JP4708122B2 - 内圧開放特性を有する容器蓋 - Google Patents

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Description

本発明は、内圧開放特性、即ち容器内圧が過剰に上昇すると容器内圧を自動的に開放する特性、を有する容器蓋に関する。
下記特許文献1には内圧開放特性を有する容器蓋が開示されている。かかる容器蓋は、円形天面壁及びこの天面壁の周縁から垂下する円筒形スカート壁を有する金属薄板製シェルとこのシェル内に配設された合成樹脂製ライナーとを具備している。シェルのスカート壁の上端部には周方向に延在する内圧開放ラインが配設されている。この内圧開放ラインは高々10度の角度範囲に渡って延在する高強度領域と残余の角度範囲に渡って延在する低強度領域とから構成されている。高強度領域にはスリットが存在せず、高強度領域は連続して延在する高強度橋絡部によって規定されている。低強度領域は周方向に所定間隔をおいて配設された多数の低強度橋絡部とかかる低強度橋絡部間に存在する多数のスリットとから構成されている。低強度橋絡部の周方向幅は高強度橋絡部の周方向幅に比べて相当小さく設定されている。
容器の口頸部に容器蓋を装着して口頸部を密封した状態で容器の内容物が過剰に加熱された場合、或いは口頸部から一旦容器蓋を離脱せしめた後に再び口頸部に容器蓋を装着して口頸部を密封した後に内容物が腐敗して発酵した場合には、容器の内圧が過剰に上昇する虞がある。然るに、上記のとおりの容器蓋においては、容器の内圧が過剰に上昇した場合には、容器蓋に作用する過大な圧力によって内圧開放ラインにおける低強度橋絡部が破断され、高強度領域に存在する高強度橋絡部を旋回中心部としてシェルの天面壁が上方に旋回され、そしてまたこれに付随してライナーも上方に旋回され、これによって容器内の過剰に上昇した内圧が開放される。かくして、容器が破裂し或いは容器蓋の全体が容器の口頸部から離脱して飛翔せしめられるといった危険の発生が回避される。
実公平7−25318号公報
而して、上述した従来の容器蓋においては、容器の内圧が過剰に上昇した場合にはかかる内圧を開放することができるが、例えば容器の口頸部に容器蓋を装着して口頸部を密封した状態で容器が比較的低い高さから落下せしめられた場合にも、落下衝撃に起因してシェルの内圧開放ラインにおける低強度橋絡部が破断されてしまって容器の密封が毀損されてしまう虞が少なくない。
従来の容器蓋に存在する上述した問題を解決せんとして、本発明者等は、先に、特願2004−309198において、(A)内圧開放ラインを20乃至60度の角度範囲に渡って存在する低強度領域と、この低強度領域に対して直径方向反対側に位置し且つ20乃至70度の角度範囲に渡って存在する高強度領域と、そして更に低強度領域と高強度領域との間に位置する中強度領域とを含む形態にせしめること、(B)内圧解放ラインにおける低強度領域を20乃至60度の角度範囲に限定し、残余の角度範囲を高強度領域にせしめること、或いは(C)内圧開放ラインを20乃至60度の角度範囲に渡って存在する低強度領域とこの低強度領域に隣接してその両側に夫々位置し且つ5乃至40度の角度範囲に渡って存在する高強度領域と残余の非低強度領域とを含む形態にせしめること、を提案した。
本発明者等が先に提案した改良を施した容器蓋は、195N/mm程度の引張強度を有する金属薄板、例えば通常のアルミニウム基合金薄板、から形成されている場合には、容器の内圧が過剰に上昇した場合には充分確実に内圧を開放することができるにもかかわらず、充分な耐落下衝撃特性を有することが確認されている。しかしながら、本発明者等の経験によれば、シェルが200乃至230N/mmである高引張強度を有する金属薄板、例えば高強度アルミニウム基合金薄板、から形成されている場合には、その確率は数%にすぎないが、容器の内圧が上昇しても低強度領域が所期のとおりに破断されず、容器の内圧が過剰に上昇した時点で低強度領域のみならず中強度領域及び高強度領域をも含む周方向全体に渡って破断され、天面壁が飛翔されてしまうことがある。かような問題を解決するためには、低強度領域における低強度橋絡部の周方向幅を低減せしめて低強度橋絡部の強度を小さくせしめることが意図されるが、かくすると容器の口頸部に容器蓋を装着する際に低強度領域が破断されてしまう傾向がある。
