JP4709813B2 - プリント配線基板、回路装置およびプリント配線基板の製造方法 - Google Patents
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Description
上記のような銅張り積層板は、表面に接着剤層が形成された絶縁フィルムに、銅箔を加熱圧着することにより製造される。したがって、このような銅張り積層板を製造する際には、銅箔を単独で取り扱わなければならない。しかしながら、銅箔は薄くなるほど腰が弱くなり、単独で取り扱える銅箔の下限は9〜12μm程度であり、これよりも薄い銅箔を用いる場合には、例えば支持体付の銅箔を用いることが必要になるなど、その取り扱いが非常に煩雑になる。また、絶縁フィルムの表面に接着剤を用いて、上記のような薄い銅箔を貼着した銅張り積層板を使用して配線パターンを形成すると、銅箔を貼着するために使用した接着剤の熱収縮によりプリント配線基板に反り変形が生ずる。特に電子機器の小型軽量化に伴い、プリント配線基板も薄化、軽量化が進んでおり、このようなプリント配線基板には、絶縁フィルム、接着剤および銅箔からなる3層構造の銅張り積層板では対応できなくなりつつある。
また、本発明は、上記のようにして形成された絶縁抵抗値が変動しにくいプリント配線基板を提供することを目的としている。
該導電性金属層が選択的なエッチングにより除去され、導電性金属が除去された部分のNiおよびCrからなる基材金属層の少なくとも一部を、塩化第2鉄を主成分とするエッチング剤、塩化第2銅を主成分とするエッチング剤よりなる群から選ばれるエッチング剤および硫酸+過酸化水素水からなるエッチング剤よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の酸性エッチング液、並びに、過マンガン酸カリウム+KOH水溶液、重クロム酸カリウム水溶液、過マンガン酸ナトリウム+NaOH水溶液よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の酸化性エッチング液を、酸性エッチング液および酸化性エッチング液の順序で用いて、選択的エッチングにより除去され不働態化される際に、ポリイミド樹脂からなる絶縁フィルムの表面が切削除去されて該絶縁フィルムの配線パターンが形成されていない部分のポリイミド樹脂からなる絶縁フィルムの厚さが、配線パターンが形成されている部分よりも1〜100nm薄く形成されてなることを特徴としている。
即ち、本発明のプリント配線基板は、ポリイミド樹脂からなる絶縁フィルムの表面に基材金属層を介して導電性金属層が形成された基材フィルムの導電性金属層および基材金属層を選択的にエッチングして該絶縁フィルムの少なくとも一方の面に配線パターンを形成するプリント配線基板の製造方法であって、
該導電性金属層を選択的なエッチングにより除去し、導電性金属が除去された部分のNiおよびCrからなる基材金属層の少なくとも一部を、酸性エッチング液および酸化性エッチング液をこの順序で用いて、選択的エッチングにより不働態化して除去する際に、ポリイミド樹脂からなる絶縁フィルムの表面が切削除去されて該絶縁フィルムの配線パターンが形成されていない部分のポリイミド樹脂からなる絶縁フィルムの厚さを、配線パターンが形成されている部分よりも1〜100nm薄く形成することにより製造することができる。
さらに、本発明の回路装置は、上記のようにプリント配線基板に形成された配線パターン間の電気抵抗値が経時的に安定しているので、本発明の回路装置は長時間安定に使用することができる。
図1および図2は、本発明のプリント配線基板を製造する工程における基板の断面の例を示す図である。なお、以下に示す図面においては共通する部材には共通する付番を付してある。
上記のように基材金属層13を形成した後、この基材金属層13の表面に導電性金属層20を形成する。この導電性金属層20は、電解メッキ法あるいは無電解メッキ法などのメッキ法により形成することができる。また、この導電性金属層20の平均厚さは、通常は0.5〜40μm、好ましくは1〜18μm、さらに好ましくは2〜12μmの範囲内にある。
