JP4719256B2 - 電子写真感光体および画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体および画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4719256B2
JP4719256B2 JP2008193078A JP2008193078A JP4719256B2 JP 4719256 B2 JP4719256 B2 JP 4719256B2 JP 2008193078 A JP2008193078 A JP 2008193078A JP 2008193078 A JP2008193078 A JP 2008193078A JP 4719256 B2 JP4719256 B2 JP 4719256B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
resin
undercoat layer
density
reflectance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008193078A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008304934A (ja
Inventor
顕洋 杉野
伸二 納所
利幸 加幡
美知夫 木村
英雄 中森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2008193078A priority Critical patent/JP4719256B2/ja
Publication of JP2008304934A publication Critical patent/JP2008304934A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4719256B2 publication Critical patent/JP4719256B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Description

本発明は、電子写真感光体、製造方法及びそれを用いた画像形成装置、プロセスカートリッジに関する。
一般に、電子写真方式の画像形成装置は、使用する環境の変化、プリント枚数などによって、画像濃度が変化することが知られている。特に透明性が高いカラートナーを用いるカラー画像形成装置は、その影響が大きく、多色を重ね合わせてカラー画像を形成する場合、画像濃度の変化によって本来とは異なる色調になってしまう。従来から画像濃度の制御の方法として、電子写真感光体や中間転写部材上に濃度測定用トナー像(パッチ)を形成し、その濃度を濃度センサーなどで検知し、その結果を露光量、現像バイアス、トナー濃度などにフィードバックして画像濃度制御を行なうことが知られ、実用化されている。ところで、濃度センサーは、発光部にLED等の発光素子を、受光部にフォトダイオード等の受光素子を有し、発光部から照射される赤外光をパッチに照射し、パッチによって反射される反射光を受光部で検知し、その反射率からパッチ濃度を測定する方法が用いられている。このとき、濃度センサーはパッチ濃度を精度良く検知するために、パッチが形成される部位の反射率を検知し、それを基準濃度としてフィードバックして、トナー付着量を制御している。しかし、濃度センサーは長期間使用し続けることによって、発光素子の劣化や、受光部の汚れ等によって初期の性能を維持できなくなる。そこで、特許文献1(特開平7−36230号公報)等に開示されているように、前述の基準濃度を定期的に検知し、その濃度におけるセンサーの出力電圧をあらかじめ定めておいた所定の値に調整することで、濃度センサーの出力を校正する方法が実用化されている。また、このとき、基準濃度となる感光体濃度は、後述するように中間濃度となる必要がある。
感光体濃度とは、濃度センサーの発光部より照射された光が感光体で反射し、この反射光が受光部によって受光され、その強度より得られるセンサーの出力電圧を濃度に置き換えたものである。すなわち、感光体濃度を制御するということは、感光体の反射率を制御することにほかならない。したがって、前記トナー濃度の基準として感光体濃度を用いる場合、感光体の反射率を必要な範囲に制御することが必要である。
ここで、感光体の反射率として必要な範囲とは、感光体濃度が中間濃度として検知される範囲である。しかしながら、従来の感光体濃度は必ずしも中間濃度とはならない場合があり、感光体濃度を中間濃度に制御するために、特許文献2(特開2000−105480号公報)に開示されているように、光感応性色素の添加によって反射率を制御する方法なども試みられている。しかしこの方法は、感光体特性には必要ない材料を余分に用いなければならず、コストアップにつながる。さらに、色素の光の吸収率は色素の添加量によっても異なるため、製造過程でその制御が必要となり、コストアップ、良品率の低下などを引き起こすことも考えられる。また、感光体は画像形成装置の部品の一つであるので、繰り返し使用で劣化したり、傷をつけたりすると、感光体だけを交換することが考えられるが、感光体濃度が個体間でばらついていると、交換するたびに感光体の濃度にあわせて濃度センサーの設定を変更しなければならない。これを行なわないと、感光体交換の前後で画像の色調が変化するなどの不具合が発生する原因となってしまう。
また、感光体は、繰り返し使用によって摩耗や傷などにより表面状態が変化するため、これらの変化に対しても感光体濃度が変化しないことが必要であった。
特開平7−36230号公報 特開2000−105480号公報
本発明の目的は、前記従来の問題点を解決することにある。すなわち、本発明の第1の目的は、上記従来技術に鑑みて、濃度制御の基準となる感光体濃度を、精度良く濃度制御を行なうために必要な中間濃度とすることで、濃度センサーの校正が正しく行なわれ、適正な濃度の画像が安定して出力される電子写真感光体を提供することにある。さらに、本発明の第2の目的は、前記電子写真感光体を用いることで、良好な画像が安定して出力される画像形成装置、画像形成装置用プロセスカートリッジを提供することにある。さらに、本発明の第3の目的は、容易に電子写真感光体の濃度を中間濃度に制御することができる電子写真感光体の製造方法を提供することにある。
本発明の発明者等は、前記課題について鋭意検討した結果、導電性支持体上に少なくとも結着樹脂と微粒子とからなる下引き層と感光層を有する電子写真感光体において、該支持体が表面を粗面化したアルミニウム管であって、かつ該感光体の乱反射率が赤外光に対して、特定の範囲内とする電子写真用感光体を用いることで上記課題を解決できることを見出し、第1群の本発明を完成するに至った。
また、該支持体がニッケルシームレスベルトであって、かつ該感光体の乱反射率が赤外光に対して、特定の範囲内とする電子写真用感光体を用いることで上記課題を解決できることを見出し、第2群の本発明を完成するに至った。
即ち、上記課題は本発明の(1)「導電性支持体上に少なくとも結着樹脂と微粒子とからなる下引き層と感光層を有する電子写真感光体において、該支持体がニッケルシームレスベルトであり、前記下引き層の膜厚が2.4〜7.9μmであり、かつ積分球を用いて測定した該感光体の乱反射率が950nmの波長の光に対して25.5%〜37.7%であることを特徴とする電子写真用感光体」、(2)「前記下引き層が少なくとも粒径0.3μm〜3μmの粒子を含有していることを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真感光体」、(3)「前記下引き層に含有される微粒子が金属酸化物を主成分とする無機微粒子であることを特徴とする前記第(1)項または第(2)項に記載の電子写真感光体」により達成される。
また、本発明の()「導電性支持体上に少なくとも結着樹脂と微粒子とからなる下引き層と感光層を有する電子写真感光体を製造する方法であって、該電子写真感光体の乱反射率を、下引き層の膜厚によって制御して、前記第(1)項乃至第(3)項の何れか1に記載の電子写真感光体を得ることを特徴とする電子写真感光体の製造方法」により達成される。
以下の詳細かつ具体的な説明から明らかなように、濃度センサーがトナー濃度を適切に制御するための基準となる感光体濃度を、中間濃度に制御することができるため画像濃度が安定し、かつモアレ、地肌汚れなどの異常画像も低減して、良好な画像が安定して得られる電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することができるという極めて優れた効果を奏するものである。
以下、本発明について、詳しく説明する。
[第1群の本発明]
第1群の本発明に用いられる電子写真用感光体は、表面を粗面化したアルミニウム管よりなる導電性支持体上に少なくとも結着樹脂と微粒子とからなる下引き層と感光層を有しており、800nm〜1300nmの波長領域の光は、感光層をほとんど透過して、下引き層および導電性支持体に到達し、下引き層中の微粒子や粗面化された支持体表面によって乱反射を起こす。特に粒径0.5μm〜3μmの粒子を含有していると、上記波長領域の光を適度に乱反射させるため、より容易に50%〜65%の乱反射率をもって反射させることができ、濃度センサーによって検知される電子写真感光体の濃度を中間濃度とすることができる。さらに、画像形成装置に用いられる濃度センサーから照射される赤外光を前記電子写真感光体の反射率を測定した光と略同一の波長とすることで、さらに精度良く電子写真感光体の濃度を中間濃度として検知させることができる。さらに、前記濃度センサーから照射される赤外光のスポットを支持体表面の切削ピッチよりも大きくすることで、濃度センサーの乱反射光の表面形状によるばらつきが抑えられ、より精度良く感光体濃度を検知させることができる。
感光体の乱反射率が65%よりも大きいと、画像形成装置によって検知される感光体濃度が大きくなりすぎてしまう。このような感光体濃度で濃度センサーが校正された場合、トナーの付着量が増加するにつれてセンサーの出力も増加するという特性を持つカラートナーの濃度制御において、感光体濃度とトナーの最大付着時の濃度との差が小さくなり、濃度制御の精度が著しく低下してしまう。乱反射率が50%よりも小さいと、その分正反射率が大きくなる。これは、導電性支持体表面の粗面化が不十分な上に、下引き層の膜厚が小さい場合に発生する。その結果、可干渉光を露光光源として用いている画像形成装置において、中間調画像に干渉による濃淡縞が発生する場合がある。
また、第1群の本発明について前記記載の波長領域の光は、感光体の乱反射率の大きさと下引き層の膜厚の大きさとの相関が非常によい。そのため、感光体の乱反射率を下引き層の膜厚によって制御することが可能である。すなわち、膜厚を厚くすることで乱反射率を大きくしたり、逆に膜厚を薄くすることで乱反射率を小さくすることができる。当然、膜厚を均一に制御することで反射率も均一に制御することができるため、感光体個体間の反射率の制御が容易である。さらに、この波長領域の光の反射率は下引き層の表面粗さの違いによる影響をほとんど受けないため、感光体製造時の環境変動などによる表面粗さの変化、塗工方法による表面粗さの違いなどによって下引き層の表面粗さが変化しても、膜厚が同じであれば、下引き層の反射率もほとんど同じである。しかも、下引き層の膜厚を制御することは、感光体を製造する上では従来から行なわれていることであり、余分な管理、検査工程を設けることなく、個体間の反射率の変動をも大幅に抑えることができるので、製造コストの面でも非常に有用である。
さらに、下引き層の膜厚は、感光体の繰り返し使用によって変化することはなく、したがって、反射率も変化しないといえる。
乱反射率の測定波長領域が800nmより小さいと、感光層が分光感度を有する領域に近づき、濃度センサーの照射光に感光する可能性があるため好ましくない。またその場合、感光体濃度が中間濃度を示さない場合が多い。また、1300nmより大きいと、下引き層の膜厚の変化による乱反射率の変化率が小さくなり、所望の反射率を得るためには下引き層の膜厚が極端に大きくなりすぎたりする場合があり、好ましくない。
また、導電性支持体を粗面化する方法としては、切削法、サンドブラスト法、研磨による粗面化、陽極酸化による粗面化等があるが、均一な粗面を形成する方法として、切削法が有効である。サンドブラスト法などでは、局部的に粗さの大きな部位を形成することがあり、ここが感光層への電荷の注入部として作用してしまい、反転現像においては黒斑点などの異常画像の原因となる場合がある。また、陽極酸化による粗面化は、封孔処理などの後処理を必要とし、生産性の面で不利である。また、後処理が不十分だと、やはりその部位が異常画像の原因となる場合がある。
以下、図面に沿って本発明を詳細に説明する。
図2は、電子写真感光体を表わす断面図であり、導電性支持体(31)上に、結着樹脂と微粒子とを含有する下引き層(32)と、電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする単層感光層(33)が設けられている。
図3は、導電性支持体(31)上に、結着樹脂と微粒子とを含有する下引き層(32)と、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層(35)と、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層(37)とが、この順序に積層された構成をとっている。
図4は、導電性支持体(31)上に、結着樹脂と微粒子とを含有する下引き層(32)と電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層(37)と、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層(35)とが、この順序に積層された構成をとっている。
図5は、導電性支持体(31)上に、結着樹脂と微粒子とを含有する下引き層(32)と電荷発生物質を主成分とする電荷発生層(35)と電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層(37)とが積層された構成をとっており、更に電荷輸送層上に保護層(39)が設けられてなる。
感光層は、電荷発生物質を電荷輸送層に分散させた単層型でも、電荷発生層と電荷輸送層を順次積層させた積層型でもよい。
