JP6227102B2 - 表面処理炭酸カルシウム填料、及び該填料を配合してなる硬化型樹脂組成物 - Google Patents
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Description
(1)3≦Sw≦40 [m2 /g]
(2)0.40≦As≦5.50 [mg/m2 ]
(3)85≦Cr≦100 [重量%]
(4)2≦Ar≦9 [重量%]
(5)0.27≦Ar/(Ar+Sr)≦1.00 [−]
但し、
Sw:表面処理炭酸カルシウムのBET比表面積 [m2 /g]
As:次式で求められる単位比表面積当たりの表面処理剤量 As=Tg/Sw[mg/m2 ]
Tg:200℃〜500℃の表面処理炭酸カルシウム1g当たりの熱減量[mg/g]
Cr:表面処理炭酸カルシウムをエタノール抽出した時に、遊離物として溶出されないで炭酸カルシウム側に残される表面処理剤量が総表面処理剤量に占める割合[重量%]
Ar:表面処理炭酸カルシウムをエタノール抽出して求められる遊離物量中の遊離脂肪酸量の総表面処理剤量に対する割合[重量%]
Sr:表面処理炭酸カルシウムをエタノール抽出して求められる遊離物量中の対イオンが1価の脂肪酸塩量の総表面処理剤量に対する割合[重量%]
本発明において表面処理剤として用いられる脂肪酸、その水溶性の塩については、脂肪酸は融点100℃未満の飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸のことを示し、その水溶性の塩については、脂肪酸のナトリウム塩,カリウム塩,アンモニウム塩等であり、対イオンが1価の脂肪酸塩のことを示す。飽和脂肪酸,不飽和脂肪酸については特に制限はないが、できるだけ炭素数の多い方が好ましく、例えば硬化型樹脂組成物に使用した場合、貯蔵安定性に加え、高チキソ性,耐スランプ性を兼ね備えることができるので、炭素が8以上であるのが好ましい。ただし、不飽和脂肪酸(例えば、パルミトレイン酸,オレイン酸,リノール酸,リノレン酸等)については、エタノール抽出した場合に遊離物として溶出するおそれがあるため、総表面処理量の0〜30重量%であることが好ましく、より好ましくは0〜20重量%、さらに好ましくは0〜10重量%である。なお、脂肪酸のアンモニウム塩単独、脂肪酸単独、脂肪酸とナトリウム塩,カリウム塩,アンモニウム塩等の水溶性塩との組み合わせは、目的の物性を容易に得られやすいが、脂肪酸のナトリウム塩,カリウム塩等のアルカリ金属塩単独は、表面処理量によっては脂肪酸石鹸率が多くなる場合があり、水分を呼び込みやすくなるため好ましくない。
沈降製炭酸カルシウムを表面処理する場合は気液反応であるため、調整した処理剤を沈降製炭酸カルシウムの水スラリー中に加え撹拌するか、沈降製炭酸カルシウムの含水ケーキ中に混練することにより表面処理するのが好ましい。重質炭酸カルシウムの場合は乾式で粉砕することが多いので、通常、乾式で表面処理されることが多いが、遊離脂肪酸が多くなる場合があるため、より表面処理状態を良好にするためには湿式で表面処理するのが好ましい。例えばヘンシェルミキサー等の加熱・撹拌装置を使用するのがよい。
水スラリー中で表面処理する場合の沈降製炭酸カルシウムの水スラリーは、濃度10〜800gCaCO3 /Lが好ましい。濃度が10gCaCO3 /Lより低いと生産性の面で不利となり、一方、800gCaCO3 /Lより高いと水スラリーの粘度が高くなり表面処理剤が十分浸透しなくなる場合があり目的の填料が得られなくなる可能性がある。
水スラリー中で表面処理する場合の表面処理温度については、表面処理剤として用いる脂肪酸および脂肪酸塩の融点以上の温度で表面処理するのが好ましく、好ましくは20〜98℃、より好ましくは40〜90℃、更に好ましくは60〜80℃である。表面処理温度が20℃より低いと、表面処理剤の炭酸カルシウムへの吸着結合が起こりにくくなり、表面処理が不均一になるため好ましくない。また、処理温度が98℃より高いと、本発明の効果は十分得られるが、突沸するおそれがあり危険であるため、耐圧性装置を使用するのが好ましい。
また、含水ケーキ,もしくは乾式処理の場合、好ましくは20〜150℃、より好ましくは40〜130℃、更に好ましくは60〜120℃である。表面処理温度が20℃より低いと、表面処理剤の炭酸カルシウムへの吸着結合が起こりにくくなり、表面処理が不均一になるおそれがあるため好ましくない。また、表面処理温度が150℃より高いと、耐熱温度が低い表面処理剤の場合、表面処理剤が熱劣化し、変質するおそれがあるため好ましくないが、その場合、不活性ガス(窒素等)雰囲気にすればよい。
[試料の調整方法]
ガラスセルに試料を300mg仕込み、窒素を導通させながら200℃で10分前処理を行った後、常温で冷却して測定試料とする。
[BET比表面積の測定方法]
BET比表面積計(Macsorb HM model−1210、マウンテック社製)にて1点法にて測定。
[熱減量の測定方法]
熱分析装置(Thermo Plus EVO II、リガク社製)を用い、直径5mm、深さ5mmの試料パン(白金製)に表面処理炭酸カルシウム30mgを採取し、昇温速度15℃/minで常温から510℃まで昇温させたときの200℃〜500℃の熱減量を測定し、表面処理炭酸カルシウム1g当たりの熱減量(表面処理剤量)(mg/g)を求める。
本発明において、Crは、85≦Cr≦100[重量%]である必要があり、この値は90〜98重量%が好ましく、95〜98重量%がより好ましい。85重量%未満では温水接着性や接着強度が不十分となる傾向がある。一方、98重量%を越えると表面処理状態が悪くなる傾向があり、貯蔵安定性が不十分となる傾向がある。
本発明において、Arは、0≦Ar≦15[重量%]である必要があり、この値は0〜10重量%が好ましく、0〜5重量%がより好ましい。15重量%を越えると温水接着性や接着強度が不十分となる傾向がある。一方、0重量%は理論上の下限である。
本発明において、遊離物量中の遊離脂肪酸量の割合Ar/(Ar+Sr)は、0.15≦Ar/(Ar+Sr)≦1.00である必要があり、この値は0.25〜0.90が好ましく、0.40〜0.80がより好ましい。0.15より下回ると分散性、チキソ性が低下し、例えば、プラスチゾルでは電着板との密着性が低下し、シーリング材や接着剤では貯蔵安定性が低下したり温水接着性が低下する傾向がある。なお、1.00は遊離物量中の対イオンが1価の脂肪酸塩量が存在しない場合の値である。なお、(3)〜(5)式において、理論的には、Cr+Ar+Sr=100[重量%]なる関係がある。
(1)炭酸カルシウムサンプルを300ml の三角フラスコに5g採取し、95% エタノールを80g 加える。
(2)アルミ箔で軽くフラスコ口を覆い、90℃以上のウォーターバス上で沸騰が始まってから1時間加熱させた後、室温で1 日放冷する。
(3)30℃に温度調節し、PTFE製のメンブレンフィルター(孔径0.5μm )を用いて吸引濾過し、濾液をビーカーに取る。
(4)濾液を秤量済みの200ml のビーカーに取り80℃以上の湯浴に浸け95% エタノールを蒸発させる。放冷後ビーカーの重量を測定する(濾過前に空ビーカーの重量も測定する)。
(5)表面処理炭酸カルシウム1g当たりの遊離物量F[mg/g]を算出する。
F[mg/g]=[濾過・放冷後のビーカー重量(mg)−空ビーカー重量(mg)]/炭酸カルシウムサンプル重量(g )
(6)上記(5)の遊離物を、フェノールフタレイン溶液を数滴加えた2−プロパノール25mlで溶解させる。
(7)上記(6)の溶液を0.1mol/l水酸化カリウム水溶液で中和滴定する。
(8)上記(7)の水酸化カリウム滴定量から表面処理炭酸カルシウム1g当たりの遊離物量中の遊離脂肪酸量をa[mg/g]とすると、
遊離脂肪酸量a[mg/g]= 0.1mol/l 水酸化カリウム滴定量(ml)×10-4×処理剤の分子量×103 (mg)/炭酸カルシウムサンプル重量(g )
200℃〜500℃の表面処理炭酸カルシウム1g当たりの熱減量(総表面処理剤量)をTg[mg/g]とすると、
