JP3553371B2 - 伝動ベルトの成形装置 - Google Patents
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- B29C2793/00—Shaping techniques involving a cutting or machining operation
- B29C2793/009—Shaping techniques involving a cutting or machining operation after shaping
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は伝動ベルトの成形装置に係り、詳しくは心線をゴム弾性体に埋設したベルトを取り付けし、その位置から移動して他の位置へ送り込み、該ベルトを少なくとも２つのプーリに掛張して走行させながら該ベルトの側面を研磨した後、加工したベルトを取出して所定場所に収容する伝動ベルトの成形装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
一般に伝動ベルトであるＶベルトは円筒状スリーブに成形され、これを台形状に切断して金型にて加硫するか、あるいはスリーブ状に加硫した後、これを台形状に切断加工することによって製造されていた。この場合、製造されたＶベルトは一般に構成材料の熱収縮、心線の位置変位、切削加工時の加工誤差により各ベルトの長さ、断面形状に誤差を有していた。特に、部分的な断面寸法変化では、Ｖベルトがプーリ溝へ嵌まった場合にベルトの位置がプーリ軸芯に対してラジカル方向へ変動することになり、これによってベルト走行時にベルトの振動ならびにテンション変動を起こし、更には機械の振動原因になっていた。
このため、成形された個々のベルトは検尺機によって設定範囲の長さをもつ合格品とそうでない不合格品に分別され、不合格品になったＶベルトは更にベルト側面を研磨することで合格品にしていた。
【０００３】
また、他の方法としては、マンドレル上にゴム層を逆成形により加硫されたスリーブを置き、このマンドレルを回転させつつ砥石板によりＶ型に削り、次いでカッターにより個々のＶベルトに分離する方法が米国特許第３８１８５７６号明細書に、またその装置が米国特許第３７１１９９６号明細書に開示されている。
【０００４】
更に、特公平４−２４２５号公報には、ベルトを駆動プーリと案内棒に沿って移動する従動プーリに掛張して回転させるベルト走行部と、ベルト側面を切削する回転可能な切削刃を有するベルト加工部と、加工中のベルト背面を押し付けるプッシュロールとからなる装置を使用し、ベルトをベルト走行部に掛張して走行させ、プッシュロールをベルト背面に当接させた後、一対の切削刃を回転させることによりＶベルトを成形することが開示されている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の装置では、ベルト走行部に掛張して走行させ、プッシュロールをベルト背面に当接させた後、一対の切削刃を回転させることによりＶベルトに成形し、成形されたＶベルトをプーリから取り出す一連の工程を有していた。そのため、それぞれ成形するベルト毎に形成されたＶベルトをプーリから取り出す時間やこれをベルト走行部に掛張する時間が必要になり、これらの工程を合理化して成形時間を短縮することが強く望まれていた。
【０００６】
本発明は、このような問題点を改善するものであり、ベルトのベルト走行部への取り付け、研磨加工、そして取り出しまでの連続した一連のベルト加工時間を大きく短縮した伝動ベルトの成形装置を提供することを目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
即ち、本願の請求項１記載の発明では、ベルトを取り付けし、その位置から移動して他の位置へ送り込み、該ベルトを少なくとも２つのプーリに掛張して走行させながら該ベルトの側面を研磨した後、加工したベルトを取り出し所定場所に収容する伝動ベルトの成形装置において、
回転軸を中心にして所定角度づつ垂直面上で旋回する回転体と、
回転体の円周方向に沿って固定した少なくとも１本以上のハンガーに吊るしたベルト群を移動させるベルト設置部と、
ベルト設置部に取り付けたベルト群を平行移動させてベルト待機場所まで送り出すベルト送り込み機構と、
ベルト待機場所に配置したベルトを摘み上げて多軸方向へ移動させる搬送部と、
ベルトを固定側のプーリと移動可能なプーリに掛張して走行させる一対のベルト走行部と、
一対のベルト走行部をそれぞれ互い違いにベルト脱着位置からベルト加工位置まで往復動可能にする走行部旋回手段と、
該ベルトの両側面に当接してベルト側面を研磨するベルト加工部と
加工したベルトを上記搬送部によって集めるベルト収容部とを備えた伝動ベルトの成形装置にある。
【０００８】
この伝動ベルトの成形装置では、ベルトを回転体のハンガーに設置した後、ベルトを所定ピッチだけ移動させるベルト設置部と、所定ピッチだけ平行移動させてベルト待機場所まで送り出し、搬送部によりベルト走行部に装着する。このベルト走行部は相対向する状態で配置し、しかもこれを旋回手段によりそれぞれ互い違いにベルト脱着位置からベルト加工位置まで旋回することにより、ベルト走行部に装着したベルトを研磨加工している間に、他方のベルト走行部をベルト脱着位置に配置して未加工のベルトをプーリに設置することができる。従って、一方のベルト走行部ではベルトを研磨加工し、同時に他方のベルト走行部では加工したベルトを取出し、未加工のベルトを取り付けすることができるため、ベルトの脱着時間を短縮することができる。
【０００９】
本願の請求項２記載の発明では、ベルト設置部のハンガーが後端部にベルト群の逆移動を阻止する半リング状のストッパーを装着している伝動ベルトの成形装置にあり、該ストッパーを設けたことによりベルト群をセット位置から送り出し位置まで正確に配置することができ、ベルト群を所定ピッチだけ平行移動させてベルト待機場所まで送り出すことができる。
【００１０】
本願の請求項３記載の発明では、ベルト送り込み機構がベルト設置部まで近接できる垂直移動手段をもったプッシュ板と、該プッシュ板をベルト設置部の長手方向に沿って移動させてベルト群を所定ピッチだけ送り込む水平移動手段を備えた伝動ベルトの成形装置にある。
【００１１】
本願の請求項４記載の発明では、搬送部がベルトを挟持する摘まみ部とこれを３軸方向へ搬送させる移動手段からなっている伝動ベルトの成形装置にある。