はじめに電荷発生層(35)と電荷輸送層(37)を順次積層させた積層型感光体について説明する。
電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を用いることもある。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコンなどが挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子などをドープしたものが良好に用いられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが用いられる。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。また、電荷発生層のバインダー樹脂として、高分子電荷輸送物質を用いることができる。更に、必要に応じて低分子電荷輸送物質を添加してもよい。
電荷発生層に併用できる電荷輸送物質には、電子輸送物質と正孔輸送物質とがあり、これらは更に低分子型の電荷輸送物質と高分子型の電荷輸送物質がある。以下、本発明では高分子型の電荷輸送物質を高分子電荷輸送物質と称する。
電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。たとえば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾ−ル誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
また、以下に表わされる高分子電荷輸送物質を用いることができる。たとえば、ポリ−N−ビニルカルバゾール等のカルバゾール環を有する重合体、特開昭57−78402号公報等に例示されるヒドラゾン構造を有する重合体、特開昭63−285552号公報等に例示されるポリシリレン重合体、特開平7−325409号公報に例示されるトリアリールアミン構造を有する重合体等が挙げられる。これらの高分子電荷輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層は、電荷発生物質、溶媒及び結着樹脂を主成分とするが、その中には、増感剤、分散剤、界面活性剤、シリコーンオイル等のいかなる添加剤が含まれていても良い。
電荷発生層を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法などが用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。また、キャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノンなどの溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミルなどにより分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート法、ビードコート法などを用いて行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
電荷輸送層は、電荷輸送成分とバインダー成分を主成分とする混合物ないし共重合体を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。電荷輸送層の膜厚は、5〜100μm程度が適当であり、解像力が要求される場合、10〜30μm程度が適当である。
第1群の本発明において、バインダー成分として用いることのできる高分子化合物としては、例えば、ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂などの熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの高分子化合物は単独または2種以上の混合物として、また、電荷輸送物質と共重合化して用いることができる。
電荷輸送物質として用いることのできる材料は、前述の低分子型の電子輸送物質、正孔輸送物質および高分子電荷輸送物質が挙げられる。低分子型の電荷輸送物質を用いる場合、この使用量は高分子化合物100重量部に対して20〜200重量部、好ましくは50〜100重量部程度が好ましい。また、高分子電荷輸送物質を用いる場合、電荷輸送成分100重量部に対して樹脂成分が0〜500重量部程度の割合で共重合された材料が好ましく用いられる。
電荷輸送層塗工液を調製する際に使用できる分散溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブなどのエーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族類、クロロベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類等を挙げることができる。
また、必要により適当な酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質などの低分子化合物およびレベリング剤を添加することもできる。これらの化合物は単独または2種以上の混合物として用いることができる。低分子化合物の使用量は、高分子化合物100重量部に対して0.1〜200重量部、好ましくは、0.1〜30重量部、レベリング剤の使用量は、高分子化合物100重量部に対して0.001〜5重量部程度が適当である。
次に、感光層が単層構成(33)の場合について述べる。
単層感光層は、電荷発生物質および電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
結着樹脂としては、先に電荷輸送層(37)で挙げた結着樹脂のほかに、電荷発生層(35)で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよい。もちろん、先に挙げた高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150重量部である。単層感光層は、電荷発生物質、結着樹脂を電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコートなどで塗工して形成できる。単層感光層の膜厚は、5〜50μm程度が適当である。
保護層(39)は、感光層の保護の目的で設けられ、使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂、ポリエステル等の樹脂が挙げられる。
また、保護層(39)には、耐摩耗性を向上する目的でフィラー材料を添加することもできる。フィラー材料は、前述の下引き層で用いられる微粒子が同様に使用できる。この場合、保護層によってもわずかに反射率が変化することが考えられるが、保護層はその特性上、光の透過率が高くなければならず、そのためには保護層中の微粒子の含有率は小さくなければならない。したがって、反射率への影響はほとんどなく、保護層を形成することによって反射率が変化した場合でも、保護層はほとんど摩耗しないため膜厚減少による反射率の変化もほとんどなく、実使用上問題はない。
また、保護層に電荷輸送層(37)で挙げた低分子電荷輸送物質あるいは高分子電荷輸送物質を添加することは、画質向上に対して有効な手段である。
保護層の形成法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の従来方法を用いることができる。なお、保護層の厚さは0.1〜10μm程度が適当である。
また、以上の他に真空薄膜作成法にて形成したa−C,a−SiCなどの公知の材料も保護層(39)として用いることができる。
第1群の本発明においては、感光層と保護層との間に中間層(図示せず)を設けることも可能である。
前記別の中間層は一般に樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン樹脂、水溶性ブチラール樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
前記別の中間層の形成法としては、前述のごとく通常の塗布法を用いることができる。なお、膜厚は0.05〜2μmが適当である。
第1群の本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、保護層、中間層等の各層に酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質およびレベリング剤を添加することができる。これらの化合物の代表的な材料を以下に記す。
各層に添加できる酸化防止剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)フェノ−ル系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]グリコールエステル、トコフェロール類など。
(b)パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
(c)ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
(d)有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
(e)有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
各層に添加できる可塑剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)リン酸エステル系可塑剤
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニルなど。
(b)フタル酸エステル系可塑剤
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなど。
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチルなど。
(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチルなど。
(e)脂肪酸エステル誘導体
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリンなど。
(f)オキシ酸エステル系可塑剤
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなど。
(g)エポキシ可塑剤
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシルなど。
(h)二価アルコールエステル系可塑剤
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなど。
(i)含塩素可塑剤
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチルなど。
(j)ポリエステル系可塑剤
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステルなど。
(k)スルホン酸誘導体
p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミドなど。
(l)クエン酸誘導体
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシルなど。
(m)その他
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチルなど。
各層に添加できる滑剤としては、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)炭化水素系化合物
流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレンなど。
(b)脂肪酸系化合物
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸など。
(c)脂肪酸アミド系化合物
ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミドなど。
(d)エステル系化合物
脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステルなど。
(e)アルコール系化合物
セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロールなど。
(f)金属石けん
ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなど。
(g)天然ワックス
カルナウバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウなど。
(h)その他
シリコーン化合物、フッ素化合物など。
各層に添加できる紫外線吸収剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)ベンゾフェノン系
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノンなど。
(b)サルシレート系
フェニルサルシレート、2,4ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル4ヒドロキシベンゾエートなど。
(c)ベンゾトリアゾール系
(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ3’−ターシャリブチル5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾールなど。
(d)シアノアクリレート系
エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル2−カルボメトキシ3(パラメトキシ)アクリレートなど。
(e)クエンチャー(金属錯塩系)
ニッケル(2,2’チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェートなど。
(f)HALS(ヒンダードアミン)
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなど。
そして、これらの感光層、保護層構成に関する各点については、第2群の本発明の場合も同様である。
