JP4715625B2 - 車体構造 - Google Patents

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Description

この発明は、自動車の車体構造に関し、特に、車体前部の側部に三角窓等のサブウインドウとフロントフェンダーを備えた車体構造に関する。
従来から、ミニバン等の自動車において、車体前部の側方視界を向上するためフロントピラーの下部に三角窓等のサブウインドウを設けることが知られている。
例えば、下記特許文献1では、フロントピラーの下部に三角窓を設ける車体構造が開示されており、これにより、車体前部の側方視界を向上している。
この特許文献1では、さらに、その周辺構造であるエプロンレインメンバ等も開示され、この三角窓周辺が複数の構成要素で構成されていることが開示されている。
特開2000−103360号公報
ところで、自動車の車体構造の前部には、車体前方を照らすヘッドランプを設けるのが通例であるが、近年、照射性の向上やデザイン上の要請等から、このヘッドランプを車体側方まで廻り込むように設置することが増加している。
そこで、車体前部の側部においては、車体前方側にヘッドランプが位置して、その後方にフロントフェンダーが位置し、さらにその後方に前述のサブウインドウが位置することが多くなっている。
しかし、ヘッドランプ後方のフロントフェンダーは、そもそも何らの機能も有しておらず、単に車体外面を構成しているだけに過ぎなかった。
そこで、本発明は、車体前部の側部にサブウインドウとフロントフェンダーを備えた車体構造において、ヘッドランプ後方の車体側部を効率よく使用して、全体として車体構造の機能を高めることができる車体構造を提供することを目的とする。
この発明の車体構造は、車体前部の側部で、前傾するフロントウインドウガラスの両端部を支持し上下方向に前傾して延在するフロントピラーと、該フロントピラーの下部でサブウインドウガラスを装着するサブウインドウ開口部と、該サブウインドウ開口部の下部から前方に延設されるエプロンレインメンバと、該エプロンレインメンバの上方に延在するボンネットと、該エプロンレインメンバの車幅方向外方で車体側部の外表面をなすフロントフェンダーとを備えた車体構造であって、前記サブウインドウ開口部を含んだ車体前部の側部に、前記フロントピラー及び前記ボンネットと前記フロントフェンダーの上縁部とで挟まれたベルトライン凹部を形成し、該ベルトライン凹部の車体前方側にヘッドランプを収容し、車体後方側にサブウインドウガラスを収容して、前記フロントピラー及び前記ボンネットと前記フロントフェンダーとの間を連続させる車体外表面を形成したものである。
上記構成によれば、フロントピラー及びボンネット側端とフロントフェンダー上縁部とで上下を挟まれるベルトライン凹部に、ヘッドランプとサブウインドウガラスを収容して、フロントピラー及びボンネットとフロントフェンダーの間を連続するように車体外表面を形成することで、フロントフェンダーの上部を、ヘッドランプの後方位置まで延ばすことなく、車体側部の車体外表面を構成することができる。
このため、ヘッドランプ後方の車体側部の車体外表面には、フロントフェンダーが位置することなく、サブウインドウガラスが位置することになり、ヘッドランプの後方の車体側部を効率よく使用することができる。
すなわち、ヘッドランプの後方にサブウインドウガラスが位置することで、ヘッドランプの後方の車体側部を、サブウインドウの視界向上領域等として使用することができるのである。
また、ベルトライン凹部に、ヘッドランプとサブウインドウガラスを収容したことで、フロントフェンダーの上部をボンネット高さまで引き上げる必要がないため、フロントフェンダーを成形する際、ホイールアーチ等の膨出部のプレス成形も容易にできる。
さらに、ボンネット側端とフロントフェンダー上縁部を近接させる必要がないため、幅広のタイヤを収容するのに、フロントフェンダーを車幅方向に大きく突出させる場合でも、ボンネットの幅を自由に設定できる。
加えて、ボンネットを正面視で幅狭に形成することも可能となるため、左右のフェンダー幅と同一幅のボンネットを設定する場合よりも、車体の前面投影面積を小さくでき、車体の空力性能を向上することもできる。
さらに、車体の共通化を図るべく、ボンネット位置の低い車体とボンネット位置の高い車体とを共通に製作する場合においても、このボンネット高さの違いを、ヘッドランプとサブウインドウガラスを装着することで吸収させることができる。
この発明の一実施態様においては、前記ベルトライン凹部のヘッドランプとサブウインドウガラスとの間に、透明又は半透明の外表面部を有するガーニッシュを収容して、該ガーニッシュとヘッドランプとサブウインドウガラスにより、車体前後方向に延在するベルトライン面部を形成したものである。
上記構成によれば、ヘッドランプとガーニッシュとサブウインドウガラスにより透明又は半透明のベルトライン面部を形成できるため、車体側部に車体前後方向に延びる透明又は半透明の領域を構成することができる。
このため、この透明又は半透明の領域で光の反射率が高まり、車体前部の側方部分における、車外からの視認性を高めることができる。
よって、例えば、見通しの悪い交差点等において、自車の車体側部を側方から走行してくる他車の運転者に認識させやすくなり、衝突予防も図ることができ、安全性を高めることができる。
また、ベルトライン面部が車体のベルトライン位置で車体前後方向に延びることで、車体全体の美感も向上することができる。
この発明の一実施態様においては、前記フロントピラーの車体後方位置にサイドドアを設け、該サイドドアの上部にドアウインドウガラスを装着して、該ドアウインドウガラスを、前記サブウインドウガラスの後方に連なるように設置し、車体側部に、前記ヘッドランプから前記サブウインドウガラスを含んで前記ドアウインドウガラスまで前後方向に連続するベルトライン面部を構成したものである。
上記構成によれば、サブウインドウガラスの後方にドアウインドウガラスを設置することで、さらに車体前後方向で広い範囲を透明又は半透明のベルトライン面部の領域にすることができる。
このため、車体前部の側部の車体からの視認性を、ドアウインドウガラスも利用して、さらに高めることができる。
