JP4718048B2 - 環状ベルト体の移送方法及び移送装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、環状ベルト体の移送方法及び移送装置に係り、詳しくは、加硫後の円筒状ベルトスリーブを小幅に切り出して環状ベルト体を形成する切断工程から、切断工程にて形成された環状ベルト体を次工程に移すための環状ベルト体の移送方法、或いは加硫後の円筒状ベルトスリーブを切断して小幅の環状ベルト体を形成する切断機から、切断機で形成された環状ベルト体を次工程に運ぶための環状ベルト体移送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来における環状ベルト体の搬送方法及び搬送装置は、特開平11−210848号公報にて示されたものが知られている。即ち、環状ベルト体を、その上端部のみを把持した吊下げ状態でX,Y,Zの三次元方向に搬送自在であるとともに、環状ベルト体の受取り及び受渡しを行うための着脱手段を備えて構成されており、加工工程が多く、各工程機が1対1で構成されるベルト外装面にカバー布を有するゴム伝動ベルトにおいて実施されていた。
【0003】
加硫後の円筒状ベルトスリーブをプロファイル加工する一連の工程において、カット機で輪切りされた1本の環状ベルト体を、1台以上の研磨機構と製品及び非製品に区分して収容部とに跨って授受移送して一連の加工を行い、工程内の仕掛品を削減し小ロット加工に対応する環状ベルト体の移送方法及び移送装置に関する。
【0004】
一方、加硫後の環状ベルト体をプロファイル加工するリブドベルト、ローエッジベルト等のゴム伝動ベルトにおいては、元来、加工工程が少なく、加工工程間での加工機毎の配置台数も異なり、又多量生産であることから、従来は、加工機単位で幅広の環状ベルト体を一括研磨した後、1本にカットする方法が採られ、各加工機での自動投入排出する搬送授受装置が実施されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、各加工機内での自動投入排出のみでは、先ずカット工程、研磨工程、外観検査工程、検尺工程等の各加工工程で投入仕掛品と排出仕掛品が停滞しがちで生産性を阻害し、又少量生産にも適さず、これら中間仕掛品の排除や小ロット加工等への課題を有し、一方では加硫後の環状ベルト体は前述の未加硫環状ベルト体に比して弾性が有り、移送時は丸み形状を持つことから上端部のみを把持して吊り下げる把持方式では場所を取り、移送振れを起こして移送時間が掛かる問題もあった。
【0006】
本発明の目的は、これらの各加工工程を連結して一体化を図るに当たり、環状ベルト体を加工機にタイムリーに授受移送して一体化を図るもので、授受移送の信頼性を確保して、高速化することで、生産性を損なうこと無く中間仕掛品を排除して小ロット加工にも適したプロファイル加工工程における環状ベルト体の移送方法及び移送装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の方法は、加硫後の円筒状ベルトスリーブを小幅に切り出して環状ベルト体を形成する切断工程から、該切断工程にて形成された環状ベルト体を次工程に移すための環状ベルト体の移送方法において、前記環状ベルト体を、そのループ内側に位置させた上下一対の支持部材に亘って架設させた2点支持状態で移送させるものであり、前記環状ベルト体を前記上下一対の支持部材によって緊張させた緊張状態で移送させる移送工程を有するとともに、前記切断工程から前記移送工程への環状ベルト体の授受は、前記環状ベルト体の緊張力が、前記移送工程における前記環状ベルト体の緊張力よりも弱いものに緩和された緊張緩和状態で行われる授受工程を有し、前記緊張緩和状態は、前記上下一対の支持部材の間隔を広げ、環状ベルト体を湾曲状に緊張させるものであり、前記緊張状態は、前記上下一対の支持部材の間隔を更に広め、環状ベルト体を前記緊張緩和状態よりも緊張させるものである、ことを特徴とする。
【0008】
請求項1の方法によれば、切断工程によって円筒状ベルトスリーブから小幅に切り出された環状ベルト体を、そのループ内側に位置させた一対の支持部材に亘って架設させた2点支持状態で移送するものであるから、環状ベルト体を、揺れ動くとか、意図する向きと異なる方向に向く等の姿勢乱れ無く安定した状態で迅速に移送できるようになる。
又、切断工程を行うカット機や、次工程であるプロファイル加工工程では、互いに離れた一対の支軸に環状ベルト体を伸張状態に掛け渡した状態で回転させて加工を行うようになるので、2点支持状態にある環状ベルト体の形状は、それら各工程におけるベルト体形状に近い又は同じになることから、工程間の受け渡しを素早く、確実に行わせることが可能になる。
【0009】
また、請求項1の方法によれば、環状ベルト体をある程度緊張させた2点支持状態で移送するものであるから、いきなり高速で移送開始するとか、急減速して止まるといった多少乱暴な扱いを行っても、環状ベルト体は一対の支持部材から脱落することなくしっかりと支持され続ける状態を、環状ベルト体自身の有する弾性を用いて実現できるようになる。
