JP2003101197A - 配線基板および多層配線基板 - Google Patents

配線基板および多層配線基板

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Yasuhiro Sugaya
康博 菅谷
Shingo Komatsu
慎五 小松
Koichi Hirano
浩一 平野
Seiichi Nakatani
誠一 中谷
Yasuyuki Matsuoka
康之 松岡
Toshiyuki Asahi
俊行 朝日
Yoshihisa Yamashita
嘉久 山下
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微細な配線パターンおよび部品パターンを確
実かつ容易に基板へ転写することができる転写材を用い
た配線基板および多層配線基板を提供する。 【解決手段】 キャリアとしての第1の金属層101
と、配線パターンとして基板へ転写される第2の金属層
103と、第1および第2の金属層を剥離可能に貼り合
わせる剥離層102との少なくとも3層を有する転写材
である。第1の金属層101の表層部には、配線パター
ンに対応する凹凸が形成され、凸部領域の上に、剥離層
102および第2の金属層103が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微細な配線パター
ンを有する回路部品が形成された配線基板および多層配
線基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の高性能化、小型化の要
求に伴い、半導体のさらなる高密度、高機能化が要請さ
れている。このため、前記半導体を実装するための回路
基板も、さらに小型高密度なものが必要とされている。
【0003】これらの要求に対し、例えば、大規模集積
回路(LSI)間や実装部品間の電気配線を最短距離で
接続できる、基板層間の電気接続方式であるインナビア
ホール(IVH)接続法が、最も高密度な配線が可能で
あることから、各方面で開発が進められている。
【0004】一般に、このようなIVH構成の配線基板
としては、例えば、多層セラミック配線基板、ビルドア
ップ法による多層プリント配線基板、樹脂と無機フィラ
ーとの混合物からなる多層コンポジット配線基板等があ
げられる。
【0005】前記多層セラミック配線基板は、例えば、
以下に示すようにして作製できる。まず、アルミナ等の
セラミック粉末、有機バインダおよび可塑剤からなるグ
リーンシートを複数枚準備する。そして、前記各グリー
ンシートにビアホールを設け、前記ビアホールに導電性
ペーストを充填する。その後、このグリーンシートに配
線パターン印刷を行い、前記各グリーンシートを積層す
る。そして、この積層体を、脱バインダおよび焼成する
ことにより、前記多層セラミック配線基板を作製でき
る。このような多層セラミック配線基板は、IVH構造
を有するため、極めて高密度な配線パターンを形成で
き、電子機器の小型化等に最適である。
【0006】また、この多層セラミック配線基板の構造
を模した、前記ビルドアップ法によるプリント配線基板
も各方面で開発されている。例えば、特開平9−116
267号公報、特開平9−51168号公報等には、従
来の一般的なビルドアップ法が開示されている。この方
法では、従来から使用されているガラス−エポキシ基板
をコアとし、この基板表面に感光性絶縁層を形成した
後、フォトリソグラフィー法でビアホールを設け、さら
にこの全面に銅メッキを施し、前記銅メッキを化学エッ
チングして配線パターンを形成する方法が開示されてい
る。
【0007】また、特開平9−326562号公報に
は、前記ビルドアップ法と同様に、前記フォトリソグラ
フィー法により加工したビアホールに、導電性ペースト
を充填する方法が開示されている。特開平9−3655
1号公報、特開平10−51139号公報等には、絶縁
性硬質基材の一表面に導体回路を、他方表面に接着剤層
をそれぞれ形成し、これに貫通孔を設けて、導電性ペー
ストを充填した後、複数の基材を重ねて積層する多層化
方法が開示されている。
【0008】また、特許第2601128号、特許第2
603053号、特許第2587596号は、アラミド
