JP4721307B2 - 水性塗料組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、貯蔵安定性が良好であるとともに、基材への密着性、耐レトルト性、耐溶剤性に優れた塗膜を形成し、さらに、塗膜硬度と耐衝撃性のバランスにも優れた塗膜を形成する水性塗料組成物に関するものであり、特に、缶体の最外面に塗装されるクリヤー塗料として好適に用いることができるものである。
【0002】
【従来の技術】
缶コーヒー、缶ジュース、缶ビール等の飲料品用缶や魚肉加工品缶等の食品容器に要求される性能としては、内容物によって腐食され難いこと、高温水蒸気を用いた滅菌処理による劣化が少ないこと等を挙げることができる。そして、これらの性能を実現するために、食品容器には、エポキシ樹脂/アミノ樹脂系塗料、アクリル樹脂/アミノ樹脂系塗料、ポリエステル樹脂/アミノ樹脂系塗料等による熱硬化性の塗料により塗装が施される場合がある。なかでも、アクリル樹脂/アミノ樹脂系塗料は、耐高温水蒸気性(耐レトルト性)に優れることから特に注目されている。
【0003】
アクリル樹脂/アミノ樹脂系塗料としては、有機溶剤型塗料及び水性塗料が開発されており、水性塗料は水分散性塗料及び水溶性塗料に分類される。これらのアクリル樹脂/アミノ樹脂系塗料のうち、有機溶剤型塗料により塗装を行った場合、塗膜形成のための熱硬化処理中に多量の有機溶剤が揮散するので、環境や省資源上の問題が懸念される。また、水分散性塗料を用いた場合、熱硬化後の塗膜に乳化剤として用いた界面活性剤が残存するため、得られる塗膜の耐水性が劣る場合があり、分散系に特有の構造粘性のために、ロールコーターによる塗装が困難な場合もある。従って、食品容器の塗装用には、アクリル樹脂/アミノ樹脂系の水溶性塗料が好適であると考えられる。
【0004】
しかしながら、アクリル樹脂/アミノ樹脂系の水溶性塗料に含有されるアクリル樹脂としては、カルボキシル基を有し、高い水溶性を有しているものが使用される。また、アミノ樹脂についても、水溶性の良好なものが用いられる。このため、アクリル樹脂/アミノ樹脂系の水溶性塗料は、アルキド樹脂に代表される油性インクにより撥水され易く、特に近年多用されつつある2コート1ベーク方式、すなわち、印刷後にインクを乾燥させることなく、直ちに、ウエット状態のインクの上に塗料を塗布し、焼き付けを行う方式において、アクリル樹脂/アミノ樹脂系の水溶性塗料を使用した場合、インク面との密着性に劣り、インク面上で塗料が凝集したり、塗膜のひび割れが発生しやすいという問題があった。
【0005】
この問題の解決を目的として、例えば、特公平1−25348号公報には、アクリル樹脂として、炭素数10〜18個の直鎖または分岐アルキル基を持つ(メタ)アクリル酸エステルが共重合されたアクリル系水溶性共重合体を用いることが提案されている。このアクリル系水溶性共重合体は、塗料のはじきやインキの凝集が抑え、インク上の密着性を向上させるという効果を有するというものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようなアクリル系水溶性共重合体を用いたアクリル樹脂/アミノ樹脂系の水溶性塗料から得られる塗膜は、硬度が低位であり、さらに耐溶剤性にも劣るという問題点を有していた。
【0007】
本発明の目的は、この問題点を解決するためになされたものであり、貯蔵安定性が良好であるとともに、基材への密着性、耐レトルト性、耐溶剤性に優れた塗膜を形成し、さらに、塗膜硬度と耐衝撃性のバランスにも優れた塗膜を形成する水性塗料組成物を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記問題点を解決することを目的として鋭意検討した結果、特定の構成成分からなる水性塗料組成物が上記課題を解決することを見い出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、水酸基及びカルボキシル基含有アクリル系共重合体(A)、水性アミノ樹脂(B)、アミン化合物(C)、及び親水性有機溶剤(D)からなることを特徴とする水性塗料組成物に関するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の水性塗料組成物の構成成分である水酸基及びカルボキシル基含有アクリル系共重合体(A)においては、水酸基価が5〜250mgKOH/gの範囲であることが好ましく、酸価が20〜150mgKOH/gの範囲であることが好ましい。
【0011】
これは、水酸基価を5mgKOH/g以上とすることによって、本発明の水性塗料組成物の構成成分である水性アミノ樹脂との反応点を十分に確保でき、得られる塗膜の耐水性が良好となる傾向にあり、水酸基価が250mgKOH/g以下とすることによって、架橋剤である水性アミノ樹脂との架橋密度が適切な範囲となり、得られる塗膜の加工性が良好となる傾向にあるためである。より好ましくは10〜150mgKOH/gの範囲である。
【0012】
