JP4726291B2 - 平面表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は平面表示装置に関し、詳しくは携帯電話や電子ブック等に使用される高画質、低消費電力な液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶表示装置に代表される平面表示装置は、軽量、薄型、低消費電力という利点を活かして携帯電話や電子ブック等の小型情報端末のディスプレイとして使われている。このような小型情報端末は、一般にバッテリー駆動方式が採用されていることから、低消費電力化が重要な課題となっている。
【0003】
とくに携帯電話においては、待ち受け時間中に低消費電力で表示できることが求められており、これを実現するための技術としては、例えば特開昭58−23091号などが挙げられる。ここに開示された画像表示装置は、画素内にディジタルメモリを備えており、待ち受け時(静止画表示時)には、液晶を交流駆動するための交流駆動回路のみを動作させ、その他の周辺駆動回路を止めることにより、大幅な消費電力の低減を図っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開昭58−23091号に代表されるようなディジタルメモリを備えた液晶表示装置では、表示画面全体をデジタルメモリからの出力(又は反転出力)で交互に表示させるために、通常表示時の1画素分の負荷容量を駆動する場合に比べて、非常に大きな容量を駆動することになる。このため、デジタルメモリの電源に電圧降下を生じ、デジタルメモリの電位が元に戻らないうちに映像信号が画素へ取り込まれる、いわゆるメモリの誤動作を引き起こし、正常な表示画像が得られなくなるおそれがある。なお、デジタルメモリの電源での電圧降下が生じないようにするには、電源配線を低抵抗にすればよいが、こうすると基板上での配線幅を広くしなければならず、画素ピッチや額縁サイズが大きくなるという難点があった。
【0005】
この発明の目的は、待ち受け時のメモリの誤動作をなくして常に正常な表示画像を得ることができ、かつ高精細化と狭額縁化を実現した平面表示装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、互いに交差して配置された複数の走査線及び複数の信号線、これら両線の各交差部に配置された画素電極、前記画素電極と電気的に並列に接続された補助容量、前記補助容量に所定の電圧を供給する補助容量線、前記走査線から供給される走査信号によりオン/オフ制御され、オン時に前記信号線に供給された映像信号を前記画素電極に書き込む第1のスイッチ素子、前記画素電極と電気的に接続され、前記信号線に供給された映像信号を保持可能な2つのインバータ回路を有するディジタルメモリ、前記画素電極と前記2つのインバータ回路それぞれの間に挿入され、前記画素電極と前記2つのインバータ回路間の導通を制御する2つのスイッチ素子からなる第2のスイッチ素子、前記2つのスイッチ素子にオン/オフ制御のためのメモリ制御信号を供給する独立した2本のメモリ制御信号線を含む第1の電極基板と、前記画素電極に対し所定間隔をもって対向配置された対向電極を含む第2の電極基板と、前記第1の電極基板と第2の電極基板との間に狭持された光変調層とを備える平面表示装置において
前記画素電極と前記信号線とは前記第1のスイッチ素子を介して接続され、前記画素電極と前記ディジタルメモリとは前記第2のスイッチ素子を介して接続され、
通常表示期間では、前記第2のスイッチ素子により前記画素電極と前記ディジタルメモリ間の導通をオフにし、かつ前記第1のスイッチ素子を所定周期でオンにして、前記信号線に供給された映像信号を前記画素電極に書き込み、静止画表示期間では、前記第2のスイッチ素子をオンし、前記信号線に供給された映像信号を前記ディジタルメモリに保持させた後、前記第1のスイッチ素子により前記信号線と前記画素電極間の導通をオフして、前記ディジタルメモリに保持された映像信号を前記2つのスイッチ素子を交互に導通させることにより前記画素電極に書き込み、
