JP4716181B2 - プリント配線基板の製造方法 - Google Patents
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Description
このような市場の動向において、100ピン程度以下の配線密度に限っては、1メタル構造のプリント配線基板を安価に市場供給するため、高価なフォトレジストの使用を極限まで少なくし、かつ工程数を減少させるべく、感光性樹脂を絶縁層として用いる工法が検討されている(例えば特許文献1〜3参照)。
この工法では、露光、現像工程によりスルーホールを形成することが特徴であり、更なる効果としてアライメント精度の向上、大面積一括形成を可能ならしめ、プリント配線基板をより低コストで大量生産することを実現している。
しかし、このような感光性樹脂をコアにした構造では、コアになる感光性樹脂を露光することができないため、サブトラクト工法による両面銅箔付き基板を製造することは不可能であり、100ピン程度以上の高密度配線には、対応できない問題を抱えていた。
また、上述したセミアディティブ工法は煩雑な工法であり、安価な多層プリント配線基板を供給することが難しい。
ここで用いられる感光性樹脂としては、紫外線硬化型アクリル樹脂、紫外線硬化型エポキシ樹脂、またこれらの重合構造である紫外線硬化型エポキシアクリレートが用いられ、紫外線により、直接重縮合の架橋反応や紫外線による酸発生添加物による架橋反応によってアルカリ現像が可能になるものである。
そこで、このような化学反応を利用し、ビアを形成する工程からスタートする。まず始めに感光性樹脂を露光して架橋した部分を残すように、アルカリ現像液をスプレーして未露光未架橋部分を溶解させ、銅箔がビア内から見えるように露出させる。
このように紫外線架橋しただけの感光性樹脂を光触媒化合物水溶液に浸漬させ、光触媒化合物が加水分解したものを感光性樹脂の極表面に浸透担持させ、180°C程度の熱風オーブンで脱水反応させ、酸化チタンを形成する。ここで、光触媒化合物水溶液の例として、光励起率の高い酸化チタンに転化しやすい有機チタネート(チタン含有有機金属化合物)が好ましく、テトライソプロピルチタネート、ポリブチルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ(2-エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンエチルアセトアセテート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネートなどを組み合わせた水溶液を用いることが可能である。また、酸化チタンの光励起率を向上させるため、光触媒化合物水溶液に光増感剤を添加することも好ましい。光増感剤としては、色素、有機酸、有機酸塩、有機アミンからなる水溶性化合物などが挙げられ、それらの組み合わせでも構わない。
さらに続いて、無電解銅めっき槽に浸漬することで、銅配線パターン状にパラジウムが析出された所に数1000Åのパターニングされたシード銅層が析出する。更に、電解銅めっき浴にてシード銅層をめっきアップさせ、所望する膜厚の銅配線パターン(第二の銅配線パターン)を形成する。
感光性樹脂を露光・現像したところで、すなわち、感光性樹脂を140℃以上の加熱で熱架橋する前に光触媒化合物を担持させることで、より良く光触媒化合物が感光性樹脂の極表面に浸透するので、より効果的に金属塩溶液の濡れ性に差をつけることができる。
また、いわゆる光触媒反応を有する代表的な酸化チタン(TiO2)の他、ZnO、SrTiOP3、CdS、CdO、CaP、InP、In2O3、CaAs、BaTiO3、K2NbO3、Fe2O3、Ta2O5、WO3、NiO、Cu2O、SiC、SiO2、MoS3、InSb、RuO2、CeO2等が知られている。
一般に、光触媒金属化合物は、光を照射することにより電子と正孔が生成され、その付近の水分子を還元・酸化することにより強力な酸化力をもつ・OHやO2-を生成する。たとえばCdSeに光を照射すると、生成した電子は水分子を還元し水素を発生させるが、正孔は水分子を酸化する代わりに、自己を酸化し、Cd2+が溶出してくる。このような現象は他の多くの光触媒金属化合物にも認められる。
