JP4707066B2 - 電子装置、及びその接続部の接触状態検出装置 - Google Patents

電子装置、及びその接続部の接触状態検出装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子装置において、接点やコネクタを介して電気信号の伝送や電力の供給を行う部分(接続部)の接触状態を検出する装置に関し、詳細には、電子装置の稼動中にその負荷変動に影響されずに正確に接触異常状態の検出及び接触異常状態から正常状態への復帰の検出を可能にした接触状態検出装置及びそれを備えた電子装置に関する。
従来、このような電子装置の接続部の接触状態を検出する装置、或いは接触不良に対する保護装置としては、本体とセンサーとの接続部のコネクタの接触抵抗を検出するため、センサー素子に整流素子を並列接続し、本体から印加する電圧の向きを通常の動作時と逆極性にし、そのときのセンサー側の出力電圧に基づいて、上記コネクタの接触抵抗を検出するもの(特許文献1)、コネクタの嵌合部の両端の電位を検出して比較し、その差が所定値を超えたときに、コネクタを介する給電を停止するようにしたもの(特許文献2)、コネクタを介して電源から電力が供給される電力機器において、予め正常な動作時の消費電流を検出して記憶しておき、動作時の一定時間の消費電流が予め記憶されている消費電流を下回った場合、又は上回った場合に、コネクタの接触不良と判断するもの(特許文献3)、接続異常による発熱を検出して電源供給を停止したり警報動作を実行したりするもの(特許文献4)などがある。
しかしながら、特許文献1に記載のものでは、通常の動作時と異なる極性の電圧を印加する手順の実行が必用であるため、装置の稼動状態を維持できない。また、特許文献2に記載のものでは、コネクタの嵌合部両端の電位差は接触抵抗だけでなく、通電電流にも依存するので、所定の値というのは想定できる範囲で最適な値とするしかなく、厳密な設定が困難である。さらに、特許文献3に記載のものでは、正常時の動作電流は、負荷の状態によって様々な値をとるものであって、一定の値になることは稀である。また、ある程度の期間を平均した動作電流値から判断する場合は、タイムラグが生じて迅速な対応ができない。さらに厳密な設定は困難である。そして、特許文献4に記載のものでは、発熱は接触抵抗と電流のみならず放熱条件等その他の物理的要因に左右されるので、厳密な設定が困難である。さらに、電流の値が常に細かく変動するような用途では、接触抵抗による電位差が接触不良判定の閾値付近で変動する場合があるが、このような場合に対しては、上記各特許文献に記載のものでは考慮されていない。
特開2000−214208号公報 特開2002−134964号公報 特開2004−103227号公報 特開平7−67245号公報
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電子装置の本体と負荷ユニットとを接続するコネクタ又は接点などの電気的接続部の接触不良或いは接触異常を、その電子装置の稼動中の負荷変動に影響されずに正確に検出でき、かつ接触不良或いは接触異常を検出している状態から正常に接触している状態への復帰を上記負荷変動に影響されずに正確に検出できるようにすることである。
請求項1の発明は、電子装置の本体と負荷ユニットとを接続する接続部の接触状態を検出する装置であって、前記本体から前記電気的接続部を通って前記負荷ユニットへ流れる電流の通路に設けられた基準抵抗の電気的接続部側の端以外の2点の位置の電位を第1、第2基準電位として検出する基準電位検出手段と、前記電気的接続部の両端の電位差を検出する被測定電圧検出手段と、前記第1基準電位と前記被測定電圧検出手段の出力とに基づいて前記電気的接続部の接触異常を検出する接触異常検出手段と、前記第2基準電位と前記被測定電圧検出手段の出力とに基づいて前記電気的接続部の接触異常から正常状態への復帰を検出する正常復帰検出手段とを備えたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1記載の接触状態検出装置において、前記接触異常検出手段及び正常復帰検出手段は、互いの出力によって、相手の動作を抑制する作用を有する帰還回路を備えたことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2記載の接触状態検出装置において、前記帰還回路はオープン・ドレイン出力のインバータを有することを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項2記載の接触状態検出装置において、前記帰還回路はオープン・コレクタ出力のインバータを有することを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項3又は4記載の接触状態検出装置において、前記帰還回路は、前記接触異常検出手段及び正常復帰検出手段の入力側を前記インバータのハイレベル出力から絶縁するためのダイオードを有することを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項2記載の接触状態検出装置において、前記帰還回路はバイポーラ・トランジスタを有することを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項2記載の接触状態検出装置において、前記帰還回路は電界効果トランジスタを有することを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項2記載の接触状態検出装置において、前記帰還回路はアナログ・スイッチを有することを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項2記載の接触状態検出装置において、前記帰還回路はバス・ドライバを有することを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項2記載の接触状態検出装置において、前記帰還回路はフォト・カプラを有することを特徴とする。
請求項11の発明は、請求項2記載の接触状態検出装置において、前記帰還回路はフォト・MOSリレーを有することを特徴とする。
請求項12の発明は、請求項2記載の接触状態検出装置において、前記帰還回路はフォト・トライアックを有することを特徴とする。
請求項13の発明は、請求項1乃至12の何れかに記載の接触状態検出装置を具備した電子装置。
本発明によれば、電子装置の本体と負荷ユニットとを接続するコネクタ又は接点などの電気的接続部の接触不良或いは接触異常を、その電子装置の稼動中の負荷変動に影響されずに正確に検出でき、かつ接触不良或いは接触異常を検出している状態から正常に接触している状態への復帰を上記負荷変動に影響されずに正確に検出できる。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
まず、図10に基づいて、本実施形態の接触状態検出装置を備えた電子装置の基本構成を説明する。この電子装置は、本体100と、コネクタにより本体100に接続される負荷ユニット200とからなる。本体100には電源回路(図示せず)が設けられており、電源Vcc(+24V)がコネクタの1番ピンC1から負荷ユニット200に供給され、負荷電流の流路は図示しないGND線で正極側と同様にコネクタに接続されている。電源Vccとコネクタの1番ピンC1との間には基準抵抗Rrが接続されており、基準抵抗Rrの電源側が本体100内の検知回路101の第1端子T1(+)に接続され、基準抵抗Rrのコネクタ側(以下、A点)が第2端子T2(-)に入力される。つまり、抵抗Rrの両端の電位差が、基準入力として第1端子T1及び第2端子T2から検知回路101に入力される。また、A点は検知回路100の第3端子T3(+)にも接続され、コネクタの負荷ユニット200側(以下、B点)はコネクタの2番ピンC2を介して、検知回路101の第4端子T4(-)に接続される。つまり、コネクタの両端の電位差(=A点とB点との電位差)が、被測定入力として検知回路101に入力される。第4端子T4とGNDとの間には抵抗R21が接続されている。ここで、基準抵抗Rr、抵抗R21の抵抗値はそれぞれ1Ω、100kΩである。
以上の構成を有する電子装置において、基準抵抗Rrの抵抗値は既知であるので、その両端の電位差と、A点とB点との電位差とを比較すれば、コネクタの通電電流にかかわらず、1番ピンC1の接触抵抗の変化を把握できる。検知回路101は、基準入力電圧に対する被測定入力電圧の割合が設定された条件になると、制御回路(図示せず)へ供給する検知出力が反転する。