前記2つのスイッチ素子前記2本のメモリ制御信号線との間に、それぞれ前記メモリ制御信号線に供給されるメモリ制御信号の電位の立ち上がりを制御する電位制御手段を接続したことを特徴とする平面表示装置平面表示装置である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1において、前記電位制御手段は抵抗素子により構成され、かつ前記抵抗素子の抵抗値は前記メモリ制御信号線の電位の立ち上がりが前記デジタルメモリの電源配線の電位の立ち上がりも遅くなるように設定されていることを特徴とする。
【0008】
好ましい形態として、前記抵抗素子を前記第1の電極基板上に前記走査線と並行して形成された各メモリ制御信号線ごとに接続する。また、前記抵抗素子を前記第1の電極基板上で走査線と並行して形成される前のメモリ制御信号線に接続する。
【0009】
また好ましい形態として、前記電位制御手段を前記メモリ制御信号線にメモリ制御信号を供給する外部駆動回路側に配置する。
【0012】
請求項の発明は、請求項1又は2において、前記ディジタルメモリは、2つのインバータ回路と第3のスイッチ素子で構成されることを特徴とする。
【0013】
請求項の発明は、請求項において、前記第3のスイッチ素子は前記走査線に接続されることを特徴とする。
【0014】
請求項の発明は、請求項において、前記第1のスイッチ素子と前記第3のスイッチ素子は、相補型のMOSトランジスタで構成されることを特徴とする。請求項の発明は、請求項1において、前記画素電極は金属薄膜で構成された光反射型の画素電極であることを特徴とする。
【0015】
請求項の発明は、請求項1において、前記光変調層は液晶層であることを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、電位制御手段によりメモり制御信号の電位の立ち上がりが遅くなるように制御することで、デジタルメモリの電位が元に戻った時点で映像信号を画素へ取り込むことができるので、デジタルメモリの電源電圧降下の影響によりメモリの誤動作を起こすことがなくなり、常に安定した表示画像を得ることができる。この場合、デジタルメモリの電源配線を低抵抗にするために基板上での配線幅を広くする必要がないので、画素ピッチや額縁サイズが大きくなることがなく、高精細化と狭額縁化を実現することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係わる平面表示装置を、アクティブマトリクス型液晶表示装置に適用した場合の実施形態について説明する。
【0019】
図2は、本実施形態に係わるアクティブマトリクス型液晶表示装置の回路構成図であり、図3は図2の概略断面図である。
【0020】
この液晶表示装置100は、大別すると、複数の表示画素10が形成された表示画素部110、走査線駆動回路120及び信号線駆動回路130とから構成されている。
【0021】
本実施形態において、走査線駆動回路120及び信号線駆動回路130は、図3に示すアレイ基板101(第1の電極基板)上において、後述する信号線11、走査線12及び画素電極13などと一体に形成されている。ただし、走査線駆動回路120及び信号線駆動回路130は、図示しない外部制御回路上に実装されていてもよい。
【0022】
表示画素部110は、アレイ基板101上に複数本の信号線11及びこれと交差する複数本の走査線12が図示しない絶縁膜を介してマトリクス状に配置されており、両線の各交差部には表示画素10が配置されている。
【0023】
表示画素10は、画素電極13、第1のスイッチ素子14、対向電極15、液晶層16、第2のスイッチ素子17及びディジタルメモリ18により構成されている。
【0024】
なお、表示画素10には補助容量が含まれているが、図2では説明を簡単にするために図示を省略している。補助容量(及び補助容量線)については、図1において説明する。
【0025】
第1のスイッチ素子14のソースは信号線11に、ゲートは走査線12に、ドレインは画素電極13にそれぞれ接続されている。また画素電極13は第2のスイッチ素子17を介してディジタルメモリ18に接続されており、その第2のスイッチ素子17のゲートはメモリ制御信号線19に、ソースは画素電極13に、ドレインはディジタルメモリ18にそれぞれ接続されている。
【0026】
なお、メモリ制御信号線19は、後述するようにメモリ制御信号線19a,19bとして2本配置されているが、図2では説明を簡単にするためにメモリ制御信号線19として示している。また後述する抵抗素子119a,119bについても、図2では抵抗素子119として示している。