しかしながら、酸化チタンは自己溶出現象を起こさない光触媒金属化合物として特異的であり、それ故、酸化チタンは、 光触媒として最も有用である。当初、酸化チタンの微粒子をフィラーとして、直接感光性樹脂に添加することを検討したが、ビア現像時のパターニング性が劣化していることや、感光性樹脂と第一の銅箔との密着性が低下するなどいろいろな問題が生じる。
上記のように露光された部分が光励起され、塩化パラジウム水溶液ミストが濡れ性の向上した部分に付着する。このまま乾燥すると無電解銅めっきの触媒に使用されるパラジウムがパターン形成される。なお、本発明の請求項5に記載の構成は、このように無電解銅めっき、電解銅めっきと連続して銅配線を形成することを特徴とする。
またここで、従来の両面銅箔付き基板の所望する位置にスルーホールを形成し、スルーホールに表裏の銅箔間に導体を形成する工法は、スルーホールと銅箔配線の位置ずれを吸収させるため、一般的にスルーホールより半径が0.1mm程度大きなランドが必要である。このため、ピン数にもよるがスルーホールのランド間に配線数の設計自由度が向上される。
ここでは、樹脂表面に形成する第二の銅配線パターンの形成方法を詳細に説明する。
図1及び図2は本発明の実施例1による第二配線パターン構成及びその製造工程を示す断面図である。
まず感光性樹脂材料として、ビスフェノールA型エポキシアクリレート(リポキシVR-90;昭和高分子社製)52重量部と無水フタル酸15重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶媒中で110°C、30分撹拌してアルカリ現像型感光性樹脂ワニス原料を調製した。
更に、前記アルカリ現像型感光性樹脂ワニス原料を50重量部(固形分)、脂環式エポキシ類化合物(EHPE3150;ダイセル化学社製)17重量部、光硬化型エポキシ樹脂(サイクロマーM100;ダイセル化学社製)30重量部、光開始剤(LucirinTPO;BASF社製)3重量部に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶剤を加えて連続式横型サンドミルにて約3時間分散させて、アルカリ現像型感光性樹脂ワニスを作製した。
第一銅箔(工程[1a]、1a2)上に、前記アルカリ現像型感光性樹脂ワニスをスリットコーターにて塗布し、70°C、20分乾燥して、約25μm厚のBステージ状の感光性樹脂(1a1)を形成した。Bステージ状の感光性樹脂(1a1)表面に、19μm厚のPETフィルム(1a3)を貼り合わせて、片側銅箔付き感光性樹脂基板を形成した。
次に、常温のテトライソプロピルチタネート水溶液(5%水溶液)に、ビアを有する片側銅箔付き樹脂基板を浸漬、吸着させたあと、180°Cの熱風オーブンで約1時間ポストベークして、感光性樹脂の未架橋部分を完全に熱架橋させる(工程[1c]、1c1)。またこのポストベークによって、テトライソプロピルチタネートが加水分解したものを脱水反応させ、酸化チタン(工程[1c]、1c4)を析出させる。
さらに所望する第二の銅配線パターンが描画されたフォトマスク(1d6)をビアパターンにアライメントして密着させ、超高圧水銀灯(1d7)により500mJ/cm2露光した(工程[1d])。
活性化したパラジウム触媒(1e8)を担持させた片側銅箔付き樹脂基板を、無電解銅めっき浴に約10分浸漬して、約0.5μm厚の無電解銅めっき膜(工程[1f]、1f9)を形成した。無電解銅めっき浴は、ホルムアルデヒドを還元剤とする0.02mol/dm3Cu(II)-EDTA 浴を用いた。
100g/Lの希塩酸にてパラジウム触媒を除去した後、約30分電解銅めっきを行って、片側銅箔付き樹脂基板の樹脂面上約12μm厚の第二の銅配線パターンを形成した(工程[1g]、1g10)。また、電解銅めっき浴は、0.1mol/dm3Cu(II)-EDTA 浴を用いた。
以上の工程で、本発明の多層プリント配線板に用いられる第二の銅配線パターンが得られた。
絶縁耐性試験(PCBT)はプレッシャークッカー(PCT)にてJIS-C6481の対向電極パターンを用い層間のパターンについて行い、印加電圧25V、120°C、85%、100時間経過の絶縁抵抗値の変化が10%以内であり問題ないことが確認された。
まず実施例1と同様にしてアルカリ現像型感光性樹脂溶液を調製した。
