JP4726311B2 - ゲルインキ組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、せん断減粘性を有するゲルインキ組成物を製造するゲルインキ組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ゲルインキ組成物のようなせん断減粘性を有するインキ組成物には、インキにせん断減粘性を賦与するために、ゲル化剤などの補助剤が使用されている。
【0003】
これらのゲル化剤の添加手段は、インキのみに関わらず様々な材料で検討されており、例えば、特公昭56−35179号公報記載のようにゲル化剤を溶解させるための補助剤を共存させる方法、または、特公平4−24024号公報に記載のごとくゲル化抑制剤と組み合わせる方法、更には、ゲル化剤が可溶となる溶媒にゲル化剤を溶解させた後に目的とする材料に混合分散させる方法などゲル化するために補助材料を組み合わせることが知られている。
しかしながら、これらの方法をゲルインキ組成物の製造に適用した場合、インキ特性には必要としない材料を加えることになり、インキ特性が少なからず低下する課題が生じていた。
【0004】
一方、添加補助材料を使用しないでゲル化剤を添加する方法としては、例えば、加温によりゲル化剤を溶解させて混合させる方法が知られているが、ゲル化剤の可溶化温度がインキ含有溶剤の常圧時沸点より高いゲル化剤では、使用できないという課題がある。
また、添加補助材料を使用しないでゲル化剤を添加する方法としては、撹拌や分散などによりゲル化剤と溶剤を混合する方法も知られているが、この方法ではゲル化剤に高いシェアを加える装置などが必要となり、かつゲル化に伴う高粘性化によりゲル化物の回収が困難となる課題がある。
更に、一般的に高分散化の際に利用する分散機として用いられるビーズミルなどを使用した場合は、調製後のゲルインキ組成物と分散補助材料であるビーズ等を分離するために、多くの労力が必要となる課題もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、ゲルインキ組成物を容易に製造することができる製造方法、すなわち、インキ含有溶剤との相溶性が低いゲル化剤でも、ゲル化剤を添加するための補助材料を必要とせず、また、インキ含有溶剤の常圧時沸点より可溶化温度が高いゲル化剤を用いても、容易にゲルインキ組成物を調製することが可能となり、更には、調製したゲルインキ組成物は高い収率で回収することを可能とするゲルインキ組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術の課題等について鋭意研究の結果、少なくともゲル化剤と溶剤と着色剤を含むゲルインキ配合組成物において、該溶剤の常圧時〔=1気圧、以下省略〕沸点よりも高い温度で調製することにより、上記目的のゲルインキ組成物の製造方法が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(4)に存する。
(1) 少なくともゲル化剤と溶剤と着色剤を含むゲルインキ組成物の製造方法において、溶剤の常圧時沸点よりも高い温度で、ゲルインキ配合組成物を調製することを特徴とするゲルインキ組成物の製造方法。
(2) 1気圧より高い圧力環境下でゲルインキ配合組成物を調製する上記(1)記載のゲルインキ組成物の製造方法。
(3) 上記(2)記載のゲルインキ組成物の製造方法において、ゲルインキ配合組成物を加温及び加圧状態にて調製することができるオートクレーブを使用するゲルインキ組成物の製造方法。
(4) オートクレーブが、ゲルインキ配合組成物を均一に混合する混合装置を備えるオートクレーブ又はゲルインキ配合組成物を均一に混合する混合装置が取り付け可能となるオートクレーブである上記(3)記載のゲルインキ組成物の製造方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明のゲルインキ組成物の製造方法は、少なくともゲル化剤と溶剤と着色剤を含むゲルインキ組成物の製造方法において、溶剤の常圧時沸点よりも高い温度で、ゲルインキ配合組成物を調製することを特徴とするものである。
【0008】
本発明において、少なくともゲル化剤と溶剤と着色剤を含むゲルインキ組成物を調製する際に、溶剤の常圧時沸点よりも高い温度で調製するためには、ゲルインキ配合組成物を1気圧より高い圧力環境下(圧力P>1気圧)、好ましくは、ゲルインキ種、使用用途などに応じて圧力環境は変動するが、1.1〜10気圧(atm)となる高い圧力環境下においてゲルインキ組成物を調製することが望ましい。