【0010】
また、請求項1の方法によれば、移送時の脱落を回避すべき緊張力よりも弱い緊張力の作用する2点支持状態で環状ベルト体の授受を行うから、環状ベルト体の姿勢乱れが起きないようにしながら、比較的弱い力で環状ベルト体を支持部材から押出し移動(又は引張り移動)させて、移送装置と他の加工機との間での授受(受け渡し)が行えるようになる。
【0011】
請求項2の構成は、加硫後の円筒状ベルトスリーブを切断して小幅の環状ベルト体を形成する切断機と、該切断機で形成された環状ベルト体を次工程に運ぶための移送装置とを備える環状ベルト体移送装置であって、前記移送装置は、互いに離間した上下一対の支持部材と、これら支持部材を有した状態で移動走行自在な基台とを有して、前記環状ベルト体を、これが前記上下一対の支持部材に亘って架設された2点支持状態で移送するものに構成され、上側支持部材に対して下側支持部材を駆動昇降自在とし、前記上下一対の支持部材どうしの間隔が調節自在となる昇降機構を設け、前記昇降機構により、前記上下一対の支持部材の間隔を広げ、環状ベルト体を湾曲状に緊張させる緊張緩和状態と、前記上下一対の支持部材の間隔を更に広め、環状ベルト体を前記緊張緩和状態よりも緊張させる緊張状態と、に変更可能に構成され、前記切断機からの前記環状ベルトの授受は、前記緊張緩和状態で行われ、前記移送装置による前記環状ベルトの移送は、前記緊張状態で行われる制御手段が設けられている、ことを特徴とする。
請求項2の構成は、請求項1の方法の装置化であり、請求項1の方法による作用と同等の作用を得ることができる。
また、請求項2の構成によれば、支持部材どうしの間隔が調節自在であるから、環状ベルト体の緊張力を任意に設定可能となり、授受時の弱い緊張力や、移送時の比較的強い緊張力の設定、或いは、環状ベルト体のサイズや長さの違いに容易に対応することができる。又、支持部材の間隔を、環状ベルト体の授受対象となる加工機の2点支持状態における間隔に合わせるように調節することも自在であり、種類の異なる各種加工機へのベルト授受であっても良好に行えるようになる。
【0012】
請求項3の構成は、請求項2の構成において、支持部材は、環状ベルト体の外方への抜止め部を備えた基端部と、環状ベルト体の授受を行うべく解放された先端部とを有するとともに、一対の支持部材に亘って架設される環状ベルト体の緊張力が、該環状ベルト体の支持部材における巻掛け箇所が先端側に寄るほど強くなるテーパ形状に形成されていることを特徴とするものである。請求項3の構成によれば、一対の支持部材に亘って巻回される環状ベルト体の緊張力が、支持部材の先端側に行くほど強くなるように支持部材にテーパーが施されているから、一対の支持部材に巻回支持された環状ベルト体が先端側に移動して外れてしまうという不都合が先ず生じないようになり、他に専用の外れ止めを設ける必要が無くなる。
【0014】
請求項4の構成は、請求項2又は3の構成において、一対の支持部材に亘って架設されている状態の環状ベルト体を、基端部から先端部へ向けて強制移動並びに押出し自在な押出し機構が装備されていることを特徴とするものである。請求項4の構成によれば、脱落防止用として先拡がり状に形成されている一対の支持部材により、その先端側には移動し難い状況にある環状ベルト体を、押出し機構により、テーパーによる抵抗に逆らって強制的に先端部へ向けて移動させることができるようになり、他の加工機へのベルト授受が行えるようになる。
【0015】
請求項5の構成は、請求項2〜4の構成において、一対の支持部材のうちの一方を、両支持部材どうしを結ぶ第1方向に対して交差する第2方向に首振り揺動自在に構成してあることを特徴とするものである。請求項5の構成によれば、次のような作用が得られる。即ち、移送装置と他の加工機とは、必ずしもそれらのベルト緊張用支持部材どうしが正対する望ましい状況とはならないので、例えば、相対的に傾いているような場合には、支持部材における一方の横端に、相手の支持部材との間の間隙が生じるようになり、環状ベルト体が上手く授受できないことが予測される。そのような場合には、移送装置の支持部材が上下向き支点回りで揺動するといった具合に、両支持部材どうしを結ぶ第1方向に対して交差する第2方向に首振り揺動できるから、移送装置と加工機とが互いに傾斜していても、支持部材と加工機の支持部材とは隙間無く密着状態で面接当できる等、両者の間に隙間ができ留ことを回避可能となる。従って、間隙にベルトが挟まってしまう等の不都合なく、良好に環状ベルト体の授受が行えるようになるのである。
【0016】
