以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明に係る電子音楽装置としての電子楽器を概略的に示すブロック図である。この電子楽器は、演奏操作子群11、設定操作子群12、表示器13および楽音信号発生回路14を備えている。
演奏操作子群11は、発生楽音の音高を指定するための複数の演奏操作子(例えば、複数の鍵)からなり、各演奏操作子の操作はバス15に接続された検出回路16によって検出される。設定操作子群12は、この電子楽器の操作パネルに設けられて電子楽器の各部の動作態様を指示するための複数の設定操作子からなり、各設定操作子の操作はバス15に接続された検出回路17によって検出される。表示器13は、液晶ディスプレイ、CRTなどで構成され、文字、数字、図形などを表示する。この表示器13の表示内容は、バス15に接続された表示制御回路18によって制御される。
楽音信号発生回路14は、バス15に接続されていて、後述するCPU21の制御のもとに供給される演奏データに基づいて楽音信号を生成するとともに、生成した楽音信号に効果を付与してサウンドシステム19に出力する。サウンドシステム19は、スピーカ、アンプなどを含んでいて、前記楽音信号に対応した楽音を放音する。
また、この電子楽器は、バス15にそれぞれ接続されていてマイクロコンピュータ本体部を構成するCPU21、タイマ22、ROM23およびRAM24を備えているとともに、外部記憶装置25、MIDIインターフェース回路26および通信インターフェース回路27も備えている。外部記憶装置25は、この電子楽器に予め組み込まれているハードディスクHDおよびフラッシュメモリ、同電子楽器に装着可能なコンパクトディスクCDおよびフレキシブルディスクFDなどの種々の記録媒体と、同各記録媒体に対するドライブユニットを含むものであり、大量のデータ及びプログラムの記憶及び読み出しを可能にしている。
特に、この実施形態においては、ハードディスクHD、フラッシュメモリなどには、図2〜8に示す各種プログラムに加え、それぞれ複数のレジストレーションデータファイル、自動演奏データファイルおよびテキストデータファイルが記憶されている。なお、これらの各種プログラムおよびデータは、予めハードディスクHD、フラッシュメモリなどに記憶されていたり、コンパクトディスクCD、フレキシブルディスクFDなどからハードディスクHD、フラッシュメモリなどに供給されたり、後述するMIDI対応機器31またはサーバコンピュータ33からハードディスクHD、フラッシュメモリなどに供給されるものである。
各レジストレーションデータファイルは、図9(A)に示すように、自動演奏データファイルおよびテキストデータファイルへのパスをそれぞれ表すパスデータと、発生楽音信号の音色および音量、発生楽音信号に付与される効果、自動演奏のテンポなどを設定するためのその他の設定データとからなる。各自動演奏データファイルは、図9(B)に示す、1つまたは複数の表示態様制御コマンド(フォント指定データおよび表示色指定データ)、複数の演奏イベントデータ、およびテキストページ制御コマンド(ページ切り替えコマンドおよびマーカー位置指定コマンド)からなる。
表示態様制御コマンドは、基本的にはファイルの先頭に配置されているが、演奏イベント中の特定のタイミング位置に配置されていることもある。フォント指定データは、文字の種類および文字の大きさを指定する。表示色指定データは、文字の表示色を指定する。なお、本実施形態においては、フォントとして、等幅16ポイント、等幅20ポイント、等幅28ポイント、プロポーショナル16ポイント、プロポーショナル20ポイントおよびプロポーショナル28ポイントの6種類が用意されており、フォントごとに表示器13に一度に表示できる行数(文字数)すなわち1ページ当たりの行数(文字数)が異なる。例えば、28ポイントのフォントでは1ページに9行、20ポイントのフォントでは1ページに12行、16ポイントのフォントでは1ページに18行のテキストを1画面で表示可能である(等幅およびプロポーションに共通)。
