JP4721976B2 - 車両用バンパ構造 - Google Patents

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Description

本発明は、歩行者等の衝突体と衝突したことを検知する機能を有する車両用バンパ構造に関する。
下記特許文献1に開示された車両用バンパ構造では、フロントバンパリインフォースメントの前壁部の前面に車両幅方向に沿って荷重検知センサが延在されており、更にその前面側には荷重伝達板が配設されている。荷重伝達板の車両前方側にはフロントバンパアブソーバが配設されている。また、荷重伝達板の前面には、荷重センサとは別にタッチセンサが配設されている。歩行者等の衝突体がフロントバンパに衝突すると、フロントバンパカバーを介してフロントバンパアブソーバが車両後方側へ圧縮されて、タッチセンサがONされると共に荷重伝達板を介して衝突荷重が荷重検知センサに入力される。これにより、歩行者等の衝突体がフロントバンパに衝突したことが検知される。
特開2005−186677公報
ところで、着脱式の固縛フックがフロントバンパに装着される車両の場合、固縛フックを挿通させるための取付用逃げ穴がフロントバンパアブソーバに設定されている。固縛フックが装着されていないときにはキャップでフロントバンパカバーの開口部が閉塞されるがフロントバンパアブソーバに形成された取付用逃げ穴はそのままの状態になるので、取付用逃げ穴の設定部位ではフロントバンパアブソーバのエネルギー吸収性能が得られず、フロントバンパアブソーバのエネルギー吸収性能が車両幅方向で不均一になる。
また、昨今では縦列駐車や車庫入れ等の駐停車時に障壁との距離を測定するためのクリアランスソナーをバンパに搭載した車両がある。クリアランスソナーをバンパに設定する場合、バンパアブソーバにクリアランスソナーを収容させるための取付用逃げ穴又は凹部が設定される。クリアランスソナーが標準装備であれば車両によってバンパアブソーバのエネルギー吸収性能が車両幅方向で異なるということは生じないが、オプション設定する場合にはクリアランスソナーが搭載されない場合には、バンパアブソーバに取付用逃げ穴又は凹部がそのまま残るので、固縛フックのときと同様の問題が発生する。つまり、取付用逃げ穴又は凹部の設定部位では、バンパアブソーバのエネルギー吸収性能が得られず、バンパアブソーバのエネルギー吸収性能が車両幅方向で不均一になる。
上記に加え、バンパアブソーバに背景技術で説明したような衝突検知センサが搭載される場合には、取付用逃げ穴や凹部をそのまま残しておくと、衝突検知センサの検出精度に影響が出る可能性がある。
本発明は上記事実を考慮し、車両用バンパにバンパ装着部材を設定する関係でバンパ緩衝部材に取付用逃げ穴又は凹部が設定される場合にも、バンパ緩衝部材のエネルギー吸収性能のバラツキを極力抑制することができる車両用バンパ構造を得ることを目的とし、更に衝突検知手段が車両用バンパに搭載される場合に検出精度を良好に維持することができる車両用バンパ構造を得ることが目的である。
請求項1の発明は、バンパカバーの車両内側に離間して配置されると共に車両幅方向に沿って延在されたバンパ補強部材と、バンパカバーとバンパ補強部材との間に配置されると共に車両幅方向に沿って延在され、かつ車両幅方向の所定位置にバンパ装着部材取付用の孔部又は凹部が車両前後方向に沿って形成されたバンパ緩衝部材と、を備えた車両用バンパ構造であって、前記孔部又は凹部に前記バンパ装着部材が取付けられない場合に、当該孔部又は凹部内に挿入されて前記バンパ緩衝部材のエネルギー吸収性能の車両幅方向に沿った連続性を担保する挿入部材を有することを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1記載の車両用バンパ構造において、前記バンパ装着部材は、着脱式の固縛フック又は車両に搭載される検知手段であり、前記挿入部材は、圧縮荷重を受けることにより所定の反力を発生する反力部材である、ことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2記載の車両用バンパ構造において、前記バンパ補強部材と前記バンパ緩衝部材との間には、衝突体との衝突を検知するための衝突検知手段が配置されている、ことを特徴とする。