請求項6の構成は、請求項5の構成において、一方の支持部材を、第1方向及び第2方向の双方に交差する第3方向に出退移動自在とする駆動機構が設けられていることを特徴とするものである。請求項6の構成によれば、一対の支持部材どうしを結ぶ第1方向、及び支持部材の首振り揺動方向との双方に交差する第3方向に出退移動自在であるから、例えば、移送装置と加工機とを限界まで近接させても、尚支持部材どうしに間隙が残る場合で、下側の従動軸が揺動して下側の支持部材どうし間に間隙ができてしまうといった場合には、移送装置における一方の支持部材を出退移動させることで、両方の支持部材どうしに間隙が生じない、又は同じ間隙長さレベルとすることができる。つまり、移送装置と各加工機との位置関係が芳しくない状況であっても、移送装置の支持部材の移動調節によって改善することができ、環状ベルト体を良好に授受することが可能になるのである。
【0017】
請求項7の構成は、請求項5又は6の構成において、支持部材の先端部に、加工機における支持部材に対応した環状ベルト体巻回用回転軸の先端面に接当自在とするための回転部材を回転自在に装備してあることを特徴とする。請求項7の構成によれば、次のような作用が得られる。研磨機やプロファイル加工機等の一対の回転軸に環状ベルト体を巻回架設して駆動回転ざせる加工機と、移送装置との環状ベルト体の授受においては、移送装置の支持部材を、極力対応する加工機の回転軸に近づけて行うのが好ましい。そこで、支持部材の先端部に回転自在な回転部材を装備したので、加工機において回転している回転軸に支持部材を接当するまで近づけても、実際には回転部材が回転軸に接当して回転するので、相対回転する支持部材と回転軸とを不都合無く限界まで接近させることが可能になり、これら両者の間隙を極力無くして環状ベルト体の良好な授受に寄与できるようになる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
環状ベルト体9の製造工程は、図5に示すフロー図にて示されている。即ち、帆布、接着ゴム、心線、圧縮ゴム層を成形ドラム上に円筒状に積層する成形工程10から、加硫工程11、冷却工程12、脱型工程13を経て得られた加硫後の円筒状ベルトスリーブ14をカット工程Bに搬送し、カット工程Bにおいて小幅に切り出されることで環状ベルト体9が作成される。
【0019】
カット工程Bの次に行われるプロファイル加工工程15は、小幅にカットされた環状ベルト体9に、プロファイル加工機26によって切削や研削加工を施して、環状ベルト体9を、リブドベルトやダブルリブベルトやローエッジベルトやタイミングベルト等の所定の製品断面形状に形成する工程であり、その後に外観検査等を行う検査工程16を経てから包装される。又、脱型工程13においてベルトスリーブ14の外された金型は離型処理して成形工程10に戻され、再び使用される。
【0020】
図4に示すように、カット工程Bでは、カット機b(切断機の一例)による切断工程、複数台の研磨機cによる研磨工程、生成されたスクラップをスクラップ収容部Eに収容するスクラップ収容工程、及び、カット及び研磨された環状ベルト体9を製品収容部Fに収容する収容工程が行われるものであり、これら各工程は、移送装置5との間で環状ベルト体9の授受が自在となる位置関係に配置されている。そして、このカット工程Bへの円筒状ベルトスリーブ14の搬入は、フィーダーGで行われるように構成されている。
【0021】
次に、各工程の流れについて説明する。先ず、円筒状ベルトスリーブ14がフィーダーGによってカット機b(カット工程)に投入され、そこで小幅に切り出された環状ベルト体9は、そのループ内側に位置させた一対の支持部材である上受軸55と下受軸60に亘って架設させた2点支持状態で、1本ずつ移送工程Aに押し出される。押し出される環状ベルト体9の中には、円筒状ベルトスリーブ14の両端部のものが含まれているが、それら2個は製品にはできないので、スクラップ収容部Eに排出されるようになる。
【0022】
そして、それらスクラップ以外の環状ベルト体9は、移送装置5により、2点支持状態(図7、図8参照)でプロファイル加工工程15に移送され、そこでのプロファイル加工が完了次第、加工済品として製品収納部Fに移送され、収納される。この際、加工済品の一部は、移送装置5で搬送され、外観検査された後に製品にするべく包装される。
【0023】
移送装置5による環状ベルト体9の支持状態は、上下一対の受軸55,60による2点支持状態であり、その2点支持状態は、環状ベルト体9を少しだけ緊張した緊張緩和状態[図8(ロ)参照]と、上下の受軸55,60の間隔をさらに広くして環状ベルト体9をかなり緊張させた緊張状態[図8(ハ)参照]と、上下の受軸55,60の間隔を限界まで広めて環状ベルト体9を最大に緊張させた伸張状態[図8(ニ)参照]との3種が現出自在である。尚、1つの支持部材29による1点支持状態は、フリー状態[図8(イ)参照]と呼ぶものとする。
【0024】
上下の受軸55,60は、環状ベルト体9の外方への抜止め部34,35を備えた基端部36,37と、環状ベルト体9の授受を行うべく解放された先端部38,39とを有した先拡がりテーパ状の中抜き半円弧状部材である。抜止め部34,35は折り返しによるフランジ部によって形成されている。
【0025】