よって、ドアウインドウガラスを利用して透明又は半透明領域を広げることで、さらに衝突安全性を高めることができ、また、車体全体の美感も向上することができる。
この発明の一実施態様においては、前下がりに傾斜した前記フロントピラーと該フロントピラーの傾斜角より小さく傾斜した前記ボンネットとの連続部分において、車体側部の外表面を構成するピラー下部外表面部を設定し、該ピラー下部外表面部を、側面視で下凸の円弧形状に湾曲するように形成して、前記ベルトライン凹部の上縁ラインを、該ピラー下部外表面部の形状と略一致するように下凸の円弧形状に湾曲形成したものである。
上記構成によれば、フロントピラーとボンネットとの連続部分のピラー下部外表面部を下凸の円弧形状に形成することで、ベルトライン凹部の上縁ラインも、下凸の円弧形状に形成して、このベルトライン凹部に収容されるサブウインドウガラス等の上縁部も、下凸の円弧形状に形成することになる。
このため、サブウインドウガラス等を、従来のように略三角形に形成した場合よりも、前端部を上方に反るような形で形成できるため、前端上縁部をより高い位置に設定することができる。
よって、サブウインドウ開口部の前端部の可視領域を広げることができ、車体前部の側方視界をより広げることができる。
なお、この「ピラー下部外表面部」は、フロントピラーの下部やボンネットの後部等の既存の車体部材で構成してもよいし、全く別の部材を設定して構成してもよい。
この発明の一実施態様においては、前記ピラー下部外表面部を、樹脂製のピラーガーニッシュで構成し、該ピラーガーニッシュで前記フロントピラーと前記ボンネットとの間に形成される空隙部を覆うとともに、該ピラーガーニッシュの下縁部を、前記ベルトライン凹部の上縁ラインと略一致させたものである。
上記構成によれば、樹脂製のピラーガーニッシュによって、フロントピラーとボンネットとの間の空隙部を覆い、その下縁部をベルトライン凹部の上縁ラインと略一致させることにより、鉄板等では成形しにくい下凸の円弧形状を、樹脂成形によって容易に構成することができる。
よって、成形コストを抑えつつも、外観上の見栄えを向上して、サブウインドウ開口部の前端部の可視領域を広げることができる。
この発明の車体構造は、車体前部の側部で、前傾するフロントウインドウガラスの両端部を支持し上下方向に前傾して延在するフロントピラーと、該フロントピラーの下部でサブウインドウガラスを装着するサブウインドウ開口部と、該サブウインドウ開口部の下部から前方に延設されるエプロンレインメンバと、該エプロンレインメンバの上方に延在するボンネットと、該エプロンレインメンバの車幅方向外方で車体側部の外表面をなすフロントフェンダーとを備えた車体構造であって、前記車体前部にヘッドランプを設置し、前記サブウインドウ開口部に装着されるサブウインドウガラスに、前記ヘッドランプ後端位置まで延びる前側延長部を設けたものである。
上記構成によれば、サブウインドウ開口部に装着するサブウインドウガラスに、ヘッドランプ後端位置まで延びる前側延長部を設けたため、ヘッドランプ後方の車体外表面には、フロントフェンダーが位置することなく、サブウインドウガラスが位置することになる。
このため、ヘッドランプ後方位置にサブウインドウガラスが位置することで、ヘッドランプ後方位置の車体側部を、サブウインドウの視界向上領域等として使用することができ、ヘッドランプの後方の車体側部を効率よく使用することができる。
よって、車体前部の側部にサブウインドウとフロントフェンダーを備えた車体構造であって、ヘッドランプの後方の車体側部を、効率よく使用して、全体として車体構造の機能を高めることができる。
この発明の車体構造は、車体前部の側部で、前傾するフロントウインドウガラスの両端部を支持し上下方向に前傾して延在するフロントピラーと、該フロントピラーの下部でサブウインドウガラスを装着するサブウインドウ開口部と、該サブウインドウ開口部の下部から前方に延設されるエプロンレインメンバと、該エプロンレインメンバの上方に延在するボンネットと、該エプロンレインメンバの車幅方向外方で車体側部の外表面をなすフロントフェンダーとを備えた車体構造であって、車体前部から車体側部にかけてヘッドランプを設置して、該ヘッドランプの後方に、前記サブウインドウ開口部に装着されるサブウインドウガラスを連続するように設置することでベルトライン面部を構成し、該ベルトライン面部の上下幅を、車体前方から車体後方に向かうにしたがい徐々に広がるように設定したものである。
上記構成によれば、ヘッドランプとサブウインドウガラスとでベルトライン面部を構成して、このベルトライン面部の上下幅が車体前方から車体後方に向かうにしたがって徐々に広がることになる。
このため、ヘッドランプの後方位置には、フロントフェンダーが位置することなく、サブウインドウガラスが位置することになる。また、車体側部のヘッドランプとサブウインドウガラスとが、車外から一体的に視認されることになる。
よって、車体の機能部材であるヘッドランプとサブウインドウガラスを車体の装飾部材として使用することができ、車体の美感をより向上することができる。
この発明によれば、ヘッドランプ後方の車体側部の車体外表面には、フロントフェンダーが位置することなく、サブウインドウガラスが位置することになり、ヘッドランプの後方の車体側部を効率よく使用することができる。
よって、車体前部の側部にサブウインドウとフロントフェンダーを備えた車体構造において、ヘッドランプ後方の車体側部を効率よく使用して、全体として車体構造の機能を高めることができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
まず、図1〜図11により、第一実施形態について説明する。図1は本発明の車体構造を採用した自動車の前部右側の全体斜視図、図2はその車体構造の前部側部の側面図、図3はサブウインドウガラス等を分解した分解斜視図、図4はフロントフェンダー等を分解した分解斜視図、図5はサブウインドウ開口部周辺の車体を分解した分解斜視図、図6は図1のA−A線矢視断面図、図7は図1のB−B線矢視断面図、図8は図1のC−C線矢視断面図、図9はフロントフェンダーの車体内方側の斜視図、図10は図9のD−D線矢視断面図、図11は図9のE−E線矢視断面図である。
図1に示すように、本実施形態の自動車は、車体前部に設けられるエンジンルームE部分が前後に短い、所謂ミニバンタイプの車体構造1で構成される。
