JP4724713B2 - 安全タイヤ用空気のうおよびそれを用いた安全タイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤ内に収納され、タイヤ内圧が正常な状態では少なくともタイヤトレッド部内面との間に空間部を形成し、タイヤ内圧の低下に伴って拡径変化して荷重の支持をタイヤから肩代わりするよう所定内圧が充填された中空円管状体よりなる安全タイヤ用空気のう及びその空気のうを用いた安全タイヤに関し、特に、空気のうの内側表面の付着を防止するとともに、かかる空気のうの空気非透過性を向上させたものに関する。
パンク等によってタイヤ内圧が急激に低下したランフラット状態においてもある程度の距離の走行が可能である安全タイヤとしては、ゴムの材料として補強チューブ、補強ゴム、補強ベルト等の補強部材を用いた、又は発泡体、弾性体、中子等を収容したタイヤが従来から知られており、また近年では、製造コストと重量増加を抑制する観点から、安全タイヤの内部に収納されおり、パンク等によりタイヤの内圧が低下したランフラット状態では、タイヤ内圧の低下に伴い拡張変形して荷重支持をタイヤから肩代わりする中空円管状体からなる空気のうを収容した安全タイヤの普及が進んでいる(例えば特開2004−90808号公報を参照)。
かかる空気のうは次のような手順により製造されるのが一般的である。まず、図1に示すように、成型ドラム101及びブラダ102上にリング状の空気のう本体部材103を載置する。シート状の空気のう本体部材103は、他の成型ドラム等で予めリング状に形成してもよく、シート状の空気のう構成部材を成型ドラム101に巻き付け、ドラム周方向両端部を互いに接合してリング状にしてもよい。次いで、ブラダ102を膨らますと、図2に示すように、空気のう本体部材103の両幅端部がドラム径方向外側に持ち上げられる。
この状態から、ブラダ102をさらに膨らまし、ブラダ102で空気のう本体部材103の両端部を真上近くまで折り曲げたあと、円筒体104をドラム幅方向外側から内側に向かって移動させると、ブラダ102の幅方向外側の面が円筒体104によって押され、空気のう構成部材103とともにドラム幅方向内側に向かって移動し、この結果、図3に示すように、空気のう本体部材103は折り返される。そして、図4に示すように、両端部を折返して、その両端部を重ね合わせ、または突き合わせ、次いで接合することで、中空円管状の空気のう本体部105を形成する。
次いで、図5及び図6に示すように、空気のう本体部105の半径方向外側に複数の補強層106a、106b、106cをタイヤ周方向に沿って順次巻き付けることで、拡径変化を抑制する拡径抑制部材107を形成する。
このような製造時及び製造後の保管時において、空気のうの対向する内側表面同士が接触する場合がある。このため、空気のう構成部材として未加硫のゴムを用いると、接触した部分が相互に付着し、正常に空気のう構成部材折返しができなかったり、後の加硫成型工程で成型不良を招いたりするおそれがある。これを防止するために、半加硫の空気のう構成部材を用いたり、未加硫の空気のう構成部材の内側表面にステアリン酸やシリコン等の離型剤を塗布したりすることが行われている。しかし、半加硫のゴムを空気のう構成部材として用いると、未加硫のゴムを空気のう構成部材として用いた場合に比べ、加硫回数が多くなるため、生産効率の低下、生産コストの増加という問題が発生する。一方、ステアリン酸等の離型剤を塗布する場合には、空気のう本体部材の両端部の接合面内に離型剤が巻き込まれることで接合時にゴムの溶着不良が生じ、空気のうの耐久性が著しく低下する上、作業工程で飛散した離型剤が作業場の床に堆積し、作業現場の汚れや、作業員の滑り事故を招くおそれがある。さらには、固形状である離型剤を塗りむらが無いよう均一に塗布することは多大な時間を要し、空気のうを成型する際の生産性を低下させる。
また、空気のう内の内圧を長期に渡り保持し続けることは重要な課題であり、そのため、空気のう本体部材103を空気非透過性のインナーライナ部材と空気のう内に充填された内圧に対抗してその形状を保持する圧力保持部材とで構成し、インナーライナ部材が中空円管状体の全面を囲繞するようこれを配置することが行われているが、空気のう内圧は長期間経過化後に著しく低下する場合があり、長期間の後にパンクが発生しても空気のうが十分機能しなくなる。このことから、空気非透過性(空気透過防止性能)をさらに向上させることも求められている。
本発明は、このような問題点を鑑みてなされたものであり、製造時もしくは保管時において中空円管状体からなる空気のうであり対向する内側表面同士が付着するのを防止し、かつ、空気非透過性が高められた空気のう、および、その空気のうを用いた安全タイヤを提供することを目的とする。
