JP4707553B2 - プラスチゾル用表面処理炭酸カルシウム填料、その製造方法及び該填料を配合してなるプラスチゾル - Google Patents

プラスチゾル用表面処理炭酸カルシウム填料、その製造方法及び該填料を配合してなるプラスチゾル Download PDF

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Description

本発明は、プラスチゾル用表面処理炭酸カルシウム填料、その製造方法及び該填料を配合してなる樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、例えば、アクリル系プラスチゾルに使用した際には、優れた揺変性(チキソ性)、粘性、耐スリップ性、並びに高い密着性を付与することができるプラスチゾル用表面処理炭酸カルシウム填料、その製造方法、及びそれを配合してなるプラスチゾルに関するものである。
炭酸カルシウムは、プラスチゾル、プラスチック、塗料、インキ、シーラント、接着剤、紙、ゴム等の填料あるいは顔料として広く使用されている。例えば、シーラントにおいては、建設、自動車、床材等の分野で防水、シール等の目的で広く使用されている。例えば、湿気硬化型の一液型シーラントにおいては、炭酸カルシウム表面に吸着した水分で反応が進むため、配合の事前に乾燥して使用される。しかしながら、炭酸カルシウム表面が親水性の場合、水分除去率が悪く、貯蔵安定性が極端に悪化したり、発泡、クラックの原因になるため、水を呼び込みやすいアルカリ金属を除去する試みがなされてきた(例えば、特許文献1参照)。また、コンデンサーフィルムの絶縁性向上や、塗料、インキの耐水性向上のため、アルカリ金属を低減する検討がなされてきたように、アルカリ金属はとかく敬遠されてきた(例えば、特許文献2参照)。
一般的に、炭酸カルシウムを水系で脂肪酸あるいは脂肪酸のアルカリ金属塩で表面処理した場合、大部分がカルシウム石鹸化し、アルカリ金属塩として残存するものは一部であることは周知の事実である。脂肪酸のアルカリ金属塩がカルシウム石鹸化することで、疎水性が上がることから、脂肪酸のアルカリ金属塩を低減し、ひいてはアルカリ金属そのものを低減することが好ましいと考えられてきたが、もともと一部しか残存していないアルカリ金属塩と樹脂組成物の諸物性との関係についての研究は未だなされていないのが実情である。
例えば、プラスチゾルに関しては、炭酸カルシウム粒子を微細化し高粘性高チキソ性を得るもの(例えば、特許文献3参照)、炭酸カルシウムの表面コーティングを行う脂肪酸石鹸の脂肪酸組成を限定するなどして、耐スリップ性を得る試みがなされてきた(例えば、特許文献4参照)。
しかしながら、粒子を微細化すると凝集力が増大し、分散工程に多大な労力がかかるだけでなく、実用上において、樹脂・可塑剤との混練時の分散が困難になるため、微細化には限界がある。また、処理剤組成を限定することは、特定の処理剤組成のものを加える必要があり、コスト的に不利になるだけでなく、例えば、他の表面処理フィラーや、表面処理発泡剤などの添加品を加えることで、処理剤組成そのもののバランスが崩れるため、使用される添加剤に制約がかかるという問題点があった。
特許第3685031号公報 特開平11−349846号公報 特許第3650381号公報 特許第3623790号公報
本発明は、かかる実状に鑑み、プラスチゾルに使用した際には、優れた揺変性(チキソ性、粘性)、耐スリップ性、並びに高い密着性を発揮する表面処理炭酸カルシウム填料、その製造方法及びそれを配合してなるプラスチゾルを提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決せんとして鋭意検討を重ねた結果、表面処理剤量と表面処理炭酸カルシウムのアルカリ金属含有量を特定の値にコントロールしたプラスチゾル用表面処理炭酸カルシウム填料、及び該表面処理炭酸カルシウム填料を配合してなるプラスチゾルが所期の目的を達成することを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の請求項1は、脂肪酸系表面処理剤で処理された炭酸カルシウム1.0g当りの200〜500℃の熱減量TG(mg)と、該表面処理炭酸カルシウム1.0g当りの脂肪酸のアルカリ金属塩A(mg)との割合A/TGが30〜90重量%であり、且つ下記の式(I)及び(II)を満足することを特徴とするプラスチゾル用表面処理炭酸カルシウム填料を内容とする。
(I) 50≦N≦250 (μg/m2
(II) 1.0≦AS≦3.5 (mg/m2
N:次式により算出される表面処理炭酸カルシウムの単位比表面積当りのアルカリ金属含有量(μg/m2
P/SW
P:表面処理炭酸カルシウム1.0g当りのアルカリ金属含有量(μg/g)
SW:窒素吸着法によるBET比表面積(m2 /g)
AS:次式により算出される単位比表面積当りの表面処理剤量(mg/m2
TG/SW
本発明の請求項2は、脂肪酸系表面処理剤が、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、これらのアルカリ金属塩、これらのアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種であり、該脂肪酸系表面処理剤とアルカリ金属の水酸化物及び/又は水容性のアルカリ金属塩の存在下で湿式処理されたことを特徴とする請求項1記載の表面処理炭酸カルシウム填料である。
本発明の請求項3は、脂肪酸系表面処理剤が脂肪酸のアルカリ金属塩であり、該脂肪酸系表面処理剤で湿式表面処理されたことを特徴とする請求項1又は2記載の表面処理炭酸カルシウム填料である。
本発明の請求項4は、揺変性付与剤として用いられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面処理炭酸カルシウム填料である。
本発明の請求項5は、炭酸カルシウムスラリーを脱水した含水ケーキに脂肪酸系表面処理剤とアルカリ金属の水酸化物及び/又は水溶性のアルカリ金属塩の水溶液を添加して表面処理することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面処理炭酸カルシウム填料の製造方法である。
本発明の請求項6は、炭酸カルシウムスラリーを脱水した含水ケーキに脂肪酸系表面処理剤として脂肪酸のアルカリ金属塩で湿式表面処理することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面処理炭酸カルシウム填料の製造方法である。
本発明の請求項7は、含水ケーキの固形分が25〜80重量%であることを特徴とする請求項5又は6記載の表面処理炭酸カルシウム填料の製造方法である。
本発明の請求項8は、炭酸カルシウムスラリーに脂肪酸系表面処理剤とアルカリ金属の水酸化物及び/又は水溶性のアルカリ金属塩の水溶液を添加して表面処理することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面処理炭酸カルシウム填料の製造方法である。
本発明の請求項9は、炭酸カルシウムスラリーの固形分が10〜300gCaCO3 /Lであることを特徴とする請求項8記載の表面処理炭酸カルシウム填料の製造方法である。
本発明の請求項10は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面処理炭酸カルシウム填料を配合してなることを特徴とするプラスチゾルである。
本発明の表面処理炭酸カルシウム填料は、プラスチゾルに有用で、本発明の表面処理炭酸カルシウム填料を配合することによって、優れた揺変性(チキソ性)、粘性、耐スリップ性、高い密着性を有するプラスチゾルを提供することができる。
本発明のプラスチゾル用表面処理炭酸カルシウム填料は、脂肪酸系表面処理剤で処理された炭酸カルシウム1.0g当りの200〜500℃の熱減量TG(mg)と、該表面処理炭酸カルシウム1.0g当りの脂肪酸のアルカリ金属塩A(mg)との割合A/TGが30〜90重量%であり、且つ下記の式(I)及び(II)を満足することを特徴とする。
(I) 50≦N≦250 (μg/m2
(II) 1.0≦AS≦3.5 (mg/m2
N:次式により算出される表面処理炭酸カルシウムの単位比表面積当りのアルカリ金属含有量(μg/m2
P/SW
P:表面処理炭酸カルシウム1.0g当りのアルカリ金属含有量(μg/g)
SW:窒素吸着法によるBET比表面積(m2 /g)
AS:次式により算出される単位比表面積当りの表面処理剤量(mg/m2
TG/SW
一般に、炭酸カルシウムの表面処理は、乾式あるいは湿式処理で行われる。この際、表面処理剤として使用される飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、それらのアルカリ金属塩、それらのアルカリ土類金属塩は、炭酸カルシウムスラリー中のカルシウムイオンと反応し、一部は炭酸カルシウムの表面以外で沈殿したり、炭酸カルシウム表面で置換反応が行われたりし、大部分がアルカリ土類金属塩であるカルシウム石鹸となる。