【００１２】
本願の請求項５記載の発明では、走行部旋回手段が各ベルト走行部を旋回軸に対して９０°往復動させる伝動ベルトの成形装置にある。
【００１３】
本願の請求項６記載の発明では、ベルト走行部の移動可能なプーリ側には、圧縮空気を該プーリの軸芯から装着したベルトの底面に向かって噴出させる粉体除去装置を具備している伝動ベルトの成形装置にあり、研磨加工中にベルト表面に付着した研磨粉を圧縮空気を吹き付けることによって除去することができ、より精度よくベルト側面を研磨することができる。
【００１４】
本願の請求項７記載の発明では、ベルト走行部には、固定側のプーリに設置したベルトの振れを抑制してプーリに掛張できるようにした遮蔽板が移動可能なプーリ側に装着されている伝動ベルトの加工装置にあり、固定側のプーリに設置したベルトがたとえ振れを起こしても遮蔽板でその振れを短時間に押さえることができ、正確に２つのプーリに取り付けることができる。
【００１５】
本願の請求項８記載の発明では、ベルト収容部が回転板上にベルトを収容する少なくとも１本以上の突出したストック棒を具備している伝動ベルトの成形装置にあり、収容した複数の加工ベルトを回転させた位置で容易に取り出すことができる。
【００１６】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照し、本発明の伝動ベルトの成形装置を説明する。図１は本発明に係る伝動ベルトの成形装置の全体図、図２は図１をＡ−Ａ方向からみた図、図３は図２をＢ−Ｂ方向から見た図、図４は図３に示すベルト加工部の平面拡大図、図５は図１をＣ−Ｃ方向からみた図、図６は回転体の旋回状態を示すモデル図、図７は搬送部を示す図、そして図８はベルト待機場所の斜視図である。
【００１７】
本発明の伝動ベルトの成形装置１は、回転軸を中心にして所定角度づつ垂直面上で旋回する回転体１０と、回転体の円周方向に沿って固定した少なくとも１本以上のハンガーに吊るしたベルト群を移動させるベルト設置部２０と、ベルト設置部２０に設置したベルト群を平行移動させてベルト待機場所まで送り出すベルト送り込み機構３０と、ベルト待機場所に配置したベルトを摘み上げて挙げて多軸方向へ移動させる搬送部４０と、ベルトを固定側のプーリと移動可能なプーリに掛張して走行させる一対のベルト走行部５０ａ、５０ｂと、一対のベルト走行部５０ａ、５０ｂをそれぞれ互い違いにベルト脱着位置６からベルト加工位置５まで往復動可能にする走行部旋回手段７０と、該ベルトの両側面に当接してベルト側面を研磨するベルト加工部８０と、そして加工したベルトを上記搬送部によって所定個所に集めるベルト収容部９０から構成されている。
【００１８】
回転体１０は図１、図５、そして図６に示すように、フレーム１１に固定した回転軸１２に装着したリング体で、垂直面上で所定角度づつ旋回するようにモーターのような原動機１３を装着している。回転体１０の外輪に所定ピッチで設けた凹状の受け皿１４がフレーム１１に固定したロック部材１５に設けたシリンダー１６の作動によって突出ピン１７と嵌合し、回転体１０を停止させる。
【００１９】
ベルト設置部２０では、図１、図５〜図８に示すように複数のベルト２群を設置するための棒状のハンガー２１が回転体１０の外輪に沿って所定間隔をおいて突出した状態で装着している。該ハンガー２１は最先端に最前列のベルト２を位置させるベルト待機場所２５をもち、また逆の根元にはベルト２群の逆移動を阻止する半リング状のストッパー２２を装着している。
【００２０】
このストッパー２２は、図６に示すようにベルトセット位置３において開口部２３が下半分に位置するように取り付けてベルト２群の配列を乱さずに設置している。ベルト送り出し位置４はベルトセット位置３のハンガー２１が１８０°旋回した位置にあり、この位置４ではストッパー２２の開口部２３が上半分に位置し、後述するようにベルトの送り出しを容易にしている。また、ベルトセット位置３からベルト送り出し位置４までの半周経路では最後列のベルト２が常時ストッパー２２に当接して列を乱すことがない。
【００２１】
ベルト待機場所２５は、図８に示すように傾斜面２６と凹状のベルト収容部２７と上方へ突出したストッパー２８を連続して設けた一対の板状体２９を所定の間隔を置いて平行に配置している。この板状体２９の間隔は把持部材４３が入る充分なスペースをもって設定されている。板状体２９が一枚であれば、ベルト２の接触面積が小さく、ベルトの向き（傾き）が非常に不安定なものになり、ベルト２を把持することが困難なばかりか、把持部材４３の構造も複雑になる。
ベルト待機場所２７はベルト２を安定して設置する充分な幅を有し、またストッパー２８はベルト２を凹状のベルト待機場所２７内に収め、ベルト２の落下を防止している。この高さはベルト２が落下しない程度である。
【００２２】
ベルト送り込み機構３０は図１と図５に示すように、ベルト設置部２０に取り付けたベルト２群を所定ピッチだけ平行移動させてベルト待機場所２５まで送り出す機能を有するものであり、ハンガー２１まで近接できるシリンダー３２からなる垂直移動手段３１をもったプッシュ板３３と、該プッシュ板３３をベルト設置部２０のハンガー２１の長手方向に沿って移動させてベルト２群を所定ピッチだけ送り込む水平移動手段３４を備えている。
【００２３】
水平移動手段３４はボールネジ３６に嵌め込んだベース台３７を一対のレール３５上に設置し、ボールネジ３６をサーボモータのような原動機３８で回転させることにより往復動し、ベース台３７上に固定した垂直移動手段３１を移動させている。
【００２４】
シリンダー３２の動作により降下したプッシュ板３３はストッパー２２の開口部２３に収容され、そして水平移動手段３４の動作によってハンガー２１の長手方向に沿って往復動し、これによりハンガー２１に吊り下げたベルト２群を所定ピッチ（この場合には一本のベルト幅に相当する長さ）だけ先端方向へ送り出し、最先端のベルト２をハンガー２１の先端に設けたベルト待機場所２５へ送る。ベルト２はハンガー２１から傾斜面５１に沿ってベルト待機場所２５へ移動し、待機する。
【００２５】
搬送部４０は、ベルトを挟持する摘まみ部４１とこれを多軸方向へ搬送させる移動手段４２からなっているが、摘まみ部４１は一対の相対向した把持部材４３をチャック４４により開閉してベルト２を掴むことができる。また、移動手段４２はハンガー２１の先端に設けたベルト待機場所２５から固定された駆動プーリ５１側に近づく方向へ移動するＸ方向第１シリンダー４５と、該Ｘ方向第１シリンダー４５の作動によって移動するＸ方向第２シリンダー４６と、摘まみ部４１を上下方向へ移動させるＺ方向シリンダー４７と、これらのシリンダー４５、４６、４７をＸ方向と直交する方向へ移動させるロッドレスシリンダーのようなＹ方向シリンダー４９を有しており、摘まみ部４１を上下方向、左右方向、これと直交する方向の３軸方向へ移動させる。