演奏イベントデータは、発生楽音信号の音高を指定するとともに楽音信号の発生開始および停止を制御するノートイベントデータや、楽音信号の音量、音色などを制御する制御イベントデータなどからなるもので、曲の進行(時間経過)に従ってタイミングデータと共に配置されている。テキストページ制御コマンドは、演奏イベントデータ中の所定のタイミング位置に埋め込まれており、ページ切り替えコマンドは表示器13における文字列の表示ページの切り替えを指示する。また、マーカー位置指定コマンドは、後述するテキストデータファイル中のマーカー位置を含むページへの表示切り替えを指示する。テキストデータファイルは、図9(C)に示すように、歌詞、和音進行、演奏上の注意点などの自動演奏データの再生時に表示するのに適した文字列をテキスト形式で記述した一連の文字データからなる。この一連の文字データ中には、改行を示す改行指示データおよび改ページ指示データも含まれている。さらに、一連の文字データ中には、表示切り替え指示によって表示器13に切り替え表示される文字位置を示すマーカーM1,M2・・も記憶されている。
MIDIインターフェース回路26には、他の電子楽器、パーソナルコンピュータなどのMIDI対応機器31が接続されるようになっていて、この電子楽器がMIDI対応器31と各種プログラム及びデータを交信可能となっている。また、通信インターフェース回路27は、インターネットなどの通信ネットワーク32を介してサーバコンピュータ33との接続を可能としていて、この電子楽器が各種プログラム及びデータをサーバコンピュータ33から受信し、またはサーバコンピュータ33に送信できるようになっている。
次に、上記のように構成した実施形態の動作について説明する。ユーザは設定操作子群12を操作することにより、メインプログラムの実行を開始させる。このメインプログラムの実行は、図2のステップS10にて開始され、CPU21は、ステップS11にて、レジストレーションデータファイルの選択画面を表示器13に表示して、ユーザにレジストレーションデータファイルを選択させる。ユーザが1つのレジストレーションデータファイルを選択すると、CPU21は、外部記憶装置25に記憶されているレジストレーションデータファイルを読み込んで、RAM24に書き込む。
次に、CPU21は、ステップS12にて、前記読み込んだレジストレーションデータファイル中の自動演奏データファイルへのパスデータによって指定される自動演奏データファイルを外部記憶装置25から読み込んで、RAM24に書き込む。また、CPU21は、ステップS13にて、前記読み込んだレジストレーションデータファイル中のテキストデータファイルへのパスデータによって指定されるテキストデータファイルを外部記憶装置25から読み込んで、RAM24に書き込む。これにより、レジストレーションデータファイルを介して、自動演奏データファイルと、同自動演奏データファイルに対応付けられたテキストデータファイルとをセットで読み込むようにしている。なお、外部記憶装置25からの読み込みに代えて、これらのレジストレーションデータファイル、自動演奏データファイルおよびテキストデータファイルを、MIDIインターフェース回路26を介してMIDI対応機器31から読み込んだり、通信インターフェース回路27および通信ネットワーク32を介してサーバコンピュータ33から読み込んだりしてもよい。
前記ステップS13の処理後、CPU21は、ステップS14にて、テキストデータファイル中の文字データを、改行指示データおよび改ページ指示データを考慮してRAM24内に設けたテキストバッファに書き込んで展開する。そして、ステップS15にて、全てのフォント(本実施形態では前記6種類のフォント)について、前記テキストバッファに展開されている文字データによって表された文字を先頭から1ページずつ表示器13に表示した場合の総ページ数を計算する。具体的には、各フォントごとに表示器13に表示可能な1ページ当たりの文字数(1行当たりの文字数×行数)が規定されるので、改行指示データおよび改ページ指示データを考慮しながら、文字データを1ページごとに区切って、総ページ数を計算する。
次に、CPU21は、ステップS16にて、RAM24内に書き込んだ自動演奏データファイル中の先頭の表示態様制御コマンドを抽出する抽出処理を実行し、ステップS17にて表示態様制御コマンドがあったか否かを判定する。表示態様制御コマンドがあったならば、ステップS17にて「Yes」と判定し、ステップS18にてテキストバッファ内の文字データの先頭から表示態様制御コンマド中のフォントによって規定される1ページ分の文字データを取り出して、同取り出した1ページ分の文字データを表示態様制御コマンドに基づいた表示態様でRAM24内に設けた表示バッファに書き込む。この文字データの表示バッファへの書き込みにより、文字の種類および大きさがフォント指定データによって指定されるとともに、文字の表示色が表示色指定データによって指定される。
