JP4727054B2 - プッシュプル式複合容器蓋 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、注出用弁体を上下にスライドさせることにより、注出用開口を開放し或いは閉じるプッシュプル式の複合容器蓋に関するものであり、より詳細には、ドレッシングのような液が収容された容器の蓋として特に有用なプッシュプル式複合容器蓋に関する。
【0002】
【従来の技術】
プッシュプルタイプの複合容器蓋は、ワンタッチで注出用開口の開放及び閉塞を行うことができるため、種々の液体収容容器の容器蓋として使用されている。
例えば、特開2000−85811号公報の図4には、容器口部に螺子締結された中蓋20と、中蓋20の上部壁に上下にスライド可能に装着された可動部材30とを備えた複合容器蓋が開示されている。この先行技術において、中蓋20は、中空の筒状形状を有しており、その上部内空間には、内容液の注出用通路を閉じないようにして栓体(弁体)26が設けられており、可動部材30は注出用開口33を備えている。即ち、可動部材30が下方位置にあるときは、栓体26によって可動部材30の注出用開口33が閉じられているが、可動部材30を手で持って上方に引っ張り上げることにより、注出用開口33が開放され、この状態で内容液の注ぎ出しが行われ、注ぎ出し後は、再び、可動部材30を手で下方に押し下げることにより、栓体26によって注出用開口33が閉じられるというものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来公知のプッシュプルタイプの複合容器蓋は、注出用開口を開放し或いは閉じるために、可動部材を手で引っ張り上げたり或いは押し下げたりしなければならないという問題がある。例えばドレッシングのような液が収容された容器に用いた場合、注出用開口の開放及び閉塞に際して、液が付着した可動部材を手で触れなければならず、極めて非衛生的である。
【0004】
従って、本発明の目的は、容器内容液の注ぎ出しを行うための開口を有する部材を手で全く触れることなく、該部材を上下にスライドさせて開口の開放及び閉塞を行うことが可能なプッシュプルタイプの複合容器蓋を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、容器口部に固定される中蓋と、上下にスライド可能に該中蓋に取り付けられた注出用弁体と、中蓋に取り付けられた注出用弁体を覆うように着脱自在に設けられた上蓋とを備えた複合容器蓋において、
前記中蓋は、上面に注出案内用の注出筒を備えたリング状水平壁と、該水平壁の外周縁から下方に延びている環状外側壁と、該水平壁の内周縁から下方に延びている環状内側壁とを備え、該環状外側壁の下端内面には、アンダーカットが形成されており、これら環状外側壁と環状内側壁との間の空間に容器口部の上端部分が挿入されて該中蓋が容器口部に固定されると共に、
前記注出用弁体は、天井壁と、天井壁の周縁部分から下方に延びており且つ前記中蓋の環状内側壁内空間に上下にスライド可能に嵌め込まれる筒状側壁とを備えており、該天井壁の中央部分上面には、ボタン形状の上蓋係合用突部が設けられており、該筒状側壁の外面には、前記環状内側壁の下端と係合する突起が形成されていると共に、該筒状側壁には、その下端から上方に延びている注出用スリットが形成されており、
前記注出用弁体の天井壁周縁には、前記筒状側壁よりも外方に延びている周状の水平フランジが設けられており、
前記上蓋は、頂板部と、頂板部周縁から下方に延びているスカート壁とから成り、該スカート壁の下方部分内面には、容器口部の下方部分外面と螺子係合する螺条が形成されており、前記頂板部下面の中央部分には、前記注出用弁体の天井壁上面に設けられている上蓋係合用突部と係合するリング状係合突起が形成されており、