<1>は、タイヤ内に収納され、所定内圧が充填され、タイヤ内圧が正常な状態では少なくともタイヤ内面との間に空間部を形成し、タイヤ内圧の低下に伴って拡径変化して荷重の支持をタイヤから肩代わりする安全タイヤ用空気のうにおいて、空気のうは、所定内圧により生ずる張力を負担する中空円管状体と、中空円管状体の内側表面に配設され、空気のうの内圧を保持する空気非透過層を具え、その内側表面の少なくとも一部が、内側表面同士の付着を防止する空気非透過性の樹脂フィルム層で構成される安全タイヤ用空気のうである。この明細書において「タイヤ内圧が正常な状態」とは、空気のうを収納する安全タイヤに対して、JATMA、TRA、ETRTO等の、タイヤが製造、販売、又は使用される地域において有効な工業基準、規格等に規定され、負荷能力に応じて特定される内圧をいうものとする。また、空気のうの「所定内圧」とは、「タイヤ内圧が正常な状態」を適用した気体充填状態において、空気のうの外面とタイヤの内面との間に空間を形成することができ、一方、タイヤの内圧が低下したランフラット状態では、タイヤ内圧の低下に伴って空気のうが拡張変形して荷重支持をタイヤから肩代わりすることができる内圧をいい、好適には所定の内圧+0〜20%の範囲とする。
<2>は、<1>において、前記空気透過層は、空気非透過性のゴムよりなるインナーライナ層である安全タイヤ用空気のうである。
<3>は、<2>において、前記中空円管状体の幅方向断面における、前記内側表面の全周長をAとし、インナーライナ層の内側表面に沿う延在長さBとし、樹脂フィルム層の前記内側表面に沿う延在長さをCとしたとき、長さBを長さAより大きくするとともに、長さCを、0.5A〜(2A−B)の範囲とし、前記中空円管状体の幅方向断面において、樹脂フィルム層を、インナーライナ層同士が重畳する領域の外に配置してなる安全タイヤ用空気のうである。
<4>は、<2>又は<3>において、インナーライナ層の60℃における空気透過度が、3.75x10-8〜2.25x10-6cm3・cm/(cm2・s・Pa)の範囲内にあり、かつ、インナーライナ層の厚さが、0.3〜5.0mmの範囲内にある安全タイヤ用空気のうである。
<5>は<1>において、中空円管状体の内側表面全体を樹脂フィルム層で覆って空気非透過層を構成してなる安全タイヤ用空気のうである。
<6>は、<5>において、樹脂フィルム層は中空円管状体に熱溶着されてなる安全タイヤ用空気のうである。
<7>は、<1>〜<6>のいずれかにおいて、樹脂フィルム層の60℃における空気透過度が、7.5x10-18〜15x10-16cm3・cm/(cm2・s・Pa)の範囲内にあり、かつ、樹脂フィルム層の厚さが、10μm〜4.0mmの範囲内にある安全タイヤ用空気のうである。
<8>は、<1>〜<6>のいずれかにおいて、樹脂フィルム層の内側表面に、内圧を充填するためのバルブを固定するスパッドを貼り付けてなる安全タイヤ用空気のうである。
<9>は、<1>〜<8>のいずれかにおいて、前記空気のうの内側表面に、内圧を充填するためのバルブを固定するスパッドを貼り付けてなり、前記樹脂フィルム層を、スパッドを貼り付けるスパッド貼付け領域を除く領域に配設してなる安全タイヤ用空気のうである。
<10>は、<1>〜<9>のいずれかにおいて、前記樹脂フィルム層は、熱可塑性ポリウレタン樹脂、熱可塑性ポリオレフィン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリ塩化ビリニデン樹脂及びこれらの組合せからなる群より選択される安全タイヤ用空気のうである。
<11>は、<1>〜<10>のいずれかにおいて、前記中空円管状体の径方向外側表面に、タイヤ内圧が正常な状態における拡径変化を抑制する拡径抑制層を配設してなる安全タイヤ用空気のうである。拡径抑制層は、ポリエステル、ポリアミドを含む有機繊維から選ばれた繊維とゴムとの複合体で構成で構成することが好ましく、これにより、拡径抑制層の剛性を所期した機能を発揮させるものにすることができる。
<12>は、<1>〜<11>のいずれかの安全タイヤ用空気のうを収納した安全タイヤである。
<1>によれば、製造時もしくは保管時において中空円管状体の対向する内側表面同士が付着するのを防止することができ、同時に、空気非透過性を高めることができる。
<2>によれば、前記中空円管状体の内側表面に、空気非透過性のゴムよりなるインナーライナ層を配設したので、そのインナーライナ層の内側表面に樹脂フィルムを配設することで、空気非透過性を一層高めることができる。
<3>によれば、前記中空円管状体の幅方向断面における、前記内側表面の全周長をAとし、インナーライナ層の前記内側表面に沿う延在長さBとし、樹脂フィルム層の内側表面に沿う延在長さをCとしたとき、長さBを長さAより大きくし、すなわち、インナーライナ層の幅方向端同士を重畳させて接合したので、この接合を確実なものにして、空気の透過を防止することができ、また、前記中空円管状体の幅方向断面において、フィルム層を、インナーライナ層同士が重畳する領域の外に配置したので(このとき、樹脂フィルム層の延在長さCは、長さAからインナーライナ層の重畳代(B−A)を差し引いた(2A−B)以下となる)、 インナーライナ層の幅方向端同士を、間に樹脂フィルム層を介することなく直接重ね合わせてその接合部を強固なものにすることができ、さらに、長さCを、長さAの半分以上とし、内面同士の付着を確実に防止することができる。
