JP4725715B2 - 固液懸濁液塗布装置および固液懸濁液塗布方法 - Google Patents
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しかしながら、超音波振動によって管壁から除去された比較的大きな凝集粒子が、ノズルから噴射されて塗工面に付着し、平滑性を阻害するといった欠点が指摘されていた。また、塗布作業を行った後に次の塗布作業までの間のインターバルが長くなるような場合に、ノズル先端部に残存する材料(固液懸濁液)が硬化し、吐出量が不安定となったり、先端部から脱落した比較的大きな凝集粒子が、同様に塗工面に付着するといった問題点が指摘されていた。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、固液懸濁液の粒子の凝集を可能な限り防止し、ノズルからの固液懸濁液の吐出量の安定化を促進することにある。また、比較的大きな凝集粒子が塗工面に付着することを防止することにある。
また、ノズルに設けられたエア噴射口および中空管に設けられたエア噴射口へのエア供給路によって、前記ニードルの突出部分へとエアを噴射することにより、材料は霧化される。また、閉弁時に、ノズル穴からニードルによって押出された材料も、霧化エアによって吹き飛ばされ、ノズル穴の周辺部における材料の固化を防ぐことができる。
この構成によれば、ニードルが超音波発振器と共に塗布装置本体に固定される構造となり、超音波発振器の超音波振動を効率的にニードルへと伝えることが可能となる。特に、超音波発振器のホーン先端部がニードルとして構成されていることから、ニードルへの超音波の伝達効率は極めて高いものとなる。また、ホーンの振動の節に、Oリングを配置することにより、Oリングの摩耗を回避することができる。更に、Oリングの直近に材料供給ポートを設けることで、材料の供給路にエアが溜まり得る空間が構成されることを防ぎ、材料へのエアの捲き込みを最小限に抑えることができる。
すなわち、前述のごとくノズルに設けられたエア噴射口の噴射方向が、ニードルの突出部分へと材料の霧化エアが噴射されるように調整されていることと併せて、ノズルに設けられたエア噴射口から、ニードルの突出部分へとエアを噴射することにより、材料は霧化される。また、閉弁時に、ノズル穴からニードルによって押出された材料も、霧化エアによって吹き飛ばされ、ノズル穴の周辺部における材料の固化を、確実に防ぐことができる。
この構成によれば、板状弾性体の弾性を利用して、塗布装置本体に対する中空管の軸方向の移動を許容しつつ、その移動範囲が板状弾性体の弾性変形可能な範囲に制限されることにより、中空管の作動精度を確保することが可能となる。
しかも、前記板状弾性体はダイヤフラムであり、前記駆動手段は、前記塗布装置本体と前記中空管と前記ダイヤフラムとにより形成される密閉室と、当該密閉室へのエア供給手段とで構成されていることとすれば(請求項5)、ダイヤフラムによって塗布装置本体に対する中空管の作動精度を確保しつつ、中空管を軸方向に移動させるための動力を得ることが可能となる。
さらに、本発明において、前記ニードルの突出部分が、材料の噴射方向後方から前方へとすり鉢状に広がる壁面で構成されるフードに覆われ、かつ、当該フードの外壁と内壁とを連通する開口が設けられていることとすれば(請求項7)、フードにより材料の不必要な飛散を防ぎ、かつ、フードの外壁と内壁とを連通する開口によって、フード内が霧化エアの流れによって負圧となることを防止することができる。したがって、当該負圧発生時に生じる噴射流の捲き込みにより、ノズル穴周囲に材料を付着させる不具合を回避することができる。
この手順により、ノズルからは、粒子の凝集の無い固液懸濁液を、吐出量を安定させつつ噴射することが可能となる。また、閉弁時に、ノズル穴からニードルによって押出された材料も、霧化エアによって吹き飛ばされ、ノズル穴の周辺部における材料の固化を、確実に防ぐことができる。
本発明の実施の形態に係る固液懸濁液塗布装置10は、図1にその要部を示すように、塗布装置本体12の先端部に位置する噴射口14から、固液懸濁液を噴射する塗布装置である。そして、固液懸濁液(材料)の供給路16を構成する中空管18が、塗布装置本体12によって軸方向に摺動自在に支持され、中空管18の先端部には、先端側へ向けて円錐状に縮径する壁面を有するノズル穴20aが形成されたノズル20が装着されている。また、ノズル穴20aを弁座とするニードル22が中空管18の全長に渡って挿通され、ノズル穴20aとニードル22とでニードル弁を構成している。ニードル22の先端部22aは、ノズル穴20aに倣った円錐形をなしている。また、ニードル22は、当該ニードル弁の閉弁時において、その先端部22aがノズル穴20aを塞いで外部へと突出するように、塗布装置本体12に固定されている。なお、図示の例では、塗布装置本体12には超音波発振器が固定されており、超音波発振器のホーン先端部が、ニードル22を構成している。