導電性金属層20は、上記のように基材金属層13の表面に直接形成することもできるし、また、導電性金属層20を形成する金属と同一の金属を、基材金属層13を形成する方法と同様の方法により形成された層を介して形成することもできる。
上記のようにしてスパッタリング銅層15を形成した後、図1(d)に示すように、このスパッタリング銅層15の表面にさらに銅層を形成する。ここでさらに積層される銅層は、図1(d)においては、付番17で示されている。この付番17の銅層は、スパッタリング法、蒸着法などの方法で形成することも可能であるが、電解メッキ法あるいは無電解メッキ法などのメッキ法で形成することが好ましい。すなわち、このメッキ銅層17には、配線パターンを形成するのにある程度の厚さを有していることが必要であり、したがって電解メッキ法あるいは無電解メッキ法などのメッキ法により、効率よく銅を析出させることができる。このようにして形成されるメッキ銅層17の平均厚さは、通常は0.5〜40μm、好ましくは0.5〜17.5μm、さらに好ましくは1.5〜11.5μmの範囲内にあり、また、前述のスパッタリング銅層15とこのメッキ銅層17との合計の厚さは通常は1〜40μm、好ましくは1〜18μm、さらに好ましくは2〜12μmの範囲内にある。なお、ここで形成されるスパッタリング銅層15とメッキ銅層17とは、メッキ銅層17が形成された後は、その断面の構造から両者の境界を見出すのは極めて困難であり、本発明では、特に両者を区別して記載する必要のない場合には、両者を総合して導電性金属層20と記載する。
ここで使用するエッチング剤は、導電性金属層20を形成する金属である主として銅に対するエッチング剤であり、このような導電性金属エッチング剤の例としては、塩化第2鉄を主成分とするエッチング液、塩化第2銅を主成分とするエッチング液、硫酸+過酸化水素などのエッチング剤である。このような導電性金属に対するエッチング剤は、導電性金属層20を優れた選択性でエッチングして配線パターンを形成することができるものであると共に、この導電性金属層20と絶縁フィルム11との間にある基材金属層13に対してもかなりのエッチング機能を有している。従って、上記のような導電性金属エッチング剤を用いてエッチングを行うと、図1(f)、図2(f)に示されるように、導電性金属層は勿論、基材金属層13に関しても相当エッチングが進み、基材金属層13を、数nm程度の極めて薄い層として絶縁フィルムの表面に残存する程度にまでエッチングをすることができる。
このNiを溶解可能な第1液を用いて処理することにより、基材金属層13に含有される金属の一部を除去する。このNiを溶解可能な第1液を用いた処理においては、処理温度は、通常は30〜55℃、好ましくは35〜45℃で、処理時間は、通常は2〜40秒間、好ましくは2〜30秒間である。
本発明において、第2処理液として過マンガン酸カリウム+KOH水溶液を使用する場合、過マンガン酸カリウムの濃度は、通常は10〜60g/リットル、好ましくは25〜55g/リットルであり、KOHの濃度は、好ましくは10〜30g/リットルである。本発明において、上記のような第2液を用いた処理においては、処理温度は、通常は40〜70℃、好ましくは50〜65℃で、処理時間は、通常は10〜60秒間、好ましくは15〜45秒間である。このような条件で処理することにより、配線パターンが形成されていない部分の表面27から付番21で示す深さの絶縁フィルム11は切削される。すなわち、本発明のプリント配線基板では、配線パターンが形成されていない部分の絶縁フィルムの厚さが、該配線パターンが形成されている絶縁フィルムの厚さよりも1〜100nm、好ましくは2〜50nm薄く形成されている。なお、配線パターンの部分は、導電性金属層20によって基材金属層13および絶縁11が保護される。
