JP4717527B2 - 球状かつ大粒径である高保水性吸収性樹脂の製造方法 - Google Patents

球状かつ大粒径である高保水性吸収性樹脂の製造方法 Download PDF

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Description

本発明はアンモニウムカチオンをカウンターカチオンとする酸基含有単量体を重合して得られる重合体を主成分とする吸収性樹脂の製造方法に関するものである。更に詳しくは、高い吸収性能を有し、球状かつ大粒径である吸収性樹脂を提供し、紙オムツや生理用ナプキン、失禁パット等の衛生材料を始め、様々な用途において好適に用いられる吸収性樹脂の製造方法に関するものである。
近年、合成高分子の1種として、大量の水を吸収してゲル化する吸水性樹脂が開発され、紙おむつ、生理用ナプキン等の衛材分野、農林業分野、土木分野等に幅広く利用されている。この様な吸水性樹脂として例えば、ポリアクリル酸部分中和物架橋体(例えば、特許文献1参照)、澱粉−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物(例えば、特許文献2参照)、澱粉−アクリル酸グラフト重合体の中和物(例えば、特許文献3参照)、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体の鹸化物(例えば、特許文献4参照)、アクリロニトリル共重合体もしくはアクリルアミド共重合体の加水分解物(例えば、特許文献5参照)など多くが知られている。これらの吸水性樹脂が備えるべき特性としては、従来より、体液等の水性液体に接した際の高い吸水倍率や優れた吸収速度、通液性、膨潤ゲルのゲル強度、水性液体を含んだ基材から水を吸い上げる吸引量等が求められている。
また近年、平均寿命の上昇に伴い高齢者向けの紙おむつの需要が増している。さらに近年、意匠性の問題、流通の問題、ゴミ問題等から衛生材料に対して薄型化、軽量化という要求が強まっている。これに対応するため現在の衛生材料において一般的に行われている方法としては、繊維などの衛生材料中の吸収性樹脂支持担体を減らし、大量の吸収性樹脂を使用するという方法がある。
このように親水性繊維の比率を低め、吸収性樹脂を増加させた衛生材料は単純に液体を貯蔵するという観点からは好ましい方向であるが、実際のおむつの使用状況における液体の分配・拡散に関する性能が低下するという問題を抱えている。すなわち、多量の吸収性樹脂は吸水により柔らかいゲル状となり、いわゆるゲルブロッキングという液の拡散を大きく妨げる現象が生じるという問題がある。
このため、用いられる吸収性樹脂はゲルブロッキングを防ぐためゲル強度の高いものが好んで用いられる。しかし、一般的にゲル強度の高い吸収性樹脂は高分子鎖間の架橋点が増加するため保水力は低くなる。そのため保水力を補うために、このような吸収体では大量の繊維と混合していたときより、さらに大量の吸収性樹脂を用いる必要性が生じてきている。
その他に繊維を低減し、吸収性樹脂を大量に使用した時におこるゲルブロッキングを防ぐ手段として、吸収性能の異なる2種類の吸収性樹脂を使用する方法(例えば、特許文献6参照)、カチオン性イオン交換ヒドロゲル形成ポリマーとアニオン性イオン交換ヒドロゲル形成ポリマーとを含む組成物を用いる方法(例えば、特許文献7参照)、表面の架橋密度の高い吸収性樹脂を用いる方法(例えば、特許文献8参照)、吸収性樹脂と熱可塑性樹脂の混合物を発泡押し出ししてシート化する方法(例えば、特許文献9参照)などが提案されているが、いずれの場合も吸収性能を低下させた吸収性樹脂を使用することで、吸収体としての性能を発現させているという問題がある。
これらの問題点を解決する方法として、支持担体に吸収性樹脂を固着する方法も検討されてきた。例えば、吸収体をエンボス処理する方法、熱可塑性のバインダー繊維を吸収性樹脂と親水性繊維からなる吸収体に含有させて吸収体を熱融着させる方法、歪みからの回復率の高い合成樹脂を吸収性樹脂と親水性繊維からなる吸収体に含有させて吸収体を熱融着させる方法(例えば、特許文献10および特許文献11参照)、アニオン性基を有する吸収性樹脂の表面にカチオン性ポリマーをコーティングして、膨潤時に粒子同士を接着固定化する方法(例えば、特許文献12および特許文献13参照)、エマルションバインダーを用いて吸収性樹脂と親水性繊維を固定化する方法、ホットメルト接着剤を用いて吸収性樹脂を基材に固定化する方法(例えば、特許文献14および特許文献15参照)等である。
これらの方法を採用することにより、吸収性樹脂としては、通常の架橋密度の低い吸収力の高い吸収性樹脂が使用可能となる。しかし、現状では、ポリアクリル酸ナトリウムを主成分とする吸収性樹脂では、0.9%生理食塩水の吸収倍率で60g/g程度の値が限界値であり、吸収体の軽量・薄型化が進まないという問題がある。
一方、吸収体を初めとする衛生材料の製造では吸収性樹脂の微粉が常に問題となっている。これは作業従事者の微粉吸い込みによる健康問題や、環境問題および製造機器への悪影響などがあげられる。このため、従来から様々な方法が検討されてきた。例えば二段重合方法により粒子凝集による大粒子化(例えば、特許文献16参照)などが提案されている。しかし、二段階にわたる重合を行う製造プロセスは生産効率が一段階での重合に比較して悪くなる。また、特殊な界面活性剤を用いることによる逆相懸濁重合方法(例えば、特許文献17〜20参照)などが挙げられる。しかし、使用している界面活性剤が一般に入手容易な界面活性剤ではないこと、また重合におけるエマルジョンの安定性が不安定であることなどが文献等で指摘されていること、吸収倍率が低くまだまだ高保水性の吸収性樹脂と言えるものではないこと等の問題がある(例えば、特許文献16参照)。