<4>によれば、インナーライナ層の60℃における空気透過度が、3.75x10-8〜2.25x10-6cm3・cm/(cm2・s・Pa)の範囲内であり、かつ、インナーライナ層の厚さが、0.3〜5.0mmの範囲内であることで、内圧の長期間に渡る保持を好ましいものとする。インナーライナ層の空気透過度が2.25x10-6cm3・cm/(cm2・s・Pa)を超える場合、又は、インナーライナ層の厚さが0.3mm未満の場合には、十分な内圧を長期間に渡り保持することが難しくなる。一方、インナーライナ層の空気透過度が3.75x10-8cm3・cm/(cm2・s・Pa)未満の場合、又は、インナーライナ層の厚さが5.0mmを超える場合にも、インナーライナ層を構成する部材が高価な特殊なゴム配合であることから、インナーライナ層の重量増加に伴って製造価格が高くなる。
<5>によれば、空気非透過性のゴムよりなるインナーライナ層を配置せず、樹脂フィルム層に空気非透過層の機能も持たせるよう構成したので、インナーライナ層を設けないことによるコストダウンと工程の簡素化をもたらすことができ、しかも、前記中空円管状体の内側表面の長さAより、樹脂フィルム層の内側表面に沿う延在長さCを大きくし、すなわち、樹脂フィルム層で、中空円管状体の内側表面の全面を覆うよう構成したので、単一の層で、空気のうの内側表面同士の付着を防止することと空気の外部への漏出を遮断することを同時に実現することができる。
<6>によれば、樹脂フィルム層が中空円管状体に熱溶着されてなる安全タイヤ用空気のうであることから、中空円管状体の折返し時に隙間ができたり、樹脂フィルム層と中空円管状体との間にずれが生じることを防止することができる。
<7>によれば、樹脂フィルム層の60℃における空気透過度が、7.5x10-18〜15.0x10-16cm3・cm/(cm2・s・Pa)の範囲内であり、かつ、樹脂フィルム層の厚さが10μm〜4.0mmの範囲内としたことで、内圧を長期間に渡り保持することと、空気のうを成型する際の作業効率の向上することの両方を両立することができるようになった。また、この空気透過度が15.0x10-16cm3・cm/(cm2・s・Pa)を超える場合、又は、樹脂フィルム層の厚さが10μm未満の場合には、空気のうの内圧を長期間に渡り保持することができなくなり、タイヤがパンクした際に、空気のうが所期した通り機能しないおそれがある。一方、空気透過度が7.5x10-18cm3・cm/(cm2・s・Pa)未満の場合、又は、樹脂フィルム層の厚さが4.0mmを超える場合には、樹脂フィルム部材の剛性が高くなることから、成型作業時に樹脂フィルム部材を変形して作業することが難しくなり、成型作業の作業効率が低下する。
<8>によれば、前記中空円管状体の内側表面に貼り付けられた樹脂フィルム層の内側表面に、内圧を充填するためのバルブ固定用スパッドを貼り付けるので、バルブを貼付ける位置をさけて樹脂フィルム層を配設する必要がないので、成型工程において樹脂フィルム層を組み付ける工程における生産性を向上させることができる。
<9>によれば、空気のうの内側表面に、内圧を充填するためのバルブを固定するスパッドを貼り付けてなり、樹脂フィルム層を、スパッドを貼り付けるスパッド貼付け領域を除く領域に配設したので、スパッドの貼着は樹脂フィルム層に対してではなく、内側表面に露出するその他の層の部材に対して行えばよいので接着剤を用いることなくこれを取り付けることができ、スパッド取付け作業を簡単なものにすることができる。
<10>によれば、前記樹脂フィルム層は、熱可塑性ポリウレタン樹脂、熱可塑性ポリオレフィン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリ塩化ビリニデン樹脂及びそれらの組合せからなる群より選択される樹脂よりなるものなので、樹脂フィルム層は、状況に応じて、材料が夫々に有する伸長性、剛性、表面性、空気非透過性等の特性範囲を生かすことで、内部表面の付着を防止し、空気非透過性を向上することができ、また、空気のうの成型作業を容易にすることができる。
<11>によれば、前記中空円管状体の半径方向外側表面に、タイヤ内圧が正常な状態における拡径変化を抑制する拡径抑制層を設けることで、通常走行時は、空気のうの拡径変形を抑制して所望の形状に保持し、タイヤがパンクした時にはタイヤを支持するよう空気のうを膨張させることができる。
<12>によれば、<1>〜<11>の特徴を有する空気のうを具えた安全タイヤは上述の特徴を有するので、製造時もしくは保管時において空気のうの対向する内側表面同士が付着するのを防止することができ、同時に、空気のうの空気非透過性を高めることができることから、タイヤのパンク等によってタイヤ内圧が急激に低下したランフラット状態においてもある程度の距離の走行が可能となる。