一方、自動演奏データファイルの先頭位置に表示態様制御コマンドがなければ、ステップS17にて「No」と判定し、ステップS19にてテキストバッファ内の文字データの先頭からデフォルトに従ったフォントによって規定される1ページ分の文字データを取り出して、同取り出した1ページ分の文字データをデフォルトに基づいた表示態様でRAM24内に設けた表示バッファに書き込む。この文字データの表示バッファへの書き込みにより、文字種類および文字の大きさがデフォルトによって指定されるとともに、文字の表示色がデフォルトによって指定される。なお、表示態様制御コマンドとして、一部の種類(例えば、文字の種類と大きさ)のコマンドのみを自動演奏データファイルの先頭に記憶しておいてもよく、この場合、残りの種類(例えば、表示色)に関してはデフォルトにより表示態様を制御すればよい。そして、CPU21は、図示しないプログラム処理により、表示制御回路18と協働して前記表示バッファに書き込まれた文字データによって表された文字列を表示器13に表示する。
前記ステップS18,S19の処理後、CPU21は、ステップS20にて、現在のページ番号(基本的には、第1ページ)を表示器13に表示するとともに、前記計算して記憶しておいた全てのフォントについての総ページ数のうちで、表示態様制御コマンド(フォント指定データ)またはデフォルトによって指定されるフォントに関する総ページ数を表示器13に表示する。また、このステップS20にて、RAM24内に書き込んだレジストレーションデータファイル、自動演奏データファイルまたはテキストデータファイル中に含まれているタイトル(すなわち曲名)も表示器13に表示される。
図10は、この表示器13における表示状態を示している。表示器13の表示画面の下方には、設定操作子群12の一部を構成するページ切り替えスイッチ12a,12bおよびフォント切り替えスイッチ12c,12dも配置されている。ページ切り替えスイッチ12aは、現在の表示ページを前のページへ戻すための切り替えスイッチである。ページ切り替えスイッチ12bは、現在の表示ページを次のページへ進めるための切り替えスイッチである。フォント切り替えスイッチ12cは、予め用意されている複数のフォント(本実施形態では6種類のフォント)の中で、現在のフォントをその並び順と逆方向に1フォント分だけ変更するための切り替えスイッチである。フォント切り替えスイッチ12dは、予め用意されている複数のフォント(本実施形態では6種類のフォント)の中で、現在のフォントをその並び順の方向に1フォント分だけ変更するための切り替えスイッチである。
ふたたび、図2のメインプログラムの説明に戻ると、前記ステップS20の処理後、CPU21は、ステップS21にて、RAM24内に書き込んだレジストレーションデータファイル中のその他の設定データに基づいて、楽音信号発生回路14にて生成される楽音信号の音色および音量、同楽音信号に付与される効果などを設定するとともに、自動演奏の再生テンポも設定する。
前記ステップS21の処理後、CPU21は、ステップS22,S23からなる循環処理を繰り返し実行する。ステップS22においては、設定操作子群12のいずれかの設定操作子が操作されたかを判定する。そして、いずれかの設定操作子が操作されると、ステップS22にて「Yes」と判定して、ステップS23にて操作された設定操作子に応じた処理が実行される。
設定操作子群12のうちの自動演奏の開始を指示する設定操作子が操作されると、CPU21は、ステップS23にて自動演奏開始プログラムを実行する。この自動演奏開始プログラムは、図3に示すようにステップS30にて開始され、ステップS31にて自動演奏データの再生開始を指示して、ステップS32にてこのプログラムの実行を終了する。この自動演奏データの再生開始の指示により、CPU21は、図4の自動演奏プログラムを前記設定されたテンポに応じて周期で繰り返し実行し始める。
この自動演奏プログラムは、ステップS40にて開始され、ステップS41にて、RAM24に書き込んだ自動演奏データファイル中に、曲の進行(すなわち時間経過)に従ってカウントアップされるテンポカウント値に対応した演奏イベントデータまたはテキストページ制御コマンド(ページ切り替えコマンドおよびマーカー位置指定コマンド)が存在するか、すなわち現在のタイミングがイベント再生タイミングであるかを判定する。イベント再生タイミングでなければ、ステップS41にて「No」と判定して、ステップS45にて自動演奏プログラムの実行を一旦終了する。一方、イベント再生タイミングであれば、ステップS41にて「Yes」と判定して、ステップS42にてイベント再生タイミングが演奏イベントデータに関するものであるか、テキストページ制御コマンドに関するものであるかを判定する。
