以下、本発明を適用したセラミック基板及び複合配線基板並びにそれらの製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施形態)
本発明を適用した複合配線基板の一例を、図1に示す。図1に示す複合配線基板1は、セラミック基板本体2と、セラミック基板本体2の表面に形成された樹脂層部3と、セラミック基板本体2の表面を基点とし、樹脂層部3側に突出形成された柱状導体4とを備えている。
セラミック基板本体2は、複数のセラミック層が積層一体化されてなるものである。各セラミック層の間には、内層パターン5や内層パターン5等を層間接続するビア(図示は省略する。)等の内部導体、さらには、インダクタ、キャパシタ等の電子素子(図示は省略する。)が作り込まれていてもよい。セラミック基板本体2の表面には、表層パターン6が形成されている。なお、セラミック基板本体2は単層のセラミック基板であってもよい。
柱状導体4は、焼結金属からなり、図1に示すように所定形状の導体部7が複数重なり合った多段構造を有している。図1においては、2つの導体部7が重なり合った2段構造の柱状導体4を例示しているが、柱状導体は例えば3段以上の多段構造であってもよい。
導体部7の形状は、例えば略円錐台形状とされる。導体部7及び導体部7が複数重なり合った柱状導体4は、詳細は後述するが、導体形成用シートの貫通孔に充填した導電ペーストを焼結することにより形成される。シートの厚み誤差は通常小さいことから、柱状導体4同士を比較したとき、同一の導体形成用シートに由来する導体部7、すなわち同一平面上に位置する導体部7の高さばらつきは小さく抑えられる。このため、導体部7を複数積み重ねてなる柱状導体4の高さばらつきも抑えることができる。なお、1つの柱状導体4に含まれる導体部7の高さ、形状及び寸法は、一致していても異なっていてもよい。
複数の柱状導体4が形成されている場合、これら柱状導体4の高さは全て等しくされても異なっていてもよい。さらに、セラミック基板本体2の表面に柱状導体4が複数形成されている場合、全ての柱状導体4が複数の導体部7からなる多段構造をとる必要はなく、図1に示すように1つの導体部7により形成されるものが含まれいてもよい。それぞれ柱状導体4の高さは、後述するように、導体形成用シートの数や導体形成用シートに埋め込まれる導体部前駆体の位置、さらにはシート厚みを変えることにより、任意に設定できる。
樹脂層部3は、セラミック基板本体2の表面に接し、熱硬化性樹脂等の樹脂材料を含有する樹脂層8を含み、さらに、樹脂層8の表面に形成され、金属等の導電性材料からなる配線層9を含んで構成される。樹脂層8中には、セラミック等の無機フィラーが含まれていてもよい。本実施形態において、樹脂層部3は、樹脂層8と配線層9とが交互に積層されることにより2層の樹脂層8を含む構造とされているが、3層以上としてもよく、また、1層構造としてもよい。樹脂層部3及び柱状導体4は、片面のみに形成されていてもよい。
各樹脂層8の厚さは、それぞれ前記柱状導体4を構成する導体部7の高さと略等しく設定する。これにより、樹脂層8の積層数と柱状導体4の段数とを対応させることができる。すなわち、樹脂層8をn層積層すれば、その高さは導体部7をn段積み重ねた柱状導体4の高さとほぼ一致する。したがって、n層目の樹脂層8の表面に配線層9を形成しておけば、前記導体部7をn段積み重ねた柱状導体4の頂面と電気的に接続することができ、セラミック基板本体2の表面導体である表層パターン6とn層目の樹脂層8の表面の配線層9との間を層間接続することができる。
例えば、樹脂層8を2層とし、且つ、各樹脂層8の厚さと当該樹脂層8を貫通する導体部7の高さとを略等しくすれば、2段構造の柱状導体4は樹脂層部5の全体を貫通し、その頂面が樹脂層部5の最表面と略同一面上に位置する。このため、2段構造の柱状導体4は、セラミック基板本体2の表層パターン6と樹脂層部5の最表面の配線層9とを電気的に接続する層間接続用ビアとすることができる。また、樹脂層部5の全体を貫通する柱状導体4は、セラミック基板本体2の熱を放散させるための放熱用ビアとすることもできる。
一方、1段構造の柱状導体4の頂面は、1層目の樹脂層8と2層目の樹脂層8との界面に位置する。このため、1段構造の柱状導体4は、セラミック基板本体2の表層パターン6と、樹脂層8a,8c間に形成された内部の配線層9a,9cとを接続する層間接続用ビアとすることができる。
以下、図1に示す構造の複合配線基板1の製造方法の一例について、図2〜図8を参照しながら説明する。
先ず、セラミック基板本体2と、セラミック基板本体2の表面に形成された柱状導体4とからなるセラミック基板を作製する。セラミック基板を作製するに際しては、基板用グリーンシートの平面方向の収縮を抑制して厚さ方向にのみ収縮させる、いわゆる無収縮焼成方法を利用する。
多層構造のセラミック基板1を作製するには、先ず、図2(a)に示すように、複数の基板用グリーンシート11と、複数の導体形成用シート21とを用意する。
基板用グリーンシート11は、セラミック粉末と有機ビヒクルとを混合して得られるスラリー状の誘電体ペーストを作製し、これを例えばポリエチレンテレフタレート(PET)シート等の支持体上にドクターブレード法等によって成膜することにより形成する。前記セラミック粉末や有機ビヒクルとしては、公知のものがいずれも使用可能である。
セラミック基板として低温焼成可能なガラスセラミック基板を作製する場合には、前記誘電体ペーストにおいて、セラミック粉末とガラス粉末とを併用する。このときこれらガラス成分とセラミック成分は、目的とする比誘電率や焼成温度に基づいて適宜選択すればよい。
前記基板用グリーンシート11には、内層パターン12や内層パターン12等を層間接続するビア(図示は省略する。)等を形成しておく。また、セラミック基板本体2の最表面を構成する基板用グリーンシート11aには、表層パターン13を形成しておく。内層パターン12及び表層パターン13は、導電ペーストをスクリーン印刷等により所定形状に印刷することにより形成される。なお、表層パターン13は、基板用グリーンシート11のみならず、後述する導体形成用シート21側に形成してもよい。
内層パターン12及び表層パターン13を構成する導電ペーストは、Ag、Pd、Au、Cu、Ni等の各種導電性金属や合金からなる導電材料と有機ビヒクルとを混練することにより調製されるものである。有機ビヒクルは、バインダと溶剤とを主たる成分とするものであり、前記導電材料との混合比等は任意であるが、通常はバインダが1〜15質量%、溶剤が10〜50質量%となるように導電材料に対して配合される。導電ペーストには、必要に応じて各種分散剤や可塑剤等から選択される添加物が添加されてもよい。
導体形成用シート21は、セラミック基板の平面方向の収縮を抑制するとともに、焼成後にセラミック基板本体2の表面に柱状導体4を形成する目的で用いるものである。
導体形成用シート21は、例えば以下のようにして得られる。先ず、図3(a)に示すように、収縮抑制効果を有するシート22をPETシート等の支持体23上に成膜する。次に、図3(b)に示すように、シート22の任意の位置に貫通孔24を設け、続いて、図3(c)に示すようにこれら貫通孔24内に導電ペーストを印刷等により充填し、導体部前駆体25を形成する。その後、シート22を支持体23から剥離する。
導体形成用シート21に用いられる収縮抑制効果を有するシート22としては、基板用グリーンシート11と重ね合わせた状態で焼成されたときにセラミック基板の平面方向の収縮を抑制することが可能なシートを制限なく使用することができる。具体的には、焼成温度で収縮しないグリーンシートである収縮抑制用シート、炭酸カルシウム(CaCO3)を含むシート、焼成温度で焼結しない非焼結シート等を用いることができる。
ここで、焼成温度で収縮しないグリーンシートである収縮抑制用シートは、例えば石英、クリストバライト、トリジマイト、ジルコニア及びアルミナから選ばれる少なくとも1種と、焼結助剤とを含むシートである。前記収縮抑制用シートは、焼結助剤を含むことでシート状に焼結し、焼成物をシート状態のまま剥離することができ、前記焼成物の取り外しが容易なものとなる。焼結助剤を含まない場合、前記石英等の成分は、焼成工程において焼結せず、基板表面では粉体の状態で存在するが、粉体の状態であると冷却中に粒子が動けるため、相変態点においてセラミック基板との間に応力がかかったとしてもこの応力が緩和されることがある。これに対し、焼結助剤を含む収縮抑制用シートとすることで、前記問題を回避でき、その結果、前述のように焼成物の除去がよりいっそう容易なものとなる。
焼結助剤は、基板用グリーンシートの焼結開始温度以下で軟化するか、液相を生成する酸化物、及びアルカリ金属化合物から選ばれる少なくとも1種である。基板用グリーンシートの焼結開始温度以下で軟化する酸化物を用いた場合は、酸化物が軟化することによって前記組成物の粒子同士が結合するため焼結することとなる。基板用グリーンシートの焼結開始温度以下で液相を生成する酸化物を用いた場合には、酸化物が液相を生成することによって前記組成物の粒子表面が反応し、粒子同士が結合するため焼結することとなる。このような酸化物としては特に限定されるものではないが、珪酸鉛アルミガラス、珪酸鉛アルカリガラス、珪酸鉛アルカリ土類ガラス、ホウ珪酸鉛ガラス、ホウ珪酸アルカリガラス、ホウ酸アルミ鉛ガラス、ホウ酸鉛アルカリガラス、ホウ酸鉛アルカリ土類ガラス、ホウ酸鉛亜鉛ガラス等から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
アルカリ金属化合物にはSiO2の焼結の進行を促す効果がある。よって、石英、クリストバライト及びトリジマイトから選ばれる少なくとも1種を含む組成物は、焼結助剤としてアルカリ金属化合物を添加することにより、焼結することとなる。アルカリ金属化合物としては特に限定されないが、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、酸化リチウム、酸化カリウム等が好ましい。
あるいは、前記焼成温度で収縮しないグリーンシートである収縮抑制用シートとして、セラミック基板を得るための焼成により焼結するトリジマイトと、前記焼成により焼結しない酸化物とを含むシートも使用することができる。
基板用グリーンシートの焼成過程において焼結するトリジマイトは、石英にアルカリ金属化合物を添加して熱処理をすること等によって作製することができる。
基板用グリーンシートの焼成過程において焼結しない酸化物としては特に限定されないが、石英、溶融石英、アルミナ、ムライト、ジルコニア等が好適である。
トリジマイトは組成の選択により焼結温度を種々変化させることができる。また、トリジマイトは、焼結することによって基板との境界に応力を生じさせる。ただし、トリジマイトは熱膨張係数が大きく、温度によっては熱膨張係数が40ppm/℃に達することもある。このため、トリジマイトを含む収縮抑制用グリーンシートは、ガラスセラミック材料(約3〜10ppm/℃)との熱膨張差が大きくなりすぎる結果、焼結前に剥離してしまうことがある。この問題を防ぐため、セラミック基板材料の焼成温度で焼結しない酸化物を加えて熱膨張係数を調節し、焼結後にシート状態で自然に剥離するようにする。これにより、セラミック基板からの収縮抑制用グリーンシートの焼成物の取り外しが容易となり、超音波洗浄等は不要となる。なお、この場合の焼成の様子は、先に説明した、石英、クリストバライト及びトリジマイトから選ばれる少なくとも1種に焼結助剤を添加したものと同様の現象が起きていると考えられる。
前記炭酸カルシウムを含むシートは、バインダと炭酸カルシウムを混合した炭酸カルシウム含有ペーストを支持体上に成膜してシート化することにより形成される。炭酸カルシウムを含むシートは、前記収縮抑制用シートに比較して、セラミック基板の平面方向の収縮抑制効果は弱いものの、焼成後の焼成物の除去作業が容易であることから、導体形成用シートとして用いられて好適である。
前記炭酸カルシウムを含むシートに含まれるバインダには、例えば任意の樹脂材料を使用することが可能であるが、焼成時に速やかに熱分解し得る材料を用いることが好ましい。特に、前記基板用グリーンシートに含まれる有機ビヒクルよりも熱分解し易い材料、あるいは基板用グリーンシートに含まれる有機ビヒクルと同等の材料を用いることが好ましい。
前記焼成温度で焼結しない非焼結シートは、石英、アルミナ、ジルコニア、ムライト等から選ばれる少なくとも1種を含むペーストを支持体上に成膜してシート化することにより形成されるものである。
収縮抑制効果を有するシート22としては、これらの中から収縮抑制効果の強さや焼成後の残渣の除去のし易さ等を考慮して適宜選択して用いればよい。中でも、前述した収縮抑制用シートを用いることが好ましい。
収縮抑制効果を有するシート22に貫通孔24を設ける際の加工方法については特に制限されるものではないが、例えば金型によるプレス、パンチング加工や、レーザー加工等が挙げられる。
収縮抑制効果を有するシート22に設けられる貫通孔24の形状は任意に設定できるが、本実施形態では、例えば孔径が深さ方向において次第に減少する略円錐台形状とする。貫通孔24の形状は、略円錐台形状に限るものではないが、孔径が深さ方向において次第に減少する略円錐台形状は、シートへの貫通孔の開け易さや導電ペーストの充填を確実に行えることから好ましい形状である。
導体部前駆体25を構成する導電ペーストは、内層パターン12及び表層パターン13を構成する導電ペーストと同様に、Ag、Pd、Au、Cu、Ni等の各種導電性金属や合金からなる導電材料と有機ビヒクルとを混練することにより調製されるものである。導電ペーストとしては、セラミック基板の内層パターン12等の形成に用いた導電ペーストと同じものを用いることができるが、特に、Ag粒子、有機ビヒクル、可塑剤としての樹脂を含むものを用いることが好ましい。
導体部前駆体25を構成する導電ペーストは、導電材料及び有機ビヒクルに加えてガラスフリットを含むことが好ましい。ガラスフリットは、焼結時の収縮及び収縮抑制効果を有するシート22との密着性に寄与し、また、柱状導体4の緻密性を高めて強度の向上を図ることができるからである。一方で、導電ペーストに含まれるガラスフリットは、残渣付着量の増加を招くおそれがあるものの、セラミック素地との密着強度にも関与することから、これら残渣付着量と密着強度とのバランスを考慮して選定することが望ましい。具体的にはSi系ガラス、Zn系ガラス等が好ましい。
貫通孔24内に導電ペーストを充填する方法については特に限定されるものではないが、例えばスクリーン印刷等の印刷法等が挙げられる。
次に、前述の各種シートを重ね合わせることにより、図2(b)に示すように積層体31を形成する。本実施形態においては、積層体31を形成するに際し、積層した基板用グリーンシート11a〜11cの両面に、それぞれ複数枚の導体形成用シート21a〜21dを重ね合わせるが、このとき、少なくとも一対の導体部前駆体25の端面同士が接するように導体形成用シート21を複数枚重ね合わせる。
重ね合わせる導体形成用シート21の枚数は、形成する柱状導体4の高さに応じて適宜設定すればよい。また、本実施形態では厚みの等しい導体形成用シートを用いたが、これに限らず互いに異なる厚みを有する導体形成用シート21を組み合わせて重ね合わせてもよい。さらに、複数の導体形成用シート21において、収縮抑制効果を有するシート22の種類を統一することにより材料コストを抑えることができるが、複数種類の収縮抑制効果を有するシート22を用いても構わない。
積層体31において導体形成用シート21を配する向きは任意であり、例えば略円錐台形状の導体部前駆体25が基板用グリーンシート11表面から順方向に重なるようにしてもよいし、これとは逆に、略円錐台形状の導体部前駆体25が基板用グリーンシート11表面から逆方向に積み重なるようにしてもよい。順方向とは、略円錐台形状の導体部前駆体25の広い底面が基板用グリーンシート11側となる方向である。
なお、積層体31において、図4に示すように、複数枚重ねた導体形成用シート21の基板用グリーンシート11と反対側(外側)の面に、収縮抑制効果を有するシート26をさらに配してもよい。収縮抑制効果を有するシート26を追加することで、セラミック基板の平面方向の収縮に起因する収縮ばらつきをより一層抑制することができる。
収縮抑制効果を有するシート26としては、導体形成用シート21に使用可能な収縮抑制効果を有するシートと同様のものを用いることができるが、中でも、前述したような収縮抑制用グリーンシートを用いることが好ましい。このとき、導体形成用シート21に炭酸カルシウムを含むシートを用いることが好ましい。前記組合せの場合、外側に配された収縮抑制用グリーンシートの強い拘束力が導体形成用シート21(炭酸カルシウムを含むシート)を介してセラミック基板に充分に働くことから、平面方向の収縮を抑え、収縮ばらつきを確実に抑えることができる。また、前記収縮抑制用グリーンシート(収縮抑制効果を有するシート26)と基板用グリーンシート11との間に炭酸カルシウムを含むシート(導体形成用シート21)を介在させることによって、収縮抑制用グリーンシート等の焼成物の剥離除去を速やかに行うことができ、収縮抑制用グリーンシートの欠点である残渣の問題を解消することができる。
積層体31を形成した後、加圧工程を行う。加圧工程では、例えば温度80℃以下、50MPa〜70MPaの圧力で加圧し、積層したシートを圧着させる。
加圧工程後、脱脂工程において積層体31を熱処理し、各シート等に含まれるバインダ等の有機成分を除去する。
脱脂工程の後、焼成工程を行う。焼成工程において、脱脂後の積層体31を熱処理し、セラミック及び導電ペーストを焼結させる。
焼成工程後、導体形成用シート21を構成する収縮抑制効果を有するシートの焼成物(残渣)を除去する。残渣を除去するに際しては、超音波洗浄やブラスト処理等を行うことが好ましい。一方、導体形成用シート21に保持された導体部前駆体25(導体部7)は、基板用グリーンシート11(セラミック基板本体2)の表面に付着し、導体形成用シート21側から基板用グリーンシート11側に転写された形となる。以上の各工程を経ることにより、図2(c)に示すように、セラミック層2a〜2cが積層一体化されてなるセラミック基板本体2の表面に、焼結金属からなる柱状導体4が突出形成されたセラミック基板10が作製される。
得られるセラミック基板10においては、柱状導体4を構成する導体部7の数及び高さは、導体形成用シート21の積層数、すなわち導体部前駆体25の重ね合わせ数や導体形成用シート21の厚みに応じて、任意に設定できる。また、導体形成用シート21を構成する収縮抑制効果を有するシート22の働きにより、セラミック基板本体2の平面方向の収縮が抑制され、収縮ばらつきが抑えられている。このため、収縮ばらつきの小さいセラミック基板本体2の形成と任意の高さの柱状導体4の形成とを同時に行うことができる。また、導体部7は厚み誤差の小さい導体形成用シート21を用いて形成されることから、高さばらつきが小さく、結果としてこれを積み重ねた柱状導体4においても高さばらつきを抑えることができる。
次に、得られたセラミック基板10に樹脂層部3を形成する。本実施形態では、以下に説明するように、樹脂層部3を構成する樹脂層8をプリプレグの形態で複数積層した後、一括硬化することにより形成する。
樹脂層部3を形成するには、図5に示すように、柱状導体4に対応した位置に貫通孔42を有するプリプレグ41を用意する。プリプレグ41は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が補強材に含浸されたものであり、前記熱硬化性樹脂には低線膨張係数を示すフィラーが含まれていてもよい。本実施形態では、セラミック基板本体2の両面にそれぞれ2層、合計4層の樹脂層8を形成することから、これに対応して合計4枚のプリプレグ41を用意する。また、樹脂層8間に位置する配線層9a、9cを用意する。配線層9a,9cは、ポリエチレンテレフタレートフィルム等の支持体(図示は省略する。)上に形成され、所定のパターン形状を有する金属箔からなる。配線層9は公知の方法により形成することができ、例えばPET付きCu箔を用いたサブトラクティブ法や、薄層Cu箔等を用いたセミアディティブ法等により形成できる。
次に、図6(a)に示すように、プリプレグ41a〜41d及び配線層9a、9cをセラミック基板本体2の表面に交互に重ね合わせる。これらプリプレグ41a〜41d及び配線層9a、9cは、1層ごとに圧着(仮圧着)させる。仮圧着は、真空ラミネート法により行い、例えば、10秒間程度減圧後、0.3MPaで10秒間程度加圧することが好ましい。
プリプレグ41は、図7(a)に示すようにポリエチレンテレフタレートフィルム等の支持体43上に保持された積層シート45の状態で圧着に供される。具体的には、プリプレグ41がセラミック基板本体2に対向するように積層シート45を重ね合わせるとともに、真空ラミネート法等により加圧した後、支持体43を剥離することでプリプレグ41の圧着が実現される。配線層9の圧着も同じである。
プリプレグ41の柱状導体4に対応した位置には予め貫通孔42を設けておくが、柱状導体4の高さに対して貫通孔42の深さが不足すると、焼結金属からなる柱状導体4が潰されることになる。したがって、例えば図7中の多段構造の柱状導体4aのように、高さの高い柱状導体に対応する貫通孔42aをプリプレグ41と支持体43との両方を貫通する形で形成する等、柱状導体4の高さに応じて積層シート45に設ける凹部や貫通孔の深さを設定することが好ましい。
プリプレグ41aのみに設けられる貫通孔42bは、例えば炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等のレーザー加工により形成すればよい。支持体43とプリプレグ41と両方を貫通する貫通孔42aは、パンチング加工により形成すればよい。なお、図5及び図7に示す貫通孔42の形状は、孔径が深さ方向において次第に減少する略円錐台形状であるが、これに限らず任意の形状とすることができる。
なお、熱硬化性樹脂を含んだプリプレグと配線層とを交互に積層し、複数のプリプレグを一括硬化する方法を採用した場合、プリプレグや配線層の加圧(圧着)中に、未硬化のプリプレグに挟まれた配線層が面内方向に移動して位置ずれを起こすおそれがある。これを防止するには、セラミック基板の外周に沿って多段構造の柱状導体を複数形成しておくことが好ましい。例えば複数の複合配線基板の集合基板を作製した後、これを分割して複数の複合配線基板を得るような場合には、図8に示すように、複数のセラミック基板が形成される基板形成領域1bと外周領域1cとを備えるセラミック集合基板1aにおいて、少なくとも外周領域1cに位置決め用柱状導体4cを複数形成しておく。積層シートを用いてプリプレグや配線層の重ね合わせを行う際に位置決め用柱状導体4cを利用することで、積層シート(支持体)の外周が固定されるので、圧着中の配線層の位置ずれが防止され、良好な位置精度が得られる。
プリプレグ41及び配線層9を重ね合わせて仮積層体とする前に、柱状導体4の頂面に導電ペースト44を配置しておくことで、柱状導体4と配線層9との電気的接続をより確実なものとすることができる。柱状導体4の頂面に配する導電ペースト44としては、Ag、Pd、Au、Cu、Ni等の各種導電性金属や合金からなる導電材料粉末を例えば熱硬化性樹脂等と混合し、ペースト化したものを用いることができる。導電ペースト44は、ディップ形成法、塗布法、印刷法等により配置することができる。
次に、前記仮積層体を、例えば真空ラミネート装置を用いた真空ラミネート法等により、仮圧着の際よりも高い圧力(例えば0.5MPaで30秒間程度)にて加圧し、これらを圧着(本圧着)させる。このような加圧を行うことにより、プリプレグ41に含浸されている樹脂が浸み出し、プリプレグ41の貫通孔42と柱状導体4との隙間を確実に埋めることができる。なお、プリプレグ41又は配線層8を最後に仮圧着する際の加圧条件を変更し、本圧着を行ってもよい。
その後、硬化処理を行い、プリプレグ41a〜41dを硬化させ、図6(b)に示すように樹脂層8a〜8dを形成する。熱処理によりプリプレグ41を硬化させる場合、真空ラミネート装置を用いてもよいが、加熱雰囲気を媒体として樹脂硬化を行うことは、硬化時間の短縮を図る上で有効である。加熱雰囲気を媒体としてさらに加圧を行えば、硬化時間をさらに短縮することができる。
次に、樹脂層8b、8dの最表面に配線層9を形成する。以上により、図1に示す複合配線基板1が完成する。配線層9を形成する方法は特に制限されないが、例えば、樹脂層8b、8dの表面を研削やブラスト処理等により厚み方向に除去するとともに平坦化し、柱状導体4の頂面を露出させた後、セミアディティブ法等により形成することができる。また、プリプレグ41及び配線層9を重ね合わせる工程において、最表面に金属箔を重ね合わせておき、サブトラクティブ法により最表面の配線層9を形成することもできる。
以上のような複合配線基板の製造方法においては、セラミック基板本体2の表面に形成した高さの高い柱状導体4を樹脂層部3の形成前に形成しておき、前記柱状導体4を樹脂層部3のビアとして利用するので、樹脂層を形成した後に貫通孔形成工程や導電ペースト又はめっきによる導通接続工程を行う場合に比較して、層間接続の確実性を高めることができる。また、予め柱状導体4を形成しておくので、樹脂層を形成した後の導通接続工程を省略することができるとともに、下層配線層との高精度な位置合わせも不要となる。
また、セラミック基板表面に樹脂層部を形成する際、複数のプリプレグと配線層とを積層した後に一括硬化するので、樹脂層の硬化処理と表面粗化処理とを1層毎に繰り返す方法に比較して、硬化時間を短縮することができる。
(第2の実施形態)
本実施形態は、第1の実施形態の複合配線基板を製造するに際して樹脂層毎に硬化処理及び表面粗化処理を行う例である。なお、これより以下の説明では、先の説明と重複する説明は省略する。
先ず、第1の実施形態と同様にして、セラミック基板10、プリプレグ41a〜41d及び配線層9a、9cを用意しておく。
次に、図9(a)に示すように、セラミック基板本体2から数えて1層目の樹脂層8a、8c及び配線層9a、9cを形成する。セラミック基板本体2にプリプレグ41a、41cを重ね合わせ、圧着(仮圧着)させる。仮圧着は、真空ラミネート法により行い、例えば、5秒〜10秒間減圧後、0.1MPa〜0.3MPaで10秒間程度加圧することが好ましい。このとき、セラミック基板本体2の外周に沿って予め形成された柱状導体4を位置決めに利用する。また、プリプレグ41a、41c及び配線層9a、9cを重ね合わせる工程の前に、第1の実施形態で説明したような導電ペースト44を柱状導体4の頂面に配置しておくことが好ましい。
プリプレグ41a、41cの仮圧着後、配線層9a、9cを重ね合わせ、例えば真空ラミネート装置を用いた真空ラミネート法等により、仮圧着の際よりも高い圧力にて加圧し、圧着(本圧着)させる。
次に、硬化処理を行い、プリプレグ41a、41cを硬化させることで、セラミック基板本体2から数えて1層目の樹脂層8a、8cを形成する。熱処理によりプリプレグ41を硬化させる場合、本加圧で用いた真空ラミネート装置を用いてもよいが、加熱雰囲気を媒体として樹脂硬化を行うことは、硬化時間の短縮を図る上で有効である。加熱雰囲気を媒体としてさらに加圧を行えば、硬化時間をさらに短縮することができる。
次に、1層目の樹脂層41a、41c及び配線層9a、9cの表面粗化処理を行う。表面粗化処理を行うことで、樹脂層8と配線層9、又は樹脂層8間での密着性をより高めることができる。表面粗化処理としては例えばブラスト処理、プラズマ処理等が挙げられる。ブラスト処理における処理時間、処理圧力、砥粒条件等は、柱状導体4の破損に至らない範囲で適宜変更することができ、例えば砥粒子600番〜2000番を用い、圧力0.15〜0.2MPaの条件とすることができる。表面粗化処理後、シランカップリング剤により表面処理を行えば、樹脂層と配線層、又は樹脂層間での密着性のさらなる向上が実現される。
表面粗化処理後、2層目の樹脂層8b、8dを形成する(図9(b))。樹脂層8b、8dを形成するには、2層目の樹脂層8b、8dとなるプリプレグ41b、41dを重ね合わせ、加圧(本圧着)を行う。このとき、セラミック基板本体2の外周に沿って予め形成された柱状導体4を位置決めに利用する。その後硬化処理を行えばよい。なお、樹脂層8と配線層9をそれぞれ3層以上積層する場合には、プリプレグ及び配線層の重ね合わせ、加圧、硬化処理、表面粗化処理等を繰り返せばよい。
次に、樹脂層8b、8dの最表面に配線層9b、9dを形成する。最表面の配線層9b、9dを形成する方法は、第1の実施形態と同様に任意であり、例えば樹脂層の最表面を研削やブラスト処理等により厚み方向に除去するとともに平坦化し、柱状導体の頂面を露出させた後にセミアディティブ法で形成したり、サブトラクティブ法で形成することが可能である。以上により、図1に示す部品内蔵複合配線基板1が完成する。
本実施形態では、樹脂層部3を形成する際、樹脂層8及び配線層9の積層、硬化を1層毎に繰り返すので、樹脂層8と配線層9との密着性や、樹脂層8間の密着性を確保することができる。
(第3の実施形態)
本実施形態に係る複合配線基板は、樹脂層部内に電子部品が埋め込まれた部品内蔵複合配線基板である。
図10に示す部品内蔵複合配線基板61は、セラミック基板本体2と、セラミック基板本体2の両面にそれぞれ2層ずつ形成された樹脂層8a〜8dと樹脂層8の最表面に形成された配線層9とを含む樹脂層部3と、セラミック基板本体2の表面に形成され、最表面の配線層9と接続された多段構造の柱状導体4とを備え、樹脂層部3の樹脂層8内には電子部品62が埋め込まれている。
樹脂層部3内に埋め込まれる電子部品62は能動部品、受動部品のいずれであってもよいが、ここでは電極63が形成されたICチップを示している。電子部品62は、セラミック基板本体2の表面に形成された部品実装用のパッド66に接続されている。
以下、図10に示す部品内蔵複合配線61の製造方法の一例について、図11を参照しながら説明する。
先ず、第1の実施形態と同様に、セラミック基板本体2の表面に多段構造の柱状導体4を有するセラミック基板1を用意する。本実施形態では、セラミック基板1の焼成と同時に、セラミック基板本体2の表面の表層パターン6の一部を電子部品62が実装可能な部品実装用のパッド66として形成する。
次に、図11(a)に示すように、パッド66に導電ペースト64を塗布し、電子部品62を配置した後、導電ペースト64を硬化させる。さらに、電子部品62とセラミック基板本体2との間に例えば一液性樹脂からなるアンダーフィル65を充填し、硬化させる。アンダーフィルの硬化条件は特に制限されないが、例えば150℃〜180℃とする。
次に、図11(b)に示すように、実装された電子部品62を覆うようにプリプレグ41a〜41dをセラミック基板本体2の表面に重ね合わせ、加圧(本圧着)を行う。このとき、セラミック基板本体2の外周に沿って予め形成された柱状導体4を位置決めに利用する。また、プリプレグ41a〜41dを重ねた後の加圧は、真空ラミネート法等により行うことが好ましい。
なお、本実施形態では、セラミック基板本体2の片面につきプリプレグ41を2枚貼り合わせた状態でセラミック基板本体2に重ねているが、セラミック基板本体2表面からの電子部品62の高さ以上の樹脂層厚みを確保できるのであれば、プリプレグは1枚でもよく、プリプレグを3枚以上貼り合わせてもよい。
次に、図11(c)に示すように、硬化処理を行ってプリプレグ41a〜41dを硬化させ、樹脂層8a〜8dを形成する。熱処理によりプリプレグ41a〜41dを硬化させる場合、先の加圧で用いた真空ラミネート装置を用いてもよいが、加熱雰囲気を媒体として樹脂硬化を行うことは、硬化時間の短縮を図る上で有効である。加熱雰囲気を媒体としてさらに加圧を行えば、硬化時間をさらに短縮することができる。
次に、樹脂層8の最表面に配線層9を形成する。最表面の配線層9を形成する方法は、第1の実施形態と同様に任意であり、例えば樹脂層の最表面を研削やブラスト処理等により厚み方向に除去するとともに平坦化し、柱状導体の頂面を露出させた後にセミアディティブ法で形成したり、サブトラクティブ法で形成することが可能である。以上により、図10に示す部品内蔵複合配線基板61が完成する。
(第4の実施形態)
図12に示すように、本実施形態に係る部品内蔵複合配線基板71は、樹脂層8の間に配線層9が形成されている点で前記第3の実施形態と相違している。
以下、図12に示す部品内蔵複合配線基板の製造方法の一例ついて、図13を参照しながら説明する。
先ず、セラミック基板1を用意し、セラミック基板本体2の表面に電子部品62を実装する(図13(a))。ここまでは、先の第3の実施形態と同様である。
次に、図13(b)に示すように、セラミック基板本体2の表面に予め形成された柱状導体4を位置決めに利用し、電子部品62を覆うようにして、プリプレグ41a〜41d及び配線層9a、9cをセラミック基板本体2の表面に交互に重ね合わせるとともに、1層ごとに圧着(仮圧着)させる。仮圧着は、真空ラミネート法により行い、例えば、5秒〜10秒間減圧後、0.1MPa〜0.3MPaで10秒間程度加圧することが好ましい。なお、プリプレグ41a〜41d及び配線層9a、9cを重ね合わせる工程の前に、柱状導体の頂面に第1の実施形態で説明したような導電ペーストを配置してもよい。
なお、本実施形態では、セラミック基板本体2の片面につきプリプレグ41を2枚貼り合わせた状態でセラミック基板本体2に重ねているが、セラミック基板本体2表面からの電子部品62及びチップコンデンサ102の高さ以上の樹脂層厚みを確保できるのであれば、プリプレグは1枚でもよく、プリプレグを3枚以上貼り合わせてもよい。
次に硬化処理を行い、図13(c)に示すように、プリプレグ41a〜41dを硬化させて樹脂層8a〜8dを形成する。熱処理によりプリプレグ41を硬化させる場合、先の加圧で用いた真空ラミネート装置を用いてもよいが、加熱雰囲気を媒体として樹脂硬化を行うことは、硬化時間の短縮を図る上で有効である。加熱雰囲気を媒体としてさらに加圧を行えば、硬化時間をさらに短縮することができる。
次に、樹脂層8b、8dの最表面に配線層9b、9dを形成する。最表面の配線層9b、9dを形成する方法は、第1の実施形態と同様に任意であり、例えば樹脂層の最表面を研削やブラスト処理等により厚み方向に除去するとともに平坦化し、柱状導体の頂面を露出させた後にセミアディティブ法で形成したり、サブトラクティブ法で形成することが可能である。以上により、図12に示す部品内蔵複合配線基板71が完成する。
なお、本実施形態では複数のプリプレグを積層した後に一括硬化する方法を例に挙げたが、第2の実施形態で説明したように、プリプレグの硬化及び表面粗化処理を繰り返し、樹脂層を1層毎に形成していく方法により樹脂層部を形成することも勿論可能である。
(第5の実施形態)
本実施形態は部品内蔵複合配線の他の例であり、第3の実施形態においてセラミック基板本体2と電子部品62との間に充填したアンダーフィル65を、プリプレグを硬化してなる樹脂層8eで代替した例である。
図14に本実施形態の部品内蔵複合配線基板81を示す。部品内蔵複合配線基板81のセラミック基板本体2の両面には、厚さの薄い樹脂層8e、8fがそれぞれ形成され、さらにその上に厚さの厚い樹脂層8g〜8jが2層ずつ積層されている。また、本実施形態では、柱状導体4の少なくとも一部が、高さの低い導体部7aと高さの高い導体部7bとがこの順に重なり合って構成されている。本実施形態では、高さの低い導体部7aのみからなる柱状導体4の一部を、電子部品62を実装するためのパッドとして利用している。
以下、図14に示す部品内蔵複合配線基板81の製造方法の一例について、図15を参照しながら説明する。
先ず、図15(a)に示すように、第1の実施形態と同様にしてセラミック基板本体2の表面に多段構造の柱状導体4を有するセラミック基板を用意するが、本実施形態では、厚みの異なる2種類の導体形成用シート(導体部7aの高さに対応した厚みを有する導体形成用シート及び導体部7bの高さに対応した厚みを有する導体形成用シート)を用いることにより、異なる高さを有する導体部7a、7bが重なり合った構造の柱状導体4を形成する。
次に、高さの低い導体部7aからなる柱状導体4のうち電子部品62が実装される箇所に導電ペースト82を塗布した後、多段構造の柱状導体4及び導体部7aからなる柱状導体4に対応する位置に貫通孔を有するプリプレグ41e、41fをセラミック基板本体2の表面に重ね合わせ、加圧を行って圧着(仮圧着)させる。プリプレグ41e、41fを重ねた後の加圧は、真空ラミネート法等により行うことが好ましい。
次に、導電ペースト82を塗布した柱状導体4上に電子部品62を配置する。このとき、未硬化状態のプリプレグ41eに電子部品62の底面を接触させることが好ましい。その後、硬化処理を行い、導電ペースト82を硬化させるとともに、プリプレグ41e、41fを硬化させ、樹脂層8e,8fとする(図15(b))。
樹脂層8e、8fの形成後、実装された電子部品62を覆うようにプリプレグ41g〜41jを重ね合わせ、加圧を行って圧着(仮圧着)させる。仮圧着は、真空ラミネート法等により行うことが好ましい。このとき、セラミック基板本体2の外周に沿って予め形成された柱状導体4を位置決めに利用する。なお、セラミック基板本体2表面からの電子部品62の高さ以上の樹脂層厚みを確保できるのであれば、プリプレグは1枚でもよく、3枚以上を貼り合わせてもよい。
次に、図15(c)に示すように、硬化処理を行ってプリプレグ41g〜41jを硬化させ、樹脂層8g〜8jを形成する。熱処理によりプリプレグ41を硬化させる場合、先の加圧で用いた真空ラミネート装置を用いてもよいが、加熱雰囲気を媒体として樹脂硬化を行うことは、硬化時間の短縮を図る上で有効である。加熱雰囲気を媒体としてさらに加圧を行えば、硬化時間をさらに短縮することができる。
次に、樹脂層8の最表面に配線層9を形成する。最表面の配線層9を形成する方法は、第1の実施形態と同様に任意であり、例えば樹脂層の最表面を研削やブラスト処理等により厚み方向に除去するとともに平坦化し、柱状導体の頂面を露出させた後にセミアディティブ法で形成したり、サブトラクティブ法で形成することが可能である。以上により、図14に示す部品内蔵複合配線基板81が完成する。
(第6の実施形態)
図16に示すように、本実施形態の部品内蔵複合配線基板91は、樹脂層8の間に配線層9が形成されている点で前記第5の実施形態と相違している。
以下、図16に示す部品内蔵複合配線基板91の製造方法の一例について、図17を参照しながら説明する。
先ず、図17(a)に示すように、異なる高さを有する導体部7a、7bが重なり合った構造の柱状導体4を有するセラミック基板1を用意し、高さの低い導体部7aからなる柱状導体4のうち電子部品62が実装される箇所に導電ペースト82を塗布する。次に、柱状導体4に対応する位置に孔を有するプリプレグ41e、41fをセラミック基板本体2の表面に重ね合わせ、加圧を行って圧着(仮圧着)させる。このとき、セラミック基板本体2の外周に沿って予め形成された柱状導体4を位置決めに利用する。プリプレグ41e、41fを重ねた後の加圧は、真空ラミネート法等により行うことが好ましい。ここまでは先の第5の実施形態と同様である。
本実施形態では、加圧後のプリプレグ41e、41fの表面にさらに配線層9e、9fを重ね合わせ、加圧を行って圧着(仮圧着)させる。配線層9e、9fを重ねた後の加圧は、真空ラミネート法等により行うことが好ましい。
次に、導電ペースト82を塗布した柱状導体4上に電子部品62を配置する。このとき、未硬化状態のプリプレグ41eに電子部品62の底面を接触させることが好ましい。その後、硬化処理を行い、導電ペースト82を硬化させるとともに、プリプレグ41e、41fを硬化させ、樹脂層8e,8fとする(図17(b))。
電子部品62の実装後、柱状導体4を位置決めに利用しながら、実装された電子部品62を覆うようにプリプレグ41g〜41j及び配線層9g、9hを交互に重ね合わせ、加圧を行って圧着させる。プリプレグ41及び配線層9を重ねた後の加圧は、真空ラミネート法等により行うことが好ましい。
次に、図17(c)に示すように、硬化処理を行ってプリプレグ41e〜41jを硬化させ、樹脂層8e〜8jを形成する。熱処理によりプリプレグ41e〜41jを硬化させる場合、先の加圧で用いた真空ラミネート装置を用いてもよいが、加熱雰囲気を媒体として樹脂硬化を行うことは、硬化時間の短縮を図る上で有効である。加熱雰囲気を媒体としてさらに加圧を行えば、硬化時間をさらに短縮することができる。
次に、樹脂層8の最表面に配線層9を形成する。最表面の配線層9を形成する方法は、第1の実施形態と同様に任意であり、例えば樹脂層の最表面を研削やブラスト処理等により厚み方向に除去するとともに平坦化し、柱状導体の頂面を露出させた後にセミアディティブ法で形成したり、サブトラクティブ法で形成することが可能である。以上により、図16に示す部品内蔵複合配線基板91が完成する。
なお、本実施形態では、電子部品63を封止するためのプリプレグ41g〜41jを積層して一括硬化する例について説明したが、プリプレグ41g〜41jの硬化及び表面粗化処理を繰り返し、樹脂層を1層毎に形成していく方法により樹脂層部を形成することも勿論可能である。
(第7の実施形態)
図18は、本実施形態の部品内蔵複合配線基板101を示す図である。本実施形態の部品内蔵複合配線基板101は、セラミック基板本体2にキャビティ2aが設けられ、電子部品102がキャビティ2a内に収容された状態で樹脂層部3内に埋め込まれている点で、第3の実施形態の部品内蔵複合配線基板61と相違している。なお、キャビティ2a内に収容される電子部品102は、能動部品、受動部品のいずれであってもよいが、ここではチップコンデンサを示している。
以下、図18に示す部品内蔵複合配線101の製造方法の一例について、図19を参照しながら説明する。
先ず、図19(a)に示すように、第1の実施形態と同様に、セラミック基板本体2の表面に多段構造の柱状導体4を有するセラミック基板1を用意するが、本実施形態では、セラミック基板1の焼成と同時に、セラミック基板本体2の表面の表層パターン6の一部を、電子部品62の実装用パッド66として形成する。さらに、本実施形態では、公知の方法により、セラミック基板本体2にキャビティ2aを形成する。キャビティ2aの底面には、電子部品102の実装用パッド103を形成しておく。
次に、電子部品62が実装されるパッド66及び電子部品102が実装されるパッド103に導電ペースト64を塗布する。その後、第3の実施形態と同様に、パッド66上に電子部品62を配置する。また、キャビティ2a内のパッド103上に電子部品102を配置する。その後、導電ペースト64を硬化させる。
次に、電子部品62とセラミック基板本体2との間、さらには、電子部品102が配置されたキャビティ2a内に、例えば一液性樹脂からなるアンダーフィル65を充填し、硬化させる。
次に、図19(b)に示すように、電子部品62及び電子部品102を覆うようにプリプレグ41a〜41dをセラミック基板本体2の表面に重ね合わせ、加圧(本圧着)を行う。このとき、セラミック基板本体2の外周に沿って予め形成された柱状導体4を位置決めに利用する。プリプレグ41a〜41dを重ねた後の加圧は、真空ラミネート法等により行うことが好ましい。
なお、本実施形態では、セラミック基板本体2の片面につき厚みの等しいプリプレグ41を2枚貼り合わせた状態でセラミック基板本体2に重ねているが、セラミック基板本体2表面からの電子部品62及び電子部品102の高さ以上の樹脂層厚みを確保できるのであれば、プリプレグは1枚でもよく、プリプレグを3枚以上貼り合わせてもよい。
次に、図19(c)に示すように、硬化処理を行ってプリプレグ41a〜41dを硬化させ、樹脂層8a〜8dを形成する。熱処理によりプリプレグ41a〜41dを硬化させる場合、先の加圧で用いた真空ラミネート装置を用いてもよいが、加熱雰囲気を媒体として樹脂硬化を行うことは、硬化時間の短縮を図る上で有効である。加熱雰囲気を媒体としてさらに加圧を行えば、硬化時間をさらに短縮することができる。
次に、樹脂層8の最表面に配線層9を形成する。最表面の配線層9を形成する方法は、第1の実施形態と同様に任意であり、例えば樹脂層の最表面を研削やブラスト処理等により厚み方向に除去するとともに平坦化し、柱状導体の頂面を露出させた後にセミアディティブ法で形成したり、サブトラクティブ法で形成することが可能である。以上により、図18に示す部品内蔵複合配線基板101が完成する。
本実施形態の部品内蔵複合配線基板101では、セラミック基板本体2に設けたキャビティ2a内に電子部品を実装するので、電子部品を埋め込むための樹脂層部3の厚みを薄くすることができ、部品内蔵複合配線基板のさらなる低背化を図ることができる。また、セラミック基板本体2に設けたキャビティ2aを利用すれば、例えばチップコンデンサ等のように高さの高い電子部品であっても、樹脂層部3内への埋め込みが確実に実現される。
なお、本実施形態では、電子部品62及び電子部品102を封止するためのプリプレグ41a〜41dを積層して一括硬化する例について説明したが、プリプレグ41a〜41dの硬化及び表面粗化処理を繰り返し、樹脂層を1層毎に形成していく方法により樹脂層部を形成することも勿論可能である。
(第8の実施形態)
図20に示すように、本実施形態の部品内蔵複合配線基板111は、樹脂層8の間に配線層9が形成されている点で前記第7の実施形態と相違している。
以下、図20に示す部品内蔵複合配線基板の製造方法の一例について、図21を参照しながら説明する。
先ず、図21(a)に示すように、第1の実施形態と同様に、セラミック基板本体2の表面に多段構造の柱状導体4を有するセラミック基板1を用意するが、本実施形態では、セラミック基板1の焼成と同時に、セラミック基板本体2の表面の表層パターン6の一部を、電子部品62が実装可能な部品実装用のパッド66として形成する。また、本実施形態では、公知の方法により、セラミック基板本体2にキャビティ2aを形成しておく。キャビティ2aの底面には、電子部品102の実装用パッド103を形成しておく。
次に、電子部品62が実装されるパッド66及び電子部品102が実装されるパッド103に導電ペースト64を塗布する。また、樹脂層8間の配線層9a、9cと接続される柱状導体4の頂面に、導電ペースト44を塗布する。その後、第7の実施形態と同様に、パッド66上に電子部品62を配置する。また、キャビティ2a内のパッド103上に電子部品102を配置する。その後、導電ペースト64を硬化させる。
次に、電子部品62とセラミック基板本体2との間、さらには、電子部品102が配置されたキャビティ2a内に、例えば一液性樹脂からなるアンダーフィル65を充填し、硬化させる。
次に、図21(b)に示すように、電子部品62及び電子部品102の実装後、柱状導体4を位置決めに利用しながら、電子部品62及び電子部品102を覆うようにプリプレグ41a〜41d及び配線層9a、9cを交互に重ね合わせるとともに、1層ごとに圧着(仮圧着)させる。このとき、セラミック基板本体2の外周に沿って予め形成された柱状導体4を位置決めに利用する。プリプレグ41及び配線層9を重ねた後の加圧は、真空ラミネート法等により行うことが好ましい。
なお、セラミック基板本体2表面からの電子部品62及びチップコンデンサ102の高さ以上の樹脂層厚みを確保できるのであれば、プリプレグは1枚でもよく、プリプレグを3枚以上貼り合わせてもよい。
次に、図21(c)に示すように、硬化処理を行ってプリプレグ41a〜41dを硬化させ、樹脂層8a〜8dを形成する。熱処理によりプリプレグ41a〜41dを硬化させる場合、先の加圧で用いた真空ラミネート装置を用いてもよいが、加熱雰囲気を媒体として樹脂硬化を行うことは、硬化時間の短縮を図る上で有効である。加熱雰囲気を媒体としてさらに加圧を行えば、硬化時間をさらに短縮することができる。
次に、樹脂層8b、8dの最表面に配線層9b、9dを形成する。最表面の配線層9b、9dを形成する方法は、第1の実施形態と同様に任意であり、例えば樹脂層の最表面を研削やブラスト処理等により厚み方向に除去するとともに平坦化し、柱状導体の頂面を露出させた後にセミアディティブ法で形成したり、サブトラクティブ法で形成することが可能である。以上により、図20に示す部品内蔵複合配線基板101が完成する。
なお、本実施形態では、電子部品62及び電子部品102を封止するためのプリプレグ41を積層して一括硬化する例について説明したが、プリプレグ41の硬化及び表面粗化処理を繰り返し、樹脂層を1層毎に形成していく方法により樹脂層部を形成することも勿論可能である。
(第9の実施形態)
以下、樹脂層の最表面の配線層をセミアディティブ法により形成する方法について詳細に説明する。本実施形態では、第7の実施形態の部品内蔵複合配線基板を例に挙げて説明するが、第1の実施形態から第6の実施形態、及び第8の実施形態に係る複合配線基板又は部品内蔵複合配線基板の最表面の配線層を形成する場合にも適用可能である。
先ず、第7の実施形態と同様にして、セラミック基板本体2に電子部品62及び電子部品102を実装し、次いで、電子部品62及び電子部品102を覆って樹脂層8a〜8dを形成する。その後、図22(a)に示すように、樹脂層8b、8dの表面を研削やブラスト処理等により厚み方向に除去するとともに平坦化し、柱状導体4の頂面を露出させる。
次に、樹脂層8b、8dの表面をデスミア処理等で表面粗化処理した後、無電解めっきを行い、図22(b)に示すように例えばCu等のシード層121を形成する。次に、例えばドライフィルムレジストをシード層121表面に貼り合わせ、フォトリソグラフィ及びエッチングによりレジストパターン122を形成する。さらに電解めっきを行うことにより、図22(c)に示すように、シード層121上にCu等の金属層123を形成する。
次に、レジストパターン122を剥離し、その後、配線間のシード層121をエッチングして除去する。これにより、図22(d)に示すように、最表面の配線層9が形成される。なお、配線層9の形成後、ブラスト処理及びプラズマ処理により配線間の樹脂の除去、配線層9表面の有機物除去及び粗化形成を行った後、不要部分をレジストで被覆した状態で配線層9にNi−Auめっき処理を行ってもよい。配線層9上の粗化量を大きくするためには、ブラスト処理を行うことがより好ましい。
以上のような方法によれば、柱状導体4の頂面を露出させた状態でシード層121を形成し、さらに金属層123を成長させているので、柱状導体4と表層の配線層9との電気的接続が確保される。また、部品内蔵複合配線基板の樹脂層最表面の配線層をセミアディティブ法により形成することによって、部品内蔵領域や柱状導体形成領域等における表面凹凸が平坦化され、良好なコプラナリティが得られる。
(第10の実施形態)
以下、樹脂層の最表面の配線層をサブトラクティブ法により形成する方法について説明する。本実施形態では、第7の実施形態の部品内蔵複合配線基板を例に挙げて説明するが、第1の実施形態から第6の実施形態、及び第8の実施形態に係る複合配線基板又は部品内蔵複合配線基板の最表面の配線層を形成する場合にも適用可能である。
先ず、第7の実施形態と同様にして、セラミック基板本体2に電子部品62及び電子部品102を実装する。図23(a)に示すように、柱状導体4のうち樹脂層8の最表面の配線層9b、9dと接続する頂面に、導電ペースト44を塗布等によって配置することが好ましい。
次に、図23(b)に示すように、実装された電子部品62及び電子部品102を覆うようにプリプレグ41a〜41dをセラミック基板本体2の表面に重ね合わせ、加圧を行う。
また、プリプレグ41a〜41dを重ね合わせる際、ポリエチレンテレフタレート等の支持体125上に形成されたCu等の金属箔124を、例えば真空ラミネート法等によりプリプレグの最表面に重ね合わせ、その後支持体125を剥離する。金属箔124の表面には予め低粗化処理を行っておく。
次に、第7の実施形態と同様に硬化処理を行い、プリプレグ41a〜41dを硬化させ、樹脂層8a〜8dを形成する。図23(c)は硬化後の状態を示す。
次に、例えばドライフィルムレジストを金属箔124の表面に貼り合わせ、フォトリソグラフィ及びエッチングによりレジストパターンを形成し、エッチングにより金属箔124の不要部分を除去し、レジストパターンを剥離する。これにより、図23(d)に示すように、最表面の配線層9が形成される。なお、配線層9の形成後、ブラスト処理及びプラズマ処理により配線間の樹脂の除去及び配線層9表面の粗化を行った後、不要部分をレジストで被覆した状態で配線層9にNi−Auめっき処理を行ってもよい。
以上のような方法によれば、柱状導体4の頂面と金属箔124とが直接、或いは導電ペースト44を介して接するので、柱状導体4と表層の配線層9との電気的接続が確保される。また、部品内蔵複合配線基板の樹脂層最表面の配線層をサブトラクティブ法により形成することで、部品内蔵複合配線基板の樹脂層最表面の配線層を簡単に形成することができる。
以下、本発明を適用した実施例について説明する。
(実施例1)
本実施例は、第1の実施形態の複合配線基板及びその製造方法に対応している。
LTCC基板の作製
アルミナ−ガラス系の基板用グリーンシートを複数枚用意した。また、炭酸カルシウムを含むシート(厚み80μm)に貫通孔を設け、貫通孔に導電ペーストを充填することにより、導体形成用シートを作製した。導電ペーストは、Ag粒子(粒径1μm)とSi系ガラスとTiO2とを含むものである。さらに、縮率調整用にトリジマイトシート(厚み125μm)を用意した。トリジマイトシートは、焼成により焼結するトリジマイトと焼成により焼結しない酸化物(石英)とを含むものである。
複数の基板用グリーンシートの両側に、導体形成用シートを2枚重ねた状態となるように積層し、さらに導体形成用シートの外側にトリジマイトを含むシートを積層して仮積層体を得た。各シートを積層する毎に、70℃、5MPaで加圧を行った。70℃、50MPaの条件で前記仮積層体を静水圧プレスし、積層体を得た。
得られた積層体を昇温速度100℃/1時間、最高温度280℃で15分保持し、脱バインダを行った。脱バインダ後、焼成温度930℃にて焼成を行った。
焼成後、導体形成用シートとして用いた炭酸カルシウムを含むシート及び縮率調整用のトリジマイトシートの焼成物(残渣)を除去した。これにより、LTCC基板(セラミック基板)が得られた。LTCC基板の基板形成領域には、焼結銀からなり、略円錐台形状の導体部からなる柱状導体と、前記導体部が2つ積み重なった構造の柱状導体とが形成されていた。LTCC基板の収縮率は−0.5%であった。各導体部の高さは60μm〜65μm、LTCC基板の厚みは430μmであった。また、図8に示すように、LTCC基板の外周に沿って位置決め用の2段構造の柱状導体を複数形成した。
プリプレグ
プリプレグは、厚み60μm、補強材に低線膨張係数を示すフィラー入りの熱硬化性エポキシ樹脂が含浸されたものであり、支持体としてのポリエチレンテレフタレートフィルム上に形成されている。図7に示すように、プリプレグ及び支持体には、柱状導体の高さに対応した深さの凹部又は貫通孔を設けた。支持体及びプリプレグの両方を貫通する貫通孔はパンチングにより形成し、プリプレグのみ貫通する貫通孔は炭酸ガスレーザーにより形成した。
銅箔層(配線層)形成
銅箔は、支持体としてのポリエチレンテレフタレートフィルム上に形成されており、プリント基板工程で一般的なサブトラクティブ法によりパターニングした。
樹脂層部の形成
先ず、配線層との接続を行う柱状導体頭部に接着性導電性ペーストを塗布した。次に、位置決め用柱状導体を利用しながら仮スタックを行い、ラミネート法により仮圧着を行った。具体的には、プリプレグの仮圧着(90℃、10秒間減圧、0.2MPaで10秒間プレス)→支持PETの剥離→銅箔層の仮圧着(30秒間減圧、0.4MPaで30秒間プレス)→支持PETの剥離を繰り返し、仮積層体を得た。仮積層体の完成後、ラミネート法により本プレスを行った(30秒間減圧、0.4〜0.8MPaで30秒間プレス)。仮圧着及び本プレスともに、位置決め用柱状導体を利用したことで、配線層の位置ずれを防ぐことができた。本プレス後、オートクレーブ装置を用いて180℃、1時間、本硬化を行った。
表層配線の形成
本実施例では、セミアディティブ法により樹脂層に表層配線を形成した。
先ず、樹脂層表面にブラスト処理、次にグラインダー研磨処理を行い、樹脂層表面の平坦化及び柱状導体の頭出しを行った。
次に、デスミアによる粗化処理を行い、その後、無電解めっきによりCuシード層を形成した。Cuシード層表面にドライフィルムを貼り合わせ、フォトリソグラフィ及びエッチングによりパターニングし、さらに電解めっきを行った。その後、ドライフィルムを剥離し、線間エッチングを行った。
次にブラスト処理を行うことにより、配線パターン間の樹脂表面及び配線パターン表面の粗化を行った。ブラスト処理は、1000番の砥粒子を用い、圧力0.17MPaで行った。その後、不要部分にレジストを形成し、Ni−Auメッキ処理を行った。以上の工程を経ることにより、図1に示すような複合配線基板が完成した。
(実施例2)
本実施例は、第2の実施形態の複合配線基板の製造方法に対応している。なお、LTCC基板、プリプレグ、及び銅箔層(配線層)は、実施例1と同じものを用いた。
樹脂層部の形成
先ず、配線層との接続を行う柱状導体頭部に接着性導電性ペーストを塗布した。次に、位置決め用柱状導体を利用しながら仮スタックを行い、ラミネート法により仮圧着又は本圧着を行った。具体的には、プリプレグの仮圧着→支持PETの剥離→銅箔層の本圧着→支持PETの剥離を行った。本プレスは銅箔層形成時に行った。仮圧着及び本プレスの条件は、実施例1と同じである。本プレスの後、オートクレーブ装置を用いて180℃、1時間の本硬化を行った。
次に、真空プラズマ処理を行い、銅箔上に付着した有機物を除去した。真空プラズマ処理は、電力量を1KW、ガス分圧をAr−400cc、O2−200ccとし、処理時間5分としたが、ガス分圧、処理時間は適宜変更できる。
次に、樹脂層表面と銅箔層表面をカップリング処理した。その後、樹脂仮圧着(90℃、10秒間減圧、0.2MPaで10秒間プレス)→支持PET剥離を行い、再度、オートクレーブ装置を用いて180℃、1時間の本硬化を行った。
表層配線の形成
実施例1と同様にして、セミアディティブ法により樹脂層に表層配線を形成した。以上の工程を経ることにより、図1に示すような複合配線基板が完成した。
(実施例3)
本実施例は、第3の実施形態の部品内蔵複合配線基板に対応している。なお、LTCC基板、プリプレグ、及び銅箔層(配線層)は、実施例1と同じものを用いた。
樹脂層部の形成
先ず、LTCC基板の部品実装箇所に導電ペーストを塗布した。次に、ICチップを配置し、160℃、30分の条件で導電ペーストを硬化させた。ICチップは、グラインダー研磨によって厚み80μmとしている。ICチップとLTCC基板のギャップにキャピラリーフロー方式でアンダーフィル材を充填し、150℃にて硬化させた。次に、厚み60μmの前記プリプレグを2枚重ねて厚み120μmとし、ICチップ上を覆うようにラミネート法により仮圧着した(90℃、30秒間減圧、0.5MPaで60秒間プレス)。その後、オートクレーブ装置を用いて180℃、1時間の本硬化を行った。
表層配線の形成
実施例1と同様にして、セミアディティブ法により樹脂層に表層配線を形成した。以上の工程を経ることにより、図10に示すような複合配線基板が完成した。
(実施例4)
本実施例は、第5の実施形態の部品内蔵複合配線基板に対応している。銅箔層(配線層)は、実施例1と同じものを用いた。
LTCC基板の作製
本実施形態では、厚み25μmの炭酸カルシウムを含むシートを用いた第1の導体形成用シートと、厚み125μmの炭酸カルシウムを含むシートを用いた第2の導体形成用シートとの2種類の導体形成用シートを用意した。基板用グリーンシート及び縮率調整用のトリジマイトシートは、実施例1と同じものを用いた。
複数の基板用グリーンシートの両側に、第1の導体形成用シート、第2の導体形成用シートをこの順にそれぞれ積層し、さらに第2の導体形成用シートの外側にトリジマイトシートを積層した。仮圧着、本プレスの条件は実施例1と同じである。
得られた積層体を昇温速度100℃/1時間、最高温度280℃で15分保持し、脱バインダを行った。脱バインダ後、焼成温度930℃にて焼成を行った。
焼成後、導体形成用シートとして用いた炭酸カルシウムを含むシート及び縮率調整用のトリジマイトシートの焼成物(残渣)を除去した。これにより、互いに異なる高さを有する導体部が2つ積み重なった構造の柱状導体を表面に有するLTCC基板(セラミック基板)が得られた。LTCC基板の収縮率は0.7%、厚みは430μmであった。柱状導体としては、高さ20μm程度の導体部からなるものと、高さ20μm程度の導体部と高さ115μm程度の導体部とが積み重なったものとの2種類が形成されていた。また、LTCC基板の外周に沿って位置決め用の多段構造の柱状導体を形成した。
プリプレグ
セラミック基板本体に接する下層樹脂層を形成するために、厚み20μmのプリプレグを用意した。下層樹脂層形成用のプリプレグの材料及び孔加工方法は、実施例1で用いたプリプレグ(厚み60μm)と同じである。また、上層樹脂層の形成用に、実施例1で用いたプリプレグ(厚み60μm)を用意した。
樹脂層部の形成
先ず、LTCC基板表面に下層樹脂層となるプリプレグを配置するとともにICチップを実装した。
具体的には、LTCC基板の部品実装箇所に導電ペーストを塗布した。次に、LTCC基板に下層樹脂層形成用のプリプレグ(厚み20μm)を仮圧着(90℃、10秒間減圧、0.4MPaで10秒間プレス)し、支持PETを剥離した。次に、実施例3で用いたICチップを実装した。このとき、ICチップの底面をプリプレグの表面に接触させた。その後、オートクレーブ装置を用いて、180℃、1時間の本硬化を行い、下層樹脂層とした。
次に、下層樹脂層及びICチップ上に上層樹脂層を形成した。具体的には、実施例1で用いた厚み60μmのプリプレグを2枚貼り合わせて厚み120μmとし、これをICチップ上を覆うようにラミネート法により重ね合わせて圧着した(90℃、30秒間減圧、0.5MPaで60秒間プレス)。その後、オートクレーブ装置を用いて、180℃、1時間の本硬化を行った。
表層配線の形成
実施例1と同様にして、セミアディティブ法により樹脂層に表層配線を形成した。以上の工程を経ることにより、図14に示すような部品内蔵複合配線基板が完成した。
(実施例5)
本実施例は、第6の実施形態の部品内蔵複合配線基板に対応している。銅箔層(配線層)は、実施例1と同じものを用いた。LTCC基板及びプリプレグは、実施例4と同じものを用いた。
樹脂層部の形成
先ず、LTCC基板表面に下層樹脂層となるプリプレグを配置するとともにICチップを実装した。
具体的には、LTCC基板の部品実装箇所に導電ペーストを塗布した。次に、セラミック基板本体に下層樹脂層形成用のプリプレグ(厚み20μm)を仮圧着(90℃、10秒間減圧、0.4MPaで10秒間プレス)し、支持PETを剥離した。次に、銅箔層を仮圧着(90℃、10秒間減圧、0.4MPaで10秒間プレス)し、支持PETを剥離した。次に、実施例3で用いたICチップを実装した。このとき、ICチップの底面をプリプレグの表面に接触させた。その後、オートクレーブ装置を用いて、180℃、1時間の本硬化を行った。
次に、ブラスト処理による表面粗化処理を行った。ブラスト処理の条件は、実施例1で記載した樹脂層表面のブラスト処理と同じである。その後、樹脂層表面と銅箔層表面をカップリング処理した。
次に、下層樹脂層及びICチップ上に上層樹脂層を形成した。具体的には、実施例1で用いた厚み60μmのプリプレグを2枚貼り合わせて厚み120μmとし、これをICチップ上を覆うようにラミネート法により重ね合わせて圧着した(90℃、30秒間減圧、0.5MPaで60秒間プレス)。その後、オートクレーブ装置を用いて、180℃、1時間の本硬化を行った。
表層配線の形成
実施例1と同様にして、セミアディティブ法により樹脂層に表層配線を形成した。以上の工程を経ることにより、図16に示すような部品内蔵複合配線基板が完成した。
(実施例6)
本実施例は、第7の実施形態の部品内蔵複合配線基板に対応しており、前記実施例3のセラミック基板本体に設けたキャビティ内に部品を実装する例である。プリプレグ及び銅箔層(配線層)は、実施例1と同じものを用いた。
LTCC基板の作製
本実施形態では、実施例と同じ基板用グリーンシート、導体形成用シート及び縮率調整用のトリジマイトシートを用い、実施例1と同じ条件でLTCC基板を作製した。収縮率は−0.5%、各導体部の高さは60μm〜65μmであった。
なお、本実施形態では、LTCC基板に深さ200μmのキャビティを形成しておく。基板用グリーンシート等を積層する際に、キャビティの底面を構成する基板用グリーンシート上にトリジマイトを含むトリジマイトシート片を配するとともに、キャビティ形成用グリーンシートとは分離された埋め込み用グリーンシートをトリジマイトシート片上に配した状態で仮積層体のプレス及び焼成を行い、焼成後に埋め込み用グリーンシートの焼成物を除去することで、前記キャビティを形成した。
樹脂層部の形成
得られたLTCC基板の部品実装箇所に導電ペーストを塗布した。次に、LTCC基板の表面に実施例3で用いたICチップを配置した。また、LTCC基板のキャビティ内に0603形状のチップコンデンサを配置した。その後、160℃、30分の条件で導電ペーストを硬化させた。ICチップとLTCC基板のギャップ、及びキャビティとチップコンデンサとのギャップに、キャピラリーフロー方式でアンダーフィル材を充填し、150℃にて硬化させた。
次に、厚み60μmの前記プリプレグを2枚重ねて厚み120μmとし、ICチップ上及びチップコンデンサ上を覆うようにラミネート法により重ね合わせて圧着した(90℃、30秒間減圧、0.5MPaで60秒間プレス)。その後、オートクレーブ装置を用いて、180℃、1時間の本硬化を行った。
表層配線の形成
実施例1と同様にして、セミアディティブ法により樹脂層に表層配線を形成した。以上の工程を経ることにより、図18に示すような部品内蔵複合配線基板が完成した。
(実施例7)
本実施例は、第8の実施形態の部品内蔵複合配線基板に対応しており、前記実施例4のセラミック基板本体に設けたキャビティ内に部品を実装する例である。プリプレグ及び銅箔層(配線層)は、実施例1と同じものを用いた。LTCC基板は、実施例6と同じキャビティが形成されたものを用いた。
樹脂層部の形成
得られたLTCC基板のうち部品が実装される箇所に導電性ペーストを塗布した。次に、LTCC基板の表面に実施例3で用いたICチップを配置した。また、LTCC基板のキャビティ内に0603形状のチップコンデンサを配置した。その後、160℃、30分の条件で導電ペーストを硬化させた。ICチップとLTCC基板のギャップ及びキャビティとチップコンデンサとのギャップに、キャピラリーフロー方式でアンダーフィル材を充填し、150℃にて硬化させた。ここまでは前記実施例6と同様である。
次に、位置決め用柱状導体を利用しながら、プリプレグの仮圧着(90℃、10秒間減圧、0.2MPaで10秒間プレス)→支持PETの剥離→銅箔層の仮圧着(90℃、10秒間減圧、0.2MPaで10秒間プレス)→支持PETの剥離 を繰り返し、仮積層体を得た。仮積層体の完成後、ラミネート法により本プレスを行った(90℃、30秒間減圧、0.4〜0.8MPaで30秒間プレス)。仮圧着及び本プレスともに、位置決め用柱状導体を利用したことで、配線層の位置ずれを防ぐことができた。その後、オートクレーブ装置を用いて、180℃、1時間の本硬化を行った。
表層配線の形成
実施例1と同様にして、セミアディティブ法により樹脂層に表層配線を形成した。以上の工程を経ることにより、図20に示すような部品内蔵複合配線基板が完成した。
1 セラミック基板、2 セラミック基板本体、3 樹脂層部、4 柱状導体、5 内層パターン、6 表層パターン、7 導体部、8 樹脂層、9 配線層、10 セラミック基板、11 基板用グリーンシート、12 内層パターン、13 表層パターン、21 導体形成用シート、22 収縮抑制効果を有するシート、23 支持体、24 貫通孔、25 導体部前駆体、26 収縮抑制効果を有するシート、31 積層体、41 プリプレグ、42 貫通孔、43 支持体、44 導電ペースト、45 積層シート、61 部品内蔵複合配線基板、62 電子部品、63 電極、64 導電ペースト、71,81 部品内蔵複合配線基板、82 導電ペースト、91 部品内蔵複合配線基板、101 部品内蔵複合配線基板、102 電子部品、103 パッド、111 部品内蔵複合配線基板、121 シード層、122 レジストパターン、123 金属層、124 金属箔、125 支持体