JP4721525B2 - 都市ガス供給方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は都市ガス供給方法及び装置に関し、特に水素ガスを含む都市ガスを供給する都市ガス供給方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、燃料電池が民生用としても実用化し、今後、都市ガスを燃料とする燃料電池システムが広く普及することが予想される。従来、都市ガス供給はメタンを主成分とするLNGを気化して、さらにLPGで増熱する13Aガスが主流であった。従来の都市ガスを用いて燃料電池を稼動させるためには、燃料電池の上流側に改質装置を配設し、都市ガス中の炭化水素を水素に改質して燃料電池に供給することが必要である。しかし、改質装置の設置はコストアップ、設備の大型化を招くため、燃料電池の普及阻害要因となりうる。
【0003】
一方、既存の都市ガスパイプラインを利用して水素を供給する技術として、天然ガスに水素を混合したいわゆる「ハイタン」(Hydrogen Methaneの略)を供給する技術が開示されている(例えば、特開平11−228101)が、ハイタン供給システムにおいて燃料電池を使用する場合にメタンを改質する設備が必要であることに変わりはない。
【0004】
さらに、100%水素ガスを既存の都市ガスパイプラインを利用して供給するアイデアも公知であるが、この場合、燃料電池等、水素を直接燃料とする機器については直接利用できるが、既存の都市ガス用機器を利用することができないという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、都市ガスパイプラインにより改質装置を必要とすることなく燃料電池等の水素燃料設備の利用を可能とする方法及び装置を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、天然ガス供給時代から水素供給時代への円滑な移行を担保するエネルギー供給形態を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、地球環境に優しい都市ガス供給形態を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、水素ガスを含むガスを導管ネットワークを介して供給する都市ガス供給方法であって、導管ネットワークから分岐した1以上の箇所において都市ガス中の水素ガスを分離して、かつ、分離後ガスの少なくとも一部を再度導管ネットワークに戻入することを特徴とする都市ガス供給方法を提供する(請求項1)。
【0009】
このようにすれば、都市ガス中の水素ガスを分離して、直接、燃料電池等水素ガスを燃料とする設備に供給することができる。これにより燃料電池に改質装置を併設する必要がなくなる。さらに、分離後ガスを導管ネットワークに戻入することにより、従来の都市ガス燃焼機器を利用する需要家についても従来システムを変更することなく対応することが可能となる。
【0010】
本発明は、上記において分離ガスのウオッベ指数(WI)と燃焼速度指数(CP)が、それぞれ所定の範囲内の値になるように水素ガスの分離を制御することを特徴とする都市ガス供給方法を提供する(請求項2)。
【0011】
このような制御により、都市ガス燃焼機器の安定燃焼を確保することが可能となる。現在、ガス事業法に基づいて、全国の都市ガスはウオッベ指数及び燃焼速度指数がそれぞれ所定の範囲内の14種類のガスグループに分類され、都市ガス事業者は特定したガス種の都市ガスを供給域内の需要家に対して供給することが義務付けられている。ここにウオッベ指数(WI)は、ガスの発熱量H(MJ/m3)をガスの空気に対する比重sの平方根で割った数値であり、次式で表される。ウオッベ指数は、ガス機器のインプットとノズルによる一次空気吸引量の関係を表し、ガス機器が完全燃焼可能か否かに関する指標となる。
【0012】
WI=H/√s
また、燃焼速度指数(MCP)は次式で表される。
【0013】
【数1】
Figure 0004721525