緊張緩和状態は、カット機bと移送装置5との間や、移送装置5とプロファイル加工機26との間での環状ベルト体9の授受(受け渡し)時に適用され、緊張状態は、移送装置5による環状ベルト体9の移送時に適用され、伸張状態は、プロファイル加工等のベルトスリップが厳禁である時に適用されるといった具合に、これら複数種の緊張状態は、状況に応じて適宜に使い分けて用いられる。
【0026】
ところで、授受移送工程には、(a)カット工程での受け取り[カット機bから移送装置5へ環状ベルト体9を渡す]、(b)研磨工程での送り出し[移送装置5から研磨機cへ環状ベルト体9を渡す]、(c)研磨工程での受け取り[研磨機cから移送装置5へ環状ベルト体9を渡す]、(d)各収容部での送り出し[移送装置5から各収容部へ環状ベルト体9を渡す]、の計4種の形態がある。
【0027】
(a)と(c)の受け取り方法は互いに同様であり、カット工程と研磨工程との夫々が、回転中の円筒状ベルトスリーブ14と環状ベルト体9の押出し工程とを有する。このとき、移送装置5は、下側軸60を下方に移動させて、伸張状態又は緊張状態の環状ベルト体9を受け取り[図3(b)参照]、それから伸張状態のときには下側軸60を上方に移動させて上側軸55との軸間距離Wを縮小させて環状ベルト体9の緊張を緩め、図8(ハ)に示す緊張状態で移送する、という動作を行う。
【0028】
(b)と(d)の送り出し方法は互いに同様であり、研磨機cにおける上下一対の軸どうしの軸間距離を縮めてから、移送工程Aにおいて図8(ロ)に示す緊張緩和状態にある環状ベルト体9を送り出し、研磨機cや各収容部に渡すようになる。図6に示すように、研磨機cの駆動軸33と従動軸27(環状ベルト体巻回用回転軸の一例)とに亘って、押し出した環状ベルト体9を架設するのである。各収容部での送り出しは、図 3(d)に示すように、環状ベルト体9を図8(ロ)の緊張緩和状態から図8(イ)に示すフリー状態として、投げ輪の如く排出落下させて収容部の支持竿30に掛けて収容する。
【0029】
把持移送工程は、カット工程を起点として1台以上の研磨機cと、製品となる環状ベルト体9とスクラップとの2つの収容部との授受箇所間を行き交い移送するものである。移送時には環状ベルト体9の不測の脱落を回避するために、上下受軸55,60の軸間距離Wを拡大させて、図8(ハ)に示す緊張状態とする。このように、前述の授受工程と合せてカット工程とプロファイル加工工程間において移送装置5は移送自在であり、複数の工程を一体的に連係して複数の加工機による各種加工工程を一体化させるように機能する。
【0030】
即ち、カット機bを経て形成される環状ベルト体9は、移送装置5の導入により、カット工程Bとプロファイル加工工程15との間においては、各加工機と環状ベルト体9とは一対一の関係で、かつ、途中で止ること無く行き来することとなり、例えばカット機bでカットされた環状ベルト体9の複数を、研磨機cに投入される迄の間において一時的にストックしておく、といった仕掛品(停滞品)の存在を解消することができる。又、円筒状ベルトスリーブ14単位の小ロット生産を行うことにも容易に対応することができる。
【0031】
つまり、図4に示すように、カット工程Bと複数の研磨工程Cと製品収納部Fとスクラップ収容部Eとを一連の状態に配設して、小幅に切り出された環状ベルト体9を1本ずつプロファイル加工工程(環状ベルト体9を研磨してリブドベルトやローエッジベルト等に形成する工程)15に送る間に存在する各移送工程を一元化することができ、製品となる環状ベルト体9とスクラップとの仕分けも行える集約されたシステマティックな製造設備を実現している。
【0032】
次に、移送装置5について説明する。移送装置5は、カット機B、及び研磨機cと対面する向きに配置されていおり、環状ベルト体9を2点支持状態で授受し合える相対高さ位置関係に設定されている。スクラップ収容部Eと製品収容部Fは、それらの支持竿30が、移送装置5から2点支持状態で送り出された環状ベルト体9を丁度受け取れる位置に設置されている。投入フィーダGは、カット機bの上下一対の軸のうちの上側の軸心に対面して移送装置5の背面から腕を伸張して挿入しうる位置に設置するもので、前述の授受移送が行える装置である。
【0033】
図1、図2に示すように、移送装置5は、環状ベルト体9を2点支持状態で受取る把持手段1と環状ベルト体9を把持手段1から押出して排出する払出し手段2,3と、2点支持状態の環状ベルト体9を前述の授受箇所まで移動させる移送手段4、及び上下のレール機構7,6とから構成されている。
【0034】
把持手段1は、先端側が拡がる半円錐形状で、中央部はプレッシャレバー65,68が突き出て摺動するためのスリット状開口55s,60sを有した上下一対の受軸55,60から構成され(図6参照)、上受軸55は、中間支持金具56を介して機体ベース57前面に固定されている。下受軸60は、昇降機構31を構成する部材である一対のガイドロッド58,58に対して上下移動自在に嵌装された下部摺動ブロック61に支持されている。
【0035】