このカルシウム石鹸は、疎水性が強く非極性溶媒と親和性が高くなるため、シーラントのようなポリウレタンや変性シリコーンのような液状樹脂組成物においては有効であるが、PVC樹脂やアクリル樹脂を使用するプラスチゾルにおいては、逆に親和性が低くなり、ブリードに伴うスリップ性の悪化や密着性の悪化などの問題点がある。
しかし、本発明者らは鋭意研究の結果、このカルシウム石鹸化を抑え、一部をアルカリ金属塩として炭酸カルシウム表面にコーティングすることで、PVC樹脂やアクリル樹脂との親和性を良好にし、結果として、スリップ性や密着性の改善に効果を発揮するだけでなく、カルシウム石鹸化した場合よりも、遥かに高い揺変性(チキソ性、粘性)、粘度付与効果を発揮することができることを見出し、本発明はかかる知見に基づいて完成されたものである。
本発明に用いられる表面処理剤としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、これらのアルカリ金属塩、これらのアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の脂肪酸系表面処理剤が用いられ、これらは脂肪酸のアルカリ金属塩を特定の範囲にコントロールするために、アルカリ金属の水酸化物及び/又は水容性のアルカリ金属塩の存在下で湿式処理される。
本発明に用いられる飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸については特に制限はなく、具体的には、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラギン酸に代表される飽和脂肪酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リシノール酸に代表される不飽和脂肪酸、またこれらが混合された、牛脂や豚脂などの動物原料由来の脂肪酸、パームやヤシなどの植物原料由来の脂肪酸など、およびそれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が挙げられる。
ここで言う、アルカリ金属塩とは、Na、K等のアルカリ金属石鹸が挙げられる。またアルカリ土類金属塩としては、Ag、Al、Ba、Ca、Mg、Sr、Zn、等の金属石鹸が挙げられる。
通常、アルカリ土類金属としてはCa塩が一般的であるが、本発明に差し障りの無い範囲で、水酸化マグネシウムや、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等の金属水酸化物を添加し、カルシウム塩の代わりにこれらの金属塩として生成させることも可能である。
また、本発明に差し障りの無い範囲で、ナフテン酸に代表される脂環族カルボン酸、アビエチン酸、ピマル酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸に代表される樹脂酸及びこれらの不均化ロジン、水添ロジン、2量体ロジン、3量体ロジンに代表される変成ロジン、アルキルベンゼンスルホン酸に代表されるスルホン酸類およびそれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、さらには次アニオン性、カチオン性、ノニオン性の界面活性剤を単独であるいは2種類以上組み合わせて使用することも可能である。
尚、上記の処理剤を併用した場合、上記熱減量TGから上記の処理剤分を除外して算出する必要がある。
本発明に用いられるアルカリ金属の水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ、また、水溶性のアルカリ金属塩としては、アルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素塩、硝酸塩、硫酸塩、塩化物等が挙げられ、中でもアルカリ金属の炭酸塩、水酸化物が好ましいが、特に、ナトリウム、カリウムの水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩が好適である。
本発明に用いられる炭酸カルシウムは、所望のゾル組成物の物性によって選択されるべきで特に制限されるものではない。例えば、石灰石を原料とし粉砕・分級により所望の粒度とするいわゆる重質炭酸カルシウム、炭酸塩溶液とカルシウム塩溶液を反応させて製造する溶液法炭酸カルシウム等、目的に応じて適宜選択可能であるが、特に一次粒子径として微細なものができやすく、且つ熟成や粉砕によって2次粒子の分散状態をコントロールすることが容易な沈降性炭酸カルシウムが最適である。
沈降性炭酸カルシウムの製法としては、石灰石を一旦焼成し生石灰とし、それを水和することにより調整した消石灰の水スラリー中に炭酸ガスを導入して合成する方法や、炭酸ガス雰囲気中に消石灰スラリーを噴霧し合成する方法等が一般的で、更に前述の方法で得られた炭酸カルシウムスラリーを所定のpH・温度域で撹拌熟成させる方法や、オートクレーブ等の加圧容器で高温を加えて熟成させる方法など適宜選択可能であるが、特に石灰石を一旦焼成し生石灰とし、それを水和することにより調整した消石灰の水スラリー中に炭酸ガスを導入して合成する方法が好ましい。
また、沈降性炭酸カルシウムとしては、一次粒子径が0.01〜0.15μmであることが好ましく、より好ましくは0.02〜0.10μm、更に好ましくは、0.03〜0.08μmである。また、BET比表面積SWは、好ましくは5〜100(m2 /g)、より好ましくは10〜75(m2 /g)、更に好ましくは15〜50(m2 /g)である。
BET比表面積SWは、窒素吸着法により測定され、また、一次粒子径は走査型電子顕微鏡(SEM)により求められる。一次粒子径が、0.01μmより小さく、BET比表面積が100m2 /g以上になると凝集力が強くなりすぎて分散させることが困難となるばかりか、表面コーティングする処理剤量も多くなるため好ましくない。一方、一次粒子径が0.15μmより大きく、BET比表面積が5以下になると、十分な粘性・チキソ性を付与することが困難となる場合があるので好ましくない。
本発明の炭酸カルシウム填料の製造方法は、炭酸カルシウムスラリー又は該スラリーを脱水した含水ケーキに、表面処理剤とアルカリ金属の水酸化物及び/又は水溶性のアルカリ金属塩を添加して湿式表面処理する方法、含水ケーキに表面処理剤としてアルカリ金属塩を添加して湿式表面処理する方法が好ましく、以下、これらの好ましい方法について詳細説明する。
第1の方法としては、炭酸カルシウムスラリーを脱水し、含水量を少なくすることによって達成することができる。
具体的には、含水量が少なくなるので、表面処理剤を均一に混合できるニーダー等の混練機で混練しながら、表面処理剤を投入し表面処理する方法が挙げられる。この場合、表面処理剤をアルカリ金属塩として残存させるためには、あらかじめ炭酸カルシウムスラリー中にアルカリ金属の水酸化物及び/又は水溶性のアルカリ金属塩を添加した上で脱水し、ニーダー混練時に表面処理剤を加えてもよいし、また、ニーダー混練時に、アルカリ金属の水酸化物及び/又は水溶性のアルカリ金属塩の水溶液と表面処理剤を同時に加えてもかまわない。
また、含水ケーキの場合は、既に脱水されているので脱水時に表面処理剤が流れ出ることがなく、従って、表面処理剤として脂肪酸のアルカリ金属塩を添加するだけで所定の脂肪酸のアルカリ金属塩量を達成することができる。具体的には、含水ケーキの混練時に、脂肪酸のアルカリ金属塩をお湯に溶かした上で加えてもよいし、直接脂肪酸のアルカリ金属塩(脂肪酸石鹸)を投入してもよいが、この場合、混練時に加熱する方がコーティング状態が均一になるため好ましい。その後、常法により乾燥・粉末化仕上げを行う。
炭酸カルシウムの含水ケーキの固形分としては特に制約はないが、25〜80重量%が好ましく、より好ましくは30〜75重量%、更に好ましくは35〜70重量%である。固形分が低すぎると、十分に混練できないばかりか乾燥コストもかかり、逆に固形分が高すぎると混練するのに莫大なエネルギーが必要になるだけでなく、均一に表面処理することが困難になるため好ましくない。
第2の方法としては、炭酸カルシウムスラリー中に、アルカリ金属の水酸化物及び/又は水溶性のアルカリ金属塩の水溶液を投入した上で、表面処理剤を投入し表面処理する方法がある。使用する表面処理剤の融点以上に加熱した炭酸カルシウムスラリー中に表面処理剤を直接投入してもよいし、脂肪酸石鹸をお湯に溶かした脂肪酸石鹸水溶液を加えてもかまわない。その後、常法により、脱水・乾燥・粉末化仕上げを行う。
第3の方法としては、アルカリ金属の水酸化物及び/又は水溶性のアルカリ金属塩の水溶液を、使用する表面処理剤の融点以上に加熱し、そこに、表面処理剤を溶解させ、水溶性アルカリ金属塩・脂肪酸のアルカリ金属塩混合水溶液を調整する。この水溶性アルカリ金属塩・脂肪酸のアルカリ金属塩混合水溶液を、炭酸カルシウムスラリーに加える方法でもかまわない。その後、常法により、脱水・乾燥・粉末化仕上げを行う。
炭酸カルシウムスラリーの固形分としては、一般的に調整される濃度でかまわないが、炭酸カルシウムの固形分は、10〜300gCaCO3 /Lが好ましく、より好ましくは20〜250gCaCO3 /L、更に好ましくは30〜200gCaCO3 /Lである。10gCaCO3 /Lより薄すぎると、脂肪酸のアルカリ金属塩のカルシウム化を抑制するアルカリ金属塩の添加量を増やす必要があり、また、生産性の面で不利になる。一方、300gCaCO3 /Lより高いと水スラリーの粘度が高くなり作業性が悪くなる。
