JPS6148546B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

この発明は水溶性高分子重合体の水への分散性
および溶解性を良好にしたことを特徴とする組成
物に関する。 さらに詳しくは、この発明は、凝集効果を有す
る水溶性高分子重合体粉末に、硫酸ナトリウム含
水塩、さらに必要に応じて硫酸マグネシウム含水
塩および／または吸湿剤を配合したことからなる
水溶性高分子重合体の易分散性組成物に関する。 凝集効果を有する水溶性高分子重合体（以下
“重合体”と称す）は凝集剤あるいは脱水助剤等
の有用な用途を有するが、このものを使用するに
当つては、通常タンク中で例えば0.1〜1.0重量％
のごとき適当な濃度に調製された重合体水溶液と
して用いられる。 しかしてこの水溶液は普通その都度、新たな清
水に重合体を加え溶解して調製するが、装置の形
状又は作業等の都合上、一旦各用途に使用され、
なおタンク中に残存する少量の該水溶液中に水及
び重合体を補充添加して調製することも行われ
る。 しかしこのようにして重合体水溶液を調製する
に当つて、上記何れの場合も大量を調製する場合
“ままこ”現象が起り長時間の撹拌によつても殆
んど溶解しないという厄介な問題があるとともに
清水に溶解する場合に比し、粘性のある残存溶液
中での調製は長時間の撹拌が必要であるという作
業性の面での不利がある。 これらの問題を解決するため、従来、重合体の
粉末表面に多価アルコール、グリセリンなどでコ
ーテイングしたり、重合体に鉱物油、植物油など
を混和したりすることが提案されている。さら
に、最近では重合体の粉末に、シユウ酸、酒石酸
のような粉末酸またはこれらの粉末酸との反応に
よつて発泡する性質を有する粉末塩基を配合し、
“ぬれ”の状態にある間に物理的に互いの粒子間
の接着を妨げる方法として気泡を利用した組成物
も提案されている（特開昭53−61636号）。しか
し、これらは経済面、技術面に何らかの欠点を有
し、必ずしも満足し得るものではない。 この発明の発明者らは、先に、水溶性高分子重
合体の易分散性組成物を、重合体と酸性の硫酸水
素アルカリ金属塩及び塩基性無機塩との混合によ
り得ることを見出した（特願昭54−160569号）
が、この発明は更にこれを発展させたものであ
る。 一方、水溶性高分子重合体粉末に、結晶水を含
む余地のある無機塩を配合し、これを結晶水とし
て含み得る迄の水を添加することにより粉末又は
顆粒状の組成物を得る提案がなされている（特開
昭56−28612号）。 しかしこの発明は、高分子重合体粉末に対し硫
酸ナトリウム含水塩（７水塩又は10水塩）を混合
し撹拌すると徐々に粉末混合物の膨張が起り、同
時に均一な顆粒化が行われるという新しい事実の
発見に基づいてなされたものである。この事実
は、前述した技術思想すなわち酸性無機塩と塩基
性無機塩との中和反応を重合体の造粒化に利用す
る思想や結晶水を含み得る無機塩に人為的に水を
加えその吸水作用を重合体の造粒化に利用する思
想と全く異なるものと考えられる。 この発明の組成物は、高分子重合体と硫酸ナト
リウム含水塩を例えばＶ型混合機で混合すること
により得られる。ここで得られるものは流動性の
顆粒状粉末である。ことにその際、硫酸マグネシ
ウム含水塩および／または吸湿剤を添加混合する
と一層良好な製剤が得られる。 かくして、この発明によつて提供された組成物
は、使用するに当り、水に希釈する際に極めて容
易に分散され均一な溶液を与える。さらに一部残
存する重合体溶液に補充調製する際にも問題のな
い組成物が提供される。その上、この発明の組成
物は、金属への腐食性がなく、保存安定性に優
れ、取扱いが簡便であるなどの利点を有するもの
である。 この発明の組成物に使用する重合体としては、
凝集効果を有し、凝集剤あるいは凝集の二次的効
果としての脱水助剤として用い得るものであれば
よい。もちろん、これら重合体は水溶性であるこ
とを必須とするが、合成、半合成または天然の高
分子重合体であつて、アニオン系、ノニオン系、
カチオン系等いずれの種類でも用いられ、また分
