JP4710142B2 - アリルクロライドの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エピクロルヒドリン、グリセリン等のアリル化合物の原料、除草剤・殺虫剤などの農薬原料、鎮静剤・麻酔剤などの医薬原料、香料原料、土壌改良材等に用いられる重要な化合物であるアリルクロライドを、アリルアルコールと塩化水素を反応させることにより製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、アリルクロライド(以下、「AC」と略記することがある。)はプロピレンの塩素化により製造されている。しかし、この製法は、
1)反応温度が高く多種類の副生物が生成する。
2)反応で副生する重合物が炭化し反応器に詰まりが生じる。
3)塩化水素を高温で取り扱うため、装置の腐食が激しい。
4)環境に有害である恐れの高い塩素化有機物が副生物として生成する。
等の、工業的製法として用いるには重大な欠陥を有している。
【0003】
工業的により優位にアリルクロライドを製造するために、塩化銅(I)の存在下アリルアルコール(以下、「AAL」と略記することがある。)と塩化水素(以下、「HCL」と略記することがある。)を反応させアリルクロライドを合成する方法が報告されている(Jacques,J.,Bull.Soc.Chim.Fr.,[5]12,843(1945))。しかし、この方法では反応後の反応液は有機層と水層に分離し、有機層にはアリルクロライドのほかに多量のジアリルエーテル(以下、「DAE」と略記することがある。)と少量の未反応アリルアルコールが混在し、アリルクロライドの収率はおよそ70質量%であり工業的に満足のいくものではない。
【0004】
アリルクロライドの製造方法について、本出願人は特公平6−92329号公報において、触媒の存在下アリルアルコールと塩化水素を反応させ、生成するアリルクロライドを反応系から反応と同時に留去する方法を提案している。上記方法によれば、反応で副生するジアリルエーテルの生成を抑制し、アリルクロライドを高収率で得ることができる。
【0005】
この方法を工業的に経済的に実施するためには、連続的に反応を行うことが望ましい。連続とは、原料であるアリルアルコールおよび塩化水素を反応系へ連続的に供給し、生成するアリルクロライドを連続的に反応系から留出させることを意味する。しかし、副生する水を連続的にアリルクロライドと同時に反応器から留出させる条件では、原料であるアリルアルコールも留出するため、反応系で水を蒸発留去することは困難である。
そのため、特公平6−92329号公報では、反応液を抜き出し、余分の水を留去したのち反応器へ返送すればよいことが記載されているが、その具体的方法については記載されていない。また、留出するアリルクロライド中には塩酸が含まれ、これを弱アルカリ水で洗浄した後にアリルクロライドを精製することが記載されているが、この方法はアリルクロライド精製工程で塩が生成するという問題がある。さらに、特公平6−92329号公報に記載された方法には、反応温度が高くなると副生成物であるジアリルエーテルの生成が増大するという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、触媒の存在下、アリルアルコールと塩化水素との反応により生成するアリルクロライドを反応系から留出させてアリルクロライドを製造する方法において、ジアリルエーテルの副生を抑制するとともに連続的にアリルクロライドを製造する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、本発明者らは触媒の存在下、アリルアルコールと塩化水素との反応により生成するアリルクロライドを反応系から留出させてアリルクロライドを製造する方法において、反応液中に存在するアリルアルコールに対するHCLのモル濃度比([AAL]1/2/[HCL])を下げることによりジアリルエーテルの副生を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、以下の[1]〜[8]に関する。
[1]イ)アリルアルコールと塩化水素を反応器に供給し、反応させアリルクロライド及び水を生成させる工程、ロ)生成したアリルクロライドを気相部より反応系外に留出させる工程、ハ)反応溶液を反応器より抜出す工程、ニ)抜出した反応液から水を蒸留分離する工程、ホ)水を蒸留分離した、塩酸及び触媒を含む残液を反応器に戻す工程を含むアリルアルコールと塩化水素よりアリルクロライドを製造する方法。