【００２６】
Ｘ方向第１シリンダー４５はＸ方向第２シリンダー４６を移動させ、Ｘ方向第２シリンダー４６はＺ方向シリンダー４７を移動させ、またＹ方向シリンダー４９はＸ方向第１シリンダー４５、Ｘ方向第２シリンダー４６、そしてＺ方向シリンダー４７を一緒に移動させる。
【００２７】
ベルト走行部５０ａ、５０ｂは固定された駆動プーリ５１とガイド棒５３に沿って移動してベルト２に一定の張力を付与する従動プーリ５２からなり、上記駆動プーリ５１の回転は支持台５４に設置した原動機５５から伝動ベルト５６を介して伝達される。また、駆動プーリ５１はベルト２を簡単に取出せるようにしたベルト取出し補助装置５７を装着し、プーリの外周を旋回するガイド板５８を配置している。
即ち、図９と図１０に示すように、ベルト２を駆動プーリ５１に取り付ける場合には、ガイド板５８を駆動プーリ５１の下側に位置させ、一方ベルトを取出す場合にはこのガイド板５８を１８０°旋回させてベルト２をガイド板５８上に持ち上げる。
【００２８】
従動プーリ５２はシリンダー５９の作動によって２本のガイド棒５３を上下方向にスライドしてベルトに張力を付与し、また圧縮空気を該プーリの軸芯から装着したベルトの底面に向かって噴出させてベルトに付着した粉体を除去する粉体除去装置６２や、ベルトの振れを抑制して従動プーリ５２に確実に掛けるようにした遮蔽板６４も具備し、これらは従動プーリ５２とともに移動する。
【００２９】
上記の一対のベルト走行部５０ａ、５０ｂは相対向した状態で配置し、走行部旋回手段７０によりベルト加工位置５からベルト脱着位置６まで互い違いに旋回する。即ち、一方のベルト走行部５０ａでベルト２を研磨している間に、他方のベルト走行部５０ｂには加工したベルト２を取出しあるいは未加工のベルト２をプーリに取り付けることができる。
【００３０】
この走行部旋回手段７０はベルト走行部５０ａ、５０ｂを設置した支持台５４をベルト加工部８０の設置台８１に固定したシリンダー７１のロッド７２に連結し、更に支持台５４には軸受け７３に挿入された回転軸７４を設けている。上記シリンダー７１を作動させると、支持台５４は図３に示す旋回線Ｌのように回転軸７４を中心にしてベルト加工位置５からベルト脱着位置６まで９０°旋回する。上記一対のベルト走行部５０ａ、５０ｂの動きは違い違いに挙動する。即ち、一方のベルト走行部５０ａがベルトを研磨している間には、他方のベルト走行部５０ｂはベルト脱着位置６で加工したベルト２を取出しあるいは未加工のベルト２をプーリに取り付ける。
【００３１】
ベルト加工部８０は図３と図４に示すように、設置台８１上に配置された一対のテーブル８２上に置かれている。一対の原動機８３がそれぞれ図中（イ）方向に移動可能なテーブル８２上に配置され、この原動機８３には増速機８５、軸受け８９、そして駆動軸８６が直列に連結している。サンディングぺーパのような研磨部材８８は上記駆動軸８６と他の軸受け８９に支持された従動軸８７の間に走行可能に装着し、ベルト２側面を研磨するときはこれに当接するまで移動して、研磨加工する。
【００３２】
ベルト側面の研磨角の調節は調節原動機８３を設置したテーブル８２設置台８１上に敷設された円弧状のレールを軌道させるとにより行うことができ、また一対の研磨部材８８は図中矢印方向（イ）に移動可能でベルト２に離反または当接可能になっている。
なお、ベルトの研磨加工を精度よく行うために、ベルト背面を押すプッシュロール（図示せず）をテーブル８２上に設けることもできる。
【００３３】
ベルト収容部９０は加工したベルト２を上記搬送部４０の摘まみ部４１によって所定個所に集める所であり、回転板９１上に加工済みベルト２を収容する少なくとも１本以上の突出したストック棒９２を具備している。ストック棒９２に所定本数の加工済みベルト２が溜まると、ベルト取り出し位置まで回転板９１を回転させ、他方空のストック棒９２をベルト待機場所２５付近に近接させる。
【００３４】
以下に本発明に係る伝動ベルトの加工装置の動作について説明する。
ここで使用するベルト２は断面台形状に切断されたものであり、図１０に示すように円筒状成形ドラム１００に伸縮性を有する帆布１０１、例えば経糸と緯糸との交叉角が９０°から１５５°の伸縮性良好なバイアス帆布を上記ドラムの円周方向、即ちベルト長手方向に１から数プライ巻き付け、次いで下部ゴム層１０２を積層し、更にポリエステル繊維などの高強度で低伸度のロープ状の心線１０３を螺旋状に巻き付け、更に下部ゴム層１０２よりも薄い上部ゴム層１０５を積層し、そして表面層に前記伸縮性を有する帆布１０６を１から数プライ巻き付ける。尚、上下部ゴム層１０２、１０５にベルト幅方向に配列した短繊維を、例えば綿、ナイロン、アラミド等の繊維を混入してもよい。
このようにして得られた積層体は公知の加圧加熱手段により加硫され加硫スリーブとなり、該加硫スリーブはマンドレルを使用することなくカッターにより断面台形状のベルト単体に切断され、上記の伝動ベルトの加工装置によりＶ状に研磨加工される。
【００３５】
図５に示すように、ベルトセット位置３のベルト設置部２０のハンガー２１上には、複数のベルト２群が吊り下げられると、所定角度だけ移動して空のハンガー２１をベルトセット位置３に固定させると再度ベルト２群を取り付ける。このようにして４本のハンガー２１にベルト２群を吊り下げて旋回させる。
【００３６】
ベルト送り出し位置４では、ベルト送り込み機構３０のシリンダー３２の動作により降下したプッシュ板３３はストッパー２２の開口部２３に収容され、そして水平移動手段３４の動作によってハンガー２１を長手方向に沿って往復動させ、これによりハンガー２１に吊り下げたベルト２群を所定ピッチが作動し、先端のベルト２をハンガー２１の先端に設けたベルト待機場所２５へ送って、ここで待機させる。
【００３７】
搬送部４０の摘まみ部４１をＺ方向シリンダー４７の作動により下降させて待機しているベルト２を一対の把持部材４３により掴むと、Ｚ方向シリンダー４７の作動により上昇させ、そしてこの位置でＸ方向第１シリンダー４５によって把持部材４３を前方へ突出させてベルト２をベルト待機場所２５から移動させる。
【００３８】