前記注出用弁体が取り付けられている中蓋が容器口部に固定されている状態で容器口部に螺子固定された上蓋を旋回して開栓すると、該上蓋の上昇に伴って、前記注出用弁体は、上蓋のリング状係合突起と注出用弁体の上蓋係合用突部との係合により上方に引き上げられ、前記筒状側壁外面の突起と環状内側壁下端とが係合すると、該注出用弁体の上昇が制限され、前記リング状係合突起と上蓋係合用突部との係合が解除されて、上蓋のみが上昇して容器口部から取り外され、上蓋が取り外された状態において、前記筒状側壁に設けられている注出用スリットが外部に開放されて、該スリットを介して容器内容液の注ぎ出しが行われ、
前記注出用弁体が取り付けられている中蓋が容器口部に固定されている状態で上蓋を被せて閉栓すると、上蓋の押圧によって、前記注出用弁体は降下し、前記スリットが閉じられ、
該注出用弁体が降下位置にあるときは、前記上蓋の頂板部内面に形成された押圧用突起が、前記注出用弁体の水平フランジ上面に当接し、
且つ該水平フランジの下面が、前記中蓋のリング状水平壁の上面内周縁部分に密着して、前記注出筒の上端と上蓋の頂板部の下面との接触が回避されること、を特徴とする複合容器蓋が提供される。
また、本発明によれば、容器口部に固定される中蓋と、上下にスライド可能に該中蓋に取り付けられた注出用弁体と、中蓋に取り付けられた注出用弁体を覆うように着脱自在に設けられた上蓋とを備えた複合容器蓋において、
前記中蓋は、上面に注出案内用の注出筒を備えたリング状水平壁と、該水平壁の外周縁から下方に延びている環状外側壁と、該水平壁の内周縁から下方に延びている環状内側壁とを備え、該環状外側壁の下端内面には、アンダーカットが形成されており、これら環状外側壁と環状内側壁との間の空間に容器口部の上端部分が挿入されて該中蓋が容器口部に固定されると共に、
前記注出用弁体は、天井壁と、天井壁の周縁部分から下方に延びており且つ前記中蓋の環状内側壁内空間に上下にスライド可能に嵌め込まれる筒状側壁とを備えており、該天井壁の中央部分上面には、ボタン形状の上蓋係合用突部が設けられており、該筒状側壁の外面には、前記環状内側壁の下端と係合する突起が形成されていると共に、該筒状側壁には、その下端から上方に延びている注出用スリットが形成されており、
前記上蓋は、頂板部と、頂板部周縁から下方に延びているスカート壁とから成り、
前記上蓋のスカート壁には、上方の小径部と下方の大径部とから成り、該大径部の下方部分内面には、容器口部の下方部分外面と螺子係合する螺条が形成されており、該小径部と大径部との間には水平段差部が形成されており、該水平段差部の下面に、該上蓋を閉じた時に、前記中蓋のリング状水平壁上面周縁部と密着する小突起が形成され、前記頂板部下面の中央部分には、前記注出用弁体の天井壁上面に設けられている上蓋係合用突部と係合するリング状係合突起が形成されており、
前記注出用弁体が取り付けられている中蓋が容器口部に固定されている状態で容器口部に螺子固定された上蓋を旋回して開栓すると、該上蓋の上昇に伴って、前記注出用弁体は、上蓋のリング状係合突起と注出用弁体の上蓋係合用突部との係合により上方に引き上げられ、前記筒状側壁外面の突起と環状内側壁下端とが係合すると、該注出用弁体の上昇が制限され、前記リング状係合突起と上蓋係合用突部との係合が解除されて、上蓋のみが上昇して容器口部から取り外され、上蓋が取り外された状態において、前記筒状側壁に設けられている注出用スリットが外部に開放されて、該スリットを介して容器内容液の注ぎ出しが行われ、前記注出用弁体が取り付けられている中蓋が容器口部に固定されている状態で上蓋を被せて閉栓すると、上蓋の押圧によって、前記注出用弁体は降下し、前記スリットが閉じられること、
を特徴とする複合容器蓋。
【0006】