吸収体として軽量・薄型を達成するためには、吸収性能の高い吸収性樹脂を使用し、その高い吸収性能を吸収体中で最大限発揮させることが、シンプルな手段であるが、これを満たすものが世の中に存在していない。これは、吸収性能の高い架橋密度を最大限減らした吸収性樹脂を、できるだけ樹脂同士の接触点および/または接触面の少ない状態(ゲルブロッキングしにくい状態)に配置することで達成される。すなわち、高保水性、球状、大粒の吸収性樹脂がこれまで得られていなかった。
特開昭55−84304号公報 特公昭49−43395号公報 特開昭51−125468号公報 特開昭52−14689号公報 特公昭53−15959号公報 特開2001−252307号公報 国際公開第98/037149号パンフレット 特開平06−057010号公報 国際公開第01/64153号パンフレット 特開平10−118114号公報 特開平10−118115号公報 特開平5−31362号公報 特開平6−370号公報 特開2000−238161号公報 特表平10−510447号公報 特開平9−77810号公報 特公平6−6612号公報 特公平1−17482号公報 特公昭63−36322号公報 特公昭63−36321号公報
従って本発明の目的は、衛生用品等の吸収体に用いた場合に、少量でも十分な吸水能力を発揮できるような高い吸水倍率を有する吸収性樹脂の製造方法、また、球状で微粉が少なく大粒子径である吸水性樹脂の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、不飽和カルボン酸アンモニウムを50モル%以上含む高濃度単量体水溶液を有機溶媒中で、W/O型の逆相懸濁重合にて重合する際に特定の界面活性剤を用いることにより、高い吸水倍率を持つ球状かつ大粒子径である吸水性樹脂が製造できることを見出し本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は次の[1]〜[]である。
[1]下記(1)〜()の要件を満たす条件下で、不飽和カルボン酸アンモニウムを含む単量体水溶液を重合して吸収性樹脂を得ることを特徴とする吸収性樹脂の製造方法。
(1)単量体水溶液中のラジカル重合性単量体成分100モル%に対する不飽和カルボン酸アンモニウムの割合が80モル%以上であること。
(2)単量体水溶液のモノマー濃度が50−70重量%であること。
(3)HLB8〜12の非イオン性界面活性剤を用いること。
(4)脂肪族炭化水素溶媒中に懸濁させ、重合する逆相懸濁重合を用いること。
(5)重合開始温度を10〜50℃とすること。
[2]前記界面活性剤がソルビタン脂肪酸エステルであることを特徴とする[1]に記載の吸収性樹脂の製造方法。
[3]前記界面活性剤がソルビタンモノラウレートであることを特徴とする[1]に記載の吸収性樹脂の製造方法。
[4]前記脂肪族炭化水素溶媒がシクロヘキサンであることを特徴とする[1]〜[3]に記載の吸収性樹脂の製造方法。
[5]単量体水溶液中のラジカル重合性単量体成分100モル%に対する不飽和カルボン酸アンモニウムの割合が95〜100モル%であることを特徴とする[1]〜[4]に記載の吸収性樹脂の製造方法。
[6]前記不飽和カルボン酸アンモニウムが(メタ)アクリル酸アンモニウムであることを特徴とする[1]〜[5]に記載の吸収性樹脂の製造方法。
本発明の製造方法によって得られた吸収性樹脂は、吸収性能のうち特に保水力に優れ、かつ、微粉が少なく、吸水剤として吸水性能を最も引き出すために有効である単位重量当たりの吸収性樹脂同士の接着点および/または接着面の少ない(ゲルブロッキングが生じにくい)球状かつ大粒子径であるという特徴を有している。
以下、本発明を更に詳しく説明する。
本発明では重合方法として、不飽和カルボン酸アンモニウムを含む単量体水溶液を有機溶媒中に懸濁させて重合する逆相懸濁重合方法を用いる。反応器の形式は特に限定するものではなく回分式もしくは連続式のいずれでもかまわない。例えばループリアクターや一般的な攪拌槽などが挙げられる。
単量体水溶液は不飽和カルボン酸アルカリ金属塩及び/またはその他単量体を全単量体成分に対し50モル%未満で含有していてもかまわない。また、内部架橋剤としてラジカル重合性架橋剤を加えてもかまわないが、例えば50重量%を超えるような高濃度単量体水溶液を用いる場合、内部架橋剤を用いると保水量が低下する傾向にある。単量体水溶液中の単量体の濃度は50重量%を超え、単量体の水に対する溶解度以下であることが望ましい。例えばアクリル酸アンモニウムでは40〜80重量%の濃度が好ましく、より好ましくは50〜70重量%である。
単量体水溶液中の単量体濃度は高いほど生成する吸水性樹脂の粒子径は大きく、微粉が少なくなるので好ましい。また、単量体濃度が高いほど自己架橋反応が進行しやすく内部架橋剤の使用量を低減させることが出来、生成する吸水性樹脂の吸水倍率が非常に高くなるので、好ましい。また、後述の溶媒分離において、単量体の水溶液中の濃度が高いほど生成する含水ゲルと溶媒とのろ過分離が容易になり、簡便なプロセスを採用することができるので好ましい。逆に、含水率の高いゲルは粘着性が高くろ過分離を行うとゲルが固着し一体化する現象が見られるので、モノマーの水溶液中の濃度が低い場合は溶媒を蒸発させ、同時に共沸脱水により含水率を低減させた後にゲルを回収しなければならないという問題がある。
単量体水溶液はあらかじめ全量を有機溶媒中に懸濁させた後、重合させても良いし、有機溶媒中に随時添加しながら重合しても良い。また、界面活性剤についても目的の吸収性能及び粒径が得られる範囲内であるならば、懸濁溶媒として用いられる有機溶媒にはあらかじめ、HLB4.5〜12の界面活性剤を全量添加しても良いし、重合過程で随時添加しても良い。