感光性樹脂材料として、ビスフェノールA型エポキシアクリレート(リポキシVR-90;昭和高分子社製)52重量部と無水フタル酸15重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶媒中で110°C、30分撹拌してアルカリ現像型感光性樹脂ワニス原料を調製した。
更に、前記アルカリ現像型感光性樹脂ワニス原料を50重量部(固形分)、脂環式エポキシ類化合物(EHPE3150;ダイセル化学社製)17重量部、光硬化型エポキシ樹脂(サイクロマーM100;ダイセル化学社製)30重量部、光開始剤(LucirinTPO;BASF社製)3重量部に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶剤を加えて連続式横型サンドミルにて約3時間分散させて、アルカリ現像型感光性樹脂ワニスを作製した。
第一銅箔上に、前記アルカリ現像型感光性樹脂ワニスをスリットコーターにて塗布し、70°C、20分乾燥して、約25μm厚の感光性樹層を形成した。Bステージ状の感光性樹層表面に、19μm厚のPETフィルムを貼り合わせて、片側銅箔付き感光性樹脂基板を形成した(S1)。
次いで、約5%有機アミン系アルカリ水溶液にて、現像、水洗し、90°Cの熱風オーブンで充分乾燥させた。銅箔面にはPVAのフォトレジスト膜が第一の銅配線パターン状に形成され、感光性樹脂には、約200μmのビアを有するフォトレジスト膜が形成された片側銅箔付き樹脂基板を形成した(S3)。
ここで、フォトレジスト膜を保護するため、ロールラミネーターを用いて、粘着材つきポリプロピレンフィルム(ヒタレックスL−3320;日立化成製)をフォトレジスト膜上に貼った(S4)。
さらに所望する第二の銅配線パターンが描画されたフォトマスクをビアパターンにアライメントして密着させ、超高圧水銀灯により500mJ/cm2露光した(S7)。露光後、塩化パラジウム0.6g、塩酸1mLをイオン交換水1Lで希釈したパラジウム触媒溶液を二流体スプレー装置でスプレーした(S8)。ここで先ほど第二の銅配線パターン状に露光された部分は光励起されており、このパラジウム触媒溶液が第二の銅配線パターン状に塗れている状態のまま、120°Cのホットプレートで充分乾燥させた。
さらに、この第二の銅配線パターンを銅箔エッチングから保護するため、ロールラミネーターを用いて、粘着材つきポリプロピレンフィルム(ヒタレックスL−3320;日立化成製)をフォトレジスト膜上に貼った(S12)。続いて銅箔上のフォトレジスト膜を保護していたポリプロピレンフィルムを取り除いた後(S13)、塩化第二鉄液(50°C、密度1.450g/cm3)をスプレーして銅箔をエッチングし(S14)、次いで、80°Cの10%水酸化カリウム剥膜液でPVAフォトレジストを剥膜し、第一の銅配線パターンを形成した(S15)。
ここで、第二の銅配線パターンを保護するポリプロピレンフィルムを取った後、180°Cの熱風オーブンで約1時間ポストベークして、感光性樹脂の未架橋部分を完全に熱架橋させた(S16)。
さらに、電解ニッケルめっき、電解金めっきを行う(S19)。電解ニッケルめっき浴、電解金めっき浴などは、一般的に良く知られているもので構わない。
以上の工程で、第一の銅配線パターンは、サブストラクト工法で製造し、第二の銅配線パターンは、アディティブ工法で製造することを特徴とする本発明の多層プリント配線板が得られた。
図4〜図6は比較例による第二配線パターン構成及びその製造工程を示す断面図である。
まず感光性樹脂材料として、ビスフェノールA型エポキシアクリレート(リポキシVR-90;昭和高分子社製)52重量部と無水フタル酸15重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶媒中で110°C、30分撹拌してアルカリ現像型感光性樹脂ワニス原料を調製した。
更に、前記アルカリ現像型感光性樹脂ワニス原料を50重量部(固形分)、脂環式エポキシ類化合物(EHPE3150;ダイセル化学社製)17重量部、光硬化型エポキシ樹脂(サイクロマーM100;ダイセル化学社製)30重量部、光開始剤(LucirinTPO;BASF社製)3重量部に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶剤を加えて連続式横型サンドミルにて約3時間分散させて、アルカリ現像型感光性樹脂ワニスを作製した。