また、脂肪酸のアルカリ金属塩もしくは水溶性アルカリ金属塩・脂肪酸のアルカリ金属塩混合水溶性の濃度は、0.5〜30%(酸換算)が好ましい。0.5%より低いと多量の水が必要となり生産性の面で不利となり、一方、30%より高いと水溶性アルカリ金属塩・脂肪酸のアルカリ金属塩混合水溶性の粘度が高くなり、均一に溶解されにくくなるため処理状態が悪くなるおそれがある。
水溶性アルカリ金属塩のうち、塩化物塩は物性上問題はないが、残存する塩素によって、使用する機器に錆びを発生さる原因となり、また硝酸塩のように分子量が大きなものになると、効果があるのはアルカリ金属部分であるため、十分な効果を得るためには、添加量が多くなりすぎコスト的に不利になるため好ましくない。
また、アルカリ金属としては、ナトリウムに限定されたものではなく、カリウムでも同様の効果は得られるが、工業的にカリウム塩よりもナトリウム塩の方がコスト的に有利になる場合が多いため、ナトリウムの方が好適である。
第1、2、3の方法に共通する部分は、表面処理時の系内のアルカリ金属濃度を高くすることにある。アルカリ金属濃度を高くすることによって、脂肪酸石鹸の解離を抑え、表面処理剤の副分解反応を抑制すると推測でき、結果として、カルシウム石鹸等の金属石鹸の生成を抑制することで、脂肪酸のアルカリ金属塩の残存割合を増加させながら炭酸カルシウムに均一に表面処理することができる。
したがって、最適なアルカリ金属の添加量は、製法や炭酸カルシウムの比表面積、処理量等により異なるが、第1の製法による場合、表面処理後の脱水工程が無いため、添加したアルカリ金属塩がそのまま表面処理炭酸カルシウムに残存することになるため、上記(I)式を満足するように添加すれば良いが、過剰に添加すると最終的な物性に悪影響を及ぼす可能性があるため脂肪酸を中和するだけの量があればよく、逆に少なすぎると本発明の目的である脂肪酸のアルカリ金属塩の残存割合を増加させる効果が得られない。したがって、アルカリ金属の水酸化物及び/又は水溶性のアルカリ金属塩の添加量は、使用する脂肪酸のmol比に対して、0.3〜1.1molが適当である。
また、第2、3の製法による場合、炭酸カルシウムスラリーを脱水している第1の製法に比べて系内の炭酸カルシウム濃度が希薄なため、脂肪酸のアルカリ金属塩の解離を抑え、カルシウム石鹸の生成を抑制するためには、第1の製法よりも多くのアルカリ金属が必要となる。
第2、3の製法の場合、最適なアルカリ金属の添加量は、製法や炭酸カルシウムの比表面積、処理量等により異なるのは無論であるが、元となる炭酸カルシウムスラリーの固形分によっても添加量が異なるため、一概には言えないが比表面積が大きいほど、表面処理剤量が多いほど、炭酸カルシウムスラリーの濃度が薄いほど、アルカリ金属の添加量は多くなる。
上記のごとくして得られる表面処理炭酸カルシウムは、該表面処理炭酸カルシウム1.0g当りの200〜500℃の熱減量TG(mg)と、該表面処理炭酸カルシウム1.0g当りの脂肪酸のアルカリ金属塩A(mg)との割合A/TGが30〜90重量%であり、且つ下記の式(I)及び(II)式を満足することが必要である。
(I) 50≦N≦250 (μg/m2
(II) 1.0≦AS≦3.5 (mg/m2
N:次式により算出される表面処理炭酸カルシウムの単位比表面積当りのアルカリ金属含有量(μg/m2
P/SW
P:表面処理炭酸カルシウム1.0g当りのアルカリ金属含有量(μg/g)
SW:窒素吸着法によるBET比表面積(m2 /g)
AS:次式により算出される単位比表面積当りの表面処理剤量(mg/m2
TG/SW
上記A/TGが30%未満では本発明の効果が得られないため、高いほど好ましいのは勿論であるが、この割合を100%にすることは未だ達成できておらず、また90%を超えるためには、前述のアルカリ金属の水酸化物や水溶性アルカリ金属塩が多量に必要となり、コスト的に不利になるだけでなく、これらが残存することで最終物性に悪影響を及ぼす可能性もある。したがって、A/TGは、30〜90%であれば良いが、好ましくは40〜85%、より好ましくは50〜80%、最も好ましくは60%〜80%である。
熱減量(TG)(mg)に対する脂肪酸のアルカリ金属塩A(mg)を測定するには、一般的な抽出方法によって測定することが可能である。下記のその1例を記載する。
本発明に用いられる表面処理剤、即ち、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、それらのアルカリ金属塩、それらのアルカリ土類金属塩で表面処理された炭酸カルシウムにおいて、脂肪酸のアルカリ土類金属塩は95%エタノール溶媒に不溶であるが、脂肪酸及びそのアルカリ金属塩は95%エタノール溶媒に可溶であるため、95%エタノール溶媒を用いた抽出法によって測定することが可能である。抽出物を中和することによって、脂肪酸と脂肪酸のアルカリ金属塩の割合を測定することができる。
以下に具体的な方法を示す。
(1) 300ml三角フラスコに、試料5.0g、95%エタノール80gを取る。
(2) 90℃以上のウォーターバス上で、1時間還流させ処理剤を抽出する。
(3) 20℃で十分冷却後、0.5μm以下のテフロン(登録商標)フィルターで吸引濾過する。
(4) 上記(3) で得られた濾液を乾燥・定量済みの200mlビーカーに取り、90℃以上のウォーターバス上で、蒸発乾固させ溶剤を除去する。(4) の重量が、表面処理剤中の脂肪酸及び脂肪酸のアルカリ金属塩の総量となる。
(5) イソプロピルアルコールにフェノールフタレインを数滴入れ、KOHでピンクになる程度の微アルカリに調整したものを25ml、(4) の溶剤除去したビーカーに取り、ウォーターバス上で乾固物を十分に溶解させる。
(6) 上記(5) を0.1NのKOHでピンク色の微アルカリになるまで滴定する。(6) の適定量から求められるものが、表面処理剤中の脂肪酸のmol数であり、別途測定しておいたGC−MSによるアルキル組成分析によって測定した平均分子量(Mw)から、脂肪酸の重量を算出する。
(4) 、(6) ともに表面処理炭酸カルシウム5.0g当たりの重量であるから、1/5倍することで、表面処理炭酸カルシウム1.0gあたりの重量を算出する。「((4) の重量−(6) の重量)/5」によって、表面処理炭酸カルシウム1.0g当りの脂肪酸のアルカリ金属塩の重量Aを求めることができる。
(6) で得られた、脂肪酸のアルカリ金属塩の重量Aと、別途測定したTGの値とから、式「A/TG×100」によって、TGに対する脂肪酸のアルカリ金属塩Aの割合(重量%)を求めることができる。
また、上記(I)式は、表面処理炭酸カルシウムの単位比表面積当りのアルカリ金属含有量N(μg/m2 )、上記(II)式は、単位比表面積当りの表面処理剤量AS(mg/m2 )を示すものである。
(I)式は表面処理炭酸カルシウムの単位比表面積当りのアルカリ金属含有量Nであり、脂肪酸のアルカリ金属塩の割合が多くなれば、必然的に増加するものであるが、Nが多いからと言って脂肪酸のアルカリ金属塩の割合が多くなるとは限らず、Nが250(μg/m2 )を超えると、異常発泡の原因となったりプラスチゾルの貯蔵安定性に悪影響を及ぼす可能性があるため好ましくなく、一方、これより少なすぎると本発明の効果が十分に発揮されない場合がある。したがって、表面処理炭酸カルシウムの単位比表面積あたりのアルカリ金属含有量Nは、50〜250(μg/m2 )であるが、好ましくは60〜225(μg/m2 )、より好ましくは70〜200(μg/m2 )である。
尚、Nは下記試験方法により測定されたアルカリ金属含有量である。
[試料の調整方法]
ルツボに試料1gを秤量し、マッフル炉(NMF−120、増田理化工業社製)に入れ、300℃で2時間焼く。デシケータで常温まで冷却した後、200mlのビーカーに試料を入れ、蒸留水を60ml注ぐ。続いて1.38規定の硝酸(有害金属測定用硝酸(1.38)、和光純薬工業株式会社製)を7.5ml投入した後、時計皿でフタをし、電熱ヒーターで煮沸させる。これを常温で冷却させた後、100mlのメスフラスコに入れ、蒸留水で100mlにメスアップして測定試料とする。
[アルカリ金属含有量の測定方法]
原子吸光分光光度計(AA−6700F、島津製作所社製)にてナトリウム(Na),カリウム(K)等のアルカリ金属を測定する。
(II)式は、単位比表面積当りの表面処理剤量ASであり、ASが3.5(mg/m2 )を超えると、A/TGの割合は増加することになるが、樹脂組成物と配合した際に表面処理剤が樹脂成分あるいは可塑剤成分に遊離し、密着性悪化の原因となる可能性があり、一方、1.0(mg/m2 )未満では該炭酸カルシウム表面を、表面処理剤で十分にコーティングすることができなくなり、乾燥・粉末化時に2次凝集を形成してしまい、該炭酸カルシウムとしての効果が十分に発揮できなくなる場合もあるため好ましくない。したがって、単位比表面積当たりの表面処理剤量ASは、1.0〜3.5(mg/m2 )であるが、好ましくは1.3〜3.0(mg/m2 )、より好ましくは1.5〜2.5(mg/m2 )である。