また、酸価を20mgKOH/g以上とすることによって、(A)成分の水に対する溶解性が良好となる傾向にあり、酸価を150mgKOH/g以下とすることによって、得られる塗膜の耐水性が良好となる傾向にあるためである。より好ましくは、30〜100mgKOH/gの範囲である。
【0013】
また、(A)成分の重量平均分子量は、3000〜30000の範囲であることが好ましい。これは、重量平均分子量を3000以上とすることによって、得られる塗膜の可撓性が充分に確保され、塗膜の耐衝撃性や耐溶剤性、塗膜硬度が良好となる傾向にあり、重量平均分子量を30000以下とすることによって、得られる水性塗料組成物の粘度が適切な範囲となり、塗装作業性が良好となる傾向にあるためである。より好ましくは5000〜20000の範囲であり、さらに好ましくは7000〜15000の範囲である。
【0014】
(A)成分は、水酸基含有ビニル系モノマー(I)2〜40質量%、カルボキシル基含有ビニル系モノマー(II)3〜30質量%、その他共重合可能なビニル系モノマー(III)30〜95質量%からなるビニル系モノマー混合物を共重合して得られるものであるのが好ましい。
【0015】
これは、水酸基含有ビニル系モノマー(I)の含有量を2質量%以上とすることによって、本発明の水性塗料組成物の構成成分である水性アミノ樹脂との反応点を十分に確保でき、得られる塗膜の耐水性が良好となる傾向にあり、40質量%以下とすることによって、架橋剤である水性アミノ樹脂との架橋密度が適切な範囲となり、得られる塗膜の加工性が良好となる傾向にあるためである。より好ましくは、5〜35質量%の範囲である。
【0016】
また、カルボキシル基含有ビニル系モノマー(II)の含有量を3質量%以上とすることによって、(A)成分の水に対する溶解性が良好となる傾向にあり、30質量%以下とすることによって、得られる塗膜の耐水性が良好となる傾向にあるためである。より好ましくは、5〜25質量%の範囲である。
【0017】
さらに、その他共重合可能なビニル系モノマー(III)の含有量を30質量%以上とすることによって、得られる塗膜の硬度が良好であり、塗膜にキズや欠落などが生じにくくなる傾向にあり、95質量%以下とすることによって、塗膜の可撓性が良好となり、塗膜の耐加工性が良好となる傾向にあるためである。より好ましくは、40〜90質量%の範囲である。
【0018】
水酸基含有ビニル系モノマー(I)としては、α、βーモノエチレン性不飽和基を有する水酸基含有化合物を挙げることができる。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシネオペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、9−ヒドロキシノニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートや2−ヒドロキシエチルメタクリレートへのε−カプロラクトンまたはγ−ブチロラクトンの開環付加物(例えば、ダイセル化学工業(株)製プラクセルF単量体、UCC社製トーンM単量体)等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有モノマーへの一塩基酸、二塩基酸等の不飽和基含有多塩基酸付加物(例えば、グリシジル(メタ)クリレートと酢酸とを公知の方法に従って反応させた不飽和基含有化合物)や(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有モノマーとモノエポキシ化合物との付加物(例えば、メタクリル酸とフェニルグリシジルエーテルとを公知の方法に従って反応させた不飽和基含有化合物)等の付加反応により水酸基を生成するグリシジル基開環化合物、多価アルコールとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとのエーテル化合物(例えば、ポリエチレングリコールと2−ヒドロキシメタクリレートとを公知の方法に従って反応させた不飽和基含有化合物)、多価アルコールと(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有モノマーとのエステル化合物(例えばポリエチレングリコールやポリテトラメチレングリコール等とメタアクリル酸とを公知の方法に従って反応させたエステル化合物)等を挙げることができる。
【0019】
これら水酸基含有ビニル系モノマー(I)は、必要に応じて単独であるいは二種以上を併用して使用することができる。
【0020】
カルボキシル基含有ビニル系モノマー(II)としては、例えば、下記一般式(1)、(3)に示す構造を持つカルボキシル基含有単量体を挙げることができる。
(R1)CH=C(R2)COOH (1)
(式中、R1は水素原子または一般式(2)で示される基であり、R2は水素原子またはメチル基またはカルボキシルメチル基である。)
【0021】
−COOR3 (2)
(式中、R3は水素原子、または炭素数1以上10以下の直鎖状もしくは分岐状アルキル基である。)
【0022】
CH2=(R4)COO−R5−COOH (3)