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、シェルが200乃至230N/mmである高引張強度を有する金属薄板から形成されているにも拘らず、容器の内圧が上昇すると所期のとおりに低強度領域のみが破断されて容器の内圧が開放され、これに加えて充分な耐落下衝撃特性を有し、そしてまた容器の口頸部に容器蓋を装着する際に低強度領域が破断されることがない、新規且つ改良された容器蓋を提供することである。
本発明者等は、鋭意研究及び実験の結果、40乃至95度の角度範囲に渡って存在し、且つ周方向に間隔をおいて周方向に延びる複数個のスリットとスリット間に位置する複数個の低強度橋絡部とから構成されている低強度領域から内圧開放ラインを構成することによって、上記主たる技術的課題を達成することができることを見出した。
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成する容器蓋として、引張強度が200乃至230N/mmである金属薄板から形成され、円形天面壁及び該天面壁の周縁から垂下する円筒形スカート壁を有するシェルと、該シェル内に配設された合成樹脂製ライナーとを具備し、該シェルの該スカート壁の上端部には周方向に延在する内圧開放ラインが配設されている容器蓋において、
該内圧開放ラインは40乃至95度の角度範囲に渡って存在し、且つ周方向に間隔をおいて周方向に延びる複数個のスリットと該スリット間に位置する複数個の低強度橋絡部とから構成されている低強度領域から成る、ことを特徴とする容器蓋が提供される。
該低強度橋絡部の周方向幅は0.5乃至0.9mmであり、該低強度領域に存在する該スリットの周方向長さは2.5乃至4.0mmであるのが好適である。好ましくは、該低強度領域には4乃至6個の該低強度橋絡部が存在する。好適実施形態は、該低強度領域に対して直径方向反対側に位置し25乃至180度の角度領域に渡って存在する高強度領域と、該低強度領域に隣接してその両側に位置し10乃至55度の角度範囲に渡って存在する高強度領域と、該高強度領域間に存在する2個の中強度領域とを含む、或いは該低強度領域に対して直径方向反対側に位置し25乃至180度の角度領域に渡って存在する高強度領域と、該低強度領域と該高強度領域との間に存在する2個の中強度領域とを含む。該中強度領域は周方向に間隔をおいて周方向に延びる複数個のスリットと該スリット間に存在する中強度橋絡部とから構成されており、該中強度橋絡部の周方向幅は1.0乃至3.0mmであるのが好適である。
本発明の容器蓋においては、後述する実施例から明確に理解されるとおり、シェルが200乃至230N/mmである高引張強度を有する金属薄板から形成されているにも拘らず、容器の内圧が上昇すると所期のとおりに低強度領域のみが破断されて容器の内圧が開放され、これに加えて充分な耐落下衝撃特性を有し、そしてまた容器の口頸部に容器蓋を装着する際に低強度領域が破断されることがない。
以下、本発明に従って構成された容器蓋の好適実施形態を図示している添付図面を参照して、更に詳述する。
図1は本発明に従って構成された容器蓋の第一の実施形態を図示している。全体を番号2で示す容器蓋は、金属薄板製シェル4と合成樹脂製ライナー6とから構成されている。