子量についても約1000といつた低重合度のものか
ら数千万といつた高重合度のものまで使用するこ
とができる。この発明は、特に高重合度の重合体
の場合に利益が大きい。アニオン系の重合体とし
ては、ポリアクリル酸およびその塩、マレイン酸
共重合物塩、ポリアクリルアミド部分加水分解
物、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセ
ルロースナトリウムなどが挙げられる。カチオン
系の重合体としては、キトサン、ポリビニルピリ
ジン及びその塩、ピニルピリジン共重合物および
その塩、メタアクリル酸アミノエチルエステルま
たはその四級化物のようなアミノ化アクリル酸エ
ステルポリマー、アミノ化アクリル酸エステルの
コポリマー、ポリアクリルアミドカチオン変性物
などが挙げられる。ノニオン系の重合体として
は、ポリアクリルアミド、ポリオキシエチレン、
ポリビニルアルコール、グアガムなどが挙げられ
る。これら重合体の中では特にノニオン系または
アニオン系重合体が好適である。 この発明に用いる硫酸ナトリウム含水塩として
は、硫酸ナトリウム７水塩および硫酸ナトリウム
10水塩が挙げられる。またこれらの混合物であつ
ても何らさしつかえない。 かくして本発明の一つの観点から、重合体の５
〜90重量部、および硫酸ナトリウム含水塩95〜10
重量部からなる２成分系の組成物が提供される。
かくしてこの組成物は、重合体水溶液の調製に当
り、清水に対しままこを生ずることなく極めて容
易かつ速やかに分散し溶解する。またこのものは
低温時は勿論、25℃以下の通常の気温のもとで数
ケ月以上の長期の間、顆粒状かつ流動性を安定に
保有し、使用に際しても作業性が良好である。 次に、本発明の他の観点から、上記２成分の外
に、硫酸マグネシウム含水塩および／または吸湿
剤を配合した組成物が提供される。 吸湿剤としては、無機の中性塩が好ましく、硫
酸ナトリウム無水物、硫酸カリウム無水物および
硫酸マグネシウム無水物が挙げられる。 また硫酸マグネシウム含水塩としては、その６
水塩および７水塩が挙げられる。 吸湿剤は、製造時に膨張を収縮させる効果を有
しより流動性のある顆粒化が得られる点から好ま
しく、また組成物に保存安定性をより一層向上せ
しめ、特に夏期30℃以上のもの高温で長期間保存
する場合に団塊化等の変質を防止する。また特に
硫酸マグネシウム無水物を用いた場合は、一旦調
製した比較的高濃度の重合体水溶液にも、重合体
を容易に分散溶解させる効果がある。かくして、
水に対して容易に分散溶解すると共に上記の効果
をも有する組成物として、重合体の５〜90重量
部、ならびに硫酸ナトリウム含水塩および吸湿剤
の95〜10重量部からなる組成物が提供される。ま
た硫酸ナトリウム含水塩と吸湿剤の重量比は１：
２ないし５：１が好適である。 一方、硫酸マグネシウム含水塩は、一旦調製し
た比較的濃度の組成物水溶液中での溶解において
も重合体を容易に分散溶解させると共に、各成分
を混合して組成物を製造する際、重合体の種類に
よつて発生することがある団塊化および器壁への
付着を防止する効果を有する。かくして、水に容
易に分散溶解すると共に上記のような効果を有す
る組成物として、重合体の５〜90重量部、ならび
に硫酸ナトリウム含水塩および硫酸マグネシウム
含水塩の95〜10重量部とからなる組成物が提供さ
れる。また硫酸ナトリウム含水塩と硫酸マグネシ
ウム含水塩の重量比は特に限定されることはない
が、通常１：１ないし９：１程度が適当である。 この発明に使用する硫酸ナトリウム含水塩は、
重合体の粒子を水に溶解さす際に互にくつ付き合
わないように隔離するような働きをなすものと考
えられる。また重合体粉末を製剤化する際に良好
な造粒性を与える効果をも有する。 さらに、重合体の５〜90重量部、ならびに硫酸
ナトリウム含水塩、硫酸マグネシウム含水塩およ
び吸湿剤、吸湿剤の中特に硫酸マグネシウム無水
塩の95〜10重量部からなる４成分系の組成物は、
水および一旦調製した重合体水溶液に容易に分散
溶解し、かつ保存安定性、特に高温で長時間保存
した場合の団塊化等の変質と、各成分を混合して