第1群の本発明に使用される電子写真感光体には、導電性支持体(31)と感光層の間に結着樹脂と微粒子からなる下引き層(32)を設ける。下引き層(32)に用いられる樹脂は、その上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層に用いられる微粒子としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等の有機微粒子や、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、シリカ、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物、チタン酸カリウム、窒化硼素などの無機微粒子が挙げられる。その中でも、感光体が中間濃度となるだけでなく、モアレ防止、残留電位の低減等の効果もある酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物を主成分とする無機微粉末顔料が好ましい。下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。本発明においては、800nm〜1300nmの波長領域、好ましくは900nm〜1100nmの波長領域、さらに好ましくは950nmの波長の光に対する反射率が50%〜65%を示し、かつその膜厚は感光体の静電特性などから0.5〜20μmが適当であり、好ましくは2〜20μm、さらに好ましくは3〜10μmである。
[第2群の本発明]
第2群の本発明に用いられる電子写真用感光体は、導電性支持体上に少なくとも結着樹脂と微粒子とからなる下引き層を有しており、該導電性支持体が800nm〜1300nmの波長領域のいずれかの波長の光を25%〜55%の反射率をもって反射する。このとき、前記波長領域の光に対しては、その乱反射率の大きさと下引き層の膜厚の大きさとの相関が非常によく、反射率を膜厚によって制御することが可能である。すなわち、膜厚を厚くすることで乱反射率を大きくしたり、逆に膜厚を薄くすることで反射率を小さくすることができる。当然、感光体個体間であっても、膜厚が同じであれば反射率はほとんど同じになる。さらに、この波長領域の光の反射率は下引き層の表面粗さの違いによる影響をほとんど受けないため、感光体製造時の環境変動などによる表面粗さの変化、塗工方法による表面粗さの違いなどによって感光体の表面粗さが変化しても、下引き層の反射率が変化することはほとんどない。しかも、下引き層の膜厚を制御することは、感光体を製造する上では従来から行なわれていることであり、余分な管理、検査工程を設けることなく、個体間の反射率の変動をも大幅に抑えることができるので、製造コストの面でも非常に有用である。
さらに、下引き層の膜厚は、感光体の繰り返し使用によって変化することはなく、したがって、反射率も変化しないといえる。
また、第2群の本発明によれば、該下引き層が少なくとも粒径0.5μm〜3μmの粒子を含有していることで、前記波長領域の光が十分散乱され、25%〜55%という反射率と、静電特性や可撓性ベルトの耐クラック性から要求される下引き層の膜厚が両立される。第2群の本発明においては、導電性支持体として、ニッケルシームレスベルトを用いており、通常電鋳によって作成される該支持体は、非常に小さい表面粗さを持っているため、支持体による乱反射はほとんど起こらない。さらに下引き層による散乱も不十分であると、乱反射率は小さくなってしまう。そのため、十分な反射率を得るために下引き層の膜厚を厚くする必要が生じてくるが、これは静電特性において残留電位が上昇したり、可撓性を有する本発明の感光体においては、感光層にクラックが発生したりする場合がある。本発明においては、該下引き層に少なくとも粒径0.5μm〜3μmの粒子を含有させることで、下引き層による散乱が効果的に行なわれ、前記反射率と適度な膜厚が両立されるものと考えられる。
また、第2群の本発明によれば、該下引き層に含有される微粒子として、金属酸化物を主成分とする無機微粒子を用いることによって、25%〜55%の反射率と、静電特性から要求される下引き層の膜厚が両立される。下引き層に含有される微粒子が金属酸化物を主成分とする無機微粒子を用いることで、前記反射率と静電特性から要求される膜厚を容易に両立させることができる。例えば、十分な反射率を得るために下引き層の膜厚を厚くすると、残留電位の上昇が起きやすくなるが、金属酸化物を主成分とする無機微粒子を用いることで、下引き層の体積抵抗が低くなり、残留電位の上昇を抑えることができる。また、有機物である結着樹脂との屈折率の差が大きく、光の散乱効率も高くなり、可干渉光を用いた画像形成において、ハーフトーン画像での干渉縞、モアレ画像を抑制する効果も高い。
また、第2群の本発明の画像形成装置は、濃度センサーから照射される赤外光が前記電子写真感光体の反射率を測定した光と略同一の波長とすることで、さらに精度良く電子写真感光体の濃度を中間濃度として検知させることができる。濃度センサーに用いられる波長領域と下引き層の反射率が前記範囲内となる波長領域が異なっていると、感光体反射率が前記範囲であっても、濃度センサーにおける感光体濃度が所望の中間濃度とならない場合がある。
電子写真感光体の乱反射率が25%未満では、トナーの付着量が増加するとセンサーの出力が低下するという特性を持つブラックトナーの濃度制御において、感光体の反射率とトナーの最大付着時の反射率との差が小さくなり、濃度制御の精度が著しく低下してしまう。また、55%より大きいと、トナーの付着量が増加するとセンサーの出力が増加するという特性を持つカラートナーの濃度制御において、感光体の反射率とトナーの最大付着時の反射率との差が小さくなり、やはり濃度制御の精度が著しく低下してしまう。また、800nmより小さい波長領域では、電荷発生物質の吸収波長領域と重さなるため、乱反射率が小さくなったり、電荷発生物質の静電疲労の原因となるなど、好ましくない。また、1300nmより大きい波長領域の光を用いると、感光体の乱反射率とPセンサーで測定された濃度とのずれが大きくなる場合があり、感光体の中間濃度の制御が困難になる。
第2群の本発明においては、導電性支持体(31)としてニッケルシームレスベルトを用いる。ニッケルシームレスベルトは公知の電鋳法によって形成され、所定幅に切断して電子写真感光体用支持体として使用される。該ベルトの厚さは10〜50μmのものが好ましい。そして、電子写真感光体の感光層、保護層組成に関する各点については、上記のように、第1群の本発明の場合と同様であり、また感光層も第1群の本発明の場合と同様、電荷発生物質を電荷輸送層に分散させた単層型でも、電荷発生層と電荷輸送層を順次積層させた積層型でもよい。
第2群の本発明に使用される電子写真感光体にも、導電性支持体(31)と感光層の間に結着樹脂と微粒子からなる下引き層(32)を設ける。下引き層(32)に用いられる樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層に用いられる微粒子としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等の有機微粒子や、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、シリカ、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物、チタン酸カリウム、窒化硼素などの無機微粒子が挙げられる。その中でも、感光体が中間濃度となるだけでなく、モアレ防止、残留電位の低減等の効果もある酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物を主成分とする無機微粉末顔料が好ましい。下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。第2群の本発明においては、800nm〜1300nmの波長領域のいずれかの光に対する反射率が10%〜65%を示し、かつその膜厚は感光体の静電特性などから0.5〜20μmが適当であり、好ましくは1〜10μmである。
[第1群の本発明]
図6は、第1群の本発明の画像形成装置を説明するための概略図であり、下記するような変形例も第1群の本発明の範疇に属するものである。
図6において、感光体(1)は本発明にて製造された電子写真感光体が設けられてなる。感光体(1)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。帯電チャージャ(3)、転写前チャージャ(7)、転写チャージャ(10)、分離チャージャ(11)、クリーニング前チャージャ(13)には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラを始めとする公知の手段が用いられる。
転写手段には、一般に上記の帯電器が使用できるが、図に示されるように転写チャージャーと分離チャージャーを併用したものが効果的である。
また、画像露光部(5)、除電ランプ(2)等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
かかる光源等は、図6に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。
さて、現像ユニット(6)により感光体(1)上に現像されたトナーは、転写紙(9)に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体(1)上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、ファーブラシ(14)およびブレード(15)により、感光体より除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。
これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
ここで、Pセンサーによる画像濃度制御について説明する。
まず、感光体の反射率より得られるPセンサー出力Vsgをあらかじめ設定してある電圧に自動調整することで濃度センサーを校正する。この校正は任意の期間をおいて行ない、それによってPセンサーの汚れ、経時変化等による画像への影響を低減する。次に、感光体上に濃度の異なるパッチパターン潜像を形成し、その感光体表面電位を電位センサ(図示せず)で検知し、記憶する。さらに前記パッチパターン潜像をトナーによって現像し、その現像されたパッチパターンの濃度をPセンサーが検出する。検出されたPセンサー出力結果と画像形成装置内に記憶されている演算式を用いて感光体上のトナー濃度が算出される。このようにして得られたパッチパターン潜像の感光体表面電位、パッチパターン現像時の現像バイアス値、および前記算出されたトナー濃度から現像ポテンシャルとトナー付着量との関係が得られ、これと画像形成装置内に記憶されている電位テーブルから、最適なVD(暗部電位)、VL(明部電位)、VB(現像バイアス)の値を決定して、画像濃度を制御する。
また、Pセンサーが乱反射成分のみを検出する乱反射型Pセンサーの場合、感光体の正反射成分を受光しないため、特にカラートナーにおいては、トナー付着量と反射率との関係が単純な一次式に近似でき、濃度の測定精度が向上する。またブラックトナーにおいては、トナー付着量が増加するとPセンサー出力が減少するという特性を示し、これは正反射型センサーを用いたときとほぼ同じような特性である。
図7は、第1群の本発明による画像形成装置の別のプロセスの例である。
最近はフルカラーもモノクロ並のスピードが要求されてきており、このようなタンデム型が注目されている。タンデム型の画像形成装置は、一般にシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のトナーをそれぞれ別の感光体に現像し、記録材が一度通過する間に複数色のトナーを転写することができるため、カラー画像が形成されるために、実質単色画像を形成するのと同じ時間しか必要としない。そのためカラー画像形成のスピードアップに非常に有効である。また、本発明の感光体は、個体間においても感光体反射率が制御されているため、例えば、複数ある感光体のうちの一部だけを交換しても、反射率の変化が小さいため、トナー濃度制御への影響が小さく、画像色調の変化を抑えることができる。
また、図7は、各感光体上の画像を一次転写装置(62)によりいったん中間転写体(110)に順次転写した後、その中間転写体(110)上の画像を二次転写装置(122)によって記録材に一括転写する間接転写方式を示している。転写装置(122)は転写搬送ベルトであるが、ローラー形状のものもある。中間転写を行なうメリットとしては、中間転写体を介さない直接転写方式は、感光体がならんだタンデム型画像形成装置(120)の上流側に給紙装置(49)を、下流側に定着装置(125)を配置しなければならず、記録材搬送方向に大型化するという欠点があるのに対し、中間転写体を介する間接転写方式は記録材に転写する二次転写位置を比較的自由に設置することができるため、給紙装置(49)および定着装置(125)をタンデム型画像形成装置(120)と重ねて配置することも可能であり、装置の小型化が容易であるという利点がある。また、直接転写方式は記録材搬送方向に大型化しないためには、定着装置(125)をタンデム型画像形成装置(120)に接近して配置することとなる。そのため、記録材がたわむことができる十分な余裕をもって定着装置(125)を配置することができず、記録材の先端が定着装置(125)に進入するときの衝撃(特に厚い記録材で顕著となる)や、定着装置(125)を通過するときの記録材搬送速度と転写搬送ベルトによるシート搬送速度との速度差により、定着装置(125)が上流側の画像形成に影響を及ぼしやすい欠点がある。これに対し、間接転写方式は、記録材がたわむことができる十分な余裕をもって定着装置(125)を配置することができるので、定着装置(125)がほとんど画像形成に影響を及ぼさない。以上のように、タンデム型画像形成装置においても、中間転写体を有する間接転写方式がより好ましい。
ここで、中間転写体は、ベルト状のものとドラム状のものがあるが、レイアウトの自由度が高く、装置の小型化に有利な中間転写ベルトが好ましい。
以下、中間転写ベルト、特に、弾性層を有した中間転写ベルトについて説明する。
中間転写ベルトは、従来から弗素系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂等が使用されてきていたが、近年ベルトの全層や、ベルトの一部を弾性部材にした弾性ベルトが使用されてきている。