尚、本発明における、TGは下記試験方法により測定される。
[熱減量の測定方法]
熱分析装置(TG8110、リガク社製)を用い、直径10mmの試料パン(白金製)に表面処理炭酸カルシウム100mgを採取し、昇温速度15℃/minで常温から510℃まで昇温させたときの200℃〜500℃の熱減量を測定し、表面処理炭酸カルシウム1.0g当たりの熱減量(mg/g)を求める。
また、本発明において、SWは下記試験方法により測定される。
[試料の調整方法]
ガラスセルに試料を300mg仕込み、フローデガッサーにて窒素を導通させながら180℃で1時間前処理を行った後、常温で冷却して測定試料とする。
[BET比表面積の測定方法]
BET比表面積計(NOVA2000、ユアサアイオニクス社製)にて1点法にて測定を行う。
本発明の表面処理炭酸カルシウム填料は、分散性に優れていることからプラスチゾルに使用することで、優れた揺変性(チキソ性、粘性)及び耐スリップ性、並びに高い密着性を付与することができ、特に揺変性付与剤として有用である。例えば、本発明の表面処理炭酸カルシウム填料を配合してなるアクリル系プラスチゾルにおいては、アクリル重合体粒子、可塑剤、充填材で構成されているが、ブロック型ウレタン樹脂および硬化剤を配合することもでき、それ以外に、従来から公知の他の添加剤、例えば、着色剤、酸化防止剤、発泡剤、希釈剤、紫外線吸収剤等を配合することができる。
アクリル系プラスチゾルを構成するアクリル重合体粒子としては、通常アクリル系プラスチゾルの組成物として用いられるいかなるアクリル系重合体粒子も使用可能である。例えば、アクリル酸アルキルエステルや、メタクリル酸アルキルエステル等から選ばれるモノマーの単独重合体や共重合体を使用することができる。これらのモノマーとして、具体的には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、オクチルメタアクリレート、デシルメタアクリレート、ヒドロキシメタエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタアクリレート等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用される。中でもコア/シェル構造を有する重合体粒子が、貯蔵安定性やゲル速度の調整の簡便さから好適に用いられる。例えば、コア部はアルキルアクリレートやヒドロキシアクリレート、アルキルメタアクリレートやヒドロキシメタアクリレートの単独重合体、これらの共重合体、さらに、これらとアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、スチレン等との共重合体から可塑剤に対し相溶性に形成され、シェル部はメチルメタクリレート単独重合体や、メチルメタクリレートとアルキルアクリレートやヒドロキシアクリレート、アルキルメタアクリレート、ヒドロキシメタアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、スチレン等との共重合体から可塑剤に対し不相溶性に形成されたものが挙げられる。
また、アクリル系プラスチゾルを構成する可塑剤としては、フタル酸エステル、リン酸エステル、アジピン酸エステル、セバチン酸エステル系可塑剤など、公知の可塑剤を使用することができる。フタル酸エステル系可塑剤としては、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジヘキシルフタレート(DHP)、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)、ブチルベンジルフタレート(BBP)、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジノニルフタレート(DNP)等、リン酸エステル系可塑剤としては、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリキシリレンホスフェート(TXP)等、アジピン酸エステル系可塑剤としては、ジオクチルアジペート(DOA)、ジイソデシルアジペート(DIDA)等、セバチン酸エステル系可塑剤としてはジブチルセバケート(DBS)、ジオクチルセバケート(DOS)等が例示でき、また、エポキシ化大豆油等のエポキシ系可塑剤、安息香酸系可塑剤、ポリエステル系可塑剤など、これらを1種または2種以上を組み合わせて使用することも可能であるが、特にフタル酸系可塑剤が好ましい。
更に、本発明においては、必要によりスプレー作業性の改善などの点から沸点が150〜250℃の低沸点可塑剤、例えば石油系炭化水素(パラフィン系、ナフテン系、芳香族系)可塑剤などを配合することができる。
なお、充填材としては、本発明の充填材以外に、本発明に差し障りの無い範囲で、沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、コロイド状シリカ、タルク、カオリン、ゼオライト、樹脂バルーン、ガラスバルーン等の一般的な充填材を併用しても良い。
アクリル系プラスチゾルには、ブロック型ウレタン樹脂を配合することが好ましく、ブロック型ウレタン樹脂としては、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール等のポリオールと、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、1,3−ビスシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、m−イソプロペニルジメチルベンジルイソシアネート等のイソシアネートとを反応させることで得られるウレタン樹脂を、オキシムやアミン等のブロック剤を用いてブロックしたウレタン樹脂や、ジイソシアネート重合物のオキシベンゾイックエステル、又はアルキルフェノールブロック体、ジイソシアネート重合物のヌレート環形成体等の1種または2種以上の組み合わせ等が好適に用いられる。
着色剤としては、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック等の無機顔料、アゾ系、フタロシアニン系等の有機顔料等を使用することができる。酸化防止剤としては、例えばフェノール系やアミン系等の酸化防止剤を使用することができる。発泡剤としては、加熱によりガスを発生するタイプの発泡剤を使用することができ、例えばアゾジカルボンアミド、アゾビスホルムアミド等のアゾ系発泡剤が使用できる。希釈剤としては、例えばキシレン、ミネラルターペン等の溶剤等が使用できる。紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール系等を使用することができる。
本発明の表面処理炭酸カルシウム填剤と、これらの樹脂との配合割合は特に限定されず、樹脂の種類や用途、所望の物性に応じて適宜決定すればよく、さらに、上記したようなその他の充填材、可塑剤、安定剤等の各種添加剤を添加しても良いことは勿論である。例えば、アクリル系プラスチゾルの場合、樹脂100重量部に対して、通常、10〜300重量部、好ましくは20〜250重量部、さらに好ましくは30〜200重量部程度である。
また、塩化ビニル系プラスチゾルの場合、塩化ビニル系樹脂をベースポリマーとし、これに有機発泡剤、必要により発泡助剤と、充填剤と、可塑剤と、密着成分とを配合し、更に必要により吸湿剤、安定剤、着色剤等を配合することができる。
塩化ビニル系プラスチゾルを構成する塩化ビニル系樹脂(PVC)としては、塩化ビニルのホモポリマー、塩化ビニルを主体とし、これに他の共重合し得るモノマー、例えば酢酸ビニル等とのコポリマー(塩化ビニル含有量50重量%以上、特に70重量%以上)の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
この場合、PVCとしては、平均粒径が5μm以下、好ましくは3μm以下、更に好ましくは1.5μm以下のものが望ましい。平均粒径が5μmを超える粒径の大きいPVCの使用は、耐チッピング性を低下させると共に、発泡面において異常発泡が生じ、外観面上好ましくない場合が生じる。また、PVCとしては、上記平均粒径の範囲において、その粒度分布が2個のピークを有するものが、膨潤ゲル化性が良好で、作業性及び得られる発泡PVCの物性の点から好適に用いられる。なお、ここでいう粒度分布が2個のピークを有するPVCは、互いに異なる平均粒径を有する2種のPVCを混合したものとは異なり、粒径の小さい1次粒子の一部を製造工程中で凝集させて2次粒子を得たもので、粒径の小さい1次粒子とそれを凝集させて得た2次粒子が混在することにより、粒度分布上、2つのピークを有するものである。
更に、PVCとしては、平均重合度が2500以下、好ましくは2000以下、更に好ましくは1900以下のものが望ましい。平均重合度が高すぎるものは、耐チッピング性能等の発泡PVCの物性が低下するおそれがある。なお、平均重合度の下限は通常500、好ましくは850、更に好ましくは1000である。