−エポキシプリプレグにレーザ加工により貫通孔を設
け、ここに導電性ペーストを充填した後、銅箔を積層し
てパターニングを行い、この基板をコアーとして、導電
性ペーストを充填したプリプレグでさらに挟み多層化す
る方法である。
【0009】以上のように、例えば、樹脂系プリント配
線基板をIVH接続させれば、前記多層セラミック配線
基板と同様に、必要な各層間のみの電気的接続が可能で
あり、さらに、配線基板の最上層に貫通孔がないため、
より実装性にも優れる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなIVH構造を有する高密度実装の樹脂系プリント配
線基板は、一般に熱伝導度が低く、部品の実装が高密度
になるにしたがって、前記部品から発生する熱を放熱さ
せることは困難となる。
【0011】また、2000年には、CPUのクロック
周波数が、1GHz程度になり、その機能の高度化に伴
い、CPUの消費電力も、1チップ当たり100〜15
0Wに達すると推測される。
【0012】一般的に、熱伝導性に優れたセラミック配
線基板は放熱性に優れるが、比較的高価であること、携
帯端末に用いる基板やモジュールに適用する場合、耐落
下性に難があること等の問題点がある。
【0013】そこで、樹脂系プリント配線基板が熱伝導
性に課題を有すること等を補完する目的や、樹脂多層基
板にコンデンサを形成することを目的として、樹脂系プ
リント配線基板とセラミック基板とを積層した構造が、
特許第3063427号公報または特開平7−1428
67号公報で提案されている。
【0014】また、基材そのものの熱伝導性を高めるた
めに、多層コンポジット配線基板が、特開平9−270
584号公報、特開平8−125291号公報、特開平
8−288596号公報、特開平10−173097号
公報等に提案されている。この多層コンポジット配線基
板は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂と、熱伝導性に優
れる無機フィラー(例えば、セラミック粉末等)とを混
合し、複合化させた基板である。この基板は、前記無機
フィラーを高濃度に含有することが可能なため、熱伝導
性を向上できる。また、前記無機フィラーの種類を選択
することにより、例えば、誘電率、熱膨張係数等を任意
に制御することが可能である。
【0015】一方、基板の高密度実装を進める上で、重
要なのが微細な配線パターンの形成である。前記多層セ
ラミック配線基板において、配線パターンの形成には、
例えば、セラミック基板に厚膜導電性ペーストをスクリ
ーン印刷し、焼成により焼き固める方法が一般的に利用
されている。しかし、このスクリーン印刷法では、10
0μm以下の線幅である配線パターンを量産することは
困難であると言われている。
【0016】また、通常のプリント配線基板において
は、例えば、サブトラクティブ法により配線パターンを
形成する方法が一般的である。このサブトラクティブ法
では、厚み18〜35μm程度の銅箔を、化学エッチン
グすることにより、基板に配線パターンを形成するが、
この方法でも75μm以下の線幅である配線パターンを
量産することは困難であると言われており、前記配線パ
ターンをさらに微細化するためには、前記銅箔を薄くす
る必要がある。
【0017】また、前記サブトラクティブ法によれば、
基板表面に配線パターンが飛出した構造となるため、半
導体に形成したバンプ上に、電気接続のための半田や導
電性接着剤等を乗せ難く、また、前記バンプが配線パタ
ーン間に移動して、ショートするおそれもある。また、
前記突出した配線パターンのため、例えば、後の工程
で、封止樹脂で封止する際の障害となるおそれもある。
【0018】また、前記ビルドアップ法によるプリント
配線基板においては、前記サブトラクティブ法以外に、
例えば、アディティブ法が採用される傾向にある。この
アディティブ法は、例えば、レジストを形成した基板表
面に、配線パターンを選択的にメッキする方法であり、
30μm程度の線幅である配線パターンを形成すること
ができる。しかし、この方法は、前記サブトラクティブ
法に比べ、基板に対する配線パターンの密着強度が弱い
等の問題がある。
【0019】そこで、予め微細な配線パターンを形成