昇降機構31は、上部、中間、下部の各支持金具54,56,77、左右一対の上下摺動用ガイドロッド58、ねじ軸59、及びサーボモータ64等から構成されており、上受軸55に対して下受軸60を駆動昇降移動自在であり、これら両受軸55,60の軸間距離Wの変更設定が行えるものである。即ち、下部摺動ブロック61の上下移動は、ねじ軸59に咬合するナットプーリ63を、タイミングベルト62を介してサーボモータ64で正逆に回転することで為される。
【0036】
又、移送装置5には、把持手段1自体の高さ位置を上下調節するリフター機構8が装備されている。リフター機構8は、走行板76にボール軸受け85を介して上下摺動可能に設置された機体ベース57と、走行板76に固定された吊り板80とに亘ってシリンダー79を架設することで構成されており、シリンダー79の短縮動によって把持手段1を上昇移動し、シリンダー79の伸張動によって把持手段1を下降移動することができる。
【0037】
図1,図2に示すように、払出し手段2,3は、上下の受軸55,60と一体的に装備されており、構造的には上下で同じである。即ち、正面視で上半円状の上受軸55と、正面視で下半円状の下受軸60とには、左右中央の位置に先端側が開放されたスリット状開口55s,60sが形成されており、これらスリット55s,60sに、押出しシリンダ66,69(押出し機構40の一例)のピストンロッドに装着されたプッシャレバー65,68を夫々配備して払出し手段2,3が構成されている。
【0038】
つまり、上下の押出しシリンダ66,69を伸張駆動させてプッシャレバー65,68を押出せば、上下のベルト設置部55r、60rに亘って巻回されている環状ベルト体9を、ベルト設置部55r、60rの先拡がりテーパーの抵抗に抗して押出し、上下の受軸55,60から払出すことができるのである。又、下受軸60の位置を上下方向に移動させることにより、把持手段1の受軸55,60の軸間距離Wを、プロファイル加工機26や研磨機bの上下受軸の軸間距離に合致させて、環状ベルト体9を移送装置5から各種加工機に授受する払出し作動が良好に行えるように構成されている。
【0039】
要するに、上下受軸55,60は、環状ベルト体9の外方への抜止め部34,35を備えた基端部36,37と、環状ベルト体9の授受を行うべく解放された先端部38,39とを有するとともに、一対の受軸55,60に亘って架設される環状ベルト体9の緊張力が、環状ベルト体9の受軸55,60における巻掛け箇所が先端部38,39側に寄るほど強くなるテーパ形状に形成されている。
【0040】
尚、上下受軸55,60の軸間距離Wは、それらのベルト設置部55r、60rに環状ベルト体9を2点支持の緊張状態で把持している状態で払出しを行うに当たり、ベルト設置部55r、60rのテーパーに逆らって移動させる抵抗を緩和して円滑に払出す為に、事前にベルトサイズの数値から割り出して決めるようにする。次に、下受軸60の首振り機構Qについて説明する。
【0041】
図9、図10に示すように、カット機b等における従動軸(回転軸)27の揺動に追従して、これに正対する下受軸60の姿勢が変更できるようにするために首振り機構Qが設けてある。即ち、押出しシリンダ69を一体に備えた下受軸60が、上下向きの揺動支点PでL字ステー17に揺動自在に支持されたL字アーム18に固定されるとともに、そのL字アーム18を、下部摺動ブロック61に取付けられた出退シリンダ19(請求項9の駆動機構の一例)のピストンロッド20先端に固定された出退ブロック21に対して取付け固定することで首振り機構Qが構成されている。
【0042】
そして、L字アーム18をL字ステー17に対する所定位置に復帰付勢する戻し機構22が装備されており、これは、L字ステー17の側端面に固定されたストッパ板24、及びL字ステー17を支点P回りで反時計回り方向に引張り付勢するべくストッパ板24とL字アーム18とに亘って架設された巻バネ23から構成されている。従って、下受軸60は、L字アーム18がストッパ板24に接当する待機位置から時計回り方向への揺動移動及び復帰が自在であり、かつ、待機位置へ復帰付勢されている。
【0043】
ここで、上下の受軸55,60どうしを結ぶ方向、即ち上下方向であるZ軸方向(図9参照)が第1方向であり、各受軸55,60に対する左右方向、即ちX軸方向(図9参照)が第2方向であり、各受軸55,60の軸方向、即ちY軸方向(図9参照)が第3方向に夫々相当している。
【0044】
出退シリンダ19は、その出退移動方向が下受軸60の中心線Vに対して角度α傾斜する状態に設置されており、左右一対のガイドロッド25,25で案内される出退ブロック21、即ち支点Pは、出退シリンダ19の伸縮移動に伴って斜め前後方向に出退移動する。又、下受軸60内側における左右両端部の上部には、カット機b(或いはプロファイル加工機26)の回転する従動軸27に接当可能とするためのボールベアリング(回転部材の一例)28,28が装備されている。尚、回転部材28としては、ローラやゴムタイヤ等、種々の変更が可能である。
【0045】