請求項1記載の本発明によれば、バンパ緩衝部材の車両幅方向の所定位置には、バンパ装着部材取付用の孔部又は凹部が車両前後方向に沿って形成されているため、孔部又は凹部の形成位置でのバンパ緩衝部材の厚さが局部的に減少する。このため、孔部又は凹部をそのままの状態で残しておいた場合に衝突体と衝突すると、孔部又は凹部の形成位置では本来であれば得られる筈のエネルギー吸収性能が得られない。
しかし、本発明では、孔部又は凹部にバンパ装着部材が取付けられない場合には、当該孔部又は凹部内に挿入部材が挿入されて、バンパ緩衝部材のエネルギー吸収性能の車両幅方向に沿った連続性が担保される。
請求項2記載の本発明によれば、バンパ装着部材は着脱式の固縛フック又は車両に搭載される検知手段であり、挿入部材は圧縮荷重を受けることにより所定の反力を発生する反力部材であるため、例えば、固縛フックを使用しないときにはその部分に孔部が形成されるが、反力部材が孔部内へ挿入されることにより、衝突体と衝突してバンパ緩衝部材の孔部形成部位に圧縮荷重が作用すると、反力部材によって所定の反力が発生してエネルギー吸収性能が発揮される。従って、バンパ緩衝部材の孔部形成部位から衝突体へ入力される反力も低減される。
一方、検知手段の場合には、それが標準装備されるものでなく、オプション設定される場合には、検知手段が装備されない場合が生じる。その場合には、バンパ緩衝部材に孔部又は凹部が形成されることになるので、上記と同様の作用が得られる。
請求項3記載の本発明によれば、バンパ補強部材とバンパ緩衝部材との間に衝突体との衝突を検知するための衝突検知手段が配置されているため、仮にバンパ緩衝部材に孔部や凹部が形成された状態のままだと、衝突体がバンパ緩衝部材の孔部又は凹部の非形成部位に衝突したときと、孔部又は凹部の形成部位に衝突したときとでは、衝突検知手段への荷重入力量が異なることになる。
しかし、本発明のように、反力部材を孔部又は凹部に挿入しておきバンパ緩衝部材の車両幅方向に沿ったエネルギー吸収性能の連続性を担保しておけば、このような荷重入力量のバラツキは生じ難くなる。
以上説明したように、請求項1記載の本発明に係る車両用バンパ構造は、車両用バンパにバンパ装着部材を設定する関係でバンパ緩衝部材に取付用逃げ穴又は凹部が設定される場合にも、バンパ緩衝部材のエネルギー吸収性能のバラツキを極力抑制することができるという優れた効果を有する。
請求項2記載の車両用バンパ構造は、着脱式の固縛フックが適用される場合にその車種全般に対してバンパ緩衝部材のエネルギー吸収性能のバラツキを抑制する効果が得られ、又検知手段が車両用バンパの高さに設置される場合に当該検知手段を標準装備ではなくオプション設定にしてもバンパ緩衝部材のエネルギー吸収性能のバラツキを抑制する効果が得られる点において非常に有意義である。
請求項3記載の本発明に係る車両用バンパ構造は、衝突検知手段の衝突検知精度にバラツキが生じるのを効果的に抑制することができる、言い換えると衝突検知手段が車両用バンパに搭載される場合に検出精度を良好に維持することができるという優れた効果を有する。
〔第1実施形態〕
以下、図1〜図3を用いて、本発明に係る車両用バンパ構造の第1実施形態について説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印INは車両幅方向内側を示している。