【0027】
画素電極13は図3に示すようにアレイ基板101上に形成され、この画素電極13と相対する対向電極15は対向基板102(第2の電極基板)上に形成されている。対向電極15には、図示しない外部駆動回路から所定の対向電位が与えられている。さらに、図3に示すように、画素電極13と対向電極15の間には光変調層としての液晶層16が充填され、容量Clcを形成している。また、アレイ基板101及び対向基板102の周囲はシール材103により封止されている。なお、図3では配向膜や偏光板などの図示は省略している。
【0028】
走査線駆動回路120は、シフトレジスタ121及び図示しないバッファ回路などで構成されており、図示しない外部駆動回路から供給されるコントロール信号(垂直のクロック/スタート信号)に基づいて、上から順に走査線12に走査信号を出力する。
【0029】
走査線駆動回路120では、中間調表示や動画表示時(以下、中間調/動画表示時)には、通常のアクティブマトリクス型液晶表示装置と同様に上から順に走査線12に走査信号を出力する。また静止画表示時には、走査線12をオフレベルとする。
【0030】
信号線駆動回路130は、シフトレジスタ131、ASW(アナログスイッチ)132などで構成されており、図示しない外部駆動回路からコントロール信号(水平のクロック/スタート信号)及びビデオバス133を通じて映像信号が供給されている。信号線駆動回路130では、水平のクロック/スタート信号に基づいて、シフトレジスタ131からASW132の開閉信号を供給することにより、ビデオバス133から供給される映像信号を所定のタイミングで信号線11にサンプリングする。
【0031】
なお、メモリ制御信号線19には、図示しない外部駆動回路からメモリ制御信号が供給されている。ここでは、中間調/動画表示時には、メモリ制御信号線19にオフレベルのメモリ制御信号を供給し、静止画表示時にはオンレベルのメモリ制御信号を供給している。
【0032】
次に、表示画素10の回路構成を、図1を参照しながら、さらに詳細に説明する。
【0033】
図1は、図2に示す表示画素10の回路構成図である。
【0034】
第2のスイッチ素子17は、ディジタルメモリ18の出力端子26及び反転出力端子27と画素電極13との間に挿入された2つのスイッチ素子21、22で構成されている。このうち、スイッチ素子21のゲートはメモリ制御信号線19aに接続され、スイッチ素子22のゲートはメモリ制御信号線19bに接続されている。このメモリ制御信号線19a,19bにオン又はオフレベルのメモリ制御信号が供給されることで、2つのスイッチ素子21、22は独立して制御される。この第2のスイッチ素子17と第1のスイッチ素子14は、ともにMOSトランジスタで構成されている。
【0035】
さらに、第2のスイッチ素子17とメモリ制御信号線19a,19bとの間には、メモリ制御信号線19a,19bにそれぞれ供給されるメモリ制御信号の電位の立ち上がりを制御する電位制御手段としての抵抗素子119a,119bが接続されている。この抵抗素子119a,119bの抵抗値は、メモリ制御信号線19a,19bに供給されるメモリ制御信号の電位の立ち上がりが、デジタルメモリ18の電源配線31に供給される電源電位の立ち上がりよりも遅くなるように設定されている。
【0036】
ディジタルメモリ18は、2つのインバータ回路23、24と、第3のスイッチ素子25で構成されている。インバータ回路23は、直列に接続されたP−chTFT231及びN−chTFT232により構成され、インバータ回路24は、同じく直列に接続されたP−chTFT241及びN−chTFT242により構成されている。また、第3のスイッチ素子25は、第1のスイッチ素子14とは逆チャネルのスイッチ素子であり、第1のスイッチ素子14と相補型のMOSトランジスタで構成されている。さらに、第3のスイッチ素子25のゲートは、第1のスイッチ素子14のゲートと同じ走査線12に接続されている。ディジタルメモリ18の正極性側には、正電源配線として電源配線31が接続され、デジタルメモリ18の負極正側には、負電源配線として電源配線32が接続される。
【0037】