上記コポリマーとしては、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマーが膨潤ゲル化性の点から好適に使用されるが、この塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマーにおいて、酢酸ビニル含有量が1〜15重量%、特に3〜10重量%のものが好ましい。この場合、塩化ビニルホモポリマーは金属表面の密着性が塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマーに比べて幾分劣り、一方塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマーは可塑剤に対する膨潤ゲル化性が良好で、加熱により密着性良好となるものの、コストが高く、従って両者を併用することが好ましい。併用割合は適宜選定されるが、塩化ビニルホモポリマー:塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー=4:1〜1:4(重量比)とすることが好ましい。
また、コポリマーとして、−CH2 ROH基をもつ架橋性コポリマーを使用することもできる。これは、そのOH基が後述する密着成分としてのブロックイソシアネートと加熱時に反応し、ウレタン結合を生成して、密着性、耐水性を向上させる。
塩化ビニル系プラスチゾルを構成する有機発泡剤としては、加熱によりガスを発生するタイプの発泡剤を使用することができ、例えば4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジッド(OBSH)が好適に使用し得、p−トルエンスルホニルアジド、p−メチルウレタンベンゼンスルホニルヒドラジッドなどを使用することができる。また、発泡剤混合物としては、OBSHとアゾジカルボンアミド(ADCA)との混合物などを好適なものとして挙げることができる。
塩化ビニル系プラスチゾルを構成する発泡助剤としては、公知のものを使用することができ、各種の金属酸化物(例えば酸化亜鉛、酸化マグネシウム等)、金属石けん(例えばステアリン酸亜鉛)、尿素化合物、アミン等が挙げられる。なお、このような発泡助剤は、同時に他の目的を兼ねて配合することができる。
なお、充填剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、珪藻土、シリカ、タルク等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また必要により、ガラスバルーン、樹脂バルーン等の中空粒子を配合することもできる。
塩化ビニル系プラスチゾルを構成する可塑剤としては、フタル酸エステル系可塑剤又は安息香酸エステル系可塑剤の1種又は2種以上とトリメリット酸エステル系可塑剤又はポリエステル系可塑剤の1種又は2種以上とを使用することができる。フタル酸エステル系可塑剤としては、ジブチルフタレート(DBP)、ジヘキシルフタレート(DHP)、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジ−n−オクチルフタレート(DnOP)、ジイソオクチルフタレート(DIOP)、ジデシルフタレート(DDP)、ジノニルフタレート(DNP)、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)、C6 〜C10混合高級アルコールフタレート、ブチルベンジルフタレート(BBP)、オクチルベンジルフタレート、ノニルベンジルフタレート、ブチルフタールブチルグリコレート(BPBG)等が挙げられ、安息香酸エステル系可塑剤としては、ジプロピレングリコールベンゾエート、N−ブチルベンゾエート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールイソブチレートベンゾエート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジベンゾエート等が挙げられる。また、トリメリット酸エステル系可塑剤としては、トリ−(2−エチルヘキシル)トリメリテート(TOTM)、トリ−n−オクチルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテート、トリイソオクチルトリメリテート等が挙げられる。ポリエステル系可塑剤としては、大豆油等の不飽和脂肪酸グリセライドの二重結合を過酸化水素や過酢酸でエポキシ化したもの(ESBO)、ブチル又はオクチルのアルキルオレイン酸エステル等のエポキシ化合物などのエポキシ化植物油、アジピン酸のような二塩基酸のプロピレングリコールエステル単位を数個乃至は十数個直鎖状に連結した平均分子量500〜8000程度の粘稠な低重合度ポリエステル等が挙げられ、特に平均分子量が500〜2200のアジピン酸ポリエステル、フタル酸系ポリエステル(フタル酸とアルキレングリコールとのオリゴエステル、その末端アルカノール、アルカン又はアルケン酸変性物)が好適である。
可塑剤としては、上記以外に、更に他の可塑剤を配合することができる。他の可塑剤としては、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリオクチルホスフェート(TOF)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、モノオクチルジフェニルホスフェート、モノブチル−ジキシレニルホスフェート(B−Z−X)等のリン酸エステル類、フェノール系アルキルスルホン酸エステル、更にはジオクチルアジペート(DOA)、ジオクチルアゼレート(DOZ)、ジオクチルセバケート(DOS)等の直鎖二塩基酸エステル類、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノ又はジイソブチレートや、トリブチル・クエン酸エステル、トリオクチル・アセチルクエン酸エステル、C6 〜C10脂肪酸のトリ又はテトラエチレングリコールエステル、メチルアセチルリシノレート等の上記以外のエステル系可塑剤、ニトリル系合成ゴム、塩素化物及び石油補助可塑剤などを挙げることができる。
更に、本発明においては、必要によりスプレー作業性の改善などの点から沸点が150〜250℃の低沸点可塑剤、例えば石油系炭化水素(パラフィン系、ナフテン系、芳香族系)可塑剤などを配合することができる。
塩化ビニル系プラスチゾルには、密着成分としてポリアミドアミン、ブロックイソシアネートを組み合わせて用いることができ、これにより発泡PVC塗膜の基材に対する密着性を向上させることができ、特にポリアミドアミンとブロックイソシアネートとを併用すると耐水性、耐腐食性が顕著に改善されると共に、騒音防止性も著しく改善される。これは、ポリアミドアミンとブロックイソシアネートとが架橋してウレタン結合が生じ、PVC塗膜に柔軟性、弾力性が付与され、衝撃吸収性が向上し、音評価面で優れた効果が与えられるためと考えられる。
塩化ビニル系プラスチゾルには、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の吸湿剤を配合することができ、ゾル中の水分をキャッチして水分による発泡を防止し、発泡PVCの耐水性、耐腐食性を向上させることができ、更に、ジブチルすずラウレート系、亜鉛系有機複合剤等のPVC安定剤を気泡調整剤として配合することができる。その他、着色剤として、カーボンブラック、酸化チタン、カドミウムイエロー、フタロシアニンブルー等の顔料を用いることができる
本発明の表面処理炭酸カルシウム填剤と、これらの樹脂との配合割合は特に限定されず、樹脂の種類や用途、所望の物性に応じて適宜決定すればよく、さらに、上記したようなその他の充填材、可塑剤、安定剤等の各種添加剤を添加しても良いことは勿論である。塩化ビニル系プラスチゾルの場合、樹脂100重量部に対して、通常、160〜500重量部、好ましくは180〜450重量部、さらに好ましくは200〜400重量部程度である。
以下に実施例、比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、これらに何ら制限されるものではない。
尚、以下の記載において、特に断らない限り、%は重量%、部は重量部を意味する。
[炭酸カルシウム合成1]
温度12℃、濃度7.8%の石灰乳に水酸化カルシウム1kg当たり5000L/hrの30%炭酸ガスを導入し、pHが8になった時点で炭酸ガスの導通を停止し、炭酸カルシウムを合成した。次いで、この炭酸カルシウムスラリーに、炭酸カルシウム固形分に対して0.5%の水酸化ナトリウムを添加した上で、温度85〜90℃で12時間撹拌熟成を行うことにより、BET比表面積7.52m2 /g、固形分濃度10.0%の炭酸カルシウムスラリーを得た。
尚、水酸化ナトリウム(和光純薬(株)社製 一級試薬)は、25%水溶液にしたものを使用した。
[炭酸カルシウム合成2]
温度12℃、濃度11.2%の石灰乳に水酸化カルシウム1kg当たり5000L/hrの30%炭酸ガスを導入し、pHが10になった時点で炭酸ガスの導通を停止し、炭酸カルシウムを合成した。次いで、この炭酸カルシウムスラリーを温度50〜55℃で50時間撹拌熟成を行った後、pH7になるまで炭酸ガスを導通することにより、BET比表面積14.2m2 /g、固形分濃度14.1%の炭酸カルシウムスラリーを得た。