図3には、本実施形態に係るフロントバンパ構造が適用された車体前部の概略平面図が示されている。この図に示されるように、車体前部10の前端部には、車両幅方向に沿ってフロントバンパ12が延在されている。また、車体前部10の両サイドには、車両前後方向に沿って左右一対のフロントサイドメンバ14が配設されている。フロントサイドメンバ14の前端部は、フロントバンパ12が備える後述するフロントバンパリインフォースメント22の長手方向の両端部22’近傍に直接又は図示しないクラッシュボックス等のエネルギー吸収部材を介して接合されている。
図1及び図2には、上記フロントバンパ12の要部を示す縦断面構造が拡大して示されている。まず図2を用いて説明すると、フロントバンパ12は、車体前部10の前端部に配置されて意匠面を構成するフロントバンパカバー18と、このフロントバンパカバー18の車両後方側に配置されたバンパ緩衝部材としてのフロントバンパアブソーバ20と、このフロントバンパアブソーバ20の車両後方側に配置された高強度及び高剛性のバンパ補強部材としてのフロントバンパリインフォースメント22と、を主要部として構成されている。
フロントバンパリインフォースメント22は車両幅方向に沿って延在されており、その両端部22’(図3参照)は車両後方側へ湾曲されている。また、フロントバンパリインフォースメント22は縦断面形状が「目」の字状とされており、前後に平行に配置された前壁部22A及び後壁部22Bと、これらの前壁部22A及び後壁部22B間に上下複数段に配置されて両者を水平に繋ぐ複数(本実施形態では、合計4枚)の水平リブ22Cと、を含んで構成されている。
フロントバンパアブソーバ20は、ウレタンフォーム等の発泡性材料によって構成されており、エネルギー吸収性能との関係において所定の硬度に設定されている。従って、フロントバンパアブソーバ20が衝突体と衝突すると、車両前後方向(アブソーバ厚さ方向)に圧縮変形して所定のエネルギーを吸収するようになっている。また、フロントバンパアブソーバ20の縦断面形状は、車両後方側が開放側とされた略コ字状とされている。従って、フロントバンパアブソーバ20の背面部の高さ方向中間部には、矩形断面形状とされた所定深さの凹部24が形成されている。
また、上述したフロントバンパリインフォースメント22には、着脱式の固縛フック26が取り付けられている。フロントサイドメンバ14の前端部には、底部中央に貫通孔28が形成された箱状のブラケット30が取り付けられている。ブラケット30の貫通孔28には略円柱形状のナット部材32が挿入されている。具体的には、ナット部材32は円柱形状の本体部32Aを備えており、その軸方向の一方の端部には本体部32Aよりも大径とされたフランジ部32Bが形成され、又軸方向の他方の端部には本体部32Aよりも小径とされた小径部32Cが形成されている。ナット部材32は、前記の如く本体部32Aがブラケット30の貫通孔28内へ挿入された後、フランジ部32Bがブラケット30の底部に溶接され、その後にフロントサイドメンバ14の前端部にブラケット30が溶接等により接合されるようになっている。
フロントバンパリインフォースメント22の後壁部22Bの高さ方向中間部には、ブラケット30の貫通孔28と同軸上に同径の挿通孔34が形成されている。さらに、フロントバンパリインフォースメント22の前壁部22Aの高さ方向中間部には、貫通孔28と同軸上に小孔36が形成されている。そして、ナット部材32は、本体部32Aがフロントバンパリインフォースメント22の後壁部22Bの挿通孔34からその内方へ挿入された後、小径部32Cが小孔36内へ更に挿通され、本体部32Aと小径部32Cとの段差部38が前壁部22Aの後面に当接するようになっている。この状態では、ナット部材32の小径部32Cの外周面に形成された雄ねじが、フロントバンパリインフォースメント22の前壁部22Aから車両前方側へ突出されている。そして、この小径部32Cの突出部分にナット40が螺合されることにより、ナット部材32がフロントサイドメンバ14の前端部及びフロントバンパリインフォースメント22に固定されている。なお、ナット40は、フロントバンパ12の組付状態では、フロントバンパアブソーバ20の背面部に形成された凹部24内に配置されるようになっている。