一方、画素電極13には対向電極15との電位関係を保持するために、並列に補助容量28が接続されている。この補助容量28は画素電極13と補助容量線29との間に容量Csを形成している。補助容量線29は、すべての表示画素10の補助容量28と電気的に接続されており、図示しない外部制御回路から必要な電位が供給されている。
【0038】
次に、上記のように構成された液晶表示装置100において、中間調/動画表示と静止画表示を行う場合の動作について説明する。
【0039】
まず、中間調/動画表示時(通常表示)には、2本のメモリ制御信号線19a,19bをともにオフレベルとし、第2のスイッチ素子17の機能を停止する。そして、走査線駆動回路120から走査信号を出力して、各走査線12を上から順にオンし、これと同期して信号線11に映像信号をサンプリングする。すると、オンとなった走査線12に接続するすべての第1のスイッチ素子14は、一水平走査期間だけオンとなり、信号線11にサンプリングされていた映像信号は第1のスイッチ素子14を通じて画素電極13に書き込まれる。この映像信号は画素電極13と対向電極15との間及び補助容量28に信号電圧として充電(保持)され、この信号電圧の大きさに応じて液晶層16が応答することで表示画素からの透過光量が制御される。このような動作を一フレーム期間内にすべての走査線12について実施することにより、一画面の映像が出来上がる。
【0040】
この間、図示しない外部制御回路から走査線駆動回路120及び信号線駆動回路130に対し、それぞれクロック信号、スタート信号及び映像信号を供給して、通常のアクティブマトリクス型液晶表示装置と同様に駆動を行うことにより、フルカラーによる高画質な中間調/動画表示を行う。
【0041】
このように、中間調/動画表示時においては、通常のアクティブマトリクス型液晶表示装置として駆動する場合と同様に、表示画素部110で動作しているのは、第1のスイッチ素子14、画素電極13、対向電極15及び補助容量28だけとなる。すなわち、中間調/動画表示の間は、第2のスイッチ素子17やディジタルメモリ18の機能は停止しているため、補助容量線29には、補助容量28を機能させるに必要な通常の電位を供給する。
【0042】
一方、通常表示から静止画表示に切り替える際は、通常表示から静止画表示に移行する最後のフレーム(静止画書き込みフレーム)において、メモリ制御信号線19aをオンレベルとする。そして、第1のスイッチ素子14がオンしている間に、信号線11に2値化された映像信号をサンプリングし、これを第1のスイッチ素子14及び第2のスイッチ素子17を通じてディジタルメモリ18に書き込む。この2値化された映像信号は、静止画表示時に表示するマルチカラー画像用の映像信号である。
【0043】
静止画表示の期間において、ディジタルメモリ18に書き込まれた映像信号は、短時間であればこの状態で保持することもできるが、長時間保持すると直流成分により液晶層16が劣化するため、交流駆動する必要がある。本実施形態では、一定の周期でメモリ制御信号線19a,19bを交互にオンレベルとすることによって、スイッチ素子21、22を交互にオンし、同時に対応電極15の電位を反転させることで交流駆動を実現している。このとき、第2のスイッチ素子17がオンすると、デジタルメモリ18の電源配線31は電圧降下を生じるため、デジタルメモリ18に書き込まれた映像信号の電位も一時的に低下することになる。このため、本来の電位に戻らないうちに映像信号が画素電極13に出力されることになり、メモリの誤動作となる。しかし、本実施形態においては、第2のスイッチ素子17とメモリ制御信号線19a,19bとの間に抵抗素子119a,119bが接続されているため、メモリ制御信号線19a,19bに供給されるメモリ制御信号の電位は、デジタルメモリ18の電源配線31に供給される電源電位の立ち上がりよりも遅く立ち上がることになる。したがって、デジタルメモリ18の電源配線31に電圧降下が生じ、デジタルメモリ18に書き込まれた映像信号の電位が一時的に低下しても、第2のスイッチ素子21、22は映像信号が本来の電位に戻った時点でオン状態となるため、本来の電位に戻った映像信号が画素電極13へ取り込まれることになる。したがって、デジタルメモリ18の電源配線31の電圧降下の影響によりメモリの誤動作を起こすことがなくなり、常に安定した表示画像を得ることができる。
【0044】