表面処理炭酸カルシウムをエタノール抽出して求められる遊離脂肪酸量の総表面処理剤量に対する割合Arは、
Ar=(a/Tg)×100 [重量%]
同様に、(7)の水酸化カリウム滴定量から表面処理炭酸カルシウム1g当たりの遊離物量中の対イオンが1価の脂肪酸塩量をs[mg/g]とすると、
1価の脂肪酸塩量s=遊離物量F−遊離脂肪酸量a [mg/g]
表面処理炭酸カルシウムをエタノール抽出して求められる遊離物量中の対イオンが1価の脂肪酸塩量の総表面処理剤量に対する割合Srは、
Sr=(s/Tg)×100 [重量%]
(9)総表面処理剤量から遊離物量(Ar、Sr)を引き、系内の遊離物として溶出されず炭酸カルシウム側に残っている表面処理剤量Crを求める。(95% エタノール不溶分がCr)
Cr=100−Ar−Sr [重量%]
ただし、炭酸カルシウムに本発明の表面処理剤を十分に表面処理するためには、炭酸カルシウムの二次凝集体内部にまで表面処理剤が十分に浸透する必要があるため、湿式のほうが好ましく、その効果は、特に乾燥時に加えられる熱量が一定以上となることで顕著となる。乾燥条件は表面処理剤の種類や表面処理量にもよるが、本発明の効果を十分に得るためには、通常、100℃以上、好ましくは110℃以上の温度で一定以上の時間をかけて乾燥することが望ましく、特に、110℃以上120℃未満であれば5時間以上、120℃以上140℃未満であれば4時間以上、さらに140℃以上150℃以下であれば2時間以上乾燥するのが望ましい。100℃未満の乾燥で所望の物性を得るためには、その分、乾燥時間を長くする必要があるが、乾燥効率が低下しランニングコストが必要以上にかかる場合がある。また、乾燥温度が110℃以上120℃未満で5時間未満、あるいは120℃以上140℃未満で4時間未満、もしくは140℃以上150℃以下で2時間未満だと、見かけ上、二次凝集体内部への処理剤の浸透はしているものの、脂肪酸や1価の脂肪酸塩が遊離物として存在する割合が多くなる傾向がみられ、十分な処理状態が得られにくくなり、所望の物性が得られにくくなる。また、乾燥温度が150℃より高いと、耐熱温度が低い表面処理剤の場合、表面処理剤が熱劣化し、変質するおそれがあるため好ましくないが、その場合、不活性ガス(窒素等)雰囲気にすれば1時間以下の短時間でも所望の物性が得られる。さらに、凍結乾燥,減圧乾燥,風力乾燥等の方法では、表面処理剤の浸透が起こりにくく、所望の物性を得るためにかなりの時間を要するか、又は他のエネルギーを必要とすることになる。よって、本発明の乾燥に適しているのは、オーブン乾燥機,ヘンシェルミキサー,バンド乾燥機,パドルドライヤー等の十分な滞留時間を持った乾燥機が好ましい。
上記の方法にて乾燥された表面処理炭酸カルシウムは、粉砕工程を経て粉末化される。粉砕方法は常法に従えばよく、ピンミル,ハンマーミル等が使用される。
なお、所望の物性を得るためには、表面処理後の乾燥工程において、一定以上の熱量を加え、二次凝集体内部にまで表面処理剤を浸透させることが必要であり、いったん一定の熱量未満で乾燥して粉末化したものを、一定の熱量以上で再加熱しても、二次凝集体内部まで表面処理剤は浸透せず、所望の物性は得られにくい。
本発明の表面処理炭酸カルシウム填料を、シーリング材,接着剤に配合することにより、優れた分散性、チキソ性,貯蔵安定性はもちろんのこと、優れた接着強度、伸び率、温水接着性を付与することができ、また、プラスチゾルに配合することにより耐スリップ性、電着板との密着性を付与することができる。
例えば、ポリエーテルポリオールとしては、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシエチレン−プロピレン共重合ポリオール、ポリテトラメチレンポリオール等の単独あるいはそれらの混合物が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、ジカルボン酸(アジピン酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸等)とグリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサングリコール、ネオペンチルグリコール等)とを重縮合させて得られたポリオール、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリエチレン−プロピレンアジペート等のポリオールがあり、また、ポリラクトンポリオール、例えば、ポリカプロラクトンポリオールの単独あるいはそれらの混合物、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物は、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、カルボジイミド変性MDI、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及び脂環式系ポリイソシアネートが挙げられる。上記ポリイソシアネートは単独あるいはそれらの混合物として使用できる。
硬化触媒としては、オレイン酸第一スズ、ラウリン酸第一スズ、酢酸第一スズ、オクチル酸亜鉛、オクチル酸鉛、オクチル酸スズ、ナフテン酸鉛、ナフテン酸マンガン、マンガン酸コバルト、塩化第二鉄、塩化第二スズ、塩化第一スズ、三塩化アンチモン、トリエチルアミン、N−メチルモルフォリン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、アセチルアセトン等公知のものが挙げられ、これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられる。中でもオクチル酸鉛、オクチル酸スズ、ナフテン酸鉛、ナフテン酸スズがコストの点で好ましい。触媒の配合量は、ウレタンプレポリマー100重量部に対して0.1〜1重量部が好ましい。
本発明の表面処理炭酸カルシウム填料の配合量は、ポリウレタン樹脂100重量部に対して通常10〜200重量部、好ましくは20〜150重量部程度が適当である。表面処理炭酸カルシウムの含有量が10重量部より少ないと、チキソ性,耐スランプ性の効果が期待できず、一方、200重量部より多くなると、貯蔵安定性,接着性等が悪くなる場合がある。
溶剤としては、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素、ミネラルスピリット、メチルエチルケトン等が挙げられる。溶剤の配合量は、ウレタンプレポリマー100重量部に対して3〜20重量部が好ましい。
可塑剤としては、例えば、ジオクチルアジペート(DOA)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジブチルフタレート(DBP)、トリクレジルホスフェート(TCP)等の単量体可塑剤及びポリエステル、ウレタン化ポリエステル、ウレタン化ポリエーテルなどのオリゴマー可塑剤が挙げられる。可塑剤の配合量は、ウレタンプレポリマー100重量部に対して5〜30重量部が好ましい。
フィラーとしては炭酸カルシウム、タルク、クレー、カーボン、シラスバルーン、ガラスバルーン、ポリ塩化ビニル微粉末などが挙げられる。
揺変付与剤としては、コロイダルシリカ、微粉のカーボンブラック、脂肪酸アマイドや脂肪酸金属石鹸等が挙げられる。
−(−R1−SX−)n−R1−SX (イ)
−(−R2−SX−)n−(−R3−O−)m−SX− (ロ)
〔xは1〜5の整数であり、n,mは2〜200の整数を示す。R1,R2,R3は2価の有機基(アルキレン基,アルキレンエーテル基,ヒドロキシアルキレン基など)を示す。〕
このようなポリサルファイドポリマーは、室温で流動性を有し、数平均分子量(Mn)が、通常100〜200000であり、好ましくは800〜50000である。このようなポリサルファイドポリマーの好ましい例は、米国特許2466963号及び特開平4−363325に記載されている。
