JP4728430B2 - 粉体化粧料およびこれに用いる平板状硫酸カルシウム2水塩の製造方法 - Google Patents
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Description
平板状硫酸カルシウム2水塩の調製:
炭酸カルシウム10gを室温の水1Lに懸濁させて炭酸カルシウム懸濁液を調製した。次に、この懸濁液に0.1モルの硫酸1Lを毎分100mL程度で滴下し、生成した沈殿をろ過することにより硫酸カルシウムを得た。更に、これを80℃で乾燥させ、硫酸カルシウムに結晶水以外の水分が無い状態にした。得られた硫酸カルシウムは2水塩であり、その形状は、長径20〜150μm、短径10〜50μm、厚さが0.5〜2μmの平板状で、且つ、長径と短径との比が1〜10、厚さに対する長径の比(アスペクト比)が10〜100程度のものであった。この平板状硫酸カルシウム2水塩の電子顕微鏡写真を図1に示した。
硫酸カルシウム2水塩粉体の特性の比較:
本発明で利用される平板状硫酸カルシウム2水塩の特性を一般の体質顔料と比較した。表2に示される比率で粉体と油性成分とを均一に混合し、金皿にプレスした。このプレス品の表面の状態を目視で自由評価し、更に、スポンジへの取れ方を以下の評価基準により評価した。それらの結果を表2に示した。
(評価) (内容)
○ : 繰り返しスポンジでとってもケーキングを起こさない
× : 3−4回スポンジで表面をこするだけでケーキングを起こし、取れなくなる
平板状硫酸カルシウム2水塩と油性成分を用いた場合には、油性成分を20%配合しても表面の状態はパウダー状であり、スポンジでの取れ方も良好であった(実施品2)。
一方、タルクまたはセリサイトと油性成分を用いた場合には、いずれも油性成分を20%配合すると、外観がツルツルカチカチで石のようであり、スポンジでまったく取れないものであった(比較品1および2)。
また、平板状硫酸カルシウム2水塩と油性成分を用いた場合には、油性成分量が5%以上であっても表面の状態は落雁状またはパウダー状であり、スポンジでの取れ方も良好であった(実施品3および実施品4)。
一方、タルクと油性成分を用いた場合には、油性成分量が5%だと表面の状態およびスポンジでの取れ方に問題はなかったが、油性成分量を7%にすると表面の状態がツルツルカチカチになり、スポンジでまったく取れなかった(比較品3および4)。
このように、平板状硫酸カルシウム2水塩を用いた場合には油性成分の添加量の広い範囲で、表面の状態やスポンジへの取れ方にもなんら障害が生じない優れたものであった。また、これらは粉白粉として利用できるものであった。
パウダーファンデーションの調製(1):
表3の処方のパウダーファンデーションを下記製造方法で製造した。これらのパウダーファンデーションの表面の状態およびスポンジへの取れ方を試験例1と同様の評価基準によって評価した。それらの結果を表3に示した。
A:成分(1)〜(9)を均一に混合分散する。
B:成分(10)〜(11)を室温にて均一に混合する。
C:BをA成分に混合分散する。
D:Cを金型でプレス充填してパウダーファンデーションを得た。
硫酸カルシウム2水塩または平板状硫酸カルシウム2水塩と油性成分を用いたパウダーファンデーションは、表面の状態はパウダー状であり、これをスポンジでとってもまったくケーキングは起こさなかった(実施品5および6)。一方、同じ比率でタルクと油性成分を用いたパウダーファンデーションは、表面の状態はツルツルカチカチとなり、スポンジではまったく取れなかった(比較品5)。
また、平板状硫酸カルシウム2水塩を含有するパウダーファンデーションは、油性成分量が13〜22%であっても性質に問題がなかった(実施品6〜8)。一方、タルクを含有するパウダーファンデーションは、油性成分量が10%(比較品6)では問題ないが、油性成分量が12%(比較品7)になるとケーキングを起こした。