従来の空気のうの製造方法を説明するための、空気のうの幅方向断面図である。 図1に続く工程を説明するための、空気のうの幅方向断面図である。 図2に続く工程を説明するための、空気のうの幅方向断面図である。 図3に続く工程を説明するための、空気のうの幅方向断面図である。 図4に続く工程を説明するための、空気のうの幅方向断面図である。 図5に続く工程を説明するための、空気のうの幅方向断面図である。 本発明に係る第一の実施形態の安全タイヤ用空気のうを、タイヤとリムとで囲繞された環状空間内に所定内圧を充填して装着した状態で示す断面図である。 第一の実施形態の安全タイヤ用空気のうを成型する工程を説明するための、空気のうの幅方向断面図である。 (a)は図8に続く工程を説明するための、空気のうの幅方向断面図であり、(b)は(a)の矢視図である。 樹脂フィルム部材を示す平面図である。 図9に続く工程を説明するための、空気のうの幅方向断面図である。 図11に続く工程を説明するための、空気のうの幅方向断面図である。 (a)はスパッドを示す平面図であり、(b)は(a)スパッドを示す断面図である。 図12に続く工程を説明するための、空気のうの幅方向断面図である。 図14に続く工程を説明するための、空気のうの幅方向断面図である。 第二の実施形態の安全タイヤ用空気のうを、タイヤとリムとで囲繞された環状空間内に所定内圧を充填して装着した状態で示す断面図である。 第二の実施形態の安全タイヤ用空気のうを成型する工程を説明するための、空気のうの幅方向断面図である。 図17に続く工程を説明するための、空気のうの幅方向断面図である。 図18に続く工程を説明するための、空気のうの幅方向断面図である。 図19に続く工程を説明するための、空気のうの幅方向断面図である。 図20に続く工程を説明するための、空気のうの幅方向断面図である。 図21に続く工程を説明するための、空気のうの幅方向断面図である。 第三の実施形態の安全タイヤ用空気のうを、タイヤとリムとで囲繞された環状空間内に所定内圧を充填して装着した状態で示す断面図である。 第三の実施形態の安全タイヤ用空気のうの変形例を、タイヤとリムとで囲繞された環状空間内に所定内圧を充填して装着した状態で示す断面図である。
符号の説明
1 圧力保持部
1A 圧力保持部材
2 拡径抑制部
2A 拡径抑制部材
3 補強層
4a、4b 表面層
5 空気非透過層
6 樹脂フィルム層
6A 樹脂フィルム部材
7 インナーライナ層
7A インナーライナ部材
8 スパッド
8a スパッド本体
8b スパッドのねじ部材
8c 雌ねじ部
8d スパッド本体の底面
9 バルブ
10 安全タイヤ用空気のう
11 中空部
12 環状空間
13 バルブ用貫通穴
14 穴
15 空気非透過層
16 樹脂フィルム層
16A、16l、16r 樹脂フィルム部材
18 インナーライナ部材の幅方向端(インナーライナ層の重ね代)
19 樹脂フィルム部材の幅方向端(樹脂フィルム層の重ね代)
20 安全タイヤ用空気のう
21 タイヤ
22 リム
25、25A 空気非透過層
26、26a、26b、26c 樹脂フィルム層
101 成型ドラム
102 ブラダ
本発明の実施形態について、図に基づいて説明する。図7は、本発明に係る第一の実施形態の安全タイヤ用空気のう10を、タイヤ21とリム22とで囲繞された環状空間12内に収容し、所定内圧を充填した状態の幅方向断面図である。この、空気のう10は、中空円管状をなし、中空部11に充填された加圧空気の外部への透過を防止する空気非透過層5と、中空部11の内圧Pに対抗してその形状を保持する中空円管状体である圧力保持部1と、内圧Pの保持に加えて空気のう10の半径方向の拡張を抑制する拡径抑制部2とを具える。また、空気のう10には、中空部11に空気を充填するためのバルブ9を取り付けるためのスパッド8及びバルブ9が取り付けられる。
空気のう10の断面において、空気非透過層5は中空部11を囲繞する全周面を覆うよう設けられている。仮に、一部でも空気非透過層5で覆われていない部分がある場合には、空気の非透過率が著しく低下する。
圧力保持部1は空気のう全域に設けられ、拡径抑制部2は中空円管状体の外側表面にドラム周方向に沿って貼着される。なお、圧力保持部1は、ゴム単体、又はゴムに繊維を含有させた複合体により構成することができ、また、拡径抑制部2は、ゴム等により構成され、その内部に一層以上の補強層3を具え、拡径抑制部2内においては、補強層3の径方向外側に対をなす表面層4a、4bが複数対配置されて構成される。これらのことにより、パンクが発生して空気のう10が膨張する場合、空気のうの幅方向中央が最初にタイヤ内面に当接し、このことによって、空気のう10が左右対称にバランスよくタイヤへの荷重を肩代わりすることになる。すなわち、パンク等でタイヤの内圧が低下した状態での安定したランフラット走行と、タイヤが通常内圧の状態で空気のうが膨張することによる早期故障の防止とを可能にする。