厚さが0.22乃至0.26mm程度で引張強度が200乃至230N/mmである高強度アルミニウム基合金薄板から形成されているのが好都合であるシェル4は、円形天面壁8とこの天面壁8の周縁から垂下する略円筒形状のスカート壁10とを有する。スカート壁10の下部には周方向に延びる破断ライン12が形成されており、スカート壁10は破断ライン12よりも上方の主部14と破断ライン12よりも下方のタンパーエビデント裾部16とに区画されている。更に詳述すると、スカート壁10の下部には半径方向外方に膨出せしめられた環状膨出部18が形成されており、かかる環状膨出部18には周方向に適宜の間隔をおいて周方向に延びる複数個のスリット20が形成されており、上記破断ライン12は複数個のスリット20とかかるスリット20間に位置する複数個の橋絡部22によって規定されている。タンパーエビデント裾部16は橋絡部22を介して主部14に接続されている。
スカート壁10の主部14における軸線方向略中央部には環状溝24が形成され、そしてまた環状溝24の直ぐ上方には環状突条即ち環状ビード26が形成されている。環状ビード26の上方には周方向に凹部28と凸部30とが交互に存在する凹凸形状部が形成されている。そして、凹凸形状部の上端縁には、周方向に間隔をおいて周方向に延びる多数、好ましくは15乃至30個、のスリット32とかかるスリット32間に存在する多数、好ましくは15乃至30個、の橋絡部34とが形成されている。
図1と共に図2を参照して説明を続けると、図示の実施形態においては、上記スリット32と橋絡部34とは、低強度領域36、この低強度領域36に対して直径方向反対側に位置する高強度領域38、低強度領域36の両側に夫々位置する2個の高強度領域40、及び高強度領域38と高強度領域40との間に位置する2個の中強度領域42を規定している。そして、低強度領域36は、後に更に言及する如く、内圧開放ラインを構成している。
低強度領域36は40乃至95度、好ましくは60乃至95度、の角度領域に渡って存在していることが重要である。そして、低強度領域36は少なくとも1個、好ましくは4乃至6個、の低強度橋絡部34aと複数個のスリット32から構成されていることが重要である。図示の低強度領域36は4個の低強度橋絡部34aと5個のスリット32とから構成されている。低強度橋絡部34aの周方向幅waは0.5乃至0.9mm、特に0.60乃至0.85mmであるのが好適である。低強度領域36におけるスリット32の周方向長さ(幅)swは2.5乃至4.0mmであるのが好適である。
低強度領域36に対して直径方向反対側に位置する高強度領域38は25乃至180度、特に40乃至90度の角度範囲に渡って存在しているのが好適である。この高強度領域38にはスリット32が存在せず、高強度領域38は連続して延在する1個の高強度橋絡部34bによって規定されている。低強度領域36の両側に位置する高強度領域40は10乃至55度、特に10乃至25度の角度範囲に渡って存在しているのが好適である。これらの高強度領域40にもスリット32が存在せず、高強度領域40は連続して延在する1個の高強度橋絡部34cによって規定されている。高強度領域38と2個の高強度領域40の各々との間に存在する中強度領域42は40乃至130度の角度範囲に渡って存在しているのが好適である。中強度領域42は複数個の中強度橋絡部34dと複数個のスリット32とから構成されている。中強度橋絡部34dの周方向幅wdは1.0乃至3.0mm、特に1.2乃至2.5mmであるのが好適である。中強度領域42におけるスリット32の周方向長さ(幅)swは、1.5乃至3.5mm程度でよい。