樹脂ベルトを用いたカラー画像の転写は以下の課題がある。
カラー画像は通常4色の着色トナーで形成される。1枚のカラー画像には、1層から4層までのトナー層が形成されている。
トナー層は1次転写(感光体から中間転写ベルトへの転写)や、2次転写(中間転写ベルトからシートへの転写)を通過することで圧力を受け、トナー同士の凝集力が高くなる。トナー同士の凝集力が高くなると文字の中抜けやベタ部画像のエッジ抜けの現象が発生しやすくなる。
樹脂ベルトは硬度が高くトナー層に応じて変形しないため、トナー層を圧縮させやすく文字の中抜け現象が発生しやすくなる。
また、最近はフルカラー画像を様々な用紙、例えば和紙や意図的に凹凸を付けた用紙に画像を形成したいという要求が高くなってきている。しかし、平滑性の悪い用紙は転写時にトナーと空隙が発生しやすく、転写抜けが発生しやすくなる。密着性を高めるために2次転写部の転写圧を高めると、トナー層の凝縮力を高めることになり、上述したような文字の中抜けを発生させることになる。
弾性ベルトは次の狙いで使用される。
弾性ベルトは樹脂ベルトより硬度が低いため、転写部でトナー層、平滑性の悪い用紙に対応して変形する。つまり、局部的な凹凸に追従して弾性ベルトは変形するため、過度にトナー層に対して転写圧を高めることなく、良好な密着性が得られ文字の中抜けのない、平面性の悪い用紙に対しても均一性の優れた転写画像を得ることができる。
弾性ベルトの樹脂はポリカーボネート、フッ素系樹脂(ETFE、PVDF)、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(シリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂及びポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではないことは当然である
弾性材ゴム、エラストマーとしては、ブチルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDM、NBR、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリン系ゴム、リコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、水素化ニトリルゴム、熱可塑性エラストマー(例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリウレア、ポリエステル系、フッ素樹脂系)等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではないことは当然である。
抵抗値調節用導電剤に特に制限はないが、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化錫、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物、導電性金属酸化物は、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。上記導電剤に限定されるものではないことは当然である。
表層材料に制限はないが、転写ベルト表面へのトナーの付着力を小さくして2次転写性を高めるものが要求される。
たとえばポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂等の1種類あるいは2種類以上を使用し表面エネルギーを小さくし潤滑性を高める材料、たとえばフッ素樹脂、フッ素化合物、フッ化炭素、2酸化チタン、シリコンカーバイト等の粉体、粒子を1種類あるいは2種類以上または粒径を異ならしたものを分散させ使用することができる。
また、フッ素系ゴム材料のように熱処理を行なうことで表面にフッ素リッチな層を形成させ、表面エネルギーを小さくさせたものを使用することもできる。
ベルトの製造方法は限定されるものではない。例えば、
回転する円筒形の型に材料を流し込みベルトを形成する遠心成型法、
表層の薄い膜を形成させるスプレイ塗工法、
円筒形の型を材料の溶液の中に浸けて引き上げるディッピング法、
内型、外型の中に注入する注型法、
円筒形の型にコンパウンドを巻き付け、加硫研磨を行なう方法、があるがこれに限定されるものではなく、複数の製法を組み合わせてベルトを製造することができるのは当然である。
本例に使用した弾性ベルトの製造方法について説明する。
PVDF100重量部に対してカーボンブラック18重量部、分散剤3重量部、トルエン400重量部を均一に分散させた分散液に円筒形の型を浸け、10mm/secで静かに引き上げ室温にて乾燥をさせ、75μmのPVDFの均一な膜を形成した。75μmの膜が形成されている型を繰り返し上記条件で溶液に円筒形の型を浸け、10mm/secで静かに引き上げ室温乾燥させ、150μmのPVDFベルトを形成した。これに、ポリウレタンプレポリマー100重量部、硬化剤(イソシアネート)3重量部、カーボンブラック20重量部、分散剤3重量部、MEK500重量部を均一分散させた分散液に上記150μmPVDFが形成されている円筒形型を浸け、30mm/secで引き上げを行ない、自然乾燥を行なった。乾燥後繰り返しを行ない、狙いの150μmのウレタンポリマー層を形成させた。
さらに、表層用にポリウレタンプレポリマー100重量部、硬化剤(イソシアネート)3重量部、PTFE微粉末粉体50重量部、分散剤4重量部、MEK500重量部を均一分散させた。
上記150μmのウレタンプレポリマーが形成されている円筒形型を浸け、30mm/secで引き上げを行ない自然乾燥を行なった。乾燥後繰り返しを行ない、5μmのPTFEが均一に分散されたウレタンポリマーの表層を形成させた。室温で乾燥後130℃、2時間の架橋を行ない、樹脂層;150μm、弾性層;150μm、表層;5μmの3層構成転写ベルトを得た。
弾性ベルトとして伸びを防止する方法として、上記例のように伸びの少ない芯体樹脂層にゴム層を形成する方法、芯体層に伸びを防止する材料を入れる方法等があるが、特に製法に関わるものではない。
伸びを防止する芯体層を構成する材料は、例えば、綿、絹、などの天然繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアセタール繊維、ポリフロロエチレン繊維、フェノール繊維などの合成繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維などの無機繊維、鉄繊維、銅繊維などの金属繊維からなる群より選ばれる1種あるいは2種以上を用い織布状あるいは糸状のものができる。もちろん上記材料に限定されるものではない。
糸は1本または複数のフィラメントを撚ったもの、片撚糸、諸撚糸、双糸等、どのような撚り方であってもよい。また、例えば上記材料群から選択された材質の繊維を混紡してもよい。もちろん糸に適当な導電処理を施して使用することもできる。
一方、織布は、メリヤス織り等どのような織り方の織布でも使用可能であり、もちろん交織した織布も使用可能であり、当然導電処理を施すこともできる。
芯体層を設ける製造方法は特に限定されるものではない。例えば筒状に織った織布を金型等に被せ、その上に被覆層を設ける方法、筒状に織った織布を液状ゴム等に浸漬して芯体層の片面あるいは両面に被覆層を設ける方法、糸を金型等に任意のピッチで螺旋状に巻き付け、その上に被覆層を設ける方法等を挙げることができる。
弾性層の厚さは、弾性層の硬度にもよるが、厚すぎると表面の伸縮が大きくなり表層に亀裂の発生しやすくなる。また、伸縮量が大きくなることから画像に伸びちぢみが大きくなること等から厚すぎることは好ましくない(およそ1mm以上)。
弾性層の硬度の適正範囲は、10≦HS≦65゜(JIS−A)である。ベルトの層厚によって最適硬度の調整は必要となる。硬度10゜JIS−Aより下のものは寸法精度良く成形することが非常に困難である。これは成型時に収縮・膨張を受け易いことに起因する。また、柔らかくする場合には基材へオイル成分を含有させることが一般的な方法であるが、加圧状態で連続作動させるとオイル成分が滲みだしてくるという欠点を有している。これにより、中間転写体表面に接触する感光体を汚染し横帯状ムラを発生させることが分かった。一般的に離型性向上のために表層を設けているが、完全に浸みだし防止効果を与えるためには表層は耐久品質等要求品質の高いものになり、材料の選定、特性等の確保が困難になってくる。これに対して硬度65゜JIS−A以上のものは、硬度が上がった分精度良く成形できるのと、オイル含有量を含まない、または少なく抑えることが可能となるので、感光体に対する汚染性は低減可能であるが、文字の中抜け等転写性改善の効果が得られなくなり、ローラへの張架が困難となる。
また、少なくとも電子写真感光体(40)を設け、画像形成手段を構成する部分の全部または一部でプロセスカートリッジを形成してもよい。これは、画像形成装置本体に対して、一括して着脱自在とすることで、メンテナンス性が大きく向上するという利点がある。
以上に示す、第1群の本発明による電子写真感光体、画像形成装置を用いることで、Pセンサーの基準となる感光体濃度を容易に精度良く制御することができ、また、その感光体濃度が長期間使用しても変化しないため、濃度の安定した良好な画像を提供できることを見出した。
[第2群の本発明]
図8は、第2群の本発明の画像形成装置を説明するための概略図である。
感光体(16)は本発明にて製造されたニッケルシームレスベルト状電子写真感光体を有しており、駆動ローラ(17)で駆動され、転写ローラ(28)、従動ローラ(23)によってたるみ、すべり等が起こることなく滑らかに回転する。この感光体(16)は帯電器(18)による帯電、光源(19)による像露光、現像(図示せず)、帯電器(20)を用いる転写、ブラシ(21)によるクリーニング、光源(22)による除電が繰返し行なわれる。帯電器としては、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラを始めとする公知の手段が用いられる。
また、画像露光部(19)、除電ランプ(22)等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
さて、現像ユニット(図示せず)により感光体(1)上に現像されたトナーは、転写体に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体(1)上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、クリーニングブラシ(21)やブレードにより、感光体より除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。
これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
また、本プロセスは、感光体上に形成されたトナー画像を一旦、中間転写体上(図示せず)に一次転写する工程を有し、この中間転写体上で複数色のトナー画像を順次重ね合わせることでフルカラー画像を形成した後、このフルカラー画像を被転写材に一括して転写する二次転写工程を有する中間転写方式のカラー画像形成装置としても用いることができる。中間転写方式を用いることで被転写材の種類を選ぶことなく、フルカラー画像が出力できる。また中間転写体の位置あわせを精度良く行なうことで色ズレも大幅に低減でき、高品質なフルカラー画像が得られる。
ここで、中間転写体は、ベルト状のものとドラム状のものがあるが、レイアウトの自由度が高く、装置の小型化に有利な中間転写ベルトが好ましい。中間転写ベルトには、無論、第1群の本発明による画像形成装置の場合と同様、弾性層を有した中間転写ベルトを使用することもできる。
これら図で示した画像形成装置は、第1群の本発明、第2群の本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態も可能である。例えば、図8において転写工程とクリーニング工程の間にクリーニング前露光を行なってもよい。
以下、本発明を実施例を挙げてさらに具体的に説明するが、これにより本発明の態様が限定されるものではない。部はいずれも重量基準である。
なお、第1群の発明の実施例は参考例である。
[第1群の本発明]
(実施例1)
アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50(大日本インキ化学工業社製))15重量部、メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60(大日本インキ化学工業社製))10重量部をメチルエチルケトン150重量部に溶解し、これにアルミナ、酸化ジルコニウムで表面処理された酸化チタン粉末(タイペークCR−97(石原産業社製))80重量部、アルミナで表面処理された酸化チタン(タイペークCR−67(石原産業社製))10部を加えボールミルで24時間分散し、下引層用塗工液を作製した。これをφ90mm、長さ380mm、厚み2mm、表面を切削加工によって粗面化したアルミニウム管に浸漬塗工法によって塗工し130℃20分間乾燥して、厚み3.4μmの下引き層を形成した。
次に、ポリビニールブチラール樹脂(エスレックHL−S(積水化学工業社製4重量部をシクロヘキサノン150重量部に溶解し、これを下記構造式(1)に示す。
Figure 0004719256
トリスアゾ顔料10重量部に加え、ボールミルで48時間分散後、さらにシクロヘキサノン210重量部を加えて3時間分散を行なった。これを容器に取り出し固形分が1.5重量%となるようにシクロヘキサノンで希釈した。こうして得られた電荷発生層用塗工液を前記下引き層上に浸漬塗工法によって塗工し130℃20分間乾燥し、厚み0.2μmの電荷発生層を形成した。
次に、テトラヒドロフラン100重量部に、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂10重量部、シリコンオイル(KF−50(信越化学工業社製))0.002重量部を溶解し、これに下記構造式(2)の電荷輸送物質8重量部を加えて電荷輸送層用塗工液を作製した。こうして得られた電荷輸送層用塗工液を電荷発生層上に浸漬塗工法によって塗工し、その後110℃20分間乾燥し、厚み25μmの電荷輸送層を形成した。
Figure 0004719256