上記有機ポリイソシアネート化合物としては、具体的には、トリレンジイソシアネート,ジフェニルメタンジイソシアネート,ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(クルードMDI),キシリレンジイソシアネート,イソホロンジイソシアネート,ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
また活性水素含有化合物としては、水酸基末端ポリエステル,多価ポリアルキレンエーテル,水酸基末端ポリウレタン重合体及びこれらの混合物が挙げられる。
上記ウレタンプレポリマーとしては、前述の活性水素含有化合物と有機ポリイソシアネート化合物を、イソシアネート化合物過剰の条件で反応させることにより得られたものを使用することができる。
本発明においては、イソシアネート基含有化合物中のイソシアネート基と、チオール基含有化合物中のチオール基とのモル比(イソシアネート基/チオール基)が0.5〜4.0と配合するのが好ましく、より好ましくは0.7〜3.0となるように配合する。モル比が0.5未満では、組成物が十分に高分子量化せず、一方、4.0を越えると硬化物が硬く脆いものとなる傾向があるので好ましくない。
硬化触媒としては、3級アミン及び/又は有機金属化合物が用いられる。3級アミンとしては、モノアミン類、ジアミン類、トリアミン類、ポリアミン類、環状アミン類、アルコールアミン類、エーテルアミン類等があり、具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロパン−1,3−ジアミン、テトラメチルグアニジン、N,N−ジポリオキシエチレンステアリルアミン、N,N−ジポリオキシエチレン牛脂アルキルアミン、トリエチレンジアミンが挙げられる。これら3級アミンは単独で、又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
有機金属化合物としては、有機錫化合物、有機水銀化合物、有機鉛化合物等があり、具体的にはオクチル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫メルカプチド、ジブチル錫マレエート、ジオクチル錫メルカプチド、フェニル水銀プロピオン酸塩、オクテン酸鉛等が挙げられる。これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。これらの中でも、変色等の影響が少ない有機錫化合物が好ましい。
硬化触媒の含有量は、ポリサルファイドポリマー100重量部に対して、0.001〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.005〜3重量部である。含有量が0.001重量部未満では硬化が進まず、5重量部を越えると可使時間が短くなる傾向があり好ましくない。
本発明のポリサルファイドシーリング材又は接着剤には、必要に応じて、その他の添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、他の無機充填材、可塑剤、顔料、ゴム加硫剤、補強剤、接着性付与剤、紫外線及びオゾン劣化防止剤及びその類似物等を使用することができる。他の無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム粉末(未処理)、重質炭酸カルシウム粉末、石英粉末、アルミナ、酸化カルシウム、タルク、ガラス粉末、各種骨材類等を使用することができる。
本発明の表面処理炭酸カルシウム填料の配合量は、変成シリコーン樹脂100重量部に対して通常10〜200重量部、好ましくは20〜150重量部程度が適当である。表面処理炭酸カルシウムの含有量が10重量部より少ないと、チキソ性,耐スランプ性の効果が期待できず、一方、200重量部より多くなると、貯蔵安定性,接着性等が悪くなる場合がある。
充填材としては、例えば重質炭酸カルシウム,コロイド炭酸カルシウム,クレー,タルク,酸化チタン,酸化亜鉛,コロイダルシリカ等がシーリング材の増量剤,粘度調整剤として使用できる。これらは単独又は2種以上組み合わせて使用される。
硬化触媒としては、例えばオクチル酸スズ,ジブチルスズラウレート,ジブチルスズジオクトエート,ジブチルスズオキサイド,ジオクチルスズオキサイド等のスズ系触媒及びアミン系が使用できる。これらは単独又は2種以上組み合わせて使用される。硬化触媒の量は、樹脂100重量部に対して0.5〜6.0重量部の範囲で用いられる。
可塑剤としては、ジオクチルフタレート(DOP)等のフタル系エステル系や脂肪酸エステル系,グリコールエステル系等が使用できる。これらは単独又は2種以上組み合わせて使用される。可塑剤の量は、変成シリコーン樹脂100重量部に対して20〜80重量部の範囲で用いられる。
本発明の変成シリコーンシーリング材又は接着剤には、さらに必要に応じて、着色顔料,紫外線吸収剤,酸化防止剤,接着性改良剤,老化防止剤,金属不活性化剤,オゾン劣化防止剤,光安定剤,発泡剤等の1種又は2種以上を添加してもよい。
架橋剤(硬化剤)には,アミノキシ基を有する環状及び直鎖状シロキサン,アルコキシラン官能基を有するオルガノポリシロキサンが使用される。架橋剤の配合量は樹脂100重量部に対し、50〜150重量部の範囲で用いられる。
さらには,一端がヒドロキシル基,他端がシラノール基を有するオルガノポリシロキサンを主剤とし,このような官能基を持たない不活性のオルガノポリシロキサンと前述の変成シリコーンシーリング材の硬化触媒等を配合した硬化剤とを組み合わせて使用することもでき、硬化触媒の配合量は樹脂100重量部に対し、0.01〜5重量部の範囲である。
本発明は必要に応じて溶剤、可塑剤、フィラー、顔料、増粘剤、揺変付与剤、安定剤、その他の添加剤を配合することができる。
可塑剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル等のストレートシリコーンオイル、ポリエーテル変成、エポキシ変成、アミノ変成、カルボキシル変成、カルビノール変成シリコーンオイル等が挙げられる。
可塑剤の配合量は、樹脂100重量部に対し0〜30重量部の範囲である。その他接着性付与剤として、チタン系キレート化合物,アミン系及びエポキシ系カップリング剤等が挙げられる。
なお、充填材としては、本発明の充填材以外に、本発明に差し障りの無い範囲で、沈降製炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、コロイド状シリカ、タルク、カオリン、ゼオライト、樹脂バルーン、ガラスバルーン等の一般的な充填材を併用しても良い。
アクリル系プラスチゾルには、ブロック型ウレタン樹脂を配合することが好ましく、ブロック型ウレタン樹脂としては、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール等のポリオールと、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、1,3−ビスシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、m−イソプロペニルジメチルベンジルイソシアネート等のイソシアネートとを反応させることで得られるウレタン樹脂を、オキシムやアミン等のブロック剤を用いてブロックしたウレタン樹脂や、ジイソシアネート重合物のオキシベンゾイックエステル、又はアルキルフェノールブロック体、ジイソシアネート重合物のヌレート環形成体等の1種または2種以上の組み合わせ等が好適に用いられる。
着色剤としては、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック等の無機顔料、アゾ系、フタロシアニン系等の有機顔料等を使用することができる。酸化防止剤としては、例えばフェノール系やアミン系等の酸化防止剤を使用することができる。発泡剤としては、加熱によりガスを発生するタイプの発泡剤を使用することができ、例えばアゾジカルボンアミド、アゾビスホルムアミド等のアゾ系発泡剤が使用できる。希釈剤としては、例えばキシレン、ミネラルターペン等の溶剤等が使用できる。紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール系等を使用することができる。