重合開始方法は特に限定されず、ラジカル重合開始剤による重合、放射線、電子線などの照射による重合、光増感剤による紫外線重合を行うこともできる。かかるラジカル重合に用いられる開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩;過酸化水素;クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酢酸などの有機過酸化物、などの公知の開始剤が挙げられる。酸化性ラジカル重合開始剤を用いる場合はL−アスコルビン酸、ロンガリットなどの還元剤を併用してもよい。
重合開始前に予め単量体溶液の脱酸素操作を行うことは好ましい。具体的な方法として、十分な時間の不活性ガスによるバブリングにより溶存酸素を取り除く方法があげられる。また、反応器内雰囲気も窒素、ヘリウムなどの不活性ガスに置換されていることが好ましい。重合反応器内は減圧、常圧、加圧のいずれであっても良い。重合開始温度は通常0〜70℃で行う。
重合開始温度で好ましいのは10〜50℃である。重合反応中の反応器内の温度は成り行きに任せてもよく、外部から冷却もしくは加熱により温度制御を行ってもよい。溶媒の沸点による反応温度のコントロールを行っても良い。溶媒の沸点による反応温度のコントロールを行う場合は、気相の圧力を調整することで沸点を調整することが好ましい方法である。重合開始から重合終了までの間、反応の温度を変化させて重合を制御することは好ましい方法である。例えば、反応初期は比較的低温に抑えて暴走反応を抑止し、反応終期には重合度を上げるおよび/または残存モノマーを低減することは非常に好ましい方法である。
重合反応終了後、生成した含水ゲルを回収する。溶媒と含水ゲルの分離はろ過分別、遠心分離による分別、加熱による溶媒の除去などが挙げられるが、いずれの方法を用いても良い。
乾燥方法としては特に限定されるものはなく、通常真空乾燥、熱風乾燥が用いられる。乾燥温度は70℃〜180℃の範囲が好ましく、特に好ましくは90〜140℃である。多段昇温してもよい。乾燥温度は低すぎると乾燥時間に時間がかかりすぎるため経済的でなく、高すぎると吸水性樹脂の分解が起こるため吸水性能の低下を招く。
乾燥後、吸水性樹脂に加熱処理を行いアンモニアを遊離させ、アンモニア中和率を任意の割合にコントロールしても良い。また、同時にカルボキシル基と反応しうる官能基を2個以上含有する化合物を含浸させ加熱により架橋反応を起こさせることで、いわゆる表面架橋処理を行うことも本発明の範囲内である。
(不飽和カルボン酸アンモニウム)
本発明における不飽和カルボン酸アンモニウムとは、不飽和結合とカルボン酸アンモニウム基の両方を有する化合物のことをいう。これは、不飽和結合とカルボン酸アンモニウム基をそれぞれ多数含んでも構わない。不飽和結合とは、炭素原子間の結合に二重結合(エチレン結合)或いは三重結合(アセチレン結合)を含むものをいう。この様な、アンモニウム塩を生成する不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸などが代表的な例として挙げられる。これらの不飽和カルボン酸のアンモニウム塩の中で、重合性と重合体の吸収性の点からアクリル酸アンモニウムおよびメタクリル酸アンモニウムが好ましい。
不飽和カルボン酸アンモニウムの使用量は、ラジカル重合性単量体総モル量(これは、不飽和カルボン酸アンモニウムと不飽和カルボン酸アルカリ金属塩と不飽和カルボン酸のそれぞれのモル量の総和である。)に対して50〜100モル%の範囲で重合用原料液中に含まれる。本重合用原料液より製造される吸収性樹脂の吸収倍率を向上させるためには、不飽和カルボン酸アンモニウムの含有モル%が高い方が好ましく、80〜100モル%の範囲であることが好ましい。さらに好ましくは90〜100%であり、特に好ましくは95〜100%である。
この不飽和カルボン酸アンモニウムに、一部不飽和カルボン酸アミドが含有されていても構わない。不飽和アミドとは分子内に不飽和結合と一般式R-CONH(Rはアルキル基、アリール基など)で表される官能基を両方含む化合物のことをいう。このような化合物としては、Cinnamamide、アクリルアミド、メタクリルアミドなどがあげられるが、アクリルアミド及びメタクリルアミドが好ましく、特にアクリルアミドが好ましい。
(不飽和カルボン酸アンモニウムの製法)
本発明における不飽和カルボン酸アンモニウムは、如何なる製法で製造されたものでも構わない。その製造法としては、例えば、a.不飽和ニトリルおよび/または不飽和アミドを微生物による加水分解反応に供する方法、b.不飽和カルボン酸をアンモニアで中和する方法が上げられる。
a.微生物による加水分解法
微生物による加水分解反応に供される不飽和ニトリルとは、分子内に不飽和結合とシアン基を両方含む化合物のことをいう。不飽和結合とシアン基をそれぞれ多数含んでいてもかまわない。不飽和結合とは炭素原子間の結合に二重結合(エチレン結合)あるいは三重結合(アセチレン結合)を含むものをいう。このような化合物の例として、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロトンニトリル、ケイ皮酸ニトリルなどがあげられる。なかでもアクリロニトリル及びメタクリロニトリルが好ましく、特にアクリロニトリルが好ましい。
また、微生物による加水分解反応に供される不飽和アミドとは、分子内に不飽和結合と一般式R−CONH(Rはアルキル基、アリール基など)で表される官能基を両方含む化合物のことをいう。このような化合物としては、Cinnamamide、アクリルアミド、メタクリルアミドなどがあげられるが、アクリルアミド及びメタクリルアミドが好ましく、特にアクリルアミドが好ましい。