[炭酸カルシウム合成3]
温度12℃、濃度9.6%の石灰乳に水酸化カルシウム1kg当たり5000L/hrの30%炭酸ガスを導入し、pHが10になった時点で炭酸ガスの導通を停止し、炭酸カルシウムを合成した。次いで、この炭酸カルシウムスラリーを温度50〜55℃で23時間撹拌熟成を行った後、pH7になるまで炭酸ガスを導通することにより、BET比表面積18.9m2 /g、固形分濃度12.0%の炭酸カルシウムスラリーを得た。
[炭酸カルシウム合成4]
温度12℃、濃度7.8%の石灰乳に水酸化カルシウム1kg当たり5000L/hrの30%炭酸ガスを導入し、pHが10になった時点で炭酸ガスの導通を停止し、炭酸カルシウムを合成した。次いで、この炭酸カルシウムスラリーを温度120〜125℃のオートクレープで2時間撹拌熟成を行った後、pH7になるまで炭酸ガスを導通することにより、BET比表面積17.0m2 /g、固形分濃度10.0%の炭酸カルシウムスラリーを得た。
[炭酸カルシウム合成5]
温度12℃、濃度9.6%の石灰乳に水酸化カルシウム1kg当たり5000L/hrの30%炭酸ガスを導入し、pHが10になった時点で炭酸ガスの導通を停止し、炭酸カルシウムを合成した。次いで、この炭酸カルシウムスラリーを温度50〜55℃で12時間撹拌熟成を行った後、pH7になるまで炭酸ガスを導通することにより、BET比表面積23.7m2 /g、固形分濃度11.9%の炭酸カルシウムスラリーを得た。
[炭酸カルシウム合成6]
温度10℃、濃度8.8%の石灰乳に水酸化カルシウム1kg当たり10000L/hrの30%炭酸ガスを導入し、pHが10になった時点で炭酸ガスの導通を停止し、炭酸カルシウムを合成した。次いで、この炭酸カルシウムスラリーを温度50〜55℃で2時間撹拌熟成を行った後、pH7になるまで炭酸ガスを導通し、更に10時間撹拌熟成を行うことより、BET比表面積30.0m2 /g、固形分濃度11.4%の炭酸カルシウムスラリーを得た。
[炭酸カルシウム合成7]
温度10℃、濃度7.8%の石灰乳に水酸化カルシウムに対して1.0%のクエン酸を添加した上で、水酸化カルシウム1kg当たり10000L/hrの30%炭酸ガスを導入し、pHが10になった時点で炭酸ガスの導通を停止し、炭酸カルシウムを合成した。次いで、この炭酸カルシウムスラリーを温度40〜45℃で72時間撹拌熟成を行った後、pH7になるまで炭酸ガスを導通し、更に48時間撹拌熟成を行うことにより、BET比表面積50.4m2 /g、固形分濃度10.0%の炭酸カルシウムスラリーを得た。
[炭酸カルシウム合成8]
温度10℃、濃度5.4%の石灰乳に水酸化カルシウムに対して3.0%のクエン酸を添加した上で、水酸化カルシウム1kg当たり10000L/hrの30%炭酸ガスを導入し、pHが10になった時点で炭酸ガスの導通を停止し、炭酸カルシウムを合成した。次いで、この炭酸カルシウムスラリーを温度40〜45℃で95時間撹拌熟成を行った後、pH7になるまで炭酸ガスを導通し、更に48時間撹拌熟成を行うことにより、BET比表面積75.2m2 /g、固形分濃度7.06%の炭酸カルシウムスラリーを得た。
実施例1
合成例1で合成した、炭酸カルシウム固形分に対し1%の水酸化ナトリウム(和光純薬(株)社製 一級試薬)を、温度80℃で濃度5%になるように熱水に溶解させ、この水酸化ナトリウム水溶液中に、牛脂脂肪酸(日本油脂(株)社製 0号脂肪酸)を、炭酸カルシウム固形分に対して2%投入し、透明になるまで撹拌溶解させ、濃度約10%の水酸化ナトリウム・脂肪酸石鹸混合水溶液を調整した。
この混合水溶液を、60℃に調整した炭酸カルシウムスラリー中に投入し、1時間混合撹拌処理を行った後、固形分60%になるまで脱水し、70℃の箱型乾燥機で12時間乾燥後、粉末化してBET比表面積(SW)7.5m2 /g、熱減量(TG)18.0mg/gの表面処理炭酸カルシウム粉体を得た。この表面処理炭酸カルシウムを分析したところ、アルカリ金属含有量(P)は730μg/g、脂肪酸のアルカリ金属塩(A)は、6.9mg/gであった。結果を表1に示す。
比較例1
合成例1で合成し、60℃に調整した炭酸カルシウムスラリー中に、炭酸カルシウム固形分に対して2%の牛脂脂肪酸(日本油脂(株)社製 0号脂肪酸 平均分子量=273)をそのまま投入し、1時間混合撹拌処理を行った後、固形分60%になるまで脱水し、70℃の箱型乾燥機で12時間乾燥後、粉末化してBET比表面積(SW)7.4m2 /g、熱減量(TG)18.2mg/gの表面処理炭酸カルシウム粉体を得た。この表面処理炭酸カルシウムを分析したところ、アルカリ金属含有量(P)は306μg/g、脂肪酸のアルカリ金属塩(A)は、2.5mg/gであった。結果を表1に示す。
実施例2
合成例2で合成した炭酸カルシウムスラリーを60℃に調整し、炭酸カルシウム固形分に対し1%の炭酸ナトリウム(和光純薬(株)社製 一級試薬)を撹拌しながら投入した。
また、炭酸カルシウム固形分に対し3%の牛脂脂肪酸石鹸(日本油脂(株)社製 マルセル石鹸)を80℃の熱水に溶解させ、この脂肪酸石鹸水溶液を炭酸カルシウムスラリー中に投入し1時間混合撹拌処理を行った後、固形分60%になるまで脱水し、70℃の箱型乾燥機で12時間乾燥後、粉末化してBET比表面積(SW)13.4m2 /g、熱減量(TG)27.0mg/gの表面処理炭酸カルシウム粉体を得た。
この表面処理炭酸カルシウムを分析したところ、アルカリ金属含有量(P)は878μg/g、脂肪酸のアルカリ金属塩(A)は、10.6mg/gであった。結果を表1に示す。
実施例3
炭酸ナトリウム(和光純薬(株)社製 一級試薬)を炭酸カルシウム固形分に対し1.5%、表面処理剤としてパーム・パーム核混合石鹸(UNIQEMA(株)社製 ブリサボンP9220)を炭酸カルシウム固形分に対し3%にする以外は、実施例2と同様にして、BET比表面積(SW)13.2m2 /g、熱減量(TG)28.5mg/gの表面処理炭酸カルシウム粉体を得た。
この表面処理炭酸カルシウムを分析したところ、アルカリ金属含有量(P)は1190μg/g、脂肪酸のアルカリ金属塩(A)は、13.7mg/gであった。結果を表1に示す。表面処理炭酸カルシウムを作成した。
実施例4
合成例3で合成した炭酸カルシウムスラリーを60℃に調整し、炭酸カルシウム固形分に対し1.5%の炭酸ナトリウム(和光純薬(株)社製 一級試薬)を撹拌しながら投入した。
また、炭酸カルシウム固形分に対し2.8%の牛脂脂肪酸石鹸(日本油脂(株)社製 マルセル石鹸)を、80℃の熱水に溶解させ、この脂肪酸石鹸水溶液を炭酸カルシウムスラリー中に投入し1時間混合撹拌処理を行った後、固形分60%になるまで脱水し、70℃の箱型乾燥機で12時間乾燥後、粉末化してBET比表面積(SW)17.6m2 /g、熱減量(TG)24.8mg/gの表面処理炭酸カルシウム粉体を得た。
この表面処理炭酸カルシウムを分析したところ、アルカリ金属含有量(P)は980μg/g、脂肪酸のアルカリ金属塩(A)は、10.4mg/gであった。結果を表1に示す。
実施例5
合成例3で合成した炭酸カルシウム固形分に対し0.7%の水酸化ナトリウム(和光純薬(株)社製 一級試薬)、2%の炭酸ナトリウム(和光純薬(株)社製 一級試薬)を、温度80℃で濃度2%になるように熱水に溶解させ、更にこのナトリウム水溶液中に、炭酸カルシウム固形分に対し1.7%のミリスチン酸(日本油脂(株)社製 NAA−142)、1.7%のオレイン酸(日本油脂(株)社製 NAA−300)を溶解させ、炭酸ナトリウム・脂肪酸石鹸混合水溶液を調整した。この混合水溶液を、60℃に調整した炭酸カルシウムスラリー中に投入し、1時間混合撹拌処理を行った後、固形分60%になるまで脱水し、70℃の箱型乾燥機で12時間乾燥後、粉末化してBET比表面積(SW)17.1m2 /g、熱減量(TG)33.0mg/gの表面処理炭酸カルシウム粉体を得た。
この表面処理炭酸カルシウムを分析したところ、アルカリ金属含有量(P)は1360μg/g、脂肪酸のアルカリ金属塩(A)は、22.4mg/gであった。
比較例2
合成例3で合成し60℃に調整した炭酸カルシウムスラリー中に、炭酸カルシウム固形分に対し3.7%の牛脂脂肪酸石鹸(日本油脂(株)社製 マルセル石鹸)を、80℃の熱水に溶解させた脂肪酸石鹸水溶液を投入し表面処理する以外は、実施例5と同様にして、BET比表面積(SW)17.0m2 /g、熱減量(TG)34.3mg/gの表面処理炭酸カルシウム粉体を得た。この表面処理炭酸カルシウムを分析したところ、アルカリ金属含有量(P)は422μg/g、脂肪酸のアルカリ金属塩(A)は、5.8mg/gであった。
実施例6
合成例4で合成した炭酸カルシウム固形分に対し0.5%の水酸化ナトリウム(和光純薬(株)社製 一級試薬)、1.5%の炭酸ナトリウム(和光純薬(株)社製 一級試薬)を、温度80℃で濃度2%になるように熱水に溶解させ、このナトリウム水溶液中に、炭酸カルシウム固形分に対し2.5%のステアリン酸(日本油脂(株)社製 NAA−175)を溶解させ、炭酸ナトリウム・脂肪酸石鹸混合水溶液を調整する以外は、実施例5と同様にして、BET比表面積(SW)16.4m2 /g、熱減量(TG)21.9mg/gの表面処理炭酸カルシウム粉体を得た。
