の穀粒が色彩選別機投入昇降機106の供給口106aへ向けて流出され、小さい粒形の未熟粒などが未熟粒通路65を経て図5に示す特定個所p3へ流出される。
次に色彩選別機107は、図2および図5に示すように、サービスタンク66と色彩選別処理部67とを備えており、上述の色彩選別機投入昇降機106からサービスタンク66の第1区画個所b1に脱ぷ状の大きい粒形を有する穀粒が投入され、この第1区画個所b1から色彩選別処理部67の一次処理部に連続的に前記穀粒が供給され、この一次処理部にて先ず一次選別処理されて、良品のみの一群と、良品及び着色粒の混合品群とに選別され、混合品群が一次不良品昇降機68で揚上搬送されてサービスタンク66の第2区画個所b2に投入され、この第2区画個所b2から色彩選別処理部67の二次処理部に連続的に供給されて二次選別処理され、この二次処理で着色粒と良品粒とに厳密に選別し、着色粒は外方に向け流出され、良品粒が二次良品昇降機69で揚上搬送されてサービスタンク66の第1区画個所b1に戻され、この後、第1区画個所b1内の他の穀粒と一緒に一次選別処理の対象となり、一方、一次選別処理で選別された良品の脱ぷ状穀粒を製品として図1に示す製品昇降機108の供給口108aに向け流出される。
製品昇降機108の出口個所には図1に示すタンク切替弁g3が設けられており、このタンク切替部弁g3は複数の製品タンク109のうちの任意なものに投入できるように作動する。また、製品タンク109の下方に出荷計量機110を設けて、109内の製品を計量し、任意な特定重量だけ取り出すことができるように構成してもよい。
なお、穀物調製設備1の各装置は、上述した配置に限定されることはなく、例えば前記色彩選別機投入昇降機106及び前記色彩選別機107を省略して、粒選別機105と製品昇降機108とを連続させ、また揺動選別装置101Bと粒選別機投入昇降機102との間に予め設計され適合性を確保されている不図示の異種選別機投入昇降機及び異種選別機などを設けてもよい。この際、異種選別機は、揺動選別装置101Bで選別しきれなかった脱ぷ状穀粒中の異物(例えば非脱ぷ状穀粒、米処理中の麦、草の種など)を選別するもので、揺動選別装置101Bと同様な機構により揺動選別される。
以上のような構成を有する穀物調製設備1を制御するために、図6に示すように外面ケーシング10の前面部の右部で扉体T1の右側となる個所には、右側へ向かうに伴って前方へ張り出す態様の傾斜状となされた前面部36aを有し前後幅が左右長さに較べて比較的小さい平面視略三角形状となされた略密閉状の制御盤36が形成される。この際、前面部36aの大部分が第2の扉体T2とされ、この扉体T2は第1の扉体T1から離れる側である右側縁に設けられた縦支軸131を介して支持され、且つこの軸131回りの開放変位可能となされており、第2の扉体T2の外面には基本的な各種スイッチを具備した機械式入力部a3や、監視操作用として液晶板を備えた表示部であるタッチパネルa4が装設される。なお、制御盤36の内方には穀物調製設備1の各部を制御するための制御用電気部品が密集される。
この制御盤36により穀物調製設備1を制御する制御機構について説明する。図11は、制御盤の斜視図、図12は制御盤のモニター部の正面図を示す。前記機械的入力部a3には、操作電源スイッチ133、自動・手動・遠隔切替スイッチ134、起動警報スイッチ135、起動スイッチ136、停止スイッチ137、警報停止スイッチ138及び非常停止スイッチ139が設けられており、また、主電源表示ランプ140及び操作電源表示ランプ141のほか、脱ぷロール3の挟み付け圧力の数値表示部142や警報ブザー143が設けられ、さらにこの数値表示部142に関連して位置する脱ぷロール模式図144などが表示される。
操作電源スイッチ133及び操作切替スイッチ134は入力部を回し操作する機械式のスイッチであり、操作電源スイッチ133は商用電源から電流が供給されている状態の下で入り操作されると、制御系統に電力を供給する状態となるものであり、また操作切替スイッチ134は入力部を回し操作することで自動位置、手動位置、遠隔位置の何れかに位置保持される機械式のスイッチで、自動位置では穀物調製設備1が自動モードで運転されるようになり、また手動位置ではそれが手動モードで運転されるようになり、また遠隔位置では遠隔監視操作室内から各部が操作される。