不飽和ニトリル及び/又は不飽和アミドの微生物による加水分解条件には特に制限はないが、該微生物としては、20重量%以上の濃度の不飽和カルボン酸アンモニウム水溶液を生産できる微生物が好ましい。このような微生物としては、アシネトバクター属、アルカリゲネス属、コリネバクテリウム属、ロドコッカス属、ゴルドナ属からなる群から選ばれた少なくとも一種を使用することが好ましい。上記微生物の中ではアシネトバクター属の微生物が好ましく、その中でも該微生物がアシネトバクターsp.AK226菌株(微工研菌寄第8271号)またはアシネトバクターsp.AK227菌株(微工研菌寄第8272号)であることが最も好ましい。なお、アシネトバクターsp.AK226菌株(微工研菌寄第8271号)およびアシネトバクターsp.AK227菌株(微工研菌寄第8272号)の微生物学的性質は、特公昭63−2596号公報に示す通りである。
この微生物による加水分解法で生成される不飽和カルボン酸アンモニウム水溶液は、不飽和カルボン酸の二量体および/または水和物などの不純物量が極めて微量であるので、該製法は好ましい方法である。
該不純物の具体的例としては、アクリル酸の場合では、アクリル酸の二量体であるβ−アクリロイルオキシプロピオン酸およびアクリル酸の水和物であるβ−ヒドロキシプロピオン酸、及びそれらの塩等が挙げられる。
b.不飽和カルボン酸をアンモニアで中和する方法
不飽和カルボン酸をアンモニアで中和する方法に供される不飽和カルボン酸は、前述の不飽和カルボン酸と同様のものが使用される。
この不飽和カルボン酸はどのような製法で作られたものでもよい。このような不飽和カルボン酸に、不純物が多量に含まれている場合は、精製して不純物を低減させることが好ましい。ここでいう不純物とは、分解して単量体成分となりうる化合物のことをいう。例えば、不飽和結合が水和したものやオリゴマーなど、アクリル酸においてはβ−ヒドロキシプロピオン酸やβ−アクリロイルオキシプロピオン酸などがあげられる。
精製の方法は、不純物の量を規定量以下に低減することができれば、どのような方法でもよく、手段は特に制限されるものではない。そのような方法としては例えば、特開平6−56931号公報に記載のように蒸留で行ってもよい。不純物の量は1000ppm以下まで低減させることが好ましく、さらに好ましくは500ppm以下、更に好ましくは300ppm以下、最も好ましくは100ppm以下である。不純物が多いと、得られた吸水性樹脂の残存モノマーが多く、さらにその後の製造工程によって残存モノマーが増加するという現象を示し、さらにはポリマーの諸物性が不十分となる場合もあり好ましくない。
中和方法としては、特に制限されるものではない。アンモニア水を用いてもよいし、アンモニアのガスを用いてもよい。特開平6−56931号公報、特公平7−49449号公報に記載のように少なくとも中和工程中の一時期はアクリル酸の中和率が100モル%を超える状態を経過する条件下に中和してもよい。中和工程においては、冷却によって温度を0〜50℃に保つことが好ましい。温度が上がりすぎると、β−ヒドロキシプロピオン酸やオリゴマーが生成してしまうため好ましくない。
(懸濁重合で使用する有機溶媒の説明)
本発明に使用する有機溶媒は、等量の水と混合した後、静止状態として、二層分離し、原料モノマーのラジカル重合反応を著しく阻害しない有機溶媒である必要がある。すなわち、官能基の種類や量、構成原子等に関する限定は必要としない。通常、プロセス溶媒としては、蒸発潜熱が小さく、水との分離性がよく、界面活性剤と化学結合を形成しにくい溶媒が好ましく使用される。具体的には、炭化水素系溶媒が好ましい。さらに好ましくは、脂肪族炭化水素系溶媒である。もっとも好ましくは飽和脂肪族炭化水素系溶媒である。
飽和脂肪族炭化水素系溶媒としては、直鎖構造でも、分岐を有する構造でも、環状構造を有していても構わない。勿論、一分子内に、直鎖構造、分岐構造、環状構造の複数の構造を有する化合物でも構わない。飽和脂肪族炭化水素系溶媒としての具体例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン等が、環状構造を有する飽和脂肪族炭化水素系溶媒として挙げられ、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、リグロイン等が鎖状構造からなる飽和脂肪族炭化水素として挙げられる。得られるエマルジョンの安定性および、溶媒の沸点、比重などの諸物性から、この中でもシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、n−ペンタン、n−ヘキサンが好ましく、最も好ましくはシクロヘキサンである。
(不飽和カルボン酸アルカリ金属塩)
本発明における不飽和カルボン酸アルカリ金属塩とは、不飽和結合とカルボン酸アルカリ金属基の両方を有する化合物のことをいう。これは、不飽和結合とカルボン酸アルカリ金属基をそれぞれ多数含んでも構わない。不飽和結合とは、炭素原子間の結合に二重結合(エチレン結合)或いは三重結合(アセチレン結合)を含むものをいう。
この様な、アルカリ金属塩を生成する不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸などが代表的な例として挙げられる。これらの不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩の中で、重合性と重合体の吸収性の点からアクリル酸アルカリ金属塩およびメタクリル酸アルカリ金属塩が好ましい。また、アルカリ金属としては、生成した樹脂の吸収倍率を向上させるには、リチウムが好ましく、衛生材料として使用する際の安全性の面からは、ナトリウムが好ましい。
不飽和カルボン酸アルカリ金属塩の使用量は、ラジカル重合性単量体総モル量(これは、不飽和カルボン酸アンモニウムと不飽和カルボン酸アルカリ金属塩と不飽和カルボン酸のそれぞれのモル量の総和である。)に対して0〜45モル%の範囲で重合用原料液中に含まれる。本重合用原料液より製造される吸収性樹脂の吸収倍率を向上させるためには、不飽和カルボン酸アルカリ金属塩の含有モル%が低い方が好ましく、0〜20モル%の範囲であることが好ましい。さらに好ましくは、0〜10%である。