本発明にかかる空気非透過層5は、樹脂フィルム層のみ、又は樹脂フィルム層及びインナーライナ層により構成される。このとき、空気非透過層の構成様式としては、中空円管状体の内側表面に熱溶着等により樹脂フィルム層を設ける場合、又は中空円管状体の内側表面にインナーライナ層を貼着し、さらにそのインナーライナ層の内側表面に樹脂フィルム層を熱溶着して設ける場合がある。このうち、図7に示した第一の実施形態は、空気非透過層5を樹脂フィルム層6だけで構成する場合の態様として例示するものである。この場合、空気のう幅方向断面において、中空円管状体の中空部11を囲む内側表面の全周長Aより、この内側表面に沿う樹脂フィルム層の延在長Cを大きくすることにより、樹脂フィルム層6をシート状のものの幅方向端同士を接合して中空円管状にする際の重ね代19(重ね代は(C−A)となる)を確保することができる。
さらに、樹脂フィルム層6の空気に対する透過率は、7.5x10-18〜15.0x10-16cm3・cm/(cm2・s・Pa)の範囲内にあることが好ましく、また、樹脂フィルム層の厚さを、1.0μm〜4.0mmの範囲内とすることが好ましい。
さらにまた、樹脂フィルム層6は、空気非透過性であることに加え、付着防止機能を有することも本発明の必須の要件であり、このことは、空気のう10の製造時や保管時に、空気のう10の内部表面同士が付着するのを防止する。
また、樹脂フィルム同士の付着を防止する樹脂の材料としては、ポリ塩化ビリニデン樹脂フィルム(例えば、サランラップ(登録商標))やポリ塩化ビリニデン樹脂等を挙げることができる。
図8、図9(a)、図11、図12、図14及び図15は、空気のう10を構成する各部材が成型ドラム上に組み付けられてゆく工程を示す断面図であり、第一実施形態の空気のう10を成型するには、まず、図8に示すように、圧力保持部1に対応する圧力保持部材1Aを、成型ドラム101及びブラダ102上に組み付ける。圧力保持部材1Aは、他の成型ドラム等で予めリング状に形成しておいてもよく、又、シート状の部材を成型ドラム101に巻き付けてからドラム周方向両端部を互いに接合してリング状にしてもよい。
次いで、図9(a)に示すように、圧力保持部材1Aを成型ドラム101上に配置したまま、圧力保持部材1Aに、バルブを取り付けるためのバルブ用貫通穴13を設ける。なお、図9(b)は、図9(a)のb1−b1矢視に対応する矢視図である。
次いで、図10に示すような、バルブを貫通させる位置に穴が予め形成されたシート状部材を、図11に示すように、圧力保持部材1Aの外側に巻回して、樹脂フィルム部材6Aを組み付けるが、シート状部材を巻きつける際には、穴14が、貫通穴13と一致するよう予め、巻き始め位置を設定しておく必要がある。また、巻きつけたあとは、シート状部材のドラム周方向両端を互いに接合するための接着剤を、シート部材両端の少なくとも一方の端部に塗布しておく。
また、樹脂フィルム部材6Aの組み付けに際し、ゴムを主体とする圧力保持部材1Aに対して樹脂フィルム部材6Aがずれないよう、樹脂フィルム全面に接着剤を塗布するか、ゴムに対して接着性のよい樹脂フィルム部材6Aを用いるか、又は中空円管状体と樹脂フィルム部材とを熱溶着するのがよい。このような、自身同士では付着することがなく、ゴムに対する接着性のよい材料として、先に例示した、ポリ塩化ビリニデン樹脂フィルム(例えば、サランラップ(登録商標))やポリ塩化ビリニデン樹脂フィルムを挙げることができる。
続いて、図12に示すように、空気のう用バルブを取り付けるためのスパッド8を樹脂フィルム部材6Aに貼り付ける。スパッド8は、図13(a)、(b)に、それぞれ、平面図及び断面図で示すように、円錐台状のゴムよりなるスパッド本体8aと、スパッド本体の中心部を貫通するよう設けられた円筒状のねじ部材8bとで構成され、ねじ部材8bの内面には、バルブをねじ止めするための雌ねじ部8cが形成されている。
ここで、ねじ部材8bはスパッド本体8aの底面8d(直径d)から突出して設けられ、スパッド8は、ねじ部材8bの底面8dから突出した部分が貫通穴13内に収納されるよう、接着剤で樹脂フィルム部材6Aに貼り付けられる。
次に、先に従来技術について説明したように、ブラダ102と円筒体(図せず)とを用いて、圧力保持部材1A付の樹脂フィルム部材6Aの幅方向両端を折り返し、図14に示すように、幅方向両端を相互に接合する。なお、樹脂フィルム部材6Aには、幅方向端19に接着剤を塗布しておくことにより、折り返した後の接合を確実に行うことができる。
次いで、一層以上の補強層を巻回して、拡径抑制部2となる拡径抑制部材2Aを組み付け、空気のう構成部材を加硫して成型することで、空気のう10を形成する。
図16は、第二の実施形態の安全タイヤ用空気のう20を、タイヤ21とリム22とで囲繞された環状空間12内に所定内圧を充填して装着した状態の断面図である。このとき、空気のう20は中空円管状体をなし、中空部11に充填された加圧空気の外部への透過を防止する空気非透過層15と、中空部11の内圧Pに対抗してその形状を保持する圧力保持部1と、内圧Pの保持に加えて空気のう20の拡径変形を抑制する拡径抑制部2とを具える点において、第一の実施形態の空気のう10と同様である。異なる点としては、空気非透過層15が、空気非透過性の樹脂フィルム層16と、同じく空気非透過性のインナーライナ層7よりなり、空気のう幅方向断面において、インナーライナ層7は中空円管状体の内側表面の全周を覆い、また、樹脂フィルム層16は、インナーライナ層7の内部表面を覆うように構成されている点である。