し、パターン検査を行った後、良品の配線パターンだけ
を、所望の基板に転写する方法が提案されている。例え
ば、米国特許5,407,511号明細書は、予めカーボン板の
表面に、微細パターンを印刷および焼成によって形成
し、これをセラミック基板に転写する方法である。ま
た、特開平10−84186号公報、特開平10−41
611号公報には、離型性支持板上に形成した銅箔から
なる配線パターンを、プリプレグに転写する方法が開示
されている。同様に、特開平11−261219号公報
には、銅箔で構成された雛型性指示板上に、ニッケルリ
ン合金剥離層を介して、銅箔からなる配線パターンを転
写する方法が開示されている。また、特開平8−330
709号公報には、配線パターンである銅箔の粗化面お
よび光沢面における接着度合いが、それぞれ異なること
を利用して、基板に転写する方法が開示されている。
【0020】このような転写法により転写される配線パ
ターンは、基板表面に埋め込まれ、得られる配線基板の
表面は、平坦な構造となるため、前述のように配線パタ
ーンの突出による問題は回避される。さらに、特開平1
0−190191号公報では、配線パターンを基板表面
に埋め込む際に、貫通孔に充填させた導電性ビアペース
トを前記配線パターンの厚み分圧縮する効果も開示され
ている。
【0021】最近では、さらなる配線パターンの微細化
が求められているが、前記従来の配線パターンの転写技
術では、前記離型性支持板上に、より微細な配線パター
ンを形成することは困難である。すなわち、例えば、前
記離型性支持板に接着した銅箔をパターン形成する際、
前記銅箔の前記離型性支持板に対する接着強度が弱い
と、微細な配線パターンは化学エッチング時点で剥離し
てしまう。逆に、前記接着強度が強い場合は、前記配線
パターンを基板へ転写した後に、前記離型性支持板を剥
離する際に、配線パターンも一緒に剥離されてしまう。
また、銅箔の表面を粗化させて、銅箔の基板との接着強
度を、離型性支持板との接着強度よりも高くすることに
より、銅箔を基板へ転写する方法もあるが、この方法で
は微細な配線パターンを形成することは困難である。
【0022】また、前記セラミック基板に対し、例え
ば、スクリーン印刷した導電性ペーストを焼成により焼
結させ、配線パターンを形成する方法を採用しても、前
記配線パターンの微細化には限界があり、かつ導電性粉
末を含有する導電性ペーストの焼結では、銅箔のような
金属層と異なり、電気導電性が悪く、今後の高周波数化
に対して問題となるおそれがある。
【0023】一方、銅箔等の金属箔によって配線形成さ
れたセラミック多層基板を作製することは、従来困難で
あった。これは、グリーンシート上に、グリーンシート
の性状を損ねることなく、金属箔で配線を形成すること
が困難であったためである。
【0024】また、樹脂系プリント配線基板の作製方法
を考えてみた場合、従来は順次積層を用いた積層方法が
一般的であり、プレス工程も複数回にまたがる。このた
め、確実な層間接続を実現するためには、各プレス工程
で発生する硬化収縮の補正等、煩雑な工程を避けて通る
ことはできなかった。
【0025】さらに、樹脂系プリント配線基板が熱伝導
性に課題を有すること等を補完する目的や、樹脂多層基
板にコンデンサを形成することを目的として、樹脂系プ
リント配線基板とセラミック基板を積層した構造自体は
既に提案されている。しかし、実際には、積層工程等を
通じて主としてセラミック層に亀裂等損傷が発生してし
まい、樹脂系及びセラミック積層体を作製することは困
難であった。
【0026】また、基板の高密度実装を進めるために
は、配線パターンの微細化のみならず、配線パターンに
接続される回路部品をいかにして形成し実装するかが重
要なポイントとなる。従来は、インダクタ、コンデン
サ、および抵抗等の受動部品は、一般に、基板表面に突
出した状態で実装され、基板内に埋設させることは困難
であった。このため、高密度実装に限界が生じていた。
【0027】例えば、上述の公報等に開示された従来の
方法では、転写形成材の上に形成されたパターンは、い
ずれも銅箔等の配線部分だけである。実装密度を向上さ
せるためには、受動部品等をチップの形態で転写形成材
の上に実装する方法も提案できるが、受動部品等を基板