しかして、図11に示すように、移送装置5をカット機bに正対する姿勢で近接させた状態において、出退シリンダ19を伸張駆動すると、下受軸60が斜め前方に突出移動して、先ず右側のベアリング28が従動軸27の端面に接当する。尚も出退シリンダ19を伸張すると、相変わらず斜め前方に突出移動するL字ステー17に対してL字アーム18が支点Pに関して時計回り方向に揺動し、下受軸60の前端縁60tと従動軸27の先端縁27tとが平行となるように、巻バネ24の付勢力に抗してL字アーム18が支点Pに関して時計回り方向に揺動するのである。
【0046】
これにより、カット機bの従動軸27が斜めに向くことがあっても、下受軸60が、これと従動軸27とが面接当状態となるように首振り移動して追従するので、下受軸60と従動軸27との間に隙間ができることが回避され、カット機b等の加工機と移送装置5とにおける環状ベルト体9の授受(受け渡し)が、ベルト外れ等の不都合無く良好に行えるようになっている。
【0047】
ここで、カット機bの蛇行制御と首振り機構Qとの関係について簡単に説明する。カット機bにおいては、従動軸27を、ほぼその先端に設けた上下向きの支点回りに、駆動軸33と平行となる基準姿勢と一方に揺動した傾斜姿勢との間の角度範囲において反復往復揺動移動させる蛇行制御が行われる。従って、環状ベルト体9の授受時に従動軸27が傾斜しているときがあるので、そのときでも良好にベルト授受が行えるよう、下受軸60を首振り揺動できる首振り機構Qが構成されている。
【0048】
環状ベルト体9を外れることなく良好に授受するには、傾斜状態の従動軸27の先端縁7tに下受軸60の先端面60tを面接当状態にすることが肝要であり、首振り機構Qによってその面接当状態は現出させることが可能であるが、そのときの両者27,60の軸心のずれを吸収させるために、出退シリンダ19の伸縮移動方向を、従動軸27の傾斜方向と反対方向に設定してある。
【0049】
即ち、下受軸60の揺動支点Pは、下受軸60の先端よりも内側に寄った箇所に存在するので、駆動軸33(上受軸55)と平行な基準方向に出退シリンダ19を伸縮移動させると、傾斜している従動軸27と接当したときの下受軸60の先端縁60tは、従動軸27の先端縁27tよりも明確にずれてしまうことになり都合が悪い。そこで、出退シリンダ19の移動方向を傾斜させることにより、従動軸27との接当時における揺動支点Pの位置を、前記基準方向の中心ラインよりも図11における紙面上側にずらすことができる。その結果、傾斜している従動軸27の中心線と揺動支点Pとの位置偏差をゼロ又は極力少なくすすころができ、従動軸27と下受軸60とをずれの無い又は少ない状態を実現でき、環状ベルト体9の授受を円滑に行えるようになるのである。
【0050】
図2に示すように、移送装置5は、走行部位と走行軌条と走行駆動機器とから構成されており、上下のレール機構7,6によって横方向に移動自在に構成されている。走行部位は、走行板76に装備された把持手段1と、払出し手段2,3と、これらを下降調整するリフター機構8等とから成る。走行軌条は、床上に矩体フレーム78(基台の一例)を有し、上側面に走行体の重量を受け、かつ、側面に摺動可能な摺動レール71,72による上レール機構7を延長可能に設置して、走行板76を往復移動自在に装備して構成されている。
【0051】
又、下レール機構6は、走行体の最下端になる左右一対の上下摺動用ガイドロッド58の下端部に車輪82を設置して、矩体フレーム78下部にフラットな内レール83と外レール84を設置して挟み込み摺動ガイドすることで構成されている。これにより、走行時の振れと前後の振れを軽減して前述の良好な移送状況を実現させている。
【0052】
図2に示すように、走行駆動機器としては、走行板76に軸受86を介して回転自在に支承されているピニオン73に、ベルト伝動によってサーボモータ75の回転を伝えるようにする構成であり、摺動レール71の上面に加工配列された噛み合いラック32とピニオン73との咬合により、サーボモータ75の回転駆動によって走行自在となる。
【0053】
次に、環状ベルト体9の授受及び移送を行う移送装置5の動作制御について授受移送制御と走行制御とに区分して説明する。先ず、環状ベルト体9の授受箇所での授受移送時の動作制御は、2点支持状態でのものが大半となる。1〜3mmの間隙で対面する夫々上下一対の受軸55,60の軸間距離Wを押出し側に対して受け側の間隔を小さくすることと、緊張緩和状態とを勘案して、環状ベルト体9が円滑に乗り移れる制御とする。つまり、上受軸55は、移送機・各加工機共に互いに同じ高さレベルとして下軸を上昇・下降させて上述の制御を行う。受軸55,60夫々の制御数値は、予めベルトの種類・長さ等の緒元によって最適な値を求めて設定されるようになる。
【0054】
次に、走行制御は、各授受箇所の位置を数値設定し、加減速制御と位置のフィードバック制御を行い位置決めする。移送制御については、スタート時はカットされた環状ベルト体9をスクラップ収容部Eへ移送して、次のカットされた環状ベルト体9を順次各研磨機cへ供給移送する。2巡目以降は、研磨終了機から研磨完了した製品ベルトを受取り、製品収容部Fに戻り収容してカット機bに戻り、次の環状ベルト体9を研磨終了機に移送する。休止している研磨機cに対しては、スキップ制御を行い、一貫した工程間の移送を可能としてある。