この場合、中空円管状体の中空部11を囲む内側表面の全周長Aより、この内側表面に沿うインナーライナ層7の延在長Bを大きくすることにより、インナーライナ層7の幅方向端同士を接合して中空円管状にする際の重ね代18(重ね代は(B−A)となる)を確保することができる。
また、内側表面に沿う樹脂フィルム層16の延在長Cを、全周長Aから重ね代(B−A)を差し引いた長さ(2A−B)と同じか、これより僅か小さくすることにより、樹脂フィルム層16をインナーライナ層7の重畳部分を除くほぼ全周に配置することができる。ここで、樹脂フィルム層16の延在長さをインナーライナ層7のそれより短くして重畳部分に延在させないのは、もし、樹脂フィルム層16をインナーライナ層7と同じ長さにして、これらを重ねたまま幅方向端同士を接着させて中空円管状にする際、接着によって接合されるインナーライナ層7の間に樹脂フィルム層16が介在するおそれがあり、インナーライナ層同士の接着が不確実なものとなる場合がある。その結果、接着が不確実な部分から空気が外に漏出する可能性もある。
ここで、インナーライナ層7の空気に対する透過率が3.75x10-8〜2.25x10-6cm3・cm/(cm2・s・Pa)の範囲内であることが好ましく、インナーライナ層7の厚さが、0.3〜5.0mmの範囲内であることが好ましい。また、樹脂フィルム層6の空気に対する透過率が7.5x10-18〜15.0x10-16cm3・cm/(cm2・s・Pa)の範囲内であることが好ましく、樹脂フィルム層の厚さが1.0μm〜4.0mmの範囲内であることが好ましい。
さらに樹脂フィルム層6は、空気非透過性であることに加え、付着防止機能を有することも本発明の必須の要件であり、このことは、空気のう10の製造時や保管時に、空気のう10の内部表面同士が付着するのを防止する。
第二の実施形態における樹脂フィルム層6の場合、内面全体のほとんどを樹脂フィルム層16で覆うので、空気非透過性能を有し、かつ、自身同士の密着を防止する材料として、ポリ塩化ビリニデン樹脂フィルム(例えば、サランラップ(登録商標))やポリ塩化ビリニデン樹脂フィルムを用いることもできるが、完璧を期して、樹脂フィルム層16で覆われていない部分18に対しても付着を防止する場合には、ゴムに対しても付着しない、熱可塑性ポリウレタン樹脂、熱可塑性ポリオレフィン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂及びこれらの組合せからなる群より選択される樹脂を用いるのがよい。
図17〜図21及び図22(a)は、空気のう20を構成する各部材が成型ドラム上に組み付けられてゆく工程を示す断面図であり、第二実施形態の空気のう20を成型するには、先の図8に示したように、圧力保持部1に対応する圧力保持部材1Aを、成型ドラム101及びブラダ102上に組み付けたあと、図17に示すように、圧力保持部材1Aの外側にインナーライナ部材7Aを周方向に巻き付けて組み付け、次いで、図18に示すように、これらの部材1A、7Aを成型ドラム101上に配置したまま、それらの部材1A、7Aにバルブ9を取り付けるため貫通穴13を加工する。その後、図19に示すように、貫通穴13と位置合わせをして予め設けられた穴14を有するシート状部材(図10参照)を周方向に巻き付けて樹脂フィルム部材16Aを組み付ける。
この組み付けに際し、ゴムを主体とする圧力保持部材1Aに対して樹脂フィルム部材6Aがずれないよう、樹脂フィルム部材16Aに接着剤を塗布するか、もしくは、ゴムに対して接着性のよい樹脂フィルム部材16Aを用いるのがよく、樹脂フィルム部材16Aとして、ゴムに対しても付着しない熱可塑性ポリウレタン樹脂、熱可塑性ポリオレフィン樹脂、ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂といった樹脂を用いる場合には、接着剤を予め塗布しておく必要があり、一方、ゴムに対する接着性のよいポリ塩化ビリニデン樹脂フィルム(例えば、サランラップ(登録商標))やポリ塩化ビリニデン樹脂を用いる場合には接着剤を使用しなくてもよい。
シート状の樹脂フィルムを巻きつける際には、第一実施形態についての説明と同様、穴14が、貫通穴13と一致するよう予め、巻き始め位置を設定しておく必要があり、また、樹脂フィルム部材16Aを巻き付けたあと、シート部材のドラム周方向両端を互いに接合するために接着剤を、シート部材両端の少なくとも一方に塗布しておく。
このとき、樹脂フィルム部材16Aの幅方向両端の少なくとも一方は、インナーライナ部材7Aの幅方向両端同士を接合するための重ね代18が露出するよう、インナーライナ部材7Aの幅方向端内側に位置させる。
次いで、図20に示すように、バルブ取り付け用のスパッド8を樹脂フィルム部材16Aに貼り付ける。スパッド8の構成は、図13(a)、(b)を用いて説明した通りである。