本発明の複合容器蓋は、上蓋の脱着及び装着により、注出用弁体の上方へのスライド及び下方への降下が行われ、このような注出用弁体の上下へのスライドに伴って、該弁体に設けられている注出用スリットの一部が開放されて容器内容液の注ぎ出しが行われ、また開放された該スリットの注ぎ出し部分が閉じられる。従って、本発明によれば、容器に収容されている液の注ぎ出し作業を、液が付着する注出用弁体に手で触れることなく行うことができ、ドレッシングのような液が収容された容器に用いた場合にも、極めて衛生的である。また、容器内容液の注ぎ出しが行われる注出用スリットの開放部(筒状側壁外面の周状小突起よりも上方に位置する部分)は、上蓋を閉じることによって完全にしっかりと閉じられるため、ドレッシングのように、容器をよく振盪して液を均一にしたのちに注ぎ出しが行われる場合においても、この容器内容液によって上蓋が汚されるこもない。
【0007】
【発明の実施形態】
本発明を、以下、添付図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の複合容器蓋の側断面図を示し、
図2は、図1の複合容器蓋において、上蓋を取り外して注出用弁体が上方位置にある時の状態を示す側断面図であり、
図3は、図1の複合容器蓋に設けられている注出用弁体の斜視図である。
【0008】
図1及び2において、本発明のプッシュプルタイプの複合容器蓋は、容器口部50の上端に螺子固定された合成樹脂製の中蓋1と、該中蓋1に上下にスライド可能に取り付けられている合成樹脂製の注出用弁体2と、中蓋1及び注出用弁体2を覆うように容器口部の下方部分に着脱自在に螺子固定されている合成樹脂製の上蓋3とから成っている。
このような中蓋1、注出用弁体2及び上蓋3を構成する合成樹脂は、それ自体公知であり、例えば、ポリエチレン、アイソタクティクポリプロピレン、エチレン−ポリプロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系樹脂や、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ABS樹脂或いはポリカーボネート等を例示することができる。
【0009】
上記の複合容器蓋が装着される容器の口部50は、上端に位置する外径の小さい中蓋保持部51と、中蓋保持部51の下端に連なる外径の大きい上蓋保持部52とから成っており、中蓋保持部51の外面には、中蓋固定用の凹部51aが形成され、上蓋保持部52の外面には、螺条52aが形成されている。
【0010】
中蓋1は、リング状水平壁5と、該水平壁5の外周縁から下方に延びている環状外側壁6と、該水平壁5の内周縁から下方に延びている環状内側壁7とを備えており、リング状水平壁5の上面には、注出案内用の注出筒8が形成されている。注出筒8は、先端が外方に広がった形状を有しており、液の注ぎ出しがスムーズに行われるようになっている。
図1及び2から明らかな通り、上記の環状内側壁7内空間に、注出用弁体2が上下にスライド可能に嵌め込まれ、また、環状外側壁6と環状内側壁7との間の空間に容器口部50の上端の中蓋保持部51が挿入される。挿入された容器口部50をしっかりと固定するために、環状外側壁6の下端内面には、アンダーカット10が形成されており、水平壁5の下面には、環状外側壁6と環状内側壁7との間で下方に延びているインナーリング11が形成されている。即ち、環状外側壁6と環状内側壁7との間の空間に挿入された容器口部50の中蓋保持部51は、インナーリング11と環状外側壁6との間の空間に嵌め込まれ、上記のアンダーカット10が中蓋固定用の凹部51aと係合することにより、中蓋1は、容器口部50にがっちりと固定される。
【0011】
注出用弁体2は、天井壁20と、天井壁20の周縁部分から下方に延びており且つ前記中蓋1の環状内側壁7内空間に上下にスライド可能に嵌め込まれる筒状側壁21とから成っている。
天井壁20は、中央部分が若干高くなるようなテーパー形状を有しており、且つその中央部分上面には、ボタン形状の上蓋係合用突部22が形成されている。(この上蓋係合用突部22を後述する上蓋3と容易に係合させるために、天井壁20の中央部分を若干高くしているものである。)また、天井壁20の周縁部には、前記筒状側壁21よりも外方に延びている水平フランジ23が形成されている。