この車体構造1は、エンジンルームEの上方に前傾して設置されるボンネット2と、エンジンルームEの前方で車幅方向にわたって設置されるフロントバンパー3と、エンジンルームEの側方に車体前後方向にわたって設置されるフロントフェンダー4と、そのフロントフェンダー4の後方に連なるように設置されるフロントドア5と、ボンネット2後方で上方に向って傾斜設置されるフロントウインドウガラス6と、フロントウインドウガラス6の後方で略水平状に配置されるルーフパネル7とを備える。また、フロントフェンダー4内方には、エンジンルームEの側壁上縁を構成するエプロンレインメンバ8を配置している。このエプロンレインメンバ8の上方には、前述のボンネット2が延在している。
そして、この車体側部には、車体前後方向に延びるように、ヘッドランプ10、クリアガーニッシュ20及びサブウインドウガラス30を、それぞれ車体前方側から順に配置している。
このヘッドランプ10、クリアガーニッシュ20及びサブウインドウガラス30は、共に外表面が透明又は半透明となっており、これらが車体側面の中央付近で水平線状(所謂ベルトライン)に位置することで、車体側面に光の反射率の高い透明又は半透明のベルトライン面部Fを形成している。
図2に示すように、このベルトライン面部Fは、車体前端から車体後方側にかけて直線状に延びるとともに、ヘッドランプ10前端部の幅t1と、クリアガーニッシュ20の幅t2と、サブウインドウガラス30の幅t3とが、t1<t2<t3となるように車体前方側から車体後方側に向かうにしたがって、徐々に幅広となるように設定している。
そして、各部材10,20,30の下端縁11,21,31を直線状に形成し、上端縁12,22,32をなだらかな湾曲線状に形成することで、ベルトライン面部Fが一体となって車外から視認されるように構成している。
また、この実施形態では、ベルトライン面部Fの後方に、フロントドア5のドアウインドウガラス50が位置するように設定している。このため、ドアウインドウガラス50も含めて、透明又は半透明領域を構成することができ、車体側面に、より広い範囲の透明又は半透明領域を形成することができる。
ベルトライン面部Fの上方には、車体前方から、車体構成部材であるボンネット側端部2a、アッパーフェンダー51、フロントピラー52が順に配置され、各部材の形状は、側面視で、ベルトライン面部Fの上端縁と略一致するように湾曲形成されている。
なお、ここでフロントピラー52は、前述のフロントウインドウガラス6の側端部を支持して上下方向に延在している。
特に、アッパーフェンダー51は、図2に示すように、側面視で、ボンネット側端部2aの緩やかな傾斜角α1と、フロントピラー52の急な傾斜角α2が滑らかに連続するように、下凸の円弧状に湾曲して、弓形に反った円弧形状として構成している。これにより、アッパーフェンダー51で「ピラー下部外表面部」を構成している
このため、外観上、ボンネット2とフロントピラー52が連続しているように視認されることになる。
次に、ベルトライン面部Fを構成する車体構造について説明する。
このベルトライン面部Fは、図3に示すように、車体前部の側面部に形成したベルトライン凹部60に、ヘッドランプ10、クリアガーニッシュ20及びサブウインドウガラス30を収容することで構成している(図3では、クリアガーニッシュ20とサブウインドウガラス30を分解した状態を図示)。
このベルトライン凹部60は、上部をボンネット側端部2a、アッパーフェンダー51の下端縁部51a、フロントピラー52の下縁部52aで、下部をフロントフェンダー4の上端縁部4aで挟まれ、さらに、前部をフロントバンパー3のヘッドランプ切欠縁部3aで仕切られ、車体外表面から一段凹んだ領域で構成している。
このベルトライン凹部60に対して、ヘッドランプ10を締結固定によって固定して、クリアガーニッシュ20をクリップ固定によって固定して、さらに、サブウインドウガラス30を接着固定で固定することで、フロントフェンダー4とボンネット2との間の車体外表面を、連続させるように構成している。
クリアガーニッシュ20については、その裏面に複数(4つ)のクリップ脚21…を設けて、その対応するアッパーフェンダー基部51bに複数(4つ)の係止穴22…を設け、クリアガーニッシュ20を車幅方向外方から押圧し、クリップ脚21を係止穴22に係合させることで、ベルトライン凹部60に装着している。
一方、サブウインドウガラス30については、略三角形状に開口したサブウインドウ開口部30Aの周囲に接着剤を塗布して、車幅方向外方から組付け、サブウインドウ開口部30A周縁にサブウインドウガラス30を接着固定することで、ベルトライン凹部60に装着している。
こうしてサブウインドウガラス30を接着固定とすることで、車外からの雨水等の浸入を防ぐことができ、サブウインドウ開口部30Aの防水性を高めることができる。
これに対して、クリアガーニッシュ20については、クリップ固定としたことで、車体から取り外し自在とすることができる。このため、後述するようにフロントフェンダー4を修理する際に、自由に着脱することができ、フロントフェンダー4の修復性を確保することができる。
なお、このサブウインドウ開口部30Aに接着されるサブウインドウガラス30は、図3に示すように、前端上縁33が角部となった略台形形状のガラス体で構成しており、通常の三角形状のものよりも、前端上縁33部分のガラス領域を増加させている。
これは、前述のようにアッパーフェンダー51の下端縁部51aが下凸状に湾曲形成されていることによるが、このため、サブウインドウガラス30は、従来のものより、前端部分の可視領域を広げることができる。
また、図4に示すように、フロントフェンダー4等は、車体から自由に取り外すことができるように構成している。
具体的には、クリップ固定されたクリアガーニッシュ20(図3参照)を工具等で取り外し、フロントフェンダー4の上部とアッパーフェンダー基部51bを露出させ(図3参照)、この露出部分に位置する締結ボルト41,41(図4参照)を、取り外すことで、フロントフェンダー4とアッパーフェンダー51を、車体から取り外す。
フロントフェンダー4の上部には、車幅方向外方側から締結固定できるように、上方に突出する締結フランジ42,42を二つ設け、フロントフェンダー4上部を、車体に締結固定できるように構成している。