【0014】
ここに、S1、f1はそれぞれ都市ガス中の各可燃性ガスの燃焼速度及び係数、A1は都市ガス中の各可燃性ガスの含有率(体積百分率)、Kは減衰係数であって、次式により算出した値である。
【0015】
【数2】
Figure 0004721525
【0016】
式中、α1は、各可燃性ガスの補正係数、CO2、N2、O2は、それぞれガス中の二酸化炭素、窒素、酸素の含有量(体積百分率)である。なお、S1、f1、α1の具体的数値についてはガス事業法に示されているため、ここでは省略する。
【0017】
WIとMCPによりガス機器の燃焼特性を表現することが可能となる。図5はこれを概念的に示すものであり、ガス機器の互換域を示している。機器の互換域とは、全てのガス機器について不完全燃焼、バック、リフト等に関して良好燃焼域を求め、これらの限界線で囲まれた部分をいう。同図において▲1▼は不完全燃焼限界、▲2▼はリフト限界、▲3▼はバック限界、▲4▼は赤外線バーナ赤熱限界、▲5▼は赤外線バーナバック限界を示している。互換域内であれば供給ガスの組成が変動しても、全てのガス機器を良好に燃焼させることができる。ガス事業法ではこのような理論に基づいてガスグループを定めている。他方、同法は、WI、MCPが一定の範囲内にある限り、都市ガスの組成については規制していない。従って、都市ガスに水素ガスを添加して供給する場合においても、都市ガス中の水素濃度を各ガス種について定められたWI及びMCPの範囲内に制御すれば、供給上も燃焼上も特に支障はない。このことから、燃料電池等、水素ガスを燃料とする設備使用の需要家が導管ネットワーク内にある場合、当該需要家において水素ガスを分離して燃料電池等に使用し、一方、分離後ガスのWI及びMCPを上記範囲内となるように制御して、再度、導管ネットワークに戻入することにより、燃料電池の稼動と導管ネットワーク内を流れる都市ガスのWI及びMCP維持との両立が可能となる。
【0018】
上記発明において、WIが52.7≦WI≦57.8であり、かつCPが35≦MCP≦47となるように都市ガス中の水素ガス濃度を制御することができる(請求項3)。
【0019】
この範囲のWI及びMCPは、13Aガスについて事業法で定められた値である。13Aガスは炭化水素系ガス、特にLNGを原料とするメタンを主成分とする都市ガスである。13Aガスには、この他にもLPGとエアを混合したガスを供給する場合もある。供給域内の全てのポイントにおいて、WI及びMCPをこの範囲内に収めるように需要家における水素分離を制御することにより、供給域内で問題なく13Aガス機器を良好に燃焼させることができる。
【0020】
図3は13Aガスについて、WI及びMCPを上記範囲内にするための水素ガス、メタンガス、COガスとメタン以外の炭化水素ガス(CmHn)の許容濃度範囲(全体を1とした場合の各ガスの分圧比で示してある)を示す図である。つまり、都市ガスの組成を同図の太枠で囲まれた部分に入るように制御すれば供給上支障がないことを示している。例えば、メタンガスが0.7の場合、水素ガスを0.13から0.24の範囲で添加することができる(これに伴いCOおよびCmHnは0.17から0.06の範囲で変化する)。
【0021】
また、WIが49.2≦WI≦53.8であり、かつ、CPが34≦MCP≦47となるように、都市ガス中の水素ガス比率を定めることもできる(請求項4)。
【0022】
この値のWI及びMCPは、12Aガスについて定められた値である。12Aガスをこの範囲に制御することにより、上記13Aガスと同様な作用が可能である。
【0023】
さらに、上述の各発明において導管ネットワーク内の複数のポイントにおいて水素ガス濃度に基づいて、供給ガスの水素添加量を制御することができる(請求項7)。このようにすることにより、ネットワーク内の一部の地域で都市ガス中の水素ガス濃度が低くなり過ぎて、供給条件から外れたガスになることを防止できる。
【0024】
水素添加量の制御は、導管ネットワークから分岐した1以上の箇所における水素ガス分離量を計測して、導管ネットワーク内の所定の箇所における都市ガス中の水素ガス濃度を求めることにより行うことができる。その結果に基づいて導管ネットワーク全域でWI及びMCPを所定の範囲に制御することができる。
