JP4728430B2 - 粉体化粧料およびこれに用いる平板状硫酸カルシウム2水塩の製造方法 - Google Patents

粉体化粧料およびこれに用いる平板状硫酸カルシウム2水塩の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、従来の粉体化粧料よりも多量に油性成分を配合することのできる粉体化粧料およびこれに用いる平板状硫酸カルシウム2水塩を製造する方法に関する。
パウダーファンデーション、アイシャドー等の粉体成分を含有する粉体化粧料は、化粧品の分野での一つの大きなジャンルである。
これら粉体化粧料は、体質顔料、顔料等の粉体成分とバインダーとしての油性成分を均一に混合分散させて粉体の混合物を得、更に、この混合物を金皿に盛り、プレス充填して成型することにより得られる。
上記粉体化粧料に使用される粉体成分のうち、体質顔料としては、皮膚の上での伸びやつきが良いために天然物由来で薄板状の雲母片、セリサイト、タルク等やその表面処理物が使用されてきた。また、体質顔料の皮膚上での滑りの良さや感触の改良剤として有機粉体である真球状ナイロン粉末が上記体質顔料と共に使用されてきた。更に、顔料としては、二酸化チタン等の白色顔料、ベンガラ等の着色顔料、雲母チタン等の光沢顔料が使用されてきた。
上記粉体成分をこれらの粉体化粧料に使用した場合、その粉体化粧料に配合される油性成分の合計量は、粉体成分の種類によって多少の差は認められるものの、概ね15質量%以下の範囲に限定されていた。その理由は、粉体化粧料において油性成分の量を多くしていくとウェット感がでて、肌へのフィット感も増すという良い傾向があるが、上記した量範囲をこえて油性成分の量が多くなりすぎると、粉体同士の凝集が生じて粉体化粧料とは言い難くなり、また充填物の表面がケーキング(表面が硬くなって、パフで取れにくくなる現象)を生じて、使用が困難になるという問題があった。
ところで、粉体化粧料の体質顔料としては、従来より用いられている雲母片、セリサイト、タルク等の他にも、同じ天然の鉱物である石膏(硫酸カルシウム2水塩)等を用いることも考えられる。しかし、これまでは石膏の1/2水和物である焼石膏が、水と化学反応し、固まる性質を利用して、パック等に用いられているだけであり、石膏自体は粉体化粧料の体質顔料としては利用されていなかった。
また、石膏には天然石膏だけでなく化学的に合成される化学石膏もあり、このものは様々な方法で製造され、その製造条件により、生成する石膏の結晶の形態も様々である。例えば、化学石膏としては、繊維状、米粒状、球状、厚めの板状等のものが知られている(特許文献1〜15)。しかし、これらの化学石膏の製法はいずれも煩雑で、かつ、使用する薬品や反応条件等の危険度が高いという問題があった。
最近、平板状の化学石膏の製法が公開された(特許文献16)。この方法は、加熱石膏溶液を過飽和度が0.15mol/L以上となるまで、静置して冷却した後、攪拌により、急速に結晶を析出させることにより平板状の化学石膏を製造している。
しかしながら本方法では、溶解時に溶液温度を80℃以上100℃未満に加熱し、かつその温度の下で、塩酸、硝酸等の腐食性の強い鉱酸を使用しなければならないので製造上コストがかかり、かつ、危険度が高いという問題があった。
特開2002−29740号公報 特開平7−330329号公報 特開昭56−41828号公報 特開昭55−47224号公報 特開昭48−71392号公報 特開昭48−71392号公報 特開昭50−158595号公報 特許3838281号 特許3583170号 特許3170234号 特開2001−26420号公報 特開2000−34121号公報 特開2004−323332号公報 特開平11−116239号公報 特開平10−287421号公報 特開2006−335578号公報
従って、油性成分の配合量を多くしても、粉体成分が凝集を起こすことなく、また、プレスした場合であっても表面の粉体成分のケーキングを起こすことのない粉体化粧料が求められており、本発明はそのような粉体化粧料の提供をその課題とするものである。