図１と図７に示すように、把持部材４３はこの状態でＹ方向シリンダー４９の作動により、ベルト脱着位置６に待機している一方のベルト走行部５０ａの固定された駆動プーリ５１に近づき、ベルト２を落下させて駆動プーリ５１に装着するが、このとき落下したベルト２の振れは遮蔽板６４で減衰される。 従動プーリ５２は シリンダー５９の作動によりガイド棒５３に沿って下降し、ベルトに張力を与える。
【００３９】
このとき、他方のベルト走行部５０ｂは研磨加工中であり、加工が終了すると９０°旋回してベルト脱着位置６に移動する。一方、前述の未加工ベルト２を装着したベルト走行部５０ａは９０°旋回してベルト加工位置５まで移動する。その後、ベルト加工部８０の一対の原動機８３は近接移動して回転中の研磨部材８８を走行中の未加工ベルト２に当接させ、研磨加工を行う。このとき、研磨中のベルト底面には、従動プーリ５２の軸芯から圧縮空気を送り込んで、表面に付着している粉体を除去する。
【００４０】
上記の研磨加工中にベルト脱着位置６に移動した加工済みベルトを装着したベルト走行部５０ｂにおいては、従動プーリ５２を上昇させてベルト張力を開放した後、ベルト取出し補助装置５７のガイド板５８をプーリの下側から上側の位置まで１８０°旋回してベルトをガイド板５８上に持ち上げる
搬送部４０の把持部材４３によりベルト２を摘みあげて駆動プーリ５１から取出し、加工済みベルト２をベルト収容部９０の回転板９１のストック棒９２に落下して収容する。
【００４１】
研磨加工されたベルト２は側面が凹凸あるいは短繊維が突出した表面状態になり、かかるベルトを走行させると騒音が減少する効果がある。
【００４２】
【発明の効果】
以上のように、本願の請求項１及び５記載の発明では、この伝動ベルトの成形装置では、ベルトを回転体のハンガーに設置した後、ベルトを所定ピッチだけ移動させるベルト設置部と、所定ピッチだけ平行移動させてベルト待機場所まで送り出し、搬送部によりベルト走行部に装着する。このベルト走行部は相対向する状態で配置し、しかもこれを旋回手段によりそれぞれ互い違いにベルト脱着位置からベルト加工位置まで旋回することにより、ベルト走行部に装着したベルトを研磨加工している間に、他方のベルト走行部をベルト脱着位置に配置して未加工のベルトをプーリに設置することができる。従って、一方のベルト走行部ではベルトを研磨加工し、同時に他方のベルト走行部では加工したベルトを取出し、未加工のベルトを取り付けすることができるため、ベルトの脱着時間を短縮することができる。
【００４３】
本願の請求項２記載の発明では、ベルト設置部のハンガーが後端部にベルト群の逆移動を阻止する半リング状のストッパーを装着しており、ベルト群をセット位置から送り出し位置まで正確に配置することができ、ベルト群を所定ピッチだけ平行移動させてベルト待機場所まで送り出すことができる。
【００４４】
本願の請求項３記載の発明では、ベルト送り込み機構がベルト設置部まで近接できる垂直移動手段をもったプッシュ板と、該プッシュ板をベルト設置部の長手方向に沿って移動させてベルト群を所定ピッチだけ送り込む水平移動手段を備えており、確実にベルトを送り込むことができる。
【００４５】
本願の請求項４記載の発明では、搬送部がベルトを挟持する摘まみ部とこれを３軸方向へ搬送させる移動手段からなっており、ベルトをベルト待機場所から駆動プール、そしてベルト収容部の案内棒付近までの他方面へ移動させることができる。
【００４６】
本願の請求項６記載の発明では、ベルト走行部の移動可能なプーリ側には、圧縮空気を該プーリの軸芯から装着したベルトの底面に向かって噴出させる粉体除去装置を具備している伝動ベルトの成形装置にあり、研磨加工中にベルト表面に付着した研磨粉を圧縮空気により除去し、これにより精度よくベルト側面を研磨することができる。
【００４７】
本願の請求項７記載の発明では、ベルト走行部には、固定側のプーリに設置したベルトの振れを抑制してプーリに掛張できるようにした遮蔽板が移動可能なプーリ側に装着されている伝動ベルトの加工装置にあり、固定側のプーリに設置したベルトがたとえ振れを起こしても遮蔽板でその振れを短時間に押さえることができ、正確に２つのプーリに取り付けることができる。
【００４８】
本願の請求項８記載の発明では、ベルト収容部が回転板上にベルトを収容する少なくとも１本以上の突出したストック棒を具備している伝動ベルトの成形装置にあり、収容した複数の加工ベルトを回転させた位置で容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る伝動ベルトの成形装置の全体図である。
【図２】図１をＡ−Ａ方向からみた図である。
【図３】図２をＢ−Ｂ方向から見た図である。
【図４】図３に示すベルト加工部の平面拡大図である。
【図５】図１をＣ−Ｃ方向からみた図である。
【図６】回転体の旋回状態を示すモデル図である。
【図７】搬送部を示す図である。
【図８】ベルト待機場所の斜視図である。
【図９】ベルトを駆動プーリに取り付ける場合におけるガイド板を駆動プーリの関係を示す図である。
【図１０】ベルトを取出す場合におけるガイド板を駆動プーリの関係を示す図である。
【図１１】ベルト単体の製造例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
１ 伝動ベルトの成形装置
２ ベルト
５ ベルト加工位置
６ ベルト脱着位置
１０ 回転体
２０ ベルト設置部
３０ ベルト送り込み機構
４０ 搬送部
５０ａ ベルト走行部
５０ｂ ベルト走行部
５１ 駆動プーリ
５２ 従動プーリ
６２ 粉体除去装置
６４ 遮蔽板
７０ 走行部旋回手段
８０ ベルト加工部
９０ ベルト収容部
【発明の属する技術分野】
本発明は伝動ベルトの成形装置に係り、詳しくは心線をゴム弾性体に埋設したベルトを取り付けし、その位置から移動して他の位置へ送り込み、該ベルトを少なくとも２つのプーリに掛張して走行させながら該ベルトの側面を研磨した後、加工したベルトを取出して所定場所に収容する伝動ベルトの成形装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
一般に伝動ベルトであるＶベルトは円筒状スリーブに成形され、これを台形状に切断して金型にて加硫するか、あるいはスリーブ状に加硫した後、これを台形状に切断加工することによって製造されていた。この場合、製造されたＶベルトは一般に構成材料の熱収縮、心線の位置変位、切削加工時の加工誤差により各ベルトの長さ、断面形状に誤差を有していた。特に、部分的な断面寸法変化では、Ｖベルトがプーリ溝へ嵌まった場合にベルトの位置がプーリ軸芯に対してラジカル方向へ変動することになり、これによってベルト走行時にベルトの振動ならびにテンション変動を起こし、更には機械の振動原因になっていた。