上記ナット部材32の軸芯部には、内周面に雌ねじ42Aが形成されたボルト挿通孔42が形成されている。これに対応して、フロントバンパアブソーバ20の高さ方向中間部にはナット部材32のボルト挿通孔42と同軸上にテーパ形状のボルト挿通孔44が形成されており、更にフロントバンパカバー18の高さ方向中間部にもボルト挿通孔44と同軸上に小径のフック挿入孔46が形成されている。ナット部材32のボルト挿通孔42の内周面には雌ねじ42Aが形成されており、着脱式の固縛フック26の雄ねじ部26Aがフロントバンパカバー18のフック挿入孔46から挿入されてフロントバンパアブソーバ20のボルト挿通孔44を通り、ナット部材32のボルト挿通孔42の雌ねじ42Aに螺合されることで、フック部26Bがフロントバンパカバー18から車両前方側へ突出状態で配置されるようになっている。
ここで、上述した固縛フック26は着脱式のタイプであるため、必要時以外はナット部材32に装着されない。このため、通常は、図1に示されるように、反力部材としてのキャップ48でフック挿入孔46が閉塞されている。このキャップ48は、フロントバンパカバー18のフック挿入孔46を閉塞する蓋部48Aと、この蓋部48Aの軸芯部から車両後方側へ突出されかつフロントバンパアブソーバ20に形成されたボルト挿通孔44に嵌合可能な略円錐形状に形成された挿入部48Bと、によって構成されている。なお、蓋部48Aの裏面側には、半径方向へ弾性変形可能な係合爪48Cが一体に形成されており、フロントバンパカバー18のフック挿入孔46の周縁部に弾性的に係止されるようになっている。
また、蓋部48Aは比較的硬質の樹脂で形成されているが、挿入部48Bはフロントバンパアブソーバ20と同一のウレタンフォーム等の発泡性材料によって構成されている。従って、挿入部48Bとフロントバンパアブソーバ20とのエネルギー吸収性能は、基本的には異なるところはない。但し、挿入部48Bの形状をボルト挿通孔44の形状よりも若干細くして両者の間に隙間が出来るとか、挿入部48Bの形状を円錐状ではなく円柱状にする等の設計変更がなされてもよく、その場合には若干エネルギー吸収性能が変化するが、実質的には挿入部48Bとフロントバンパアブソーバ20とのエネルギー吸収性能の差は殆どないといってよい。
(作用・効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
本実施形態に係るフロントバンパ構造では、固縛フック26が着脱可能であり、固縛フック26を装着する必要がない通常時においては、フロントバンパアブソーバ20に形成されたボルト挿通孔44はキャップ48によって塞がれている。
フロントバンパアブソーバ20の車両幅方向の所定位置(両側二箇所、中央一箇所等)には、固縛フック取付用のボルト挿通孔44が車両前後方向に沿って形成されているため、固縛フック26が装着されない通常時においては、ボルト挿通孔44の形成位置でのフロントバンパアブソーバ20の厚さが局部的に減少する。このため、仮にボルト挿入孔46をキャップで塞ぐのみで、ボルト挿通孔44を中空のまま残しておいた場合に、フロントバンパ12が固縛フック取付位置で歩行者等の衝突体と衝突すると、ボルト挿通孔44が中空であるがために本来であれば得られる筈のエネルギー吸収性能が得られない。
しかし、本実施形態に係るフロントバンパ構造では、固縛フック26が装着されない通常時には、フロントバンパカバー18のフック挿入孔46にキャップ48が装着されて、フロントバンパアブソーバ20と略同一の硬度に設定された挿入部48Bがボルト挿通孔44内へ挿入されているため、フロントバンパアブソーバ20のエネルギー吸収性能の車両幅方向に沿った連続性が担保される。
その結果、本実施形態によれば、フロントバンパ12に着脱可能な固縛フック26を装着する関係でフロントバンパアブソーバ20にボルト挿通孔44が形成される場合においても、フロントバンパアブソーバ20のエネルギー吸収性能のバラツキを極力抑制することができる。