図11は図10の検知回路101の具体的構成例である。この検知回路101は、オペアンプ102と、オペアンプ2と、コンパレータ3とを備えている。オペアンプ102の反転入力側は抵抗R1を介して第1端子T1に接続され、オペアンプ102の非反転入力側は直接第2端子T2に接続されている。オペアンプ102の出力側と反転入力側との間には帰還抵抗R2が接続されている。また、オペアンプ2の反転入力側は抵抗R3を介して第3端子T3に接続され、オペアンプ2の非反転入力側は直接第4端子T4に接続されている。オペアンプ2の出力側と反転入力側との間には帰還抵抗R4が接続されている。さらに、オペアンプ102の出力側はコンパレータ3の反転入力側に接続され、オペアンプ2の出力側はコンパレータ3の非反転入力側に接続されている。そして、コンパレータ3の出力側は4.7kΩの抵抗を介して+3.3Vの電源に接続されると共に第5の端子T5(+)に接続されている。第5端子T5と、GNDに接続された第6端子T6(-)とが検知出力端子である。抵抗RXはコネクタの接触抵抗であり、抵抗RLは負荷ユニット200の負荷抵抗である。オペアンプ102、オペアンプ2、及びコンパレータ3は、電源Vcにより動作する。
以上の構成を有する検知回路101において、オペアンプ102は、基準抵抗Rrの電圧降下をA点を基準にして出力する。オペアンプ2は、1番ピンC1の両側の電圧をB点を基準にして出力する。ここで、抵抗R1の抵抗値と抵抗R2の抵抗値とが等しく、かつ抵抗R4の抵抗値が抵抗R3の抵抗値の10倍であるとき、A点の電位をVA、B点の電位をVB、オペアンプ102の出力電圧をVOUT1、オペアンプ2の出力電圧をVOUT2とすると、下記の式〔1〕、〔2〕が成り立つ。
VOUT1=VA−(24−VA)=2VA−24・・・式〔1〕
VOUT2=VB−10(VA−VB)=11VB−10VA・・・式〔2〕
1番ピンC1の接触抵抗は通常、数十mΩであるので、仮に50mΩとして計算すると、負荷電流1Aのとき、VAは23V、VBは22.95Vなので、この値を上記式〔1〕及び式〔2〕に代入すると、VOUT1が22.0V、VOUT2が22.45Vとなる。つまりVOUT1<VOUT2となるため、コンパレータ3の出力はオープン状態となり、4.7kΩの抵抗を介して+3.3Vにプルアップされた状態となる。
他方、接触抵抗RXが増加して、オペアンプ2の出力が低下すると、コンパレータ3の出力が反転する(即ちVOUT1≧VOUT2となる)とき、次式〔3〕が成り立つ。
2VA−24=11VB−10VA・・・式〔3〕
負荷電流をI、接触抵抗の値をRXとすると、
VA=24−I・1・・・式〔4〕
VA−VB=I・RX・・・式[5]
となる。式〔4〕における“I・1”は、基準抵抗Rrの抵抗値1Ωによる電圧降下を表す。
上式〔3〕〜〔5〕より、RX=(1/11)Ωが求められる。つまり、接触抵抗RXが、約90mΩ以上に増加したとき、コンパレータ3の出力が反転する。コンパレータ3は反転によりロウ(Low)レベルを出力する。
逆に接触抵抗RXが減少し、検知出力がロウ(Low)からオープン状態に復帰する場合について説明する。図11に示す検知回路では、理論的には90mΩが検知レベルになるが、実際の応用では、検知レベルと検知状態からの復帰レベルとの間にある程度の幅(コンパレータ3にヒステリシス)を持たせないと、検知/非検知を繰り返してしまうことがあるので、図12に示す回路構成とする。
この検知回路では、図11に示す検知回路のコンパレータ3と、オペアンプ102及びオペアンプ2との間にコンパレータ1が接続されている。即ち、コンパレータ1の反転入力側にオペアンプ102の出力側が接続され、コンパレータ1の非反転入力側に抵抗R5を介してオペアンプ2の出力側が接続され、コンパレータ1の出力側にコンパレータ3の非反転入力側が接続されている。コンパレータ1の出力側と入力側との間には抵抗R6からなる正帰還回路が設けられている。また、コンパレータ1の出力側は抵抗R7を介して電源Vccに接続されている。さらに、コンパレータ3の反転入力側は、電源Vccの電位を抵抗R11及びR12で分圧した電位が入力されるように、抵抗R11とR12との接続点に接続されている。
図12に示す検知回路の検知レベルを計算する。この回路において次式〔6〕、〔7〕が成り立つ。なお、以下の説明において、各抵抗の抵抗値は具体的数値を明記した場合を除き、各抵抗の符号自身が抵抗値を表すものとする(例えば抵抗R1の抵抗値はR1)。
VOUT1=VA−(Vcc−VA)R2/R1=VA(1+R2/R1)−Vcc・R2/R1・・・式〔6〕
VOUT2=VB−(VA−VB)R4/R3=VB(1+R4/R3)−VA・R4/R3・・・式〔7〕