第一銅箔(工程[3a]、3a2)上に、前記アルカリ現像型感光性樹脂ワニスをスリットコーターにて塗布し、70°C、20分乾燥して、約25μm厚の感光性樹脂(3a1)を形成した。Bステージ状の感光性樹脂表面に、19μm厚のPETフィルム(3a3)を貼り合わせて、片側銅箔付き感光性樹脂基板を形成した。
次に、感光性樹脂表面にパラジウム触媒を担持させるため、塩化パラジウム、塩化すず溶液からなるキャタリスト浴に浸漬し、パラジウム−すずコロイドを感光性樹脂表面に担持させた。次のアクセラレーター浴において、スズが除去されると同時に、パラジウム粒子(3c4)が感光性樹脂表面に固着される(工程[3c])。固着したパラジウム粒子は、触媒として担持され、片側銅箔付き樹脂基板を無電解銅めっき浴に約10分浸漬して、約0.5μm厚の無電解銅めっき膜(3d5)を形成した(工程[3d])。無電解銅めっき浴は、ホルムアルデヒドを還元剤とする0.02mol/dm3Cu(II)-EDTA 浴を用いた。
さらに、電解銅めっきが第一の銅箔表面に析出させないようにするため、ロールラミネーターを用いて、粘着材つきポリプロピレンフィルム(ヒタレックスL−3320;日立化成製)を第一の銅箔表面上に貼った。その後、電解銅めっきを約30分行って、片側銅箔付き樹脂基板の樹脂面およびビアから露出した第一の銅箔上に、約12μm厚の銅箔(3h9)を形成した(工程[3h])。また、電解銅めっき浴は、0.1mol/dm3Cu(II)-EDTA 浴を用いた。
またさらに、80°Cの10%水酸化ナトリウム剥膜液でネガ型フォトレジストを溶解剥膜した(工程[3i])。
次いで、剥膜したネガ型フォトレジスト跡から露出している無電解銅めっき部分をフラッシュエッチングすることにより、第二の銅配線パターンを形成した(工程[3j])。
以上のような一般的なセミアディティブ工程で、多層プリント配線板に用いられる第二の銅配線パターンを得ることができる。しかしこの工法は、高価なアルカリ溶解タイプのフォトレジストを必要とする工程、不要な無電解めっきをエッチングするフラッシュエッチング工程など工程数が、かなり多くなってしまう。故に、収率の低下、材料費が嵩むなど、安価な多層プリント配線板を市場に供給することが難しい。
Claims (6)
- 片側銅箔付き感光性樹脂基板の樹脂面に、少なくとも無電解銅めっき及び電解銅めっきからなる導体パターンを形成するプリント配線基板の製造方法であって、
前記感光性樹脂を露光、現像し、所望とするビアパターンを形成した後、前記感光性樹脂表面に光触媒化合物を担持させ、めっきする導体パターン状に露光し、無電解銅めっきの核となる金属塩溶液の濡れ性に差を設ける、
ことを特徴とするプリント配線板の製造方法。 - 前記感光性樹脂が140°C以上の加熱により熱架橋する前に、前記光触媒化合物を担持させることを特徴とする請求項1記載のプリント配線板の製造方法。
- 前記光触媒化合物が、チタン含有有機金属化合物であることを特徴とする請求項1または2記載のプリント配線板の製造方法。
- 前記光触媒化合物に紫外線を露光することにより露光された当該光触媒化合物が励起され、金属塩溶液の濡れ性が向上することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のプリント配線板の製造方法。
- 前記金属塩溶液が、少なくともパラジウム塩溶液を含むことを特徴とし、前記無電解銅めっきの核となるパラジウムが析出された所に無電解銅めっきによってシード銅層を形成し、さらに電解銅めっきによって導体パターンを形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のプリント配線板の製造方法。
- 前記感光性樹脂が、紫外線硬化型エポキシアクリレートであり、前記光触媒化合物が、テトライソプロピルチタネートであり、前記パラジウム塩溶液が、塩化パラジウムであることを特徴とする請求項5に記載のプリント配線板の製造方法。
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