起動警報スイッチ135、起動スイッチ136、停止スイッチ137、警報停止スイッチ138及び非常停止スイッチ139は、入力部を押し操作される機械的なスイッチであり、この際、起動警報スイッチ135は、穀物調製設備1を起動する直前に注意を喚起するために押し操作されるもので、押し状態で入りとなって警報ブザー143を作動させるものである。起動スイッチ136は、押し状態で入りとなって穀物調製設備1を起動させ、停止スイッチ137は押し状態で入りとなって穀物調製設備を停止させる。さらに、警報停止スイッチ138は押し操作することにより警報ブザー143の作動などを停止させ、非常停止スイッチ139は押し操作することにより穀物調製設備1の各作動部の全体を瞬時に停止させるものである。
また、タッチパネルa4の液晶板は、床面a2に立った作業者の目の高さに設けられる。図13は、タッチパネルの表示面の一例を示す。このタッチパネルa4及び機械式入力部a3に関連した制御機構について作動の順を追って説明する。
まず、制御系統に通電された状態で、操作切替スイッチ134を「自動」に位置させると、タッチパネルa4の表示面145には自動モードのメイン画面G1のうちの「運転中」という文字の代わりに「停止中」という文字が表示された自動モード停止画面が表示される。なお、メイン画面G1には、穀物調製設備1の各部も同時に表示されており、上述した穀物調製設備1の調製装置に対応する部位には同一の符号を付し、その部位が対応する調製装置を示す表示個所である。
メイン画面G1上において、脱ぷ風選装置101Aには、原料タンク6内の原料の蓄積状態を示す表示j1、脱ぷロール3への原料タンク6の出口に設けられている原料供給調節弁の開度を示す表示j2、脱ぷロール3の作動状態を示す表示j3、及び、脱ぷロール3用駆動モータの電流値を示すj4などが表示され、揺動選別装置101Bには、混合物タンク27内の被処理物の蓄積状態を示す表示j5、選別板29aの作動状態を示す表示j6、仕切板g1の作動状態を示す表示j7、および選別板29aの左右傾斜調節作動状態を示す表示j8などが表示される。
さらに、石抜機104には、ファン56の状態を示す表示j9、粒選別機105には選別胴64の作動状態を示す表示j10、未熟粒を搬出するためのコンベアの作動状態を示す表示j11、及び、未熟粒を収集するタンク内の未熟粒の蓄積量の状態を示す表示j12がそれぞれ表示される。また製品タンク109内の製品の蓄積量の状態を示す表示j13、そして前記した各昇降機28、100、102、108には搬送要部の作動状態を示す表示j14などが表示される。
このとき例えば、脱ぷロール3の作動状態を示す表示j4は、一対の脱ぷロール3を表す2つの円形図からなり、2つの円形図のそれぞれが回転するようなアニメーションにより脱ぷ風選装置101Aの作動中が表現される。また、揺動選別装置101Bにおける選別板29aの表示j6などは、選別板を表す四角形図からなり、この四角形図が左右へ振動するように、各調製装置の特徴を表したアニメーションなどで表現することもできる。
そして図14は、タッチパネルを介して調製装置を制御する制御機構のブロック図を示す。なお、図14には調製装置の一部である原料昇降機100の制御機構のみを詳細に示したもので、他の調製装置の詳細な制御機構は省略する。
ここで例えば、メイン画面G1上において、原料昇降機100の出口個所には「自動」「循環」「取出」の3つのスイッチc1、c2、c3が設けられており、何れか1つに触れると、その信号が図14に示すコントローラ200に伝わり、該コントローラ200が原料昇降機100の切替操作gをその触れたスイッチに対応させた状態にすることができる。なお通常は「循環」の状態に設定されている。そして、原料昇降機100内の出入口などに設けられた赤外線センサや光センサなどの検出器100sで原料昇降機100内の原料穀粒の通過状況などを検出した情報に基づいて、コントローラ200は原料昇降機100の正常、異常もしくは停止など運転状況をメイン画面G1上の原料昇降機100の表示ランプに、色分け点灯や点滅あるいは消灯などで表示させるような制御機構とされる。
