JP4708576B2 - 放射線撮影装置、制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は放射線撮影装置に関するものであり、たとえば、放射線を固体撮像素子で検出して被写体の透過画像を撮像する構成の放射線撮影装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
開業医、診療所等、比較的小規模な医療施設においては、撮影部位に応じた専用の放射線撮影装置が導入されているのは稀である。一台の撮影装置で要求されるさまざまな撮影体位に応じるため、立位撮影台、撮影寝台等を同一の撮影室に設置し、放射線源は天井走行懸垂器、床上走行支持器などを用いて移動させ、放射線の照射方向を各撮影台の方向に向け直すことを行っている。
【0003】
また、通常設置されている撮影手段は通常1日電源サイクルとなる。放射線撮影装置の電源投入に合わせて、フィルムチェンジャ、放射線固体撮像装置などの装置も電源投入され、撮影要求の発生する可能性のある間、電源は投入された状態を維持し、その日の撮影が終了する際に電源を遮断する。常に電源投入しておくことで撮影を行う操作者である放射線技師・医師は撮影手段の切替え操作を行う必要なしに放射線源の方向をそれぞれの撮影手段の方向に向け直すことだけで撮影が可能となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、常に通電状態が保たれることとなるため、時として撮影装置の寿命を縮めることとなる。
【0005】
また、放射線源の方向、すなわち放射線の照射方向が、撮影を行う操作者のミスによって撮影に使用する撮影手段の方向を向いていなかった場合、放射線の照射は行われても、被写体の放射線透過画像を撮影手段で検出することはできない。
【0006】
さらには、この際に放射線の照射方向に被写体が存在した場合には、撮影に寄与しない放射線を被爆することになる。
【0007】
本発明は、無駄な使用時間の減縮機能及び操作者の操作手順の軽減としての使用撮影手段の自動切替機構と、照射方向の設定ミスを事前に防ぎ、これによる被写体への放射線被爆事故を未然に防ぐ、誤照射防止機構を備えた放射線撮影装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1)被写体を透過した放射線により被写体の撮影を行う撮影手段と、該撮影手段の概略撮影位置における被写体の存在の有無を検知する被写体検知手段と、前記撮影手段の動作を制御する制御手段と、該被写体検知手段の出力に基づいて撮影に使用する前記放射線検出手段を切替える切替え手段を有することを特徴とする放射線撮影装置。
【0009】
(2)被写体を透過した放射線により被写体の撮影を行う撮影手段と、前記撮影手段の動作を制御する制御手段と、放射線照射方向を検知する照射方向検知手段と、該検知手段の出力に基づいて撮影に使用する前記撮影手段を切替える切替え手段を有することを特徴とする放射線撮影装置。
【0010】
(3)被写体を透過した放射線により被写体の撮影を行う複数の撮影手段と、該撮影手段の動作を制御する制御手段と、該撮影手段の概略撮影位置における被写体の存在の有無を検知する被写体検知手段及び放射線照射方向を検知する照射方向検知手段の、少なくともいずれか一つと、前記被写体検知手段の出力及び前記照射方向検知手段の出力の、少なくともいずれか一つに基づいて、撮影に使用する前記撮影手段を切替える切替え手段と、前記被写体検知手段の出力及び前記照射方向検知手段の出力の、少なくともいずれか一つに基づいて、放射線照射の可・不可を決定する決定手段を有することを特徴とする放射線撮影装置。
【0011】
(4)前記撮影手段は被写体を透過した放射線で撮影を行うための固体撮像素子と、該固体撮像素子を駆動する駆動手段を有し、前記切り換え手段の出力に基づいて、該固体撮像素子を制御することを特徴とする前項(1)、(2)または(3)に記載の放射線撮影装置。
【0012】
(5)前記切り替え手段は該撮影手段を撮影に使用しないと判定し前記駆動手段を低消費電力状態にすることを特徴とする前項(4)に記載の放射線撮影装置。
【0013】