1気圧より高い圧力環境下とする方法としては、様々な方法があるが、目的とするゲルインキ配合組成物が1気圧より高い圧力環境下におかれる方法であれば、特に限定されるものではない。
【0009】
ゲルインキ配合組成物を調製する容器としては、1気圧より高い圧力環境下に耐える容器であれば、金属性の容器、樹脂でもガラス製でもよく、何等限定されるものではない。また、容器内部に入れたゲルインキ配合組成物が加温可能となるように、加圧容器内、若しくは加圧容器外のいずれかに加温装置が付随していれば、どのような形式の加温装置を使用してもよく、例えば、ゲルインキ配合組成物を加温及び加圧状態にて調製することができるオートクレーブなどの使用が挙げられる。
更に、ゲルインキ配合組成物が混合可能となるように加圧容器には、撹拌装置を有するか、若しくは混合可能な装置を取り付け可能であることが好ましく、例えば、オートクレーブが、ゲルインキ配合組成物を均一に混合する混合装置を備えるオートクレーブ又はゲルインキ配合組成物を均一に混合する混合装置が取り付け可能となるオートクレーブなどが挙げられる。
具体的な装置としては、例えば、反応熱自動制御反応装置 JYU−HWCR、同JYU−SCR、熱媒オイル循環自動温度制御式反応装置 JYU−OCR、反応装置 JYU−AS−A−20〔以上、旭硝工(株)製〕、机型リアフクター OML型、卓上型リアクター OM型、高圧高温用マイクロリアクターMM型、同MMシリーズ、同MMJシリーズ、ワイドプログラムリアクター WPO型、マイクロリアクター M−C型〔以上、オーエムラボテック(株)製〕、電磁誘導回転撹拌式オートクレーブ MK型、竪型静置式オートクレーブ TY型、竪型回転式オートクレーブ TM型、ジャケット式重合装置 MKJ型、セメント養生用オートクレーブ CA型、コンクリート養生用オートクレーブ Y型、円筒型加圧脱泡装置 YKP型、同YKK型〔以上、(株)栗原製作所製〕、研究室用金属性オートクレーブ〔パール(株)製〕、テフロン(登録商標)内筒型反応装置 TAF−R1500型、るつぼ型電気炉式オートクレーブ TAS−01〜1型、バンドヒーター式オートクレーブ TAS−1〜5型、耐圧製金属装置TAS−10−J3R型、高温高圧反応装置 TAS−Hl型、水熱合成用高圧オートクレーブ TLA−1型、電気炉覗き窓式オートクレーブ TAS−5〜10型、グラスライニング製リアクター TAG型、熱媒循環式反応リアクター、超臨界CO2シリンダー TSC−WC95型、ハイブリッドグラスターV−TAS型、メタルリアクター TEM−Dシリーズ、ハイパーグラスターTEM−Vシリーズ、ハイパーグラスシリンダー HPG−1型、同5型、ポータブルリアクター TPR−1〜6型、同TVS−1型、同TVS−N2型、ノズル式テフロン(登録商標)内筒密閉容器 TAF−SR50、同100、同300〔以上、耐圧硝子工業(株)製〕、小型反応管、誘導回転式オートクレーブ NU−5型、連続反応装置〔(株)日東反応機〕、撹拌式オートクレーブ MA−0.5〜30、電磁式撹拌オートクレーブ HMA−0.5〜30〔(株)三喜製作所〕等が挙げられる。
【0010】
本発明で用いられるゲル化剤は、本発明のゲルインキ組成物を構成するゲル化剤成分であり、ゲル化剤やレオロジーコントロール剤などが使用できるが、インキ配合組成物にせん断減粘性を賦与する材料であれば、何等限定されるものではない。具体的なゲル化剤としては、無機類、金属石鹸類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、脂肪酸類、エステル類、脂肪酸アミド類等が挙げられる。
【0011】
無機類としては、例えば、べントナイト系、シリカ系微粉末、アルミナ系粉末、ケイ酸アルミ類等が挙げられる。金属石鹸類としては、例えば、リシノール酸カルシウム、12ヒドロキシステアリン酸類、モノステアリンアルミ、ステアリン酸アルミ、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、オクチル酸アルミ等が挙げられる。
【0012】
ポリグリセリン脂肪酸エステル類としては、例えば、テトラグリセリンペンタステアレート、テトラグリセリントリステアレート、テトラグリセリンモノステアレート、テトラグリセリン、へキサグリセリンペンタステアレート、へキサグリセリントリステアレート、へキサグリセリンセスキスステアレート、ヘキサグリセリンモノステアレート、デカグリセリンドデカステアレート、デカグリセリンデカステアレート、デカグリセリンへプタステアレート、デガグリセリントリステアレート、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0013】