に埋め込む際に、配線パターンとの接続部の断線、チッ
プの位置ずれなど、様々な問題が生じている。
【0028】本発明は、前述の転写用配線パターン形成
材または転写用部品配線パターン形成材(転写材)を用
いて、配線パターンおよび回路部品が形成された配線基
板および多層配線基板を提供することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の配線基板は、電気絶縁性基板と、転写材を
用いた転写法により前記電気絶縁性基板の少なくとも一
主面に埋設された配線パターンと、前記電気絶縁性基板
の表面に設けられた少なくとも1つの凹部とを備え、前
記凹部の底部に前記配線パターンが形成されていること
特徴とする。
【0030】本発明においては、前記凹部の深さが、1
〜12μmの範囲であることが好ましい。
【0031】また、前記配線パターンは、第1の金属層
と前記第1の金属層上に形成された第2の金属層とを備
えたことが好ましい。
【0032】また、第2の金属層は金メッキであること
が好ましい。
【0033】また、配線パターンに実装された半導体素
子をさらに備え、前記半導体素子のバンプが前記凹部に
位置合わせしてフリップチップボンディングされ、前記
バンプと前記配線パターンとが電気的に接続されたこと
が好ましい。
【0034】また、前記電気絶縁性基板が、導電性組成
物が充填された貫通孔を有し、前記配線パターンが、前
記導電性組成物と電気的に接続されたことが好ましい。
【0035】また前記電気絶縁性基板が、無機フィラー
および熱硬化性樹脂組成物を含み、導電性組成物が充填
された貫通孔を有することが好ましい。
【0036】また、前記無機フィラーが、Al23、M
gO、BN、AlNおよびSiO2からなる群から選択
された少なくとも一つの無機フィラーであり、前記無機
フィラーの割合が70〜95重量%であり、前記熱硬化
性樹脂組成物の割合が5〜30重量%であることが好ま
しい。
【0037】また、前記電気絶縁性基板が、ガラス繊維
の織布、ガラス繊維の不織布、耐熱有機繊維の織布、お
よび耐熱有機繊維の不織布からなる群から選択された少
なくとも一つの補強材に、熱硬化性樹脂組成物を含浸さ
せたものであることが好ましい。
【0038】また、前記電気絶縁性基板がセラミックか
らなることが好ましい。
【0039】前記セラミックが、Al2O3,MgO,ZrO2,TiO2,
SiO2,BeO,BN,CaO及びガラスからなる群から選択された
少なくとも一つの成分、または、Bi-Ca-Nb-Oを含むセラ
ミックであることが好ましい。
【0040】次に本発明の多層配線基板は、複数の配線
基板を積層してなる多層配線基板であって、少なくとも
一層に、請求項1〜11のいずれか一項に記載の配線基
板を備えたことを特徴とする。
【0041】前記複数の配線基板の少なくとも一つが、
セラミックを含む電気絶縁性基板を有するセラミック配
線基板であり、前記セラミック配線基板の少なくとも一
つが、その主面の少なくとも一方に、凸状に形成された
配線パターンを有し、前記凸状の配線パターンが形成さ
れた主面に積層された配線基板が、熱硬化性樹脂組成物
を含む電気絶縁性基板を有するコンポジット配線基板で
あり、前記凸状の配線パターンが前記コンポジット配線
基板の主面に埋設されたことが好ましい。
【0042】また前記複数の配線基板の少なくとも二つ
が、セラミックを含む電気絶縁性基板を有するセラミッ
ク配線基板であり、前記セラミック配線基板の少なくと
も一つは、他のセラミック配線基板とは異種のセラミッ
ク材料を含み、互いに異なるセラミック材料を含むセラ
ミック配線基板の間に、熱硬化性樹脂組成物を含む電気
絶縁性基板を有する配線基板が配されたことが好まし
い。
【0043】また前記複数の配線基板の少なくとも最上
層及び最下層が、熱硬化性樹脂組成物を含む電気絶縁性
基板を有するコンポジット配線基板であり、内層に、セ
ラミックを含む電気絶縁性基板を有するセラミック配線
基板を備えたことが好ましい。
【0044】本発明の前記転写材によれば、印刷によ
り、インダクタ、コンデンサ、および抵抗等の回路部品
を一括して形成することが可能となる。特に、抵抗の形
成が容易である。なお、回路部品は、これらの受動部品