このように、2つのスイッチ素子21、22を交互にオンすることで、画素電極13の電位は正電源/負電源電位が交互に出力され、これと同期させて対向電極15の電位を正電源/負電源電位間でシフトすることにより、対向電極15と極性が同じ表示画素10では液晶層16に電圧がかからず、逆極性の表示画素10では液晶層16に電圧がかかるため、2値表示(マルチカラー表示)を行うことができる。このとき、表示画素部110で動作しているのは、低周波数のメモリ制御信号線19と対向電極15だけであるため、待ち受け時(静止画表示時)には、低消費電力でマルチカラー表示を行うことができる。また、この間、画素電極13への電位の供給はディジタルメモリ18からとなり、補助容量28の電位は表示と無関係となる。このため、補助容量線29には、通常表示において補助容量28に与えている電位よりも低い電位を供給することができることになり、低消費電力で表示を行うことができる。
【0045】
なお、静止画表示から通常表示に切り替える際は、最後のフレーム(静止画最終フレーム)を経て、再び2本のメモリ制御信号線19a,19bをともにオフレベルとし、走査線駆動回路120及び信号線駆動回路130に対し、それぞれクロック信号、スタート信号及び映像信号を供給する。
【0046】
図1に示すように、第2のスイッチ素子17とメモリ制御信号線19a,19bとの間に、メモリ制御信号線19a,19bにそれぞれ供給されるメモリ制御信号の電位の立ち上がりを遅延させるための抵抗素子119a,119bを接続した場合には、デジタルメモリ18に保持されている映像信号の電位が元に戻った時点で画素電極13へ取り込むことができるので、デジタルメモリの電源電圧降下の影響によりメモリの誤動作を起こすことがなくなり、常に安定した表示画像を得ることができる。この場合、デジタルメモリ18の電源配線31を低抵抗にするために基板上での配線幅を広くする必要がないので、画素ピッチや額縁サイズが大きくなることがなく、高精細化と狭額縁化を実現することができる。
【0047】
なお、本実施形態では、各メモリ制御信号線19a,19bに抵抗素子119a,119bを接続した例について示したが、例えば図4に示すように、各メモリ制御信号線19に分岐する前段に抵抗素子119を接続しても同様の効果を得ることができる。
【0048】
また、上記実施形態では、アレイ基板上にあるメモリ制御信号線に抵抗素子を形成した例について示したが、図示しない外部駆動回路でメモリ制御信号の電位の立ち上がりを遅くして、アレイ基板に入力するようにしてもよい。
【0049】
次に、本実施形態に係わる液晶表示装置100の製造方法の一例を図5を用いて説明する。図5は液晶表示装置の概略断面図を示している。ここでは、製造プロセスに従って説明する。なお、カッコ内の符号は図1〜図3で使用した符号を示している。
【0050】
まず、ガラス基板や石英基板などの透明絶縁基板60上に、CVD法などにより厚さ50nm程度のアモルファスシリコン(a−Si)薄膜を被着する。次いで、450℃で1時間炉アニールを行った後、XeClエキシマレーザ光を照射し、a−Siを多結晶化する。その後に、多結晶Siをフォトエッチング法を用いてパターニングし、表示画素部(110)に配置されるTFT(画素TFT)のチャネル層61及び図示しない駆動回路(120、130)領域のTFT(回路TFT)のチャネル層、さらには補助容量(28)の下部電極62となるポリシリコン膜を形成する。
【0051】
次に、基板60の全面にゲート絶縁膜となるSiOx膜63を100nm程度被着する。続いて、このSiOx膜63上の全面にTa,Cr,Al,Mo,W,Cuなどの単体又はその積層膜、あるいは合金膜を400nm程度被着し、フォトエッチング法により所定の形状にパターニングする。これにより、走査線(12)又は走査線を延在してなる画素TFTのゲート電極52、補助容量線53及び補助容量線53を延在してなる補助容量(28)の図示しない上部電極及び図示しない回路TFTのゲート電極及び駆動回路領域の各種配線を形成する。
【0052】
その後、これらのゲート電極をマスクとしてイオン注入やイオンドーピング法により不純物の注入を行い、画素TFTのドレイン電極64、ソース電極65、補助容量(28)の下部電極のコンタクト領域66、及び図示しないN型の回路TFTのソース電極とドレイン電極を形成する。不純物の注入は、例えば加速電圧80KeVで5×1015atoms/cm2 のドーズ量でPH3 /H2によりリンを高濃度注入する。