また、アッパーフェンダー基部51bにも、この締結フランジ42,42に対応する、ボルト挿通穴43,43を二つ形成して、フロントフェンダー4と共に、車体に共締め固定できるように構成している。
さらに、フロントフェンダー4の後部には、ウィンカーランプ(方向指示燈)44を装着する開口45を設け、その開口45に対応する車幅方向内方側に、フロントフェンダー4を車体に締結固定する取付けガセット46を設けている。
また、フロントフェンダー4の前部や下部にも、同様に、車体に対して取り外し可能となる締結部を設けているが、従来と同様の構造であるため、詳細な説明を省略する。
一方、アッパーフェンダー51については、その上部をフロントピラー52に設けた後述する取付けブラケット53を介して、車体に締結固定している。
ベルトライン面部Fの車体内方側の車体構造は、さらに図5に示すように、複数の構成要素を組み合わせて構成している。
この車体構造は、前述のフロントフェンダー4とアッパーフェンダー51に加え、上下方向に延びてフロントピラー52の外表面を構成するピラーアウタパネル61と、車体前後方向に延びてエンジンルームE側端上縁を構成するエプロンレインメンバ8と、サブウインドウ開口部30A周囲に位置してサブウインドウ開口部30Aの剛性を高めるピラーレイン62と、車室内方側に位置してフロントピラー52の内表面を構成するピラーインナパネル63とを備え、このうち、ピラーアウタパネル61、エプロンレインメンバ8、ピラーレイン62及びピラーインナパネル63の4つの構成要素を接合することで、構成している。
前述のピラーアウタパネル61は、上部にフロントピラー52の外表面を構成する曲面形状の化粧面61aを設け、その下部に一段低くなった絞り部61bを設けている。また、絞り部61bの上面中央には、アッパーフェンダー51を締結固定する取付けブラケット53を接合している。この取付けブラケット53は、L字状断面のブラケット部材で形成され、前後二つのボルト締結穴を有する締結部53aを備えている。
また、このピラーアウタパネル61は、後端位置に化粧面61aから下方に延びる縦梁部61cを設けることで、略三角形状に開口したサブウインドウ開口部30Aを形成している。そして、このサブウインドウ開口部30Aの周囲に、前述のサブウインドウガラス30を接着固定する接着座部61dを形成している。
また、この接着座部61dからサブウインドウ開口部30A中心側の一段奥まった位置には、ピラーインナパネル63と接合を行なう接合フランジ61eを設けている。さらに、接着座部61dの前方に、折り曲げ形成した段差接合部61fを設けている。この段差接合部61fを設けることで、エプロンレインメンバ8に溶接する際に生じる「熱歪み」が、サブウインドウ開口部30A周囲の接着座部61dに生じないようにしている。
前述のエプロンレインメンバ8は、車体前後方向に延びる上下二段の閉断面を有する前後メンバ部8aと、その後方位置でフロントピラー52側(上方側)とヒンジピラー側(下方側)にそれぞれ分岐して延びる分岐メンバ部8bとを設け、サブウインドウ開口部30A前方の骨格部材として車体剛性を確保している。また、分岐メンバ部8bの上方には、ボンネット2後端の回転ヒンジ(図示せず)を固定するヒンジブラケット64を設けている。
前述のピラーレイン62は、ピラーアウタパネル61のサブウインドウ開口部30Aに対応するように三角形状の開口62aを形成した略三角形のパネル体で構成している。上端縁62b、前端縁62c及び下端縁62dを、車幅方向内方側に折り曲げると共に、前端縁62cと下端縁62dには、上下方向に延びる接合フランジ62eを設けている。
前述のピラーインナパネル63は、斜め上方に延びるピラーメンバ部63aと、サブウインドウ開口部30A周囲に位置する三角枠部63bとを設け、フロントピラー52の内側面を構成している。このうち、三角枠部63bには、その中心側に車幅方向外方側に突出する棚部63cを形成し、その内端には、ピラーアウタパネル61に接合される接合フランジ63eを形成している。
このように構成された各構成要素は、エプロンレインメンバ8の後端に対して、車幅方向の両側からピラーアウタパネル61の前端とピラーインナパネル63の前端を挟み込むようにして組み合わせ、さらに、このピラーアウタパネル61とピラーインナパネル63との間にピラーレイン62を挟持し、各構成要素の接合フランジ等を溶接ガン(図示せず)で溶接することで、車体構造を構成している。
図6の断面図に示すように、この車体構造は、車体前方側に第一閉断面S1を有するエプロンレインメンバ8を設置し、その後方に、エプロンレインメンバ8に接合されるピラーレイン62と、エプロンレインメンバ8のインナパネル81に接合されるピラーインナパネル63とを設置して、エプロンレインメンバ8との間で第二閉断面S2を構成している。また、このピラーインナパネル63の前部と後端の接合フランジ63eに対してピラーレイン62の前端の接合フランジ62eと後端をそれぞれ接合して、ピラーインナパネル63とピラーレイン62との間で第三閉断面S3を構成し、さらに、ピラーレイン62の中央と後端に対してピラーアウタパネル61の前端の段差接合部61fを接合し、後端の接合フランジ61eを接合することで、ピラーレイン62とピラーアウタパネル61との間で第四閉断面S4を構成している。
このように複数の閉断面を構成することで、本実施形態の車体構造では、ベルトライン面部Fの車体内方側の車体剛性を高めている。
本実施形態では、この剛性の高い車体構造に対して、ヘッドランプ10、クリアガーニッシュ20及びサブウインドウガラス30を、図6に示すように、各外表面が面一となるように設置している。
ヘッドランプ10は、図示しない取付けネジ等で車体に装着固定されている。また、クリアガーニッシュ20は、その裏面のクリップ脚21がアッパーフェンダー基部51bに対してクリップ固定され、このアッパーフェンダー基部51bが締結ボルト41,41で車体に固定されることで、車体に装着固定されている。さらに、サブウインドウガラス30は、接着剤Gによってピラーアウタパネル61の接着座部61dに接着されて、車体に装着固定されている。