(6)前記切り替え手段は該撮影手段を撮影に使用しないと判定し、前記固体撮像素子のすべての端子を同電位に維持することを特徴とする前項(4)または(5)に記載の放射線撮影装置。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の第一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は第一実施例の放射線撮影装置の構成図であり、被写体Sを撮影する場合を示している。放射線を発生させる放射線源102は不図示の天井走行懸垂器あるいは床上走行支持器などにより支持され、撮影に応じてその照射方向を立位撮影台107、撮影寝台108に切替えることができる。
【0015】
放射線制御装置101は、不図示の入力装置により指示された照射する放射線の特性(放射線源102にかける管電圧、管電流、照射時間等)に従って放射線源102を制御する。被写体Sの透過放射線像を撮影する撮影手段104は、立位撮影台107及び撮影寝台108に支持され、撮影手段104の外部または内部に被写体Sの存在を検知する被写体検知手段103が配置されている。106は撮影手段の動作を制御する制御手段であり、制御手段106は、後述するように、被写体検知手段103の検知結果に基づいた切り替え手段105の出力に従って撮影手段104の動作を制御する。109は画像取り込み装置であり、撮影手段104から出力される画像データを受け取り、ハードディスク、光磁気ディスク等の記録媒体や、画像をフィルムヘ出力するレーザイメージャ等の出力媒体や、ネットワークを介してストレージサーバヘ画像データを転送する機能を備えている装置、あるいはこれら機能を備えたコンピュータのバスに接続できる拡張ボードなどの形態をとる。
【0016】
撮影手段104はシンチレータと光検出器アレー及び駆動回路から構成される。シンチレータではエネルギーの高い放射線によって蛍光体の母体物質が励起され、再結合する際の再結合エネルギーにより可視領域の蛍光が得られる。その蛍光はCaWO4やCdWO4などの母体自身によるものや、CsI:TlやZnS:Agなどの母体内に付活された発光中心物質によるものがある。
【0017】
このシンチレータに隣接して光検出器アレーが配置されている。この光検出器アレーは光子を電気信号に変換する。図2に光検出器アレーの一例の等価回路を示す。以下の例は二次元アモルファスシリコンセンサについて説明を加えていくが、検出素子は特に限定する必要はなく、例えばその他の固体撮像素子(電荷結合型素子など)あるいは光電子倍増管のような素子であってもA/D変換部の機能、構成については同様である。
【0018】
1素子の構成は光検出部21と電荷の蓄積及び読み取りを制御するスイッチングTFT22とで構成され、一般にはガラス基板上に配されたアモルファスシリコン(a−Si)で形成される。光検出部21中の21−Cはこの例では単に寄生キャパシタンスを有した光ダイオードでも良いし、光ダイオード21−Dと検出器のダイナミックレンジを改良するように追加コンデンサ21−Cを並列に含んでいる光検出器と捉えても良い。ダイオード21−DのアノードAは共通電極であるバイアス配線Lbに接続され、カソードKはコンデンサ21−Cに蓄積された電荷を読み出すための制御自在なスイッチングTFT22に接続されている。この例では、スイッチングTFT22はダイオード21−DのカソードKと電荷読み出し用増幅器26との間に接続された薄膜トランジスタである。
【0019】
スイッチングTFT22と信号電荷はリセット用スイッチング素子25を操作してコンデンサ21−Cをリセットした後に、放射線1を照射することにより、光ダイオード21−Dで放射線量に応じた電荷が発生し、同電荷はコンデンサ21−Cに蓄積される。その後、再度スイッチングTFT22と信号電荷は、リセット用スイッチング素子25を操作することにより、容量素子23に転送される。そして、光ダイオード21−Dにより蓄積された量を電位信号として前置増幅器26によって読み出し、A/D変換を行うことによって入射放射線量を検出する。
【0020】
図3は二次元に配列した光電変換装置を表わした等価回路図である。図2で示された光電変換素子を具体的に二次元に拡張して構成した場合における光電変換動作について述べる。
【0021】
光検出器アレーの画素は2000×2000〜4000×4000程度の画素から構成され、アレー面積は200mm×200mm〜500mm×500mm程度である。図3において、光検出器アレー8は4096×4096の画素から構成され、アレー面積は430mm×430mmである。