再び図1を参照して説明すると、軟質ポリエチレンの如き適宜の合成樹脂から形成することができるライナー6は、蓋本体4の天面壁8の内面に配設されている。かかるライナー6は、天面壁8の内面に軟化溶融状態の合成樹脂素材を供給し、かかる合成樹脂素材を所要形状に型押成形することによって形成することができる。或いは、シェル4とは別個にライナーを成形し、かかるライナーをシェル4の天面壁8の内面に配置し、必要に応じて適宜の接着剤を介して天面壁8の内面に接着することもできる。図示の実施形態におけるライナー8は、比較的肉薄の円形中央部44と比較的肉厚の環状周縁部46とから構成されている。環状周縁部46には下方に突出する2条の環状突条、即ち外側環状突条48と内側環状突条50とが形成されている。外側環状突条48の外周面は実質上円筒形状であり、下面は実質上水平であり、内周面は略円錐台形状である。内側環状突条50の外周面の上半部は略逆円錐形状で下半部は実質上円筒形状であり、下面は断面図において半径方向内方に向って下方に円弧状に延びる形状であり、内周面は実質上円筒形状である。外側環状突条48の半径方向厚さは比較的大きく、内側環状突条50の半径方向厚さは比較的小さい。一方、外側環状突条48の下方への突出長さは比較的小さく、内側環状突条50の下方への突出長さは比較的大きい。環状周縁部46における外側環状突条48と内側環状突条50との間の部分の下面は略水平である。ライナー6のその他の領域はシェル4の天面壁8の内面に対して接着されているが、ライナー6の環状周縁部の半径方向外側領域、例えば図1に符号xで示す領域はシェル4の天面壁8の内面に対して非接着状態であるのが、耐衝撃性の点から好適である。
図1及び図3には容器蓋2が適用される容器の口頸部52も図示されている。図示の容器はアルミニウム基合金薄板から形成されており、略円筒形状の口頸部52を有する。口頸部52の上端部は上方に向って半径方向内方に傾斜せしめられた円錐台形状であり、上端には外巻カール54が形成されている。口頸部52の軸線方向中間部には雄螺条56が形成され、かかる雄螺条56の下方には半径方向外方に膨出せしめられた環状係止あご部58が形成されている。本発明に従って構成された容器蓋2は、図示の形態の口頸部52を有する容器に限られることなく、金属薄板、ガラス或いは適宜の合成樹脂から形成された種々の形態の口頸部を有する容器にも適用され得ることは多言するまでもない。
図1及び図3を参照して説明を続けると、口頸部52に容器蓋2を装着して口頸部52を密封する際には口頸部52に容器蓋2を被嵌する。かくすると、図1に図示する如く、ライナー6の外側環状突条48の内周面が口頸部52の外巻カール54の頂面外側部に当接せしめられる。次いで、図3に図示する如く、容器蓋2を下方に押圧してライナー6、特にその外側環状突条48の内周面を口頸部52の外巻カール54の頂面乃至外周面上端部に密接せしめる。そして、シェル4の天面壁8とスカート壁10との境界領域を下方及び半径方向内側に変形せしめて環状没入部60を形成し、スカート壁10の主部14における環状溝24から下方の領域に、口頸部52の雄螺条56に対応せしめて雌螺条62を形成し、そしてまたシェル4のタンパーエビデント裾部16の下部を半径方向内側に変位せしめて、口頸部52の係止あご部58に係止せしめる。スカート壁10の主部14に形成されている環状ビード26は、主部14に雌螺条62を形成する際に雌螺条形成部位から橋絡部34、特に低強度領域36(図2)の橋絡部34a、望ましくない力が伝えられるのを効果的に緩衝する。容器内に内容物を充填する際に溢れ出た内容物が口頸部52の外周面に付着している虞がある場合には、容器蓋4に上水でよい洗浄液を噴射することができる。かくすると、噴射された洗浄液がシェル4のスカート壁10の主部に形成されているスリット32を通ってシェル4と口頸部52との間に侵入し、口頸部52の外周面に付着した内容物を洗い流す。