本発明の表面処理炭酸カルシウム填料と、これらの樹脂との配合割合は特に限定されず、樹脂の種類や用途、所望の物性に応じて適宜決定すればよく、さらに、上記したようなその他の充填材、可塑剤、安定剤等の各種添加剤を添加しても良いことは勿論である。例えば、アクリル系プラスチゾルの場合、樹脂100重量部に対して、通常、10〜300重量部、好ましくは20〜250重量部、さらに好ましくは30〜200重量部程度である。
塩化ビニル系プラスチゾルを構成する塩化ビニル系樹脂(PVC)としては、塩化ビニルのホモポリマー、塩化ビニルを主体とし、これに他の共重合し得るモノマー、例えば酢酸ビニル等とのコポリマー(塩化ビニル含有量50重量%以上、特に70重量%以上)の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
この場合、PVCとしては、平均粒径が5μm以下、好ましくは3μm以下、更に好ましくは1.5μm以下のものが望ましい。平均粒径が5μmを超える粒径の大きいPVCの使用は、耐チッピング性を低下させると共に、発泡面において異常発泡が生じ、外観面上好ましくない場合が生じる。また、PVCとしては、上記平均粒径の範囲において、その粒度分布が2個のピークを有するものが、膨潤ゲル化性が良好で、作業性及び得られる発泡PVCの物性の点から好適に用いられる。なお、ここでいう粒度分布が2個のピークを有するPVCは、互いに異なる平均粒径を有する2種のPVCを混合したものとは異なり、粒径の小さい1次粒子の一部を製造工程中で凝集させて2次粒子を得たもので、粒径の小さい1次粒子とそれを凝集させて得た2次粒子が混在することにより、粒度分布上、2つのピークを有するものである。
更に、PVCとしては、平均重合度が2500以下、好ましくは2000以下、更に好ましくは1900以下のものが望ましい。平均重合度が高すぎるものは、耐チッピング性能等の発泡PVCの物性が低下するおそれがある。なお、平均重合度の下限は通常500、好ましくは850、更に好ましくは1000である。
上記コポリマーとしては、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマーが膨潤ゲル化性の点から好適に使用されるが、この塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマーにおいて、酢酸ビニル含有量が1〜15重量%、特に3〜10重量%のものが好ましい。この場合、塩化ビニルホモポリマーは金属表面の密着性が塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマーに比べて幾分劣り、一方塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマーは可塑剤に対する膨潤ゲル化性が良好で、加熱により密着性良好となるものの、コストが高く、従って両者を併用することが好ましい。併用割合は適宜選定されるが、塩化ビニルホモポリマー:塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー=4:1〜1:4(重量比)とすることが好ましい。
また、コポリマーとして、−CH2 ROH基をもつ架橋性コポリマーを使用することもできる。これは、そのOH基が後述する密着成分としてのブロックイソシアネートと加熱時に反応し、ウレタン結合を生成して、密着性、耐水性を向上させる。
塩化ビニル系プラスチゾルを構成する発泡助剤としては、公知のものを使用することができ、各種の金属酸化物(例えば酸化亜鉛、酸化マグネシウム等)、金属石けん(例えばステアリン酸亜鉛)、尿素化合物、アミン等が挙げられる。なお、このような発泡助剤は、同時に他の目的を兼ねて配合することができる。
なお、充填剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、珪藻土、シリカ、タルク等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また必要により、ガラスバルーン、樹脂バルーン等の中空粒子を配合することもできる。
塩化ビニル系プラスチゾルを構成する可塑剤としては、フタル酸エステル系可塑剤又は安息香酸エステル系可塑剤の1種又は2種以上とトリメリット酸エステル系可塑剤又はポリエステル系可塑剤の1種又は2種以上とを使用することができる。フタル酸エステル系可塑剤としては、ジブチルフタレート(DBP)、ジヘキシルフタレート(DHP)、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジ−n−オクチルフタレート(DnOP)、ジイソオクチルフタレート(DIOP)、ジデシルフタレート(DDP)、ジノニルフタレート(DNP)、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)、C6 〜C10混合高級アルコールフタレート、ブチルベンジルフタレート(BBP)、オクチルベンジルフタレート、ノニルベンジルフタレート、ブチルフタールブチルグリコレート(BPBG)等が挙げられ、安息香酸エステル系可塑剤としては、ジプロピレングリコールベンゾエート、N−ブチルベンゾエート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールイソブチレートベンゾエート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジベンゾエート等が挙げられる。また、トリメリット酸エステル系可塑剤としては、トリ−(2−エチルヘキシル)トリメリテート(TOTM)、トリ−n−オクチルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテート、トリイソオクチルトリメリテート等が挙げられる。ポリエステル系可塑剤としては、大豆油等の不飽和脂肪酸グリセライドの二重結合を過酸化水素や過酢酸でエポキシ化したもの(ESBO)、ブチル又はオクチルのアルキルオレイン酸エステル等のエポキシ化合物などのエポキシ化植物油、アジピン酸のような二塩基酸のプロピレングリコールエステル単位を数個乃至は十数個直鎖状に連結した平均分子量500〜8000程度の粘稠な低重合度ポリエステル等が挙げられ、特に平均分子量が500〜2200のアジピン酸ポリエステル、フタル酸系ポリエステル(フタル酸とアルキレングリコールとのオリゴエステル、その末端アルカノール、アルカン又はアルケン酸変性物)が好適である。
更に、本発明においては、必要によりスプレー作業性の改善などの点から沸点が150〜250℃の低沸点可塑剤、例えば石油系炭化水素(パラフィン系、ナフテン系、芳香族系)可塑剤などを配合することができる。
塩化ビニル系プラスチゾルには、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の吸湿剤を配合することができ、ゾル中の水分をキャッチして水分による発泡を防止し、発泡PVCの耐水性、耐腐食性を向上させることができ、更に、ジブチルスズラウレート系、亜鉛系有機複合剤等のPVC安定剤を気泡調整剤として配合することができる。その他、着色剤として、カーボンブラック、酸化チタン、カドミウムイエロー、フタロシアニンブルー等の顔料を用いることができる
本発明の表面処理炭酸カルシウム填剤と、これらの樹脂との配合割合は特に限定されず、樹脂の種類や用途、所望の物性に応じて適宜決定すればよく、さらに、上記したようなその他の充填材、可塑剤、安定剤等の各種添加剤を添加しても良いことは勿論である。塩化ビニル系プラスチゾルの場合、樹脂100重量部に対して、通常、160〜500重量部、好ましくは180〜450重量部、さらに好ましくは200〜400重量部程度である。