更に、セリサイトを含有するパウダーファンデーションは、油性成分量が13%(比較品8)では問題ないが、油性成分量が14%(比較品9)となるとケーキングを起こしてしまった。
なお、タルクと平板状硫酸カルシウム2水塩とを組み合わせることにより、タルクのみの場合と比べて配合できる油性成分の量を増加させることが可能であった(実施品7および8)。
パウダーファンデーションの調製(2):
表4の処方のパウダーファンデーションを下記製造方法で製造した。これらのパウダーファンデーションの表面の状態およびスポンジへの取れ方を試験例1と同様の評価基準によって評価した。それらの結果を表4に示した。
A:成分(1)〜(6)を均一に混合分散する。
B:成分(7)〜(12)を室温にて均一に混合する。
C:BをA成分に混合分散する。
D:Cを金型でプレス充填してパウダーファンデーションを得た。
上記で調製されたパウダーファンデーションは、油性成分として室温で液体のものだけでなく、室温でペースト状や固体のものを用いているにも関わらず、油性成分として室温で液体のものだけを用いたパウダーファンデーションと表面状態に遜色はなかった。また、このパウダーファンデーション自体が少し固めに締まるため、スポンジで取るときに表面から遊離する粉が少なめになり、非常に使用感の良いものであった。
パウダーファンデーションの調製(3):
(1)パウダーファンデーションの調製
表5の処方のパウダーファンデーションを下記製造方法で製造した。これらのパウダーファンデーションの表面の状態およびスポンジへの取れ方を試験例1と同様の評価基準によって評価した。それらの結果を表5に示した。
A:成分(1)〜(6)を均一に混合分散する。
B:成分(7)〜(8)を室温にて均一に混合する。
C:BをA成分に混合分散する。
D:Cを金型でプレス充填して8gのパウダーファンデーションを得た。
上記で調製されたパウダーファンデーションは、その表面状態がパウダー状であり、スポンジへの取れ方にもまったく問題が無かった。
上記(1)で調製した8gのパウダーファンデーションに、特公平7−55892号公報の記載に準じた下記方法で、油性成分量を25%から40%に増加させたパウダーファンデーションを調製した(実施品11)。
E:パウダーファンデーション上に2gの油性成分(成分(7)〜(8)の混合物)を、パウダーファンデーションの表面を荒らさないように添加し、粉体中に吸収させた。
上記で調製された油性成分を増加させたパウダーファンデーションの表面の状態は油性成分添加前と変化なく、且つ油性成分がにじみ出ることも無かった。また、スポンジへの取れ方にも問題が無く、表面がケーキングを起こすことも無かった。
パウダーファンデーションの調製:
表6の処方、下記製造方法でパウダーファンデーションを製造した。なお、製造方法中の工程における、混合分散後の粉体の流動性およびプレス性について以下の基準に基づき評価した。それらの結果を表6に示した。
A:成分(1)〜(9)を均一に混合分散する。
B:成分(10)〜(11)を室温にて均一に混合する。
C:BをA成分に混合分散する。
D:Cを金型でプレス充填してパウダーファンデーションを得た。
(評価) (内容)
○ : 混合分散後の粉体は、連続的に金型でプレス充填することができる流動
性を有していた
△ : 混合分散後の粉体は流動性が無くなるものの、金型でプレス充填するこ
とはできた
× : 混合分散後の粉体は流動性が無く、金型でプレス充填することができな
かった
平板状硫酸カルシウム2水塩と油性成分を用いたパウダーファンデーションは、油性成分量が20%であっても、粉体と油性成分の混合攪拌後に混合物が流動性を失うことは無く、連続的に金型でプレス充填することができた(実施品12)。