【0022】
よって、1画素のサイズは約105×105μmである。1ブロック内の4096画素を横方向に配線し、4096ラインを順に縦に配置することにより各画素を2次元的に配置している。
【0023】
上記の例では4096×4096画素の光検出器アレー8を1枚の基板で構成した例を示したが、4096×4096画素の光検出器アレー8を2048×2048個の画素を持つ検出器を4枚で構成することもできる。2048×2048個の検出器を4枚で1つの光検出器アレー8を構成する場合は、分割して製作することにより歩留まりが向上するなどのメリットがある。
【0024】
前述の通り1画素は、光電変換素子21とスイッチングTFT22とで構成される。21−(1、1)〜21−(4096、4096)は前述の光電変換素子21に対応するものであり、光検出ダイオードのカソード側をK、アノード側をAとして表わしている。22−(1、1)〜22−(4096、4096)はスイッチングTFT22に対応するものである。
【0025】
2次元光検出器アレー8の各列の光電変換素子21−(m、n)のK電極は対応するスイッチングTFT22−(m、n)のソース、ドレイン導電路によりその列に対する共通の列信号線(Lc1〜4096)に接続されている。例えば、列1の光電変換素子21−(1、1)〜(1、4096)は第1の列信号配線Lc1に接続されている。各行の光電変換素子21のA電極は共通にバイアス配線Lbを通して前述のモードを操作するバイアス電源31に接続されている。各行のTFT22のゲート電極は行選択配線(Lr1〜4096)に接続されている。例えば、行1のTFT22−(1、1)〜(4096、1)は行選択配線Lr1に接続される。行選択配線Lrはラインセレクタ部32を通して制御手段106に接続されている。ラインセレクタ部32はたとえばアドレスデコーダ34と4096個のスイッチ素子35から構成される。この構成により任意のラインLrnを読み出すことができる。ラインセレクタ部32は最も簡単に構成するならば、単に液晶ディスプレイなどに用いられているシフトレジスタによって構成することも可能である。
【0026】
列信号配線Lcは制御手段106により制御される信号読み出し部36に接続されている。25は列信号配線Lrをリセット基準電源24の基準電位にリセットするためのスイッチ、26は信号電位を増幅するための前置増幅器、38はサンプルホールド回路、39はアナログマルチプレクサ、40はA/D変換器をそれぞれ表わす。それぞれの列信号配線Lrnの信号は前置増幅器26により増幅され、サンプルホールド回路38により保持される。その出力はアナログマルチプレクサ39により順次A/D変換器40へ出力され、ディジタル値に変換され出力される。
【0027】
本実施例の光電変換装置は4096×4096個の画素を4096のラインLcnに分け、1列あたり4096画素の出力を同時に転送し、この列信号配線Lcを通して前置増幅器26−1〜4096、サンプルホールド部38−1〜4096を通してアナログマルチプレクサ39によって順次A/D変換器40に出力される。
【0028】
図3ではあたかもA/D変換器40が1つで構成されているように表わされているが、実際には4〜32の系統で同時にA/D変換を行う。これは、アナログ信号帯域、A/D変換レートを不必要に大きくすること無く、画像信号の読み取り時間を短くすることが要求されるためである。A/D変換部について詳細は後述する。
【0029】
蓄積時間とA/D変換時間とは密接な関係にあり、高速にA/D変換を行うとアナログ回路の帯域が広くなり所望のS/Nを達成することが難しくなる。従って、A/D変換速度を不必要に速くすることなく、画像信号の読み取り時間を短くすることが要求される。そのためには、多くのA/D変換器40を用いてA/D変換を行えば良いが、その場合はコストが高くなる。よって、上述の点を考慮して適当な値を選択する必要がある。放射線1の照射時間はおよそ10〜500msec程度であるので、全画面の取り込み時間あるいは電荷蓄積時間を100msecのオーダあるいはやや短めにすることが適当である。
【0030】