容器蓋2によって密封されている容器の口頸部52を開封する際には、容器蓋2を開方向、即ち図3において上方から見て反時計方向に回転せしめる。かくすると、スカート壁10に形成されている雌螺条62が口頸部52に形成されている雄螺条56に沿って移動し、従って回転と共に上昇せんとする。しかしながら、タンパーエビデント裾部16は環状係止あご部58に係止されている故に上昇が阻止され、従って破断ライン12、更に詳しくはその橋絡部22に相当な応力が生成され、橋絡部22が破断されてタンパーエビデント裾部16がスカート壁10の主部14から分離される。しかる後においては、容器蓋2は、タンパーエビデント裾部16を除いて、回転と共に上昇せしめられて口頸部52から離脱され、かくして口頸部52が開封される。一旦開封した口頸部52を一時的に再び密封することが望まれる場合には、口頸部52から離脱した容器蓋2を再び口頸部52に被嵌せしめて閉方向、即ち図3において上方から見て時計方向に回転せしめ、容器蓋2の雌螺条62を口頸部52の雄螺条56に螺合せしめればよい。雌螺条62を雄螺条56に充分に螺合せしめると、ライナー6、特にその外側環状突条48の内周面が再び口頸部52の外巻カール54の頂面乃至外周面上端部に密接せしめられ、口頸部52が密封される。
而して、容器蓋2を容器の口頚部52に装着して口頸部52を密封した状態において、例えば容器が過剰に加熱されることによって、或いは口頸部52から一旦容器蓋2を離脱した後に再び容器蓋2を口頸部52に装着して口頸部52を密封した後に内容物が腐敗して発酵することによって、容器の内圧が過剰に上昇せしめられると、後述する実施例からも理解される如く、シェル4のスカート壁10に形成されている低強度領域36の低強度橋絡部34aが破断され、図2に二点鎖線で図示する如く低強度領域36において天面壁8及びその内面に配設されているライナー6が局部的に上方に変位せしめられて口頸部52から離隔せしめられ、かくして上昇した内圧が開放される。それ故に、過剰に上昇した内圧によって容器が破裂され或いは口頸部52から容器蓋2が飛翔せしめられることが充分確実に回避される。特異状況の発生に起因して容器内圧が急激に大幅に増大し、低強度橋絡部34aの破断に誘発されて高強度領域40の高強度橋絡部34c及び中強度領域42の中強度橋絡部34dも破断されたとしても、高強度領域38における高強度橋絡部34bは充分確実に破断されることなく維持され、シェル4の上方部分が他の部分から分離されて飛翔されることは確実に防止される。他方、例えば口頸部52が容器蓋2によって密封されている容器が倒立状態で落下せしめられ、容器蓋2に相当な衝撃が加えられたとしても、低強度領域36はその両側に存在する高強度領域40によって補強されている故に、低強度領域36の低強度橋絡部34aが破断されて口頸部52の密封が毀損されてしまうことは充分確実に回避される。
図4は本発明に従って構成された容器蓋の他の好適実施形態を図示している。図4に図示する容器蓋102においては、多数のスリットと多数の橋絡部とは、低強度領域136、この低強度領域136に対して直径方向反対側に位置する高強度領域138及び低強度領域136と高強度領域138との間に存在する中強度領域142を規定している。そして、低強度領域136が内圧開放ラインを構成している。
図1乃至図3に図示する実施形態の場合と同様に、低強度領域136は40乃至95度、好ましくは60乃至95度、の角度領域に渡って存在していることが重要である。そして、低強度領域136は、少なくとも1個、好ましくは4乃至6個、の低強度橋絡部134aと複数個のスリット132から構成されていることが重要である。図示の低強度領域136は5個の低強度橋絡部134aと6個のスリット132とから構成されている。低強度橋絡部134aの周方向幅waは0.5乃至0.9mm、特に0.60乃至0.85mmであるのが好適である。低強度領域136におけるスリット132の周方向長さ(幅)swは2.5乃至4.0mmであるのが好適である。