また、油性成分量が25%だと、攪拌混合後に粉体が造粒し、大きな塊になり、流動性が無くなるものの、金型でバッチプレス充填することができた(実施品13)。平板状硫酸カルシウム2水塩を粉体化粧料中に含有させたとしても、これ以上油性成分を多く添加すると、金型でプレス充填し難くなることが考えられた。
金型でのプレス充填を可能にするために、粉体化粧料の処方中に疎水性の球状粉体を添加したところ、油性成分量を25%および30%とした場合であっても、混合攪拌後に混合物が流動性を失うことは無く、連続的に金型でプレス充填することができた(実施品14および実施品15)。更に、油性成分量を30%とした場合に、疎水性ではない球状粉体を添加しても、金型でバッチプレス充填することはできることがわかった(実施品16)。
アイシャドーの調製:
以下の表7の処方のアイシャドーを下記製造方法で製造した。これらのアイシャドーのスポンジへの取れ方を試験例1と同様の評価基準によって評価した。それらの結果を表7に示した。
A:成分(1)〜(6)を均一に混合分散する。
B:成分(7)〜(8)を室温にて均一に混合する。
C:BをA成分に混合分散する。
D:Cを金型でプレス充填してアイシャドーを得た。
平板状硫酸カルシウム2水塩と油性成分を用いたアイシャドーは油性成分量が20%および30%でもスポンジへの取れ方は問題なかった(実施品17および18)。
一方、マイカおよびタルクと油性成分を用いたアイシャドーは油性成分量を16%とした場合にはスポンジへの取れ方に問題は無かったが(比較品10)、20%とするとスポンジへの取れ方に問題が生じた(比較品11)。
平板状硫酸カルシウム2水塩の製造(1):
容量100Lのタンクに純水72Lを投入した。この純水を攪拌しながら、消石灰933gを投入し、カルシウムを均一に懸濁させた。この懸濁液中のカルシウム塩の濃度は0.175mol/Lである。この懸濁液に90%の酢酸溶液1680gを添加し、透明になるまで溶解させた(以下、これを「反応母液」という)。一方、75%の硫酸1647gを純水18Lに溶解してから、撹拌下、反応母液に徐々に加えた。投入を終わって、攪拌をとめ、生成した結晶を沈殿させた。十分に沈殿した後、上液を除去した。沈殿を含む反応母液に水酸化ナトリウムを加えて、反応により生成した酢酸を中和した。その後、純水をタンクいっぱいになるまで追加して、中和後に生じた塩類を希釈した。洗浄後上液を除去し、沈殿を回収し、更に、それを遠心分離機に移し脱水し、ケーキを得た。得られたケーキを乾燥機に移し、80℃で12時間乾燥した。乾燥後のケーキは粉砕機にかけ、微粉とした。これにより平板状硫酸カルシウム2水塩を1.1kg得た。なお、全ての実施例において使用された純水は、逆浸透法の純水製造装置を使用して得たものであり、水質が一定基準(0.1MΩcm)以上のものである。
平板状硫酸カルシウム2水塩の製造(2):
容量10Lのタンクに純水8Lを投入した。この純水を攪拌しながら、消石灰370gを投入し、カルシウムを均一に懸濁させた。この懸濁液中のカルシウム塩の濃度は0.625mol/Lである。この懸濁液に90%の酢酸溶液666gを添加し、透明になるまで溶解させ反応母液を得た。一方、75%の硫酸653gを純水2Lに溶解してから、撹拌下、反応母液に徐々に加えた。投入を終わって、攪拌をとめ、生成した結晶を沈殿させた。十分に沈殿した後、上液を除去した。沈殿を含む反応母液に水酸化ナトリウムを加えて、反応により生成した酢酸を中和した。その後、純水をタンクいっぱいになるまで追加して、中和後に生じた塩類を希釈した。洗浄後上液を除去し、沈殿を回収し、更に、それを遠心分離機に移し脱水し、ケーキを得た。得られたケーキを乾燥機に移し、80℃で12時間乾燥した。乾燥後のケーキは粉砕機にかけ、微粉とした。これにより平板状硫酸カルシウム2水塩を0.7kg得た。
平板状硫酸カルシウム2水塩の製造(3):