例えば、全画面を順次駆動して100msecで画像を取り込むために、アナログ信号帯域を50MHz程度にし、10MHzのサンプリングレートでA/D変換を行うと、最低でも4系統のA/D変換器40が必要になる。本撮影装置では16系統で同時にA/D変換を行う。16系統のA/D変換器40の出力はそれぞれに対応する16系統の図示しないメモリ(FIFO等)に入力される。そのメモリを選択して切り替えることにより連続した1ラインの走査線にあたる画像データとして外部に出力する。
【0031】
さて、通常、撮影手段の電源のON/OFFのサイクルは1日周期の電源サイクルとなる。例えば、放射線発生装置の動作テスト時に、撮影手段も電源を投入し、その後、患者などの被写体が訪れる可能性のある間、電源は投入された状態を維持し、その日の撮像が終了時に電源を遮断する。
【0032】
電源が投入されている間、撮影手段で絶え間なく放射線像を撮影することはごく稀である。長期間、撮影の無い間、撮影手段を撮影状態のまま維持すると、消費電力が大きくなる。さらに、本実施例においては、アモルファスシリコンデバイス上のTFT22は、動作時間の増加と共に導通時のON抵抗が上昇する現象がある。これは、通常センサ感度の低下として現れる。これらの理由により、撮影手段は消費電力を抑えたり、撮影デバイスを撮影状態から開放することにより撮影デバイスの負荷を低減するために、撮影の無い間、撮影手段を待機モードに移行する。
【0033】
具体的には、光検出器アレー8の駆動ラインLc、Lr、Lbをすべて同電位、例えばGND電位に揃えて光検出器アレー8に電位をかけない。また、その他、周辺のラインセレクタ部32、信号読み出し部36、更に制御手段106周辺回路については出力を維持した状態、もしくは問題とならない状態に設定し、低消費電流モードにして待機する。あるいは撮影手段104へ供給する電源を遮断しても良い。
【0034】
さて、患者などの被写体Sが現れた場合に、通常、操作者の指示によりその待機モードから通常の撮影モードに移行する。この際、撮影手段104は撮像準備を行う。単に撮像準備期間を含め、良好な画質、あるいはその再現性を得るための所定のウェイト時間を持たせなくてはならない。これは、例えばラインセレクタ部32、信号読み出し部36などの周辺駆動素子が定常状態に落ち着くことを待つ時間であったり、光検出器アレー8の特性が良好な画質を得るために十分落ち着くまでの時間であり、例えば暗電流特性の落ち着くまでの時間となる。
【0035】
次に、図4を用いて動作モードの遷移について述べる。図4の例では、まず撮影手段は待機モードである。これは駆動制御部が管理しており、この待機モード時も被写体検出トリガ信号に示す通り、所定間隔で被写体の検知を被写体検知手段103で行っている。この例では、被写体検知信号のIタイミングにおいて、図1における立位撮影台107に取り付けられた撮影手段104(以下撮影手段Aと呼ぶ)と対になる被写体検知手段103(以下被写体検知手段Aと呼ぶ)によって被写体検知がなされている。誤検知の可能性もあるので所定時間後、再検知を試みる。この結果も被写体検知となっていれば、切替え手段105は撮影手段Aを撮影モードに遷移させるべく、撮影手段Aと対になる制御手段106(以下制御手段Aと呼ぶ)に信号を送り、これを受けて制御手段Aは撮影モードのセンサ駆動を開始する。その所定時間後、センサ状態の撮像準備完了を持って、撮影手段Aは撮像状態となる。同時にIタイミングにおいては、切替え手段105は画像取り込み装置109に信号を送り、画像取り込み装置109上のデータバスを撮影手段Aのデータバスに接続する。画像取り込み装置109が拡張ボードの形態を取っている場合、複数の撮影手段を接続する場合には、画像取り込み装置のボードを撮影手段の数だけ用意して、これをコンピュータのバスに接続するという方法もあるが、使用部品点数の増加に伴う価格上昇、接続するコンピュータのバススロットを撮影手段の数だけ消費する等、不具合もあり、また複数撮影手段を同時に使用することの無い場合には、実質的に使用されるのは常に一つのボードのみであり、複数のボードを使用することは無駄でしかない。
【0036】
このため、一つの画像取り込み装置109に一つの撮影手段使用時に必要なメモリ等を実装し、データの入力ラインを使用する撮影手段によって切り替える手法を用いるのが、もっとも効率が良い。この状態となって初めて放射線制御装置101と画像取り込み装置109を結ぶ同期信号が有効となり、放射線の照射が許可される。
【0037】
撮影手段Aにおいて撮影が終了し、体位を変更して撮影するため、被写体Sが撮影寝台108に移動したとする。この時、まず、図4中IIタイミングにおいて被写体検知手段Aに被写体