に限定されず、半導体チップ等の能動部品を形成しても
よい。
【0045】また、ハンダ等を用いた回路部品の実装が
不要となるため、実装工程を簡略化することができる。
また、ハンダ接続の減少により、配線基板の信頼性を向
上させることができる。また、転写材上に回路部品を印
刷で形成することによって、部品チップをハンダ実装す
る場合と比較して、回路部品の低背化を実現することが
でき、埋め込みを伴う転写および基板への内蔵も容易に
することができる。さらに、回路部品の配置が自由にな
り、例えば内蔵コンデンサ等との配線距離を最短にし
て、高周波特性を向上させることができる。
【0046】また、前記転写材は、転写後、剥離された
キャリアである第1の金属層の上に、新たな第2の金属
層や配線パターンまたは部品パターンを形成することに
より、第1の金属層を再利用することが可能であり、そ
の配線パターンの構成も特に制限されない。このため、
低コスト化を図ることが可能であり、工業的にも極めて
有用である。
【0047】前記転写材を用いれば、多層基板のいずれ
の層にも回路部品を転写することができ、部品配置場所
も自由になるので、電子回路設計の自由度が飛躍的に向
上する。
【0048】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)本発明にかかる
転写用配線パターン形成材の第1の実施形態(以下、第
1の転写材と称する)の構成概略例を、図1の断面図に
示す。
【0049】図示のように、前記第1の転写材は、表層
部に凹凸部(例えば凸部の高さが1〜12μm程度)が
形成された第1の金属層101を有する。第1の金属層
101に於いて、前記凸部は、配線パターンに対応した
形状をなす。その凸部領域の上に、有機層あるいは金属
メッキ層からなる剥離層102と、第2の金属層103
が形成されている。すなわち、第1の転写材は、前記第
1の金属層101と第2の金属層103とが剥離層10
2を介して貼り合わされた3層構造である。
【0050】第1の転写材において、第2の金属層10
3が配線パターンであり、第1の金属層101は、前記
配線パターンを基板へ転写するためのキャリアとして機
能する。すなわち、第1の金属層101は、配線パター
ンである第2の金属層103を基板へ転写した後、剥離
層102と共に前記基板から剥離される。
【0051】前記第1の転写材の製造方法は、例えば、
(a)第1の金属層上に、有機層あるいは金属メッキ層
からなる剥離層を介して、第1の金属層と同一成分の金
属を含む第2の金属層を形成して、3層構造を形成する
工程と、(b)化学エッチング法により、第2の金属層
と剥離層のみならず第1の金属層の表層部を配線パター
ン形状に加工して、第1の金属層の表層部に凹凸部を形
成する工程とを含む。
【0052】この製造方法によれば、フォトリソグラフ
ィ法等の化学エッチングを用いることにより、第2の金
属層を微細な配線パターンに形成することが可能であ
る。また、配線パターン(第2の金属層)を構成する金
属箔が、キャリアを構成する金属箔(第1の金属層)と
同一材料を含むことによって、一回のエッチングプロセ
スで、キャリアを構成する第1の金属層に、第2の金属
層の配線パターンと同一パターンの凹凸を形成すること
ができる。
【0053】また、本実施形態の第1の転写材は、使用
後に剥離される第1の金属層を再利用し、この第1の金
属層の凸部と同一形状の第2の金属層を、メッキ層等の
剥離層を介して形成することにより、同じ転写材を再生
することができる。あるいは、前記第1の金属層は、例
えば凸版印刷用のパターン形成材等の他の用途に応用す
ることもできる。従って、本実施形態の第1の転写材
は、資源を有効に利用できるので、省資源および廃棄物
の減少の点において極めて有利である。なお、これは、
後述する他の実施形態で説明する各転写材についても同
様である。
【0054】なお、本実施形態の転写材の配線パターン
に電気的に接続するように、インダクタ、コンデンサ、
抵抗、または半導体素子等の回路部品を形成し、配線パ
ターンと共に基板へ転写することも可能である。なお、
インダクタ、コンデンサ、および抵抗等の受動部品は、
スクリーン印刷等の印刷法により、転写材上に形成する
ことが好ましい。