この表面処理炭酸カルシウムを分析したところ、アルカリ金属含有量(P)は886μg/g、脂肪酸のアルカリ金属塩(A)は、8.3mg/gであった。
実施例7
合成例5で合成した炭酸カルシウムスラリーを60℃に調整し、炭酸カルシウム固形分に対し3%の炭酸水素ナトリウム(和光純薬(株)社製 一級試薬)を撹拌しながら投入した。
また、炭酸カルシウム固形分に対し4%の牛脂脂肪酸石鹸(日本油脂(株)社製 マルセル石鹸)を、80℃の熱水に溶解させ、この脂肪酸石鹸水溶液を炭酸カルシウムスラリー中に投入し、1時間混合撹拌処理を行った後、固形分60%になるまで脱水し、70℃の箱型乾燥機で12時間乾燥後、粉末化してBET比表面積(SW)22.0m2 /g、熱減量(TG)36.0mg/gの表面処理炭酸カルシウム粉体を得た。
この表面処理炭酸カルシウムを分析したところ、アルカリ金属含有量(P)は1200μg/g、脂肪酸のアルカリ金属塩(A)は、15.8mg/gであった。
実施例8
合成例5で合成した炭酸カルシウムスラリーを60℃に調整し、炭酸カルシウム固形分に対し2%の炭酸ナトリウム(和光純薬(株)社製 一級試薬)を撹拌しながら投入した。
また、炭酸カルシウム固形分に対し2%のパーム・パーム核混合石鹸(UNIQEMA(株)社製 ブリサボンP9220)と、2%のオレイン酸石鹸(日本油脂(株)社製 ノンサールON−A)を、80℃の熱水に溶解させ、この脂肪酸石鹸水溶液を炭酸カルシウムスラリー中に投入する以外は実施例7と同様にして、BET比表面積(SW)21.8m2 /g、熱減量(TG)35.4mg/gの表面処理炭酸カルシウム粉体を得た。
この表面処理炭酸カルシウムを分析したところ、アルカリ金属含有量(P)は1400μg/g、脂肪酸のアルカリ金属塩(A)は、20.2mg/gであった。
実施例9
合成例5で合成した、炭酸カルシウム固形分に対し3%の炭酸ナトリウム(和光純薬(株)社製 一級試薬)を、温度80℃で濃度5%になるように熱水に溶解させ、この炭酸ナトリウム水溶液中に、牛脂脂肪酸石鹸(日本油脂(株)社製 マルセル石鹸)を、炭酸カルシウム固形分に対して4%投入し、透明になるまで撹拌溶解させた。この炭酸ナトリウム・脂肪酸石鹸混合水溶液を60℃に調整し炭酸カルシウムスラリー中に投入する以外は、実施例2と同様にして、BET比表面積(SW)21.5m2 /g、熱減量(TG)35.0mg/gの表面処理炭酸カルシウム粉体を得た。
この表面処理炭酸カルシウムを分析したところ、アルカリ金属含有量(P)は2120μg/g、脂肪酸のアルカリ金属塩(A)は、25.9mg/gであった。
実施例10
合成例5で合成した、炭酸カルシウム固形分に対し1%の水酸化ナトリウム(和光純薬(株)社製 一級試薬)を80℃の熱水に溶解させ、更にこのナトリウム水溶液中に、炭酸カルシウム固形分に対し2%のステアリン酸(日本油脂(株)社製 NAA−175)及び同2%のオレイン酸(日本油脂(株)社製 NAA−300)を投入し、透明になるまで撹拌溶解させた。この炭酸ナトリウム・脂肪酸石鹸混合水溶液を60℃に調整し炭酸カルシウムスラリー中に投入する以外は、実施例2と同様にして、BET比表面積(SW)21.1m2 /g、熱減量(TG)37.2mg/gの表面処理炭酸カルシウム粉体を得た。
この表面処理炭酸カルシウムを分析したところ、アルカリ金属含有量(P)は2880μg/g、脂肪酸のアルカリ金属塩(A)は、31.9mg/gであった。
実施例11
合成例5で合成した炭酸カルシウムスラリーを、そのまま脱水し固形分55%の含水ケーキを作成し、また炭酸カルシウム固形分に対し4.5%の牛脂脂肪酸石鹸(日本油脂(株)社製 マルセル石鹸)を80℃の熱水に溶解させ石鹸水溶液を調整した。この含水ケーキをニーダーで混練しながら、調整した石鹸水溶液を滴下混合し、表面処理を行った後、70℃の箱型乾燥機で12時間乾燥後、粉末化してBET比表面積(SW)19.2m2 /g、熱減量(TG)41.0mg/gの表面処理炭酸カルシウム粉体を得た。
この表面処理炭酸カルシウムを分析したところ、アルカリ金属含有量(P)は4360μg/g、脂肪酸のアルカリ金属塩(A)は、32.0mg/gであった。結果を表1に示す。
比較例3
合成例5で合成し60℃に調整した炭酸カルシウムスラリー中に、炭酸カルシウム固形分に対し4%の牛脂脂肪酸石鹸(日本油脂(株)社製 マルセル石鹸)を、80℃の熱水に溶解させた脂肪酸石鹸水溶液を投入し表面処理した後、固形分60%になるまで脱水し、70℃の箱型乾燥機で12時間乾燥後、粉末化してBET比表面積(SW)21.6m2 /g、熱減量(TG)37.4mg/gの表面処理炭酸カルシウム粉体を得た。
この表面処理炭酸カルシウムを分析したところ、アルカリ金属含有量(P)は588μg/g、脂肪酸のアルカリ金属塩(A)は、7.5mg/gであった。
比較例4
比較例3で作成した表面処理炭酸カルシウムを、ヘンシェルミキサーで撹拌しながら炭酸カルシウム固形分に対し0.3%の炭酸ナトリウムを10%水溶液にしたものを滴下し10分間撹拌混合し、70℃の箱型乾燥機で3時間乾燥後、粉末化してBET比表面積(SW)21.5m2 /g、熱減量(TG)37.0mg/gの表面処理炭酸カルシウム粉体を得た。
この表面処理炭酸カルシウムを分析したところ、アルカリ金属含有量(P)は3530μg/g、脂肪酸のアルカリ金属塩(A)は、8.5mg/gであった。
比較例5
合成例5で合成し60℃に調整した炭酸カルシウムスラリー中に、炭酸カルシウム固形分に対し7.5%の牛脂脂肪酸石鹸(日本油脂(株)社製 マルセル石鹸)で表面処理する以外は比較例3と同様にして、BET比表面積(SW)16.2m2 /g、熱減量(TG)63.2mg/gの表面処理炭酸カルシウム粉体を得た。
この表面処理炭酸カルシウムを分析したところ、アルカリ金属含有量(P)は1630μg/g、脂肪酸のアルカリ金属塩(A)は、39.8mg/gであった。
比較例6
合成例5で合成した炭酸カルシウムスラリーを60℃に調整し、炭酸カルシウム固形分に対し8%の炭酸ナトリウム(和光純薬(株)社製 一級試薬)を撹拌しながら投入した。
また、炭酸カルシウム固形分に対し4%の牛脂脂肪酸石鹸(日本油脂(株)社製 マルセル石鹸)を使用する以外は実施例7と同様にして、BET比表面積(SW)21.6m2 /g、熱減量(TG)36.0mg/gの表面処理炭酸カルシウム粉体を得た。
この表面処理炭酸カルシウムを分析したところ、アルカリ金属含有量(P)は6602μg/g、脂肪酸のアルカリ金属塩(A)は、32.4mg/gであった。
実施例12
合成例6で合成した炭酸カルシウムスラリーを60℃に調整し、炭酸カルシウム固形分に対し3.5%の炭酸カリウム(和光純薬(株)社製 一級試薬)を撹拌しながら投入した。
また、炭酸カルシウム固形分に対し7%の牛脂脂肪酸石鹸(日本油脂(株)社製 マルセル石鹸)を、80℃の熱水に溶解させ、この脂肪酸石鹸水溶液を炭酸カルシウムスラリー中に投入し、1時間混合撹拌処理を行った後、固形分60%になるまで脱水し、70℃の箱型乾燥機で12時間乾燥後、粉末化して、BET比表面積(SW)26.0m2 /g、熱減量(TG)57.3mg/gの表面処理炭酸カルシウム粉体を得た。
この表面処理炭酸カルシウムを分析したところ、アルカリ金属含有量(P)は2430μg/g、脂肪酸のアルカリ金属塩(A)は、38.4mg/gであった。
実施例13
合成例6で合成した炭酸カルシウムスラリーを60℃に調整し、炭酸カルシウム固形分に対し2%の炭酸ナトリウム(和光純薬(株)社製 一級試薬)を撹拌しながら投入した。
また、炭酸カルシウム固形分に対し4%のパーム・パーム核混合石鹸(UNIQEMA(株)社製 ブリサボンP9220)を使用する以外は実施例12と同様にして、BET比表面積(SW)28.5m2 /g、熱熱減量(TG)34.0mg/gの表面処理炭酸カルシウム粉体を得た。
この表面処理炭酸カルシウムを分析したところ、脂肪酸のアルカリ金属含有量(P)は1580μg/g、脂肪酸のアルカリ金属塩(A)は、12.9mg/gであった。
比較例7
合成例6で合成し60℃に調整した炭酸カルシウムスラリー中に、炭酸カルシウム固形分に対し7%のパーム・パーム核混合石鹸(UNIQEMA(株)社製 ブリサボンP9220)を、80℃の熱水に溶解させた脂肪酸石鹸水溶液を投入し表面処理した後、固形分60%になるまで脱水し、70℃の箱型乾燥機で12時間乾燥後、粉末化してBET比表面積(SW)26.2m2 /g、熱減量(TG)56.6mg/gの表面処理炭酸カルシウム粉体を得た。
この表面処理炭酸カルシウムを分析したところ、アルカリ金属含有量(P)は960μg/g、脂肪酸のアルカリ金属塩(A)は、13.6mg/gであった。
実施例14
合成例7で合成した炭酸カルシウムスラリーを65℃に調整し、炭酸カルシウム固形分に対し5.0%の炭酸ナトリウム(和光純薬(株)社製 一級試薬)を撹拌しながら投入した。
また、炭酸カルシウム固形分に対し12%の牛脂脂肪酸石鹸(日本油脂(株)社製 マルセル石鹸)を、80℃の熱水に溶解させ、この脂肪酸石鹸水溶液を炭酸カルシウムスラリー中に投入し、2時間混合撹拌処理を行った後、固形分60%になるまで脱水し、70℃の箱型乾燥機で12時間乾燥後、粉末化して、BET比表面積(SW)36.0m2 /g、熱熱減量(TG)94.2mg/gの表面処理炭酸カルシウム粉体を得た。