また、本発明は上記粉体化粧料に用いる平板状硫酸カルシウム2水塩を従来よりも穏やかな条件で安全に、かつ、低コストで製造する技術を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、より多くの油成分を含有することが可能な化粧料用粉体成分について、広く有機化合物、無機化合物の中から探索を行った。そしてその結果、硫酸カルシウム2水塩を粉体成分として化粧料に配合することにより、上記課題を解決できることを見出した。また、既存の化学石膏の製造法に比べより優れた方法を検討した結果、消石灰等のカルシウム塩を酢酸等の有機酸で溶解後、硫酸水溶液と室温程度で反応させることにより、平板状の硫酸カルシウム2水塩がより安全に析出することを見出し、本発明を完成した。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、その第1の発明は、硫酸カルシウム2水塩と油性成分とを含有することを特徴とする粉体化粧料である。
また、本発明の第2の発明は、カルシウム塩を有機酸に溶解させカルシウム溶液とし、これを硫酸と反応させることを特徴とする平板状硫酸カルシウム2水塩の製造方法である。
本発明により得られる粉体化粧料は、油性成分の配合量が多くても、粉体の凝集を起こさず、粉体自体のサラサラ感等の特性も維持され、また、粉体をプレスしてもケーキングを起こしにくいという特性を有する優れたものである。
従って、本発明の粉体化粧料は、パウダーファンデーション、アイシャドー、粉白粉等の粉体化粧料の形で好適に用いることができる。
また、本発明の製造方法によれば、上記の粉体化粧料等に用いることのできる平板状硫酸カルシウム2水塩を、有機酸を利用することにより室温程度の穏やかな反応条件で製造することができる。また、この方法は、使用される有機酸が回収され、再利用することができるので経済的であり、かつ、環境にもやさしい方法である。
本発明の粉体化粧料は、通常の粉体化粧料に使用される粉体成分の一部または全部を硫酸カルシウム2水塩に換える以外は、通常の粉体化粧料と同様にして調製することができる。
本発明の粉体化粧料において、粉体成分の一部または全部として用いられる硫酸カルシウム2水塩(石膏)としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限無く、一般に入手可能な食品添加物、試薬等に使用されるグレードのもの等を使用することができる。この硫酸カルシウム2水塩は、一部板状であり、粉体化粧料において、油性成分を従来の体質顔料を用いたものよりも多く含有させることができる。なお、硫酸カルシウムの塩には2水塩の他にも、無水塩(硬石膏)および半水塩(焼石膏)もあるが、無水塩および半水塩のいずれも皮膚の上での伸び、感触、油分を吸収できる量の少なさ等において2水塩に劣り、実用上利用できない。
本発明の粉体化粧料においては、上記硫酸カルシウム2水塩の中でも平板状硫酸カルシウム2水塩を利用することが好ましい。このものは板状であり、一般の硫酸カルシウム2水塩に比べ、その10分の1以下の厚みであり、感触に優れる点で好ましい。平板状硫酸カルシウム2水塩とは、具体的に、硫酸カルシウム2水塩であって、その結晶の長径が20〜200μm、好ましくは20〜150μm、短径が10〜100μm、好ましくは10〜50μm、厚さが0.5〜3μm、好ましくは0.5〜2μm、長径と短径との比が1〜10、好ましくは1〜5、厚さに対する長径の比(アスペクト比)が10〜400、好ましくは10〜100のものをいう。
このような平板状硫酸カルシウム2水塩は、公知の方法、例えば、亀山ら、「炭酸カルシウムと硫酸からの板状硫酸カルシウムの合成」、岡山県工業技術センター平成元年度報告(No.16)、特開2006−335578号公報等に記載の方法や、後記する本発明者らが見出した方法等により製造することができる。
上記平板状硫酸カルシウム2水塩の製造方法の一例を示せば次の通りである。まず、炭酸カルシウム10gを水1Lに懸濁させて炭酸カルシウム懸濁液を調製する。次に、この懸濁液に0.1モルの硫酸1Lを毎分100mL程度で滴下し、生成した沈殿をろ過することにより平板状硫酸カルシウム2水塩が得られる。また、得られた平板状硫酸カルシウム2水塩は、80℃程度で乾燥させ、結晶水以外の水が存在しない状態にしても良い。
また、本発明者らが見出した、上記平板状硫酸カルシウム2水塩の製造方法を示せば次の通りである。まず、カルシウム塩を有機酸に溶解させカルシウム溶液とし、これを硫酸と反応させることにより平板状硫酸カルシウム2水塩を析出させるものである。
上記製造方法に用いられるカルシウム塩としては、特に制限されないが、経済的な観点から、消石灰、生石灰、炭酸カルシウム等が好ましく、特に消石灰が好ましい。また、前記カルシウム塩としては重金属の含有量の少ないものを使用することが好ましい。