以上のようにして、実施例1の電子写真感光体を作製した。
(実施例2〜5)
下引き層を形成する際の浸漬塗工速度を代えて、下引き層の膜厚をそれぞれ変化させた以外は実施例1と同様にして実施例2〜5の電子写真感光体を作製した。
(実施例6、7)
下引き層を形成する際に、スプレー塗工法を用い、そのときの塗布回数を変えて下引き層の膜厚をそれぞれ変化させた以外は実施例1と同様にして実施例6、7の電子写真感光体を作製した。
(比較例1、2)
導電性支持体として、ED法により作成した無切削アルミニウム管を用いた以外は実施例1、2と同様にして比較例1、2の電子写真感光体を作製した。
(比較例3、4)
下引き層を形成する際の浸漬塗工速度を代えて、下引き層の膜厚をそれぞれ変化させた以外は実施例1と同様にして比較例3、4の電子写真感光体を作製した。
(比較例5)
下引き層を、ポリアミド樹脂(アミランCM8000(東レ社製)2重量部をn−ブタノール40重量部、メタノール60重量部の混合溶液に溶解して得られた下引き層形成用塗工液を用いて作成した以外は実施例1と同様にして、比較例4の電子写真感光体を作製した。
これらの電子写真感光体をカラー複写機 imagio color 4000(リコー製)の改造機(中間転写ベルトとしてポリフッ化ビニリデン無端状ベルトを使用)に搭載して、フルカラー画像を出力した。
また、これらの感光体の乱反射率を、分光光度計(島津製作所社製:UV−3100)の積分球ユニットを用いて測定した。測定条件は、測定波長950nm、スリット幅20nmとした。
反射率を測定した後、感光層を剥離して、下引き層表面の表面粗さ十点平均粗さRzを測定した。
十点平均粗さの測定はJISB0601に従い、表面粗さ測定装置(東京精密社製:E−MD−S75A)を用いて測定した。
こうして得られた電子写真感光体の下引き層の膜厚、感光体の乱反射率と膜厚、表面粗さ、画像の結果を表1に示す。
Figure 0004719256
また、実施例1〜7の電子写真感光体の乱反射率と下引き層の膜厚の関係は図1のように非常に良い相関があり、下引き層の膜厚によって感光体の乱反射率を制御することが可能である。
(実施例8、9)
導電性支持体をφ30mm、長さ340mm、厚さ1mm、表面を切削加工したアルミニウム管に代えた以外は実施例1、5と同様にして実施例8、9の電子写真感光体を作製した。
これらの電子写真感光体を4連タンデム、中間転写方式の画像形成試験装置(中間転写ベルトとしてポリフッ化ビニリデン無端状ベルト上にポリウレタンゴム弾性層を積層した弾性ベルトを使用)に搭載して、フルカラー画像を出力したところ、いずれの感光体を用いた場合も、虫食いが改善された良好な画像が得られた。
[第2群の本発明]
(実施例10)
ニッケルシームレスベルト支持体の製造例
電気メッキ装置において外径92mm、長さ430mm、上下での直径差0.023mm、表面粗さRz0.1μmのステンレス鋼製円筒状金型を用いて下記のメッキ液組成及びメッキ条件で厚さ30μm、長さ367mm、周長289mm、上下での周長差0.072mmのニッケルシームレスベルトを製造した。
(メッキ液組成)
60%スルファミン酸ニッケル液(日本化学産業製) 500g/l
臭化ニッケル(日本化学産業製) 6g/l
硼酸(関東化学製) 35g/l
添加剤(ピットレスS 日本化学産業製) 3cc/l
ナフタレンスルホン酸 0.1g/l
(メッキ条件)
PH 4.1
浴温度 40℃
電流密度 1A/cm
メッキ時間 160分
このようにして作成したニッケルシームレスベルトを円筒状マンドレルから取りはずし、イオン交換水(伝導度1μ/S以下)中で5分間超音波洗浄を行なった。なお、陽極バスケット中のニッケル片はCo0.2wt%のものを使用した。なお、シームレスニッケルベルトのビッカース硬度は490であった。
アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50(大日本インキ化学工業社製))15重量部、メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60(大日本インキ化学工業社製))10重量部をメチルエチルケトン150重量部に溶解し、これにアルミナ、酸化ジルコニウムで表面処理された酸化チタン粉末(タイペークCR−97(石原産業社製))80重量部、アルミナで表面処理された酸化チタン(タイペークCR−58(石原産業社製))10部を加えボールミルで24時間分散し、下引層用塗工液を作製した。これを先ほど作成したニッケルシームレスベルトに浸漬塗工法によって塗工し130℃20分間乾燥して、厚み8μmの下引き層を形成した。
次に、ポリビニールブチラール樹脂(エスレックHL−S(積水化学工業社製))4重量部をシクロヘキサノン150重量部に溶解し、これを下記構造式(1)に示す。
Figure 0004719256
トリスアゾ顔料10重量部に加え、ボールミルで48時間分散後、さらにシクロヘキサノン210重量部を加えて3時間分散を行なった。これを容器に取り出し固形分が1.5重量%となるようにシクロヘキサノンで希釈した。こうして得られた電荷発生層用塗工液を前記下引き層上に浸漬塗工法によって塗工し130℃20分間乾燥し、厚み0.2μmの電荷発生層を形成した。
次に、テトラヒドロフラン100重量部に、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂10重量部、シリコンオイル(KF−50(信越化学工業社製))0.002重量部を溶解し、これに下記構造式(2)の電荷輸送物質8重量部を加えて電荷輸送層用塗工液を作製した。こうして得られた電荷輸送層用塗工液を電荷発生層上に浸漬塗工法によって塗工し、その後110℃20分間乾燥し、厚み25μmの電荷輸送層を形成した。
Figure 0004719256