(式中、R4は水素原子またはメチル基であり、R5は一般式(4)〜(6)のいずれかに示される基である。)
【0023】
−R6− (4)
(式中、R6は炭素数1〜3の直鎖状または分岐状のアルキレン基である。)
【0024】
−R7−O−CO−R8− (5)
(式中、R7は炭素数1〜10の直鎖状または分岐状アルキレン基であり、R8は炭素数2〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキレン基、炭素数2〜10の直鎖状もしくは分岐状アルケニレン基、アリーレン基、シクロアルキレン基、カルボキシル基もしくはハロゲン原子で置換されたアリーレン基、またはカルボキシル基もしくはハロゲン原子で置換されたシクロアルキレン基である。)
【0025】
【化1】
【0026】
(式中、R9は炭素数1〜10の直鎖状または分岐状アルキレン基であり、R10はR8と同じ基であり、mは4〜6の整数であり、nは1〜6の整数である。)
【0027】
上記一般式(1)に示す構造を持つカルボキシル基含有単量体の具体例としては、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸、クロトン酸モノメチル、クロトン酸モノエチル、クロトン酸モノプロピル、クロトン酸モノブチル、クロトン酸モノオクチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノオクチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノプロピル、イタコン酸モノブチル、イタコン酸モノオクチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノオクチル、シトラコン酸モノメチル、シトラコン酸モノエチル、シトラコン酸モノプロピル、シトラコン酸モノブチル、シトラコン酸モノオクチル等を挙げることができ、中でもメタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノオクチル等が好ましい。
【0028】
上記一般式(3)に示す構造を持つカルボキシル基含有単量体の具体例としては、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、β−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドサクシネート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドマレエート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドフタレート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドヘキサヒドロフタレート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドメチルヘキサヒドロフタレート、γ−(メタ)アクリロキシプロピルアシッドサクシネート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートへのε−カプロラクトンまたはγ−ブチロラクトンの開環付加物(例えば、ダイセル化学工業(株)製プラクセルF単量体、UCC社製トーンM単量体)の末端水酸基を無水コハク酸でエステル化して末端にカルボキシル基を導入したコハク酸モノエステル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートへのε−カプロラクトンまたはγ−ブチロラクトンの開環付加物(例えば、ダイセル化学工業(株)製プラクセルF単量体、UCC社製トーンM単量体)の末端水酸基を無水フタル酸や無水ヘキサヒドロフタル酸でエステル化した、フタル酸モノエステルや無水ヘキサヒドロフタル酸モノエステル等のカプロラクトン変性水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルと酸無水物の半エステル反応生成物等が挙げられるが、中でも2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのような1級水酸基を持つ単量体に、コハク酸やフタル酸を付加させたコハク酸モノエステル類及びフタル酸モノエステル類が好ましい。
【0029】
これらカルボキシル基含有ビニル系モノマー(II)は、必要に応じて単独であるいは二種以上を併用して使用することができる。
【0030】
その他共重合可能なビニル系モノマー(III)としては、得られる水性塗料組成物の特性を損なわない範囲であれば、特に限定されるものではないが、得られる塗膜の耐衝撃性等の観点から、アルキル基の炭素数が1〜18のアルキル(メタ)アクリレート、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等を挙げることができる。
【0031】