〔第2実施形態〕
以下、図4及び図5を用いて、本発明に係る車両用バンパ構造の第2実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
図4に示されるように、この第2実施形態では、フロントバンパ50におけるフロントバンパカバー18の裏面側に、検知手段としてのクリアランスソナー52がオプション設定で装着可能とされている。クリアランスソナー52は、フロントバンパカバー18の長手方向の複数箇所に設置されている。なお、クリアランスソナー52は、縦列駐車や車庫入れ等の駐停車時等に、フロントバンパ50が障害物に接近し過ぎた場合に警告を発するべく、障害物との距離を超音波で測定するセンサである。
上記の如く、クリアランスソナー52がオプション設定されることを想定して、フロントバンパアブソーバ20の前部のクリアランスソナー対向位置には、クリアランスソナー52を収容可能な凹部54が形成されている。なお、凹部54は車両前後方向に長い凹みとなっている。なお、凹部54に替えて孔を設けてもよい。
一方、図5には、オプション設定のクリアランスソナー52が装備されない場合のフロントバンパ50の要部縦断面構造が示されている。この図に示されるように、クリアランスソナー52が設定されない場合には、クリアランスソナー52の替わりに、反力部材56を備えたフロントバンパカバー58が装着されるようになっている。反力部材56は、前述した第1実施形態のキャップ48の挿入部48Bと同様に、フロントバンパアブソーバ20の凹部54に嵌合(挿入)可能な角柱形状とされており、フロントバンパアブソーバ20と同一材質で構成されており、硬度も略同一に設定されている。このフロントバンパカバー58が装着された状態では反力部材56が凹部54に嵌合され、実質的には凹部54内に別部品のアブソーバが充填されたかたちになっている。
(作用・効果)
上記構成によれば、バンパ装着部材がクリアランスソナー52のように標準装備品ではなくオプション設定される部品であり、生産性の観点から共通のフロントバンパアブソーバ20が使用される場合には、当然ながらクリアランスソナー52が装着可能でありながら実際には装着されない状況が起こる。その場合には、フロントバンパアブソーバ20に車両前後方向に凹む凹部54がそのまま残るため、その部位に衝突体が衝突すれば、フロントバンパアブソーバ20が有している本来のエネルギー吸収性能は発揮されないことになる。
しかし、本実施形態では、クリアランスソナー52が装着されない場合には、反力部材56を備えたフロントバンパカバー58が装着され、フロントバンパアブソーバ20と略同一の硬度に設定された反力部材56が凹部54に嵌合されて空洞部分が埋められるため、フロントバンパアブソーバ20のエネルギー吸収性能の車両幅方向に沿った連続性が担保される。
その結果、本実施形態によれば、フロントバンパ50にクリアランスソナー52を装着する関係でフロントバンパアブソーバ20に凹部54が形成される場合においても、フロントバンパアブソーバ20のエネルギー吸収性能のバラツキを極力抑制することができる。
なお、上記構成では、フロントバンパカバー18の裏面側に反力部材56を取付けたが、これに限らず、反力部材を別部品化してフロントバンパアブソーバ20の凹部54に直接挿入して取り付けるようにしてもよい。つまり、反力部材は必ずしもフロントバンパカバーの裏面側に設けられていなくてもよい。
〔第3実施形態〕
以下、図6を用いて、本発明に係る車両用バンパ構造の第3実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態等と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