以上のようにして、実施例10の電子写真感光体を作製した。
(実施例11、12、参考例10
下引き層を形成する際の浸漬塗工速度を代えて、下引き層の膜厚をそれぞれ変化させた以外は実施例10と同様にして実施例11、12、参考例10の電子写真感光体を作製した。
(実施例13、14
下引き層を形成する際に、スプレー塗工法を用い、そのときの塗布回数を代えて下引き層の膜厚をそれぞれ変化させた以外は実施例10と同様にして実施例13、14の電子写真感光体を作製した。
(比較例5、6)
下引き層を形成する際の浸漬塗工速度を代えて、下引き層の膜厚をそれぞれ変化させた以外は実施例10と同様にして比較例5、6の電子写真感光体を作製した。
(比較例7)
下引き層を、ポリアミド樹脂(アミランCM8000(東レ社製)2重量部をn−ブタノール40重量部、メタノール60重量部の混合溶液に溶解して得られた下引き層形成用塗工液を用いて作成した以外は実施例10と同様にして、比較例7の電子写真感光体を作製した。
これらの電子写真感光体をカラーレーザープリンター IPSiO color 5000(リコー製)の改造機(中間転写ベルトとしてポリフッ化ビニリデン無端状ベルトを使用)に搭載して、フルカラー画像を出力した。
また、これらの感光体の乱反射率を、分光光度計(島津製作所社製:UV−3100)の積分球ユニットを用いて測定した。測定条件は、測定波長950nm、スリット幅20nmとした。
反射率を測定した後、感光層を剥離して、下引き層表面の表面粗さ十点平均粗さRzを測定した。
十点平均粗さの測定はJISB0601に従い、表面粗さ測定装置(東京精密社製:E−MD−S75A)を用いて測定した。
こうして得られた電子写真感光体の下引き層の膜厚、感光体の乱反射率と膜厚、表面粗さ、画像の結果を表2に示す。
Figure 0004719256
また、実施例10〜12、参考例1、実施例13,14の電子写真感光体の乱反射率と下引き層の膜厚の関係は図1のように非常に良い相関が見られた。従って、乱反射率を25%〜55%の範囲に制御するには、下のような相関図を作成し、所望の乱反射率が得られる下引き層の膜厚を制御することで乱反射率を制御することが可能である。
(実施例15
弾性中間転写ベルトの製造例
PVDF100重量部に対して、カーボンブラック18重量部、分散剤3重量部、トルエン400重量部を均一に分散させた分散液に円筒形の型を浸け、10mm/secで静かに引き上げ室温にて乾燥をさせ、75μmのPVDFの均一な膜を形成した。75μmの膜が形成されている型を繰り返し上記条件で溶液に円筒形の型を浸け、10mm/secで静かに引き上げ室温乾燥させ、150μmのPVDFベルトを形成した。これに、ポリウレタンプレポリマー100重量部、硬化剤(イソシアネート)3重量部、カーボンブラック20重量部、分散剤3重量部、MEK500重量部を均一分散させた分散液に上記150μmPVDFが形成されている円筒形型を浸け、30mm/secで引き上げを行ない自然乾燥を行なった。乾燥後繰り返しを行ない狙いの150μmのウレタンポリマー層を形成させた。
さらに、表層用にポリウレタンプレポリマー100重量部、硬化剤(イソシアネート)3重量部、PTFE微粉末粉体50重量部、分散剤4重量部、MEK500重量部を均一分散させた。
上記150μmのウレタンプレポリマーが形成されている円筒形型を浸け、30mm/secで引き上げを行ない自然乾燥を行なった。乾燥後繰り返しを行ない、5μmのPTFEが均一に分散されたウレタンポリマーの表層を形成させた。室温で乾燥後130℃、2時間の架橋を行ない、樹脂層;150μm、弾性層;150μm、表層;5μmの3層構成転写ベルトを得た。
こうして得られた弾性中間転写ベルトと実施例11の電子写真感光体をIPSiO color 5000(リコー製)の改造機に搭載して、フルカラー画像を出力したところ、実施例15の画像と比較して、色ズレが大幅に抑えられ、かつ虫食い、色調異常等の異常画像がない良好な画像が得られた。
参考例2
参考例1の電子写真感光体を用いた以外は実施例15と同様にしてフルカラー画像を出力したところ、虫食い、色調異常等のない良好な画像が得られた。
実施例1〜7の電子写真感光体の乱反射率と下引き層の膜厚の関係を示した相関図である。 本発明の電子写真感光体の層構成を例示する断面図である。 本発明の電子写真感光体の別の層構成を例示する断面図である。 本発明の電子写真感光体の別の層構成を例示する断面図である。 本発明の電子写真感光体の別の層構成を例示する断面図である。 本発明の画像形成装置のプロセスを例示する概略図である。 本発明の画像形成装置のプロセスを例示する概略図である。 本発明の画像形成装置のプロセスを例示する概略図である。 実施例実施例10〜12、参考例1、実施例13,14の電子写真感光体の乱反射率と下引き層の膜厚の関係を示した相関図である。
符号の説明
1 感光体
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
4 イレーサ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 Pセンサー
8 レジストローラ
9 転写紙
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャ
14 ファーブラシ
15 ブレード
16 感光体
17 駆動ローラ
18 帯電器
19 像露光源
20 転写チャージャ
21 ブラシ
22 除電光源
23 従動ローラ
24 Pセンサー
28 転写ローラ
31 導電性支持体
32 下引き層
33 感光層