脂肪酸類、エステル類としては、例えば、ステアリン酸、12ヒドロキシステアリン酸、ヒマシ油、硬化ヒマシ油系、半硬化ヒマシ油、ヒマシ油誘導体、メチル12ヒドロキステアレート、ステアリル12ヒドロキシステアレート、ソルビタンモノステアレート、長鎖脂肪酸エステル重合体、ショ糖脂肪酸エステル、デキストリンパルミチン酸エステル、12ヒドロキシステアリン酸コレステリル、12ヒドロキシステアリン酸モノグリセリド、脂肪酸トリグリセリド、ジペンタエリスリトールー12ヒドロキシステアリン酸のエステル化物、ジペンタエリスリトール−混合脂肪酸のエステル化物等が挙げられる。
【0014】
脂肪酸アミド類としては、例えば、N−ヒドロキシエチル12ヒドロキシステアリルアミド、N−N’−エチレンビスオレイルアミド、N−N’−エチレンビス12ヒドロキシステアリルアミド、N−N’−へキサメチレンビス12ヒドロキシステアリルアミド、N−N’−エチレンビスステアリルアミド、N−ラウロイルグルタミン酸ジプチルアミド、脂肪酸N誘導体、脂肪酸アマイドワックス、特殊含窒素化合物、低分子ポリアミド等が挙げられる。
更に、リン酸エステルカルシウム塩、ジペンジリデンソルピトール、トリペンジリデンソルビトール、ノポリエチレンワックス、パラフィンワックス、エチルセルロースなども、使用するインキ含有溶剤種によっては、十分にインキ組成物にせん断減粘性を賦与することができる。
これらのゲル化剤は、単独で用いても二種以上を組み合わせて用いても良い。
【0015】
ゲル化剤の配合量は、インキにせん断減粘性を賦与するための濃度を確保するために必要な量を配合すれば良く、ゲルインキ配合組成物100重量部に対して、0.01〜50重量部、好ましくは、1〜10重量部の範囲から選択される。
ゲル化剤の配合量が0.01重量部未満では、ゲル化剤量が少ないため(ゲル濃度が低いため)に、インキ内において均一にゲル構造が形成され難く、ゲルインキ組成物としてのせん断減粘性を賦与し難いため好ましくない。また、ゲル化剤の配合量が50重量都を越えると、強固なゲル構造を形成することでインキにせん断を加えても減粘し難くなり、レベリング性の優れた平滑なインキ塗膜を形成しないため、好ましくない。
【0016】
本発明で用いられる溶剤は、本発明のゲルインキ組成物を構成する溶剤成分であるが、インキとして使用できるものであれば特に限定されるものではない。ただし、使用時の揮発性を考慮すると、20℃における蒸気圧が1mmHg以上であるものが好ましく用いられる。具体的な溶剤としては、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、脂肪酸エステル類、ケトン類、エーテル類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、水及びこれらの誘導体が挙げられるが、好ましくは、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、炭化水素類及びこれらの誘導体を挙げることができる。
【0017】
アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコールを挙げることができる。
【0018】
グリコールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエ−テル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテルを挙げることができる。
【0019】
炭化水素類としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、n一ヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、n−オクタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素系溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等のシクロパラフィン系溶剤、1,1,1−トリクロルエタン、テトラクロルエチレン等の塩化炭化水素系溶剤等が挙げられる。
【0020】
上述の各誘導体としては、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのアルコール類の脂肪酸エステル誘導体やプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテル類の脂肪酸エステル誘導体を挙げることができる。