また、筒状側壁21の下端部外面には、アンダーカット25が形成されており、このアンダーカット25よりも上方の位置には、小突起26が形成されている。筒状側壁21が中蓋1の環状内側壁7内に嵌め込まれた状態において、筒状側壁21の位置に応じて、このアンダーカット25が、環状内側壁7の下端と係合(当接)し、小突起26は、環状内側壁7の上端(リング状水平壁5の上面内周縁部)と係合(当接)する。この点について、後で詳述する。
更に、筒状側壁21には、図3から容易に理解されるように、その下端から少なくとも前記小突起26よりも上方にまで延びている注出用スリット28が、周方向に一定間隔で複数設けられている。この注出用スリット28の小突起26よりも上方の部分28aが、内容液の注ぎ出しに際しての注出用開口となるものである。
【0012】
本発明の複合容器蓋では、上述した構造を有する注出用弁体2の上下スライドが上蓋3を利用して行われる。
このような上蓋3は、図1に示されているように、頂板部30と、頂板部30の周縁から下方に延びているスカート壁31とから成っており、スカート壁31は、上方の小径部31aと下方の大径部31bとから成り、この小径部31aと大径部31bとは、水平段差部31cを介して連なっている。スカート壁31の大径部31bの内面には、螺条35が形成されており、この螺条35が、容器口部50の上蓋保持部52の外面に形成されている螺条52aと螺子係合することにより、上蓋3は、中蓋1及び中蓋1に取り付けられた注出用弁体2を覆うように、容器口部50に装着されるものである。
また、水平段差部31cの下面には、小突起36が形成されており、上蓋3を閉じた状態で、容器口部50に固定されている中蓋1のリング状水平壁5の上面に小突起36が当接密着し、上蓋3によるシールが確保される。
【0013】
本発明において、上蓋3の頂板部30の下面中央部分には、リング状係合突起37が形成され、且つ頂板部30の下面周縁部分には、押圧用突起38が形成されている。
リング状係合突起37は、先端部が内方に屈曲した鍵形形状を有しており、注出用弁体2の天井壁20上面に設けられているボタン形状の上蓋係合用突部22と係合し、この係合によって、上蓋3の開栓による上昇に際して注出用弁体2も上昇する。
また、押圧用突起38は、リング状係合突起37よりも長く、上蓋3を閉じるときに、この押圧用突起38が注出用弁体2の天井壁20周縁に形成されている水平フランジ23の上面を押圧し、これにより、上蓋3の閉栓(降下)に伴って、注出用弁体2も下方に降下する。また、上蓋3が完全に閉じられた状態において、下方に降下した注出用弁体2の水平フランジ23は、この押圧用突起38と中蓋1のリング状水平壁5との間で挟持され、注出用弁体2は、降下位置でしっかりと固定される。更に、このような押圧用突起38により、中蓋1に形成されている注出案内用の注出筒8の上端と上蓋3の頂板部30の下面との接触が有効に回避され、この注出筒8の破断や変形が有効に防止される。
【0014】
上述した本発明の複合容器蓋において、上蓋3の脱着及び装着による注出用弁体2の上下スライドを利用しての容器内容液の注ぎ出し作業は、以下の様にして行われる。
【0015】
上蓋3が装着されている状態においては、図1に示すように、注出用弁体2は、降下位置にあり、上記でも述べた通り、押圧用突起38と中蓋1のリング状水平壁5との間に水平フランジ23が挟持されることにより、注出用弁体2は、しっかりと固定される。このとき、注出用弁体2の筒状側壁21の中央部分外面に形成されている小突起26は、中蓋1の環状内側壁7の下端よりも下方に位置しており、また、注出用弁体2の上蓋係合用突部22と上蓋3のリング状係合突起37とは係合しており、上蓋3の水平段差部31cの下面に形成されている小突起36は、中蓋1のリング状水平壁5の上面に密着している。
