JP4726857B2 - 機械式ブレーキ作動装置 - Google Patents
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Description
この機械的作動機構は一対のブレーキシュー間に配置され、操作レバーに接続したブレーキケーブルを牽引操作することで操作レバーがストラットに対して回転すると共に、双方が相互に反対方向に拡張する機構になっている。
ストラットに外装したクリップが、操作レバーの回動を一定範囲に制限して操作レバーをストラットの空間内に位置決めし、連結ピンの抜け落ちを防止できる構成になっている。
(特許文献1の段落0015,0016、図2−4参照)
(特許文献1の段落0020−0023、図5−8参照)
(特許文献2の段落0018−0039、図2−12参照)
(1)クリップはストラットに外装できるように幅広に形成する必要がある。
そのため、クリップの材料費が嵩むうえに、クリップがストラットから外れるのを防止するために、クリップとストラットの両部品に外れ防止用の嵌合加工を施す必要があり、加工費が嵩む。
(2)クリップをストラットに一体化した実施例2の形態にあっては、ストラットを構成する一対の対向板の両外側面に回動軸を設ける必要があるので、更にコストが嵩む。
(3)ストラットを構成する一対の対向板の両側に切欠部を形成するため、ストラットの剛性が低くなる。
又、全体の高さを低くする要求があるブレーキでは、ストラットの橋絡部を下げていくと切欠部も深くなってストラットの剛性が更に低くなる。
(4)クリップをストラットに装着する際には、ストラットの突起を乗り越えるまでクリップの側板を指で強く押し広げた状態を維持し、ストラットの両側の突起にクリップの窪み部を夫々位置合わせして嵌め込まなければならず、クリップの装着作業性が極めて悪い。
(1)弾性部材をストラットの幅広空間に内挿して取付けた形態にあっては、ストラットを構成する一対の対向板間の空間がストラットの長手方向に大きくなる。
そのため、レイアウト性が悪くなり小さいサイズのブレーキに適用しにくい。
レイアウトが可能なブレーキにおいては、ストラットの剛性が低下し、変形しやすくなる。
(2)弾性部材をストラットの橋絡部に装着して取付けた形態は、橋絡部が小さくなる。
そのため、橋絡部により抑えられていた、一対の対向板の剛性が低下する。すなわち、一対の対向板の開き変形が起きやすくなる。
(3)弾性部材を操作レバーに装着した形態は、更に橋絡部の剛性が低下する。
(1)操作レバーの回動許容範囲が、操作レバーがクリップ又は弾性部材に当接するまでに制限されるため、操作レバーの有効作動範囲(作動ストローク)が小さく、その結果、レバー比を大きくすることが困難であった。
(2)連結ピンが操作レバーから抜け落ちないように、連結ピンの全長を長くするとともに、ストラットとの関係においてストラットの内幅寸法を厳しく規制する必要があった。
さらに本発明の他の目的は、ストラットの強度や製造精度に悪影響を及ぼさない機械式ブレーキ作動装置を提供することにある。
さらに本発明の他の目的は、操作レバーの有効作動範囲(作動ストローク)を容易に確保できる機械式ブレーキ作動装置を提供することにある。
さらに本発明の他の目的は、クリップの装着作業性を著しく改善できる機械式ブレーキ作動装置を提供することにある。
本発明にあっては、小さなサイズのクリップをケーブルエンドに装着して取着するだけで、ブレーキケーブルの外れを確実に防止することができる機械式ブレーキ作動装置を小型コンパクトにすることができる。
(1)クリップをケーブルエンドに取着したので、機械式ブレーキ作動装置を構成するストラット及び操作レバーに改良を加える必要がまったくない。
したがって、ストラットの強度に悪影響を及ぼさずに済む。
(2)ストラット及び操作レバーに改良をまったく加えないから操作レバーの回動範囲を大きくできて、操作レバー有効作動範囲(作動ストローク)を容易に確保できる。
(3)連結ピンを操作レバーに組付けた後は、ケーブルエンドに取着したクリップが連結ピンを位置決めして移動を拘束するので、従来のようにストラットの内幅を厳しく規制する必要がない。
(4)クリップはケーブルエンドの一対の対向片に外装して取着するので従来と比べてクリップを小型化でき、しかも簡単な折曲加工で製作できるため、クリップの材料費と加工費を大幅に低減できる。
(5)クリップを押込んでケーブルエンドに組付けるだけの簡単なワンタッチ操作で取着できるので、クリップの装着作業性が著しく向上する。