さらに、必要に応じ、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有モノマー、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有モノマー、(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー、またはこれらアミド類のメチロール化変性物類及び低級アルコールで変性したアルコキシメチル(メタ)アクリルアミド類(例えば、日東理研工業(株)製NBMA)、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマー、イソボルニル(メタ)アクリレート(例えば、三菱レイヨン(株)製アクリエステルIBX)、ベンジル(メタ)アクリレート(例えば、三菱レイヨン(株)製アクリエステルBZ)、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート(例えば、日立化成工業(株)製FA−511A)、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート(例えば、日立化成工業(株)製FA−513A)等の環状(メタ)アクリレート類、環状エポキシ基含有モノマー(例えば、ダイセル化学工業(株)製サイクロマーM−100)等のモノマー類を使用することもできる。
【0032】
本発明の水性塗料組成物の構成成分である水酸基及びカルボキシル基含有アクリル系共重合体(A)は、その構成成分であるビニル系モノマー(I)〜(III)の組成比から計算されるガラス転移点(Tg)が−40℃〜80℃の範囲であることが好ましい。これは、Tgを−40℃以上とすることによって、得られる塗膜の硬度が良好となるとともに、充分な耐擦傷性が得られる傾向にあり、80℃以下とすることによって、得られる塗膜の耐衝撃性が良好になる傾向にあるためである。より好ましくは−30℃〜70℃の範囲であり、さらに好ましくは−20℃〜60℃の範囲である。共重合体のTgは、例えば、T.G.Foxの式から求めることができる。
【0033】
水酸基及びカルボキシル基含有アクリル系共重合体(A)の構成成分としては、ビニル系モノマー(I)〜(III)とともに、グリシジル基含有化合物(IV)を使用するのが特に好ましい。これは、(IV)成分を使用することによって、得られる塗膜の可撓性や油性インキ面に対する密着性が向上するとともに、塗板加工時等にひび割れが塗膜に生じにくくなる傾向にあるためである。
【0034】
グリシジル基含有化合物(IV)の使用量は、ビニル系モノマー(I)〜(III)の合計100質量部に対して、3〜70質量部の範囲であることが好ましい。これは、(IV)の使用量を3質量部以上とすることによって、上述の効果の発現が顕著になる傾向にあり、70質量部以下とすることによって、塗膜硬度、密着性、耐溶剤性が良好となる傾向にあるためである。より好ましくは、10〜50質量部の範囲である。
【0035】
ここでグリシジル基含有化合物(IV)とは、例えば、下記一般式(7)に示す構造を有するものを挙げることができ、中でも、分子量が150以上、より好ましくは200以上であるものの使用が、上述の効果の発現が顕著になる傾向にあるため好ましい。
【0036】
【化2】
【0037】
(式中、Xは直鎖状もしくは分岐状アルキル基、またはハロゲン原子で置換された直鎖状もしくは分岐状アルキル基である。)
【0038】
好ましいグリシジル基含有化合物(IV)の具体例としては、n−オクチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテルなどやノニルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどの合成アルコールや天然アルコール成分とエピクロルヒドリンとを公知の方法で反応し得たノニルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、セチルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、エピオールBE−200(日本油脂(株)製ブトキシポリエチレングリコールグリシジルエーテル)等を挙げることができる。これらは、必要に応じて1種類以上を適宜選択して使用することができるが、中でも、デシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテルなどアルコール成分中の構成炭素数が10個以上含むものが好ましい。
【0039】
(A)成分の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば上記の(I)〜(IV)成分を使用する場合には、下記▲1▼〜▲4▼の方法を挙げることができる。
【0040】
▲1▼(I)〜(IV)成分、及び重合開始剤、連鎖移動剤等からなる混合物を所定の温度に昇温させた親水性有機溶剤の入った反応容器中に滴下、重合させる。
【0041】
▲2▼反応容器中に(I)〜(IV)成分を親水性有機溶剤とともに投入した後、重合開始剤、連鎖移動剤等の混合物を滴下、重合させる。