【0025】
水素添加率の制御は、導管ネットワーク内の1以上の箇所において水素ガスを補填供給することにより行うことができる(請求項8)。補填供給方法としては、工場から供給する都市ガスの水素濃度を上げる方法のほか、導管ネットワーク内に設けた水素ガス貯蔵設備から水素を添加することもできる。
【0026】
本発明は、水素ガスを含む都市ガスを導管ネットワークから分岐して導入するガス導入手段と、都市ガス中の水素ガスを分離する水素ガス分離手段と、分離後の都市ガス(以下、分離後ガスという)の少なくとも一部を導管ネットワークに戻入する分離ガス戻入手段とを備えた水素ガス分離戻入装置を提供する(請求項9)。
【0027】
本発明は、請求項1乃至8の都市ガス供給に用いる水素ガス分離戻入装置である。かかる水素ガス分離戻入装置を燃料電池等、水素ガス利用機器を備えた需要家に設置することにより、水素ガスを直接利用可能となる。
【0028】
水素ガス分離手段として水素分離膜を用いることができる(請求項10)。水素分離膜の材質としては公知のパラジウム、パラジウム合金膜、高分子膜等を用いることができる。また、水素ガス分離手段として燃料電池の水素極を用いることもできる(請求項11)。
【0029】
また、都市ガス導入手段及び分離ガス戻入手段として内管部と外管部により構成される二重管タイプの配管を用いることができる(請求項12)。都市ガス配管をこのように構成することにより、設備のコンパクト化が可能となる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。ここで、図面において同一構成には同一の符号を付し、重複説明を省略する。また、以下の実施の形態は例示であって、本発明の範囲は各実施の形態に限定されるものではない。
【0031】
本発明の第一の実施形態について図1乃至図4を参照して説明する。図1は本発明に係る13A都市ガス製造供給システムの全体図を示すものである。図1において都市ガス製造供給システム1は、都市ガス製造工場2、導管3a乃至3cより構成される導管ネットワーク3、都市ガス製造工場3と導管ネットワーク3とを結ぶパイプライン12、導管ネットワーク3に接続する需要家4、5により構成されている。現実の都市ガス製造供給システムにおいては、これ以外にも昇圧器、付臭装置、ガスホルダー、ガバナー等、必要な製造供給設備が存在するが、図では省略してある。
【0032】
都市ガス製造工場2は、LNGタンク7、LPGタンク6、気化装置9、水素ガス貯蔵装置10を備えている。
【0033】
導管3bには需要家4、5が接続されており、都市ガス機器を利用できるように構成されている。実際には導管ネットワーク3には多数の需要家が接続されているが、煩雑を避けるため2需要家のみ表示してある。
【0034】
図2は需要家4の詳細構成を示している。需要家4は燃料電池16aを備えており、さらに燃料電池16aの燃焼制御のために水素分離装置15a、制御装置19a、流量制御弁18a、分離後ガス戻入管14aを備えている。導管3bを流れる都市ガスは配管13aにより分岐され、水素分離装置15aに導かれるように構成されている。さらに、水素分離装置15aの下流側の分離後ガス戻入管14aの経路内には水素濃度センサー22aが設けられている。水素濃度センサーとしては、例えば半導体センサーを用いることができる。
【0035】
制御装置19aは記憶部、演算部、制御部等を備えたコンピュータであり、分離後ガス中の水素濃度に対応して水素分離装置15aの稼動を制御するよう構成されている。制御装置19aは、このために図 の内容のデータテーブルを有している。
【0036】
図1において、需要家5は燃料電池16b、水素分離装置15b、制御装置19b、流量制御弁18b、水素濃度センサー22bを備えている。これらの構成については需要家4と同一である。需要家4の構成と異なる点は、需要家5はさらに13A用ガス機器17及び18を備えている点である。
【0037】