また、上記製造方法に用いられる有機酸としては、特に制限されないが、酢酸、蟻酸、乳酸、プロピオン酸、酒石酸が好ましく、特に酢酸が好ましい。また、これら有機酸は予め純水で90質量%(以下、単に「%」という)程度に希釈しておいてもよい。
上記カルシウム塩を有機酸に溶解させる条件は、特に限定されないが、例えば、純水にカルシウム塩を懸濁させ、それに有機酸を投入・攪拌してカルシウム塩を溶解させればよい。純水中に懸濁させるカルシウム塩の量は、カルシウム溶液におけるカルシウム濃度が0.05〜1.0mol/Lとなる量が好ましい。投入する酢酸等の有機酸は、純水に投入したカルシウム塩の1〜3倍当量となる量が好ましく、特に2倍当量となる量が好ましい。
次に、上記で調製したカルシウム溶液と硫酸とを反応させる。カルシウム溶液と硫酸とを反応させる条件は、特に制限されないが、例えば、上記カルシウム溶液に攪拌しながら硫酸を添加すればよい。添加する硫酸の濃度は、特に制限されないが、全添加量が、カルシウム塩の1〜1.5倍当量となる量が好ましく、特に1倍当量となる量が好ましい。また、硫酸の添加方法は、特に限定されないが、硫酸を滴下等により徐々にカルシウム溶液に添加することが好ましい。滴下の速度は特に限定されないが、例えば、毎分0.2L〜4.0Lが好ましい。更に、前記カルシウム溶液と硫酸とを反応させる温度としては、特に制限されないが、5℃〜70℃、好ましくは15〜25℃である。また更に、投入する硫酸は予め純水で75%程度に希釈しておいてもよい。
上記反応後、平板状硫酸カルシウム2水塩が析出する。この析出した平板状硫酸カルシウム2水塩はろ過、フィルタープレス、遠心分離等の分離手段によって分離することができる。また、平板状硫酸カルシウム2水塩析出後に、水酸化ナトリウム等のアルカリ物質を添加し、過剰な酸を中和してもよく、更に、その後に純水を加え、過剰な中和生成物(塩類)を希釈してもよい。
また、上記で得られる平板状硫酸カルシウム2水塩は、必要により、乾燥させてもよい。この乾燥は硫酸カルシウム2水塩の特性から100℃以上で行うことができない。100℃以上で乾燥を行うと2水塩から脱水が起きて1/2水塩に変わってしまうからである。従って、乾燥は80℃以下で、長時間、少なくとも12時間の乾燥が好ましい。また、乾燥後の平板状硫酸カルシウム2水塩は、必要により、適宜粉砕等をしてもよい。
上記した平板状硫酸カルシウム2水塩は、従来の体質顔料のタルク、セリサイトに比べ、薄い板状で、透明感、ソフト感、伸び、自然な光沢などに優れた特性を持っている。また、平板状硫酸カルシウム2水塩は、結晶水などの形で水分を20%含有しているために油性成分と混合してもタルクのようにハードな凝集体にならず、更に、油性成分の配合量を多くしても粉体のサラサラ感等の特性を維持する性質を有している。従って、平板状硫酸カルシウム2水塩は特にパウダーファンデーション等の化粧料の体質顔料として極めて有用な材料である。
本発明の粉体化粧料における硫酸カルシウム2水塩の配合量は、その2水塩として10〜90%、好ましくは15〜70%である。
一方、本発明の粉体化粧料に用いられる油性成分としては、例えば、室温で液体の流動パラフィン等の炭化水素、KF99−1(信越化学工業製)等のシリコーン油、オレイン酸オクチルドデシル(OOD:進栄化学製)等のエステル油、油脂類、高級脂肪酸、高級アルコール等、室温でペースト状のワセリン、室温で固体のセタノール等が挙げられる。これら油性成分は複数を組み合わせて使用してもよく、特に本発明の粉体化粧料においては、油性成分として、室温で液状のものとペースト状および/または固体のものとを組み合わせて使用すると、粉体化粧料が少し固めに締まるため、スポンジで取るときに表面から遊離する粉が少なめになり、非常に使用感の良いものとなるので好ましい。本発明の粉体化粧料における油性成分の配合量は、5〜40%、好ましくは5〜35%である。
なお、本発明の粉体化粧料において、粉体成分の一部または全部として硫酸カルシウム2水塩、特に平板状硫酸カルシウム2水塩を用いた場合には、従来の粉体化粧料に比べて油性成分を多量に配合することができる。本明細書においては油性成分を15%〜40%、好ましくは15〜35%配合された粉体化粧料を特に豊油型化粧料という。