イベント再生タイミングが演奏イベントデータに関するものであれば、CPU21は、ステップS43にて演奏イベントデータに応じた制御信号を楽音信号発生回路14に供給して、楽音信号の発生を制御する。楽音信号発生回路14は、演奏イベントデータに基づく楽音信号の発生を開始し、または発生中の楽音信号を停止する。そして、発生された楽音信号は、サウンドシステム19を介して放音される。これにより、RAM24に書き込んだ自動演奏データファイルに関する曲が自動的に再生される。
一方、イベント再生タイミングがテキストページ制御データに関するものであれば、CPU21は、ステップS44にてテキストページ制御コマンドに応じたページ処理を実行する。テキストページ制御コマンドがページ切り替えコマンドであれば、CPU21は、ステップS44にてページ切り替えコマンドプログラムを実行する。このページ切り替えコマンドプログラムは図5に詳細に示されており、その実行がステップS50にて開始される。
この実行開始後、CPU21は、ステップS51にてページ切り替えコマンドがフォント別のコマンドであるか、全てのフォントに対して共通のコマンドであるかを判定する。なお、このページ切り替えコマンドの種類については、例をあげて詳しく後述する。フォント別のコマンドであれば、ステップS51にて「Yes」と判定して、ステップS52にて前記ページ切り替えコマンドが表示器13における現在の表示フォントと一致するかを判定する。一致すれば、ステップS53の処理を実行する。一致しなければ、ステップS55にてこのページ切り替えコマンドプログラムの実行を終了する。また、前記ページ切り替えコマンドが全てのフォントに共通のコマンドであれば、ステップS51にて「No」と判定して、ステップS53の処理を実行する。
ステップS53においては、テキストバッファから次のページの文字データ(テキストデータ)を読み出して、現在の表示態様で表示バッファに書き込む。すなわち、表示バッファ内の文字データを次のページに係る文字データに更新する。これにより、表示器13における文字列が次のページに関するものに変更される。このステップS53の処理後、ステップS54にて表示器13における現在ページ番号および総ページ数の表示も更新して、ステップS55にてこのページ切り替えコマンドプログラムの実行を終了する。
ページ切り替えコマンドがフォント別のコマンドである場合について、図11を用いて説明する。この場合、フォント1により大きな文字が指定され、フォント2により中程度の文字が指定され、フォント3により小さな文字が指定されるような3種類のフォントを例にして説明する。図11中のフォント別の四角形は、横方向の長さにより表示画面の幅を示し、縦方向の長さにより表示画面に表示され得る文字の行数を示している。また、四角形中の「p.1,p.2,p.3・・」は文字列の先頭からのページ番号を示す。さらに、自動演奏データ中に埋め込まれているページ切り替えコマンドをフォント別に「1」、「2」および「3」で表している。フォント1〜3の順に文字の大きさが小さくなるので、1画面に表示され得る文字数(行数)はこの順に多くなる。したがって、自動演奏データ中に埋め込まれるページ切り替えコマンドの間隔は、フォント1〜3の順に長くなる。なお、ページ切り替えコマンドとしての「1」、「2」および「3」は同一タイミングであってもフォント別に埋め込んでもよいし、同一タイミングに埋め込まれるページ切り替えコマンドが複数ある場合(例えば、「1」と「3」、または「1」と「2」と「3」)には複数のコマンドを一つのページ切り替えコマンドで表してもよい。
このようなページ切り替えコマンドが演奏データ中に埋め込まれていれば、前記ステップS51,S52の処理により、現在の指定フォントに関するページ切り替えコマンドのみに応答して、ステップS53による次のページへの表示切り替えが実行される。その結果、図11に示すように、曲の進行すなわち時間経過に従い、自動演奏データの再生タイミングに同期させて文字表示のページを順次自動的に切り換えることができる。これによれば、指定されるフォントの種類によらず、表示器13に適切な文字数の文字列を表示させながら、ページ切り替えを的確に行うことができる。
次に、ページ切り替えコマンドが全てのフォントに共通のコマンドである場合について、図12を用いて説明する。この図12においても、自動演奏データ中の埋め込まれたページ切り替えコマンド(図中に「all」で表示)以外の表記方法は図11の場合と同じである。この場合も、フォント1〜3の順に文字の大きさが小さくなるので、1画面に表示され得る文字数(行数)はこの順に多くなるが、ページ切り替えコマンドはフォント1〜3に共通であるので、テキストデータ中に埋め込まれる改ページ指示データの間隔を、最大の文字の大きさを指定するフォント1に合わせる必要がある。すなわち、1画面に表示し得る文字数が最も少ないフォント1を基準にテキストデータ中に改ページ指示データを埋め込む。例えば、9行以内ごとに改ページ指示データを埋め込んでおく。