が検知されなくなる。この場合も被写体検知と同様、誤検知の可能性があるので、さらに所定時間後に再検知を試みる。この結果も被写体が検出されない場合、切替え手段105は撮影手段Aを待機モードに遷移させるべく、制御手段Aに信号を送り、これを受けて制御手段Aは撮影手段Aの状態を待機モードに遷移させる。同時にIIタイミングにおいては、切替え手段10
5は画像取り込み装置109に信号を送り、撮影手段Aのデータバスを画像取り込み装置109上のデータバスから切断する。さらに同時に、放射線制御装置101と画像取り込み装置109を結ぶ同期信号が無効となり、放射線の照射が禁止される。
【0038】
被写体Sが撮影寝台108に移動し、IIIタイミングにおいて
撮影寝台108に取り付けられた撮影手段104(以下撮影手段Bと呼ぶ)と対になる被写体検知手段103(以下被写体検知手段Bと呼ぶ)によって被写体検知がなされる。被写体検知手段Aの場合と同様に所定時間後に再検知を行い、この結果も被写体検知となっていれば、切替え手段105は撮影手段Bを撮影モードに遷移させるべく、撮影手段Bと対になる制御手段106(以下制御手段Bと呼ぶ)に信号を送り、これを受けて制御手段Bは撮影モードのセンサ駆動を開始する。その所定時間後、センサ状態の撮影準備完了を持って、撮影手段Bは撮影状態となる。同時にIIIタイミングにおいては、切替え手段10
5は画像取り込み装置109に信号を送り、画像取り込み装置109上のデータバスを撮影手段Bのデータバスに接続する。このとき放射線制御装置101と画像取り込み装置109を結ぶ同期信号が有効となり、放射線の照射が許可される。
【0039】
撮影手段Bにおいて撮影が終了し、被写体Sが撮影寝台108から離れたとする。この時、図4中IVタイミングにおいて、
被写体検知手段Bに被写体が検知されなくなる。この場合も誤検知の可能性があるので、所定時間後に再検知を試みる。この結果も被写体が検知されない場合、切替え手段105は撮影手段Bを待機モードに遷移させるべく、制御手段Bに信号を送り、これを受けて制御手段Bは撮影手段Bの状態を待機モードに遷移させる。同時にIVタイミングにおいては、切替え手段10
5は画像取り込み装置109に信号を送り、撮影手段Bのデータバスを画像取り込み装置109上のデータバスから切断する。さらに同時に、放射線制御装置101と画像取り込み装置109を結ぶ同期信号が無効となり、放射線の照射が禁止される。
【0040】
本実施例に用いられる被写体検知手段103は、LED、LDなどの発光素子とPSD、複数のフォトダイオードなどの受光素子からなる投光型検知センサ、または超音波発信器・受信器の組あわせからなる超音波反射型センサ、あるいは人体の接触を感知することにより被写体Sを検知する接触センサなどが用いられる。
【0041】
本実施例においては、被写体が検知されなくなった場合、直ちに待機モードに遷移することとして説明したが、もちろんこれ以外にも、被写体が検知されなくなった後、所定時間経過してから待機モードに遷移しても良い。この場合の動作モードの遷移を図5に示す。図5中IIタイミングにおいて被写体が検出されなくなっているが、待機モードには遷移せず、そのまま撮影モードを継続する。そのままの状態でIIIタイミングにおいて
被写体検知手段Bにより被写体が検知されると、直ちに切替え手段105は撮影手段Aを待機モードに遷移させ、撮影手段Aをデータバスから切り離す。同時に撮影手段Bを撮影モードに遷移させ、撮影手段Bをデータバスに接続する。被写体が検知されなくなってから、所定時間後に待機モードに遷移した場合は、切替え動作の間に両撮影手段共待機モードのタイミングが存在するため、切替え動作は図4と同様と考えて良い。
【0042】
以上、被写体を検出することによって、複数の撮影手段104を自動選択的に通電状態・定消費電力状態にし、それらの状態に付随して、撮影動作の許可・禁止を制御することによって、操作者である放射線技師・医師による撮影手段104の切替え操作を省略し、また、未使用の撮影手段104の無駄な使用時間の減縮を図ることが出来る。また、明らかに被写体の存在する方向の撮影装置104を有効にするため、照射方向の設定ミスによる被爆事故を未然に防ぐことが出来る。また、放射線照射の許可・禁止を画像取り込み装置109によって行っているが、もちろん他のユニットとして構成してもよい。