(不飽和カルボン酸)
本発明における不飽和カルボン酸とは、不飽和結合とカルボン酸基の両方を有する化合物のことをいう。これは、不飽和結合とカルボン酸基をそれぞれ多数含んでも構わない。不飽和結合とは、炭素原子間の結合に二重結合(エチレン結合)或いは三重結合(アセチレン結合)を含むものをいう。この様な、不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸などが代表的な例として挙げられる。これらの不飽和カルボン酸の中で、重合性と重合体の吸収性の点からアクリル酸およびメタクリル酸が好ましい。
不飽和カルボン酸の使用量は、ラジカル重合性単量体総モル量(これは、不飽和カルボン酸アンモニウム、不飽和カルボン酸アルカリ金属塩、不飽和カルボン酸およびその他の単量体のそれぞれのモル量の総和である。)に対して0〜45モル%の範囲で重合用原料液中に含まれる。本重合用原料液より製造される吸収性樹脂の吸収倍率を向上させるためには、不飽和カルボン酸アルカリ金属塩の含有モル%が低い方が好ましく、0〜20モル%の範囲であることが好ましい。さらに好ましくは、0〜10%である。
(その他単量体)
本発明におけるその他単量体とは、主として単官能性不飽和単量体であり、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸等に代表される酸基含有の親水性単官能性不飽和単量体およびその塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等に代表されるアミド基含有の親水性単官能性不飽和単量体、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等に代表されるエステル化された親水性不飽和単量体、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドおよびその四級塩等に代表されるN原子含有親水性単官能性不飽和単量体、スチレン、塩化ビニル、ブタジエン、イソブテン、エチレン、プロピレン、アルキル(メタ)アクリレート、などの疎水性単官能性不飽和単量体を挙げることができる。これらの中でも(メタ)アクリル酸(塩)、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸(塩)、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドが好ましい。
これらの単量体の重合用原料溶液中の含有量は、ラジカル重合性単量体総モル量(これは、不飽和カルボン酸アンモニウム、不飽和カルボン酸アルカリ金属塩、不飽和カルボン酸およびその他の単量体のそれぞれのモル量の総和である。)に対して、0〜45モル%の範囲である。これらは種々の目的応じた吸収性樹脂の改質のために使用されるので、目的毎に最適使用量は異なるが、吸収性樹脂の吸収倍率の低下を低く抑えるためには、少量であることが好ましく、0〜20モル%の範囲が好ましく、さらに好ましくは、0〜5モル%の範囲である。
(HLB4.5〜12の界面活性剤)
本発明に用いる界面活性剤はHLBが4.5〜12の非イオン性界面活性剤であれば何れも使用可能である。このHLBが高い界面活性剤が、比較的大きい粒子の製造の安定性が高いので、HLBが8〜12の界面活性剤が好ましいものとして挙げられる。界面活性剤の具体的な例としては、ソルビトール脂肪酸エステル系、ソルビトール脂肪酸エステルエーテル系、ソルビタン脂肪酸エステル系、ソルビタン脂肪酸エステルエーテル系などが挙げられる。その中でもソルビタン脂肪酸エステル系とソルビタン脂肪酸エステルエーテル系が好ましい界面活性剤の系統である。したがって、HLBが8〜12である、ソルビタンモノラウリレートやオキシエチレンソルビタンモノステアレートエーテルが好ましい界面活性剤の具体例として挙げられる。最も好ましいのはソルビタンモノラウリレートである。
界面活性剤の使用量は単量体に対して0.1〜15重量%が適切な範囲であり、好ましくは0.2〜5重量%である。使用量が少なすぎても安定したエマルジョン状態を保つことが出来ず、15重量%を超えて使用してもこれに伴う好結果が得られない。
(ラジカル重合性架橋剤)
本発明では、重合に際して単官能性不飽和単量体以外にラジカル重合性架橋剤を用いて内部に架橋構造を導入することもできる。ラジカル重合性架橋剤は、重合性不飽和基及び/又は反応性基を一分子中に複数有する化合物であればよい。親水性の高い化合物を内部架橋剤として用いると樹脂の吸水性能を向上させるので、好ましい。なお、単官能性不飽和単量体が自己架橋型の化合物の場合は、ラジカル重合性架橋剤を用いなくても内部架橋構造を形成することが可能である。
ラジカル重合性架橋剤としては、例えば、N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ポリ(メタ)アリロキシアルカン等に代表される一分子内に複数の不飽和結合を有する化合物、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル等に代表される一分子内に複数のエポキシ基を有する化合物、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらラジカル重合性架橋剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
(カルボキシル基と反応しうる化合物)
