JP4710377B2 - ターボ分子ポンプ装置 - Google Patents

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Description

本発明は容器内部を真空排気するためのターボ分子ポンプ本体とその電源部、および、それらを水冷するための配管を含むターボ分子ポンプ装置に関し、とくにターボ分子ポンプ本体と電源部とを組み合わせて一体化し、取り扱いを便利にしたターボ分子ポンプ装置に関する。
容器内部を真空排気するためのターボ分子ポンプ本体とそれを駆動する電源装置は一組のものとして使用されるが、その取り扱いを簡単にするためにポンプ本体と電源装置を物理的に結合して一体化したターボ分子ポンプ装置(以下では電源一体TMPと略称する)が開発されている。
また、ターボ分子ポンプ本体と電源装置は使用中に温度が上昇するから、温度が上がり過ぎないようにするためこれを冷却することが行われる。冷却は周囲の空気を吹き付けることによって冷却する空冷方式や、冷却水をポンプ本体や電源装置に配管した管路に流すことによって水冷する水冷方式が採用されている。
例えば、特許文献1にはターボ分子ポンプ本体と制御装置を一体化して構成し、それらを水冷することが記載されている。
特開平11−173293
電源一体TMPで電源部を水冷する場合には、従来電源部の水冷管に単に冷却水を流すようにしている。この場合、別途冷却水の経路のどこかで水栓を閉めない限り、冷却水は電源部の状態にかかわらず常に流れていることになる。電源一体TMPを高温多湿の環境で使用する場合には、電源部への外部からの電力供給(AC電源)がオフの状態で水冷を続けると、電源部では発熱していないので電源部の水冷部分で結露が発生する可能性があり、このままAC電源を投入すると絶縁不良によるショートなどにより電源部が故障する恐れがある。これを防止するために、通常は使用環境の温度・湿度の上限、冷却水温度の下限を狭く制限する。
また電源部へのAC電源が供給されている状態でも、真空ポンプの稼動状態によっては電源部での発熱状態に変動があるので、最大の冷却水の流量では過冷却となる恐れがある。この場合も電源部において結露が生じる可能性がある。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、使用環境の温度・湿度の上限、冷却水温度の下限を狭く制限することがなく、冷却水の水栓を別途操作することなく真空ポンプ側の操作だけで、結露を原因とする故障や事故を防ぐことのできるターボ分子ポンプ装置を提供することを目的とする。
また、冷却水による冷却が過冷却になるのを防止することのできるターボ分子ポンプ装置を提供することを他の目的とする。
本発明は、上述の課題を解決するために、ターボ分子ポンプ本体とそれを駆動する電源部を一体とし、前記ターボ分子ポンプ本体と前記電源部を水冷するための管路を有するターボ分子ポンプ装置において、前記電源部への冷却水を導入する管路に、前記電源部への外部電力供給がオフのとき前記電源部への冷却水の流入のみを遮断する第1の弁を備え、前記電源部は、外部電力供給がオンであって該電源部が過冷却となる温度以下のときに結露を防止できるように前記第1の弁を閉止して前記電源部への冷却水の流入を止めるための電源部冷却制御手段を備えることを特徴とする(請求項1)。
電源部への外部電力供給がオフにされると、第1の弁が閉止されることによって電源部への冷却水の流入が遮断され、電源部の冷却が中断される。したがって発熱のない状態で電源部を冷却することがないので結露が生じることもない。ここで電源部への外部電力供給がオフにされるというのは、操作者が電源部のスイッチを切ること、および、停電などによりAC電源の供給が停止することの両方を含んでいる。
ここで第1の弁としては、電力が供給されなくなると閉止状態になる常時閉の電磁式開閉弁、または、電力が供給されなくなると電源部へ接続されている管路が閉止状態となり他方の管路が開放状態となる電磁式三方弁を使用することができる。
また、第1の弁の開閉を制御して任意のタイミングで電源部に冷却水を流すか流さないかを制御すれば電源部の過冷却を防ぐことができる。例えば、電源部の温度を検出して周囲の気温よりも低い場合には冷却水の流れを止めるようにすれば電源部における結露を防止することができる。
さらに、請求項1記載の構成に加えて、前記ターボ分子ポンプ本体を水冷するための管路の少なくとも一部に前記電源部からの信号により開閉を制御できる第2の弁を備え、前記電源部は、外部電力供給がオンの任意のときに前記第2の弁を閉止して前記ターボ分子ポンプ本体への冷却水の流入を止めるための本体冷却制御手段を備える構成とすることができる(請求項2)。