また、図7の断面図に示すように、本実施形態では、フロントピラー52の断面形状をサブウインドウ開口部30Aの前部52Aと後部52Bとで変更して、運転者の視界を広げる構造を採用している。すなわち、フロントピラー前部52Aのサブウインドウ開口部30A側の接合フランジ52A1を、後部52Bの接合フランジ52B1と相違させ、サブウインドウガラス30から離間した車体内方側に位置するように形成している。
このように、接合フランジ52A1をサブウインドウガラス30から離間して形成することにより、図示するように、運転者Dからの可視範囲をより車体前方側まで広げることができる(一点鎖線P1が可視範囲を示す線で、二点鎖線P2がそのまま延ばした場合の可視範囲を示す線)。なお、mは、フロントピラー52A、52Bを覆うピラートリムである。
さらに、図8の断面図に示すように、本実施形態では、アッパーフェンダー51の上部の取り付け構造についても、視界を広げる構造を採用している。
すなわち、前述したようにフロントピラー52の絞り部61bの上面61b1に、別途、取付けブラケット53を設け、この取付けブラケット53に対して、上方から廻り込むアッパーフェンダー51の上端フランジ部51cを、車幅方向内方側から外方側に延びる締結ボルト51dで締結固定することで、アッパーフェンダー51の上部を取り付けている。
例えば、従来構造であると、二点鎖線で示すように、アッパーフェンダー51の上端フランジ部51c′を、ピラーアウタパネル61とピラーインナパネル63の接合フランジ位置まで延ばし、その位置で上下方向に延びる締結ボルト51d′によってフロントピラー52に取り付けることが考えられるが、こうした構造を採用した場合には、フロントウインドウガラス6を支持する位置が必然的に車幅方向内方側に設定されてしまい、その分フロントウインドウガラス6を小さくする必要が生じて、車体前方の視界を制限してしまう。
これに対して、本実施形態のように、フロントピラー52の絞り部61bの上面61b1に、別途取付けブラケット53を設けて、アッパーフェンダー51の上端フランジ部51cを車幅方向に延びる締結ボルト51dで締結することで、フロントウインドウガラス6を車幅方向外方側に大きく延設することが可能となり、車体前方の視界を広げることができる。
次に、フロントフェンダー4の内部に設けられる取付けガセット46について説明する。図9に示すように、フロントフェンダー4の車体内方側には、前述したように取付けガセット46を設けている。
この取付けガセット46は、中央に車幅方向内方側に隆起する山型隆起部46aを設け、その頂の平面部46bに締結ボルト47(図10参照)を挿通する挿通穴46cを設けている。また、周縁にフロントフェンダー4の内壁面4bに接着クッション材46dを介して当接する当接フランジ部46eを設け、さらに、当接フランジ部46eの上端と後端には、それぞれフロントフェンダー4に接合される接合フランジ46f,46gを設けている。なお、取付けガセット46の下側部分46hは、開放している(図10参照)。
この取付けガセット46は、ウィンカーランプ44を装着する開口45を通じて、締結ボルト47を着脱できるように、側面視でウィンカーランプ44の位置と略一致する位置に、設置している(図2参照)。
このように、取付けガセット46を設けて、フロントフェンダー4上部を車体に固定することにより、フロントフェンダー4のガタツキを確実に抑えることができる。
すなわち、前述のようにサブウインドウガラス30を接着固定した場合には、その下方に位置するフロントフェンダー4上部の締結場所を確保できないため、フロントフェンダー4上部の締結力が低下して、フロントフェンダー4にガタツキが生じるおそれがある。
これを、本実施形態のように、取付けガセット46を設けて、フロントフェンダー4の車幅方向内方側の車体に締結固定することで、フロントフェンダー4上部の締結力を高めているのである。
このフロントフェンダー4の取り外し方法は、まず、図11に示すように、フロントフェンダー4の開口45に装着されたウィンカーランプ44を、マイナスドライバー等の工具Tを用いて、爪44aとフック44bの係合を解除して、取り外し、さらにコネクタ48(図10参照)との結合を外したうえで、ウィンカーランプ44をフロントフェンダー4の開口45から取り外す。
そして、フロントフェンダー4の開口45を通じて、露出した締結ボルト47を、開口45から挿入した工具(図示せず)を用いて回転操作する。こうして、締結ボルト47の締結を解除した後、フロントフェンダー4を車体から取り外す。
このように、ウィンカーランプ44の開口45を利用して、取付けガセット46の締結ボルト47を解除するため、フロントフェンダー4の着脱のために別途、フロントフェンダー4に開口等を形成する必要がなく、フロントフェンダー4の外表面の見栄えの悪化も防止することができる。
次に、本実施形態の作用効果について、詳述する。
この実施形態の車体構造は、サブウインドウ開口部30Aを含んだ車体前部の側部に、フロントピラー52及びボンネット2とフロントフェンダー4の上縁部に挟まれたベルトライン凹部60を形成し、そのベルトライン凹部60の車体前方側にヘッドランプ10を収容し、車体後方側にサブウインドウガラス30を収容して、フロントピラー52及びボンネット2とフロントフェンダー4との間を連続する車体外表面を形成している。
これにより、フロントピラー52及びボンネット側端部2aとフロントフェンダー4の上縁部で、上下を挟まれるベルトライン凹部60に、ヘッドランプ10とサブウインドウガラス30を収容して、フロントピラー52及びボンネット2とフロントフェンダー4の間を連続するように車体外表面を形成することで、フロントフェンダー4の上部を、ヘッドランプ10の後方位置まで延ばすことなく、車体側部の車体外表面を構成することができる。
このため、ヘッドランプ10後方の車体側部の車体外表面には、フロントフェンダー4が位置することなく、サブウインドウガラス30等が位置することになり、ヘッドランプ10の後方の車体側部を効率よく使用することができる。
すなわち、ヘッドランプ10の後方にサブウインドウガラス30等が位置することで、ヘッドランプ10の後方の車体側部を、サブウインドウ開口部30Aの視界向上領域等として使用することができるのである。
よって、車体前部の側部にサブウインドウ開口部30Aとフロントフェンダー4を備えた車体構造において、ヘッドランプ10後方の車体側部を効率よく使用して、全体として車体構造の機能を高めることができる。