これらの溶剤は、それぞれ単独で用いても二種以上適宜組み合わせて用いても良い。
【0021】
溶剤の配合量は、ゲルインキ配合組成物100重量部に対して、30〜99重量部、好ましくは、40〜95重量部の範囲から選択される。
この溶剤の配合量が、30重量部未満であると、添加される着色剤やその他の成分の相対的な添加量が多くなるため、溶解性が悪くなるため好ましくなく、また、99重量部を越えると、着色剤やその他の成分が相対的に不足するために、濃度の低下などによるインキ特性が大幅に低下するため、好ましくない。
【0022】
本発明で用いられる着色剤は、本発明のゲルインキ組成物を構成する着色成分であり、染料であれば使用するインキ含有溶剤に可溶な任意の油溶性染料、アルコール可溶性染料、顔料であれば無機顔料、有機顔料等を任意に使用することができる。
油顔性染料としては、例えば、アゾ染料、造塩体染料、含金属染料、アントラキノン染料、縮合型染料、フタロシアニンスルホアマイド染料等を挙げることができる。
【0023】
顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、金属粉等の無機頻料、フタロシアニン顔料、アゾキレート顔料、不溶性モノアゾ顔料、不溶性ジスアゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、ピロロビロール系顔料、アントラキノン系顔料、べリレン系顔料、ぺリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染め付けレーキ顔料、高分子球状粒子などの有機顔料が挙げられる。
これらの顔料は、そのまま使用しても良いし、適当な樹脂、界面活性剤などにより分散して用いても良い。
【0024】
これらの着色剤は、単独で用いても二種以上を組み合わせて用いても良い。
着色剤の配合量は、インキとしての着色濃度を確保するために必要な量を配合すれば良く、ゲルインキ配合組成物100重量部に対して、0.5〜60重量部、好ましくは、1〜50重量部の範囲から選択される。
この着色剤の配合量が0.5重量部未満では、インキとしての必要な着色濃度が不十分なため、好ましくなく、また、60重量部を越えると、インキの分散性に悪影響を与えるため、好ましくない。
【0025】
本発明では、上記ゲル化剤、溶剤及び着色剤を必須成分とするが、これ以外の成分で通常のインキ組成物に用いられる成分も、その用途に応じ任意に用いることができる。
例えば、ゲルインキ組成物の粘度を調整したり、着色剤の被筆記媒体への定着性や耐水性を向上させるために、通常使用される樹脂を用いても良い。具体的な任意成分としては、例えば、ケトン樹脂、スルホアミド樹脂、マレイン酸樹脂、エステルガム、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹胎、ロジン、ポリピニルピロリドン、ポリビニルブチラール、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、セルロース系樹脂等の天然及び合成樹脂の1種又は2種以上を用いることができる。
これらの樹脂の他、分散剤、防腐剤、防黴剤、潤滑剤、pH調整剤、粘度調整剤、沈降防止剤、界面活性剤等の成分も用いることができる。
【0026】
本発明におけるゲルインキ組成物の製造方法は、上述したゲルインキ配合組成物を溶剤の常圧時沸点よりも高い温度で、好ましくは、更に1気圧より高い圧力環境下においてゲルインキ配合組成物を調製するものであり、この圧力環境下ではゲルインキ配合組成物内の溶剤沸点は常圧時に比べて高くなる。
従って、常圧時は、該ゲルインキ配合組成物におけるゲル化剤の溶解温度(A)と溶剤の沸点(B)の関係が「A>B」である場合でも、装置内部を加圧し続けることで、「A<B」の関係にすることができる。この方法により、該ゲルインキ配合組成物は、ゲル化剤の溶解温度まで加温することが可能となり、ゲル化剤を均一にインキ組成物内に混合することが容易となる。
【0027】
具体的には、上述した装置内に該ゲルインキ配合組成物を入れて密閉状態にした後に、装置内を加圧状態にする。この場合、装置内部を加圧する方法としては、加温による内圧上昇、外部からの不活性ガスの注入などの方法が挙げられるが、装置内部が加圧状態になる方法であれば何等限定されるものではない。次いで、ゲル化剤の溶解温度より高い温度まで該ゲルインキ配合組成物を加温し、溶解したゲル化剤を均一にインキ内に混合させる。その後、ゲル化剤が冷却によりゲル化する温度よりも低温まで該ゲルインキ配合組成物を冷却することで目的とするゲルインキ組成物を得ることができる。