組成物を製造する際の団塊化および器壁への付着
を防止することができ、より流動性の顆粒化が得
られるため、本発明の最も好ましい組成物であ
る。 以下実施例、比較例を挙げて本発明を説明する
が、本発明を限定するものではない。 水溶性高分子重合体としては、アニオン系のポ
リアクリルアミド部分加水分解物およびカルボキ
シメチルセルロースナトリウム、ノニオン系のポ
リアクリルアミドならびにカチオン系のポリアク
リル酸エステルおよびポリアクリルアミドカチオ
ン変性物を用いて各種の組成物を作製し、その性
状を測定し第１表に示した（表内の数値は重量部
を示す）。組成物は次のようにして作製した。 即ち硫酸ナトリウム含水塩と必要に応じて硫酸
マグネシウム含水塩とを混合し、次いで重合体粉
末を加えて再び混合し、次いで必要に応じて吸湿
剤を添加混合して作製した。混合はいずれもＶ型
混合機を用いて行つた。また第１表に示した性状
は次のことを意味する。 １ 造粒性 前記のようにして組成物を作製した際、器壁へ
付着せず粒子が団塊化しない場合は造粒性良好と
し〇印を、器壁へ付着し粒子が団塊化する場合は
造粒性不良とし×印を記入した。 ２ 熱安定性 試料50ｇを蓋付サンプル瓶に採り、50℃恒温槽
に15時間放置した後取り出し、サンプル瓶を転倒
させ試料の塊状の有無を観察し、全く塊状化が認
められず十分な流動性を有するものは〇印、約1/
４〜1/5が部分的にやや塊状化しているが、サンプ
ル瓶を軽く振とうすると塊状部分がくずれ流動状
となるものは△印、及び全体的に塊状化し流動性
を復元しないものを×印とした。 なおこの試験法で〇印および△印のものは、10
Kgを包装し夏期室温に放置しても団塊化しないこ
とが確められている。 ３ 水への分散溶解性 大阪市水25中に50ｇの被検重合体組成物を一
度に投入撹拌して溶解させた際、均一に溶解した
ものは〇印、ままこを生じたものは×印とした。
なお溶解時の撹拌は、２段の３枚羽根付撹拌機を
300rpm回転させて行つた。 ４ 水溶性重合体水溶液への分散溶解性 被検重合体組成物を大阪市水に溶解し、溶液の
粘度が５，７，10cpsの３種の水溶液を作製し
た。これら各水溶液25中に50ｇの同じ被検重合
体組成物を一度に投入撹拌して溶解させた際、上
記のいずれの水溶液にも均一に溶解したものは〇
印、すべての水溶液についてままこを生じたもの
には×印、5cps以下の水溶液にのみ均一に溶解
したものは△印とした。なお溶解時の撹拌は、２
段の３枚羽根付撹拌機を300rpm回転させて行つ
た。

【表】

【表】 次に実施例結果について説明する。 １ アニオン系重合体 (1) ポリアクリルアミド部分加水分解物（分子
量1000万） 重合体単体（比較例２）では、熱安定性は
良好であるが、水への分散溶解性をはじ
め、他の項目の性状が不良である。また重
合体に硫酸ナトリウム10水塩を配合しても
重合体の比率が大きすぎると（比較例
１）、熱安定性は良好であるが項目の性状
が不良となる。しかし重合体および硫酸ナ
トリウム10水塩を本発明の重量比率の範囲
で配合すれば（実施例１，２）、造粒性お
よび熱安定性が良好になり、また水に良好
に分散溶解し、一旦作製した重合体組成物
水溶液の比較的低粘度（5cps以下）のも
のには良好に分散溶解する。さらに重合
体、硫酸ナトリウム及び硫酸マグネシウム
７水塩を本発明の重量比率で配合したもの
は（実施例３）、造粒性および熱安定性が
良好で、また水および一旦作製した重合体
組成物水溶液の高粘度ものにも良好に分散
溶解するようになる。また重合体、硫酸ナ
トリウム、および無水硫酸マグネシウムを
本発明の重量比率の範囲で配合した場合
（実施例４）ならびに重合体、硫酸ナトリ
ウム、硫酸マグネシウム７水塩および無水
硫酸マグネシウムを本発明の重量比率で配
合した場合（実施例５）は、すべての項目
の性状について良好である。従つて、実施
例４および５のごとき配合の組成物は、高
温で長期間保存しても団塊化せず、水はも
とより一旦作製した組成物水溶液にも容易
に溶解するので実用上極めて有用である。
また実施例５の無水硫酸マグネシウムの代