このような全てのフォントに共通なページ切り替えコマンドが演奏データ中に埋め込まれていれば、全てのページ切り替えコマンドのみに応答して、ステップS53による次のページへの表示切り替えが実行される。その結果、図12に示すように、どの大きさのフォントが選択されても、曲の進行すなわち時間経過に従って、自動演奏データの再生タイミングに同期させて常に同じタイミングで文字表示のページを順次自動的に切り換えることができる。これによれば、フォントが小さな文字を指定していても多くの文字を同時に表示することはできないが、フォントの種類に関係なく自動演奏データ中にページ切り替えコマンドを埋め込めばよいので、ページ切り替えコマンドの埋め込み作業が簡単になる。
また、この場合、1つのテキストデータファイルが特定のフォントのみで必ず表示されることが前提であれば、すなわち、ユーザが前記前提としたフォントでのみ前記テキストデータを表示し、それ以外のフォントには切り替えないのであれば、演奏データ中に常に共通のページ切り替えコマンドを埋め込むだけでよく、言い換えれば、常に同一のページ切り替えコマンドを埋め込むだけでよく、コマンドの埋め込み作業が楽になる。この場合、テキストデータファイルごとに異なるフォントを前提として、テキストデータファイルを作成または用意してもよい。
前記自動演奏プログラムの実行中に、マーカー位置指定コマンドを示すテキストページ制御データがイベント再生タイミングにあるとして読み出されると、CPU21は、図4のステップS44にてマーカー位置指定コマンドプログラムを実行する。このマーカー位置指定コマンドプログラムは図6に詳細に示されており、その実行がステップS60にて開始される。
このプログラム実行開始後、CPU21は、ステップS61にてテキストバッファからマーカーM1,M2・・の含まれるページをサーチする。そして、ステップS62にて、前記サーチされたページの文字データ(テキストデータ)をテキストバッファから読み出して、現在の表示態様で表示バッファに書き込む。すなわち、表示バッファ内の文字データをマーカーM1,M2・・を含むページに係る文字データに更新する。これにより、表示器13における文字列がマーカーM1,M2・・を含むページに関するものに変更される。このステップS62の処理後、ステップS63にて表示器13における現在ページ番号(マーカーM1,M2・・を含むページ番号)および総ページ数の表示も更新して、ステップS64にてこのマーカー位置指定コマンドプログラムの実行を終了する。
図13は、このマーカー位置への文字表示の切り替えを説明している。すなわち、自動演奏データファイル中の所定のタイミング位置に記憶されているマーカー位置指定コマンドがマーカーM1,M2をそれぞれ示しているものとする。この場合、テキストデータファイル中の文字データによって表された文字列が曲の進行に従って先頭ページから順次表示され、マーカーM1,M2をそれぞれ表すマーカー位置指定コマンドが読み出されると、そのタイミングでマーカーM1,M2を含むページが表示器13に表示される。
次に、図10に示したページ切り替えスイッチ12a,12bおよびフォント切り替えスイッチ12c,12dが操作された場合の処理について説明する。ページ切り替えスイッチ12a,12bが操作されると、CPU21は、図2のステップS22にて「Yes」と判定して、ステップS23にてページ切り替えスイッチプログラムを実行する。このページ切り替えスイッチプログラムは図7に詳細に示されており、その実行がステップS70にて開始される。
この実行開始後、CPU21は、ステップS71にてページ切り替えスイッチ12a,12bのうちのいずれか一方のみの単独操作であるか否かを判定する。ページ切り替えスイッチ12aまたは12bの単独操作であれば、ステップS71にて「Yes」と判定して、ステップS72の処理を実行する。このステップS72の処理においては、ページ切り替えスイッチ12aが操作された場合、テキストバッファから前のページの文字データ(テキストデータ)を読み出して、現在の表示態様で表示バッファに書き込むことにより、表示バッファ内の文字データを前のページに係る文字データに更新する。また、ページ切り替えスイッチ12bが操作された場合、テキストバッファから次のページの文字データ(テキストデータ)を読み出して、現在の表示態様で表示バッファに書き込むことにより、表示バッファ内の文字データを次のページに係る文字データに更新する。これにより、表示器13における文字列が前または次のページに関するものに変更される。