図1は機械式ブレーキ作動装置を装備したドラムブレーキの一例を示す平面図、図2は図1における機械式ブレーキ作動装置周辺の縦断面図、図3はその横断面図、図4は機械式ブレーキ作動装置の分解斜視図、図5は機械式ブレーキ作動装置にクリップを装着する作業の説明図である。
両ブレーキシュー12,13間に張設した一対のシューリターンスプリング(片方のシューリターンスプリング19のみを図示する)により、両ブレーキシュー12,13の両端部と連結部材及びアンカー16との当接状態が保たれている。
更に、相対向する対向板23b,23bの一方側を重合して溶接等で以って密着接合し、長手方向の両端間に幅広の空間(隙間)23cが形成されていると共に、この空間23cより幅狭の空間(隙間)23dが他方に連設されている。
対向板23b,23bの一方の重合部にはシュー係合溝23eが形成され、他方には枢支孔23f,23fが穿設されている。
橋絡部23aと操作レバー24は、操作レバー24の遊端部24eに形成した連結孔24fの全てがストラット23の幅広の空間23c内から露出するまでは、操作レバー24が橋絡部23aに当接しないように関係付けられている。
操作レバー24の基部24aにシュー係合溝24bが形成されるとともに、このシュー係合溝24bを画成する一方の突起部24cには、枢支ピン25を挿通する枢支孔24dが穿設されている。
このように操作レバー24の可動範囲を大きくとれるので、必要とする操作レバー24の有効作動範囲(作動ストローク)を容易に確保することができる。
ケーブルエンド42はインナケーブル41に固着する首部42eと、この首部42eから連設する基部42aと、この基部42aから立設した一対の対向片42b,42bから構成され、一対の対向片42b,42bには相対向する位置に連結孔42c,42cが穿設されている。なお、首部42e周辺の基部42aには肩部42dが形成されている。
連結ピン43による操作レバー24及びブレーキケーブル41との接続状態を維持するクリップ30は、ケーブルエンド42の一対の対向片42b,42bに外装して連結ピン43の移動を制限する略コ字形の本体部31と、本体部31と一体に形成してケーブルエンド42の一部に係止する係止部32とを具備する。
本体部31は相対向する一対の挟着片31a,31aを具備していて、これら挟着片31a,31aはケーブルエンド42の一対の対向片42b,42bを弾性的に挟持するように弾性力を有している。
各係止部32,32はケーブルエンド42の肩部42dに係止可能である。
さらに、本例では本体部31と係止部32,32の境界部付近に開口32a,32aを設けている。この開口32a,32aはクリップ30の首部42eに遊嵌合してクリップ30の横ズレを防止する。
ケーブルエンド42に形成した一対の対向片42b,42b間に遊端部24eを収容させて、遊端部24eに形成した連結孔24fの全てがストラット23の幅広の空間23c内から露出するまで押し上げる。
ケーブルエンド42と操作レバー24に形成した各連結孔42c,24f,42cを一致させた状態で、連結ピン43を側方から差し込んで操作レバー24とケーブルエンド42を連結する。
クリップ30を押し込む際、インナケーブル41を指で抓んでケーブルエンド42が後退しないようにするとよい。
又、ストラット23内で操作レバー24が回動してもクリップ30がストラット23に干渉することもない。
特に、クリップ30の係止部32,32がケーブルエンド42の対向片42b,42bを乗り越えたときに生じる打音によりクリップ30の取着完了を確認することができる。
又、本例にあってはクリップ30がケーブルエンド42の対向片42b,42bに外装できるだけの幅狭に形成するだけでよいから、クリップ30を小型化でき、しかも簡単な折曲加工で製作できるため、クリップ30の材料費と加工費を大幅に低減できる。
又、便宜上ストラットや周辺部品についての図示を省略して説明する。
本体部51の構成片のひとつである接続片51bの一端には、該接続片51bの長手方向に延出した略T字形を呈する延出部の一対の小片を一対の挟着片51a,51aと同方向で円弧状に屈曲した係止部52,52が形成されている。
一対の係止部52,52はケーブルエンド42の首部42eに挟持止可能であり、その両端部は首部42eに装着を円滑に行なえるように外方へ折り返して形成されている。
図8に示すように、本実施例ではケーブルエンド42と操作レバー24に形成した各連結孔42c,24f,42cを一致させた状態で、連結ピン43を側方から差し込んで操作レバー24とケーブルエンド42を連結するまでの操作は、既述した実施例1と同様であり、ケーブルエンド42に対するクリップ50の装着方向のみが異なる。