Claims (4)

  1. 導電性支持体上に少なくとも結着樹脂と微粒子とからなる下引き層と感光層を有する電子写真感光体において、該支持体がニッケルシームレスベルトであり、前記下引き層の膜厚が2.4〜7.9μmであり、かつ積分球を用いて測定した該感光体の乱反射率が950nmの波長の光に対して25.5%〜37.7%であることを特徴とする電子写真用感光体。
  2. 前記下引き層が少なくとも粒径0.3μm〜3μmの粒子を含有していることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記下引き層に含有される微粒子が金属酸化物を主成分とする無機微粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 導電性支持体上に少なくとも結着樹脂と微粒子とからなる下引き層と感光層を有する電子写真感光体を製造する方法であって、該電子写真感光体の乱反射率を、下引き層の膜厚によって制御して、請求項1乃至3の何れか1に記載の電子写真感光体を得ることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
JP2008193078A 2008-07-28 2008-07-28 電子写真感光体および画像形成装置 Expired - Fee Related JP4719256B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008193078A JP4719256B2 (ja) 2008-07-28 2008-07-28 電子写真感光体および画像形成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008193078A JP4719256B2 (ja) 2008-07-28 2008-07-28 電子写真感光体および画像形成装置

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001205123A Division JP2003021919A (ja) 2001-07-05 2001-07-05 電子写真感光体および画像形成装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008304934A JP2008304934A (ja) 2008-12-18
JP4719256B2 true JP4719256B2 (ja) 2011-07-06