本発明におけるカルボキシル基と反応しうる官能基を2個以上含有する化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル化合物;(ポリ)グリセリン、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ポリオキシエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレンオキシプロピレンブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソルビトール等に代表される各種多価アルコール類;エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンジアミンなどの多価アミン類;2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス(3−(1−アジリジニル)プロピオネート)等に代表される多価アジリジン化合物、1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン等に代表される各種アルキレンカーボネート化合物、グリオキサールに代表される各種多価アルデヒド化合物、2,4−トリレンジイソシアネートに代表される多価オキサゾリン化合物、エピクロルヒドリンに代表されるハロエポキシ化合物;亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等に代表される多価イオンなどがあげられる。
このようなカルボン酸反応性架橋剤の中から、多価アルコール類、多価グリシジル化合物類、多価アミン類、アルキレンカーボネートからなる群より選ばれた1種または2種以上を用いることが好ましい。なお、該カルボン酸反応性架橋剤の重合用原料溶液中の含有量は、ラジカル重合性単量体(不飽和カルボン酸アンモニウム、不飽和カルボン酸アルカリ金属塩、不飽和カルボン酸およびその他の単量体)とラジカル重合性架橋剤の総モル量に対して、0〜10モル%の範囲である。該カルボン酸反応性架橋剤の量が多すぎると硬いゲルとなり、吸収倍率が著しく低下するので、好ましくない。
ゲル硬度は、ラジカル重合性架橋剤と該カルボン酸反応性架橋剤の組み合わせで調整できる。したがって、ラジカル重合性架橋剤をラジカル重合性単量体(不飽和カルボン酸アンモニウム、不飽和カルボン酸アルカリ金属塩、不飽和カルボン酸およびその他の単量体)とラジカル重合性架橋剤の総モル量に対して0.001〜0.09モル%の範囲で少量使用する場合は、該カルボン酸反応性架橋剤を0.01〜5モル%の範囲で使用することが好ましく、さらに好ましくは、0.05〜3モル%の範囲である。
また、上記単官能性不飽和単量体と内部架橋剤の他、必要に応じて、発泡剤、連鎖移動剤、キレート剤等を添加して重合してもよい。
(ラジカル開始剤と還元剤の説明)
本発明の製造方法のラジカル重合に用いられる開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩;過酸化水素;クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酢酸などの有機過酸化物、などの公知の開始剤が挙げられる。酸化性ラジカル重合開始剤を用いる場合はL−アスコルビン酸、ロンガリットなどの還元剤を併用してもよい。
開始剤を1種のみを使用してもよいし、2種またはそれ以上のものを複数組み合わせて使用してもよい。
以下に本発明の具体的な実施例および比較例を示すが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(吸水性能測定方法;Tea bag法)
不織布製のティーバッグ式袋(7×9cm)に吸水性樹脂A(g)(約0.5g)を均一に入れ、液温25℃の生理食塩水500ccに平衡膨潤に達するまで浸漬する。所定時間後にティーバッグ式袋を引き上げ、10分間自然に水切りを行った後にティーバッグ式袋の重量B(g)を測定する。ブランクとして同様の操作を、吸水性樹脂を加えずにティーバッグ式袋のみで行い、重量C(g)を計測する。吸水倍率を次式より求める。
吸水倍率(g/g)=(B(g)−C(g))/A(g)
[製造例1]
(アクリロニトリルの加水分解によるアクリル酸アンモニウムの調製)
アクリロニトリルの加水分解は特開2004−305062号公報の実施例1の方法に従い、生体触媒を調製し、実施例4の方法に従って加水分解を行った。
(生体触媒の調製)
ニトリラーゼ活性を有するアシネトバクター エスピー AK226(FERM BP−08590)を塩化ナトリウム0.1%、リン酸2水素カリウム0.1%、硫酸マグネシウム7水和物0.05%、硫酸鉄7水和物0.005%、硫酸マンガン5水和物0.005%、硫酸アンモニウム0.1%、硝酸カリウム0.1%(いずれも重量%)を含む水溶液をpH=7に調製した培地で、栄養源としてアセトニトリル0.5重量%を添加し、30℃で好気的に培養した。これを30mMリン酸バッファー(pH=7.0)にて洗浄し菌体懸濁液(乾燥菌体15重量%)を得た。続いてアクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、5%N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン水溶液、菌体懸濁液、30mMリン酸緩衝液の混合液に、2.5%過硫酸カリウム水溶液を混合して重量物を得た。最終的な組成は、乾燥菌体濃度3%、30mMリン酸バッファー(pH=7)52%、アクリルアミド18%、メチレンビスアクリルアミド1%、5%N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン水溶液12%、2.5%過硫酸カリウム水溶液14%(何れも重量%)とした。該重合物を約1×3×3mm角の粒子に裁断し固定化菌体を得た。この固定化菌体を30mMリン酸バッファー(pH=7)で洗浄し固定化菌体触媒(以下生体触媒)を調製した。