【0042】
▲3▼(I)〜(III)成分からなるプレポリマーを▲1▼もしくは▲2▼と同様な方法で重合した後、さらに(IV)成分を添加する。
【0043】
▲4▼(I)成分、(III)成分、及び(II)成分と(IV)成分との付加反応物かからなる混合物を▲1▼もしくは▲2▼と同様な方法で重合させる。
【0044】
本発明のアクリル系水溶性共重合体の調製で使用される親水性有機溶剤(D)としては、特に限定されるものではないが、好ましいものとして、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ターシャリブチルアルコール、2−ブチルアルコール、メトキシメトキシエタノール、3−メチルー3−メトキシブタノール等の一価アルコール類;エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;メチルエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等を挙げることができる。
【0045】
更に、他の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノターシャリブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノターシャリブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノターシャリブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類;エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノn−プロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類等を挙げることができる。
【0046】
なお、必要に応じて、以上に例示した親水性有機溶剤(D)の2種類以上を併用することもできる。また、重合工程終了後、必要に応じて減圧留去等を行い、アクリル系水溶性共重合体中の親水性有機溶剤(D)の量を調整することもできる。その際、アクリル系水溶性共重合体及び親水性有機溶剤(D)を含む反応混合物のガードナー粘度は、以降の工程の作業性の観点から、Z6以下であることが、好ましい。
【0047】
水酸基及びカルボキシル基含有アクリル系共重合体(A)の共重合時に用いる重合触媒は、特に限定されるものではなく、例えば、過酸化ラウリル、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオクトエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等の過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物を用いることができる。これらの重合開始剤は、必要に応じて1種類以上を適宜選択して使用することができる。
【0048】
また、共重合時には、必要に応じて連鎖移動剤を使用することもできる。連鎖移動剤としては、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、2−エチルヘキシルチオグリコール酸エステル、チオフェノール、α−メチルスチレンダイマー等を挙げることができる。
【0049】
以上のようにして得られた水酸基及びカルボキシル基含有アクリル系共重合体(A)は、アミン化合物(C)で中和され、必要に応じて希釈される。用いられるアミン化合物(C)としては、例えば、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ブチルアミン等のアルキルアミン類;2−ジメチルアミノエタノール、トリエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、アミノメチルプロパノール等のアルコールアミン類;モルホリン等を挙げることができる。これらアミン化合物(C)の使用量は、水酸基及びカルボキシル基含有アクリル系共重合体(A)の酸価の50〜150%相当量の範囲とするのが好ましい。
【0050】
本発明の水性塗料組成物は、上記の(A)成分と、水性アミノ樹脂(B)、及び水系媒体とを混合することによって得られるものである。
【0051】
本発明で使用される水性アミノ樹脂(B)は、(A)成分と充分に架橋反応を行うために、平均重合度は3以下であることが望ましく、貯蔵安定性の観点から、水性アミノ樹脂の1つ以上の末端に、炭素数4以下のアルキル基を含むアルコキシメチル基が存在していることが望ましい。
【0052】
また、本発明で使用される(B)成分は、得られる塗膜の特性のバランスの観点から、アルキルエーテル化ベンゾグアナミン及びアルキルエーテル化メラミンより選ばれる1種類以上のものであることが好ましい。
【0053】