このため、成形された個々のベルトは検尺機によって設定範囲の長さをもつ合格品とそうでない不合格品に分別され、不合格品になったＶベルトは更にベルト側面を研磨することで合格品にしていた。
【０００３】
また、他の方法としては、マンドレル上にゴム層を逆成形により加硫されたスリーブを置き、このマンドレルを回転させつつ砥石板によりＶ型に削り、次いでカッターにより個々のＶベルトに分離する方法が米国特許第３８１８５７６号明細書に、またその装置が米国特許第３７１１９９６号明細書に開示されている。
【０００４】
更に、特公平４−２４２５号公報には、ベルトを駆動プーリと案内棒に沿って移動する従動プーリに掛張して回転させるベルト走行部と、ベルト側面を切削する回転可能な切削刃を有するベルト加工部と、加工中のベルト背面を押し付けるプッシュロールとからなる装置を使用し、ベルトをベルト走行部に掛張して走行させ、プッシュロールをベルト背面に当接させた後、一対の切削刃を回転させることによりＶベルトを成形することが開示されている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の装置では、ベルト走行部に掛張して走行させ、プッシュロールをベルト背面に当接させた後、一対の切削刃を回転させることによりＶベルトに成形し、成形されたＶベルトをプーリから取り出す一連の工程を有していた。そのため、それぞれ成形するベルト毎に形成されたＶベルトをプーリから取り出す時間やこれをベルト走行部に掛張する時間が必要になり、これらの工程を合理化して成形時間を短縮することが強く望まれていた。
【０００６】
本発明は、このような問題点を改善するものであり、ベルトのベルト走行部への取り付け、研磨加工、そして取り出しまでの連続した一連のベルト加工時間を大きく短縮した伝動ベルトの成形装置を提供することを目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
即ち、本願の請求項１記載の発明では、ベルトを取り付けし、その位置から移動して他の位置へ送り込み、該ベルトを少なくとも２つのプーリに掛張して走行させながら該ベルトの側面を研磨した後、加工したベルトを取り出し所定場所に収容する伝動ベルトの成形装置において、
回転軸を中心にして所定角度づつ垂直面上で旋回する回転体と、
回転体の円周方向に沿って固定した少なくとも１本以上のハンガーに吊るしたベルト群を移動させるベルト設置部と、
ベルト設置部に取り付けたベルト群を平行移動させてベルト待機場所まで送り出すベルト送り込み機構と、
ベルト待機場所に配置したベルトを摘み上げて多軸方向へ移動させる搬送部と、
ベルトを固定側のプーリと移動可能なプーリに掛張して走行させる一対のベルト走行部と、
一対のベルト走行部をそれぞれ互い違いにベルト脱着位置からベルト加工位置まで往復動可能にする走行部旋回手段と、
該ベルトの両側面に当接してベルト側面を研磨するベルト加工部と
加工したベルトを上記搬送部によって集めるベルト収容部とを備えた伝動ベルトの成形装置にある。
【０００８】
この伝動ベルトの成形装置では、ベルトを回転体のハンガーに設置した後、ベルトを所定ピッチだけ移動させるベルト設置部と、所定ピッチだけ平行移動させてベルト待機場所まで送り出し、搬送部によりベルト走行部に装着する。このベルト走行部は相対向する状態で配置し、しかもこれを旋回手段によりそれぞれ互い違いにベルト脱着位置からベルト加工位置まで旋回することにより、ベルト走行部に装着したベルトを研磨加工している間に、他方のベルト走行部をベルト脱着位置に配置して未加工のベルトをプーリに設置することができる。従って、一方のベルト走行部ではベルトを研磨加工し、同時に他方のベルト走行部では加工したベルトを取出し、未加工のベルトを取り付けすることができるため、ベルトの脱着時間を短縮することができる。
【０００９】
本願の請求項２記載の発明では、ベルト設置部のハンガーが後端部にベルト群の逆移動を阻止する半リング状のストッパーを装着している伝動ベルトの成形装置にあり、該ストッパーを設けたことによりベルト群をセット位置から送り出し位置まで正確に配置することができ、ベルト群を所定ピッチだけ平行移動させてベルト待機場所まで送り出すことができる。
【００１０】
本願の請求項３記載の発明では、ベルト送り込み機構がベルト設置部まで近接できる垂直移動手段をもったプッシュ板と、該プッシュ板をベルト設置部の長手方向に沿って移動させてベルト群を所定ピッチだけ送り込む水平移動手段を備えた伝動ベルトの成形装置にある。
【００１１】
本願の請求項４記載の発明では、搬送部がベルトを挟持する摘まみ部とこれを３軸方向へ搬送させる移動手段からなっている伝動ベルトの成形装置にある。
【００１２】
本願の請求項５記載の発明では、走行部旋回手段が各ベルト走行部を旋回軸に対して９０°往復動させる伝動ベルトの成形装置にある。
【００１３】
本願の請求項６記載の発明では、ベルト走行部の移動可能なプーリ側には、圧縮空気を該プーリの軸芯から装着したベルトの底面に向かって噴出させる粉体除去装置を具備している伝動ベルトの成形装置にあり、研磨加工中にベルト表面に付着した研磨粉を圧縮空気を吹き付けることによって除去することができ、より精度よくベルト側面を研磨することができる。
【００１４】
本願の請求項７記載の発明では、ベルト走行部には、固定側のプーリに設置したベルトの振れを抑制してプーリに掛張できるようにした遮蔽板が移動可能なプーリ側に装着されている伝動ベルトの加工装置にあり、固定側のプーリに設置したベルトがたとえ振れを起こしても遮蔽板でその振れを短時間に押さえることができ、正確に２つのプーリに取り付けることができる。
【００１５】
本願の請求項８記載の発明では、ベルト収容部が回転板上にベルトを収容する少なくとも１本以上の突出したストック棒を具備している伝動ベルトの成形装置にあり、収容した複数の加工ベルトを回転させた位置で容易に取り出すことができる。
【００１６】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照し、本発明の伝動ベルトの成形装置を説明する。図１は本発明に係る伝動ベルトの成形装置の全体図、図２は図１をＡ−Ａ方向からみた図、図３は図２をＢ−Ｂ方向から見た図、図４は図３に示すベルト加工部の平面拡大図、図５は図１をＣ−Ｃ方向からみた図、図６は回転体の旋回状態を示すモデル図、図７は搬送部を示す図、そして図８はベルト待機場所の斜視図である。