濃度160gCaCO3 /L、温度50℃に調整したBET比表面積17m2 /gの沈降製炭酸カルシウムの水スラリー10Lに対して、80℃の温水1L中でラウリン酸ナトリウム48g(アルキル組成:C12:100%、以下同じ)と極度硬化パーム脂肪酸16g(アルキル組成:C16:56%、C18:44%、以下同じ)で調製した表面処理剤を加えて炭酸カルシウムスラリーと共に強撹拌した。この炭酸カルシウムスラリーを固形分60%まで脱水し、110℃の箱形乾燥機で12時間乾燥後、粉砕してBET比表面積15m2 /gの表面処理炭酸カルシウム粉体を得た。該粉体の乾燥温度、乾燥時間、BET比表面積Sw、熱減量Tg、単位比表面積当たりの表面処理剤量As、また、表面処理炭酸カルシウムをエタノール抽出した時に、遊離物として溶出されないで炭酸カルシウム側に残される表面処理剤量が総表面処理剤量に占める割合Cr、遊離物中の遊離脂肪酸量の総表面処理剤量に対する割合Ar、遊離物中の対イオンが1価の脂肪酸塩量の総表面処理剤量に対する割合Sr、遊離物量中の遊離脂肪酸量の割合Ar/(Ar+Sr)を表1に示した。
なお、以下の実施例2〜13における表面処理剤、表面処理量、乾燥温度、乾燥時間、及び得られた粉体のSw、Tg、As、Cr、Ar、Sr、Ar/(Ar+Sr)についても表1 に示した。
実施例1で、120℃の箱形乾燥機で5時間乾燥に変える以外はすべて実施例1と同様とした。
実施例1で、140℃の箱形乾燥機で5時間乾燥に変える以外はすべて実施例1と同様とした。
実施例1で、5時間乾燥に変える以外はすべて実施例1と同様とした。
実施例1で、表面処理剤をラウリン酸ナトリウム16gと極度硬化パーム脂肪酸48gに変える以外はすべて実施例1と同様とした。
実施例1で、表面処理剤をラウリン酸ナトリウム32gと牛脂脂肪酸32g(アルキル組成:C14:5%、C16:28%、C18:22%、C18F1:40%、C18F2:5%、なお、F1は二重結合1つ、F2は二重結合二つ、以下同じ)に変える以外はすべて実施例1と同様とした。表面処理剤中の不飽和分は22.5重量%であった。
実施例1で、表面処理剤をラウリン酸ナトリウム16gと牛脂脂肪酸48gに変える以外はすべて実施例1と同様とした。表面処理剤中の不飽和分は33.8重量%であった。
実施例1で、表面処理剤をステアリン酸アンモニウム64g(アルキル組成:C18:100%)に変える以外はすべて実施例1と同様とした。
実施例1で、BET比表面積45m2 /gの沈降製炭酸カルシウムの水スラリーに、BET比表面積を40m2 /gに、表面処理剤をラウリン酸ナトリウム96gと極度硬化パーム脂肪酸96gに変える以外はすべて実施例1と同様とした。
実施例1で、BET比表面積3m2 /gの沈降製炭酸カルシウムの水スラリーに、BET比表面積を3m2 /gに、表面処理剤をラウリン酸ナトリウム16gと極度硬化パーム脂肪酸16gに変える以外はすべて実施例1と同様とした。
実施例1で、表面処理剤をラウリン酸ナトリウム32gと極度硬化パーム脂肪酸32gに変える以外はすべて実施例1と同様とした。
実施例1で、表面処理剤をラウリン酸32gと極度硬化パーム脂肪酸32gに変える以外はすべて実施例1と同様とした。
実施例1で、表面処理剤をラウリン酸ナトリウム32gと極度硬化パーム脂肪酸ナトリウム32gに変える以外はすべて実施例1と同様とした。
実施例1で、乾燥時間3時間に変える以外はすべて実施例1と同様とした。表面処理剤、表面処理量、乾燥温度、乾燥時間、及び得られた粉体のSw、Tg、As、Cr、Ar、Sr、Ar/(Ar+Sr)を表2に示した。なお、比較例2〜7についても同様に表2に示した。
実施例1で、乾燥温度80℃に変える以外はすべて実施例1と同様とした。
実施例1で、BET比表面積2m2 /gの沈降製炭酸カルシウムの水スラリーに、BET比表面積を2m2 /gに、表面処理剤をラウリン酸ナトリウム12gと極度硬化パーム脂肪酸8gに変える以外はすべて実施例1と同様とした。
実施例1で、BET比表面積47m2 /gの沈降製炭酸カルシウムの水スラリーに、BET比表面積を41m2 /gに、表面処理剤をラウリン酸ナトリウム96gと極度硬化パーム脂肪酸96gに変える以外はすべて実施例1と同様とした。
実施例1で、BET比表面積45m2 /gの沈降製炭酸カルシウムの水スラリーに、BET比表面積を40m2 /gに、表面処理剤をラウリン酸ナトリウム16gと極度硬化パーム脂肪酸ナトリウム8gに変える以外はすべて実施例1と同様とした。
実施例1で、BET比表面積45m2 /gの沈降製炭酸カルシウムの水スラリーに、BET比表面積を40m2 /gに、表面処理剤をラウリン酸16gと極度硬化パーム脂肪酸ナトリウム16gに変える以外はすべて実施例1と同様とした。
実施例1で、80℃の箱形乾燥機で12時間乾燥に、表面処理剤をラウリン酸ナトリウム32gと極度硬化パーム脂肪酸ナトリウム32gに変える以外はすべて実施例1と同様とした。
実施例1〜13、比較例1〜7で得られた表面処理炭酸カルシウム填料を、下記試験方法(1)にてアクリル系プラスチゾルを作成し、その物性についてテストを行った。結果を表3,表4に示す。
[配合]
アクリルレジンゼオンアクリルレジンF345(新第一塩ビ工業株式会社製)
250重量部
ウレタンブロックポリマー(三井武田ケミカル株式会社製) 100重量部
ウレタン硬化剤(三井武田ケミカル株式会社製) 5重量部
DINP 350重量部
ターペン 75重量部
表面処理炭酸カルシウム填料 180〜425重量部
重質炭酸カルシウム 0〜245重量部
合計 1205重量部
尚、表面処理炭酸カルシウム填料の量は、ベースとなる炭酸カルシウムのBET比表面積によって粘性付与効果が異なるため、上記配合に記載されている範囲で変量し、重質炭酸カルシウム量で総量を同じにして実使用粘度に合わせて選定した。
それぞれの配合剤を5L万能混合攪拌機(ダルトン社製)に投入し3分間混練し、いったん蓋を開け壁面に付着している配合剤を掻き落とした後、再度真空雰囲気下で10分混練する。混練後のゾルを遊星式脱泡混練機(クラボウ株式会社製/KK−500)にて、混練条件5−5−18で脱泡し、アクリルゾルを作成した。
なお、上記混練条件「a−b−c」は、aは公転条件、bは自転条件を示し、cは時間を示しc×10秒を意味する。
混練後のアクリルゾルを100mlのPP(ポリプロピレン)カップに詰め、23℃にて3日静置後、TV形粘度計(VISCOMETER TV−22、東機産業(株)製)を用いて(レンジH、スピンドルNo.H7)2rpm、20rpmの粘度を初期粘度として測定した。
2rpm粘度は2分後の値を、20rpmは1分後の値をそれぞれ粘度値とした。また、TI値は、2rpm粘度値を20rpm粘度値で割った値で表した。また、混練後のアクリルゾルを100mlのPPカップに詰め、40℃にて3日静置したものを、23℃にて3時間放冷した後、2rpm、20rpmの粘度を貯蔵後粘度、2rpm/20rpmの数値を貯蔵後のTI値として測定した。
TI値(2rpm粘度/20rpm粘度)に応じて以下の基準にて判定を行った。
◎:6.00以上
○:5.50以上6.00未満
△:5.00以上5.50未満
×:5.00未満
23℃×3日後で測定した初期粘度値と40℃×3日後(23℃×3時間放冷)で測定した貯蔵後粘度値を次式に基づいて粘度変化割合及びTI値変化割合を求め貯蔵安定性(変化の割合%)を評価した。
粘度変化割合:
[(貯蔵後各回転数での粘度値)/(初期各回転数での粘度値)]×100
TI値変化割合:
[(貯蔵後TI値/初期TI値)]×100
[貯蔵安定性判定基準]
粘度変化割合とTI値変化割合に応じて以下の基準にて判定を行った。
◎:粘度変化割合105%未満でTI値変化割合95% 以上
○:粘度変化割合105%以上120%未満でTI値変化割合85% 以上95% 未満
△:粘度変化割合120%以上130%未満でTI値変化割合80% 以上85% 未満
×:粘度変化割合130%以上でTI値変化割合80% 未満
表面処理炭酸カルシウム填料を計量し紙袋へ投入した。この紙袋に1m2 あたり1tの荷重がかかるようにおもりをのせて50℃×7日間の圧密を行った。( 紙袋サイズ20cm×20cmの場合、40kgの荷重)