【0055】
〔別実施形態〕
《1》 複数の加工機を走行軌条の両面に配置しても良い。この場合でも2点支持状態を調節自在に反転授受させ、上下一対の受軸55,60を伸縮させれば良い。プロファイル加工工程には外観検査工程等が含まれても良い。受軸は円錐形でも良く、これに加えて回転する状態でも良い。支持部材55,60の首振り揺動、並びに出退移動は、上受軸55のみに適用しても、上下双方の受軸55,60に適用しても良い。
【0056】
《2》 本実施形態による環状ベルト体9の製造ラインは、図12に示すように、移送装置5の一方のサイドにおける移送上手側位置にフィーダーGを配置し、他方のサイドには、移送上手側から、スクラップペグ(スクラップ収容部)E、カット機b、複数の研磨機c,c,c、製品取出しペグ(製品収容部)Fをこの順に配置する構成であるが、下記▲1▼〜▲4▼のような構成の製造ラインでも良い。
【0057】
▲1▼ 図13に示すように、移送装置5の終端に続けて、移送方向が移送装置5とは90度異ならせたベルト反転装置41を設け、このベルト反転装置41の外側サイドに検尺機42と製品取出しペグFとをこの順で移送方向上手側から配置した第1別製造ライン。つまり、検尺工程と合体させたものであり、その他の部分の構成は、図12に示す本製造ラインと同じである。
【0058】
ベルト反転装置41は、図示は省略するが、一対の回転軸に亘って巻回架設されている環状ベルト体9を、押えローラ対と、90度捻ったローラ対と、180度捻ったローラ対との3組のローラ対夫々においてベルトを挟み込むことにより、環状ベルト体9の内外を入れ換える機能を発揮するものである。
【0059】
この第1別製造ラインでは、検尺機42は工程能力が高いので、全数検尺の必要が無いものではあるが、円筒状ベルトスリーブ14の投入から、検尺完了した環状ベルト体9の完成品の取出しまでの完全無人化が可能であるとともに、カット機bによるカット工程から検尺までの1本の環状ベルト体9毎のデータに対応付けできる利点を有している。
【0060】
▲2▼ 図14に示すように、図12に示す本製造ラインにおける複数の研磨機cを、複数のSCAM43に置き換えて、REベルトへの応用を図った第2別製造ライン。尚、SCAMとは、直角に小切りして、ベルト断面を矩形からV形に研削する加工機のことである。
【0061】
ラインの全長は長めとなり、移送装置5の空荷走行距離が比較的長くなって無駄時間が増える傾向にはなるが、円筒状ベルトスリーブ14の投入から、検尺完了した環状ベルト体9の完成品の取出しまでの完全無人化が可能であるとともに、カット機bによるカット工程から検尺までの1本の環状ベルト体9毎のデータに対応付けできる利点を有している。
【0062】
▲3▼ 図15に示すように、図13に示す第1別製造ラインにおける複数の研磨機cを、1台の荒切削機44と、その環状ベルト体9の移送方向下手側に配置された複数の仕上げ研磨機45とに置き換えて、REベルト(バンディット)への応用を図った第3別製造ライン。
【0063】
円筒状ベルトスリーブ14の投入から、検尺完了した環状ベルト体9の完成品の取出しまでの完全無人化が可能であるとともに、カット機bによるカット工程から検尺までの1本の環状ベルト体9毎のデータに対応付けできる利点を有している。又、環状ベルト体9がリブドベルトである場合の1本研磨装置のメリット(取付数UP)と、大幅なリードタイム短縮とが図れるようになる。
【0064】
▲4▼ 図16に示すように、図12に示す本製造ラインにおける複数の研磨機cを、端面処理機46、TGマーク打機47、検尺機42を移送方向上手側からこの順に並べて配置したものに置き換えたOHCベルト(環状ベルト体9の具体的な一例)に好適な第4別製造ライン。
【0065】
端面処理やTGマークは一部のパーツが対象となるものではあるが、円筒状ベルトスリーブ14の投入から、検尺完了した環状ベルト体9の完成品の取出しまでの完全無人化が可能であるとともに、カット機bによるカット工程から検尺までの1本の環状ベルト体9毎のデータに対応付けできる利点を有している。又、カット機bは、1本ごとに環状ベルト体9を取出すので、ロープ層の端面からの飛び出しが少ない利点もある。
【0066】
《3》 支持部材55,60が横方向(水平方向)に離れて位置している場合には、支持部材55,60の首振り方向は縦方向(図9に示すZ方向)になる。又、押出し機構19の出退方向は、前後方向(図9に示すY方向)である。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の環状ベルト体の移送方法及び移送装置によれば、環状ベルト体を2点支持状態で支持することにより、環状ベルト体の授受時の形状を目的に応じて種々に変化させることができるとともに、姿勢乱れ無く安定的に移送できるようになり、しかも、ベルトサイズ差による幅、形状の定型化が行えて環状ベルト体の移送が機敏で素早く行われるようになった。