また、先端部がニードル22を構成するホーンの振動の節22bに、Oリング34を配置することにより、Oリング34の摩耗を回避している。また、Oリング34の直近に材料供給ポート36を設けることで、材料の供給路16にエアが溜まり得る空間が構成されることを防ぎ、材料へのエアの捲き込みを最小限に抑えている。さらに、塗布装置本体12をOリング34の近傍で分割していることから(12A、12B)、分解洗浄が必要な場合であっても、分解すべき部品の点数が削減され、再組立時においても、部品の破損の発生を可能な限り抑えることが可能となっている。
また、材料の塗布を停止する際には、ニードル22に対する超音波振動の印加を停止し、続いて、密閉室26の圧力を低下させて、位置固定されたニードル22に対し中空管18を軸方向(図1の上方)に移動させてニードル弁を閉じ、さらに、ノズル20のエア噴射口20bからの、霧化エアの噴射を停止する。
しかも、メンテナンス時には、固液懸濁液の供給路16に水を流しながら、ニードル22に超音波を発振させるだけで洗浄が完了し、分解清掃が不用となる。また、洗浄力が強力なため、有機溶剤の使用を回避することができる。
18:中空管、18a:エア供給管、20:ノズル、20a:ノズル穴、20b:エア噴射口、22:ニードル、22a:先端部、 23、38:駆動手段、24: ダイヤフラム、 25、28:エア供給路、26:密閉室、32:フード、40:磁石、42:コイル、44:板状弾性体
Claims (8)
- 塗布装置本体の先端部に位置する噴射口から、固液懸濁液を噴射する塗布装置であって、
固液懸濁液の供給路を構成する中空管が、前記塗布装置本体によって軸方向に摺動自在に支持され、当該中空管の先端部に、先端側へ向けて円錐状に縮径する壁面を有するノズル穴が形成されたノズルが装着され、
当該ノズル穴を弁座とする、その先端部が前記ノズル穴に倣った円錐形をなすニードルが、前記中空管の全長に渡って挿通され、かつ、閉弁時においてその先端部が、前記ノズル穴を塞いで外部へと突出するように、前記塗布装置本体に固定され、前記ノズル穴と前記ニードルとでニードル弁が構成され、
前記ニードルの突出部分へと材料の霧化エアが噴射されるように噴射方向が調整されたエア噴射口が前記ノズルに設けられ、当該エア噴射口へのエア供給路が前記中空管に設けられ、
前記ニードルに超音波振動を印加する振動印加手段と、前記中空管を前記ニードルに対し軸方向に移動させる駆動手段とが、前記塗布装置本体に設けられていることを特徴とする固液懸濁液塗布装置。 - 前記塗布装置本体には、超音波発振器が固定され、該超音波発振器のホーン先端部が前記ニードルを構成しており、前記ホーンの振動の節に、Oリングを配置し、該Oリングの直近に材料供給ポートを設けたことを特徴とする請求項1記載の固液懸濁液塗布装置。
- 前記ノズルに設けられたエア噴射口から、前記ニードルの突出部分へと噴射される材料の霧化エアにより、ニードル弁の開放時に材料が霧化され、かつ、閉弁時には、前記ノズル穴から前記ニードルによって押出された材料も、霧化エアによって吹き飛ばされるものである請求項1又は2記載の固液懸濁液塗布装置。
- 前記塗布装置本体に固定された板状弾性体を介して、前記中空管が前記塗布装置本体に対し移動可能に締結されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の固液懸濁液塗布装置。
- 前記板状弾性体はダイヤフラムであり、前記駆動手段は、前記塗布装置本体と前記中空管と前記ダイヤフラムとにより形成される密閉室と、当該密閉室へのエア供給手段とで構成されていることを特徴とする請求項4記載の固液懸濁液塗布装置。
- 前記駆動手段は、前記中空管の外周部に固定された磁石と、当該磁石を囲むようにして前記塗布装置本体に固定されたコイルとで構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の固液懸濁液塗布装置。
- 前記ニードルの突出部分が、材料の噴射方向後方から前方へとすり鉢状に広がる壁面で構成されるフードに覆われ、かつ、当該フードの外壁と内壁とを連通する開口が設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の固液懸濁液塗布装置。
- 請求項1から7記載の固液縣濁液塗布装置の固液懸濁液塗布方法であって、
材料の塗布を行う際に、前記ノズルのエア噴射口から霧化エアを噴射し、次に、前記ニードル弁を開放し、さらに、前記振動印加手段によって前記ニードルに超音波振動を印加し、
材料の塗布を停止する際には、前記ニードルに対する超音波振動の印加を停止し、続いて、前記ニードル弁を閉じ、さらに、前記ノズルのエア噴射口からの、霧化エアの噴射を停止することを特徴とする固液懸濁液塗布方法。
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