5L万能混合攪拌機(ダルトン社製)にそれぞれの配合剤と圧密条件を行った表面処理炭酸カルシウムを投入し3分間混練し、いったん蓋を開け壁面に付着している配合剤を掻き落とした後、再度真空雰囲気下で10分混練する。混練後のゾルを遊星式脱泡混練機(クラボウ株式会社製/KK−500)にて、混練条件5−5−18で脱泡し、アクリルゾルを作成した。
混合終了後のアクリルゾルをガラス板に縦5cm以上、横5cm以上、厚み1mm以内となるようにヘラで薄く塗り広げた。なお、上記混練条件「a−b−c」は、aは公転条件、bは自転条件を示し、cは時間を示しc×10秒を意味する。
[分散性試験判定基準]
ガラス板上に塗られたアクリルゾル表面に、5cm四方あたり0.5mm以上の粒の個数を計測し、計測された数によって以下の基準にて分散性の判定を行った。
○:0.5mm以上の粒が0個
△:0.5mm以上の粒が1個又は2個
×:0.5mm以上の粒が3個以上
混練後のアクリルゾルを100mlのPPカップに詰め、23℃にて3日静置後、130×60mmの被着体に12mm半円ビードに100mmの長さで塗布後、23℃にて垂直放置し30分後のゾルの滑り落ちた距離を定規にて測定した。
[耐スリップ性試験判定基準]
以下に示す基準にて判定を行った。
○:0mm
△:0mmを超え10mm未満
×:10mm以上
混練後のアクリルゾルを、十分に磨き仕上げした70mm×150mmの鋼板に、3mmの厚さになるように塗布し、100℃の恒温槽で30分焼き付け硬化させ、15分間常温に曝して冷却させた後、さらに130℃で30分、冷却15分を2回繰り返し、それぞれ冷却後に硬化塗膜を爪で剥がし、硬化塗膜が電着板に残った状態を凝集破断の割合(CF%)で密着性を確認した。下記の基準で判定した。
[電着板密着性判定基準]
○:密着性に極めて優れ、剥がそうとすると硬化塗膜が電着板にすべて残った状態で破断(CF100%)
△:密着性に優れているが、剥がした際に硬化塗膜が電着板に70% 以上100%未満残った状態で破断(70%≦CF<100%)
×:容易に剥がれ、剥がした際に硬化塗膜が電着板に70%未満しか残らない状態で破断(CF<70% )
表3及び表4において、実施例1〜13の表面処理炭酸カルシウム填料を配合した実施例14〜26のアクリル系プラスチゾルは、分散性、チキソ性に優れ、かつ貯蔵安定性、耐スリップ性、電着板との密着性にも優れた性能を示していることがわかる。
実施例1〜13、比較例1〜7で得られた表面処理炭酸カルシウム填料を、下記試験方法(2)にて塩化ビニル系プラスチゾルを作成し、その物性についてテストを行った。結果を表5,表6に示す。
尚、(試験方法(2)塩化ビニル系プラスチゾル)については、下記の配合以外は、上記(試験方法(1)アクリル系プラスチゾル)に準じて行った。
塩ビペーストレジンPCH−22(株式会社カネカ製) 250重量部
ポリアミド(株式会社ヘンケル製) 15重量部
DINP 250重量部
ターペン 37重量部
生石灰(和光純薬(株)製) 15重量部
表面処理炭酸カルシウム填料 75〜200重量部
重質炭酸カルシウムスーパーS(丸尾カルシウム(株)製) 250〜375重量部
合計 1017重量部
尚、表面処理炭酸カルシウム填料の量は、ベースとなる炭酸カルシウムのBET比表面積によって粘性付与効果が異なるため、上記配合に記載されている範囲内で変量し、重質炭酸カルシウムの量で総量を同じにして実使用粘度に合わせて選定した。
表5及び表6において、実施例1〜13の表面処理炭酸カルシウム填料を配合した実施例27〜39の塩化ビニル系プラスチゾルは、分散性、チキソ性に優れ、かつ貯蔵安定性、耐スリップ性、電着板との密着性にも優れた性能を示していることがわかる。
実施例1〜13、比較例1〜7で得られた表面処理炭酸カルシウム填料を、下記試験方法(3)にて1成分形ポリウレタン系シーラントを作成し、その効果テストを行った。結果を表7,表8に示す。
[配合]
ポリウレタン樹脂タケネートL−1036(三井武田ケミカル株式会社製)
540重量部
表面処理炭酸カルシウム 390重量部
重質炭酸カルシウム 90重量部
ミネラルターペン 120重量部
合 計 1140重量部
尚、表面処理炭酸カルシウム填料の量は、ベースとなる炭酸カルシウムのBET比表面積によって粘性付与効果が異なるが、接着剤用途によって低粘度、高粘度タイプが存在するのですべて同一量で行った。
5L万能混合撹拌機((株)ダルトン製)にポリウレタン樹脂を投入し、あらかじめ105℃×2時間以上乾燥させた表面処理炭酸カルシウム填料及び重質炭酸カルシウムとともに投入し、低速15分予備撹拌を行った。その後、混合撹拌機内に付着した填料を掻き落とした後、ただちに真空雰囲気下で高速30分混練を行った。最後にミネラルターペンを投入し真空雰囲気下で低速15分混合した。これをアルミ箔ラミネートコーティングされたカートリッジ内に充填、金属プランジャーで密栓し、1成分形ポリウレタンシーラントを作成した。
23℃で1日静置したシーラントをカートリッジガンにて100mlPPカップへ詰め、TV形粘度計(VISCOMETER TV−22、東機産業(株)製)を用いて(レンジS、スピンドルNo.H7)測定した。
1rpm粘度は3分後の値を、10rpmは1分後の値をそれぞれ混合粘度値とした。また、TI値は、1rpm粘度値を10rpm粘度値で割った値で表した。なお、実施例49、比較例24は低粘度のためレンジHにて測定した。
TI値(1rpm粘度/10rpm粘度)に応じて以下の基準にて判定を行った。
◎:6.00以上
○:5.50以上6.00未満
△:5.00以上5.50未満
×:5.00未満
23℃×1日後で測定した初期粘度値と50℃×7日後(23℃×3時間放冷)で測定した貯蔵後粘度値を次式に基づいて粘度変化割合及びTI値変化割合を求め貯蔵安定性(変化の割合%)を評価した。
粘度変化割合:
[(貯蔵後各回転数での粘度値)/(初期各回転数での粘度値)]×100
TI値変化割合:
[(貯蔵後TI値)/(初期TI値)]×100
[貯蔵安定性判定基準]
粘度変化割合とTI値変化割合に応じて以下の基準にて判定を行った。
◎:粘度変化割合120%未満でTI値変化割合95% 以上
○:粘度変化割合120%以上140%未満でTI値変化割合80% 以上95% 未満
△:粘度変化割合140%以上150%未満でTI値変化割合70% 以上80% 未満
×:粘度変化割合150%以上でTI値変化割合70% 未満
表面処理炭酸カルシウム填料390gを計量し紙袋へ投入した。この紙袋に1m2 あたり1tの荷重がかかるようにおもりをのせて50℃×7日間の圧密を行った。この圧密条件後の表面処理炭酸カルシウムを105℃×2時間以上乾燥させておく。
5L万能混合撹拌機((株)ダルトン製)にポリウレタン樹脂を投入後に、あらかじめ105℃×2時間以上乾燥させた圧密状態後の表面処理炭酸カルシウム填料540g及び重質炭酸カルシウム90gをともに投入し、低速15分予備撹拌を行った。その後、混合撹拌機内に付着した填料を掻き落とした後、ただちに真空雰囲気下で高速30分混練を行った。最後にミネラルターペン120gを投入し真空雰囲気下で低速15分混合した。混合終了後のシーラントをガラス板に縦5cm以上、横5cm以上、厚み1mm以内となるようにヘラで薄く塗り広げた。
[分散性試験判定基準]
ガラス板上に塗られたシーラント表面に5cm四方あたり0.5mm以上の粒の個数を計測し、計測された数によって以下の基準にて分散性の判定を行った。
○:0.5mm以上の粒が0個
△:0.5mm以上の粒が1個又は2個
×:0.5mm以上の粒が3個以上
アルミニウム板(50mm×50mm×3mm )表面に、プライマー(NO.30 横浜ゴム(株)製)を塗布し、60分乾燥させた後、上記シーラントを充填(形状12mm×12mm×50mm)し、JIS A 1439 建築用シーリング材 5.17.2 耐久性、引張試験体の作製 に準拠して、H型試験体を作成した。
この試験体を23℃×14日+35℃×14日養生し、23℃×1 日後に 引張試験機(オートグラフAG−1(株)島津製作所製)を用いて測定した。