(生体触媒による加水分解)
内容積500mlの三角フラスコに蒸留水400gを入れ、これに前述の生体触媒1g(乾燥菌体0.03gに相当)を金網かごに入れたものを液中にセットし、ゴム栓で封をした後、恒温水槽に浸けて内温を20℃に保ち、スターラーで攪拌した。
アクリロニトリルを間欠的に2重量%分フィード(アクリロニトリル濃度は0.5重量%以上で管理)し、アクリル酸アンモニウムの蓄積反応を行ったところ30重量%まで蓄積できた。
得られたアクリル酸アンモニウム水溶液は無色透明であった。また、同一条件で反応液を5L作製し、UF膜(旭化成ペンシル型モジュールSIP−0013)による精製操作を行ったところ、目詰まり等の現象は見られず、全液を処理することができ、高純度30重量%アクリル酸アンモニウム水溶液を得た。この水溶液にメトキシキノン200ppm加え、遮光減圧下にて70重量%まで濃縮し重合に使用した。
[実施例1]
和光純薬製特級アクリル酸を蒸留し、重合禁止剤を除去し精製したアクリル酸36gを100mlのフラスコに量り取り、冷却しつつ攪拌下に23.6重量%のアンモニア水36gを滴下して、100モル%中和のアクリル酸アンモニウム水溶液72gを生成した。ここに水0.5gに溶解した過硫酸アンモニウム0.0368gを添加し、攪拌して溶解した。
あらかじめ系内を窒素置換した還流冷却管つきの500mlセパラブルフラスコにシクロヘキサン180gと界面活性剤としてソルビタンモノラウリレート0.36gを仕込み、室温で攪拌して溶解させたのち、前述のアクリル酸アンモニウム水溶液を添加し、窒素を流しながら250rpmにて十分に攪拌を行い懸濁させた。その後、45℃の水浴をして重合を開始、攪拌速度を250rpmに保ったまま2時間保持し、含水ゲルを含んだエマルジョンを得た。
生成した含水ゲルはろ過により回収し、100℃の真空乾燥をして回収した。生成した吸水性樹脂の平均粒径は730μmであり、212μm以下の粒子は発生しなかった。Tea bag法による吸水倍率は84.0倍であった。
[実施例2]
[実施例1]のアクリル酸アンモニウム72gを[製造例1]のアクリル酸アンモニウム水溶液63.6gに変えた以外は[実施例1]と同じ条件で重合した。
生成した吸水性樹脂の平均粒径は1mmであり、212μm以下の粒子は発生しなかった。Tea bag法による吸水倍率は101倍であった。
参考例1
和光純薬製特級アクリル酸を蒸留し、重合禁止剤を除去し精製したアクリル酸36gを100mlのフラスコに量り取り、冷却しつつ攪拌下に31重量%のアンモニア水27.5gを滴下して、100モル%中和のアクリル酸アンモニウム水溶液63.5gを生成した。ここに水0.2gに溶解したN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.0004gと水0.3gに溶解した過硫酸アンモニウム0.0368gを添加し、攪拌して溶解した。
あらかじめ系内を窒素置換した還流冷却管つきの500mlセパラブルフラスコにシクロヘキサン180gと界面活性剤としてソルビタンモノパルミテート0.36gを仕込み、室温で攪拌して溶解させたのち、前述のアクリル酸アンモニウム水溶液を添加し、窒素を流しながら250rpmにて十分に攪拌を行い懸濁させた。その後、45℃の水浴をして重合を開始、攪拌速度を250rpmに保ったまま2時間保持し、含水ゲルを含んだエマルジョンを得た。
生成した含水ゲルはろ過により回収し、100℃の真空乾燥をして回収した。生成した吸水性樹脂の平均粒径は650μmであり、212μm以下の粒子は2.1重量%しか発生しなかった。Tea bag法による吸水倍率は88倍であった。
[実施例
[実施例1]の界面活性剤をEO3モル付加体のオキシエチレンソルビタンモノステアレートエーテルに変えた以外は[実施例1]と同じ条件で重合した。
生成した吸水性樹脂の平均粒径は1.2mmであり、212μm以下の粒子は発生しなかった。Tea bag法による吸水倍率は100倍であった。
[実施例
[実施例1]のシクロヘキサンをシクロオクタンに変更した以外は[実施例1]と同じ条件で重合した。
生成した吸水性樹脂の平均粒径は0.9mmであり、212μm以下の粒子は発生しなかった。Tea bag法による吸水倍率は88.4倍であった。
参考例2
和光純薬製特級アクリル酸を蒸留し、重合禁止剤を除去し精製したアクリル酸36gを100mlのフラスコに量り取り、冷却しつつ攪拌下に36重量%のアンモニア水23.5gを滴下して、100モル%中和のアクリル酸アンモニウム水溶液59.5gを生成した。ここに水0.5gに溶解した過硫酸アンモニウム0.0368gを添加し、攪拌して溶解した。
あらかじめ系内を窒素置換した還流冷却管つきの500mlセパラブルフラスコにシクロヘキサン180gと界面活性剤としてソルビタンモノパルミテート0.36gを仕込み、室温で攪拌して溶解させたのち、前述のアクリル酸アンモニウム水溶液を添加し、窒素を流しながら250rpmにて十分に攪拌を行い懸濁させた。その後、45℃の水浴をして重合を開始、攪拌速度を250rpmに保ったまま2時間保持し、含水ゲルを含んだエマルジョンを得た。
生成した含水ゲルはろ過により回収し、100℃の真空乾燥をして回収した。生成した吸水性樹脂の平均粒径は700μmであり、212μm以下の粒子は1.3重量%しか発生しなかった。Tea bag法による吸水倍率は93倍であった。
[比較例1]
和光純薬製特級アクリル酸を蒸留し、重合禁止剤を除去し精製したアクリル酸12gを100mlのフラスコに量り取り、冷却しつつ攪拌下に23.6重量%のアンモニア水12gを滴下し水を50.2g加えて、100モル%中和のアクリル酸アンモニウム水溶液74.2gを生成した。ここに水0.2gに溶解したN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.04gと水0.3gに溶解した過硫酸アンモニウム0.0122gを添加し、攪拌して溶解した。