また、メイン画面G1の下辺近傍には、作業者が測定した調製タンク内などの被処理物の水分値を入力する画面を表示させる水分値入力スイッチ148、装置の異常発生時に異常要因のタイトル及び対処方法を含む異常内容詳細の記載された異常要因画面を表示させる異常要因スイッチ149、各装置の動作設定画面を表示させる各種設定スイッチ150、各装置の稼働データを入力する稼働データスイッチ151、各装置の駆動部に対応した各運転・停止スイッチを表示する単動操作スイッチ152、選別機自動手動切替画面を表示する選別機スイッチ153、各モータのこれまでの電流値の経過を表示する電流モニタスイッチ154などが備えられ、各スイッチに触れることでメイン画面G1に代えて触れたスイッチに該当する画面が表示される。
そして、メイン画面G1上の例えば脱ぷ風選装置101Aの点線tで囲まれた範囲内または、揺動選別装置101Bの点線tで囲まれた範囲内を触れると、各種設定スイッチ150に触れて所望する装置の設定画面の呼び出し操作同様に、それぞれの装置に対応した設定画面に一度のタッチで呼び出すショートカットが可能となり、実行頻度の多い設定操作が迅速に行える構成とされる。
さらに、メイン画面G1の左上部の「自動モード」と表示された個所の近傍が調節スイッチ160となっており、この調節スイッチ160を触れると、図示しない調節画面がメイン画面G1に代えて表示される。この調節画面上には、異種選別機や付属装置などの装置をメイン画面G1上に表示または非表示とするためのスイッチが表示され、これらのスイッチを非表示状態にするように触れ操作すると、触れ操作されたスイッチに対応した装置類がメイン画面G1上から消失されて、その消された装置類の存在しない状態の穀物調製設備を表す画面がメイン画面G1として表示される。
図14に示すように、メイン画面G1や、メイン画面G1上に有する各スイッチの選択により誘導された当該誘導画面G2などは、コントローラ200に全て接続されており、作業者に選択されたメイン画面G1や誘導画面G2などに有するスイッチの信号に基づいて、上述同様にコントローラ200が、脱ぷ風選装置101Aや揺動選別装置101Bなど穀物調製設備1内の選択された装置の動作を制御する構成とされる。
そして、例えば作業者が、制御系統に通電された状態で、操作切替スイッチ134を「自動」に位置させ、タッチパネルa4の表示面145には、自動モードのメイン画面G1のうちの「運転中」という文字の代わりに「停止」という文字が表示された自動モード停止画面を表示させる。次に、起動警報スイッチ135を押し操作して警報ブザー143を鳴らし、これから各部が作動することを周囲の作業者に予知させた後、起動スイッチ136を押し操作する。これにより各調整装置はコントローラ200の指示により予め定めた順に自動的に起動され、定常な運転状態で操業される。また、必要に応じてその都度切替スイッチ134を手動にすることにより、タッチパネルa4の表示面145上で装置を手動操作することができる。
次に、本願発明の特徴である脱ぷ風選装置について、その具体的構成を説明する。図15は、脱ぷ風選装置における脱ぷロールを右斜めから見た斜視図、図16は脱ぷ風選装置内部を模式的に示す右斜めから見た斜視図、図17は扉体と脱ぷロールとを模式的に示した右側面図である。
図15および図16に示すように、外面ケーシング10内に有する左右一対の脱ぷロール3は、それら駆動軸3aの軸心3bを外面ケーシング10の正面であって、上端に設けられたヒンジなどを介して開閉自在に設けられる扉体T2に向けて配設されており、それぞれの脱ぷロール3の内部奥に有する中心部空洞の内周壁3cを駆動軸3a外周に突出する軸固定ボス3dに取付ネジ3eによる締め付けで、駆動軸3aに固定される。
そして、脱ぷロール3前端と取付ネジ3eとの間のホイール3fには、前述のように上方より落下供給される籾などの原料穀粒の脱ぷ処理時において、発生するヌカや、脱ぷ圧力により折損などして飛び散った穀粒などが、外面ケーシング10内部を乱反射して入り、図15のように堆積して固着するため、取付ネジ3eがそれら穀粒などの残留物158である堆積物に埋没してしまい、メンテナンスや交換などのため脱ぷロール3の取り外しを行う際、残留物158の除去を行わなければならず、さらに、この残留物158がホイール3fに強固に固着堆積している場合が多く、容易に除去できない。そこで、本願発明では、脱ぷ風選装置101A内にノズル154,155を設け、揺動選別式籾摺機101の起動中に自動的にホイール3fの残留物158をノズル154,155からの噴風圧により除去するものである。