【0043】
さらに、図6以降を用いて本発明の第二実施例について述べる。図6は第二実施例の放射線撮影装置の構成図である。第一実施例と同様に立位撮影台107、撮影寝台108にそれぞれ撮影手段104が設置されている。不図示の天井走行型懸垂器あるいは床上走行支持器などに指示された放射線源102にはその放射線の照射方向を検出する照射方向検知手段201が取り付けられている。ここでは照射方向検知手段201は、簡単のため、図6に対して鉛直方向に軸を待つ回転(図中矢印の方向)を検出することとする。
【0044】
図7は照射方向検知手段201の出力、及び、撮影手段104の状態を示している。照射方向検知手段201の出力のある帯域に対して選択される撮影手段104が結び付けられている。
【0045】
初期状態には照射方向はどちらの撮影手段104にも向いていない。患者などの被写体Sを撮影しようとする場合、操作者は放射線を被写体Sに照射するために放射線源102の方向を変える。今、被写体は図中の立位撮影台107の前に立っているとすると、操作者による放射線源102の回転と共に、照射方向検知手段201の値が変化し、図7中Iタイミングにおいて立位撮影台107に設置された撮影手段104(以下撮影手段Aと呼ぶ)が有効になる領域に差し掛かる。
【0046】
この出力を受けて、切替え手段105は撮影手段Aを撮影モードに遷移させるべく、撮影手段Aと対になる制御手段106(以下制御手段Aと呼ぶ)に信号を送り、これを受けて制御手段Aは撮影モードのセンサ駆動を開始する。その所定時間後、センサ状態の撮像準備完了を持って、撮影手段Aは撮像状態となる。同時にIタイミングにおいては、切替え手段105は画像取り込み装置109に信号を送り、画像取り込み装置109上のデータバスを撮影手段Aのデータバスに接続する。このとき放射線制御装置101と画像取り込み装置109を結ぶ同期信号が有効となり、放射線の照射が許可される。
【0047】
撮影手段Aにおいて撮影が終了し、体位を変更して撮影するため、被写体Sが撮影寝台108に移動したとする。これに合わせて、操作者は放射線源102を回転させ、その照射方向を撮影寝台108に向ける。この時、照射方向検知手段201の値が変化し、図7中IIタイミングにおいて撮影手段Aが無効になる領域に差し掛かる。この出力を受けて、切替え手段105は撮影手段Aを待機モードに遷移させるべく、制御手段Aに信号を送り、これを受けて制御手段Aは撮影手段Aの状態を待機モードに遷移させる。同時にIIタイミングにおいては、切替え手段105は画像取り込み装置109に信号を送り、撮影手段Aのデータバスを画像取り込み装置109上のデータバスから切断する。さらに同時に、放射線制御装置101と画像取り込み装置109を結ぶ同期信号が無効となり、放射線の照射が禁止される。
【0048】
続いて図7中IIIタイミングにおいて、撮影手段Aが無効にな
る領域に差し掛かる。この時、撮影手段Aにおける場合と同様に切替え手段105は撮影手段Bを撮影モードに遷移させるべく、撮影手段Bと対になる制御手段106(以下制御手段Bと呼ぶ)に信号を送り、これを受けて制御手段Bは撮影モードのセンサ駆動を開始する。その所定時間後、センサ状態の撮像準備完了を持って、撮影手段Bは撮像状態となる。同時にIタイミングにおいては、切替え手段105は画像取り込み装置109に信号を送り、画像取り込み装置109上のデータバスを撮影手段Bのデータバスに接続する。このとき放射線制御装置101と画像取り込み装置109を結ぶ同期信号が有効となり、放射線の照射が許可される。
【0049】
以上、放射線の照射方向を検出することによって、複数の撮影手段104を自動選択的に通電状態・定消費電力状態にし、それらの状態に付随して、撮影動作の許可・禁止を制御することによって、操作者である放射線技師・医師による撮影手段104の切替え操作を省略し、また、未使用の撮影手段104の無駄な使用時間の減縮を図ることが出来る。また、明らかに放射線を照射する方向の撮影装置104を有効にするため、照射方向の設定ミスによる被爆事故を未然に防ぐことが出来る。また、放射線照射の許可・禁止を画像取り込み装置109によって行っているが、もちろん他のユニットとして構成してもよい。
【0050】