(B)成分の具体例としては、サイメル#1123(三井サイテック(株)製、重合度1.50、メチル、エチル混合エーテル化ベンゾグアナミン)、サイメル#235(同、重合度1.40、メチル、ブチル混合エーテル化メラミン)、サイメル#325(同、重合度2.30、メチルエーテル化メラミン)、マイコート#105(同、重合度1.32、メチルエーテル化ベンゾグアナミン)、マイコート#106(同、重合度1.65、メチル化ベンゾグアナミン)等を挙げることができる。なお、必要に応じて、これらの水性アミノ樹脂を2種類以上用いる場合もある。
【0054】
本発明で使用される水系媒体としては、本発明の水性塗料組成物及び塗膜の特性を損なわないものであれば特に制約はなく、例えば、脱イオン水、蒸留水、イオン交換水;これらの水に50質量%以下の範囲でエタノールやメタノール等のアルコール等が添加されたもの;前記の水に10質量%以下の範囲でポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の界面活性剤等が添加された物等を挙げることができる。
【0055】
本発明の水性塗料組成物は、塗膜の良好な硬度及び耐衝撃性の観点から、アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは25質量部以上、更に好ましくは30質量部以上、好ましくは100質量部以下、より好ましくは90質量部以下、更に好ましくは80質量部以下の水性アミノ樹脂(B)と、好ましくは50質量部以上、より好ましくは60質量部以上、更に好ましくは70質量部以上、好ましくは500質量部以下、より好ましくは400質量部以下、更に好ましくは300質量部以下の水系媒体とを混合することにより調製することができるものである。
【0056】
なお、本発明の水性塗料組成物の粘度は、塗装性の観点から、100mPa・s以上が好ましく、200mPa・s以上がより好ましく、300mPa・s以上が更に好ましく、800mPa・s以下が好ましく、700mPa・s以下がより好ましく、600mPa・s以下が更に好ましい。
【0057】
また、本発明の水性塗料組成物を調製する際には、水性ポリエーテル、水性ポリエステル、水性エポキシ樹脂、水性ウレタン樹脂、水性アクリル樹脂、有機溶剤を含む水溶液中に可溶または安定的に分散可能なその他の樹脂等の1種類以上を可撓性付与剤や反応性希釈剤として、例えば、水性塗料組成物の全体に対して20質量%以下となる範囲で添加することができる。
【0058】
水性ポリエーテル樹脂としては、エチレングリコール、プロピレングリコールビスフェノールA、トリメチロールプロパンの様な多価アルコール化合物にエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加して得られる物等(例えば日本乳化剤(株)製BA−10グリコールや旭電化工業(株)製アデカポリエーテルP−3000、BPX−55、T−4000等)を挙げることができる。
【0059】
水性ポリエステル樹脂としては、エチレングリコール、グリセリン等のジオール化合物やトリオール化合物と、アジピン酸、フタル酸、マレイン酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、トリメリット酸、大豆油、サフラワー油等多塩基酸や不飽和基を含んでも良い脂肪酸を含む油成分とのエステル化反応により分子の末端や側鎖にカルボキシル基のようなイオン性基を導入した後、これを塩基性化合物で中和して得られる物等(例えば日本合成化学工業(株)製ポリエスターWR−960等)を挙げることができる。
【0060】
水性エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテルの様なビスフェノール型エポキシ樹脂に、(無水)マレイン酸、(無水)コハク酸、(無水)イタコン酸等の多塩基酸を付加し分子末端や側鎖にカルボキシル基のようなイオン性基を導入した後、これを塩基性化合物で中和して水中に可溶または安定的に分散させた物;ビスフェノール型エポキシ樹脂に過リン酸、メタリン酸等のリン酸類を付加反応させて得られたリン酸変性エポキシ樹脂を塩基性化合物で中和して水中に可溶もしくは安定的に分散させた物等を挙げることができる。
【0061】
水性ウレタン樹脂としては、ポリオールやポリエステルポリオール等の多価アルコール、多官能性イソシアネート化合物とヒドロキシ基含有カルボン酸等を付加重合し、分子の末端や側鎖にカルボキシル基のようなイオン性基を導入した後、塩基性化合物で中和し水中に可溶もしくは安定的に分散させたものが挙げられる。
【0062】
水性アクリル樹脂としては、アクリル酸やメタクリル酸等のα、β−モノエチレン性不飽和基含有カルボン酸を含むビニル基含有化合物の混合物とラジカル発生剤を用いて重合し得る分子の側鎖にカルボキシル基のようなイオン性基を有するアクリルモノマーとの共重合体等(例えば、三菱レイヨン(株)製HW−138)をアミン化合物で中和して得られる物を挙げることができる。
【0063】