図16に示すように、脱ぷ風選装置101Aの例えば外面ケーシング10の上面右側部には、原料穀粒から、もち米やうるち米などの所望製品に脱ぷ調製するため、対応する予め設定されたロール圧になるように正面左側など一方の脱ぷロール3を正面右側など他方の脱ぷロール3と接近離間するために回動させる、エアーコンプレッサ151や配管152などから構成されるエアハイドロユニット150が設けられている。
また、扉体T2を閉じた状態であって、それぞれの脱ぷロール3の、例えば駆動軸3aの軸心3bから水平に位置する、矢印f5方向に開閉自在の扉体T2内面に、正面視横方向に略長方形などのノズルケース153が設けられる。このため、脱ぷ風選装置101A内のメンテナンスの際、ノズルケース153などが邪魔になることがない。
そして、エアハイドロユニット150におけるエアーコンプレッサ151の圧縮空気が配管152を介して供給される不図示のエアシリンダにより、一方の脱ぷロール3を、矢印f6方向に示す水平方向に回動させ、脱ぷロール3の間隔を開放した位置のそれぞれの脱ぷロール3の駆動軸3aの、例えば軸心3bから水平に位置するノズルケース153内に、図17に示すようにそれぞれ噴出口154a,155aがホイール3f内を向くように2個のノズル154,155が設けられる。このようにすることで、脱ぷロール3の磨耗による脱ぷロール3間距離の変動に影響されることなく、脱ぷ処理待機時に離間するそれぞれ脱ぷロール3のホイール3f内に確実にノズル154,155からの噴風を当てることができる。なお、ノズル154,155の装着数はそれぞれのホイール部3f内に向けて脱ぷロール3内で対流を起こし易い2個であることが好ましいが、噴風圧やノズルの大きさなどによってはそれぞれの軸心3b近傍に向けてそれぞれ2個以上複数個のノズルを設けてもよい。
また、エアハイドロユニット150内の、エアシリンダに圧縮空気を供給する配管152から分岐された、配管156などが扉体T2の開閉を阻害しないように扉体T2後方から扉体T2内に導入され、ノズルケース153内に挿入し、エアハイドロユニット150に近い方のノズル154を介してノズル155まで接続される。さらに、配管156の中途部には、図14に示すようなコントローラ200などに接続された電磁開閉バルブ157が設けられる。このため、脱ぷロール3内に入った残留物158を除去するためだけの他のエアーコンプレッサなど他のユニットを設ける必要がなく、コストダウンすることができる。なお、配管156は、弾性または塑性可能な部材から成り、耐圧性を有することが好ましい。
ここで、穀物調製設備1の稼働中に脱ぷロール3のホイール3f内に入った残留物を除去する場合には、不図示のロール圧着用のエアシリンダが脱ぷロール3を離間させる作動信号および、脱ぷロール3上方に有する不図示の原料穀粒供給シャッタの閉信号により、コントローラは、電磁開閉バルブ157を予め設定された時間と間隔で開かせて、エアーコンプレッサ151からの圧縮空気を配管152を介して配管156に導入させる。そして、ノズル154,155の噴出口154a,155aからホイール3f内に向かって矢印f7方向へ噴出した圧縮空気が、電磁開閉バルブ157の開閉に連動して、例えば2秒間、断続的に3回程度噴射され、ホイール3f内に衝突した噴風が、ホイール3f外に出される反射と対流により、それぞれのホイール3f内に入った残留物158が脱ぷロール3外に排出されて落下し、選別風路14内の流動空気による風選作用で分離除去される。