製造過程におけるゲルインキ配合組成物の撹拌や混合は、ゲル化剤がインキ組成物内に均一に分布されるように実施することが好ましい。なお、ゲルインキ配合組成物が1気圧を越えた圧力環境下におかれ、「A<B」の関係となる方法であれば、何等限定されるものでなく、本発明は上記の記述及び後述する実施例によって限定されるものではない。
このように構成される本発明では、溶剤の常圧時沸点よりも高い温度でゲルインキ配合組成物を調製することができ、例えば、ゲルインキ配合組成物を1気圧より高い圧力環境下におくことで、インキ含有溶剤の常圧時沸点以上の温度にゲルインキ配合組成物を加熱することが可能となり、結果としてインキ含有溶剤の常圧時沸点より高い温度で溶解するゲル化剤でも、溶解するための補助剤を使用することなく、かつ高分散力も必要とせずに、インキ配合組成物として容易にゲルインキ組成物の調製ができることとなる。
また、本発明により得られるゲルインキ配合組成物は、筆記具用油性ゲルインキ、筆記具用水性ゲルインキ、筆跡修正液、油性塗料、樹脂塗料、ラッカー、合成樹脂塗料などに好適に用いることができる。
【0028】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例によって何等限定されるものではない。但し、配合単位の「部」は、「重量部」である。
【0029】
〔実施例1〕
Figure 0004726311
上記配合組成を下記手順にて調製し、ゲルインキ組成物を得た。
【0030】
(手順)
1.上記所定量の着色剤1、2、溶剤、樹脂及びゲル化剤をオートクレーブ〔ハイパーグラスター TEM−V1000N 耐圧硝子工業(株)製〕に充填し、装置の蓋を閉めて密閉状態にした。
2.撹拌速度1100rpmにて、ゲルインキ配合組成物を撹拌しながら、加温した。
3.溶剤であるメチルシクロへキサンの常圧時沸点(100℃)近傍まで、ゲルインキ配合組成物を加温すると、溶剤の沸騰に伴い容器内部の圧力が上昇した。
4.密閉容器内部の圧力が上昇することで(1気圧→3気圧)、溶剤の常圧時沸点を越えても、ゲルインキ配合組成物は加温された。
5.ゲル化剤の可溶化温度である120℃以上に、ゲルインキ配合組成物の温度が上昇した時点で、ゲル化剤がゲルインキ配合組成物内で溶解した。
6.ゲル化剤が溶解した時点で温度125℃を保持し、1100rpmの撹拌速度によりゲルインキ配合組成物を十分に撹拌混合した。
7.十分にゲルインキ配合組成物を撹拌混合した後に、任意の速度で冷却した。
8.100℃近傍よりゲル化剤のゲル化が始まるため、1100rpmの撹拌は95℃より停止し、静置状態のまま30℃まで冷却した後、ゲルインキ組成物を回収した。
【0031】
〔実施例2〕
(配合組成)
Figure 0004726311
上記配合組成を下記手順にて調製し、ゲルインキ配合組成物を得た。
【0032】
(手順)
1.上記所定量の着色剤1、2、溶剤及び樹脂を分散混合し、青色のインキを作製した。
2.前記青色インキと所定量のゲル化剤を、オートクレーブ〔(ハイパーグラスター TEM−V1000N 耐圧硝子工業(株)製)に充填し、装置の蓋を閉めて密閉状態にした。
2.以降の手順は、上述した実施例1の手順2〜9と同様の方法を行った。
【0033】
〔比較例1〕
(配合組成)
着色剤1;クロノスKR−380(前述) 30部
着色剤2;OIL PINK 312(前述) 5部
ゲル化剤;GPl(前述) 5部
溶 剤 ;メチルシクロヘキサン 50部
樹 脂 ;アクリロイドB−67(前述) 10部
上記配合組成を下記手順にて調製し、ゲルインキ組成物を得た。
(手順)
1.上記所定量の着色剤1、2、溶剤、樹脂及びゲル化剤を市販の撹拌装置付き丸底フラスコ内に充填し、装置の蓋を閉めて密閉状態にした。
2.撹拌速度1100rpmにて、ゲルインキ配合組成物を撹拌しながら、加温した。
3.溶剤であるメチルシクロヘキサンの常圧時沸点(100℃)近傍まで、ゲルインキ配合組成物を加温すると容器内の圧力が上昇し始めた。
4.丸底フラスコは圧力に耐え難いために、このまま加温すると破損する恐れがある。このため、ゲルインキ組成物の加温を中止し、30℃まで冷却した時点でゲルインキ配合組成物を回収した。
【0034】
〔比較例2〕
(配合組成)
比較例1と同じ配合組成を下記手順にて調製し、ゲルインキ配合組成物を試みた。
(手順)
1.上記所定量の着色剤1,2、溶剤、樹脂及びゲル化剤を市販の撹拌装置付き丸底フラスコ内に充填し、蓋の一都に容器内圧力の上昇を防ぐために塩化カルシウム管を装着し半密閉状態にした。