この表面処理炭酸カルシウムを分析したところ、アルカリ金属含有量(P)は5060μg/g、脂肪酸のアルカリ金属塩(A)は、64.0mg/gであった。
実施例15
合成例8で合成した炭酸カルシウムスラリーを65℃に調整し、炭酸カルシウム固形分に対し5.0%の炭酸ナトリウム(和光純薬(株)社製 一級試薬)を撹拌しながら投入した。
また、炭酸カルシウム固形分に対し20%の牛脂脂肪酸石鹸(日本油脂(株)社製 マルセル石鹸)を、80℃の熱水に溶解させ、この脂肪酸石鹸水溶液を炭酸カルシウムスラリー中に投入し、2時間混合撹拌処理を行った後、固形分60%になるまで脱水し、70℃の箱型乾燥機で12時間乾燥後、粉末化して、BET比表面積(SW)53.1m2 /g、熱熱減量(TG)169mg/gの表面処理炭酸カルシウム粉体を得た。
この表面処理炭酸カルシウムを分析したところ、アルカリ金属含有量(P)は3620μg/g、脂肪酸のアルカリ金属塩(A)は、87.9mg/gであった。
比較例8
合成例8で合成し65℃に調整した炭酸カルシウムスラリー中に、炭酸カルシウム固形分に対し13%の牛脂脂肪酸石鹸(日本油脂(株)社製 マルセル石鹸)を、80℃の熱水に溶解させた脂肪酸石鹸水溶液を投入し表面処理した後、固形分60%になるまで脱水し、70℃の箱型乾燥機で12時間乾燥後、粉末化してBET比表面積(SW)60.4m2 /g、熱減量(TG)104mg/gの表面処理炭酸カルシウム粉体を得た。
この表面処理炭酸カルシウムを分析したところ、アルカリ金属含有量(P)は1810μg/g、脂肪酸のアルカリ金属塩(A)は、26.1mg/gであった。
Figure 0004707553
実施例16〜30、比較例9〜16
実施例1〜15、比較例1〜8で得られた粉体を下記試験方法にてアクリルゾルを作成し、その効果をテストした。結果を表2に示す。
[アクリルゾル試験方法]
[配合]
アクリルレジン ゼオンアクリルレジンF345(新第一塩ビ工業株式会社製)
250重量部
ウレタンブロックポリマー(三井武田ケミカル株式会社製) 125重量部
ウレタン硬化剤(三井武田ケミカル株式会社製) 7重量部
DINP 500重量部
ターペン 75重量部
表面処理炭酸カルシウム 300〜550重量部
(表面処理炭酸カルシウムの量は、ベースとなる炭酸カルシウムのBET粒子径によって粘性付与効果が異なるため、表2に示すように、実使用粘度に合わせて選定した。)
[混練方法]
それぞれの配合剤を5L万能攪拌機(ダルトン社製)に投入し3分間混練し、いったん蓋を開け壁面に付着している配合剤を掻き落とした後、再度真空雰囲気下で10分混練する。混練後のゾルを3本ロール(井上製作所(株)社製)を1パスさせ分散させた後、遊星式脱泡混練機(クラボウ株式会社製/KK−500)にて、混練条件5−5−18で脱泡し、アクリルゾルを作成した。
なお、上記混練条件「a−b−c」は、aは公転条件、bは自転条件を示し、cは時間を示しc×10秒を意味する。
[初期粘度測定]
混練後のアクリルゾルを100mlのPPカップに詰め、20℃にて3日静置後、BH粘度計No.7ローターにて2rpm、20rpmの粘度を測定した。
また、2rpm/20rpmの数値をTi値とする。 結果を表2に示す。
[スリップ性試験]
混練後のアクリルゾルを100mlのPPカップに詰め、20℃にて3日静置後、130×60mmの被着体に12mm半円ビードに100mmの長さで塗布後、20℃にて垂直放置30分後のスリップを測定し、その後100℃オーブンに投入し20分後の焼き付け硬化後のスリップを測定した。結果を表2に示す。
[密着性試験方法]
上記配合により作成したアクリルゾルを、十分に磨き仕上げした70mm×150mmの鋼板に、3mmの厚さになるように塗布し、100℃の恒温槽で30分焼き付け硬化させ、15分間常温に曝して冷却させた後、さらに130℃で30分、冷却15分を2回繰り返し、それぞれ冷却後に硬化塗膜を爪で剥がし、密着性を下記の基準で判定した。
結果を表2に示す。
◎:密着性に極めて優れ、剥がそうとすると塗膜が破断する。
○:密着性に優れ、剥がそうとするにはかなりの力が必要である。
△:剥がそうとする際の力は、上記○の場合よりも小さい。
×:密着性が悪く、わずかな力で剥離する。
[貯蔵安定性試験]
混練後のアクリルゾルを100mlのPPカップに詰め40℃にて3日静置後したものを、20℃にて3時間放冷した後、BH粘度計No.7ローターにて20rpmの粘度を測定し、初期粘度の20rpm粘度からの変化率(%)を下記の基準で判定した。結果を表2に示す。
変化率は小さければ小さいほど好ましいのは勿論であるが、実使用においては変化率が30%以下であれば問題ないとされている。
×:変化率が30%以上。
△:変化率が30%未満25%以上。
○:変化率が25%未満20%以上。
◎:変化率が20%未満。
Figure 0004707553
表2において、実施例1と比較例1、実施例5と比較例2、実施例10と比較例3、実施例12と比較例7との比較から明らかなように、本発明の表面処理炭酸カルシウム填料を配合したアクリルプラスチゾルは、従来の表面処理炭酸カルシウム填料と同等のBET比表面積を有しながら、粘性付与効果は遥かに高いだけでなく、スリップ性、密着性にも優れることがわかる。また、実施例7〜10において明らかなように脂肪酸のアルカリ金属塩残存(X)が高いほど、その効果は顕著である。
叙上のとおり、本発明のプラスチゾル用表面処理炭酸カルシウム填料は、プラスチゾルに有用で、本発明の表面処理炭酸カルシウム填料を配合することによって、優れた揺変性(チキソ性、粘性)付与効果,耐スリップ性,密着性を有するプラスチゾル樹脂組成物を提供することができる。

Claims (10)

  1. 脂肪酸系表面処理剤で処理された炭酸カルシウム1.0g当りの200〜500℃の熱減量TG(mg)と、該表面処理炭酸カルシウム1.0g当りの脂肪酸のアルカリ金属塩A(mg)との割合A/TGが30〜90重量%であり、且つ下記の式(I)及び(II)を満足することを特徴とするプラスチゾル用表面処理炭酸カルシウム填料。
    (I) 50≦N≦250 (μg/m2
    (II) 1.0≦AS≦3.5 (mg/m2
    N:次式により算出される表面処理炭酸カルシウムの単位比表面積当りのアルカリ金属含有量(μg/m2
    P/SW
    P:表面処理炭酸カルシウム1.0g当りのアルカリ金属含有量(μg/g)
    SW:窒素吸着法によるBET比表面積(m2 /g)
    AS:次式により算出される単位比表面積当りの表面処理剤量(mg/m2
    TG/SW
  2. 脂肪酸系表面処理剤が、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、これらのアルカリ金属塩、これらのアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種であり、該脂肪酸系表面処理剤とアルカリ金属の水酸化物及び/又は水容性のアルカリ金属塩の存在下で湿式表面処理されたことを特徴とする請求項1記載の表面処理炭酸カルシウム填料。
  3. 脂肪酸系表面処理剤が脂肪酸のアルカリ金属塩であり、該脂肪酸系表面処理剤で湿式表面処理されたことを特徴とする請求項1記載の表面処理炭酸カルシウム填料。
  4. 揺変性付与剤として用いられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面処理炭酸カルシウム填料。
  5. 炭酸カルシウムスラリーを脱水した含水ケーキに脂肪酸系表面処理剤とアルカリ金属の水酸化物及び/又は水溶性のアルカリ金属塩の水溶液を添加して表面処理することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面処理炭酸カルシウム填料の製造方法。
  6. 炭酸カルシウムスラリーを脱水した含水ケーキに脂肪酸系表面処理剤として脂肪酸のアルカリ金属塩で湿式表面処理することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面処理炭酸カルシウム填料の製造方法。
  7. 含水ケーキの固形分が25〜80重量%であることを特徴とする請求項5又は6記載の表面処理炭酸カルシウム填料の製造方法。
  8. 炭酸カルシウムスラリーに脂肪酸系表面処理剤とアルカリ金属の水酸化物及び/又は水溶性のアルカリ金属塩の水溶液を添加して表面処理することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面処理炭酸カルシウム填料の製造方法。
  9. 炭酸カルシウムスラリーの固形分が10〜300gCaCO3 /Lであることを特徴とする請求項8記載の表面処理炭酸カルシウム填料の製造方法。
  10. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面処理炭酸カルシウム填料を配合してなることを特徴とするプラスチゾル。
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