【００１７】
本発明の伝動ベルトの成形装置１は、回転軸を中心にして所定角度づつ垂直面上で旋回する回転体１０と、回転体の円周方向に沿って固定した少なくとも１本以上のハンガーに吊るしたベルト群を移動させるベルト設置部２０と、ベルト設置部２０に設置したベルト群を平行移動させてベルト待機場所まで送り出すベルト送り込み機構３０と、ベルト待機場所に配置したベルトを摘み上げて挙げて多軸方向へ移動させる搬送部４０と、ベルトを固定側のプーリと移動可能なプーリに掛張して走行させる一対のベルト走行部５０ａ、５０ｂと、一対のベルト走行部５０ａ、５０ｂをそれぞれ互い違いにベルト脱着位置６からベルト加工位置５まで往復動可能にする走行部旋回手段７０と、該ベルトの両側面に当接してベルト側面を研磨するベルト加工部８０と、そして加工したベルトを上記搬送部によって所定個所に集めるベルト収容部９０から構成されている。
【００１８】
回転体１０は図１、図５、そして図６に示すように、フレーム１１に固定した回転軸１２に装着したリング体で、垂直面上で所定角度づつ旋回するようにモーターのような原動機１３を装着している。回転体１０の外輪に所定ピッチで設けた凹状の受け皿１４がフレーム１１に固定したロック部材１５に設けたシリンダー１６の作動によって突出ピン１７と嵌合し、回転体１０を停止させる。
【００１９】
ベルト設置部２０では、図１、図５〜図８に示すように複数のベルト２群を設置するための棒状のハンガー２１が回転体１０の外輪に沿って所定間隔をおいて突出した状態で装着している。該ハンガー２１は最先端に最前列のベルト２を位置させるベルト待機場所２５をもち、また逆の根元にはベルト２群の逆移動を阻止する半リング状のストッパー２２を装着している。
【００２０】
このストッパー２２は、図６に示すようにベルトセット位置３において開口部２３が下半分に位置するように取り付けてベルト２群の配列を乱さずに設置している。ベルト送り出し位置４はベルトセット位置３のハンガー２１が１８０°旋回した位置にあり、この位置４ではストッパー２２の開口部２３が上半分に位置し、後述するようにベルトの送り出しを容易にしている。また、ベルトセット位置３からベルト送り出し位置４までの半周経路では最後列のベルト２が常時ストッパー２２に当接して列を乱すことがない。
【００２１】
ベルト待機場所２５は、図８に示すように傾斜面２６と凹状のベルト収容部２７と上方へ突出したストッパー２８を連続して設けた一対の板状体２９を所定の間隔を置いて平行に配置している。この板状体２９の間隔は把持部材４３が入る充分なスペースをもって設定されている。板状体２９が一枚であれば、ベルト２の接触面積が小さく、ベルトの向き（傾き）が非常に不安定なものになり、ベルト２を把持することが困難なばかりか、把持部材４３の構造も複雑になる。
ベルト待機場所２７はベルト２を安定して設置する充分な幅を有し、またストッパー２８はベルト２を凹状のベルト待機場所２７内に収め、ベルト２の落下を防止している。この高さはベルト２が落下しない程度である。
【００２２】
ベルト送り込み機構３０は図１と図５に示すように、ベルト設置部２０に取り付けたベルト２群を所定ピッチだけ平行移動させてベルト待機場所２５まで送り出す機能を有するものであり、ハンガー２１まで近接できるシリンダー３２からなる垂直移動手段３１をもったプッシュ板３３と、該プッシュ板３３をベルト設置部２０のハンガー２１の長手方向に沿って移動させてベルト２群を所定ピッチだけ送り込む水平移動手段３４を備えている。
【００２３】
水平移動手段３４はボールネジ３６に嵌め込んだベース台３７を一対のレール３５上に設置し、ボールネジ３６をサーボモータのような原動機３８で回転させることにより往復動し、ベース台３７上に固定した垂直移動手段３１を移動させている。
【００２４】
シリンダー３２の動作により降下したプッシュ板３３はストッパー２２の開口部２３に収容され、そして水平移動手段３４の動作によってハンガー２１の長手方向に沿って往復動し、これによりハンガー２１に吊り下げたベルト２群を所定ピッチ（この場合には一本のベルト幅に相当する長さ）だけ先端方向へ送り出し、最先端のベルト２をハンガー２１の先端に設けたベルト待機場所２５へ送る。ベルト２はハンガー２１から傾斜面５１に沿ってベルト待機場所２５へ移動し、待機する。
【００２５】
搬送部４０は、ベルトを挟持する摘まみ部４１とこれを多軸方向へ搬送させる移動手段４２からなっているが、摘まみ部４１は一対の相対向した把持部材４３をチャック４４により開閉してベルト２を掴むことができる。また、移動手段４２はハンガー２１の先端に設けたベルト待機場所２５から固定された駆動プーリ５１側に近づく方向へ移動するＸ方向第１シリンダー４５と、該Ｘ方向第１シリンダー４５の作動によって移動するＸ方向第２シリンダー４６と、摘まみ部４１を上下方向へ移動させるＺ方向シリンダー４７と、これらのシリンダー４５、４６、４７をＸ方向と直交する方向へ移動させるロッドレスシリンダーのようなＹ方向シリンダー４９を有しており、摘まみ部４１を上下方向、左右方向、これと直交する方向の３軸方向へ移動させる。
【００２６】
Ｘ方向第１シリンダー４５はＸ方向第２シリンダー４６を移動させ、Ｘ方向第２シリンダー４６はＺ方向シリンダー４７を移動させ、またＹ方向シリンダー４９はＸ方向第１シリンダー４５、Ｘ方向第２シリンダー４６、そしてＺ方向シリンダー４７を一緒に移動させる。
【００２７】
ベルト走行部５０ａ、５０ｂは固定された駆動プーリ５１とガイド棒５３に沿って移動してベルト２に一定の張力を付与する従動プーリ５２からなり、上記駆動プーリ５１の回転は支持台５４に設置した原動機５５から伝動ベルト５６を介して伝達される。また、駆動プーリ５１はベルト２を簡単に取出せるようにしたベルト取出し補助装置５７を装着し、プーリの外周を旋回するガイド板５８を配置している。
即ち、図９と図１０に示すように、ベルト２を駆動プーリ５１に取り付ける場合には、ガイド板５８を駆動プーリ５１の下側に位置させ、一方ベルトを取出す場合にはこのガイド板５８を１８０°旋回させてベルト２をガイド板５８上に持ち上げる。
【００２８】