次に、図1により都市ガス製造工場2における13A都市ガスへの水素添加、導管ネットワークによる供給方法について説明する。
【0038】
最初に13Aガスに水素を添加する方法について説明する。LNGタンク7から配管7aを介して供給されるLNGと、LPGタンク6から配管6aを介して供給されるLPGは、混合部8で所定の混合比で混合し、さらに気化装置9でガス体となる。さらに混合器11において水素ガス貯蔵装置10から供給される水素が添加される。ここにLNG、LPG、水素ガスの混合比は、WI及びMCPで規定される13Aガスの範囲内のものとなるように調整される。調整された水素添加都市ガスは、導管12を介して導管ネットワーク3に供給される。供給圧力は任意の値を選択しうるが、従来の都市ガスと同様に高圧(1MPa以上)、中圧(0.1MPa以上、1MPa未満)、低圧(0.1MPa未満)の3段階とすることもできる。
【0039】
次に、図2を用いて需要家4における水素分離及び導管ネットワークへの戻入について説明する。導管3b内を流れる水素添加の13A都市ガスは配管13a、流量制御弁18aを経由して水素分離装置15aに供給される。水素分離装置15a内部には水素分離膜(図示しない)が設けられており、都市ガスに含まれる水素は、真空ポンプ18a(図示せず)により吸引されて分離膜を通過し、さらに配管17aを介して燃料電池16aに供給される。一方、水素ガス以外のメタン、プロパン等の成分は分離膜を通過することなく滞留し、ガス配管14aを介して導管3bに戻入される。なお、水素分離に際して分離膜の下流側に真空ポンプを用いたが、分離膜を介して差圧を生じさせることが重要であり、上流側に昇圧装置を用いてもよい。また、導管3bへの戻入には必要に応じて昇圧装置等を介して行うことができる。
【0040】
次に、ガス配管14aを介して導管3bに戻入する分離後ガスの水素濃度の制御方法について説明する。分離後ガス中の水素濃度は、分離後ガス戻入管14aの経路内に設けられた水素濃度センサー22aにより所定の時間間隔で計測されており、そのデータは制御装置19aに取り込まれる。制御装置19aのコンピュータは、分離後ガスの水素濃度及び工場から供給される都市ガス組成をもとにWI、MCPを計算し、分離後ガスの組成が図3の範囲内にあるか否かを判断する。この値が図3の範囲内にある場合には燃料電池16aへの水素供給を継続する。水素濃度が図3の範囲から外れた場合には水素分離装置の稼動を停止する。なお、工場から供給される都市ガス組成がほぼ一定の場合には、コンピュータに初期値として記憶させておくことができる。また、工場から供給される都市ガス組成の変動が無視できない場合には、後述の通信手段によることもできる。水素以外の他の成分濃度を測定してもよいことは言うまでもない。かかる制御を行うことにより戻入ガスの組成が図3の範囲内にあるようにできる。例えば、図3において需要家4に供給される都市ガスのメタン濃度が0.7、水素濃度が0.24である場合、水素分離装置15aで分離できる限界は分離後ガスの水素濃度が0.13となる都市ガス組成ということになる。
【0041】
なお、上記において分離後ガスの水素濃度の制御は水素分離装置15aの発停で行っているが、流量制御弁18aの開度を調整する方式によってもよい。
【0042】
次に需要家5における都市ガス利用形態について説明する。水素分離及び導管ネットワークへの戻入については、需要家4と同一であるので省略する。需要家5においては、さらにガス配管14bにより導管3bに戻入される分離後ガスの一部が、ガス配管14cを介してガス機器17,18に導かれる。分離後ガスは需要家4と同様に水素濃度が制御されているため、ガス機器17,18は正常な燃焼が確保されている。
【0043】
なお、上記実施の形態では分離された水素ガスを燃料電池16aに供給しているが、供給されるガスが燃料電池16aの水素極(図示せず)の白金触媒を被毒させる成分、例えば一酸化炭素(CO)を含まない場合には、水素分離装置を置かずに直接、都市ガスを燃料電池に供給することもできる。この場合、水素極において水素分子のみが選択的にイオン化されて電解質を通過し、他の分子成分は電極を通過できず残留するから、残留ガス成分を導管3bに戻入することにより上記と同様な機能を果たすことができる。この場合には、燃料電池16aの水素極(図示せず)が水素分離装置として機能することになる。