このようにして、第2液による処理が行われた後、実装する電子部品との接合端子となる内部端子および外部の装置と接続するための外部接続端子などが露出するようにソルダーレジスト層が形成され、さらにソルダーレジスト層から露出した内部端子および外部端子の表面を図3に示すようにメッキ層25で被覆する。ここで実施することができるメッキの例として、スズメッキ、金メッキ、ニッケル-金メッキ、ハンダメッキ、鉛フリーハンダメッキを挙げることができる。なお、上記メッキ処理を行う場合、ソルダーレジストを塗布する前に配線パターンに薄いメッキ層を形成し、この薄いメッキ層の上にソルダーレジスト層を形成し、されにソルダーレジスト層から露出している接続端子に再びメッキ処理を施してもよい。こうしたメッキ層の厚さは、メッキの種類によって適宜選択することができるが、無電解Snメッキの場合、メッキ層の合計の厚さを、通常は0.2〜0.8μm、好ましくは0.3〜0.6μmの範囲内の厚さに設定される。
このように、本発明のプリント配線基板あるいは回路装置は、配線パターンが形成されていない絶縁フィルムの表面に金属が存在しないので、マイグレーションなどによって配線パターン間の電気抵抗値が変動することが著しく少ない。すなわち、本発明のプリント配線基板および回路装置は、マイグレーションなどが生じにくく、長時間電圧を印加し続けた後の絶縁抵抗と、電圧を印加する前の絶縁抵抗との間に実質的な変動が認められず、プリント配線基板として非常に高い信頼性を有する。
なお、以下に記載する実施例および比較例における絶縁抵抗値は全て恒温恒湿槽外における室温での測定値である。
上記のようにして形成されたスパッタリング銅層の表面に、電気メッキ法により、銅を析出させて厚さ8μmの電解銅層(電気メッキ銅層)を形成した。
こうして形成された導電性金属層の表面に感光性樹脂を塗布し、露光・現像して、配線ピッチが30μm(ライン幅;15μm、スペース幅;15μm)になるように櫛形電極のパターンを形成し、このパターンをマスキング材として、銅層を、HCl;100g/リットルを含む濃度12%の塩化第2銅エッチング液を用いて30秒間エッチングして配線パターンを製造した。
上記のようにして形成されたスパッタリング銅層の表面に、電気メッキ法により、銅を析出させて厚さ8μmの電解銅からなる導電性金属層を形成した。
こうして形成された導電性金属層の表面に感光性樹脂を塗布し、露光・現像して、配線ピッチ30μmの櫛形電極のパターンを形成し、このパターンをマスキング材として、導電性金属をHCl;100g/リットルを含む濃度12%の塩化第2銅エッチング液を用いて30秒間エッチングして感光性樹脂で形成したパターンと相似型の配線パターンを製造した。
こうして櫛形電極が形成されたプリント配線基板を85℃85%RHの条件で40Vの電圧を印加して1000時間導通試験(HHBT)を行った。また、絶縁信頼試験前の絶縁抵抗は比較例に比較して高く4×1014Ωであり、絶縁信頼性試験後に測定した絶縁抵抗は7×1013Ωであり、両者の間に電圧を印加したことに伴う絶縁抵抗の実質的な差は認められなかった。
こうして櫛形電極が形成されたプリント配線基板を85℃85%RHの条件で40Vの電圧を印加して1000時間導通試験(HHBT)を行った。また、絶縁信頼試験前の絶縁抵抗は比較例に比較して高く4×1014Ωであり、絶縁信頼性試験後に測定した絶縁抵抗は7×1013Ωであり、両者の間に電圧を印加したことに伴う絶縁抵抗の実質的な差は認められなかった。
〔比較例1〕
厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、商品名「カプトン100EN」の片面を、30%ヒドラジン-KOH水溶液中で60秒間処理した。その後、純水で10分間洗浄し室温で乾燥させた。このポリイミドフィルムを、真空蒸着装置に設置し、プラズマ処理後、スパッタリングにてNi・Cr合金を40nm蒸着し、さらに、メッキ法で銅を8μm成膜して金属被覆ポリイミド基板を得た。
〔比較例2〕
実施例1において、平均厚さ50μmのポリイミドフィルム(宇部興産(株)製、ユーピレックスS)を使用し、ポリイミドフィルムの一方の表面を逆スパッタにより粗化処理した後、実施例1と同様にして、ニッケル・クロム合金をスパッタリングして平均厚さ30nmのクロム・ニッケル合金層を形成して基材金属層とした。