[2]触媒の存在下、アリルアルコールと塩化水素との反応により生成するアリルクロライドを反応系から留出させてアリルクロライドを製造する方法において、反応を80〜120℃の範囲で行い、反応液中に存在するアリルアルコールと塩化水素のモル濃度比が、[アリルアルコール]1/2/[塩化水素]として0.2以下となるようにアリルアルコールと塩化水素を供給することを特徴とするアリルクロライドの製造方法。
[3]留出したアリルクロライドを含む有機層を水層と分離し、有機層を水を用いて抽出した後に蒸留することを特徴とする上記[2]に記載のアリルクロライドの製造方法。
[4]有機層と分離した水層および/または有機層の水抽出液の少なくとも一部を反応器に戻すことを特徴とする上記[2]または[3]に記載のアリルクロライドの製造方法。
【0009】
[5]次の3つの工程を含むことを特徴とする上記[2]〜[4]のいずれかに記載のアリルクロライドの製造方法。
(1)反応液を反応器より抜き出す工程
(2)工程(1)で得られる反応液から水を蒸留分離する工程
(3)工程(2)で得られる、塩酸および触媒を含む残液を反応器に戻す工程
[6]上記工程(2)において水を蒸留分離する際に、水より沸点の低い留分を回収し、該留分の少なくとも一部を反応器および/またはアリルクロライド精製工程に戻すことを特徴とする上記[5]に記載のアリルクロライドの製造方法。
[7]触媒が遷移金属、マグネシウム、アルミニウムおよびスズの塩化物からなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする上記[2]〜[6]のいずれかに記載のアリルクロライドの製造方法。
[8]アリルアルコールと塩酸との反応を加圧下で行うことを特徴とする上記[2]〜[7]のいずれかに記載のアリルクロライドの製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0011】
本発明に用いる原料のアリルアルコールは無水でも水溶液でもよいが、水とアリルアルコールの共沸組成である70質量%水溶液が安価に入手できるので好ましい。
【0012】
塩化水素は無水でも水溶液でもどちらも問題なく使用することができるが、経済性の面から35質量%水溶液が好ましい。
【0013】
反応に用いる触媒は、遷移金属、Mg、Al、Snからなる群から選択された少なくとも一種の元素を含む化合物が使用可能である。ここで遷移金属とは元素番号21番から30番および元素番号39番から48番の元素を言う。
【0014】
代表的な化合物として塩化銅(I)、塩化銅(II)、塩化パラジウム、塩化コバルト、四塩化チタン、三塩化バナジウム、塩化ニッケル、塩化鉄(III)、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、四塩化スズなどを用いることができる。
【0015】
また、上記金属塩化物に対応する金属酸化物、水酸化物も塩化水素の存在下では塩化物として作用するため、上記金属塩化物と同様に本発明の触媒として使用することができる。
【0016】
なかでも反応収率の面から、塩化銅(II)、塩化銅(I)、塩化パラジウムが好ましいが、この限りではない。触媒は塩化水素水溶液もしくは水に溶解させて反応系に供給する。
【0017】
反応ではアリルクロライドの生成によって水が副生する。さらに反応に用いる原料を水溶液で使用する場合はその供給によって水が持ち込まれる。このため、アリルクロライドを連続的に製造するためには、これらの余剰の水を抜き出すことが必要である。しかし、反応液をそのまま抜き出すと水の抜き出しに伴い未反応塩化水素および触媒も抜き出されてしまう。従って、反応を工業的に経済的に実施するためには、抜き出された反応液に含まれる余剰の水を分離除去し未反応塩化水素および触媒を反応系に回収再利用することが必要となる。
【0018】
余剰の水は一般的には蒸留により分離除去することができる。このとき、余剰の水と共にアリルクロライド、アリルアルコール等の有機成分は低沸点成分として分離することができ、これらの有機成分の少なくとも一部を反応器および/またはアリルクロライドの精製工程に戻してもよい。
【0019】
塩化水素および触媒は高沸点成分として回収使用しなければならないが、塩化水素を高沸点成分として回収するためには、塩化水素は水溶液(HCL/(HCL+H2O))として水との最高共沸組成である約20質量%(常圧下:101.3kPa)が上限となる。従って、反応器より抜き出される反応液に含まれる水分と塩化水素分の関係は、塩化水素分と反応で副生する水分と原料から同伴する水分を除いた水分が、HCL/(HCL+H2O)として20質量%以下でなければならない。すなわち、触媒を除いた80%以上の大量の水が反応系に戻ることになり、結果として反応原料の濃度の大幅な低下をきたし、反応原料濃度の低下によるアリルクロライドへの反応速度の低下をもたらしてしまう。