次に、先に従来技術について説明したように、ブラダ102と円筒体(図示せず)とを移動して、圧力保持部材1A及び樹脂フィルム部材16Aとが一体となって組み付けられたインナーライナ部材7Aの両側部を折り返し、図21に示すように、インナーライナ部材7Aの幅方向両端を重ね合わせてこれらの端を相互に接合する。このとき、樹脂フィルム部材16Aの端同士は隙間を有し、インナーライナ部材17Aの両端を、樹脂フィルム部材16Aを間に介させることなくこれらの両端を圧着して接合することができ、この接合を強固なものにすることができる。
次いで、先に第一の実施形態について図15に示したのと同様に、一層以上の補強層を巻回して、拡径抑制部2となる拡径抑制部材2Aを組み付け、この空気のう構成部材の成型を完了し、これを加硫することで、空気のう20を形成する。
バルブ9を取り付けるためのスパッド8の貼り付けに関し、図20に示したように、これを樹脂フィルム部材16Aに貼り付けることもできるが、これに代えて、スパッド8をインナーライナ部材7Aに直接貼り付けることもでき、この場合、ともにゴムよりなる部材同士の接着によって貼付けることになるので、接着剤が不要なことに加えてその接着を強固なものにすることができる。
図22(a)は、この代替方法によるスパッド8の貼付けを示す断面図であり、図22(b)は図22(a)の、b2−b2に対応する矢視図である。この代替方法では、穴14が穿孔された一枚のシート状樹脂フィルム部材を巻き付ける代わりに、スパッド本体8aの底面8dが貼り付けられる直径dの領域を含む幅方向領域Wを外した領域のそれぞれに、シート部材を巻き付けて樹脂フィルム部材16l、16rを組み付けることにより、幅方向領域Wにおいて、インナーライナ部材7Aを露出させ、スパッド8のインナーライナ部材7Aへ直接貼り付けることを可能にすることができる。
図23は、第三の実施形態の安全タイヤ用空気のう30を、タイヤ21のリム22に装着し、タイヤ21とリム22とで囲繞された環状空間12内に所定内圧を充填した状態の断面図である。このとき、空気のう30は、中空円管状をなし、その中空円管状体の内側表面の全面を覆い、空気のうの充填された加圧空気の外部への透過を防止する空気非透過層25と、中空部11の内圧Pに対抗してその形状を保持する圧力保持部1と、内圧Pの保持に加えて空気のう30の拡径変形を抑制する拡径抑制部2とを具える。空気非透過層25は、中空円管状体の内側表面に貼着するインナーライナ層7と、そのインナーライナ層7の内側表面に貼着した樹脂フィルム層16により構成される。なお、インナーライナ層7は中空部11を囲繞する全周を覆うように貼着される。
この実施形態の安全タイヤ用空気のう30は、以上の点において、第二の実施形態の空気のう20と同様であるが、異なる点としては、空気非透過層25を構成する樹脂フィルム層26が、空気のうの最大幅に対応する半径方向位置Q1、Q2より半径方向内側にのみ延在する点であり、この実施形態は、樹脂フィルム層26の主たる機能を、空気のう30の内面の相互の付着を防止する機能とし、中空部11の空気が漏出して内圧が低下するのを防止する機能は、インナーライナ層が主として担い、樹脂フィルム層26はそれを補助するよう機能分担がなされている例である。
そして、樹脂フィルム層26は、幅方向断面において、最大幅に対応する半径方向位置より内側にのみ延在するので、その延在長さCは、中空部11を囲繞する周囲の全長Aの半分もしくは半分より少し長い程度となり、この構成により、内面同士の付着防止を確実にするとともに、樹脂フィルムの材料を最小量に抑えることができる。
図23に示すように、この実施形態においても、バルブ9を取り付けるためのスパッド8は、樹脂フィルム層26に、接着剤を用いて直接貼り付けることもできるが、図24の断面図で示すように、スパッド8を設ける幅方向領域において、インナーライナ層7にスパッド8が直接接着されるよう、この領域を除く領域に、樹脂フィルム層26a、26bを配置することもできる。ただし、この場合、露出したインナーライナ7Aが対向する面と付着することがないよう、樹脂フィルム層26cを設けることが好ましい。
樹脂フィルム層を具える複数の種類の空気のうを作成してこれらを実施例とし、これらの実施例について空気非透過性及び成型工程生産性について評価した。また、樹脂フィルム層を具えない代わりに、付着防止のために内面にステアリン酸を塗布した空気のうについてもこれを作成し、同様の評価を行った。これらの例について、樹脂フィルム配比率を表1に示した。
これらの例の空気のうを収納するタイヤのサイズは495/45R22.5であった。インナーライナ層としては、ブチルゴムよりなり、厚さが1.0mm、温度が60℃のときに空気透過率が18.75x10-18cm3・cm/(cm2・s・Pa)となる、樹脂フィルム層としては、熱可塑性ポリウレタン樹脂よりなり、厚さが50μm、温度が60℃のときに空気透過率が37.5x10-8cm3・cm/(cm2・s・Pa)のものを、それぞれ用いた。
表1において、樹脂フィルム配置比率とは、中空円管状体をなす空気のうの幅方向断面において、中空部を囲繞する内側表面の全周長Aに対する内側表面に沿う樹脂フィルム層の延在長さCの割合C/Aを言う。また、インナーライナ層を配置する場合には、これを、全周に配置し、また、樹脂フィルム層を配置する場合には、幅方向断面において、半径方向内側から左右同じ半径方向位置(例えば、図24のQ1,Q2)まで延在するよう配置した。