りに無水硫酸ナトリウムを用いた場合（実
施例６）は、実施例５の組成物と比べて一
旦作製した組成物水溶液の高粘度のものへ
の分散溶解性は不良であるが5cps以下の
低粘度のものには良好に分散溶解し、その
他の性状も満足すべきものであつた。 (2)カルボキシメチルセルロースナトリウム（エ
ーテル化度＝0.6±0.05、平均分子量＝
150000） この高分子重合体の組成物の一例として実
施例８を示したがすべての項目の性状につ
いて良好である。 ２ ノニオン系重合体 (1) ポリアクリルアミド（分子量600万） この重合体も１，(1)の重合体と同様に、硫
酸ナトリウムを配合した場合（実施例
９）、造粒性、熱安定性および水へ分散溶
解性は良好であり、また一旦作製した重合
体組成物の水溶液には、5cps以下の粘度
のものであれば良好である。また重合体、
硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム７水塩
および無水硫酸マグネシウムを配合した場
合（実施例10）は、すべての項目の性状に
ついて良好である。 ３ カチオン系重合体 (1) ポリアクリル酸アミノエチルエステル（分子
量500万） この重合体および硫酸ナトリウムを配合し
た場合（実施例11）も、造粒性、熱安定性
および水への分散溶解性は良好であり、重
合体組成物の水溶液に対する分散溶解性は
5cps以下の低粘度のものであれば良好に
分散溶解する。また重合体、硫酸ナトリウ
ム、硫酸マグネシウム７水塩および無水硫
酸マグネシウムを配合した場合（実施例
12）は、すべての項目の性状について良好
である。 (2)ポリアクリルアミドカチオン変性物（分子量
400万） この重合体については、ノニオン重合体の
ポリアクリルアミド（分子量600万）につ
いての２実施例の比率とほぼ同一比率で配
合した組成物の実施例13および14を示した
が、その性状は上記ノニオン重合体と同じ
性状を有している。 上記実施例の結果から、本発明の組成物は、す
ぐれた水溶性高分子重合体の易分散性組成物であ
ることが分る。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 凝集効果を有する水溶性高分子重合体粉末
   に、硫酸ナトリウム含水塩、さらに必要に応じて
   硫酸マグネシウム含水塩および／または吸湿剤を
   配合したことから水溶性高分子重合体の易分散性
   組成物。 ２ 水溶性高分子重合体が、ノニオン系、アニオ
   ン系またはカチオン系である特許請求の範囲第１
   項記載の組成物。 ３ 水溶性高分子重合体がノニオン系またはアニ
   オン系である特許請求の範囲第２項記載の組成
   物。 ４ 硫酸ナトリウム含水塩が硫酸ナトリウム10水
   塩または硫酸ナトリウム７水塩である特許請求の
   範囲第１項記載の組成物。 ５ 吸湿剤が硫酸ナトリウム無水物、硫酸カリウ
   ム無水物または硫酸マグネシウム無水物である特
   許請求の範囲第１項記載の組成物。 ６ 硫酸マグネシウム含水塩が硫酸マグネシウム
   ６水塩または７水塩である特許請求の範囲第１項
   記載の組成物。 ７ 水溶性高分子重合体の５〜90重量部、および
   硫酸ナトリウム含水塩の95〜10重量部からなる特
   許請求の範囲第１項記載の組成物。 ８ 水溶性高分子重合体の５〜90重量部、ならび
   に硫酸ナトリウム含水塩、硫酸マグネシウム含水
   塩および吸湿剤の95〜10重量部からなる特許請求
   の範囲第１項記載の組成物。 ９ 水溶性高分子重合体５〜90重量部、ならびに
   硫酸ナトリウム含水塩および硫酸マグネシウム含
   水塩の95〜10重量部からなる特許請求の範囲第１
   項記載の組成物。 １０ 水溶性高分子重合体の５〜90重量部、なら
   びに硫酸ナトリウム含水塩および吸湿剤の95〜10
   重量部とからなる特許請求の範囲第１項記載の組
   成物。 １１ 硫酸ナトリウム含水塩との合計量と吸湿剤
   の重量比が１：２ないし５：１である特許請求の
   範囲第９項または第１１項記載の組成物。