【0053】
次に、画素TFT67及び図示しない駆動回路領域のN型の回路TFTには不純物が注入されないようにレジストで被覆した後、図示しないP型の回路TFTのゲート電極をそれぞれマスクとして、加速電圧80KeVで5×1015atoms/cm2 のドーズ量でB2H6 /H2 によりボロンを高濃度注入して、P型の回路TFTのソース電極とドレイン電極を形成する。その後、N型LDD(Lightly Doped Drain)を形成するための不純物注入を行い、基板を60をアニールすることにより不純物を活性化する。
【0054】
さらに、例えばPECVD法を用いて基板60の全面に層間絶縁膜SiO2 68を500nm程度被着する。
【0055】
続いて、フォトエッチング法により、画素TFTのドレイン電極64に至るコンタクトホール69と、ソース電極65に至るコンタクトホール70と、補助容量(28)の下部電極のコンタクト領域66に至るコンタクトホール71と、図示しない回路TFTのソース電極とドレイン電極に至るコンタクトホールを形成する。
【0056】
次に、Ta,Cr,Al,Mo,W,Cuなどの単体又はその積層膜、あるいは合金膜を500nm程度被着し、フォトエッチング法により所定の形状にパターニングする。これにより、信号線(11)、画素TFTのドレイン電極64と信号線(11)との接続、及びソース電極65と画素電極(13)とを接続する画素電極配線80及び、これと一体となった画素電極コンタクト81a、さらに画素電極コンタクト81aと一体の補助容量電極コンタクト81b、及び図示しない駆動回路領域内の回路TFTの各種配線を行う。
【0057】
さらに、PECVD法により基板60の全面にSiNxからなる保護絶縁膜82を成膜し、フォトエッチング法により画素電極コンタクト81aに至るコンタクトホール83を形成する。
【0058】
次に、例えば顔料などを分散させた着色層84を全面に2μmほど塗布し、後述する画素電極55から画素電極コンタクト81aに至るコンタクトホール85を形成する。
【0059】
続いて、Alをスパッタ法により成膜し、フォトエッチング法により所定の形状にパターニングして、画素電極55を形成し、この画素電極55と画素TFTのソース電極67とを接続して、アレイ基板86を得る。
【0060】
一方、透明絶縁基板として、例えばガラス基板90上に、スパッタ法により例えばITOからなる透明性電極である対向電極91を形成することにより、対向基板92を得る。
【0061】
続いて、アレイ基板86の画素電極55側と、対向基板92の対向電極91側の全面に低温キュア型のポリイミドからなる配向膜87、93を印刷塗布し、両基板の対向時に液晶の配向軸が90°となるようにラビング処理を施す。その後、両基板間が所定のギャップとなるようにスペーサ94を介して対向配置し、周囲を図示しないシール材で封止してセル化する。そして、セルの隙間にネマティック液晶100を注入し、注入口を封止する。そして、両基板の外側に図示しない配向板を貼り付けて液晶表示装置を得る。
【0062】
上記実施形態では、画素電極55にAlを用いた反射電極としたが、透明電極を用いた透過電極とした場合でも、同様の効果を得ることができる。
【0063】
また、画素電極コンタクト81aを画素部の上側に配置しているが、画素下部に配置した場合でも同様の効果を得ることができる。
【0064】
また、本実施形態においては、着色層84をアレイ基板上に配置した場合について説明したが、有機絶縁膜を用いた場合においても同様の効果を得ることができる。
【0065】
さらに、本実施形態では、半導体層としてポリシリコン層を用いたアクティブマトリクス型液晶表示装置について説明したが、半導体層として例えばアモルファスシリコン層などの他の半導体層を用いたアクティブマトリクス型液晶表示装置についても同様の効果を得ることができる。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係わる平面表示装置によれば、デジタルメモリの電源電圧降下の影響によりメモリの誤動作を起こすことがないので、常に安定した表示画像を得ることができる。また、デジタルメモリの電源配線を低抵抗にするために基板上での配線幅を広くする必要がないので、画素ピッチや額縁サイズが大きくなることがなく、高精細化と狭額縁化も実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2に示す表示画素の回路構成図。