上記のようにして形成された基材金属層表面に、電気メッキ法により、銅を析出させて厚さ8μmの電解銅層を形成した。
13・・・基材金属層(第1金属層、シード層)
15・・・スパッタリング銅層
17・・・メッキ銅層
20・・・銅層
21・・・深さ
22・・・感光性樹脂からなる所望のパターン
24・・・基材基部
26・・・基材金属層の上端部
27・・・絶縁フィルムの表面
28・・・配線パターン(導電性金属層)の下端部
Claims (6)
- ポリイミド樹脂からなる絶縁フィルムの表面に基材金属層を介して導電性金属層が形成された基材フィルムの導電性金属層および基材金属層を選択的にエッチングして該絶縁フィルムの少なくとも一方の面に形成された配線パターンを有するプリント配線基板であって、
該導電性金属層が選択的なエッチングにより除去され、導電性金属が除去された部分のNiおよびCrからなる基材金属層の少なくとも一部を、塩化第2鉄を主成分とするエッチング液、塩化第2銅を主成分とするエッチング液および硫酸+過酸化水素からなるエッチング液よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の酸性エッチング液、次いで、過マンガン酸カリウム+KOH水溶液、重クロム酸カリウム水溶液および過マンガン酸ナトリウム+NaOH水溶液よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の酸化性エッチング液をこの順序で用いて、選択的エッチングにより除去され不働態化される際に、ポリイミド樹脂からなる絶縁フィルムの表面が切削除去されて該絶縁フィルムの配線パターンが形成されていない部分のポリイミド樹脂からなる絶縁フィルムの厚さが、配線パターンが形成されている部分よりも1〜100nm薄く形成されてなることを特徴とするプリント配線基板。 - 上記絶縁フィルムの表面に、配線パターンが接着剤を介さずに直接配置されていることを特徴とする請求項第1項記載のプリント配線基板
- 上記配線パターンが、絶縁フィルム表面に直接配置されたNiおよび/またはCrを含有する基材金属層と、該基材金属層の表面に配置されたNi、Cr以外の導電性金属からなる導電性金属層とを含む複数種類の金属からなる金属層から形成されていることを特徴とする請求項第1項記載のプリント配線基板。
- 上記配線パターンを形成する導電性金属層の表面に選択的にメッキ層を形成することを特徴とする請求項第1項記載のプリント配線基板。
- 上記請求項第1項乃至第4項のいずれかの項に記載のプリント配線基板に、電子部品が実装されていることを特徴とする回路装置。
- ポリイミド樹脂からなる絶縁フィルムの表面に基材金属層を介して導電性金属層が形成された基材フィルムの導電性金属層および基材金属層を選択的にエッチングして該絶縁フィルムの少なくとも一方の面に配線パターンを形成するプリント配線基板の製造方法であって、
該導電性金属層を選択的なエッチングにより除去し、導電性金属が除去された部分のNiおよびCrからなる基材金属層の少なくとも一部を、塩化第2鉄を主成分とするエッチング液、塩化第2銅を主成分とするエッチング液および硫酸+過酸化水素からなるエッチング液よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の酸性エッチング液、次いで、過マンガン酸カリウム+KOH水溶液、重クロム酸カリウム水溶液および過マンガン酸ナトリウム+NaOH水溶液よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の酸化性エッチング液をこの順序で用いて、選択的エッチングにより不働態化して除去する際に、ポリイミド樹脂からなる絶縁フィルムの表面が切削除去されて該絶縁フィルムの配線パターンが形成されていない部分のポリイミド樹脂からなる絶縁フィルムの厚さを、配線パターンが形成されている部分よりも1〜100nm薄く形成することを特徴とするプリント配線基板の製造方法。
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