従動プーリ５２はシリンダー５９の作動によって２本のガイド棒５３を上下方向にスライドしてベルトに張力を付与し、また圧縮空気を該プーリの軸芯から装着したベルトの底面に向かって噴出させてベルトに付着した粉体を除去する粉体除去装置６２や、ベルトの振れを抑制して従動プーリ５２に確実に掛けるようにした遮蔽板６４も具備し、これらは従動プーリ５２とともに移動する。
【００２９】
上記の一対のベルト走行部５０ａ、５０ｂは相対向した状態で配置し、走行部旋回手段７０によりベルト加工位置５からベルト脱着位置６まで互い違いに旋回する。即ち、一方のベルト走行部５０ａでベルト２を研磨している間に、他方のベルト走行部５０ｂには加工したベルト２を取出しあるいは未加工のベルト２をプーリに取り付けることができる。
【００３０】
この走行部旋回手段７０はベルト走行部５０ａ、５０ｂを設置した支持台５４をベルト加工部８０の設置台８１に固定したシリンダー７１のロッド７２に連結し、更に支持台５４には軸受け７３に挿入された回転軸７４を設けている。上記シリンダー７１を作動させると、支持台５４は図３に示す旋回線Ｌのように回転軸７４を中心にしてベルト加工位置５からベルト脱着位置６まで９０°旋回する。上記一対のベルト走行部５０ａ、５０ｂの動きは違い違いに挙動する。即ち、一方のベルト走行部５０ａがベルトを研磨している間には、他方のベルト走行部５０ｂはベルト脱着位置６で加工したベルト２を取出しあるいは未加工のベルト２をプーリに取り付ける。
【００３１】
ベルト加工部８０は図３と図４に示すように、設置台８１上に配置された一対のテーブル８２上に置かれている。一対の原動機８３がそれぞれ図中（イ）方向に移動可能なテーブル８２上に配置され、この原動機８３には増速機８５、軸受け８９、そして駆動軸８６が直列に連結している。サンディングぺーパのような研磨部材８８は上記駆動軸８６と他の軸受け８９に支持された従動軸８７の間に走行可能に装着し、ベルト２側面を研磨するときはこれに当接するまで移動して、研磨加工する。
【００３２】
ベルト側面の研磨角の調節は調節原動機８３を設置したテーブル８２設置台８１上に敷設された円弧状のレールを軌道させるとにより行うことができ、また一対の研磨部材８８は図中矢印方向（イ）に移動可能でベルト２に離反または当接可能になっている。
なお、ベルトの研磨加工を精度よく行うために、ベルト背面を押すプッシュロール（図示せず）をテーブル８２上に設けることもできる。
【００３３】
ベルト収容部９０は加工したベルト２を上記搬送部４０の摘まみ部４１によって所定個所に集める所であり、回転板９１上に加工済みベルト２を収容する少なくとも１本以上の突出したストック棒９２を具備している。ストック棒９２に所定本数の加工済みベルト２が溜まると、ベルト取り出し位置まで回転板９１を回転させ、他方空のストック棒９２をベルト待機場所２５付近に近接させる。
【００３４】
以下に本発明に係る伝動ベルトの加工装置の動作について説明する。
ここで使用するベルト２は断面台形状に切断されたものであり、図１０に示すように円筒状成形ドラム１００に伸縮性を有する帆布１０１、例えば経糸と緯糸との交叉角が９０°から１５５°の伸縮性良好なバイアス帆布を上記ドラムの円周方向、即ちベルト長手方向に１から数プライ巻き付け、次いで下部ゴム層１０２を積層し、更にポリエステル繊維などの高強度で低伸度のロープ状の心線１０３を螺旋状に巻き付け、更に下部ゴム層１０２よりも薄い上部ゴム層１０５を積層し、そして表面層に前記伸縮性を有する帆布１０６を１から数プライ巻き付ける。尚、上下部ゴム層１０２、１０５にベルト幅方向に配列した短繊維を、例えば綿、ナイロン、アラミド等の繊維を混入してもよい。
このようにして得られた積層体は公知の加圧加熱手段により加硫され加硫スリーブとなり、該加硫スリーブはマンドレルを使用することなくカッターにより断面台形状のベルト単体に切断され、上記の伝動ベルトの加工装置によりＶ状に研磨加工される。
【００３５】
図５に示すように、ベルトセット位置３のベルト設置部２０のハンガー２１上には、複数のベルト２群が吊り下げられると、所定角度だけ移動して空のハンガー２１をベルトセット位置３に固定させると再度ベルト２群を取り付ける。このようにして４本のハンガー２１にベルト２群を吊り下げて旋回させる。
【００３６】
ベルト送り出し位置４では、ベルト送り込み機構３０のシリンダー３２の動作により降下したプッシュ板３３はストッパー２２の開口部２３に収容され、そして水平移動手段３４の動作によってハンガー２１を長手方向に沿って往復動させ、これによりハンガー２１に吊り下げたベルト２群を所定ピッチが作動し、先端のベルト２をハンガー２１の先端に設けたベルト待機場所２５へ送って、ここで待機させる。
【００３７】
搬送部４０の摘まみ部４１をＺ方向シリンダー４７の作動により下降させて待機しているベルト２を一対の把持部材４３により掴むと、Ｚ方向シリンダー４７の作動により上昇させ、そしてこの位置でＸ方向第１シリンダー４５によって把持部材４３を前方へ突出させてベルト２をベルト待機場所２５から移動させる。
【００３８】
図１と図７に示すように、把持部材４３はこの状態でＹ方向シリンダー４９の作動により、ベルト脱着位置６に待機している一方のベルト走行部５０ａの固定された駆動プーリ５１に近づき、ベルト２を落下させて駆動プーリ５１に装着するが、このとき落下したベルト２の振れは遮蔽板６４で減衰される。 従動プーリ５２は シリンダー５９の作動によりガイド棒５３に沿って下降し、ベルトに張力を与える。
【００３９】
このとき、他方のベルト走行部５０ｂは研磨加工中であり、加工が終了すると９０°旋回してベルト脱着位置６に移動する。一方、前述の未加工ベルト２を装着したベルト走行部５０ａは９０°旋回してベルト加工位置５まで移動する。その後、ベルト加工部８０の一対の原動機８３は近接移動して回転中の研磨部材８８を走行中の未加工ベルト２に当接させ、研磨加工を行う。このとき、研磨中のベルト底面には、従動プーリ５２の軸芯から圧縮空気を送り込んで、表面に付着している粉体を除去する。
【００４０】
上記の研磨加工中にベルト脱着位置６に移動した加工済みベルトを装着したベルト走行部５０ｂにおいては、従動プーリ５２を上昇させてベルト張力を開放した後、ベルト取出し補助装置５７のガイド板５８をプーリの下側から上側の位置まで１８０°旋回してベルトをガイド板５８上に持ち上げる
搬送部４０の把持部材４３によりベルト２を摘みあげて駆動プーリ５１から取出し、加工済みベルト２をベルト収容部９０の回転板９１のストック棒９２に落下して収容する。
【００４１】
研磨加工されたベルト２は側面が凹凸あるいは短繊維が突出した表面状態になり、かかるベルトを走行させると騒音が減少する効果がある。