また、表1において、気密性は、空気のうに70kPaの内圧を充填し、これを2週間放置した後の内圧を測定し、測定した内圧を、比較例のものを100とする指数で表した。この指数が高い方が、残存内圧が高く、空気非透過性能が高いことを意味する。
また、成型工程生産性は、空気のう1本を成型するのに要する成型時間を測定し、その測定した成型時間の逆数を、比較例のものを100とする指数で表した。この数値が大きい程、成型時間が短く生産性が高いことを意味する。成型時間とは、空気のう構成部材の成型ドラム上での巻き付けを開始してから、これを成型ドラムから取り外すまでの時間をいう。
Figure 0004724713
表1から明らかなように、実施例はいずれも比較例と比べ、気密性、生産性のいずれの点においても優れている。
なお、付着防止性能に関しては、比較例及び実施例1〜4のいずれの例も、製造時に欠陥が無いものを用い、また、その確認を、空気のうを成型した1週間後に、内側表面同士の付着の有無と、樹脂フィルム層とインナーライナ層との接合部分の剥離の有無を調べることによって行った。
本発明の空気のうは、サイズや構造の異なる種々の空気入りタイヤに用いることができる。

Claims (12)

  1. タイヤ内に収納され、所定内圧が充填され、タイヤ内圧が正常な状態では少なくともタイヤ内面との間に空間部を形成し、タイヤ内圧の低下に伴って拡径変化して荷重の支持をタイヤから肩代わりする安全タイヤ用空気のうにおいて、
    空気のうは、所定内圧により生ずる張力を負担する中空円管状体と、該中空円管状体の内側表面に配設され、空気のうの内圧を保持する空気非透過層を具え、その内側表面の少なくとも一部が、内側表面同士の付着を防止する空気非透過性の樹脂フィルム層で構成される安全タイヤ用空気のう。
  2. 前記空気非透過層は空気非透過性のゴムよりなるインナーライナ層である、請求項1に記載の安全タイヤ用空気のう。
  3. 空気のうの幅方向断面における中空円管状体の内側表面の全周長をAとし、インナーライナ層の内側表面に沿う延在長さをBとし、樹脂フィルム層の内側表面に沿う延在長さをCとしたとき、長さBを長さAより大きくするとともに、長さCを、0.5A〜(2A−B)の範囲内とし、該中空円管状体の幅方向断面において、該樹脂フィルム層を、該インナーライナ層同士が重畳する領域の外に配置してなる請求項2に記載の安全タイヤ用空気のう。
  4. インナーライナ層の60℃における空気透過度が、3.75x10-8〜2.25x10-6cm3・cm/(cm2・s・Pa)の範囲内であり、かつ、インナーライナ層の厚さが、0.3〜5.0mmの範囲内である、請求項2又は3に記載の安全タイヤ用空気のう。
  5. 前記中空円管状体の内側表面全体を前記樹脂フィルム層で覆って前記空気非透過層を構成してなる、請求項1に記載の安全タイヤ用空気のう。
  6. 前記樹脂フィルム層は前記中空円管状体に熱溶着されてなる、請求項5に記載の安全タイヤ用空気のう。
  7. 樹脂フィルム層の60℃における空気透過度が、7.5x10-18〜15.0x10-16cm3・cm/(cm2・s・Pa)の範囲内にあり、かつ、樹脂フィルム層の厚さが、10μm〜4.0mmの範囲内にある、請求項1〜6のいずれか一項に記載の安全タイヤ用空気のう。
  8. 前記樹脂フィルム層の内側表面に、内圧を充填するためのバルブを固定するスパッドを貼付けてなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の安全タイヤ用空気のう。
  9. 空気のうの内側表面に、内圧を充填するためのバルブを固定するスパッドを貼付けてなり、樹脂フィルム層を、スパッドを貼り付けるスパッド貼付け領域を除いた領域に配設してなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の安全タイヤ用空気のう。
  10. 前記樹脂フィルム層は、熱可塑性ポリウレタン樹脂、熱可塑性ポリオレフィン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリ塩化ビリニデン樹脂及びこれらの組合わせからなる群より選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の安全タイヤ用空気のう。
  11. 中空円管状体の径方向外側表面に、タイヤ内圧が正常な状態における拡径変化を抑制する拡径抑制層を配設してなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の安全タイヤ用空気のう。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の安全タイヤ用空気のうを収納した安全タイヤ。
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