また、この実施形態によると、ベルトライン凹部60に、ヘッドランプ10とサブウインドウガラス30を収容したことで、フロントフェンダー4の上部をボンネット2高さまで引き上げる必要がないため、フロントフェンダー4を成形する際、ホイールアーチ等の膨出部のプレス成形も容易にできる。
さらに、この実施形態によると、ボンネット側端部2aとフロントフェンダー4上縁部を近接させる必要がないため、幅広のタイヤを収容するのに、フロントフェンダー4を車幅方向に大きく突出させる場合でも、ボンネット2の幅を自由に設定できる。
加えて、この実施形態によると、ボンネット2を正面視で幅狭に形成することも可能となるため、左右のフロントフェンダー4幅と同一幅のボンネット2を設定する場合よりも、車体の前面投影面積を小さくでき、車体の空力性能を向上することもできる。
さらに、この実施形態によると、車体の共通化を図るべく、ボンネット2位置の低い車体とボンネット2位置の高い車体とを共通に製作する場合においても、このボンネット2高さの違いを、ヘッドランプ10とサブウインドウガラス30を装着することで吸収させることができる。よって、車体製作のコストがより削減できるという効果も得られる。
また、この実施形態では、ベルトライン凹部60のヘッドランプ10とサブウインドウガラス30と間に、透明又は半透明の外表面を有するクリアガーニッシュ20を収容して、このクリアガーニッシュ20とヘッドランプ10とサブウインドウガラス30により、車体前後方向に延在するベルトライン面部Fを形成している。
これにより、車体側部に車体前後方向に延びる透明又は半透明の領域を構成することができる。
このため、この透明又は半透明の領域で光の反射率が高まり、車体前部の側方部分における、車外からの視認性を高めることができる。
よって、例えば、見通しの悪い交差点等において、自車の車体側部を側方から走行してくる他車の運転者に認識させやすくなり、衝突予防も図ることができ、安全性を高めることができる。
また、ベルトライン面部が車体のベルトライン位置で車体前後方向に延びることで、車体全体の美感も向上することができる。
また、この実施形態では、フロントドア5のドアウインドウガラス50を、サブウインドウガラス30の後方に連なるように設置し、車体側部に、ヘッドランプ10からサブウインドウガラス30を含んでドアウインドウガラス50まで前後方向に連続する透明又は半透明領域を構成している。
これにより、車体側部の透明又は半透明領域を、さらに車体前後方向に広く設定することができる。
このため、車体前部の側部における車外からの視認性を、ドアウインドウガラス50も利用して、さらに高めることができる。
よって、さらに透明又は半透明領域を広げることで、安全性を高めることができ、また、車体全体の美感も向上することができる。
また、この実施形態では、前下がりに傾斜したフロントピラー52とそのフロントピラー52の傾斜角α2より小さく傾斜(傾斜角α1)したボンネット2との連続部分において、車体側部の外表面を構成するアッパーフェンダー51を設定し、そのアッパーフェンダー51を、側面視で下凸の円弧形状に湾曲するように形成することで「ピラー下部外表面部」として構成し、ベルトライン凹部60の上縁ライン(12,22,32と同一ライン)を、そのアッパーフェンダー51の形状と略一致するように下凸の円弧形状に湾曲形成している。
これにより、このベルトライン凹部60に収容されるサブウインドウガラス30も、その上縁部が、下凸の円弧形状に形成されることになる。
このため、サブウインドウガラス30を、従来のように略三角形に形成した場合よりも、前端部を上方に反るような形で形成できるため、前端上縁33をより高い位置に設定することができる。
よって、サブウインドウの前端部の可視領域を広げることができ、車体前部の側方視界をより広げることができる。
なお、このアッパーフェンダー51の代わりに、フロントピラー52の下部を下方に延設したり、ボンネット2の後部を後方に延設することで、車体外表面に下凸の円弧形状を構成して「ピラー下部外表面部」として、設定してもよい。
また、この実施形態では、ベルトライン面部Fの上下幅(t1、t2、t3)を、車体前方から車体後方に向かうにしたがい徐々に広がるように設定している。
このため、車体側部のヘッドランプ10とサブウインドウガラス30とが、車外からより一体的に視認されることになる。
よって、ヘッドランプ10とサブウインドウガラス30が一体的に視認されることで、車体の機能部材であるヘッドランプ10とサブウインドウガラス30を車体の装飾部材として使用することができ、車体の美感をより向上することができる。
次に、本発明の第二実施形態について、図12、図13より説明する。図12は第一実施形態の図1に対応する全体斜視図、図13は第一実施形態の図3に対応する分解斜視図である。
この第二実施形態は、サブウインドウガラス130に車体前方側に延長する延長部131を設けて、その延長部131の前端をヘッドランプ10の後端に近接するように設置したものである。すなわち、前述の第一実施形態とは異なり、クリアガーニッシュを設けることなく、ヘッドランプ10とサブウインドウガラス130とによって、車体側部のベルトライン面部Fを構成したものである。その他の構成については、第一実施形態と同様であり、同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
図12に示すように、本実施形態の車体構造は、車体側部に、ヘッドランプ10とサブウインドウガラス130を車体前後方向に延びるように配置しており、このうち、後方に位置するサブウインドウガラス130に、車体前方側に延びる延長部131を設けている。
このように、サブウインドウガラス130に延長部131を設けたことで、ヘッドランプ10とその後方のサブウインドウガラス130は、車外から一体的に視認されて、第一実施形態と同様の効果を奏する。
サブウインドウガラス130は、図13に示すように、第一実施形態の固定方法とは異なり、フロントフェンダー4の取り外しを可能にするため、スタッドボルトとナット等による締結固定で車体に装着固定している。