【0020】
これを解決するため、本発明では、反応は好ましくは80〜120℃の範囲で行い、かつ反応器に存在するアリルアルコールと塩化水素のモル濃度比が[AAL]1/2/[HCL]として0.2以下となるようにアリルアルコールとHCLを反応器に供給すればジアリルエーテルの副生を抑制し、高収率でアリルクロライドを得ることができる。また、反応は通常常圧で行うことができるが、反応温度を120℃までの範囲で行うために加圧条件下で行ってもよい。反応温度が80℃よりも低いと反応速度の低下により、反応時間(滞留時間)が大きくなる傾向があり、生産性の点から好ましくない。また、120℃よりも高いとアリルアルコールやアリルクロライドの熱分解が起こる場合があり好ましくない。
【0021】
供給するアリルアルコールと塩化水素のモル比は反応温度および反応時間(滞留時間)の組み合わせにより、反応器に存在するアリルアルコールと塩化水素のモル濃度比が[AAL]1/2/[HCL]として0.2以下となるような条件を満足しさえすればよい。好ましくはAAL:HCLモル比が1:1.5〜1:5であり、さらに好ましくは1:2〜1:3である。塩化水素のアリルアルコールに対する供給モル比が1:1.5より小さいとジアリルエーテルの副生量が増大する傾向があり、1:5より大きいと反応速度は向上するが塩酸水溶液の供給量が膨大になり実用的でない。
【0022】
反応液中のアリルアルコール濃度は、例えば高速液体クロマトグラフィーを用いた絶対検量線法により定量することができる。分析条件としては、例えばカラムにはポリマー系の分配吸着カラムを用い、溶離液にはアセトニトリル:水=55:45(容量)溶液を用いればよい。またカラム温度は50℃、溶離液の流量は0.8ml/minとし、検出器は示差屈折率検出器を用いることができる。
【0023】
生成物のアリルクロライドと水には共沸組成が存在し、その共沸点は常圧では43℃である。また、原料であるアリルアルコールおよび副生物であるジアリルエーテルおよび水には共沸組成が存在しその共沸点は78℃である。このため本発明では未反応アリルアルコールおよび副生するジアリルエーテルが、アリルクロライドとともに留出する。これを防ぐために反応器には蒸留塔もしくは分縮器を備えることができる。これにより、留出する蒸気温度を35〜85℃、より好ましくは43〜78℃とし、生成するアリルクロライドを実質的に留出させ、未反応アリルアルコールおよび副生物のジアリルエーテルを反応器へ戻すことが可能となる。
【0024】
反応器より抜き出した反応液中には、触媒、塩化水素、アリルアルコール、アリルクロライド、ジアリルエーテル、水等が含まれている。
【0025】
ここから、主に水を分離する必要がある。分離は一般的には蒸留によって行うことができ、蒸留ボトム液は回収し再利用する。分離された余剰の水にはアリルアルコール、アリルクロライド、ジアリルエーテルが含まれるため、さらに蒸留を実施しこれらを回収後、必要に応じて浄化処理等を行い系外へ廃棄する。
【0026】
このとき水に対する塩化水素の濃度は常圧下では、水との共沸組成である20.2質量%が最も高い濃度となる。さらに触媒である金属塩化物が水和水を保持する場合は、水は塩化水素との共沸には寄与しないため、金属塩化物が保持する水の分だけさらに塩化水素は希釈されて回収されることとなる。反応系へ供給する塩化水素はこの点を考慮し、濃度、アリルアルコールに対するモル比を決める必要がある。
【0027】
反応系より留去されるアリルクロライド含有液は主としてアリルクロライドと水の共沸混合物として得られ、反応副生成物であるジアリルエーテルが約1質量%、未反応原料であるアリルアルコールおよび塩化水素をそれぞれ約2質量%ずつ含んでいる。また、該液は水層と有機層に分離することから、油水分離槽などの適当な手段を用いて有機層と水層を分離することができる。分離した水層にはアリルクロライド、アリルアルコールや塩酸が含まれることから、反応器へ直接および/または抜き出した反応液と混合し水を分離した後に回収することによりこれらの化合物を再利用することができる。
【0028】
分離した有機層に含まれる塩化水素は機器の腐食の原因となるので除去することが望ましい。塩化水素を除去する方法はアルカリ性水溶液による中和による方法が一般的であるが、この方法を用いると中和後の有機層に塩化物の塩が含有し、アリルクロライドを精製するための蒸留塔においてこれらの塩化物の析出による詰まりが起こるため好ましくない。
【0029】