2.撹拌速度1100rpmにて、ゲルインキ配合組成物を撹拌しながら、加温した。
3.溶剤であるメチルシクロヘキサンの常圧時沸点(100℃)近傍まで、ゲルインキ配合組成物を加温するとインキ含有溶剤が沸騰し、塩化カルシウム管を通じて揮発溶剤が抜け出た。
4.半密閉状態である容器内部の圧力は、1気圧で変化しないため、溶剤の沸騰に伴いゲルインキ配合組成物の温度が上昇し難くなった。
6.半密閉容器内部の圧力は、上昇せず溶剤が沸騰し続けるため、加温を止めて30℃まで冷却した後に、ゲルインキ組成物を回収した。
【0035】
〔比較例3〕
(配合組成)
着色剤1;クロノスKR−380(前述) 30部
着色剤2;CHROMOFINE BLUE HS−3(前述) 10部
ゲル化剤;GPl(前述) 5部
溶剤1 ;メチルシクロヘキサン 20部
溶剤2 ;エチルシクロヘキサン 20部
分散剤 ;ソルスパースS3000(前述) 5部
樹 脂 ;アクリロイドB−67(前述) 10部
上記配合を下記手順にて調製し、ゲルインキ配合組成物の製造を試みた。
(手順)
1.上記所定量のゲル化剤と溶剤2を125℃にて加温混合し、ゲル化剤溶液(プレゲル)を作製した。
2.前記プレゲルと所定量の着色剤、溶剤1、分散剤及び樹脂を、分散補助剤であるガラスビーズと共に、ペイントシェーカーで1時間分散混合した。
3.分散混合終了後、加圧濾過器を用いてガラスビーズとゲルインキ組成物の分離を行ない、目的とするゲルインキ組成物を得た。
【0036】
上記実施例1及び比較例1、2の結果を総合すると、比較例1及び2で得たインキは、ゲル化剤が未溶解のまま桃色インキ内に混在している状態であり、せん断減粘性を有するインキは得られなかった。一方、実施例1で得たインキはゲルインキ組成物として、良好なせん断減粘性を有するインキであった。
更に、実施例2及び比較例3で得たインキもゲルインキ組成物として、良好なせん断減粘性を有するインキであった。但し、本発明となる実施例1及び2より得たゲルインキ組成物は、ゲル化剤以外は従来含まれているインキの材料しか含まれていないものである。これに対して、比較例3のゲルインキ組成物では、ゲル化剤を溶解させるために、メチルシクロヘキサン(溶剤1)よりも沸点の高いエチルシクロヘキサン(溶剤2、常圧時沸点132℃)を使用した。エチルシクロヘキサンはメチルシクロヘキサンよりも蒸気圧が低いため、比較例3で調製したゲルインキ組成物は実施例2のゲルインキ組成物よりも、描線乾燥性が遅くなった。また、ゲルインキ組成物を調製する前後の重量部変化(調製前のゲルインキ配合組成物−調製後のゲルインキ組成物量)は、実施例1及び2が2部以下の減少量であった。これに対して、比較例2は、加温中の溶剤揮発のために20部以上の減少があり、比較例3はカラスビーズとゲルインキ組成物の分離の工程により30部以上は減少した。従って、本発明となる実施例1及び2は、調製したゲルインキ組成物の回収率が高い方法であることも判明した。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、インキにゲル化剤を添加する際に、補助剤を用いることなく、またインキを加温した際に揮発による溶剤の減量が生じなく、更には常圧においてインキ内溶剤の沸点より可溶化温度が高いゲル化剤を用いても容易にゲルインキ組成物が調製でき、かつ調製したゲルインキ組成物は高い収率で回収することができる、ゲルインキ組成物の製造方法が提供される。
なお、本発明におけるゲルインキ組成物の製造方法は、水性ゲルインキの作製にも適用できる。

Claims (4)

  1. 少なくともゲル化剤と溶剤と着色剤を含むゲルインキ組成物の製造方法において、溶剤の常圧(1気圧)時沸点よりも高い温度で、ゲルインキ配合組成物を調製することを特徴とするゲルインキ組成物の製造方法。
  2. 1気圧より高い圧力環境下でゲルインキ配合組成物を調製する請求項1記載のゲルインキ組成物の製造方法。
  3. 請求項2記載のゲルインキ組成物の製造方法において、ゲルインキ配合組成物を加温及び加圧状態にて調製することができるオートクレーブを使用するゲルインキ組成物の製造方法。
  4. オートクレーブが、ゲルインキ配合組成物を均一に混合する混合装置を備えるオートクレーブ又はゲルインキ配合組成物を均一に混合する混合装置が取り付け可能となるオートクレーブである請求項3記載のゲルインキ組成物の製造方法。
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