【0068】
その結果、カット工程、プロファイル加工工程等の切断後の各種次工程とによる複数工程間における環状ベルト体の移送及び授受を、移送装置によって一貫して行えるようになり、それら各工程間における仕掛品を削減又は解消でき、又は円筒状ベルトスリーブ単位の小ロット加工にも対応できる等、生産性を大きく向上させることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】環状ベルト体の移送装置を示す正面図
【図2】図1の側面図
【図3】環状ベルト体の授受状況を示す側面図
【図4】環状ベルト体の製造ラインを示す概略の側面図
【図5】環状ベルト体の製造工程を示すフロー図
【図6】環状ベルト体の2点支持状態、及び払出し作用を示す図
【図7】環状ベルト体の2点支持状態、及び1点支持状態を示す斜視図
【図8】環状ベルト体の1点支持状態と各種2点支持状態を示す要部の正面図
【図9】下受軸の支持構造を示す斜視図
【図10】下受軸の支持構造を示す側面図
【図11】首振り機構の作用を示す平面図
【図12】図4の平面図
【図13】第1別製造ラインの概略を示す平面図
【図14】第2別製造ラインの概略を示す平面図
【図15】第3別製造ラインの概略を示す平面図
【図16】第4別製造ラインの概略を示す平面図
【符号の説明】
9 環状ベルト体
14 円筒状ベルトスリーブ
19 駆動機構
27 環状ベルト体巻回用回転軸
27t 先端面
28 軸受け部材
36,37 基端部
38,39 先端部
40 押出し機構
55,60 支持部材
78 基台
b 切断機
Claims (7)
- 加硫後の円筒状ベルトスリーブを小幅に切り出して環状ベルト体を形成する切断工程から、該切断工程にて形成された環状ベルト体を次工程に移すための環状ベルト体の移送方法であって、
前記環状ベルト体を、そのループ内側に位置させた上下一対の支持部材に亘って架設させた2点支持状態で移送させるものであり、
前記環状ベルト体を前記上下一対の支持部材によって緊張させた緊張状態で移送させる移送工程を有するとともに、
前記切断工程から前記移送工程への環状ベルト体の授受は、前記環状ベルト体の緊張力が、前記移送工程における前記環状ベルト体の緊張力よりも弱いものに緩和された緊張緩和状態で行われる授受工程を有し、
前記緊張緩和状態は、前記上下一対の支持部材の間隔を広げ、環状ベルト体を湾曲状に緊張させるものであり、
前記緊張状態は、前記上下一対の支持部材の間隔を更に広め、環状ベルト体を前記緊張緩和状態よりも緊張させるものである、環状ベルト体の移送方法。 - 加硫後の円筒状ベルトスリーブを切断して小幅の環状ベルト体を形成する切断機と、該切断機で形成された環状ベルト体を次工程に運ぶための移送装置とを備える環状ベルト体移送装置であって、
前記移送装置は、互いに離間した上下一対の支持部材と、これら支持部材を有した状態で移動走行自在な基台とを有して、前記環状ベルト体を、これが前記上下一対の支持部材に亘って架設された2点支持状態で移送するものに構成され、
上側支持部材に対して下側支持部材を駆動昇降自在とし、前記上下一対の支持部材どうしの間隔が調節自在となる昇降機構を設け、
前記昇降機構により、前記上下一対の支持部材の間隔を広げ、環状ベルト体を湾曲状に緊張させる緊張緩和状態と、前記上下一対の支持部材の間隔を更に広め、環状ベルト体を前記緊張緩和状態よりも緊張させる緊張状態と、に変更可能に構成され、
前記切断機からの前記環状ベルトの授受は、前記緊張緩和状態で行われ、前記移送装置による前記環状ベルトの移送は、前記緊張状態で行われる制御手段が設けられている、環状ベルト体移送装置。 - 前記支持部材は、前記環状ベルト体の外方への抜止め部を備えた基端部と、前記環状ベルト体の授受を行うべく解放された先端部とを有するとともに、一対の前記支持部材に亘って架設される前記環状ベルト体の緊張力が、該環状ベルト体の前記支持部材における巻掛け箇所が前記先端側に寄るほど強くなるテーパ形状に形成されている請求項2に記載の環状ベルト体移送装置。
- 前記一対の支持部材に亘って架設されている状態の前記環状ベルト体を、前記基端部から前記先端部へ向けて強制移動並びに押出し自在な押出し機構が装備されている請求項2又は3に記載の環状ベルト体移送装置。
- 前記一対の支持部材のうちの一方を、前記両支持部材どうしを結ぶ第1方向に対して交差する第2方向に首振り揺動自在に構成してある請求項2〜4のいずれか1項に記載の環状ベルト体移送装置。
- 前記一方の支持部材を、前記第1方向及び前記第2方向の双方に交差する第3方向に出退移動自在とする駆動機構が設けられている請求項5に記載の環状ベルト体移送装置。
- 前記支持部材の先端部に、加工機における前記支持部材に対応した環状ベルト体巻回用回転軸の先端面に接当自在とするための回転部材を回転自在に装備してある請求項5又は6に記載の環状ベルト体移送装置。
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