サブウインドウガラス130の裏面にスタッドボルト132…を複数(6つ)を設け、対向する車体側にナット133を複数(6つ)設けて、サブウインドウガラス130を、締結固定することで、車体側部に装着固定するようにしている。
なお、このサブウインドウガラス130の固定方法は、サブウインドウガラス130を、取り外すことができれば、例えば、その他、係止固定等の固定方法であってもよい。
前記車体前部にヘッドランプを設置し、前記サブウインドウ開口部に装着されるサブウインドウガラスに、前記ヘッドランプ後端位置まで延びる前側延長部を設けたものである。
このように、この実施形態の車体構造では、車体前部にヘッドランプ10を設置し、サブウインドウガラス130に、ヘッドランプ10後端位置まで延びる延長部131を設けている。
これにより、ヘッドランプ10の後方位置には、フロントフェンダー4が位置することなく、サブウインドウガラス130が位置することになる。
このため、ヘッドランプ10後方位置の車体側部を、サブウインドウ開口部30Aの視界向上領域等として使用することができ、ヘッドランプ10の後方の車体側部を効率よく使用することができる。
よって、車体前部の側部にサブウインドウとフロントフェンダー4を備えた車体構造であって、ヘッドランプ10の後方の車体側部を、効率よく使用して、全体として車体構造の機能を高めることができる。
特に、サブウインドウガラス130に延長部131を設け、クリアガーニッシュを廃したため、部品点数の削減と組立工数の削減を図ることができる。また、クリアガーニッシュがないため、ヘッドランプ10とサブウインドウガラス130の一体感がより高まり、車体側部の美感をより高めることができる。
その他の作用効果については、前述の第一実施形態と同様である。
次に、本発明の第三実施形態について、図14、図15より説明する。図14は第一実施形態の図3に対応する全体斜視図、図15は第一実施形態の図8に対応する断面図である。
この第三実施形態は、アッパーフェンダー51(図2参照)が位置するフロントピラー52とボンネット側端部2aの連続部分に、樹脂製のピラーガーニッシュ251を設置したものである。すなわち、前述の第一実施形態とは異なり、車体外表面の連続部分を、複雑な形状であっても成形の容易な樹脂製部材で構成しているのである。その他の構成については、第一実施形態と同様であり、同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
図14に示すように、本実施形態の車体構造は、フロントピラー52の下部に樹脂製のピラーガーニッシュ251を装着できるように、ピラーガーニッシュ251の裏面にクリップ脚252を複数(2つ)設け、対向する絞り部61bの上面に係止孔253を複数(2つ)設けることで、ピラーガーニッシュ251を絞り部61bの上面に係止して、フロントピラー52の下部に装着固定している。
なお、この固定方法も、前述の実施形態同様、特にこのクリップ固定に限定されるものではない。
この連続部分を樹脂製のピラーガーニッシュ251によって構成したことにより、フロントピラー52とボンネット2の間を滑らかに連続させるため下凸状の円弧状の湾曲形状に形成する場合においても、容易に成形を行うことができる。
特に、図15に示すように、連続部分を下凸の円弧形状とすると、フロントピラー52に沿ってほぼ直線状の両端部を有するフロントウインドウガラス6を保持する直線状のフランジ部254と、円弧状にそのフランジ部254から離間していく上縁部251aとの距離がフロントピラー52の下部に行くほど大きくなり、これをいわゆる「深絞り」によって金属板金で成形する必要が生じて、成形が困難となる。しかし、この連続部分を、本実施形態のように、樹脂成形によって形成することで、確実に成形することができる。
このように、この実施形態の車体構造では、フロントピラー52とボンネット側端部2aの連続部分の「ピラー下部外表面部」を、樹脂製のピラーガーニッシュ251で構成し、そのピラーガーニッシュ251でフロントピラー52とボンネット2との間に形成される空隙部を覆うとともに、そのピラーガーニッシュ251の下縁部251bを、ベルトライン凹部60の上縁ラインと略一致させている。
これにより、樹脂製のピラーガーニッシュ251によって、フロントピラー52とボンネット2との間の空隙部を覆って、補間したことにより、鉄板等では成形しにくい下凸の円弧形状を、樹脂成形によって容易に構成することができる。
よって、成形コストを抑えつつも、外観上の見栄えを向上して、サブウインドウ開口部30Aの前端部の可視領域を広げることができる。
その他の作用効果については、前述の第一実施形態と同様である。
次に、本発明の第四実施形態について、図16、図17より説明する。図16は第一実施形態の図3に対応する全体斜視図、図17は第一実施形態の図8に対応する断面図である。
この第四実施形態は、クリアガーニッシュ部320とピラーガーニッシュ部321を一部材300で構成したものである。すなわち、第三実施形態で別に構成していたクリアガーニッシュ20とピラーガーニッシュ251を、樹脂部材同士で一体成形しているのである。その他の構成については、第一実施形態と同様であり、同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
図16に示すように、本実施形態の車体構造は、フロントピラー52の下部に装着するピラーガーニッシュ部321と、ベルトライン凹部60に装着するクリアガーニッシュ部320とを一部材300として構成し、この一部材300を、クリップ固定で装着固定するように構成している。このクリップ固定方法も、前述の実施形態のクリップ固定と同様であるため、説明を省略する。
図17に示すように、ピラーガーニッシュ部321とクリアガーニッシュ部320を一部材300として構成したことにより、両者の間には隙が生じないため、ベルトライン凹部60内への、雨水等の浸入を防ぐことができる。
このように、この車体構造では、ピラーガーニッシュ部321とクリアガーニッシュ部320を一部材300として構成していることにより、車体の防水性を高めることができる。
また、一部材300としたことにより、部品点数の削減や、生産工程の削減も可能となり、さらに、フロントフェンダー4の修復性や連続部分の成形性の問題も一挙に解決することができる。
その他の作用効果については、前述の第一実施形態と同様である。