ターボ分子ポンプ本体の過冷却も好ましいものではなく、また、ポンプ本体を所定の温度に制御したいという要求も存在する。この場合に、上記構成を採用することによって、ポンプ本体を無駄に冷却することなく過冷却を防ぎ、またポンプ本体の温度制御を行いやすくすることができる。この本体冷却制御手段そのものをポンプ本体の温度制御を行う機構として働かせることもできる。
請求項1に係る本発明によれば、電源部の電源オフ時に冷却水の供給が連動して停止されるので電源部に結露の生じることがなく、それに起因する絶縁不良などの故障を回避することができる。
さらに、電源部の電源がオン状態のときにも過冷却によって電源部に結露の生じることがなく、それによる故障を回避することができる。
請求項に係る本発明によれば、ターボ分子ポンプ本体を過冷却することがないので結露を防ぐことができ、他の不具合を生じることがない。また、ポンプ本体を温度制御する場合には無駄な冷却をしないので効率的な制御を行うことができる。
本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明のターボ分子ポンプ装置の概略構成図である。
ターボ分子ポンプ本体1とそれを駆動する電源部2は物理的に結合され一体化されている。電源部2には外部から商用のAC電源(交流100V)の電力が供給され、電源部2とターボ分子ポンプ本体1とは装置内部で電気的に接続されており、電源部2の制御下でポンプ本体1に含まれる磁気軸受機構やロータの回転機構が駆動される。また、電源部2は外部のコンピュータシステムなどからの信号を受けるコネクタなどが設けられ、外部から制御可能なように構成されていてもよい。
ポンプ本体1と電源部2とは熱的影響を相互になるべく受けないように考慮した配置にて一体化される。あるいは、ポンプ本体1と電源部2を断熱部材を介して一体化する場合もある。
ポンプ本体1と電源部2にはそれぞれを冷却する冷却水を流すための配管がなされている。電源部2には管路4が設けられ、ポンプ本体1には管路6が設けられており、それぞれの管路の端(図中の小丸印)に冷却水を流すための配管をすることによって冷却水系を構成する。冷却水系は基本的に電源部2とポンプ本体1とを直列につないで水道水や工場の循環冷却水系の冷却水などを流すように構成されている。
水道の蛇口などから導かれた冷却水は、この装置の冷却水系の入口となる端子7に接続される。端子7からは電気的に駆動される三方弁である電磁弁3の共通端に接続される。電磁弁3の常時閉(NC)側の端は電源部2の管路4の一端に接続され、電磁弁3の常時開(NO)側の端は管路4の他端からの配管と合流しポンプ本体1の管路6の一端に接続される。管路6の他端は冷却水系の出口となる端子8に接続される。端子8から排出される冷却水は排水溝などに導かれて排出されたり、循環冷却水系の復管に戻されたりする。
電磁弁3は、電磁弁3に対する電力供給がないときには共通端と常時開端が内蔵されたバネの作用などによって連通するようになっているものであり、共通端と常時閉端を連通させるためには内蔵されたソレノイド等に電力供給が必要なものである。したがって、電源部2のスイッチが入っていないとき、または、停電などでAC電源の供給が切れたときには電磁弁3は管路4へ通じる管路を閉止するので管路4に冷却水が流れなくなり、電源部2を冷却することがない。これで電源部2の発熱がないときに電源部2を冷却して結露を生じさせることがない。このとき冷却水は管路4を通ることなく迂回して管路6に流れていく。
さらに電磁弁3は制御線5を介して電源部2からの指令により流路の切換が制御される。水冷部分の温度が低かったり、周囲の気温が低かったり、ポンプ本体1の排気負荷が軽い場合には電源部2の温度はあまり上がらない。このようなときで、電源部2が動作中に電源部2の温度が下がり過ぎるような場合には電磁弁3により流路を変更して管路4には冷却水を流さず、直接ポンプ本体1の管路6に冷却水を送るようにすれば電源部2の過冷却状態を避けることができる。
例えば、電源部2の温度を検出してあらかじめ設定した温度より低ければ管路4に冷却水が流れないようにする。または、周囲の気温を測定する温度計も設置し、電源部2の温度が周囲の気温よりも低い場合には管路4への冷却水の流れを止めるようにする。そのようにすれば電源部2における過冷却による結露を防止することができる。
図2は本発明の他の実施の形態である。この例はポンプ本体1に対する冷却水も必要に応じてオンオフできるようにしたものである。図1と同じ符号をつけたものは図1と同じ構成部品であり同じ作用を行うので詳しい説明は省略する。