【００４２】
【発明の効果】
以上のように、本願の請求項１及び５記載の発明では、この伝動ベルトの成形装置では、ベルトを回転体のハンガーに設置した後、ベルトを所定ピッチだけ移動させるベルト設置部と、所定ピッチだけ平行移動させてベルト待機場所まで送り出し、搬送部によりベルト走行部に装着する。このベルト走行部は相対向する状態で配置し、しかもこれを旋回手段によりそれぞれ互い違いにベルト脱着位置からベルト加工位置まで旋回することにより、ベルト走行部に装着したベルトを研磨加工している間に、他方のベルト走行部をベルト脱着位置に配置して未加工のベルトをプーリに設置することができる。従って、一方のベルト走行部ではベルトを研磨加工し、同時に他方のベルト走行部では加工したベルトを取出し、未加工のベルトを取り付けすることができるため、ベルトの脱着時間を短縮することができる。
【００４３】
本願の請求項２記載の発明では、ベルト設置部のハンガーが後端部にベルト群の逆移動を阻止する半リング状のストッパーを装着しており、ベルト群をセット位置から送り出し位置まで正確に配置することができ、ベルト群を所定ピッチだけ平行移動させてベルト待機場所まで送り出すことができる。
【００４４】
本願の請求項３記載の発明では、ベルト送り込み機構がベルト設置部まで近接できる垂直移動手段をもったプッシュ板と、該プッシュ板をベルト設置部の長手方向に沿って移動させてベルト群を所定ピッチだけ送り込む水平移動手段を備えており、確実にベルトを送り込むことができる。
【００４５】
本願の請求項４記載の発明では、搬送部がベルトを挟持する摘まみ部とこれを３軸方向へ搬送させる移動手段からなっており、ベルトをベルト待機場所から駆動プール、そしてベルト収容部の案内棒付近までの他方面へ移動させることができる。
【００４６】
本願の請求項６記載の発明では、ベルト走行部の移動可能なプーリ側には、圧縮空気を該プーリの軸芯から装着したベルトの底面に向かって噴出させる粉体除去装置を具備している伝動ベルトの成形装置にあり、研磨加工中にベルト表面に付着した研磨粉を圧縮空気により除去し、これにより精度よくベルト側面を研磨することができる。
【００４７】
本願の請求項７記載の発明では、ベルト走行部には、固定側のプーリに設置したベルトの振れを抑制してプーリに掛張できるようにした遮蔽板が移動可能なプーリ側に装着されている伝動ベルトの加工装置にあり、固定側のプーリに設置したベルトがたとえ振れを起こしても遮蔽板でその振れを短時間に押さえることができ、正確に２つのプーリに取り付けることができる。
【００４８】
本願の請求項８記載の発明では、ベルト収容部が回転板上にベルトを収容する少なくとも１本以上の突出したストック棒を具備している伝動ベルトの成形装置にあり、収容した複数の加工ベルトを回転させた位置で容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る伝動ベルトの成形装置の全体図である。
【図２】図１をＡ−Ａ方向からみた図である。
【図３】図２をＢ−Ｂ方向から見た図である。
【図４】図３に示すベルト加工部の平面拡大図である。
【図５】図１をＣ−Ｃ方向からみた図である。
【図６】回転体の旋回状態を示すモデル図である。
【図７】搬送部を示す図である。
【図８】ベルト待機場所の斜視図である。
【図９】ベルトを駆動プーリに取り付ける場合におけるガイド板を駆動プーリの関係を示す図である。
【図１０】ベルトを取出す場合におけるガイド板を駆動プーリの関係を示す図である。
【図１１】ベルト単体の製造例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
１ 伝動ベルトの成形装置
２ ベルト
５ ベルト加工位置
６ ベルト脱着位置
１０ 回転体
２０ ベルト設置部
３０ ベルト送り込み機構
４０ 搬送部
５０ａ ベルト走行部
５０ｂ ベルト走行部
５１ 駆動プーリ
５２ 従動プーリ
６２ 粉体除去装置
６４ 遮蔽板
７０ 走行部旋回手段
８０ ベルト加工部
９０ ベルト収容部
Claims (8)
- ベルトを取り付けし、その位置から移動して他の位置へ送り込み、該ベルトを少なくとも２つのプーリに掛張して走行させながら該ベルトの側面を研磨した後、加工したベルトを取り出し所定場所に収容する伝動ベルトの成形装置において、
回転軸を中心にして所定角度づつ垂直面上で旋回する回転体と、
回転体の円周方向に沿って固定した少なくとも１本以上のハンガーに設置したベルト群を移動させるベルト設置部と、
ベルト設置部に取り付けたベルト群を平行移動させてベルト待機場所まで送り出すベルト送り込み機構と、
ベルト待機場所に配置したベルトを摘み上げて多軸方向へ移動させる搬送部と、
ベルトを固定側のプーリと移動可能なプーリに掛張して走行させる一対のベルト走行部と、
一対のベルト走行部をそれぞれ互い違いにベルト脱着位置からベルト加工位置まで往復動可能にする走行部旋回手段と、
該ベルトの両側面に当接してベルト側面を研磨するベルト加工部と
加工したベルトを上記搬送部によって集めるベルト収容部とを備えたことを特徴とする伝動ベルトの成形装置。 - ベルト設置部のハンガーが後端部にベルト群の逆移動を阻止する半リング状のストッパーを装着している請求項１記載の伝動ベルトの成形装置。
- ベルト送り込み機構がベルト設置部まで近接できる垂直移動手段をもったプッシュ板と、該プッシュ板をベルト設置部の長手方向に沿って移動させてベルト群を所定ピッチだけ送り込む水平移動手段を備えた請求項１記載の伝動ベルトの成形装置。
- 搬送部がベルトを挟持する摘まみ部とこれを３軸方向へ搬送させる移動手段からなっている請求項１記載の伝動ベルトの成形装置。
- 走行部旋回手段が各ベルト走行部を旋回軸に対して９０°往復動させる請求項１記載の伝動ベルトの成形装置。
- ベルト走行部の移動可能なプーリ側には、圧縮空気を該プーリの軸芯から装着したベルトの底面に向かって噴出させる粉体除去装置を具備している請求項１記載の伝動ベルトの成形装置。
- ベルト走行部には、固定側のプーリに設置したベルトの振れを抑制してプーリに掛張できるようにした遮蔽板が移動可能なプーリ側に装着されている請求項１記載の伝動ベルトの成形装置。
- ベルト収容部が回転板上にベルトを収容する少なくとも１本以上の突出したストック棒を具備している請求項１記載の伝動ベルトの成形装置。
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