本発明の方法は、有機層を水により抽出することにより塩を生成すること無く有機層に含まれる塩化水素を除去するので、塩の析出による問題を解決することができる。抽出は連続的に攪拌槽と液液分離槽を多段に組み合わせる方法や抽出塔を設け上段から水を供給し下段より有機層を供給する方法等の方法があるがいずれの抽出方法を用いてもよい。また、有機層と抽出に用いる水の質量比は有機層に水/有機層として1/100〜1/2(質量比)が好ましく、より好ましくは1/50〜1/10(質量比)である。抽出後の水層には塩化水素のほかにアリルアルコールやアリルクロライドが含有するので、抽出後、抜き出した反応液と混合し水を分離した後に反応器に回収することにより再利用してもよい。水/有機層が1/100より小さい場合は塩化水素の除去率が低下し、1/2よりも大きい場合は抽出に用いる水の量が過大となり抽出後の水層から塩化水素、アリルアルコールやアリルクロライドを回収するために過大な設備が必要になるため好ましくない。
【0030】
塩酸除去を行った後、有機層を蒸留精製することにより高純度のアリルクロライド製品を得ることができる。この際、蒸留で分離されたアリルアルコール、ジアリルエーテルおよび製品に至らなかったアリルクロライド等は反応器に戻し再利用することができる。
【0031】
以下に実施例及び比較例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0032】
【実施例】
(実施例1)
撹拌機、蒸留塔を備えたフラスコ(500ml)に塩化銅(II)の塩酸水溶液と70%アリルアルコール水溶液を連続的に供給し、フラスコ中の反応液の液面を一定に保つために反応液をポンプで連続的に抜き出した。蒸留塔は内径20mmφで5φ×10mmの磁性ラシヒリングを40ml充填した。
塩化銅(II)15.1質量%、塩化水素20.4質量%、水74.5質量%からなる、塩化銅(II)の塩酸水溶液を18.5g/minで、70質量%のアリルアルコール水溶液を3.54g/minで供給した。反応器に供給する液量は、全体で22.04g/min、AAL11.2質量%、塩化水素17.1質量%、塩化銅(II)12.7質量%、アリルアルコール:塩酸=1:2.4(モル)、アリルアルコール:塩化銅(II)=1:0.5(モル)である。反応温度は95℃となるように油浴を加熱した。液面は反応液量330mlを保つようにポンプの抜きだし量を調節した。滞留時間はおよそ23minであった。ストリッピングと反応液の抜き出しを3時間続け、ストリッピングガス温度、反応液組成を確認し、系が安定したと判断した後、1時間のデータを記録した。留分は192g/hr、反応液の抜き出しは1130g/hrであった。
【0033】
留分は有機層97.7質量%、水層2.4質量%から成り、有機層には98.0質量%のアリルクロライドを含み、アリルアルコールは0.98質量%、ジアリルエーテルは0.56質量%、塩化水素は0.10%であった。抜きだした反応液はアリルクロライド0.15質量%、アリルアルコール0.39質量%、ジアリルエーテル0.006質量%、塩化水素14.6質量%を含んでいた。
アリルクロライドは3.09g/minで生成しており、供給したAALに対するACの収率は94.7%(ACの生成モル量/供給したAALのモル量)、ACの選択率は98.9%(ACの生成モル量/反応したAALのモル量)であった。ジアリルエーテルは0.019g/minで生成しており、供給したAALに対するDAEの収率は0.9%(DAEの生成モル量×2/供給したAALのモル量)であった。このときの抜き出した反応液に存在するアリルアルコールと塩化水素のモル濃度比[AAL]1/2/[HCL]は0.057、反応で生成したDAEとACのモル比[DAE]/[AC]は0.0047であった。
【0034】
(実施例2)
実施例1と同じ反応装置、触媒として塩化銅(II)を用いて同様の反応を実施した。反応器に供給した液全体の流量と、塩化水素、塩化銅(II)とアリルアルコールの組成、供給したAALとHCLのモル比、AALとCuCl2のモル比、反応温度、反応時間(滞留時間)を表1に示した。表2および表3に反応留分の流量、留分中有機層の割合、有機層中の組成、反応液抜き出し流量、反応液中の組成を表4に反応結果である供給したAALに対するACの収率(ACの生成モル量/供給したAALのモル量)、ACの選択率(ACの生成モル量/反応したAALのモル量)、供給したAALに対するDAEの収率(DAEの生成モル量×2/供給したAALのモル量)、抜き出した反応液に存在するAALとHCLのモル濃度比[AAL]1/2/[HCL]、反応で生成したDAEとACのモル比[DAE]/[AC]を示した。
【0035】
(実施例3)
撹拌機と耐圧性ガラス管に5φ×10mmの磁性ラシヒリングを40ml充填した蒸留塔を備えたガラス製のオートクレーブ(500ml)を用いて加圧反応を実施した。反応温度が120℃になるように蒸留塔から抜き出すガスをコントロールした。反応条件、結果を表1〜表4に示した。