なお、噴出口154a,155aからの圧縮空気の噴射時間および間隔は、電磁開閉バルブ157の開時間および開間隔であり、この電磁開閉バルブ157で設定した上述の条件に限定されず、適宜設定することができる。また、空気圧もエアーコンプレッサ151で適宜設定できるが、エアシリンダと共用するため、このエアシリンダを作動させる0.6MPa〜0.7MPa程度が好ましい。そして、電磁開閉バルブ157の作動および開時間、開間隔などの設定方法は限定するものではないが、例えばタッチパネルa4のメイン画面G1に有する各種設定スイッチ150の中に図示しない電磁開閉バルブ157の設定スイッチを設けてもよく、この電磁開閉バルブ157の設定スイッチにより圧縮空気の噴射時間および間隔などが設定される。
また、上述とは別実施例として、脱ぷロール3上方に設けた検出器によって、脱ぷロール3に落下する原料穀粒を検出し、自動的にホイール3fの残留物158をノズル154,155からの噴風圧により除去することもできる。
この場合、一方の脱ぷロール3の回動による一対の脱ぷロール3の接近離間は、脱ぷロール3上方などに設けられた赤外線センサや光センサなど不図示の検出器により、脱ぷロール3上に落下する原料穀粒が検出された場合、コントローラは、所望製品に対応するロール圧にするための予め設定した距離に一方の脱ぷロール3を回動させ、さらに待機などで脱ぷロール3上に原料穀粒が落下していないことが検出された場合、コントローラは、脱ぷロール3が所定の離間距離になるように一方の脱ぷロール3を回動させる構成としている。
そして、穀物調製設備1の稼働中に脱ぷロール3のホイール3fに入った残留物を除去する場合には、まず、脱ぷ風選装置101Aにおける前後工程の調製状態や原料穀粒の供給切れなどにより、脱ぷロール3上に原料穀粒が落下していないことが前記検出器により検出された情報に基づいて、前記コントローラは脱ぷロール3が所定の離間距離になるように、ハイドロユニット150内のエアーコンプレッサ151から圧縮空気を配管152を介して供給した不図示のエアシリンダによって、一方の脱ぷロール3を回動させる。
このときコントローラは、電磁開閉バルブ157を予め設定された時間と間隔で開かせて、エアーコンプレッサ151からの圧縮空気を配管152を介して配管156に導入させる。そして、ノズル154,155の噴出口154a,155aからホイール3f内に向かって矢印f7方向へ噴出した圧縮空気が、電磁開閉バルブ157の開閉に連動して、例えば2秒間、断続的に3回程度噴射され、ホイール3f内に衝突した噴風が、ホイール3f外に出される反射と対流により、それぞれのホイール3fに入った残留物158が脱ぷロール3外に排出されて落下し、選別風路14内の流動空気による風選作用で分離除去される。
そして、揺動選別式籾摺機101による脱ぷ処理が再開される際、脱ぷロール3上に落下する原料穀粒を検出器により検出された情報に基づいて、コントローラはエアシリンダを作動させ、所望製品に対応するロール圧にするための予め設定した距離に、一方の脱ぷロール3を回動させて脱ぷ処理が行われる。
このように、脱ぷロール3内の残留物158は、脱ぷ風選装置101A稼働中であって、脱ぷロール3の間隔開放時に、断続的なノズル154,155からの風圧により除去された後、落下した選別風路14内で分離除去されるので、一度の噴風で除去できなかった残留物158を脱ぷロール3内の底部に拡散させて次の噴風で吹き飛ばすことにより、短時間に効率よく残留物を除去できるとともに、脱ぷロール3の取付ネジ3eが常に露出することで脱ぷロール3の交換作業を容易にすることができる。
なお、上述した発明は、穀物調製設備1を構成する脱ぷ風選装置101Aに限定されるものではなく、脱ぷ風選装置単体機種や揺動選別式籾摺機単体機種にも適用することができる。
以上詳述したように、外面ケーシング10と、この外面ケーシング10の一側に設けた開閉自在の扉体T2と、この扉体T2に軸心3bを向け外面ケーシング10内に、間隔変位自在に配設する一対の脱ぷロール3と、この脱ぷロール3下方に配置した選別風路14を有する風選部とを備え、それぞれの脱ぷロール3のホイール3f内に向けて噴風するエアーノズル154,155を扉体T2内面に装着し、穀物調製設備1に用いられるエアーコンプレッサ151にてエアーノズル154,155からエアー噴風するものである。加えて、脱ぷロール3内の残留物158は、脱ぷ風選装置101Aが作動中であって、脱ぷロール3の間隔開放時に、エアーノズル154,155からの噴風で選別風路14内に落下し、分離除去される。