また、本発明の粉体化粧料には上記必須成分の他に、本発明の効果を損なわない程度に、通常の化粧料に用いられる、マイカ、タルク、セリサイト等の無機粉体、シルクパウダー等の有機粉体およびその表面処理物、二酸化チタン等の白色顔料、ベンガラ等の着色顔料、雲母チタン等の光沢顔料等の粉体成分、界面活性成分、保湿成分、紫外線吸収成分、防腐成分、美容成分、香料等を適宜配合することができる。
本発明の粉体化粧料は、上記硫酸カルシウム2水塩と油性成分とを必須成分とする以外は、従来の化粧料と同様にして製造することができる。具体的には、従来の粉体成分と油性成分とを含有する化粧料の製造方法において、従来の粉体の一部または全部に換えて硫酸カルシウム2水塩を使用すればよい。
また、特に本発明の粉体化粧料に油性成分を多量に配合する場合には、例えば、特公平7−55892号公報に記載の成型後の化粧料に油性成分を添加して油性成分量を高める方法や、本発明者らが見出した粉体化粧料中に球状粉体を含有させて油性成分量を高める方法等を用いればよい。
粉体化粧料に油性成分を多量に配合する方法のうち、成型後の化粧料に油性成分を添加して油性成分量を高める方法は、まず、油性成分を5〜20%程度含有する粉体化粧料を金型でプレス成型し、その後、粉体化粧料の表面に、表面を荒らさないよう、所望の量の油性成分を滴下または噴霧し、油性成分を粉体化粧料に吸収させればよい。
また、粉体化粧料中に球状粉体を含有させて油性成分量を高める方法は、単に、粉体化粧料中に球状粉体を含有させるだけでよい。
上記球状粉体としては、例えば、シリカ等の無機系物質またはシリコーンゴム、シリコーン樹脂等のポリマーを原料とする粉体またはその表面処理物であって、平均粒径が1〜15μm程度の大きさで球状、好ましくは真球状のものが挙げられる。本発明においては、これら球状粉体の中でも、油性成分との混合後も流動性があり、連続的に粉体化粧料を製造することができるため、疎水性のものが好ましい。このような疎水性の球状粉体としては、例えば、KSP100(平均粒径5μm)、KSP101(平均粒径12μm)、KSP105(平均粒径2μm)(いずれも信越化学工業製)等のシリコーンゴムをシリコーンレジンで被覆したシリコーン複合パウダー等が挙げられる。粉体化粧料におけるこれら球状粉体の配合量は特に限定されないが、粉体化粧料中に1〜15%、好ましくは5〜10%である。
斯くして得られる本発明の粉体化粧料は従来の化粧料よりも油性成分を多量に配合することができるので、基材となる油性成分の他に、特に肌へ有益な油性成分、例えば、スクワラン等も配合することもできる。また、それのみに限られず、従来の粉体化粧料に配合されるのと同量の油性成分を配合した場合であっても、より油性感の少ない、さらさらした使用感の化粧料とすることができる。
本発明の粉体化粧料の効果が発現しやすい化粧料としては、パウダーファンデーション、アイシャドー、ほほ紅、粉白粉等の粉体成分と油性成分とを含有する化粧料を挙げることができ、これらの中でもプレス充填された化粧料が好ましく、特にパウダーファンデーションおよびアイシャドーが好ましい。本発明の粉体化粧料をパウダーファンデーションおよびアイシャドーとした場合には、粉っぽさが無く、ウェット感、肌への付着力がよく、その結果、肌と自然に馴染み、ムラ、ヨレ、色のくすみ、浮きなどの無い、化粧持ちのよいものとなる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
参 考 例 1
平板状硫酸カルシウム2水塩の調製:
炭酸カルシウム10gを室温の水1Lに懸濁させて炭酸カルシウム懸濁液を調製した。次に、この懸濁液に0.1モルの硫酸1Lを毎分100mL程度で滴下し、生成した沈殿をろ過することにより硫酸カルシウムを得た。更に、これを80℃で乾燥させ、硫酸カルシウムに結晶水以外の水分が無い状態にした。得られた硫酸カルシウムは2水塩であり、その形状は、長径20〜150μm、短径10〜50μm、厚さが0.5〜2μmの平板状で、且つ、長径と短径との比が1〜10、厚さに対する長径の比(アスペクト比)が10〜100程度のものであった。この平板状硫酸カルシウム2水塩の電子顕微鏡写真を図1に示した。
硫酸カルシウム2水塩は150℃以上に加熱することにより水分を失い、無水塩となることは公知の事実である。この事実に基づき上記で得られた平板状硫酸カルシウムと市販の硫酸カルシウム2水塩(試薬特級)の水分量を同様の条件で乾燥させることにより比較した。乾燥条件は400℃で2時間である。
この結果より、上記で得られた平板状硫酸カルシウムは確かに2水塩であることが示された。