以上、この発明の構成と、前述の実施形態との対応において、
この発明の透明又は半透明のガーニッシュは、実施形態のクリアガーニッシュ20、クリアガーニッシュ部320に対応し、
以下、同様に、
樹脂製のピラーガーニッシュは、ピラーガーニッシュ251、ピラーガーニッシュ部321に対応し、
前側延長部は、延長部131に対応するも、
この発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、あらゆる車体構造に適用する実施形態を含むものである。この実施形態では、ミニバンタイプの車体構造で説明をしたが、その他の、セダンタイプ、ワゴンタイプ等々の車体構造で採用してもよい。
本発明の車体構造を採用した自動車の前部右側の全体斜視図。 車体構造の前部側部の側面図。 サブウインドウガラス等を分解した分解斜視図。 フロントフェンダー等を分解した分解斜視図。 サブウインドウ開口部周辺の車体を分解した分解斜視図。 図1のA−A線矢視断面図。 図1のB−B線矢視断面図。 図1のC−C線矢視断面図。 フロントフェンダーの車体内方側の斜視図。 図9のD−D線矢視断面図。 図9のE−E線矢視断面図。 第二実施形態の車体構造の前部右側の全体斜視図。 第二実施形態のサブウインドウガラス等を分解した分解斜視図。 第三実施形態のサブウインドウガラス等を分解した分解斜視図。 第三実施形態の図11に相当する断面図。 第四実施形態のサブウインドウガラス等を分解した分解斜視図。 第四実施形態の図11に相当する断面図。
符号の説明
E…エンジンルーム
F…ベルトライン面部
1…車体構造
2…ボンネット
4…フロントフェンダー
10…ヘッドランプ
20…クリアガーニッシュ
30…サブウインドウガラス
30A…サブウインドウ開口部
51…アッパーフェンダー
52…フロントピラー
60…ベルトライン凹部
130…サブウインドウガラス
131…延長部
251…ピラーガーニッシュ
320…クリアガーニッシュ部
321…ピラーガーニッシュ部

Claims (7)

  1. 車体前部の側部で、前傾するフロントウインドウガラスの両端部を支持し上下方向に前傾して延在するフロントピラーと、該フロントピラーの下部でサブウインドウガラスを装着するサブウインドウ開口部と、該サブウインドウ開口部の下部から前方に延設されるエプロンレインメンバと、該エプロンレインメンバの上方に延在するボンネットと、該エプロンレインメンバの車幅方向外方で車体側部の外表面をなすフロントフェンダーとを備えた車体構造であって、
    前記サブウインドウ開口部を含んだ車体前部の側部に、前記フロントピラー及び前記ボンネットと前記フロントフェンダーの上縁部とで挟まれたベルトライン凹部を形成し、
    該ベルトライン凹部の車体前方側にヘッドランプを収容し、車体後方側にサブウインドウガラスを収容して、前記フロントピラー及び前記ボンネットと前記フロントフェンダーとの間を連続させる車体外表面を形成した
    車体構造。
  2. 前記ベルトライン凹部のヘッドランプとサブウインドウガラスとの間に、透明又は半透明の外表面部を有するガーニッシュを収容して、
    該ガーニッシュとヘッドランプとサブウインドウガラスにより、車体前後方向に延在するベルトライン面部を形成した
    請求項1記載の車体構造。
  3. 前記フロントピラーの車体後方位置にサイドドアを設け、
    該サイドドアの上部にドアウインドウガラスを装着して、
    該ドアウインドウガラスを、前記サブウインドウガラスの後方に連なるように設置し、車体側部に、前記ヘッドランプから前記サブウインドウガラスを含んで前記ドアウインドウガラスまで前後方向に連続するベルトライン面部を構成した
    請求項1又は2記載の車体構造。
  4. 前下がりに傾斜した前記フロントピラーと該フロントピラーの傾斜角より小さく傾斜した前記ボンネットとの連続部分において、車体側部の外表面を構成するピラー下部外表面部を設定し、
    該ピラー下部外表面部を、側面視で下凸の円弧形状に湾曲するように形成して、
    前記ベルトライン凹部の上縁ラインを、該ピラー下部外表面部の形状と略一致するように下凸の円弧形状に湾曲形成した
    請求項1〜3いずれか記載の車体構造。
  5. 前記ピラー下部外表面部を、樹脂製のピラーガーニッシュで構成し、
    該ピラーガーニッシュで前記フロントピラーと前記ボンネットとの間に形成される空隙部を覆うとともに、
    該ピラーガーニッシュの下縁部を、前記ベルトライン凹部の上縁ラインと略一致させた
    請求項4記載の車体構造。
  6. 車体前部の側部で、前傾するフロントウインドウガラスの両端部を支持し上下方向に前傾して延在するフロントピラーと、該フロントピラーの下部でサブウインドウガラスを装着するサブウインドウ開口部と、該サブウインドウ開口部の下部から前方に延設されるエプロンレインメンバと、該エプロンレインメンバの上方に延在するボンネットと、該エプロンレインメンバの車幅方向外方で車体側部の外表面をなすフロントフェンダーとを備えた車体構造であって、
    前記車体前部にヘッドランプを設置し、
    前記サブウインドウ開口部に装着されるサブウインドウガラスに、前記ヘッドランプ後端位置まで延びる前側延長部を設けた
    車体構造。
  7. 車体前部の側部で、前傾するフロントウインドウガラスの両端部を支持し上下方向に前傾して延在するフロントピラーと、該フロントピラーの下部でサブウインドウガラスを装着するサブウインドウ開口部と、該サブウインドウ開口部の下部から前方に延設されるエプロンレインメンバと、該エプロンレインメンバの上方に延在するボンネットと、該エプロンレインメンバの車幅方向外方で車体側部の外表面をなすフロントフェンダーとを備えた車体構造であって、
    車体前部から車体側部にかけてヘッドランプを設置して、
    該ヘッドランプの後方に、前記サブウインドウ開口部に装着されるサブウインドウガラスを連続するように設置することでベルトライン面部を構成し、
    該ベルトライン面部の上下幅を、車体前方から車体後方に向かうにしたがい徐々に広がるように設定した
    車体構造。

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