また、VA、VBは次式で表される。
VA=Vcc・(RX+RL)/(Rr+RX+RL)・・・式〔8〕
VB=Vcc・RL/(Rr+RX+RL)・・・式〔9〕
接触抵抗RXが増加していないとき、コンパレータ1の出力はまだオープン状態なので、コンパレータ1の非反転入力VNINV、反転入力VINVはそれぞれ次式で表される。
VINV=VOUT1=VA(1+R2/R1)−Vcc・R2/R1・・・式〔10〕
VNINV=(Vcc−VOUT2)・R5/(R5+R6+R7)+VOUT2=Vcc・R5/(R5+R6+R7)+VOUT2[1−{R5/(R5+R6+R7) }]・・・式〔11〕
接触抵抗RXが増加して、オペアンプ2の出力が低下し、コンパレータ1の出力が反転する(即ちVINVV≧VNINVとなる)とき次式〔12〕が成り立つ。
VINV=VNINV・・・式〔12〕
この式〔12〕に上記の式〔10〕及び〔11〕を代入することで次式〔13〕が得られる。
VA(1+R2/R1)−Vcc・R2/R1=Vcc・R5/(R5+R6+R7)+VOUT2[1−{ R5/(R5+R6+R7) }]・・・式〔13〕
この式〔13〕に式〔6〕〜〔9〕を代入して整理すると、
RX={R5(Rr+RL)/(R5+R6+R7)−RL・R2/R1}/[1+R2/R1+R4/R3−{ R5/(R5+R6+R7) ]・・・式〔14〕
となり、RXの値がRLの影響を受けてしまうことが分かる。従って、RLが変化するとRXの検出レベルが変わってしまう。これは例えば、RLがサーミスタのように、その抵抗値が数百Ω〜数百kΩの間で変化する場合に、コネクタの接続異常検出時の動作閾値(検知レベル)がRLによって変化してしまうので、実用的でない。
上述したコネクタの接続異常検出時の動作閾値がRLによって変化してしまうという問題は図13に示す回路構成とすることで解決できる。この検知回路は、コンパレータ1と、オペアンプ2と、コンパレータ3とを備えている。コンパレータ1の非反転入力側は抵抗R5を介して第1端子T1に接続され、コンパレータ1の反転入力側はオペアンプ2の出力側に接続されている。コンパレータ1の出力側と非反転入力側との間には正帰還抵抗R6が接続されている。また、オペアンプ2の非反転入力側は直接第3端子T3に接続され、オペアンプ2の反転入力側は抵抗R3を介して第4端子T4に接続されている。オペアンプ2の出力側と反転入力側との間には帰還抵抗R4が接続されている。さらに、オペアンプ2の出力側はコンパレータ1の反転入力側に接続されている。また、コンパレータ1の出力側は抵抗R7を介して電源Vccに接続されている。さらに、コンパレータ3の反転入力側は、電源Vccの電位を抵抗R11及びR12で分圧した電位が入力されるように、抵抗R11とR12との接続点に接続されている。そして、コンパレータ3の出力側は5.1kΩ抵抗を介して+3.3Vの電源に接続されると共に第5の端子T5(+)に接続されている。第5端子T5と、GNDに接続された第6端子T6とが検知出力端子である。コンパレータ1、オペアンプ2、及びコンパレータ3は、電源Vcにより動作する。第2端子T2はどこにも接続されていない。
以上の構成を有する検知回路において、オペアンプ2の出力VOUT2は次式〔15〕で表される。
VOUT2=VA+(VA−VB)R4/R3=VA(1+R4/R3)−VB・R4/R3・・・式〔15〕
コンパレータ1の出力はまだオープン状態なので、コンパレータ1の非反転入力VNINV、反転入力VINVはそれぞれ次式で表される。
VINV=VOUT2=VA(1+R4/R3)−VB・R4/R3・・・式〔16〕
VNINV=Vcc・・・式〔17〕
接触抵抗RXが増加して、オペアンプ2の出力が上昇しコンパレータ2の出力が反転する(即ちVINV≧VNINVとなる)とき、式〔12〕(VINV=VNINV)が成り立つから、この式〔12〕に上記の式〔16〕及び〔17〕を代入することにより、次式〔18〕が得られる。
VA(1+R4/R3)−VB・R4/R3=Vcc・・・式〔18〕
この式〔18〕に、式〔8〕及び〔9〕を代入して整理すると、
RX=Rr・R4/R3・・・式〔19〕
が得られる。この式より、検出レベルは負荷抵抗RLの影響を受けないことが分かる。