ケーブルエンド42の対向片42b,42bに外装された一対の挟着片51a,51aが各連結孔42c,42cを塞ぐことにより連結ピン43の抜け落ちが規制される。
すなわち、クリップ50の係止部52,52はケーブルエンド42の円柱状の首部42eに係止されるため、係止作業が実施例1よりも容易になる。
連結ピン43は、各連結孔42c,24f,42cと同じ均一径に形成されていて、その両端の小径凸部43a,43aは各連結孔42c,24f,42cより小径に形成されている。
なお、小径凸部43a,43aの突出長はクリップ60の板厚と略同じ長さである。
図9に示すようにケーブルエンド42と操作レバー24に形成した各連結孔42c,24f,42cを一致させた状態で、連結ピン43を側方から差し込んで操作レバー24にケーブルエンド42を連結する。
クリップ60の本体部61の開口端が連結ピン43の小径凸部43a,43aを乗り越えるようにクリップ60をさらに押し込むことで、一対の挟着片61a,61aに形成された穴状の係止部62,62が連結ピン43の小径凸部43a,43aに嵌合して取着される。
又、クリップ60の係止部62,62が連結ピン43の小径凸部43a,43aに嵌合することで、クリップ60が連結ピン43を介してケーブルエンド42に取着される。
本例では連結ピン43の両端に凹部43b,43bが形成され、クリップ70の本体部71を構成する一対の挟着片71a,71aの板面に係止部72,72が内側に向け突出して形成されていて、この係止部72,72を連結ピン43の両端の凹部43b,43bに嵌合させることで、クリップ70が連結ピン43を介してケーブルエンド42に取着できるようにしたものである。
11 バックプレート
12,13 ブレーキシュー
16 アンカー
16a 立設部
19 シューリターンスプリング
20,21 取付けボルト
22 機械的作動機構
23 ストラット
23a 橋絡部
23b 対向板
23c (幅広の)空間
23d (幅狭の)空間
23e シュー係合溝
23f 枢支孔
23g 突起部
24 操作レバー
24a 基部
24b シュー係合溝
24c (一方の)突起部
24d 枢支孔
24e 遊端部
24f 連結孔
24h 突起部
25 枢支ピン
26 止めワッシャ
30,50,60,70 クリップ
31,51,61,71 本体部
31a,51a,61a,71a 挟着片
32,52,62,72 係止部
32 開口
40 ブレーキケーブル
41 インナケーブル
42 ケーブルエンド
42a 基部
42b 対向片
42c 連結孔
42d 肩部
42e 首部
43 連結ピン
43a 小径凸部
43b 凹部
44 アウタケーシング
44a ケーシングキャップ
45 ガイドパイプ
46 止めリング
Claims (5)
- 一方のブレーキシューに係合すると共に一対の対向板を有するストラットと、他方のブレーキシューに係合する板状の操作レバーとを備え、操作レバーをストラットの対向板間に配置すると共にその基端部をストラットに回動可能に枢支した機械式ブレーキ作動機構と、一対の対向片と、該対向片を連結する基部と、該基部に一体の首部を有するケーブルエンドと、インナケーブルとを備え、前記首部にて前記ケーブルエンドと前記インナケーブルを固着したブレーキケーブルと、前記操作レバーの遊端部と前記ケーブルエンドとを接続する連結ピンとからなり、前記ブレーキケーブルを牽引すると、操作レバーがストラットに対して回転すると共に、双方が相互に反対方向に拡張する機械式ブレーキ作動装置において、
前記連結ピンの抜け出しを規制するクリップを、前記対向片に外装して取着したことを特徴とする、
機械式ブレーキ作動装置。 - 請求項1において、前記対向片に外装したクリップが、連結ピンの抜け出しを規制するコ字形の本体部と、該本体部と一体に形成して、前記ケーブルエンドに係止する係止部とを具備することを特徴とする、機械式ブレーキ作動装置。
- 請求項2において、前記基部は段差のある肩部を有しており、前記クリップの本体部と一体に形成した係止部を前記肩部に係止して、クリップをケーブルエンドに取着したことを特徴とする、機械式ブレーキ作動装置。
- 請求項2において、前記クリップの本体部と一体に形成した係止部を前記首部に嵌合して、クリップをケーブルエンドに取着したことを特徴とする、機械式ブレーキ作動装置。
- 請求項2において、前記クリップの本体部に形成した係止部を連結ピンの端部に嵌合して、クリップをケーブルエンドに取着したことを特徴とする、機械式ブレーキ作動装置。
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