低強度領域136に対して直径方向反対側に位置する高強度領域138は25乃至180度、特に40乃至90度の角度範囲に渡って存在しているのが好適である。この高強度領域138にはスリット132が存在せず、高強度領域138は連続して延在する1個の高強度橋絡部134bによって規定されている。低強度領域136と高強度領域138との間に存在する中強度領域142は40乃至145度の角度範囲に渡って存在しているのが好適である。中強度領域142は複数個の中強度橋絡部134dと複数個のスリット132とから構成されている。中強度橋絡部134dの周方向幅wdは1.0乃至3.0mm、特に1.2乃至2.5mmであるのが好適である。中強度領域142におけるスリット32の周方向長さ(幅)swは、1.5乃至3.5mm程度でよい。
図4に図示する容器蓋102における上述した構成以外の構成は図1乃至図3に図示する容器蓋2と実質上同一でよい。
図4に図示する実施形態においても、容器蓋102を容器の口頸部に装着して口頸部を密封した状態において、例えば容器が過剰に加熱されることによって、或いは口頸部から一旦容器蓋102を離脱した後に再び容器蓋を口頸部に装着して口頸部を密封した後に内容物が腐敗して発酵することによって、容器内圧が過剰に上昇せしめられると、後述する実施例からも理解される如く、シェルのスカート壁110に形成されている低強度領域136の低強度橋絡部134aが破断され、図4に二点鎖線で図示する如く低強度領域136において天面壁及びその内面に配設されているライナーが局部的に上方に変位せしめられて口頸部から離隔せしめられ、かくして上昇した内圧が開放される。それ故に、過剰に上昇した内圧によって容器が破裂され或いは口頸部から容器蓋102が飛翔せしめられることが充分確実に回避される。特異状況の発生に起因して容器内圧が急激に大幅に増大し、低強度橋絡部136の破断に誘発されて中強度領域142の中強度橋絡部134dも破断されたとしても、高強度領域138における高強度橋絡部134bは充分確実に破断されることなく維持され、シェルの上方部分が他の部分から分離されて飛翔されることは確実に防止される。他方、例えば口頸部が容器蓋102によって密封されている容器が倒立状態で落下せしめられ、容器蓋102に相当な衝撃が加えられたとしても、低強度領域136はその両側に存在する中強度領域142によって補強されている故に、低強度領域136の低強度橋絡部134aが破断されて口頸部の密封が毀損されてしまうことは充分確実に回避される。
引張強度が215N/mmで厚さが0.25mmのアルミニウム基合金薄板から、図1乃至及び図2に図示するとおりの形態の呼び径38mmのシェルを形成した。次いで、かかるシェルの天面壁に軟化溶融状態の軟質ポリエチレンを供給し、図1に図示するとおりの形態のライナーを型押成形し、かくして図1及び図2に図示するとおりの形態の容器蓋を形成した。ライナーの外径は37.0mmであった。シェルの内圧開放ラインにおいて、低強度領域は66.7度の角度範囲に渡って存在し、かかる低強度領域には周方向幅が0.73mmである低強度橋絡部が4個存在し、低強度領域の直径方向反対側に位置する高強度領域は55度の角度範囲に渡って存在し、低強度領域の両側に位置する高強度領域は夫々20度の角度範囲に渡って存在し、中強度領域には周方向幅が1.4mmである中強度橋絡部が14個存在し、低強度領域及び中強度領域に存在するスリットの周方向幅は3.1mmであった。
三菱マテリアル株式会社から販売されている、内容積310mlで図1及び図3に図示するとおりの形態である呼び径38mmの口頸部(外巻カールの外径は33.5mmであった)を有するアルミニウム薄板製容器に、85℃のお湯を300ml充填し、次いで容器内圧が0.13±0.05MPaになるように液体窒素を滴下し、しかる後に図3に図示するとおりに上記容器蓋を容器の口頸部に装着して口頸部を密封し、次いで24時間放置し、かくしてサンプルAを作成した。