更に、水性塗料組成物の硬化速度の向上、及び塗膜の架橋密度の向上を図るために、例えば、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸等の酸触媒;これらスルホン酸類のアミノブロック化物等を;また必要に応じて、有機溶剤、レベリング剤、消泡剤、潤滑剤、顔料等を例えば、水性塗料組成物の全体に対して10質量%以下の範囲で添加することもできる。
【0064】
なお、本発明の水性塗料組成物は、ロールコート、スプレーコート、刷毛塗り等の方法により塗装することができる。
【0065】
本発明の水性塗料組成物は、アルキド樹脂等の油性インク面上においても良好に塗装され、適当な塗料粘度を有し、外観及び貯蔵安定性にも優れるものである。また、本発明の水性塗料組成物を熱硬化して形成される塗膜は、耐レトルト性、下地との密着性、耐衝撃性、硬度、耐擦傷性及び耐溶剤性にも優れるものである。以上の理由により、本発明の水性塗料組成物は、食品容器等の表面コート剤、表面改質剤、インク、接着剤等の熱硬化性被覆が採用され得る用途において、好適に使用できるものである。
【0066】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
(アクリル系共重合体(A)の特性解析方法)
(ア)重量平均分子量:アクリル系共重合体をテトラヒドロフランにて溶液濃度が0.4%になるよう調整した後、TOSO社製カラム(GE4000HXL及びG2000HXL)を用いTOSO社製ゲルパーミェーションクロマトグラフィ装置に注入し(注入量100μl)、諸条件(流量1ml/分(溶離液テトラヒドロフラン)、カラム温度40℃)にてゲルパーミエーションクロマトグラム法により、ポリスチレンを基準とした重量平均分子量を測定した。
【0067】
(イ)酸価:アクリル系共重合体を乾燥させ、アクリル系共重合体の固形分を得た。この固形分1gを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を測定し、酸価(mgKOH/g)とした。
【0068】
(ウ)水酸基価:(イ)と同様にして得られたアクリル系共重合体の固形分1gに含まれる水酸基と当量の水酸化カリウムのmg数を測定し、水酸基価(mgKOH/g)とした。
【0069】
(エ)ガラス転移温度(Tg):Foxの式を用いて計算した
【0070】
(オ)ガードナー粘度:ガードナーホルト泡粘度計にて25℃で測定した。
【0071】
(アクリル系水溶性塗料組成物の性能評価方法)
(ア)インク上での塗布性:厚さ0.3mmのアルミ板上に、黒の油性アルキド系印刷インクにて幅10mmの直線を印刷し、直ちにウェット・オン・ウェット方式でアクリル系水溶性塗料組成物を塗装後、200℃で5分間焼き付けを行い、得られた塗膜の外観を以下の基準で目視により判定した。
◎:非常に良好である
○:良好だが僅かに平滑性に劣る
△:平滑性に劣る
×:インク上は塗装されず、アクリル系水溶性塗料組成物が凝集している
【0072】
(イ)塗料粘度:アクリル系水溶性塗料組成物を蓋付きのガラス瓶に入れ、密栓し25℃の恒温槽に浸漬して2時間放置後、B型粘度計にて塗料粘度(mPa・s)を測定した。
【0073】
(ウ)塗料外観:アクリル系水溶性塗料組成物の外観を、以下の基準により目視で判定した。
○:透明性良好
△:やや白濁
×:白濁分離
【0074】
(エ)貯蔵安定性:アクリル系水溶性塗料組成物を密閉容器に入れ、60℃の雰囲気中に1ヶ月間放置し、外観を以下の基準により目視で判定した。
◎:非常に良好
○:良好
△:白濁
×:分離
【0075】
(塗膜の特性解析方法)
(ア)耐レトルト性:小型高圧蒸気滅菌器(アルプ工業(株)製)を使用し、130℃の熱水中に塗板を30分間浸漬した後、塗板を取り出し塗膜の白化状態を、以下の基準により目視で判定した。
◎:非常に良好である
○:良好である
△:多少白化が見られる
×:塗膜全面に白化が見られる
【0076】
(イ)密着性:JIS−K5400に基づいて、塗膜に対しナイフでクロスカットを入れた後、粘着テープの一端を塗膜に付着し粘着テープの他端を引張ることにより、塗膜の剥離を試みた。塗膜の剥離の有無及びその程度を下記の基準により目視判定した。
◎:全く異状が認められない
○:クロスカット部にわずかながら塗膜の剥離が認められる
△:クロスカット部にかなりの程度の塗膜剥離が認められる
×:全面剥離、使用不可能である
【0077】
(ウ)耐衝撃性:東洋精機(株)製デュポン式衝撃試験機を用いて質量300gの重りを使って塗装板に対し耐衝撃試験を行った。試験後の塗膜の割れの有無及びその程度を下記の基準により目視判定した。詳細な測定条件は、撃心棒1/2″、ノッチ付、凹型、落下高さ30cmである。
◎:優秀
○:良好
Δ:多少ヒビが入る
×:全面にヒビが入る
【0078】
(エ)硬度:三菱鉛筆ユニを使用し、45度の角度で塗膜を引掻き、傷の有無を判定した。傷がつかない最高の鉛筆の硬さをもって硬度とした。
【0079】
(オ)耐擦傷性:市販のスチールウールを学振型染色物摩擦堅牢度試験機(大栄科学精機(株)製)に取り付け、荷重300gで10往復後の塗膜の状態を、以下の基準により目視で観察した。
◎:優秀
○:良好
Δ:やや傷が認められる
×:傷が激しい
【0080】