以上2実施例においては被写体を検出する手法、放射線の照射方向を検出する手法の2点に付いて述べたが、もちろんこれら2手法を組み合わせて構成することによっても、同様の効果を得ることが出来る。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、放射線の照射方向を検出することによって、複数の撮影手段104を自動選択的に通電状態・定消費電力状態にし、それらの状態に付随して、撮影動作の許可・禁止を制御することによって、操作者である放射線技師・医師による撮影手段104の切替え操作を省略し、また、未使用の撮影手段104の無駄な使用時間の減縮を図ることが出来る。また、明らかに放射線を照射する方向の撮影装置104を有効にするため、照射方向の設定ミスによる被爆事故を未然に防ぐことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第一実施例の放射線撮影装置の構成図
【図2】 光検出器アレーの一例の等価回路図
【図3】 二次元に配列した光電変換装置を表わした等価回路図
【図4】 動作モードの遷移図
【図5】 動作モードの遷移図
【図6】 第二実施例の放射線撮影装置の構成図
【図7】 動作モードの遷移図
【符号の説明】
8 光検出器アレー
21 光検出部
22 スイッチングTFT
23 容量素子
24 リセット基準電源
25 リセット用スイッチング素子
26 前置増幅器
31 バイアス電源
32 ラインセレクタ部
34 アドレスデコーダ
35 スイッチ素子
36 信号読み出し部
38 サンプルホールド回路
39 アナログマルチプレクサ
40 A/D変換器
101 放射線制御装置
102 放射線源
103 被写体検知手段
104 撮影手段
105 切替え手段
106 制御手段
107 立位撮影台
108 撮影寝台
109 画像取り込み装置
201 照射方向検知手段
Claims (7)
- 被写体を透過した放射線により被写体の撮影を行う複数の撮影手段と、
放射線源が放射線を照射する方向を検知する照射方向検知手段と、
前記照射方向検知手段の出力に応じて放射線の照射を前記放射線源に許可する手段と、
前記照射方向検知手段の出力に応じて前記複数の撮影手段のなかで前記放射線源の照射が許可される方向の撮影手段を撮像が可能な状態にする制御手段と、
を有することを特徴とする放射線撮影装置。 - 被写体を透過した放射線により被写体の撮影を行う複数の撮影手段と、
放射線源が放射線を照射する方向を検知する照射方向検知手段と、
前記照射方向検知手段の出力に応じて放射線の照射を前記放射線源に禁止する手段と、
前記照射方向検知手段の出力に応じて前記複数の撮影手段のなかで前記放射線源の照射が禁止された方向の撮影手段を待機状態にする制御手段と、
を有することを特徴とする放射線撮影装置。 - 前記撮影手段は放射線を電気信号に変換する固体撮像素子を備え、前記固体撮像素子を駆動する駆動手段を有し、
前記照射方向検知手段の出力に基づいて、該固体撮像素子を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線撮影装置。 - 前記待機状態は前記撮影手段を低消費電力状態にすることを特徴とする請求項2又は3に記載の放射線撮影装置。
- 前記待機状態では前記固体撮像素子のすべての端子を同電位に維持することを特徴とする請求項2又は3に記載の放射線撮影装置。
- 被写体を透過した放射線により被写体の撮影を行う複数の撮影手段を制御する制御方法であって、
放射線を放射線源が照射する方向を検知する工程と、
前記検知された方向に応じて放射線の照射を前記放射線源に許可する工程と、
前記照射方向検知手段の出力に応じて前記複数の撮影手段のなかで前記放射線源の照射が許可される方向の撮影手段を撮像が可能な状態にする制御工程と、
を有することを特徴とする制御方法。 - 被写体を透過した放射線により被写体の撮影を行う複数の撮影手段を制御する制御方法であって、
放射線を放射線源が照射する方向を検知する工程と、
前記検知された方向に応じて放射線の照射を前記放射線源に禁止する工程と、
前記照射方向検知手段の出力に応じて前記複数の撮影手段のなかで前記放射線源の照射が禁止される方向の撮影手段を撮像の待機状態にする制御工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
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