【0044】
なお、上記実施形態では、都市ガスの水素分離方法として水素分離膜を用いたが、これに限らず、他の混合ガス中の水素を選択的に分離できる方法、例えばPSA等を用いることも可能である。
【0045】
さらに、分離後ガスの水素濃度を測定する方法として水素濃度センサーを用いたが、燃料電池の発電量から分離後ガスの水素濃度を演算する方法を用いることも可能である。
【0046】
図4は、本発明に係る他の実施の形態を示す図である。本実施の形態は、導管ネットワークの各地点における水素濃度を集中管理して、安定供給を図るものである。図1において都市ガス製造供給システム50は、都市ガス製造工場A及びB、センター52、導管51a乃至51cより構成される導管ネットワーク51、導管51bの経路内に配設される水素ガス貯蔵装置55を備えている。さらに、導管ネットワーク51を介して都市ガスの供給を受ける需要家群は、水素分離戻入装置を備えた需要家53−1乃至53−n、及びこれを備えず従来機器を使用する需要家54−1乃至54−mから構成されている。なお、都市ガス製造工場、水素ガス貯蔵装置等の数は図に示すものに限定されず、必要に応じて任意の数を選択することができる。
【0047】
センター52と工場A及びBとはそれぞれ通信回線CL1、CL2を介して情報授受可能に構成されている。また、センター52と水素ガス貯蔵装置55とは通信回線CL3で結ばれている。さらに、センター52と需要家53−1乃至53−nについても通信回線で結ばれている。通信手段としては、例えば公衆電話回線、パケット通信網及びISDN等のデジタル公衆回線を含むインターネット回線、専用回線、CATV回線網、衛星通信、無線通信等を用いることができる。これにより、各需要家に配設されている図示しない制御装置から送信される各需要家における分離後ガスの水素濃度データをモニターできるように構成されている。
【0048】
次に、本実施の形態における導管ネットワークの水素濃度制御について説明する。センター52は、需要家53−1乃至55−nに対して所定の時間間隔で水素濃度データの送信を指令する。そして、送信される水素濃度データをセンター52内に備えられたコンピュータ(図示せず)に蓄積することにより、導管ネットワーク内の都市ガス中の水素濃度分布を把握することができる。センター52は、この分布データに基づいて工場A、Bのうち、最適な供給工場を選択してその工場に対して送出する都市ガスの水素濃度を調整するよう指令する。指令された工場は、指令値に基づいて製造する都市ガスの水素濃度を調整して供給する。
【0049】
なお、水素ガスの添加は工場に限らず、必要に応じて導管ネットワーク内に配設される水素ガス貯蔵装置55から行うことも可能である。この場合、センター52は水素ガス貯蔵装置55に接続する制御弁56に対して指令して、導管51bに図3の範囲内となるように水素添加する。このように導管ネットワーク内の都市ガス中の水素濃度分布を継続的にモニターして、供給ガスのWI及びMCPを演算して、常に図3の範囲に制御することができる。
【0050】
【発明の効果】
本発明により、在来の都市ガス供給システムを前提として、炭化水素系ガス(天然ガス)に一定量の水素を混合し、従来の都市ガス用機器と水素のみを選択的に利用する水素利用ガス機器(燃料電池など)を併存して利用することができる。これにより将来的に予想される水素ガス供給への円滑な移行が可能となる。
【0051】
また、燃料電池の稼動に負担となる天然ガス改質装置を介することなく直接水素を供給できるため、燃料電池のクイックスタートが可能となる。
【0052】
また、水素分離、吸着分離等による高純度の水素分離を利用することにより、燃料電池触媒被毒の原因となるガス付臭剤を除去できるため、燃料電池の寿命が延びるという効果もある。
【0053】