10個のサンプルAについて、次のとおりの手順で耐圧試験を遂行した。最初に手動によって容器蓋を口頚部から一旦離脱せしめた後に再び口頚部に螺着した。次いで、シェルの天面壁に先端部にガス充填孔を有する針を挿通して水槽内に没入せしめ、0.034MPa/秒の圧力上昇速度で窒素ガスを充填し、容器内圧が開放される内圧を測定した。最大値は0.93MPa、最小値は0.82MPa、平均値は0.88MPaであった。そして、内圧が開放された容器に装着されている容器蓋を観察したところ、シェルの内圧開放ラインを構成する低強度橋絡部が破断され、シェルの天面壁及びその内面に配設されているライナーが図3に二点鎖線で図示する如くに変形していた。
更に、10個のサンプルAについて、次のとおりの手順で30cm落下衝撃試験を遂行した。最初に、大和製罐株式会社から販売されている「非破壊式缶内圧計」によって容器胴部を通して容器内圧を測定した。次いで、鉛直に落下径路を通して倒立状態の容器を30cm自由落下せしめて、内圧開放ラインを構成する低強度領域の部位を、上面が傾斜角度10度の傾斜面である鉄製円柱部材に衝突せしめた。そして、24時間(1日)放置した後に上記「非破壊式缶内圧計」によって容器内圧を測定したが、内圧が減少したもの(即ち漏れが発生したもの)は皆無であった。
本発明に従って構成された容器蓋の好適実施形態を、一部を断面で示す正面図。 図1の容器蓋におけるシェルのスカート壁を示す展開図。 図1に示す容器蓋を容器の口頸部に装着した状態を、一部を断面で示す正面図。 本発明に従って構成された容易蓋の他の好適実施形態におけるシェルのスカート壁を示す展開図。
符号の説明
2:容器蓋
4:シェル
6:ライナー
8:天面壁
10:スカート壁
32:スリット
34:橋絡部
34a:低強度橋絡部
34b:高強度橋絡部
34c:高強度橋絡部
34d:中強度橋絡部
36:低強度領域
38:高強度領域
40:高強度領域
42:中強度領域
52:口頸部
102:容器蓋
110:スカート壁
132:スリット
134a:低強度橋絡部
134b:高強度橋絡部
134d:中強度橋絡部
136:低強度領域
138:高強度領域
142:中強度橋絡部

Claims (7)

  1. 引張強度が200乃至230N/mmである金属薄板から形成され、円形天面壁及び該天面壁の周縁から垂下する円筒形スカート壁を有するシェルと、該シェル内に配設された合成樹脂製ライナーとを具備し、該シェルの該スカート壁の上端部には周方向に延在する内圧開放ラインが配設されている容器蓋において、
    該内圧開放ラインは40乃至95度の角度範囲に渡って存在し、且つ周方向に間隔をおいて周方向に延びる複数個のスリットと該スリット間に位置する複数個の低強度橋絡部とから構成されている低強度領域から成る、ことを特徴とする容器蓋。
  2. 該低強度橋絡部の周方向幅は0.5乃至0.9mmである、請求項1記載の容器蓋。
  3. 該低強度領域に存在する該スリットの周方向長さは2.5乃至4.0mmである、請求項1又は2記載の容器蓋。
  4. 該低強度領域には4乃至6個の該低強度橋絡部が存在する、請求項1から3までのいずれかに記載の容器蓋。
  5. 該低強度領域に対して直径方向反対側に位置し25乃至180度の角度領域に渡って存在する高強度領域と、該低強度領域に隣接してその両側に位置し10乃至55度の角度範囲に渡って存在する高強度領域と、該高強度領域間に存在する2個の中強度領域とを含む、請求項1から4までのいずれかに記載の容器蓋。
  6. 該低強度領域に対して直径方向反対側に位置し25乃至180度の角度領域に渡って存在する高強度領域と、該低強度領域と該高強度領域との間に存在する2個の中強度領域とを含む、請求項1から4までにいずれかに記載の容器蓋。
  7. 該中強度領域は周方向に間隔をおいて周方向に延びる複数個のスリットと該スリット間に存在する中強度橋絡部とから構成されており、該中強度橋絡部の周方向幅は1.0乃至3.0mmである、請求項5又は6記載の容器蓋。
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