また、ページ切り替えスイッチ12a,12bが同時に操作された場合、CPU21は、ステップS71にて「No」と判定し、ステップS73にてテキストバッファからマーカーの含まれるページをサーチする。この場合、テキストデータ中に単一のマーカーが含まれている場合には、同マーカー位置を含むページがサーチされる。また、テキストデータ中に複数のマーカーが含まれていれば、現在位置から後方(または前方)のマーカー位置を含むページがサーチされる。前記ステップS73の処理後、CPU21は、ステップS74にてテキストバッファから前記サーチされたページの文字データ(テキストデータ)を読み出して、現在の表示態様で表示バッファに書き込む。これにより、表示バッファ内の文字データはマーカーによって指定された特定位置を含むページに係る文字データに更新され、表示器13における文字列が特定位置を含むページに関するものに変更される。前記ステップS72,S74の処理後、ステップS75にて表示器13における現在ページ番号および総ページ数の表示も更新して、ステップS76にてこのページ切り替えコマンドプログラムの実行を終了する。
フォント切り替えスイッチ12cまたは12dが操作されると、CPU21は、図2のステップS22にて「Yes」と判定して、ステップS23にてフォント切り替えスイッチプログラムを実行する。このフォント切り替えスイッチプログラムは図8に詳細に示されており、その実行がステップS80にて開始される。
この実行開始後、CPU21は、ステップS81にてフォントの切り替え処理を実行する。このフォントの切り替え処理においては、フォント切り替えスイッチ12cが操作された場合には、予め用意されているとともに所定の順序で配列されている複数のフォント(本実施形態では6種類のフォント)のうちで、現在設定されているフォントの1つ前の位置のフォントが選択される。また、フォント切り替えスイッチ12dが操作された場合には、前記複数のフォントのうちで、現在設定されているフォントの次の位置のフォントが選択される。
次に、CPU21は、ステップS82にてテキストバッファから現在ページの先頭行が含まれるページであって、前記新たに選択されたフォント(すなわち切り替え後のフォント)に従ったページをテキストバッファからサーチする。そして、ステップS83にて、テキストバッファから前記サーチされたページの文字データ(テキストデータ)を読み出して、前記切り替えられたフォントに従った表示態様で表示バッファに書き込む。これにより、表示バッファ内の文字データは切り替えられたフォントに従って文字データに更新され、表示器13における文字列が切り替えられたフォントに従ったものとなる。前記ステップS83の処理後、ステップS84にて表示器13における現在ページ番号および総ページ数の表示も更新して、ステップS85にてこのフォント切り替えコマンドプログラムの実行を終了する。この場合、総ページ数は図2のステップS15にて全てのフォントについて既に計算されて記憶されているので、切り替え後のフォントに対応した総ページ数が新たに計算されることなく、単に選択されて表示器13に表示される。
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態においては、文字列を表す文字データはテキスト形式で記述されているので、ユーザがパーソナルコンピュータ等を使って簡単に作成できるようになる。また、自動演奏データファイルおよびテキストデータファイルの読み込み時に、図2のステップS15の処理によって複数のフォントについて総ページ数を計算するようにしたので、フォント切り替えスイッチ12c,12dの操作に応答した図8のフォント切り替えスイッチプログラムの実行によってフォントが切り替えられても、総ページ数を遅滞なく直ちに表示できるようになるとともに、総ページ数の計算のために文字列の表示を含む他の処理が遅れることもなくなる。