試 験 例 1
硫酸カルシウム2水塩粉体の特性の比較:
本発明で利用される平板状硫酸カルシウム2水塩の特性を一般の体質顔料と比較した。表2に示される比率で粉体と油性成分とを均一に混合し、金皿にプレスした。このプレス品の表面の状態を目視で自由評価し、更に、スポンジへの取れ方を以下の評価基準により評価した。それらの結果を表2に示した。
<スポンジへの取れ方評価基準>
(評価) (内容)
○ : 繰り返しスポンジでとってもケーキングを起こさない
× : 3−4回スポンジで表面をこするだけでケーキングを起こし、取れなくなる
<結果>
平板状硫酸カルシウム2水塩と油性成分を用いた場合には、油性成分を20%配合しても表面の状態はパウダー状であり、スポンジでの取れ方も良好であった(実施品2)。
一方、タルクまたはセリサイトと油性成分を用いた場合には、いずれも油性成分を20%配合すると、外観がツルツルカチカチで石のようであり、スポンジでまったく取れないものであった(比較品1および2)。
また、平板状硫酸カルシウム2水塩と油性成分を用いた場合には、油性成分量が5%以上であっても表面の状態は落雁状またはパウダー状であり、スポンジでの取れ方も良好であった(実施品3および実施品4)。
一方、タルクと油性成分を用いた場合には、油性成分量が5%だと表面の状態およびスポンジでの取れ方に問題はなかったが、油性成分量を7%にすると表面の状態がツルツルカチカチになり、スポンジでまったく取れなかった(比較品3および4)。
このように、平板状硫酸カルシウム2水塩を用いた場合には油性成分の添加量の広い範囲で、表面の状態やスポンジへの取れ方にもなんら障害が生じない優れたものであった。また、これらは粉白粉として利用できるものであった。
実 施 例 1
パウダーファンデーションの調製(1):
表3の処方のパウダーファンデーションを下記製造方法で製造した。これらのパウダーファンデーションの表面の状態およびスポンジへの取れ方を試験例1と同様の評価基準によって評価した。それらの結果を表3に示した。
<製造方法>
A:成分(1)〜(9)を均一に混合分散する。
B:成分(10)〜(11)を室温にて均一に混合する。
C:BをA成分に混合分散する。
D:Cを金型でプレス充填してパウダーファンデーションを得た。
<結果>
硫酸カルシウム2水塩または平板状硫酸カルシウム2水塩と油性成分を用いたパウダーファンデーションは、表面の状態はパウダー状であり、これをスポンジでとってもまったくケーキングは起こさなかった(実施品5および6)。一方、同じ比率でタルクと油性成分を用いたパウダーファンデーションは、表面の状態はツルツルカチカチとなり、スポンジではまったく取れなかった(比較品5)。
また、平板状硫酸カルシウム2水塩を含有するパウダーファンデーションは、油性成分量が13〜22%であっても性質に問題がなかった(実施品6〜8)。一方、タルクを含有するパウダーファンデーションは、油性成分量が10%(比較品6)では問題ないが、油性成分量が12%(比較品7)になるとケーキングを起こした。
更に、セリサイトを含有するパウダーファンデーションは、油性成分量が13%(比較品8)では問題ないが、油性成分量が14%(比較品9)となるとケーキングを起こしてしまった。
なお、タルクと平板状硫酸カルシウム2水塩とを組み合わせることにより、タルクのみの場合と比べて配合できる油性成分の量を増加させることが可能であった(実施品7および8)。
実 施 例 2
パウダーファンデーションの調製(2):
表4の処方のパウダーファンデーションを下記製造方法で製造した。これらのパウダーファンデーションの表面の状態およびスポンジへの取れ方を試験例1と同様の評価基準によって評価した。それらの結果を表4に示した。
<製造方法>
A:成分(1)〜(6)を均一に混合分散する。
B:成分(7)〜(12)を室温にて均一に混合する。
C:BをA成分に混合分散する。
D:Cを金型でプレス充填してパウダーファンデーションを得た。
<結果>
上記で調製されたパウダーファンデーションは、油性成分として室温で液体のものだけでなく、室温でペースト状や固体のものを用いているにも関わらず、油性成分として室温で液体のものだけを用いたパウダーファンデーションと表面状態に遜色はなかった。また、このパウダーファンデーション自体が少し固めに締まるため、スポンジで取るときに表面から遊離する粉が少なめになり、非常に使用感の良いものであった。