あらかじめ系内を窒素置換した還流冷却管つきの500mlセパラブルフラスコにシクロヘキサン180gと界面活性剤としてソルビタンモノラウリレート0.12gを仕込み、室温で攪拌して溶解させたのち、前述のアクリル酸アンモニウム水溶液を添加し、窒素を流しながら250rpmにて十分に攪拌を行い懸濁させた。その後、60℃の水浴をして重合を開始、攪拌速度を250rpmに保ったまま2時間保持し、含水ゲルを含んだエマルジョンを得た。
生成した含水ゲルはろ過により回収し、100℃の真空乾燥をして回収した。生成した吸水性樹脂の平均粒径は489μmであり、212μm以下の粒子は6重量%発生した。Tea bag法による吸水倍率は52.8倍であった。
[比較例2]
和光純薬製特級アクリル酸を蒸留し、重合禁止剤を除去し精製したアクリル酸36gを100mlのフラスコに量り取り、冷却しつつ攪拌下に36重量%のアンモニア水23.5gを滴下して、100モル%中和のアクリル酸アンモニウム水溶液59.5gを生成した。ここに水0.5gに溶解した過硫酸アンモニウム0.0368gを添加し、攪拌して溶解した。
あらかじめ系内を窒素置換した還流冷却管つきの500mlセパラブルフラスコにシクロヘキサン180gと界面活性剤としてソルビタントリステアレート0.36gを仕込み、室温で攪拌して溶解させたのち、前述のアクリル酸アンモニウム水溶液を添加し、窒素を流しながら250rpmにて十分に攪拌を行い懸濁させた。その後、55℃の水浴をして重合を開始したが、すぐに水相部分が合一し、塊重合を起こしてしてしまい安定なエマルジョンとしては得られなかった。
[比較例3]
和光純薬製特級アクリル酸を蒸留し、重合禁止剤を除去し精製したアクリル酸12gを100mlのフラスコに量り取り、冷却しつつ攪拌下に18.9重量%の水酸化ナトリウム水24.7gを滴下し、70モル%中和のアクリル酸ナトリウム水溶液36.7gを生成した。ここに水0.2gに溶解したN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.04gと水0.3gに溶解した過硫酸アンモニウム0.0122gを添加し、攪拌して溶解した。
あらかじめ系内を窒素置換した還流冷却管つきの500mlセパラブルフラスコにシクロヘキサン180gと界面活性剤としてソルビタンモノラウリレート0.12gを仕込み、室温で攪拌して溶解させたのち、前述のアクリル酸ナトリウム水溶液を添加し、窒素を流しながら250rpmにて十分に攪拌を行い懸濁させた。その後、60℃の水浴をして重合を開始、攪拌速度を250rpmに保ったまま2時間保持し、含水ゲルを含んだエマルジョンを得た。
生成した含水ゲルはろ過により回収し、100℃の真空乾燥をして回収した。生成した吸水性樹脂の平均粒径は389μmであり、212μm以下の粒子は15重量%発生した。Tea bag法による吸水倍率は55.3倍であった。
比較例1は、単量体水溶液のモノマー濃度が19.9重量%であって、本発明で規定するモノマー濃度である40重量%を下回り、比較例2は、界面活性剤のHLBが2.1であって、本発明で規定するHLB4.5〜12の範囲外であるため、また、比較例3は単量体として不飽和カルボン酸アンモニウムを用いていないため、実施例のものに比べて吸水倍率が低いか、吸水性樹脂を得ることができなかった。
本発明の吸水性樹脂の製造方法は、衛生用品等の吸収体に用いた場合に、少量でも十分な吸水能力を発揮できるような高い吸水倍率を有する吸水性樹脂の製造方法、または微粉が少なく、吸水剤において吸水性能を最も引き出すための吸収性樹脂の最適配置が最もしやすい球状かつ大粒子径である吸水性樹脂の製造分野で好適に利用できる。

Claims (6)

  1. 下記(1)〜(5)の要件を満たす条件下で、不飽和カルボン酸アンモニウムを含む単量体水溶液を重合して吸収性樹脂を得ることを特徴とする吸収性樹脂の製造方法。
    (1)単量体水溶液中のラジカル重合性単量体成分100モル%に対する不飽和カルボン酸アンモニウムの割合が80モル%以上であること。
    (2)単量体水溶液のモノマー濃度が50−70重量%であること。
    (3)HLB8〜12の非イオン性界面活性剤を用いること。
    (4)脂肪族炭化水素溶媒中に懸濁させ、重合する逆相懸濁重合を用いること。
    (5)重合開始温度を10〜50℃とすること。
  2. 前記界面活性剤がソルビタン脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項1に記載の吸収性樹脂の製造方法。
  3. 前記界面活性剤がソルビタンモノラウレートであることを特徴とする請求項1に記載の吸収性樹脂の製造方法。
  4. 前記脂肪族炭化水素溶媒がシクロヘキサンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の吸収性樹脂の製造方法。
  5. 単量体水溶液中のラジカル重合性単量体成分100モル%に対する不飽和カルボン酸アンモニウムの割合が95〜100モル%であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の吸収性樹脂の製造方法。
  6. 前記不飽和カルボン酸アンモニウムが(メタ)アクリル酸アンモニウムであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の吸収性樹脂の製造方法。
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