図6に示されるように、この第3実施形態では、第2実施形態のクリアランスソナー52がオプション設定される車両において、更に歩行者等との衝突体とフロントバンパ60とが衝突したことを検知する衝突検知手段としての光ファイバセンサ62が配設されている点に特徴がある。
具体的に説明すると、フロントバンパリインフォースメント22の前壁部22Aの前面上部には、長尺状の光ファイバセンサ62が車両幅方向に沿って配索されている。なお、光ファイバセンサ62は1本もので構成されており、フロントバンパリインフォースメント22の長手方向の一方の端部側で折り返されて上下二段に配索されるようになっている。上記光ファイバセンサ62の車両前方側には、平板状の荷重伝達板64が前壁部22Aと平行に配置されている。荷重伝達板64は、一例としてその上端部から車両後方側へ取付片が延設されており、当該取付片がねじ等でフロントバンパリインフォースメント22の最上段の水平リブ22Cに固定されるようになっている。また、荷重伝達板64の前面には、フロントバンパアブソーバ20の上端部20Aの後端面が当接状態で配置されている。
一方、フロントバンパリインフォースメント22の前面上部側に衝突検知手段(荷重検知手段と置き換えてもよい。)である光ファイバセンサ62が配設される関係で、この第3実施形態では、クリアランスソナー52が光ファイバセンサ62と対向する位置に配設されている。これに対応して、フロントバンパアブソーバ20に形成される凹部54もフロントバンパアブソーバ20の上端部側にオフセットして形成されている。
(作用・効果)
請求項3記載の本発明によれば、バンパ補強部材とバンパ緩衝部材との間に衝突体との衝突を検知するための衝突検知手段が配置されているため、仮にバンパ緩衝部材に孔部や凹部が形成された状態のままだと、衝突体がバンパ緩衝部材の孔部又は凹部の非形成部位に衝突したときと、孔部又は凹部の形成部位に衝突したときとでは、衝突検知手段への荷重入力量が異なることになる。
しかし、本発明のように、反力部材を孔部又は凹部に挿入しておきバンパ緩衝部材の車両幅方向に沿ったエネルギー吸収性能の連続性を担保しておけば、このような荷重入力量のバラツキは生じ難くなる。
上記構成によれば、クリアランスソナー52が標準装備品ではなくオプション設定される部品である場合において、ユーザがクリアランスソナー52を装備する必要はないと判断した場合には、第2実施形態で説明したように、クリアランスソナー52に替えて反力部材56が凹部54内に充填される。従って、フロントバンパアブソーバ20の車両幅方向のエネルギー吸収性能の連続性は担保される。よって、荷重伝達板64を介して光ファイバセンサ62に入力される荷重入力量にバラツキが生じ難くなる。すなわち、歩行者等の衝突体との衝突時における光ファイバセンサ62による衝突検知精度を良好に維持することができる。
つまり、クリアランスソナー52が装備されない場合において仮に凹部54がそのまま空洞の状態で残されると、その部分のフロントバンパアブソーバ20は一部欠損した状態(一般部に比べて凹部54の形成位置ではフロントバンパアブソーバ20の厚さが薄くなった状態)になるため、車両後方側への衝突荷重に対するエネルギー吸収性能が異なってくる。従って、凹部54の形成位置で衝突体と衝突するか、凹部54が形成されていない一般部で衝突体と衝突するかによって、光ファイバセンサ62への荷重入力量が変化する(バラツキが発生する)が、本実施形態では、かかるバラツキが発生するのを抑制することができる。
なお、上記構成では、衝突検知手段として光ファイバセンサ62のみを使用したが、システムの信頼性を向上させるために光ファイバセンサ62の他にタッチセンサ等の第2の衝突検知手段を設定し、光ファイバセンサ62を用いた第1衝突検知系統と、タッチセンサ等を用いた第2衝突検知系統の二系統を備えた構成を採ってもよい。この場合、光ファイバセンサ62を使った第1衝突検知系統が主系統であり、タッチセンサを使った第2衝突検知系統はセーフティ系統として位置付けられる。