このように図13に示す検知回路によれば、図12に示す回路のようにコンパレータ1に基準抵抗Rrの両端の電位差に対応する電圧を入力するのではなく、基準抵抗Rrの電源Vcc側の電位、つまり電源Vccの電位を入力することにより、検知レベルが負荷抵抗RLの値に影響されないようにすることができる。
次に、接続異常検出状態から逆に接触抵抗RXが減少して、検知出力が非検出状態に復帰する場合の閾値を考える。
コンパレータ1の出力は接続異常検出状態なので、ロウ(Low)レベルとなる。従って、コンパレータ1の非反転入力VNINVは、次式で表される。
VNINV=Vcc・R6/(R5+R6)・・・式〔20〕
接触抵抗RXが減少して、オペアンプ2の出力が下降しコンパレータ1の出力が反転する(即ちVINV≦VNINVとなる)とき、式〔12〕(VINV=VNINV)が成り立つから、この式〔12〕に式〔16〕及び〔20〕を代入することにより、次式〔21〕が得られる。
VA(1+R4/R3)−VB・R4/R3=Vcc・R6/(R5+R6)・・・式〔21〕
この式〔21〕に、式〔8〕及び〔9〕を代入して整理すると、
RX=[ {Rr・R6/(R5+R6) }+RL{R6/(R5+R6)−1}]/{1−R6/(R5+R6) }・・・式〔22〕
となり、検知出力が非検出状態に復帰する場合の閾値がRLによって変動してしまうことが分かる。
そこで、本発明の実施形態では、ヒステリシスを持たせるための帰還回路(抵抗R6)の影響を受けないように、コネクタの接続異常検出時と復帰時とを別々のコンパレータで検出し、かつヒステリシスを持たせるように、双安定マルチバイブレータのような動作を行う検知回路を構成した。
本実施形態の検知回路を図1に示す。この図において、図13と同一又は対応する構成要素には図13と同じ符号を付した。本実施形態の検知回路は図13の検知回路と下記(1)〜(5)の点で相違する。
(1)基準抵抗がRr0、Rr1、Rr2の直列回路で構成されており、Rr0とRr1との接続点の電位が第7端子T7(+)から第1基準入力としてオペアンプ4の非反転入力側に供給され、オペアンプ4の出力VOUT1が抵抗R5を介してコンパレータ1の非反転入力側に供給される。オペアンプ4は、その出力側が反転入力側に直結されたボルテージフォロワであり、非反転入力側の電位と出力側の電位とが等しくなる。
(2)基準抵抗Rr1とRr2との接続点の電位が第8端子T8(+)から第2基準入力としてコンパレータ5の反転入力側に供給される。
(3)オペアンプ2の出力側が抵抗R8を介してコンパレータ5の非反転入力側に接続されている。
(4)コンパレータ5の出力側がインバータ11と抵抗R6との直列回路によりコンパレータ1の非反転入力側に接続され、コンパレータ1の出力側がインバータ12と抵抗R9との直列回路によりコンパレータ5の非反転入力側に接続されている。ここで、インバータ11、12はオープン・ドレイン出力である。
(5)コンパレータ5の出力側が抵抗R10を介して電源Vccに接続されている。
以上の構成を有する本実施形態の検知回路において、オペアンプ2の出力VOUT2は図13の検知回路と同じ式〔15〕で表される。
コンパレータ1の出力はまだオープン状態なので、抵抗R9がインバータ12のロウ(Low)出力でドライブされ、コンパレータ5の出力はロウ(Low)となる。従って、インバータ11の出力はオープン状態になるので、コンパレータ1の非反転入力VNINV1、反転入力VINV1は、それぞれ次式〔23〕、〔24〕で表される。
VNINV1=Vcc・(Rr1+Rr2+RX+RL)/(Rr0+Rr1+Rr2+RX+RL)・・・式〔23〕
VINV1=VOUT2=VA(1+R4/R3)−VB・R4/R3・・・式〔24〕
接触抵抗RXが増加して、オペアンプ2の出力が上昇しコンパレータ1の出力が反転する(即ちVINV1≧VNINV1となる)とき、
VINV1=VNINV1・・・式〔25〕
が成り立つ。この式〔25〕に、式〔23〕及び〔24〕を代入することで、次式〔26〕が得られる。
VA(1+R4/R3)−VB・R4/R3=Vcc・(Rr1+Rr2+RX+RL)/(Rr0+Rr1+Rr2+RX+RL)・・・式〔26〕
また、VA、VBは次式〔27〕、〔28〕で表される。
VA=Vcc・(RX+RL)/(Rr0+Rr1+Rr2+RX+RL)・・・式〔27〕
VB=Vcc・RL/Rr0+Rr1+Rr2+RX+RL)・・・式〔28〕
式〔26〕に、式〔27〕及び〔28〕を代入して整理すると、
RX=(Rr1+Rr2)・R4/R3・・・式〔29〕
が求められる。従って、検知レベルは負荷抵抗RLの影響を受けないことが分かる。
コンパレータ1の出力がオープン状態から反転してロウ(Low)になると、インバータ12の出力はオープン状態となり、コンパレータ5の出力もオープン状態となる。よって、インバータ11の出力はロウ(Low)となり、コンパレータ1はヒステリシスが掛かった状態になるため、RXが僅かに減少してもコンパレータ1の出力は変化しない。
次に、検出状態から逆に接触抵抗RXが減少して、検知出力が非検出状態に復帰する場合の閾値について説明する
コンパレータ1の出力は接続異常検出状態なので、ロウ(Low)である。インバータ12の出力はオープン状態なので、コンパレータ5の非反転入力VNINV2は、次式〔30〕で表される。
VINV2=VOUT2=VA(1+R4/R3)−VB・R4/R3・・・式〔30〕
また、コンパレータ2の反転入力VINV2は次式〔31〕で表される。
VINV2=Vcc・(Rr2+RX+RL)/(Rr0+Rr1+Rr2+RX+RL)・・・式〔31〕
接触抵抗RXが減少して、オペアンプ2の出力が下降しコンパレータ5の出力が反転する(即ちVINV2≧VNINV2となる)とき次式〔32〕が成り立つ。
VINV2=VNINV2・・・式〔32〕
この式〔32〕に、式〔30〕、〔31〕を代入することで、次式〔33〕が得られる。
VA(1+R4/R3)−VB・R4/R3=Vcc・(Rr2+RX+RL)/(Rr0+Rr1+Rr2+RX+RL)・・・式〔33〕
この式〔33〕に、式〔27〕及び〔28〕を代入して整理すると、
Rx=Rr2・R4/R3・・・式〔34〕
が求められる。つまり、非検出状態に復帰する場合の閾値は負荷抵抗RLの影響を受けないことが分かる。
コンパレータ2の出力がロウ(Low)になると、インバータ11の出力はオープン状態となり、コンパレータ1の出力はオープン状態となる。よって、インバータ12の出力はロウ(Low)となり、コンパレータ5はヒステリシスが掛かった状態になるため、RXが僅かに増加してもコンパレータ5の出力は変化しない。
このように、RXの値が、(Rr1+Rr2)・R4/R3以上で検知出力がオンとなり、Rr2・R4/R3以下で検知出力オフとなるようなヒステリシスを持った双安定の動作となる。
最終段のコンパレータ3の出力はオープン状態のとき+3.3Vでプルアップされているので、TTLレベル等のロジック回路にインタフェースでき、制御回路に接続される。制御回路は警告表示や電源供給停止などの制御を行う。なお、インバータ12としてオープン・コレクタ出力を用いることもできる。
このように本実施形態によれば、基準抵抗Rr0とRr1との接続点の電位を第1基準入力とし、基準抵抗Rr1とRr2との接続点の電位を第2基準入力とし、それらをコンパレータ1,5により別々にオペアンプ2の出力と比較すると共に、コンパレータ1,5のそれぞれの出力側をインバータ12,11の非反転入力側(第1,第2基準入力に接続される側)に接続し、双安定マルチバイブレータのように動作させることにより、負荷RLに影響されず、かつ検出特性にヒステリシスを持たせることができる。
本発明の実施形態の変形例を図2〜9に示す。
図2は、図1におけるインバータ11と抵抗R6との間、及びインバータ12と抵抗R9との間に、それぞれ抵抗R6、 R9をインバータ11、12のハイ(High)レベル出力から絶縁するためのダイオード13、14を接続したものである。図3は、図1のインバータ11と抵抗R6との間、及びインバータ12と抵抗R9との間に、それぞれバス・ドライバ15,16を接続したものであり、それらがオンになることで、帰還抵抗R6,R9がロウ(Low)レベルでドライブされる。
図4〜図9では、図1のインバータ11,12に代えて、それぞれバイポーラ・トランジスタ17,18、FET(電界効果トランジスタ)19,20、アナログ・スイッチ21,22、フォト・カプラ23,24、フォト・リレー25,26、フォト・トライアック27,28を用いたものである。これらの変形例の場合、各能動素子がオンになると、帰還抵抗R6, R9がGNDに接続(接地)され、それらの出力がGNDレベルとなる。
本発明の実施形態の検知回路の構成を示す図である。 本発明の実施形態の検知回路において、インバータと抵抗との間にダイオードを接続した変形例を示す図である。 本発明の実施形態の検知回路において、バス・ドライバを接続した変形例を示す図である。 本発明の実施形態の検知回路において、インバータに代えてバイポーラ・トランジスタを用いた変形例を示す図である。 本発明の実施形態の検知回路において、インバータに代えて電界効果トランジスタを用いた変形例を示す図である。 本発明の実施形態の検知回路において、インバータに代えてアナログ・スイッチを用いた変形例を示す図である。 本発明の実施形態の検知回路において、インバータに代えてフォト・カプラを用いた変形例を示す図である。 本発明の実施形態の検知回路において、インバータに代えてフォト・リレーを用いた変形例を示す図である。 本発明の実施形態の検知回路において、インバータに代えてフォト・トライアック用いた変形例を示す図である。 本発明の実施形態の検知回路を備える電子装置の基本構成を示す図である。 図10における検知回路の具体的構成例を示す図である。 図11の検知回路にヒステリシス特性を付加した検知回路を示す図である。 図10において電子装置の稼動中の負荷変動に影響されずに正確に接触異常を検出できるようにした検知回路の具体的構成例を示す図である
符号の説明
1,3,5・・・コンパレータ、2,4・・・オペアンプ、Rr0,Rr1,Rr2・・・基準抵抗、11,12・・・インバータ、13,14・・・ダイオード、15,16・・・バス・ドライバ、17,18・・・バイポーラ・トランジスタ、19,20・・・電界効果トランジスタ、21,22・・・アナログ・スイッチ、23,24・・・フォト・カプラ、25,26・・・フォト・リレー、27,28・・・フォト・トライアック。

Claims (13)

  1. 電子装置の本体と負荷ユニットとを接続する接続部の接触状態を検出する装置であって、
    前記本体から前記電気的接続部を通って前記負荷ユニットへ流れる電流の通路に設けられた基準抵抗の電気的接続部側の端以外の2点の位置の電位を第1、第2基準電位として検出する基準電位検出手段と、前記電気的接続部の両端の電位差を検出する被測定電圧検出手段と、前記第1基準電位と前記被測定電圧検出手段の出力とに基づいて前記電気的接続部の接触異常を検出する接触異常検出手段と、前記第2基準電位と前記被測定電圧検出手段の出力とに基づいて前記電気的接続部の接触異常から正常状態への復帰を検出する正常復帰検出手段とを備えたことを特徴とする接触状態検出装置。
  2. 請求項1記載の接触状態検出装置において、
    前記接触異常検出手段及び正常復帰検出手段は、互いの出力によって、相手の動作を抑制する作用を有する帰還回路を備えたことを特徴とする接触状態検出装置。
  3. 請求項2記載の接触状態検出装置において、
    前記帰還回路はオープン・ドレイン出力のインバータを有することを特徴とする接触状態検出装置。
  4. 請求項2記載の接触状態検出装置において、
    前記帰還回路はオープン・コレクタ出力のインバータを有することを特徴とする接触状態検出装置。
  5. 請求項3又は4記載の接触状態検出装置において、
    前記帰還回路は、前記接触異常検出手段及び正常復帰検出手段の入力側を前記インバータのハイレベル出力から絶縁するためのダイオードを有することを特徴とする接触状態検出装置。
  6. 請求項2記載の接触状態検出装置において、
    前記帰還回路はバイポーラ・トランジスタを有することを特徴とする接触状態検出装置。
  7. 請求項2記載の接触状態検出装置において、
    前記帰還回路は電界効果トランジスタを有することを特徴とする接触状態検出装置。
  8. 請求項2記載の接触状態検出装置において、
    前記帰還回路はアナログ・スイッチを有することを特徴とする接触状態検出装置。
  9. 請求項2記載の接触状態検出装置において、
    前記帰還回路はバス・ドライバを有することを特徴とする接触状態検出装置。
  10. 請求項2記載の接触状態検出装置において、
    前記帰還回路はフォト・カプラを有することを特徴とする接触状態検出装置。
  11. 請求項2記載の接触状態検出装置において、
    前記帰還回路はフォト・MOSリレーを有することを特徴とする接触状態検出装置。
  12. 請求項2記載の接触状態検出装置において、
    前記帰還回路はフォト・トライアックを有することを特徴とする接触状態検出装置。
  13. 請求項1乃至12の何れかに記載の接触状態検出装置を具備した電子装置。
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