容量10Lのタンクに純水8Lを投入した。この純水を攪拌しながら、消石灰37gを投入し、カルシウムを均一に懸濁させた。この懸濁液中のカルシウム塩の濃度は0.0625mol/Lである。この懸濁液に90%の酢酸溶液66.6gを添加し、透明になるまで溶解させ反応母液を得た。一方、75%の硫酸65.3gを純水2Lに溶解してから、撹拌下、反応母液に徐々に加えた。投入を終わって、攪拌をとめ、生成した結晶を沈殿させた。十分に沈殿した後、上液を除去した。沈殿を含む反応母液に水酸化ナトリウムを加えて、反応により生成した酢酸を中和した。その後、純水をタンクいっぱいになるまで追加して、中和後に生じた塩類を希釈した。洗浄後上液を除去し、沈殿を回収し、更に、それを遠心分離機に移し脱水し、ケーキを得た。得られたケーキを乾燥機に移し、80℃で12時間乾燥した。乾燥後のケーキは粉砕機にかけ、微粉とした。これにより平板状硫酸カルシウム2水塩を0.07kg得た。
平板状硫酸カルシウム2水塩の製造(3):
容量10Lのタンクに純水8Lを投入した。この純水を攪拌しながら、消石灰37gを投入し、カルシウムを均一に懸濁させた。この懸濁液中のカルシウム塩の濃度は0.0625mol/Lである。この懸濁液に90%の乳酸溶液100.0gを添加し、透明になるまで溶解させ反応母液を得た。一方、75%の硫酸65.3gを純水2Lに溶解してから、反応母液に徐々に加えた。投入を終わって、攪拌をとめ、生成した結晶を沈殿させた。十分沈殿した後、上液を除去した。沈殿を含む反応母液に水酸化ナトリウムを加えて、反応により生成した乳酸を中和した。その後、純水をタンクいっぱいになるまで追加して、中和後に生じた塩類を希釈した。洗浄後上液を除去し、沈殿を回収し、更に、それを遠心分離機に移し脱水し、ケーキを得た。得られたケーキを乾燥機に移し、80℃で12時間乾燥した。乾燥後のケーキは粉砕機にかけ、微粉とした。これにより平板状硫酸カルシウム2水塩を0.07kg得た。
平板状硫酸カルシウム2水塩の確認試験:
硫酸カルシウム2水塩は150℃以上に加熱することにより水分を失い、無水塩となることは公知の事実である。この事実に基づき上記実施例で得られた全ての平板状硫酸カルシウムと市販の硫酸カルシウム2水塩(試薬特級)の水分量を同様の条件で乾燥させることにより比較した。乾燥条件は400℃で2時間である。
Claims (12)
- 平板状硫酸カルシウム2水塩と油性成分とを含有することを特徴とする粉体化粧料。
- 油性成分を5〜40質量%含有するものである請求項1に記載の粉体化粧料。
- 平板状硫酸カルシウム2水塩を、その2水塩として10〜90質量%含有するものであ
る請求項1または2記載の粉体化粧料。 - 更に、球状粉体を含有するものである請求項1ないし3の何れかに記載の粉体化粧料。
- パウダーファンデーションである請求項1ないし4の何れかに記載の粉体化粧料。
- アイシャドーである請求項1ないし4の何れかに記載の粉体化粧料。
- 粉白粉である請求項1ないし4の何れかに記載の粉体化粧料。
- カルシウム塩を有機酸に溶解させカルシウム溶液とし、これを硫酸と反応させることを特徴とする平板状硫酸カルシウム2水塩の製造方法。
- カルシウム塩が消石灰、生石灰または炭酸カルシウムである請求項8に記載の平板状硫酸カルシウム2水塩の製造方法。
- 有機酸が酢酸、蟻酸、乳酸、プロピオン酸または酒石酸のいずれかである請求項8または9に記載の平板状硫酸カルシウム2水塩の製造方法。
- カルシウム溶液におけるカルシウム濃度が0.05〜1.0mol/Lである請求項8ないし10の何れかに記載の平板状硫酸カルシウム2水塩の製造方法。
- 反応を5〜70℃の範囲で行う請求項8ないし11の何れかに記載の平板状硫酸カルシウム2水塩の製造方法。
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