この図1から明らかな通り、注出用開口となる注出用スリット28の小突起26よりも上方の部分28aは、環状内側壁7の内面によって完全に閉じられている。
従って、この状態で容器を振盪しても、容器内容液が漏れ、上蓋3の内面等が容器内容液によって汚されるおそれはない。このことは、容器内容液がドレッシングや液体洗剤のように、容器を振盪させて液を均一にした後に注ぎ出しが行われる場合に極めて有利である。
【0016】
図1の状態から上蓋3を旋回して上昇させることにより(螺子係合の解除)、容器口部50から上蓋3を取り外すと図2の状態となる。
即ち、注出用弁体2の上蓋係合用突部22と上蓋3のリング状係合突起37とが係合しているため、上蓋3の上昇に伴い、注出用弁体2も上昇し、注出用弁体2の筒状側壁21の外面に形成されている小突起26は、中蓋1の環状内側壁7の内面に沿って上昇する。上蓋3の旋回を続け、上蓋3を上昇させていくと、上記の小突起26は環状内側壁7の上端を乗り越え、同時に筒状側壁21の下端のアンダーカット25は環状内側壁7の下端に当接する。従って、注出用弁体2の上昇は制限され、上蓋係合用突部22と上蓋3のリング状係合突起37との係合は解除され、上蓋3のみが取り外される。
【0017】
上蓋3が取り外された状態を示す図2において、小突起26が中蓋1のリング状水平壁5の上側に位置しており、小突起26がリング状水平壁5の上面に当接するため、上昇位置にある注出用弁体2が自重によって降下することはなく、その上昇位置は安定に保持される。この場合、小突起26によらず、環状内側壁7と注出用弁体2の筒状側壁21外面とを密接させることにより、注出用弁体2を上昇位置に保持することも可能である。
また、この状態では、筒状側壁21に形成されている注出用スリット28の小突起26よりも上方の部分28aは開放されている。従って、図2の状態で容器を傾倒させることにより、注出用スリット28の小突起26よりも上方の部分28aを介して、容器内容液は流れ出し、注出案内用の注出筒8の内面に沿って注ぎ出される。
【0018】
このようにして容器内容液の注ぎ出しが行われた後は、上蓋3を被せて閉じることにより、注出用弁体2は降下し、再び図1の状態となる。
即ち、上蓋3を閉栓方向に旋回して降下させていくと、小突起26がリング状水平壁5の上面に当接しているため、注出用弁体2は降下せず、先ず、注出用弁体2の上蓋係合用突部22に上蓋3のリング状係合突起37とが当接すること、或いは上蓋3の押圧用突起38が注出用弁体2の水平フランジ23に当接することにより、注出用弁体2は押圧され、小突起26はリング状水平壁5の上面(環状内側壁7の上端)を乗り越え、注出用弁体2は、環状内側壁7の内面に沿って降下していく。
注出用弁体2が降下し、水平フランジ23の下面がリング状水平壁5の上面に当接した時点で、注出用弁体2の降下は制限され、閉栓は終了する。即ち、この状態において、上蓋3の水平段差部31cの下面に形成されている小突起36が中蓋1のリング状水平壁5の上面に密着し、上蓋3によるシールが確保されると共に、先に述べた通り、水平フランジ23が上蓋3の押圧用突起38とがリング状水平壁5との間に挟持されるため、注出用弁体2の降下位置は安定に保持される。また、注出用弁体2の筒状側壁21の外面に形成されている小突起26は、環状内側壁7の下端の下側に位置しており、注出用スリット28の小突起26よりも上方の部分は、環状内側壁7の内面によって閉じられている。
再び内容液の注出を行うときには、上述した作業を繰り返せばよい。
【0019】
上述した本発明の複合容器蓋においては、注出用弁体2の筒状側壁21の外面に形成されている周状小突起26とアンダーカット25との間隔は、少なくとも環状内側壁7の長さ(環状内側壁7の下端からリング状水平壁5の上面までの長さ)よりも長くすることが必要である。即ち、注出用弁体2の上昇は、アンダーカット25と環状内側壁7の下端との当接によって制限されるが、この状態で、小突起26は、リング状水平壁5の上面よりも上側に位置していることが注出用弁体2を上方位置で安定に保持するために好ましい。