実 施 例 3
パウダーファンデーションの調製(3):
(1)パウダーファンデーションの調製
表5の処方のパウダーファンデーションを下記製造方法で製造した。これらのパウダーファンデーションの表面の状態およびスポンジへの取れ方を試験例1と同様の評価基準によって評価した。それらの結果を表5に示した。
<製造方法>
A:成分(1)〜(6)を均一に混合分散する。
B:成分(7)〜(8)を室温にて均一に混合する。
C:BをA成分に混合分散する。
D:Cを金型でプレス充填して8gのパウダーファンデーションを得た。
<結果>
上記で調製されたパウダーファンデーションは、その表面状態がパウダー状であり、スポンジへの取れ方にもまったく問題が無かった。
(2)油性成分量を増加させたパウダーファンデーションの調製
上記(1)で調製した8gのパウダーファンデーションに、特公平7−55892号公報の記載に準じた下記方法で、油性成分量を25%から40%に増加させたパウダーファンデーションを調製した(実施品11)。
<油性成分増加方法>
E:パウダーファンデーション上に2gの油性成分(成分(7)〜(8)の混合物)を、パウダーファンデーションの表面を荒らさないように添加し、粉体中に吸収させた。
<結果>
上記で調製された油性成分を増加させたパウダーファンデーションの表面の状態は油性成分添加前と変化なく、且つ油性成分がにじみ出ることも無かった。また、スポンジへの取れ方にも問題が無く、表面がケーキングを起こすことも無かった。
なお、特公平7−55892号公報に記載の方法では、粉体が吸収しきれない油性成分を逃がすために金皿に穴を開ける必要があった。これに対し、本発明のパウダーファンデーションは、平板状硫酸カルシウム2水塩を使用しているため油性成分の吸収力が極めて高く、金皿に穴を開ける必要が無いことがわかった。
実 施 例 4
パウダーファンデーションの調製:
表6の処方、下記製造方法でパウダーファンデーションを製造した。なお、製造方法中の工程における、混合分散後の粉体の流動性およびプレス性について以下の基準に基づき評価した。それらの結果を表6に示した。
<製造方法>
A:成分(1)〜(9)を均一に混合分散する。
B:成分(10)〜(11)を室温にて均一に混合する。
C:BをA成分に混合分散する。
D:Cを金型でプレス充填してパウダーファンデーションを得た。
<混合攪拌後の粉体の流動性の維持やプレス性の評価基準>
(評価) (内容)
○ : 混合分散後の粉体は、連続的に金型でプレス充填することができる流動
性を有していた
△ : 混合分散後の粉体は流動性が無くなるものの、金型でプレス充填するこ
とはできた
× : 混合分散後の粉体は流動性が無く、金型でプレス充填することができな
かった
<結果>
平板状硫酸カルシウム2水塩と油性成分を用いたパウダーファンデーションは、油性成分量が20%であっても、粉体と油性成分の混合攪拌後に混合物が流動性を失うことは無く、連続的に金型でプレス充填することができた(実施品12)。
また、油性成分量が25%だと、攪拌混合後に粉体が造粒し、大きな塊になり、流動性が無くなるものの、金型でバッチプレス充填することができた(実施品13)。平板状硫酸カルシウム2水塩を粉体化粧料中に含有させたとしても、これ以上油性成分を多く添加すると、金型でプレス充填し難くなることが考えられた。
金型でのプレス充填を可能にするために、粉体化粧料の処方中に疎水性の球状粉体を添加したところ、油性成分量を25%および30%とした場合であっても、混合攪拌後に混合物が流動性を失うことは無く、連続的に金型でプレス充填することができた(実施品14および実施品15)。更に、油性成分量を30%とした場合に、疎水性ではない球状粉体を添加しても、金型でバッチプレス充填することはできることがわかった(実施品16)。
実 施 例 5
アイシャドーの調製:
以下の表7の処方のアイシャドーを下記製造方法で製造した。これらのアイシャドーのスポンジへの取れ方を試験例1と同様の評価基準によって評価した。それらの結果を表7に示した。
<製造方法>
A:成分(1)〜(6)を均一に混合分散する。
B:成分(7)〜(8)を室温にて均一に混合する。
C:BをA成分に混合分散する。
D:Cを金型でプレス充填してアイシャドーを得た。
<結果>
平板状硫酸カルシウム2水塩と油性成分を用いたアイシャドーは油性成分量が20%および30%でもスポンジへの取れ方は問題なかった(実施品17および18)。