図2においてポンプ本体1を冷却するための管路は2つ用意されている。一つは管路12であり、これは電源部2から来る冷却水がそのまま流れるように直列に接続されている。管路13は管路12から直列に接続され、管路13の入口に電磁弁11が介装されている。電磁弁11は上述で説明した電磁弁3と同様な三方弁である。そして同様に信号線14を介して電源部2からの信号により流路の切換が制御される。管路12の冷却水出口側の端が電磁弁11の共通端に接続され、電磁弁11の常時閉側の端が管路13の一端に接続され、常時開側の端が管路13の他端と合流して冷却水系の出口である端子8に接続されている。
電磁弁11を用いた流路切換による管路13への冷却水の導入と閉止はポンプ本体1の温度測定値などに応じて制御される。とくに温度調節型のターボ分子ポンプでは、常時水冷しておく部分と、水冷をオンオフで制御する制御冷却部があり、この制御冷却部を管路13とすればよい。
上述の説明で、電磁弁11の常時閉側を管路13の一端に接続するとしたが、これとは逆に電磁弁11の常時開側を管路13の一端に接続してもよい。こうした場合は電源部2からの弁の切換信号が逆になるだけで同じように制御することが可能である。また電源部2のスイッチが切られたときには管路13にも冷却水が流れることになるが、この点については電源部2と異なり結露が回路のショートなどに結びつくことは少ないので大きな問題とはならない。
図2に示す例ではターボ分子ポンプ本体1を冷却する管路を2つとしたが、これを1つとしてもよい。つまり図2における管路12を省き管路4からの流路を直接電磁弁11の共通端に接続したようなものである。この場合にも適当なタイミングで電磁弁11により流路を切り換えることによってポンプ本体1の温度状態を制御することができる。
また上述の説明で、図1と図2における電磁弁3および電磁弁11は三方弁としたが、これは他の方式の弁を利用して同様な機能を実現してもよい。例えば、図3に電源部2付近を示すように、電源部2の冷却系として2つの開閉弁を使用する。電磁弁15は常時閉(NC)の開閉弁であり制御線17を介して電源部2によって開閉が制御され、この電磁弁15を通って端子7からの冷却水が管路4に導かれる。また、電磁弁16は常時開(NO)の開閉弁であり制御線18を介して電源部2によって開閉が制御され、この電磁弁16を通って端子7からの冷却水は管路4と合流して次段のターボ分子ポンプ本体の冷却系に接続される。
このようにして、電源部2に電力が供給され冷却が必要な通常動作の時には電磁弁15を開放し電磁弁16を閉止することで冷却水が管路4を流れることになる。そして電源部2の電源がオフのときは自動的に電磁弁15が閉止されて電磁弁16が開放されるので冷却水は電源部2の管路4をバイパスして電源部2を冷却しない。これは図1に示した電磁弁3の動作と実質的に等価な動作である。
図2における電磁弁11を、上記と同様に、2つの開閉弁で置き換えることも可能である。
本発明のターボ分子ポンプ装置の概略構成図である。 本発明の他の実施形態を示す図である。 電磁弁の他の構成を示す図である。
符号の説明
1…ターボ分子ポンプ本体、2…電源部、3…電磁弁、4…管路、5…制御線、6…管路、7…端子、8…端子、11…電磁弁、12…管路、13…管路、14…制御線、15…電磁弁、16…電磁弁、17…制御線、18…制御線

Claims (2)

  1. ターボ分子ポンプ本体とそれを駆動する電源部を一体とし、前記ターボ分子ポンプ本体と前記電源部を水冷するための管路を有するターボ分子ポンプ装置において、前記電源部への冷却水を導入する管路に、前記電源部への外部電力供給がオフのとき前記電源部への冷却水の流入のみを遮断する第1の弁を備え、前記電源部は、外部電力供給がオンであって該電源部が過冷却となる温度以下のときに結露を防止できるように前記第1の弁を閉止して前記電源部への冷却水の流入を止めるための電源部冷却制御手段を備えることを特徴とするターボ分子ポンプ装置。
  2. 前記ターボ分子ポンプ本体を水冷するための管路の少なくとも一部に前記電源部からの信号により開閉を制御できる第2の弁を備え、前記電源部は、外部電力供給がオンの任意のときに前記第2の弁を閉止して前記ターボ分子ポンプ本体への冷却水の流入を止めるための本体冷却制御手段を備えることを特徴とする請求項1に記載されたターボ分子ポンプ装置。
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