【0036】
(実施例4〜6、比較例1〜4)
表1に示す反応条件で実施例1と同様に反応を実施した。結果を表2〜4に示した。
【0037】
【表1】
Figure 0004710142
【0038】
【表2】
Figure 0004710142
【0039】
【表3】
Figure 0004710142
【0040】
【表4】
Figure 0004710142
【0041】
(実施例7)
実施例1で得られた有機層を用いて水による連続抽出を実施した。上部に液供給ノズルとオーバーフローノズル、下部に液供給ノズルと底部に液抜き出し用ノズルを備えた内径40mmのガラス管に5φ×10mmの磁性ラシヒリングを充填層高が500mmとなるように充填した連続抽出装置を用いた。上部より純水を60g/時間、下部より塩化水素分を0.1質量%含む有機層を1200g/時間で供給し、有機層と水層の界面が充填層の50%になるように有機層と水層を抜き出した。この状態で抽出を3時間継続したのちに有機層と水層を取得し塩化水素濃度を測定した。有機層中の塩化水素濃度は50ppm以下、水層中の塩化水素濃度は1.9質量%であった。
【0042】
(実施例8)
実施例1と同じ反応装置で反応を行い抜き出した反応液を有機物回収塔へ供給し塔頂より有機物を回収して反応器に戻し、塔底液を塩酸および触媒回収塔に供給し塔頂より水を分離し、塔底より塩酸および触媒を回収して反応器に戻した。
反応条件は、反応温度:100℃、反応器での滞留時間:20分、触媒:塩化銅(II)、アリルアルコール:塩化水素=1:3.0(モル)、アリルアルコール:触媒=1:0.5(モル)とした。また有機物回収塔は常圧で運転し、塔頂温度が94から95℃となるように塔頂液を抜き出した。塩酸および触媒回収塔も常圧で運転し、塔底温度が108から112℃となるように塔底液を抜き出した。この結果、反応器より留去されるアリルクロライドの収率は96.4%であった。また、塩酸および触媒回収塔から反応器に戻される塩化水素の濃度は、水に対し18.2%であった。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、従来法に比べアリルクロライドを高収率で得ることができ、経済的により優位に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 85℃の反応において、反応液に存在するアリルアルコールと塩化水素のモル濃度比[AAL]1/2/[HCL]と反応で生成したジアリルエーテルとアリルクロライドのモル比[DAE]/[AC]の関係を示したものである。

Claims (7)

  1. 触媒の存在下、アリルアルコールと塩化水素との反応により生成するアリルクロライドを反応系から留出させてアリルクロライドを製造する方法において、反応を80〜120℃の範囲で行い、反応液中に存在するアリルアルコールと塩化水素のモル濃度比が、[アリルアルコール]1/2/[塩化水素]として0.2以下となるようにアリルアルコールと塩化水素を供給することを特徴とするアリルクロライドの製造方法。
  2. 留出したアリルクロライドを含む有機層を水層と分離し、有機層を水を用いて抽出した後に蒸留することを特徴とする請求項1に記載のアリルクロライドの製造方法。
  3. 有機層と分離した水層および/または有機層の水抽出液の少なくとも一部を反応器に戻すことを特徴とする請求項1または2に記載のアリルクロライドの製造方法。
  4. 次の3つの工程を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアリルクロライドの製造方法。
    (1)反応液を反応器より抜き出す工程
    (2)工程(1)で得られる反応液から水を蒸留分離する工程
    (3)工程(2)で得られる、塩酸および触媒を含む残液を反応器に戻す工程
  5. 上記工程(2)において水を蒸留分離する際に、水より沸点の低い留分を回収し、該留分の少なくとも一部を反応器および/またはアリルクロライド精製工程に戻すことを特徴とする請求項4に記載のアリルクロライドの製造方法。
  6. 触媒が遷移金属、マグネシウム、アルミニウムおよびスズの塩化物からなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のアリルクロライドの製造方法。
  7. アリルアルコールと塩酸との反応を加圧下で行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のアリルクロライドの製造方法。
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