50%引張応力:1分間に50mmの速度で引張り、伸び率50%(6mm)伸長させた時の荷重をシーラントの断面積(600mm2 )で割った値
最大強度:1分間に50mmの速度で引張り、最も大きい荷重をシーラントの断面積で割った値
伸び率:最大強度測定時の変位量を、充填時の形状(12mm)で割って、100 倍した値
接着性(初期) :23℃×14日+35℃×14日養生し、23℃×1 日後 引張試験を行った時に破壊したアルミ接着面に残っているシーラントの割合で判定
接着性(温水) :初期養生後、50℃温水×7 日浸せき後に引張試験を行い、破壊したアルミ接着面に残っているシーラントの割合で判定
[引張試験判定基準]
50%引張応力: ○:0.20N/mm2 未満
×:0.20N/mm2 以上
最大強度: ◎:1.00 N/mm2以上
○:0.60 N/mm2 以上1.00 N/mm2未満
△:0.50 N/mm2 以上0.60 N/mm2未満
×:0.50 N/mm2 未満
伸び率: ◎:700%以上
○:600%以上700%未満
△:500%以上600%未満
×:500 %未満
接着性:アルミ接着面にシーラントが残った状態を凝集破壊の割合(CF%)で表わし、下記の基準にて評価した。
○:シーラントが100%残った状態で破壊(CF100%)
△:シーラントが50% 以上100%未満残った状態で破壊(CF50% 〜CF99% )
×:シーラントが50% 未満残った状態CF<50% 、もしくは剥がれた状態(AF)
表7及び表8において、実施例1〜13の表面処理炭酸カルシウム填料を配合した実施例40〜52のポリウレタン系シーラントは、分散性、チキソ性に優れ、かつ貯蔵安定性、接着強度、伸び率が大きく、温水接着性にも優れた性能を示していることがわかる。
実施例1〜13、比較例1〜7で得られた表面処理炭酸カルシウム填料を、下記試験方法(4)にて1成分形変成シリコーン系シーラントを作成し、その効果テストを行った。結果を表9,表10に示す。
[配合]
変成シリコーン樹脂(MSポリマーS203 (株)カネカ製) 300重量部
可塑剤DINP((株)ジェイプラス社製) 180重量部
重質炭酸カルシウム(スーパーS 丸尾カルシウム(株)製) 90重量部
表面処理炭酸カルシウム填料 420重量部
脱水剤KBM-1003(信越化学工業株式会社製) 18重量部
スズ触媒ネオスタンU220H (日東化成株式会社製) 6重量部
アミノシランKBM-603(信越化学工業株式会社製) 6重量部
合計 1020重量部
5L万能混合撹拌機((株)ダルトン製)に変成シリコーン樹脂を投入し、あらかじめ105℃×2時間以上乾燥させた表面処理炭酸カルシウム填料及び重質炭酸カルシウムとともに投入し、低速15分予備撹拌を行った。その後、混合撹拌機内に付着した填料を掻き落とした後、ただちに真空雰囲気下で高速30分混練を行った。その後に脱水剤、スズ触媒、アミノシランを投入し真空雰囲気下で低速15分混合した。これをアルミ箔ラミネートコーティングされたカートリッジ内に充填、金属プランジャーで密栓し、1成分形変成シリコーンシーラントを作成した。
23℃で1日静置したシーラントをカートリッジガンにて100mlPPカップへ詰め、TV形粘度計(VISCOMETER TV−22、東機産業(株)製)を用いて(レンジS、スピンドルNo.H7)測定した。
1rpm粘度は3分後の値を、10rpmは1分後の値をそれぞれ粘度値とした。また、TI値は、1rpm粘度値を10rpm粘度値で割った値で表した。なお、実施例62、比較例31は低粘度のためレンジHを用いて測定した。
[粘度判定基準]
TI 値(1rpm粘度/10rpm粘度)に応じて以下の基準にて判定を行った。
◎:6.00以上
○:5.50以上6.00未満
△:5.00以上5.50未満
×:5.00未満
23℃×1日後で測定した初期粘度値と50℃×7日後(23℃×3時間放冷)で測定した貯蔵後粘度値を次式に基づいて粘度変化割合及びTI値変化割合を求め、貯蔵安定性(変化の割合%)を評価した。
粘度変化割合:
[(貯蔵後各回転数での粘度値)/(初期各回転数での粘度値)]×100
TI値変化割合:
[(貯蔵後TI値)/(初期TI値)]×100
[貯蔵安定性判定基準]
粘度変化割合とTI値変化割合に応じて以下の基準にて判定を行った。
◎:粘度変化割合120%未満でTI値変化割合95% 以上
○:粘度変化割合120%以上140%未満でTI値変化割合80% 以上95% 未満
△:粘度変化割合140%以上150%未満でTI値変化割合70% 以上80% 未満
×:粘度変化割合150%以上でTI値変化割合70% 未満
表面処理炭酸カルシウム填料420gを計量し紙袋へ投入した。この紙袋に1m2 あたり1tの荷重がかかるようにおもりをのせて50℃×7日間の圧密を行った。この圧密条件後の表面処理炭酸カルシウム填料を105℃×2時間以上乾燥させておく。
5L万能混合撹拌機((株)ダルトン製)に変成シリコーン樹脂300g、可塑剤180gを投入後に、あらかじめ105℃×2時間以上乾燥させた圧密状態後の表面処理炭酸カルシウム填料及び重質炭酸カルシウム90gをともに投入し、低速15分予備撹拌を行った。その後、混合撹拌機内に付着した填料を掻き落とした後、ただちに真空雰囲気下で高速30分混練を行った。その後に脱水剤18g、スズ触媒6g、アミノシラン6gを投入し真空雰囲気下で低速15分混合した。混合終了後のシーラントをガラス板に縦5cm以上、横5cm以上、厚み1mm以内となるようにヘラで薄く塗り広げた。
[分散性試験判定基準]
ガラス板上に塗られたシーラント表面に、5cm四方あたり0.5mm以上の粒の個数を計測し、計測された数によって以下の分散性の判定を行った。
○:0.5mm以上の粒が0個
△:0.5mm以上の粒が1個又は2個
×:0.5mm以上の粒が3個以上
アルミニウム板(50mm×50mm×3mm )表面に、プライマー(NO.40 横浜ゴム(株)製)を塗布し、60分乾燥させた後、上記シーラントを充填(形状12mm×12mm×50mm)し、JIS A 1439 建築用シーリング材 5.17.2 耐久性、引張試験体の作製 に準拠して、H型試験体を作成した。
この試験体を23℃×14日+35℃×14日養生し、23℃×1 日後に、引張試験機(オートグラフAG−1(株)島津製作所製)を用いて測定した。
50%引張応力:1分間に50mmの速度で引張り、伸び率50%(6mm)伸長させた時の荷重をシーラントの断面積(600mm2 )で割った値
最大強度:1分間に50mmの速度で引張り、最も大きい荷重をシーラントの断面積で割った値
伸び率:最大強度測定時の変位量を、充填時の形状(12mm)で割って、100 倍した値
接着性(初期) :23℃×14日+35℃×14日養生し、23℃×1 日後 引張試験を行った時に破壊したアルミ接着面に残っているシーラントの割合で判定
接着性(温水) :初期養生後、50℃温水×7 日浸せき後に引張試験を行い、破壊したアルミ接着面に残っているシーラントの割合で判定
[引張試験判定基準]
50%引張応力: ○:0.20N/mm2 未満
×:0.20N/mm2 以上
最大強度: ◎:1.00 N/mm2以上
○:0.40 N/mm2 以上1.00 N/mm2未満
△:0.30 N/mm2 以上0.4 N/mm2 未満
×:0.30 N/mm2 未満
伸び率: ◎:700%以上
○:600%以上700%未満
△:500%以上600%未満
×:500 %未満
接着性:アルミ接着面にシーラントが残った状態を凝集破壊の割合(CF%)で表わし、下記の基準で評価した。
○:シーラントが100%残った状態で破壊(CF100%)
△:シーラントが50% 以上100%未満残った状態で破壊(CF50% 〜CF99% )
×:シーラントが50% 未満残った状態CF<50% 、もしくは剥がれた状態(AF)
表9及び表10において、実施例1〜13の表面処理炭酸カルシウム填料を配合した実施例53〜65の変成シリコーン系シーラントは、分散性、チキソ性に優れ、かつ貯蔵安定性、接着強度、伸び率が大きく、温水接着性にも優れた性能を示していることがわかる。