また、上記構成では、オプション設定のクリアランスソナー52が装備されない場合には反力部材56が凹部54に充填される構成を採ったが、これに限らず、クリアランスソナー52と同等程度の硬さ(硬度)を有するブロック状の部材を反力部材として凹部54に挿入してもよい。この場合、実質的にはクリアランスソナー52が標準装備された場合と同じであるから、凹部54の形成位置では衝突体との衝突荷重が光ファイバセンサ62に大きめに入力されるというシステムが成り立つ。或いは、フロントバンパリインフォースメント22の前壁部22Aの光ファイバセンサ62の配索経路上の凹部54と対向する部位には、光ファイバセンサ62の後半分が納まる半円形断面の凹溝を形成して、光ファイバセンサ62への荷重入力量を局所的に下げてバランスさせる等の構成を採ってもよい。
〔上記実施形態の補足説明〕
上述した各実施形態では、フロントバンパ12に対して本発明を適用したが、これに限らず、リヤバンパに対して本発明を適用してもよい。
また、第1実施形態では固縛フック26を例にして説明し、又第2実施形態及び第3実施形態ではクリアランスソナー52を例にして説明したが、これに限らず、車両用バンパの配設位置に設定されかつ標準装備されずオプション設定とされたセンサ以外のもの、例えば補助的な照明灯等に対して本発明を適用してもよい。
第1実施形態に係るフロントバンパ構造の要部を拡大して示す縦断面図(図3の1−1線拡大断面図)である。 第1実施形態に係るフロントバンパ構造において固縛フックが装着された状態を示す図1に対応する拡大縦断面図(図3の2−2線断面図)である。 図1に示される車両用バンパ構造を備えた車体前部の概略平面図である。 第2実施形態に係るフロントバンパ構造の要部を拡大して示す図2に対応する縦断面図(図3の4−4線拡大断面図)である。 第3実施形態に係るフロントバンパ構造の要部を拡大して示す図1に対応する縦断面図(図3の5−5線拡大断面図)である。 第3実施形態に係るフロントバンパ構造の要部を拡大して示す図1に対応する縦断面図である。
符号の説明
12 フロントバンパ(車両用バンパ)
18 フロントバンパカバー
20 フロントバンパアブソーバ(バンパ緩衝部材)
22 フロントバンパリインフォース(バンパ補強部材)
26 固縛フック(バンパ装着部材)
44 ボルト挿通孔(孔部)
48 キャップ(挿入部材、反力部材)
50 フロントバンパ(車両用バンパ)
52 クリアランスソナー(バンパ装着部材、検知手段)
54 凹部
56 反力部材(挿入部材)
58 フロントバンパカバー
60 フロントバンパ(車両用バンパ)
62 光ファイバセンサ(バンパ装着部材、検知手段、衝突検知手段)

Claims (3)

  1. バンパカバーの車両内側に離間して配置されると共に車両幅方向に沿って延在されたバンパ補強部材と、
    バンパカバーとバンパ補強部材との間に配置されると共に車両幅方向に沿って延在され、かつ車両幅方向の所定位置にバンパ装着部材取付用の孔部又は凹部が車両前後方向に沿って形成されたバンパ緩衝部材と、
    を備えた車両用バンパ構造であって、
    前記孔部又は凹部に前記バンパ装着部材が取付けられない場合に、当該孔部又は凹部内に挿入されて前記バンパ緩衝部材のエネルギー吸収性能の車両幅方向に沿った連続性を担保する挿入部材を有することを特徴とする車両用バンパ構造。
  2. 前記バンパ装着部材は、着脱式の固縛フック又は車両に搭載される検知手段であり、
    前記挿入部材は、圧縮荷重を受けることにより所定の反力を発生する反力部材である、
    ことを特徴とする請求項1記載の車両用バンパ構造。
  3. 前記バンパ補強部材と前記バンパ緩衝部材との間には、衝突体との衝突を検知するための衝突検知手段が配置されている、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用バンパ構造。
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