【図2】実施形態に係わるアクティブマトリクス型液晶表示装置の回路構成図。
【図3】図2の概略断面図。
【図4】他の実施形態に係わるアクティブマトリクス型液晶表示装置の回路構成図。
【図5】実施形態に係わる液晶表示装置の概略断面図。
【符号の説明】
10…表示画素、11…信号線、12…走査線、13…画素電極、14…第1のスイッチ素子、15…対向電極、17…第2のスイッチ素子、18…ディジタルメモリ、19(a,b)…メモリ制御信号線、23,24…インバータ回路、25…第3のスイッチ素子、29…補助容量線、31,32…電源配線、100…液晶表示装置、110…表示画素部、119(a,b)…抵抗素子、120…走査線駆動回路、130…信号線駆動回路

Claims (7)

  1. 互いに交差して配置された複数の走査線及び複数の信号線、これら両線の各交差部に配置された画素電極、前記画素電極と電気的に並列に接続された補助容量、前記補助容量に所定の電圧を供給する補助容量線、前記走査線から供給される走査信号によりオン/オフ制御され、オン時に前記信号線に供給された映像信号を前記画素電極に書き込む第1のスイッチ素子、前記画素電極と電気的に接続され、前記信号線に供給された映像信号を保持可能な2つのインバータ回路を有するディジタルメモリ、前記画素電極と前記2つのインバータ回路それぞれの間に挿入され、前記画素電極と前記2つのインバータ回路間の導通を制御する2つのスイッチ素子からなる第2のスイッチ素子、前記2つのスイッチ素子にオン/オフ制御のためのメモリ制御信号を供給する独立した2本のメモリ制御信号線を含む第1の電極基板と、前記画素電極に対し所定間隔をもって対向配置された対向電極を含む第2の電極基板と、前記第1の電極基板と第2の電極基板との間に狭持された光変調層とを備える平面表示装置において
    前記画素電極と前記信号線とは前記第1のスイッチ素子を介して接続され、前記画素電極と前記ディジタルメモリとは前記第2のスイッチ素子を介して接続され、
    通常表示期間では、前記第2のスイッチ素子により前記画素電極と前記ディジタルメモリ間の導通をオフにし、かつ前記第1のスイッチ素子を所定周期でオンにして、前記信号線に供給された映像信号を前記画素電極に書き込み、静止画表示期間では、前記第2のスイッチ素子をオンし、前記信号線に供給された映像信号を前記ディジタルメモリに保持させた後、前記第1のスイッチ素子により前記信号線と前記画素電極間の導通をオフして、前記ディジタルメモリに保持された映像信号を前記2つのスイッチ素子を交互に導通させることにより前記画素電極に書き込み、
    前記2つのスイッチ素子前記2本のメモリ制御信号線との間に、それぞれ前記メモリ制御信号線に供給されるメモリ制御信号の電位の立ち上がりを制御する電位制御手段を接続したことを特徴とする平面表示装置。
  2. 前記電位制御手段は抵抗素子により構成され、かつ前記抵抗素子の抵抗値は前記メモリ制御信号線の電位の立ち上がりが前記デジタルメモリの電源配線の電位の立ち上がりも遅くなるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の平面表示装置。
  3. 前記ディジタルメモリは、2つのインバータ回路と第3のスイッチ素子で構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の平面表示装置。
  4. 前記第3のスイッチ素子は前記走査線に接続されることを特徴とする請求項に記載の平面表示装置。
  5. 前記第1のスイッチ素子と前記第3のスイッチ素子は、相補型のMOSトランジスタで構成されることを特徴とする請求項に記載の平面表示装置。
  6. 前記画素電極は金属薄膜で構成された光反射型の画素電極であることを特徴とする請求項1に記載の平面表示装置。
  7. 前記光変調層は液晶層であることを特徴とする請求項1に記載の平面表示装置。
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