(カ)耐溶剤性:滅菌ガーゼにメチルエチルケトンを浸し、ラビングテスター(大栄科学精機(株)製)に取り付け荷重300g下で30往復後、以下の基準により塗膜の状態を目視で判定した。
◎:優秀
○:わずかに光沢低下が見られる
Δ:光沢低下があり多少塗膜が溶解している
×:塗膜が溶解している
【0081】
[共重合体(P−1)の合成]
撹拌機、温度計、窒素導入管及び冷却管を備えた四つ口フラスコに、ブチルセロソルブ74.7部を仕込み130℃に昇温し、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル8.8質量部、メタクリル酸16.5質量部、スチレン11質量部、ファンクリルFA−513M(日立化成工業(株)製、トリシクロデカニルメタアクリレート)11質量部、アクリル酸エチル31.9質量部、アクリル酸n−ブチル11部、ビスコートLA(大阪有機化学工業(株)製、ラウリルアクリレート)9.8質量部、2−エチルヘキシルモノグリシジルエーテル12質量部、t−ブチルパーオクトエート8質量部の混合物を6時間かけて滴下した。滴下終了1時間後に2、2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3質量部を加え、さらに、150℃に昇温しそのまま2時間保持した後反応を終了させ、共重合体(P−1)を得た。
得られた共重合体(P−1)のガードナー粘度はSであった。このアクリル系水溶性共重合体(A−1)の固形分の酸価は71mgKOH/g、水酸基価は38mgKOH/gであり、共重合体(P−1)の重量平均分子量はポリスチレン換算で7000、ガラス転移温度は19℃であった。
【0082】
[共重合体(P−2)〜(P−12)の合成]
表1に示した(I)及び(II)〜(IV)成分を用い、共重合体(P−1)の場合と同様にして共重合体(P−2)〜(P−12)を得た。その特性の評価結果を表1に示した。
【0083】
【表1】
【0084】
(注1)ダイセル化学(株)製、ラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(水酸基価119mgKOH/g)
(注2)三菱レイヨン(株)製、β−メタクリロキシエチルアシッドサクシネート
(注3)三菱レイヨン(株)製、イソボルニルメタクリレート
(注4)日立化成工業(株)製、トリシクロデカニルメタクリレート
(注5)三菱レイヨン(株)製、t−ブチルメタクリレート
(注6)大阪有機化学工業(株)製、ラウリルアクリレート
(注7)三菱レイヨン(株)製、ステアリルメタクリレート
【0085】
【実施例1】
共重合体(P−1)100質量部に水溶性アミノ樹脂(メチル化ベンゾグアナミン樹脂:三井サイテック(株)製、マイコート#106、固形分75質量%)53.3質量部、2−ジメチルアミノエタノール(以下DMAE)6.8質量部、ブチルセロソルブ2.9質量部、脱イオン水47質量部を加えよく攪拌した後、シンナー(組成:脱イオン水/ブチロセロソルブ=70/30(質量比))40質量部を加えて、塗料の固形分が40%となるように調整し塗料化した。塗料の外観は透明であった。この塗料を厚さ0.3mmのアルミ板上にドライ塗膜で8〜10ミクロンメートルとなるようにバーコーターで塗布し、乾燥オーブン中で200℃で10分間焼き付けた。塗料化した組成、及び得られた塗膜の評価結果を表2に示した。
【0086】
【実施例2〜13及び比較例1〜5】
実施例1と同様な方法によって、表2に示した組成の塗料を製造し、塗膜を得た。得られた塗膜の評価結果を表2に示した。
なお、比較例2〜4においては、樹脂が水系媒体に溶解せず、塗膜を形成させることができなかったため、塗膜の評価を行うことができなかった。
【0087】
【表2】
【0088】
BA−10グリコール:日本乳化剤(株)製、ビスフェノールAEO付加型ポリオール(水酸基価170mgKOH/g)
ダイヤナールHW−138:三菱レイヨン(株)製、水可溶型アクリル樹脂(官能基として水酸基含有、固形分60質量%)
マイコート#106:メチル化ベンゾグアナミン樹脂(三井サイテック(株)製、重合度1.65、官能基としてメチル基含有、固形分75質量%)
【0089】
【発明の効果】
以上の実施例からも明らかなように、本発明の水性塗料組成物は、貯蔵安定性が良好であるとともに、基材への密着性、耐レトルト性、耐溶剤性に優れた塗膜を形成し、さらに、塗膜硬度と耐衝撃性のバランスにも優れた塗膜を形成するものであり、工業上非常に有益なものである。
Claims (4)
- (A)成分の重量平均分子量が5000〜30000の範囲であることを特徴とする、請求項1記載の水性塗料組成物。
- (A)成分の水酸基価が5〜150mgKOH/gの範囲であり、酸価が20〜150mgKOH/gの範囲であることを特徴とする、請求項1または2記載の水性塗料組成物。
- グリシジル基含有化合物(IV)の分子量が150以上であることを特徴とする、請求項1〜3記載の水性塗料組成物。
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