また、本発明においては、上蓋3のスカート壁31の下端に、フラップ片等の容器の顎部等と係合する係合部材を備えたタンパーエビデントバンドを設けることにより、不正使用防止機能を持たせることができる。
【0020】
【発明の効果】
本発明のプッシュプルタイプの複合容器蓋においては、内容液が付着する注出用弁体2に手で触れることなく、上蓋3の開栓及び閉栓によって、注出用弁体2の上昇及び降下を行い、注出用開口となるべき部分の開け閉めを行うことができる。また、容器内容液の激しく振盪させた場合にも、注出用開口となるべき部分が開放されることなく、しっかりと注出用弁体2が保持されている。
従って、本発明の複合容器蓋は、例えばドレッシングや液体洗剤のような液が収容された容器の蓋として、極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合容器蓋の側断面図。
【図2】図1の複合容器蓋において、上蓋を取り外して注出用弁体が上方位置にある時の状態を示す側断面図。
【図3】図1の複合容器蓋に設けられている注出用弁体の斜視図。
【符号の説明】
1:中蓋
2:注出用弁体
3:上蓋
5:リング状水平壁
6:環状外側壁
7:環状内側壁
20:天井壁
21:筒状側壁
22:上蓋係合用突部
23:水平フランジ
25:アンダーカット
26:小突起
28:注出用スリット
31:スカート壁
37:リング状係合突起
38:押圧用突起
Claims (6)
- 容器口部に固定される中蓋と、上下にスライド可能に該中蓋に取り付けられた注出用弁体と、中蓋に取り付けられた注出用弁体を覆うように着脱自在に設けられた上蓋とを備えた複合容器蓋において、
前記中蓋は、上面に注出案内用の注出筒を備えたリング状水平壁と、該水平壁の外周縁から下方に延びている環状外側壁と、該水平壁の内周縁から下方に延びている環状内側壁とを備え、該環状外側壁の下端内面には、アンダーカットが形成されており、これら環状外側壁と環状内側壁との間の空間に容器口部の上端部分が挿入されて該中蓋が容器口部に固定されると共に、
前記注出用弁体は、天井壁と、天井壁の周縁部分から下方に延びており且つ前記中蓋の環状内側壁内空間に上下にスライド可能に嵌め込まれる筒状側壁とを備えており、該天井壁の中央部分上面には、ボタン形状の上蓋係合用突部が設けられており、該筒状側壁の外面には、前記環状内側壁の下端と係合する突起が形成されていると共に、該筒状側壁には、その下端から上方に延びている注出用スリットが形成されており、
前記注出用弁体の天井壁周縁には、前記筒状側壁よりも外方に延びている周状の水平フランジが設けられており、
前記上蓋は、頂板部と、頂板部周縁から下方に延びているスカート壁とから成り、該スカート壁の下方部分内面には、容器口部の下方部分外面と螺子係合する螺条が形成されており、前記頂板部下面の中央部分には、前記注出用弁体の天井壁上面に設けられている上蓋係合用突部と係合するリング状係合突起が形成されており、
前記注出用弁体が取り付けられている中蓋が容器口部に固定されている状態で容器口部に螺子固定された上蓋を旋回して開栓すると、該上蓋の上昇に伴って、前記注出用弁体は、上蓋のリング状係合突起と注出用弁体の上蓋係合用突部との係合により上方に引き上げられ、前記筒状側壁外面の突起と環状内側壁下端とが係合すると、該注出用弁体の上昇が制限され、前記リング状係合突起と上蓋係合用突部との係合が解除されて、上蓋のみが上昇して容器口部から取り外され、上蓋が取り外された状態において、前記筒状側壁に設けられている注出用スリットが外部に開放されて、該スリットを介して容器内容液の注ぎ出しが行われ、
前記注出用弁体が取り付けられている中蓋が容器口部に固定されている状態で上蓋を被せて閉栓すると、上蓋の押圧によって、前記注出用弁体は降下し、前記スリットが閉じられ、