一方、マイカおよびタルクと油性成分を用いたアイシャドーは油性成分量を16%とした場合にはスポンジへの取れ方に問題は無かったが(比較品10)、20%とするとスポンジへの取れ方に問題が生じた(比較品11)。
実 施 例 6
平板状硫酸カルシウム2水塩の製造(1):
容量100Lのタンクに純水72Lを投入した。この純水を攪拌しながら、消石灰933gを投入し、カルシウムを均一に懸濁させた。この懸濁液中のカルシウム塩の濃度は0.175mol/Lである。この懸濁液に90%の酢酸溶液1680gを添加し、透明になるまで溶解させた(以下、これを「反応母液」という)。一方、75%の硫酸1647gを純水18Lに溶解してから、撹拌下、反応母液に徐々に加えた。投入を終わって、攪拌をとめ、生成した結晶を沈殿させた。十分に沈殿した後、上液を除去した。沈殿を含む反応母液に水酸化ナトリウムを加えて、反応により生成した酢酸を中和した。その後、純水をタンクいっぱいになるまで追加して、中和後に生じた塩類を希釈した。洗浄後上液を除去し、沈殿を回収し、更に、それを遠心分離機に移し脱水し、ケーキを得た。得られたケーキを乾燥機に移し、80℃で12時間乾燥した。乾燥後のケーキは粉砕機にかけ、微粉とした。これにより平板状硫酸カルシウム2水塩を1.1kg得た。なお、全ての実施例において使用された純水は、逆浸透法の純水製造装置を使用して得たものであり、水質が一定基準(0.1MΩcm)以上のものである。
上記実施例で得られた平板状硫酸カルシウム2水塩の結晶は長径が20〜160μm、短径が10〜80μmであり、厚みは0.5〜2μm、長径と短径との比が1〜5、厚さに対する長径の比(アスペクト比)が10〜250のものであった。この平板状硫酸カルシウム2水塩の顕微鏡写真を図2に示した。
実 施 例 7
平板状硫酸カルシウム2水塩の製造(2):
容量10Lのタンクに純水8Lを投入した。この純水を攪拌しながら、消石灰370gを投入し、カルシウムを均一に懸濁させた。この懸濁液中のカルシウム塩の濃度は0.625mol/Lである。この懸濁液に90%の酢酸溶液666gを添加し、透明になるまで溶解させ反応母液を得た。一方、75%の硫酸653gを純水2Lに溶解してから、撹拌下、反応母液に徐々に加えた。投入を終わって、攪拌をとめ、生成した結晶を沈殿させた。十分に沈殿した後、上液を除去した。沈殿を含む反応母液に水酸化ナトリウムを加えて、反応により生成した酢酸を中和した。その後、純水をタンクいっぱいになるまで追加して、中和後に生じた塩類を希釈した。洗浄後上液を除去し、沈殿を回収し、更に、それを遠心分離機に移し脱水し、ケーキを得た。得られたケーキを乾燥機に移し、80℃で12時間乾燥した。乾燥後のケーキは粉砕機にかけ、微粉とした。これにより平板状硫酸カルシウム2水塩を0.7kg得た。
上記実施例で得られた平板状硫酸カルシウム2水塩の結晶は長径が20〜80μm、短径が10〜40μmであり、厚みは1〜3μm、長径と短径との比が1〜5、厚さに対する長径の比(アスペクト比)が10〜100のものであった。
実 施 例 8
平板状硫酸カルシウム2水塩の製造(3):
容量10Lのタンクに純水8Lを投入した。この純水を攪拌しながら、消石灰37gを投入し、カルシウムを均一に懸濁させた。この懸濁液中のカルシウム塩の濃度は0.0625mol/Lである。この懸濁液に90%の酢酸溶液66.6gを添加し、透明になるまで溶解させ反応母液を得た。一方、75%の硫酸65.3gを純水2Lに溶解してから、撹拌下、反応母液に徐々に加えた。投入を終わって、攪拌をとめ、生成した結晶を沈殿させた。十分に沈殿した後、上液を除去した。沈殿を含む反応母液に水酸化ナトリウムを加えて、反応により生成した酢酸を中和した。その後、純水をタンクいっぱいになるまで追加して、中和後に生じた塩類を希釈した。洗浄後上液を除去し、沈殿を回収し、更に、それを遠心分離機に移し脱水し、ケーキを得た。得られたケーキを乾燥機に移し、80℃で12時間乾燥した。乾燥後のケーキは粉砕機にかけ、微粉とした。これにより平板状硫酸カルシウム2水塩を0.07kg得た。
上記実施例で得られた平板状硫酸カルシウム2水塩の結晶は長径が20〜200μm、短径が10〜100μm、厚みが0.5〜2μm、長径と短径との比が1〜5、厚さに対する長径の比(アスペクト比)が10〜400のものであった。
実 施 例 9
平板状硫酸カルシウム2水塩の製造(3):