Family

ID=40233654

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008193078A Expired - Fee Related JP4719256B2 (ja) 2008-07-28 2008-07-28 電子写真感光体および画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4719256B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8241825B2 (en) * 2009-08-31 2012-08-14 Xerox Corporation Flexible imaging member belts
JP5515895B2 (ja) * 2010-03-16 2014-06-11 富士ゼロックス株式会社 画像形成装置及びプロセスカートリッジ

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000105480A (ja) * 1998-09-29 2000-04-11 Canon Inc 電子写真感光体及びそれを用いた電子写真装置
JP2000347433A (ja) * 1999-06-02 2000-12-15 Ricoh Co Ltd 電子写真感光体及びそれを用いた電子写真装置
JP2001075299A (ja) * 1999-09-03 2001-03-23 Ricoh Co Ltd 有機感光体及びその製造方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3310175B2 (ja) * 1996-08-20 2002-07-29 シャープ株式会社 トナー濃度センサー
JP3218197B2 (ja) * 1996-12-20 2001-10-15 シャープ株式会社 トナー濃度センサ装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000105480A (ja) * 1998-09-29 2000-04-11 Canon Inc 電子写真感光体及びそれを用いた電子写真装置
JP2000347433A (ja) * 1999-06-02 2000-12-15 Ricoh Co Ltd 電子写真感光体及びそれを用いた電子写真装置
JP2001075299A (ja) * 1999-09-03 2001-03-23 Ricoh Co Ltd 有機感光体及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008304934A (ja) 2008-12-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6853823B2 (en) Electrophotographic photoreceptor and image forming apparatus using the photoreceptor
JP3847583B2 (ja) 電子写真装置および電子写真装置用プロセスカートリッジ
JP4148415B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真装置、及びプロセスカートリッジ
JP4917409B2 (ja) 画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ
JP2008122591A (ja) 画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ
JP2008224729A (ja) 画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ
JP5084225B2 (ja) 画像形成装置および画像形成方法
JP4719256B2 (ja) 電子写真感光体および画像形成装置
JP2003021919A (ja) 電子写真感光体および画像形成装置
JP4498178B2 (ja) 電子写真感光体、製造方法、電子写真装置
JP3786628B2 (ja) 画像形成装置及び該装置に用いられるプロセスカートリッジ
JP2009053400A (ja) 画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ
JP4204209B2 (ja) 電子写真感光体、その製造方法、電子写真方法及び電子写真装置
JP4024126B2 (ja) 電子写真感光体及びその製造方法並びに該感光体を用いた画像形成装置
JP4206207B2 (ja) 画像形成装置
JP2005173557A (ja) 電子写真装置及びプロセスカートリッジ
JP3777503B2 (ja) 電子写真感光体、その製造方法、それを用いた画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ
JP3874329B2 (ja) 積層型電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ
JP5234341B2 (ja) ジスチリルベンゼン化合物混合物及び該化合物混合物を用いた電子写真感光体
JP4713907B2 (ja) 画像形成方法、画像形成装置、及び画像形成装置用プロセスカートリッジ
JP5047696B2 (ja) 画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ
JP4073021B2 (ja) 電子写真感光体、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ
JP5505720B2 (ja) 電子写真感光体、それを用いた電子写真方法、電子写真装置及びプロセスカートリッジ
JP5545469B2 (ja) 電子写真感光体、それを用いた電子写真方法、電子写真装置及びプロセスカートリッジ
JP5553222B2 (ja) 電子写真感光体、それを用いた電子写真方法、電子写真装置及びプロセスカートリッジ

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101216

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110214

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110308

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110401

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4719256

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140408

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees