JP4714878B2 - 工作機械 - Google Patents
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Description
本発明は、主として金型などの難削材料の加工に用いられる工作機械、特にその主軸構造およびツールホルダに関する発明であって、主軸回転数が高速化してもツールホルダの把持力の低下が少なく、耐びびり性の高い主軸構造およびツールホルダを提供する。
自動車部品金型のように加工体積が大きい金型を高効率で切削加工するための一つの方法として、工作機械に大出力で高回転数の主軸モータを搭載し、主軸回転数を高くして加工する方法が採用される。しかし、工作機械の主軸回転数を高速化することによって、加工中にびびり振動が発生しやすくなるなど、高速化を妨げる様々な問題が頻出することが知られている。
工作機械主軸の高速化に伴うこのような問題を回避するためには、工作機械主軸およびツールホルダの耐びびり性を向上させる必要があるが、特に、近年、高速回転中に工作機械主軸およびツールホルダの耐びびり性が不足するといった問題が顕著になってきた。一般的に工作機械主軸およびツールホルダの耐びびり性はそれらの剛性と振動減衰性の積で表され、これらのいずれかもしくは両方の特性を改善することによって、工作機械主軸およびツールホルダの耐びびり性を向上させることができると考えられている。
さらに又、主軸の高速回転中時にツールホルダのテーパシャンク部と工作機械主軸のテーパ部の接触状態が悪化することによる剛性の低下が、高速回転時の工作機械主軸およびツールホルダの耐びびり性を低下させる原因の一つとなっていると考えられている(例えば、非特許文献1参照。)。
近年、ツールホルダテーパ面と工作機械主軸テーパ穴の接触状態が主軸の高速回転域でも良好な状態を維持するため、二面拘束型のツールホルダが提案されている(例えば、非特許文献2参照。)。この二面拘束型ツールホルダの特徴は、工作機械主軸に把持したときに工作機械主軸とツールホルダをテーパ面同士で接触させるほか、主軸端面でツールホルダのフランジ部と接触させるため、二つの接触面でツールホルダを工作機械主軸に拘束できる構造になっている。しかし、二面拘束型のツールホルダでは、テーパ面や接触面に切削屑をかみ込みやすく、工作機械主軸とツールホルダの接触状態が悪化した場合、二面拘束状態を維持することが難しく、従来の二面拘束型でないツールホルダより耐びびり性が低下するといった症状が報告されるようになってきた。
このように、従来は、主として静止状態に着目してツールホルダおよび工作機械主軸の設計がなされてきたが、主軸回転数の高速化に伴って、高速回転中における主軸およびツールホルダの状態が十分考慮されて設計されたたツールホルダおよび工作機械主軸が求められるようになってきている。
安東広之・小幡文雄・上原一剛、2005年度精密工学会鳥取地方学術講演 会講演論文集、31-32。 清水伸二・熊切洋平・坂本治久、2005年度精密工学会春季大会学術講演 会講演論文集、713-714。
安東広之・小幡文雄・上原一剛、2005年度精密工学会鳥取地方学術講演 会講演論文集、31-32。 清水伸二・熊切洋平・坂本治久、2005年度精密工学会春季大会学術講演 会講演論文集、713-714。
工作機械主軸にツールホルダを把持して高速回転させた場合、非特許文献1に示されるように、工作機械主軸およびツールホルダに作用する遠心力によってテーパ面同士の良好
な接触状態を維持することができなくなる。これは工作機械主軸のテーパ穴の大きさが遠心力によってツールホルダのテーパシャンク部より大きくなるためであり、工作機械主軸はツールホルダに比べて遠心力の影響を受けやすいことが原因と考えられる。
な接触状態を維持することができなくなる。これは工作機械主軸のテーパ穴の大きさが遠心力によってツールホルダのテーパシャンク部より大きくなるためであり、工作機械主軸はツールホルダに比べて遠心力の影響を受けやすいことが原因と考えられる。
本発明で解決しようとする課題は、工作機械主軸およびツールホルダに遠心力が作用してもテーパ面同士の良好な接触状態を維持することによって、高速回転数域でも耐びびり性が低下しない工作機械主軸およびツールホルダを提供しようとするものである。
本発明請求項1の発明は、ツールホルダの一端に形成した、機械構造用合金鋼であるクロムモリブデン鋼よりなるテーパシャンク部を工作機械主軸の端部に形成されたテーパ穴に嵌合することにより、上記ツールホルダを把持する工作機械において、上記テーパ穴を構成するテーパ部を鋼で構成するとともに、当該テーパ部の上記ツールホルダ側の端面近傍の外周に切欠部を設け、上記切欠部に上記テーパシャンク部の材料の比重より28%以上小さく、かつ上記テーパ部および上記テーパシャンク部の材料のヤング率以上であるセラミックス製挿入リングを嵌合したことを特徴とする工作機械である。
本発明請求項2の発明は、ツールホルダの一端に形成した、機械構造用合金鋼であるクロムモリブデン鋼よりなるテーパシャンク部を工作機械主軸の端部に形成されたテーパ穴に嵌合することにより、上記ツールホルダを把持する工作機械において、上記テーパ穴を構成するテーパ部を鋼で構成するとともに、当該テーパ部の上記ツールホルダ側の端面近傍の外周に切欠部を設け、上記切欠部に上記テーパシャンク部の材料の比重より28%以上小さく、かつ上記テーパ部および上記テーパシャンク部の材料のヤング率以上であるアルミナセラミックス製挿入リングを嵌合したことを特徴とする工作機械である。
本発明請求項3の発明は、ツールホルダの一端に形成した、機械構造用合金鋼であるクロムモリブデン鋼よりなるテーパシャンク部を工作機械主軸の端部に形成されたテーパ穴に嵌合することにより、上記ツールホルダを把持する工作機械において、上記テーパ穴を構成するテーパ部を機械構造用合金鋼であるクロムモリブデン鋼で構成するとともに、当該テーパ部の上記ツールホルダ側の端面近傍の外周に切欠部を設け、上記切欠部に上記テーパシャンク部の材料の比重より28%以上小さく、かつ上記テーパ部および上記テーパシャンク部の材料のヤング率以上であるセラミックス製挿入リングを嵌合したことを特徴とする工作機械である。
本発明請求項4の発明は、ツールホルダの一端に形成した、機械構造用合金鋼であるクロムモリブデン鋼よりなるテーパシャンク部を工作機械主軸の端部に形成されたテーパ穴に嵌合することにより、上記ツールホルダを把持する工作機械において、上記テーパ穴を構成するテーパ部を機械構造用合金鋼であるクロムモリブデン鋼で構成するとともに、当該テーパ部の上記ツールホルダ側の端面近傍の外周に切欠部を設け、上記切欠部に上記テーパシャンク部の材料の比重より28%以上小さく、かつ上記テーパ部および上記テーパシャンク部の材料のヤング率以上でアルミナセラミックス製挿入リングを嵌合したことを特徴とする工作機械である。
本発明請求項1〜4の発明は、それぞれ上述する構成よりなり、以下の実施例の説明のところで更に明らかにするように、高速回転数域でも耐びびり性の低下しない工作機械主軸およびツールホルダを提供し得る。
本発明の基本的な構成要件であるツールホルダのテーパシャンク部に比べて比重の小さい材料で主軸のテーパ部を構成することによって、主軸テーパ穴はツールホルダのテーパシャンク部より遠心力の影響を受けにくくなり、従来のSCM415製等の主軸より遠心力によるテーパ穴の拡大量は小さくなる。このため、主軸が高速回転した場合でも、主軸テーパ穴とツールホルダのテーパシャンク面は良好な接触状態を維持できると考えられる。また、主軸テーパ部およびツールホルダのテーパシャンク部の材料は、鋳鉄のヤング率以上のヤング率を持つ材料でないと実用に適さない。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態を具体的に説明する。
図1は、ツールホルダ1と工作機械主軸4から構成される工作機械主軸系モデルを示す。本モデルは、セラミックス製の工作機械主軸4とSCM415(機械構造用合金鋼であるクロムモリブデン鋼)製のツールホルダ1、軸受2(2aと2b)、プルスタッド3から構成される。尚、5はツールホルダのホルダ部、8は主軸4の端部に形成されたテーパ穴であり、9は同テーパ穴8を構成するテーパ部である。本主軸系モデルでは主軸端とツールホルダフランジ部7の端面との間に2 mmの隙間を設け、4個の主軸端側玉軸受2aはアンギュラ玉軸受、1個の後側軸受2bは円筒ころ軸受で工作機械主軸が支持されているが、フランジ端面との隙間、軸受の配置および個数については、これらに限定されるものではない。
以下に、図1に示した主軸系モデルについて、ツールホルダ1および工作機械主軸4の剛性解析を行った結果から本実施例の有効性を示す。
図2は、本実施例の主軸系モデルの解析に用いた境界条件を示す。本主軸系モデルでは、プルスタッド3の外径はツールホルダのテーパシャンク部6の小端径と同じ径とし、ツールホルダ1とプルスタッド3および主軸4と軸受2は、それぞれの接触面において互いに連結させた。なお、ツールホルダのテーパシャンク部6と主軸テーパ面の接触は接触要素を用いてモデル化した。アンギュラ軸受2aの外周は完全固定、また円筒ころ軸受2bの外周は半径方向に固定した。プルスタッド3を介してツールホルダ1にクランプ力Fc=7kNを加え、ツールホルダ先端部に曲げ荷重Fを加えた。このときの先端の曲げ荷重方向のたわみをδとすると、解析モデルの曲げ剛性KはK=F/δで与えられる。
表1と表2はそれぞれ、解析に用いた物性値とその解析条件を示す。工作機械主軸(スピンドル)4にはセラミックス材料として、酸化アルミニウム(アルミナ)、窒化珪素、ジルコニアを用いた場合について計算を行った。本解析で検討したいずれのセラミックス材料も鋳鉄(ヤング率73.6〜127.5GPa)に比べて2倍以上の高いヤング率を有する材料である。なお、軸受中の隙間を考慮し、軸受(ベアリング)のヤング率および密度の値はツールホルダの値の半分とした。表中のL/Dはツールホルダのホルダ部長さLとホルダ部直径Dの比である。
図3は、ツールホルダ1の曲げ剛性比K/Krに及ぼす主軸回転数nの影響の解析結果を示す。なお、縦軸のK/Krは、曲げ剛性Kのツールホルダのテーパシャンク部を完全固定したときの曲げ剛性Krに対する比である。また、図中には、本実施例の主軸系の有効性を明らかにするために、通常用いられているSCM415製テーパシャンクを有するツールホルダ1とSCM415製工作機械主軸4 の組み合わせの工作機械主軸系の計算結果も示した。
SCM415製主軸では主軸回転数の増加に伴い曲げ剛性比は低下したが、酸化アルミニウム製および窒化珪素製のセラミックス主軸ではほとんど変化しなかった。なお、他のセラミックスと比較して密度が高かったジルコニアの場合、主軸回転数の増加に伴って曲げ剛性比は徐々に低下した。また、主軸回転数に関わらず、いずれのセラミックス製主軸の場合も、SCM415製主軸より曲げ剛性比は高く、かつ主軸回転数の増加に伴ってその差は大きくなった。
本実施例ではSCM415製ツールホルダとSCM415より比重が小さく、かつ鋳鉄よりヤング率の大きいセラミックスを用いた工作機械主軸の組み合わせについて数値解析結果に基づいて検討した。その結果、これらの組み合わせでは高速回転域でもツールホルダ1の剛性は低下しないことを明らかにし、本実施例の主軸系の有効性を明らかにした。
従来からセラミックス製の工作機械主軸4に関する発明、考案が公開されているが(例えば、実開昭61−5502号公報、実開昭60−153732号公報、特公平4−16284号公報、特開平10−277803号公報、特開平11−70401号公報など)、これらの発明、考案は主軸4の軽量化に着目したものであり、工作機械主軸4とツールホルダ1のテーパ面の接触状態を改善することを目的としたものではない。また、これら
の先行技術に示されている発明では、主軸4に比べて比重が大きいツールホルダ1を嵌合して使用することや、工作機械主軸とツールホルダテーパシャンク部の材料のヤング率に関する言及もない。
の先行技術に示されている発明では、主軸4に比べて比重が大きいツールホルダ1を嵌合して使用することや、工作機械主軸とツールホルダテーパシャンク部の材料のヤング率に関する言及もない。
実施例1では、従来のSCM415製ツールホルダ1に比べて比重が小さく、かつ剛性の高い材料としてセラミックスを工作機械主軸4の材料に選定した結果を示したが、主軸材料はセラミックスに限定するものではない。また、図3では、酸化アルミニウム、窒化珪素、ジルコニアの比重の異なる3種類のセラミックスを主軸材料として用いた場合の曲げ剛性比を示した。これらのセラミックスはSCM415の比重に比べてそれぞれ49%、59%、28%小さく、このうちもっともSCM415の比重に近かったジルコニアの場合、酸化アルミニウムや窒化珪素に比べて、主軸回転数の増大に伴う曲げ剛性比の低下の割合は大きかったが、SCM415の場合より低下の割合は十分小さかった。これらの結果から、工作機械主軸4の材料の比重は、ツールホルダテーパシャンク部の材料の比重は28%以上小さいことが望ましいといえる。
実施例1、2では、SCM415製ツールホルダとセラミックス製主軸の組み合わせの工作機械主軸系における曲げ剛性の数値解析結果から、主軸材料がツールホルダテーパシャンク部の比重に比べて28%以上小さい材料であれば、高速回転域でもツールホルダ1の曲げ剛性比はSCM415製ツールホルダとSCM415製主軸の組み合わせの工作機械主軸系における曲げ剛性比と比較して低下しないことを明らかにした。一方で、工作機械主軸系の耐びびり性(剛性×減衰性)を向上させるためには、工作機械主軸およびツールホルダから構成される工作機械主軸系の減衰性を向上させることも重要である。
工作機械の機体や構成部品の多くに鋳鉄製の部品が従来から多用されている理由の一つは、鋳鉄が他の鋼製の材料に比べて振動減衰性が優れているためであり、請求項1および請求項2に記載の工作機械であれば、セラミックス製の主軸と鋳鉄製のツールホルダの組み合わせで工作機械主軸系の減衰性および耐びびり性を改善できる。しかし、鋳鉄は、主軸やツールホルダの材料として一般的に用いられるSCM415に比べてヤング率が約半分であるため、ツールホルダ単体における曲げ剛性の低下が懸念される。このため、ツールホルダのテーパシャンク部のみを鋳鉄製として、ホルダ部5やフランジ部7は従来のSCM415とすることが望ましい。好ましくは、従来のSCM415製のフランジ部およびホルダ部に拡散溶接法で鋳鉄製テーパシャンク部を接合したツールホルダとすることがよい。
さらに、ツールホルダの着脱時におけるテーパ面の摩耗を防止するため、鋳鉄製ツールホルダテーパシャンク部のテーパ面は、高い硬度を有することが実用上は望ましく、表面処理や熱処理によって、ツールホルダのテーパ面の表面硬度を高めたツールホルダを用いることが望ましい。
実施例1、2では、鋼と比較して低比重・高剛性のセラミックスを主軸材料に用いた場合のツールホルダ曲げ剛性と主軸回転数の関係を、FEM解析(有限要素解析)を用いた数値シミュレーションの検討に基づいて明らかにし、その有効性を示した。セラミックス製主軸の場合、鋼製ツールホルダのシャンク部テーパ面と主軸テーパ面との接触面積は鋼製主軸の場合と比較して広く、この傾向は主軸回転数が高くなるほど顕著となった。その結果、セラミックス製主軸の場合、鋼製ツールホルダの曲げ剛性は主軸回転数によらず鋼製主軸の場合よりも高く、かつ主軸回転数の影響を受けにくかった。
本実施例では、鋼製主軸のツールホルダ側端面近傍の外周にセラミックスリングを挿入
した場合のツールホルダの曲げ剛性についてFEM解析を用いた数値シミュレーションで明らかにし、その有効性について明らかにする。
した場合のツールホルダの曲げ剛性についてFEM解析を用いた数値シミュレーションで明らかにし、その有効性について明らかにする。
図4、5は、ツールホルダ1の曲げ剛性を簡便に向上させるために検討した、アルミナセラミックス製挿入リング10を主軸4のテーパ部9の一部に嵌合した鋼製主軸4からなる主軸系のFEM解析モデルを示す。主軸4の端面とツールホルダフランジ部7との端面の間には1 mmの隙間を設けた。ツールホルダ1のホルダ部5は、直径D=20 mm、長さL=60 mm、L/D=3である。4個の主軸端側軸受2aはアンギュラ玉軸受、また2個の主軸後端側軸受2bは円筒ころ軸受である。図5中で、hはリング10の幅(= 17.5 mm)、sはリング挿入部分のしめしろ(=0 mm)であり、リング10の厚さtは10 mmとした。
図4中に示したように、アンギュラ玉軸受の外周は完全固定、円筒ころ軸受の外周は半径方向に固定し、クランプ力Fc=7kNを付与したツールホルダ1の先端部には切削抵抗の曲げ荷重成分F(=1kN)を作用させた。本解析では、ツールホルダ1のシャンク部6を固定端、他端を自由端として得られる、ツールホルダ1の先端部に作用させた一定の曲げ荷重Fによるその方向のたわみδとし、F/δでツールホルダ1の曲げ剛性Kを定義した。
表3、表4は、本実施例のFEM解析で用いたモデルの材料物性値と境界条件を示す。ツールホルダ1、主軸4の材料はSCM415製とし、セラミックス製リング10はアルミナセラミックスとした。
図6は、本実施例に係るツールホルダ1の曲げ剛性比K/Krに及ぼす主軸4の材料、挿入リング10、および主軸回転数nの影響を示す。縦軸K/Krは、ツールホルダシャンク部6を完全固定したときの曲げ剛性Krに対するKの比である。KrはnおよびFには無関係であり、解析に用いた鋼製ツールホルダ1の場合は17.3 kN/mmであった。
アルミナセラミックス製主軸4のK/Krは最大で、nにはほとんど影響されなかった。アルミナセラミックス製挿入リング10を嵌合した鋼製主軸4のK/Krは、アルミナセラミックス製の主軸4よりやや小さかったが、nの影響は受けなかった。鋼製の主軸4のK/Krは、n>10,000 min-1でnの増大により大きく減少したため、高主軸回転数域ではアルミナセラミックス製リング10を嵌合した鋼製の主軸4よりも小さくなった。
高主軸回転数域では、クランプ力Fcによるツールホルダ1の軸方向変位が問題となる。図7は、図6に対応する、ツールホルダ軸方向変位に及ぼす主軸4の材料、挿入リング10、およびnの影響を示す。アルミナセラミックス製の主軸4の場合のツールホルダ軸方向変位は他の主軸4と比較して小さく、その違いは高主軸回転数になるほど顕著となった。アルミナセラミックス製挿入リング10を嵌合した鋼製の主軸4の場合のツールホルダ軸方向変位は、鋼製の主軸4と比較して小さいものの、n=30,000 min-1では両者の間に図6に示したK/Krで見られたような差は認められなかった。