また、図2のステップS16〜S18、図5のページ切り替えコマンドプログラムおよび図6のマーカー位置指定コマンドプログラムの実行により、演奏データ中に埋め込んだ表示態様制御コマンドおよびテキストページ制御コマンドに応じて表示器13における文字列の表示を制御するようにしたので、表示器13における文字列の表示を演奏データと関連付けて制御ができるようになる。また、ページ切り替えスイッチ12a,12bの操作に応答した図7のページ切り替えスイッチプログラムの実行により、表示器13における表示ページをマニアル操作によっても切り替えできる。特に、ページ切り替えスイッチ12a,12bの同時操作により、文字列のうちの特定位置を含むページを表示器13に表示するように切り替えることもできる。
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては、曲の進行中に表示態様制御コマンドが自動的に切り替えられる例については説明しなかった。しかし、表示態様制御コマンドを自動演奏データファイルの演奏データ中にイベント再生タイミングデータと共に埋め込んでおいて、曲の進行中に表示器13に表示される文字列の表示態様(文字の種類、大きさおよび表示色)を変更するようにしてもよい。この場合、図4の自動演奏プログラムのステップS41,S42の間に、図2のステップS16,S18,S20および図8のステップS82〜S84と同様な処理を挿入しておき、自動演奏データの再生中に表示態様制御コマンドが読み出されたとき、前記挿入された処理により、フォント(文字の種類および大きさ)および文字表示色の切り替え、切り替え後のフォントに従った文字列の表示変更、現在ページ番号および総ページ数の表示変更を行うようにするとよい。
また、上記実施形態においては、自動演奏データファイルおよびテキストデータファイルの読み込み時に、図2のステップS15の処理によって複数のフォントについて総ページ数を計算するようにした。しかし、これに代え、まず表示すべきフォントに従った総ページ数を計算し、先頭ページの文字列を表示器13に表示すべきフォントに従って表示した後、残りのフォントについて総ページ数をそれぞれ計算するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、ページ切り替えコマンドにより表示器13における表示ページを次のページに進める例について説明した。しかし、これに加えて、ページ切り替えコマンドとして、次のページに進む以外に前のページに戻ることを指定するコマンドを採用することもできる。この場合、前のページに戻るページ切り替えコマンドが読み出されると、前記ステップS44にてページ表示を前のページに戻すプログラム処理を実行すればよい。このプログラム処理は、図5のページ切り替えコマンドのステップS53の処理に代えて、テキストバッファから前のページの文字データ(テキストデータ)を読み出して、現在の表示態様で表示バッファに書き込むことにより、表示バッファ内の文字データを前のページに係る文字データに更新すればよい。これにより、表示器13における文字列が前のページに関するものに変更される。
また、上記実施形態においては、マーカー位置指定コマンドにより特定のマーカー位置をサーチして、表示すべきページを決定するようにした。しかし、これに限らず、テキストデータファイル中には複数の同じマーカーを埋め込んでおき、マーカー位置指定コマンドが、「次のマーカー」または「前のマーカー」のサーチを指定するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、ページ切り替えスイッチ12a,12bの同時操作すなわち特定操作により、マーカー位置すなわち特定位置へのページ切り替えを制御するようにした。しかし、これに代えて、前記特定操作により、先頭位置へのページ切り替えを行ったり、マーカー位置および先頭位置へのページ切り替えを交互に行うようにしてもよい。さらに、前記特定操作にあっても、ページ切り替えスイッチ12a,12bの同時操作に代え、ページ切り替えスイッチ12aまたは12bの長時間の連続操作により、特定位置へのページ切り替えを行うようにしてもよいし、別途専用の特定ページ表示指示スイッチを設け、同スイッチの操作を特定操作としてもよい。また、フォント切り替えスイッチにより、フォントの並び順の次または前のフォントを選択するものに限らず、複数のフォントの中から任意のフォントをダイレクトに選択してもよい。
さらに、上記実施形態においては、演奏操作子として鍵を採用した電子楽器に本発明を適用したが、鍵に代えて、単なる押圧スイッチ、タッチスイッチなどを音高を指定する演奏操作子を採用した電子楽器に適用してもよい。また、本発明は、電子楽器以外のカラオケ装置、自動演奏装置、音楽アミューズメント装置、パーソナルコンピュータ、携帯電話のような携帯端末装置など、自動演奏データを再生可能であるとともに文字列を表示可能な他の電子音楽装置にも適用できる。