該注出用弁体が降下位置にあるときは、前記上蓋の頂板部内面に形成された押圧用突起が、前記注出用弁体の水平フランジ上面に当接し、且つ該水平フランジの下面が、前記中蓋のリング状水平壁の上面内周縁部分に密着して、前記注出筒の上端と上蓋の頂板部の下面との接触が回避されること、を特徴とする複合容器蓋。 - 容器口部に固定される中蓋と、上下にスライド可能に該中蓋に取り付けられた注出用弁体と、中蓋に取り付けられた注出用弁体を覆うように着脱自在に設けられた上蓋とを備えた複合容器蓋において、
前記中蓋は、上面に注出案内用の注出筒を備えたリング状水平壁と、該水平壁の外周縁から下方に延びている環状外側壁と、該水平壁の内周縁から下方に延びている環状内側壁とを備え、該環状外側壁の下端内面には、アンダーカットが形成されており、これら環状外側壁と環状内側壁との間の空間に容器口部の上端部分が挿入されて該中蓋が容器口部に固定されると共に、
前記注出用弁体は、天井壁と、天井壁の周縁部分から下方に延びており且つ前記中蓋の環状内側壁内空間に上下にスライド可能に嵌め込まれる筒状側壁とを備えており、該天井壁の中央部分上面には、ボタン形状の上蓋係合用突部が設けられており、該筒状側壁の外面には、前記環状内側壁の下端と係合する突起が形成されていると共に、該筒状側壁には、その下端から上方に延びている注出用スリットが形成されており、
前記上蓋は、頂板部と、頂板部周縁から下方に延びているスカート壁とから成り、
前記上蓋のスカート壁には、上方の小径部と下方の大径部とから成り、該大径部の下方部分内面には、容器口部の下方部分外面と螺子係合する螺条が形成されており、該小径部と大径部との間には水平段差部が形成されており、該水平段差部の下面に、該上蓋を閉じた時に、前記中蓋のリング状水平壁上面周縁部と密着する小突起が形成され、前記頂板部下面の中央部分には、前記注出用弁体の天井壁上面に設けられている上蓋係合用突部と係合するリング状係合突起が形成されており、
前記注出用弁体が取り付けられている中蓋が容器口部に固定されている状態で容器口部に螺子固定された上蓋を旋回して開栓すると、該上蓋の上昇に伴って、前記注出用弁体は、上蓋のリング状係合突起と注出用弁体の上蓋係合用突部との係合により上方に引き上げられ、前記筒状側壁外面の突起と環状内側壁下端とが係合すると、該注出用弁体の上昇が制限され、前記リング状係合突起と上蓋係合用突部との係合が解除されて、上蓋のみが上昇して容器口部から取り外され、上蓋が取り外された状態において、前記筒状側壁に設けられている注出用スリットが外部に開放されて、該スリットを介して容器内容液の注ぎ出しが行われ、
前記注出用弁体が取り付けられている中蓋が容器口部に固定されている状態で上蓋を被せて閉栓すると、上蓋の押圧によって、前記注出用弁体は降下し、前記スリットが閉じられること、
を特徴とする複合容器蓋。 - 前記中蓋の水平壁下面には、前記環状外側壁と環状内側壁との間で下方に延びているインナーリングが形成されており、該インナーリングと環状外側壁との間の空間に容器口部上端が嵌め込まれて中蓋が固定される請求項1に記載の複合容器蓋。
- 前記注出用弁体の天井壁周縁には、前記筒状側壁よりも外方に延びている周状の水平フランジが設けられており、該注出用弁体が降下位置にあるときは、該水平フランジの下面が、前記中蓋のリング状水平壁の上面内周縁部分に密着する請求項2又は3に記載の複合容器蓋。
- 前記上蓋のスカート壁には、上方の小径部と下方の大径部とから成り、該大径部の内面に容器口部外面と螺子係合する前記螺条が形成されており、該小径部と大径部との間には水平段差部が形成されており、該水平段差部の下面に、該上蓋を閉じた時に、前記中蓋のリング状水平壁上面周縁部と密着する小突起が形成されている請求項1、3〜4の何れかに記載の複合容器蓋。
- 前記注出用スリットは、筒状側壁の周方向に間隔を置いて複数形成されている請求項1乃至5の何れかに記載の複合容器蓋。
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