実施例1〜13、比較例1〜7で得られた表面処理炭酸カルシウム填料を、下記試験方法(5)にて1成分形シリコーン系シーラントを作成し、その効果テストを行った。結果を表11,表12に示す。
[配合]
シリコーン樹脂(米国製) 420重量部
シリコーンオイルSH-200(東レダウコーニングシリコーン製 30重量部
オキシムシラン(米国社製) 48重量部
表面処理炭酸カルシウム填料 450重量部
脱水剤KBM-1003(信越化学工業株式会社製) 18重量部
スズ触媒ネオスタンU-100 (日東化成株式会社製) 1重量部
合計 957重量部
5L万能混合撹拌機((株)ダルトン製)にシリコーン樹脂、シリコーンオイル、オキシムシランを投入し、あらかじめ105℃×2時間以上乾燥させた表面処理炭酸カルシウム填料とともに投入し、低速15分予備撹拌を行った。その後、混合撹拌機内に付着した填料を掻き落とした後、ただちに真空雰囲気下で高速30分混練を行った。その後に脱水剤、スズ触媒を投入し真空雰囲気下で低速15分混合した。これをアルミ箔ラミネートコーティングされたカートリッジ内に充填、金属プランジャーで密栓し、1成分形シリコーンシーラントを作成した。
23℃で1日静置したシーラントをカートリッジガンにて100mlPPカップへ詰め、TV形粘度計(VISCOMETER TV−22、東機産業(株)製)を用いて(レンジS、スピンドルNo.H7)測定した。
1rpm粘度は3分後の値を、10rpmは1分後の値をそれぞれ混合粘度値とした。また、TI値は、1rpm粘度値を10rpm粘度値で割った値で表した。なお、実施例75、比較例38は低粘度のためレンジHを用いて測定した。
[粘度判定基準]
TI値(1rpm粘度/10rpm粘度)に応じて以下の基準にて判定を行った。
◎:5.50以上
○:5.00以上5.50未満
△:4.50以上5.00未満
×:4.50未満
23℃×1日後で測定した初期粘度値と50℃×7日後(23℃×3時間放冷)で測定した貯蔵後粘度値を次式に基づいて粘度変化割合及びTI値変化割合を求め、貯蔵安定性(変化の割合%)を評価した。
粘度変化割合:
[(貯蔵後各回転数での粘度値)/(初期各回転数での粘度値)]×100
TI値変化割合:
[(貯蔵後TI値)/(初期TI値)]×100
[貯蔵安定性判定基準]
粘度変化割合とTI値変化割合に応じて以下の基準にて判定を行った。
◎:粘度変化割合110%未満でTI値変化割合95% 以上
○:粘度変化割合110%以上120%未満でTI値変化割合90% 以上95% 未満
△:粘度変化割合120%以上130%未満でTI値変化割合80% 以上90% 未満
×:粘度変化割合130%以上でTI値変化割合80% 未満
表面処理炭酸カルシウム填料450gを計量し紙袋へ投入した。この紙袋に1m2 あたり1tの荷重がかかるようにおもりをのせて50℃×7日間の圧密を行った。この圧密条件後の表面処理炭酸カルシウムを105℃×2時間以上乾燥させておく。
5L万能混合撹拌機((株)ダルトン製)にシリコーン樹脂420g、シリコーンオイル30g、オキシムシラン48gを投入し、あらかじめ105℃×2時間以上乾燥させた圧密条件後の表面処理炭酸カルシウム填料とともに投入し、低速15分予備撹拌を行った。その後、混合撹拌機内に付着した填料を掻き落とした後、ただちに真空条件下で高速30分混練を行った。その後に脱水剤18g、スズ触媒1gを投入し真空条件下で低速15分混合した。これをアルミ箔ラミネートコーティングされたカートリッジ内に充填、金属プランジャーで密栓し、1成分形シリコーンシーラントを作成した。混合終了後のシーラントをガラス板に縦5cm以上、横5cm以上、厚み1mm以内となるようにヘラで薄く塗り広げた。
[分散性試験判定基準]
ガラス板上に塗られたシーラント表面に5cm四方あたり0.5mm以上の粒の個数を計測し、認められた数によって以下の分散性の判定を行った。
○:0.5mm以上の粒が0個
△:0.5mm以上の粒が1個又は2個
×:0.5mm以上の粒が3個以上
アルミニウム板(50mm×50mm×3mm )表面に、プライマー(#D 信越化学工業(株)製)を塗布し、60分乾燥させた後、上記シーラントを充填(形状12mm×12mm×50mm)し、JIS A 1439 建築用シーリング材 5.17.2 耐久性、引張試験体の作製 に準拠して、H型試験体を作成した。
この試験体を23℃×14日+35℃×14日養生し、23℃×1 日後に 引張試験機(オートグラフAG−1(株)島津製作所製)を用いて測定した。
50%引張応力:1分間に50mmの速度で引張り、伸び率50%(6mm)伸長させた時の荷重をシーラントの断面積(600mm2 )で割った値
最大強度:1分間に50mmの速度で引張り、最も大きい荷重をシーラントの断面積で割った値
伸び率:最大強度測定時の変位量を、充填時の形状(12mm)で割って、100 倍した値
接着性(初期) :23℃×14日+35℃×14日養生し、23℃×1 日後 引張試験を行った時に破壊したアルミ接着面に残っているシーラントの割合で判定
接着性(温水) :初期養生後、50℃温水×7 日浸せき後に引張試験を行い、破壊したアルミ接着面に残っているシーラントの割合で判定
[引張試験判定基準]
50%引張応力: ○:0.60N/mm2 未満
×:0.60N/mm2 以上
最大強度: ◎:0.80 N/mm2 以上
○:0.70 N/mm2 以上0.8 N/mm2 未満
△:0.60 N/mm2 以上0.7 N/mm2 未満
×:0.60 N/mm2 未満
伸び率: ◎:200%以上
○:150%以上〜200%未満
△:100%以上〜150%未満
×:100 %未満
接着性:アルミ接着面にシーラントが残った状態を凝集破壊(CF)で表わし、下記の基準で評価した。
○:シーラントが100%残った状態で破壊(CF100%)
△:シーラントが50% 以上100%未満残った状態で破壊(CF50% 〜CF99% )
×:シーラントが50% 未満残った状態CF<50% 、もしくは剥がれた状態(AF)
表11及び表12において、実施例1〜13の表面処理炭酸カルシウム填料を配合した実施例66〜78のシリコーン系シーラントは、分散性、チキソ性に優れ、かつ貯蔵安定性、接着強度、伸び率が大きく、温水接着性にも優れた性能を示していることがわかる。
Claims (6)
- 炭酸カルシウムが、脂肪酸、その水溶性の塩から選ばれる少なくとも1種を含有する表面処理剤で表面処理され、下記式(1)〜(5)を満足することを特徴とする、ポリウレタン樹脂用の表面処理炭酸カルシウム填料。
(1)3≦Sw≦40 [m2 /g]
(2)0.40≦As≦5.50 [mg/m2 ]
(3)85≦Cr≦100 [重量%]
(4)2≦Ar≦9 [重量%]
(5)0.27≦Ar/(Ar+Sr)≦1.00 [−]
但し、
Sw:表面処理炭酸カルシウムのBET比表面積 [m2 /g]
As:次式で求められる単位比表面積当たりの表面処理剤量 As=Tg/Sw[mg/m2 ]
Tg:200℃〜500℃の表面処理炭酸カルシウム1g当たりの熱減量[mg/g]
Cr:表面処理炭酸カルシウムをエタノール抽出した時に、遊離物として溶出されないで炭酸カルシウム側に残される表面処理剤量が総表面処理剤量に占める割合[重量%]
Ar:表面処理炭酸カルシウムをエタノール抽出して求められる遊離物量中の遊離脂肪酸量の総表面処理剤量に対する割合[重量%]
Sr:表面処理炭酸カルシウムをエタノール抽出して求められる遊離物量中の対イオンが1価の脂肪酸塩量の総表面処理剤量に対する割合[重量%] - 表面処理剤中の不飽和分が0〜30重量%である請求項1記載の表面処理炭酸カルシウム填料。
- 請求項1又は2に記載の表面処理炭酸カルシウム填料をポリウレタン樹脂に配合してなる硬化型樹脂組成物。
- ポリウレタン樹脂が1成分形ポリウレタン系シーラントであることを特徴とする請求項3記載の硬化型樹脂組成物。
- シーリング材である請求項3又は4記載の硬化型樹脂組成物。
- 接着剤である請求項3又は4記載の硬化型樹脂組成物。
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