さらに、各家庭、事業所等において水素供給が可能となり、専用スタンド無しに水素燃料の燃料電池自動車の水素源を供給することができ、その普及促進に資する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る都市ガス製造供給システムの全体図を示す図である。
【図2】本発明に係る都市ガス利用需要家の設備構成を示す図である。
【図3】13Aガスの水素、メタン、CO,CmHnの許容濃度範囲を示す図である。
【図4】本発明の他の実施の形態を示す図である。
【図5】ガスの互換域を示す概念図である。
【符号の説明】
1・50……都市ガス製造供給システム、2……都市ガス製造工場、3・51……導管ネットワーク、3a・3b・3c・51a・51b・51c……導管、4・5・53−1乃至53−n・54−1乃至54−m……需要家、6……LPGタンク6、7……LNGタンク、9……気化装置、10・55……水素ガス貯蔵装置、12……パイプライン、15a・15b……水素分離装置、16a・16b……燃料電池、18a・18b……流量制御弁、19a・19b……水素分離制御装置、22・23……水素分圧センサー、25……真空ポンプ、52……センター、CL1〜CL3……通信回線、56……制御弁

Claims (14)

  1. 水素ガスを含むガスを導管ネットワークを介して供給する都市ガス供給方法であって、導管ネットワーク内の1以上の箇所において都市ガス中の水素ガスを分離した後に、分離後の都市ガス(以下、分離後ガスという)の少なくとも一部を前記導管ネットワークに戻入することを特徴とする都市ガス供給方法。
  2. 前記分離後ガスのウオッベ指数(WI)と燃焼速度指数(CP)が、それぞれ所定の範囲内の値になるように水素ガスの分離を制御することを特徴とする請求項1に記載の都市ガス供給方法。
  3. WIが52.7≦WI≦57.8であり、かつ、CPが35≦MCP≦47となるように、前記水素ガス分離量を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の都市ガス供給方法。
  4. WIが49.2≦WI≦53.8であり、かつ、CPが34≦MCP≦47となるように、前記水素ガス分離量を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の都市ガス供給方法。
  5. 前記都市ガスは、炭化水素系ガスを主成分とするものである請求項1乃至4に記載の都市ガス供給方法。
  6. 前記都市ガスは、メタンを主成分とするものである請求項1乃至4に記載の都市ガス供給方法。
  7. 請求項1乃至6に記載の都市ガス供給方法において、さらに、前記導管ネットワーク内の1以上の箇所における水素ガスが所定の濃度以下の場合に、前記導管ネットワーク内の所定の箇所において水素ガスを添加することを特徴とする都市ガス供給方法。
  8. 前記水素ガス消費量の計測は、燃料電池の発電量を計測することにより求めるものである請求項7に記載の都市ガス供給方法。
  9. 水素ガスを含む都市ガスを導管ネットワークから分岐して導入するガス導入手段と、前記都市ガス中の水素ガスを分離する水素ガス分離手段と、分離後の都市ガス(以下、分離後ガスという)の少なくとも一部を導管ネットワークに戻入する分離ガス戻入手段と、を備えた水素ガス分離戻入装置。
  10. 前記水素ガス分離手段は、水素分離膜を備えてなることを特徴とする請求項9に記載の水素ガス分離戻入装置。
  11. 前記水素ガス分離手段は、燃料電池の水素極であることを特徴とする請求項9に記載の水素ガス分離戻入装置。
  12. 前記ガス導入手段及び前記分離ガス戻入手段は、内管部と外管部を有する二重管を備えたことを特徴とする請求項9乃至11に記載の水素ガス分離戻入装置。
  13. 請求項9乃至12に記載の水素ガス分離戻入装置において、さらに水素ガス濃度計測手段を備えたことを特徴とする水素ガス分離戻入装置。
  14. 請求項9乃至13に記載の水素ガス分離戻入装置を備えたガスメータ。
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