容量10Lのタンクに純水8Lを投入した。この純水を攪拌しながら、消石灰37gを投入し、カルシウムを均一に懸濁させた。この懸濁液中のカルシウム塩の濃度は0.0625mol/Lである。この懸濁液に90%の乳酸溶液100.0gを添加し、透明になるまで溶解させ反応母液を得た。一方、75%の硫酸65.3gを純水2Lに溶解してから、反応母液に徐々に加えた。投入を終わって、攪拌をとめ、生成した結晶を沈殿させた。十分沈殿した後、上液を除去した。沈殿を含む反応母液に水酸化ナトリウムを加えて、反応により生成した乳酸を中和した。その後、純水をタンクいっぱいになるまで追加して、中和後に生じた塩類を希釈した。洗浄後上液を除去し、沈殿を回収し、更に、それを遠心分離機に移し脱水し、ケーキを得た。得られたケーキを乾燥機に移し、80℃で12時間乾燥した。乾燥後のケーキは粉砕機にかけ、微粉とした。これにより平板状硫酸カルシウム2水塩を0.07kg得た。
上記実施例で得られた平板状硫酸カルシウム2水塩の結晶は長径が20〜160μm、短径が10〜80μmであり、厚みは0.5〜2μm、長径と短径との比が1〜5、厚さに対する長径の比(アスペクト比)が10〜250のものであった。
試 験 例 2
平板状硫酸カルシウム2水塩の確認試験:
硫酸カルシウム2水塩は150℃以上に加熱することにより水分を失い、無水塩となることは公知の事実である。この事実に基づき上記実施例で得られた全ての平板状硫酸カルシウムと市販の硫酸カルシウム2水塩(試薬特級)の水分量を同様の条件で乾燥させることにより比較した。乾燥条件は400℃で2時間である。
試験の結果、上記実施例で得られた平板状硫酸カルシウムはいずれも2水塩であることが確認された。
従来のタルク、セリサイトを体質顔料として用いた粉体化粧料に添加できる油性成分量は、最大で15%程度が限界であり、これ以上加えるとケーキングを起こして、スポンジへの取れ方が悪くなり、実用に適するものではなかった。これに対し、硫酸カルシウム2水塩、特に平板状硫酸カルシウム2水塩を体質顔料として用いた本発明の粉体化粧料では、油性成分を製品のサラサラ感を犠牲にせずに大幅に加えることができる。
従って、本発明によれば、粉体の組み合わせにもよるが、油性成分量を15%〜40%まで高めた粉体化粧料を作ることが可能となる。
また、本発明の平板状硫酸カルシウム2水塩の製造方法によれば、有機酸を利用することにより従来の方法よりも穏やかな条件で安全に、かつ、低コストで平板状硫酸カルシウム2水塩を製造することができる。また、この方法で使用される有機酸は回収し、再利用することができるので経済的であり、かつ、環境にもやさしい。
参考例1で製造した平板状硫酸カルシウム2水塩の電子顕微鏡写真(1000倍)である。 実施例5で製造した平板状硫酸カルシウム2水塩の顕微鏡写真(200倍)である(図中、1は42μm、2は77μm、3は73μm、4は41μmを示す)。

Claims (12)

  1. 平板状硫酸カルシウム2水塩と油性成分とを含有することを特徴とする粉体化粧料。
  2. 油性成分を5〜40質量%含有するものである請求項1に記載の粉体化粧料。
  3. 平板状硫酸カルシウム2水塩を、その2水塩として10〜90質量%含有するものであ
    る請求項1または2記載の粉体化粧料。
  4. 更に、球状粉体を含有するものである請求項1ないし3の何れかに記載の粉体化粧料。
  5. パウダーファンデーションである請求項1ないしの何れかに記載の粉体化粧料。
  6. アイシャドーである請求項1ないしの何れかに記載の粉体化粧料。
  7. 粉白粉である請求項1ないしの何れかに記載の粉体化粧料。
  8. カルシウム塩を有機酸に溶解させカルシウム溶液とし、これを硫酸と反応させることを特徴とする平板状硫酸カルシウム2水塩の製造方法。
  9. カルシウム塩が消石灰、生石灰または炭酸カルシウムである請求項に記載の平板状硫酸カルシウム2水塩の製造方法。
  10. 有機酸が酢酸、蟻酸、乳酸、プロピオン酸または酒石酸のいずれかである請求項またはに記載の平板状硫酸カルシウム2水塩の製造方法。
  11. カルシウム溶液におけるカルシウム濃度が0.05〜1.0mol/Lである請求項ないし10の何れかに記載の平板状硫酸カルシウム2水塩の製造方法。
  12. 反応を5〜70℃の範囲で行う請求項ないし11の何れかに記載の平板状硫酸カルシウム2水塩の製造方法。
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