本実施例では、鋼製の主軸4のツールホルダ側端面近傍の外周にアルミナセラミックス製リング10を挿入した主軸4の場合、ツールホルダ1の曲げ剛性はアルミナセラミックス製の主軸4と比較すればやや小さかったものの、主軸回転数の影響をほとんど受けず、高主軸回転数域で鋼製の主軸4より大きくなることを明らかにした。また、アルミナセラミックス製挿入リング10を嵌合した鋼製の主軸4のツールホルダ軸方向変位は鋼製の主軸4と比較して小さいことを明らかにした。これらの数値シミュレーション結果から、本実施例に示したアルミナセラミックス製リング10を挿入した主軸4の有効性を明らかにした。
1 ツールホルダ
2 軸受
3 プルスタッド
4 工作機械主軸
5 ツールホルダのホルダ部
6 ツールホルダのテーパシャンク部
7 ツールホルダのフランジ部
8 テーパ穴
9 テーパ部
10 挿入リング
2 軸受
3 プルスタッド
4 工作機械主軸
5 ツールホルダのホルダ部
6 ツールホルダのテーパシャンク部
7 ツールホルダのフランジ部
8 テーパ穴
9 テーパ部
10 挿入リング
Claims (4)
- ツールホルダの一端に形成した、機械構造用合金鋼であるクロムモリブデン鋼よりなるテーパシャンク部を工作機械主軸の端部に形成されたテーパ穴に嵌合することにより、上記ツールホルダを把持する工作機械において、上記テーパ穴を構成するテーパ部を鋼で構成するとともに、当該テーパ部の上記ツールホルダ側の端面近傍の外周に切欠部を設け、上記切欠部に上記テーパシャンク部の材料の比重より28%以上小さく、かつ上記テーパ部および上記テーパシャンク部の材料のヤング率以上であるセラミックス製挿入リングを嵌合したことを特徴とする工作機械。
- ツールホルダの一端に形成した、機械構造用合金鋼であるクロムモリブデン鋼よりなるテーパシャンク部を工作機械主軸の端部に形成されたテーパ穴に嵌合することにより、上記ツールホルダを把持する工作機械において、上記テーパ穴を構成するテーパ部を鋼で構成するとともに、当該テーパ部の上記ツールホルダ側の端面近傍の外周に切欠部を設け、上記切欠部に上記テーパシャンク部の材料の比重より28%以上小さく、かつ上記テーパ部および上記テーパシャンク部の材料のヤング率以上であるアルミナセラミックス製挿入リングを嵌合したことを特徴とする工作機械。
- ツールホルダの一端に形成した、機械構造用合金鋼であるクロムモリブデン鋼よりなるテーパシャンク部を工作機械主軸の端部に形成されたテーパ穴に嵌合することにより、上記ツールホルダを把持する工作機械において、上記テーパ穴を構成するテーパ部を機械構造用合金鋼であるクロムモリブデン鋼で構成するとともに、当該テーパ部の上記ツールホルダ側の端面近傍の外周に切欠部を設け、上記切欠部に上記テーパシャンク部の材料の比重より28%以上小さく、かつ上記テーパ部および上記テーパシャンク部の材料のヤング率以上であるセラミックス製挿入リングを嵌合したことを特徴とする工作機械。
- ツールホルダの一端に形成した、機械構造用合金鋼であるクロムモリブデン鋼よりなるテーパシャンク部を工作機械主軸の端部に形成されたテーパ穴に嵌合することにより、上記ツールホルダを把持する工作機械において、上記テーパ穴を構成するテーパ部を機械構造用合金鋼であるクロムモリブデン鋼で構成するとともに、当該テーパ部の上記ツールホルダ側の端面近傍の外周に切欠部を設け、上記切欠部に上記テーパシャンク部の材料の比重より28%以上小さく、かつ上記テーパ部および上記テーパシャンク部の材料のヤング率以上でアルミナセラミックス製挿入リングを嵌合したことを特徴とする工作機械。
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