【0055】(実施の形態2)つぎに、本発明の転写材
の第2の実施形態(以下、第2の転写材と称する)の一
例の構成概略を、図2の断面図に示す。
【0056】図2に示すように、第2の転写材は、表層
部に凹凸部が形成された第1の金属層101を有する。
前記凸部は、配線パターンに対応した形状をなす。第2
の転写材は、その凸部領域の上に有機層あるいは金属メ
ッキ層からなる剥離層102と第2の金属層103が形
成され、更にその上に第3の金属層104が形成された
4層構造である。すなわち、第1の金属層101と第2
の金属層103は、剥離層102を介して貼り合わされ
ている。
【0057】第2の転写材において、第2の金属層10
3および第3の金属層104が2層構造の配線パターン
であり、第1の金属層101は、前記配線パターンを基
板へ転写するためのキャリアとして機能する。すなわ
ち、第1の金属層101は、配線パターンである第2の
金属層103および第3の金属層104を基板へ転写し
た後、剥離層102と共に前記基板から剥離される。
【0058】前記第2の転写材の製造方法は、例えば、
(a)第1の金属層上に、有機層あるいは金属メッキ層
からなる剥離層を介して第1の金属層と同一成分の金属
を含む第2の金属層を形成して、3層構造を形成する工
程と、(b)第2の金属層上の任意の領域にメッキレジ
ストを形成するなどして、前記メッキレジストに覆われ
ずに露出した領域が配線パターン形状となるようにする
工程と、(c)前記第2の金属層の表面において前記露
出された配線パターン形状の領域上に、パターンメッキ
法により、メッキ層からなる第3の金属層を形成する工
程と、(d)前記メッキレジストを剥離することによ
り、前記第3の金属層が、第2の金属層上で配線パター
ン形状の凸部に形成される工程と、(e)化学的エッチ
ング法により、前記第3の金属層が形成されていない領
域の、第2の金属層、剥離層、および第1の金属層の上
層部を、選択的に除去する工程とを含む。
【0059】この製造方法において、第3の金属層とし
て第2の金属層と同一成分の金属を用いた場合、例え
ば、銅箔(第2の金属層)上に銅メッキ層(第3の金属
層)を形成した場合、実施の形態1と同様の理由および
アディティブ法を採用していることから、第2および第
3の金属層を微細な配線パターンに形成できる。
【0060】さらに、第2の金属層および剥離層は、第
3の金属層と比較して薄いため、短時間のエッチング工
程で除去することができ、基本的に第3の金属層の層厚
をほとんど減らすことなく残すことができる。従って、
配線パターンの厚みを任意に制御できる。
【0061】一方、第3の金属層として第2の金属層と
異なる金属、例えば、銅箔(第2の金属層)上に金(第
3の金属層)をパターンメッキで構成した場合、第3の
金属層がエッチングレジストとして機能するため、前記
配線パターン形状を有する第3の金属層が形成されてい
ない領域の、第2の金属層、剥離層、および第1の金属
層の上層部を、選択的に除去する事ができる。更に、第
3の金属層に金を用いると、転写材の配線パターンの最
上層が金となるため、例えばベアチップ、ベアのSAW
(フィルタ表面弾性波フィルタ)等を、配線パターン上
にフリップチップ実装させると、低抵抗で安定した接続
を得ることができる。尚、第3の金属層に銀を用いた場
合も、同様の効果が得られる。
【0062】なお、前記製造方法において、前記第2の
金属層上に第3の金属層を形成する前に、前記第2の金
属層の表面を粗面化処理することが好ましい。前記「第
3の金属層を形成する前」とは、前記第2の金属層上に
配線パターン形成用のマスク(前記メッキレジスト)を
形成する前、または、前記配線パターン状にマスキング
された第2の金属層上に、前記配線パターンに沿って、
第3の金属層を形成する前をいう。このように、前記第
2の金属層を粗面化処理すると、前記第2の金属層と前
記第3の金属層との接着性が向上する。前記製造方法に
おいて、電解メッキ法により、前記第2の金属層上に前
記第3の金属層を形成することが好ましい。前記電解メ
ッキ法により、前記第3の金属層、または前記配線パタ
ーン形成用の金属層を形成すれば、前記第2の金属層と
前記第3の金属層との接着面に、適度な接着性が得られ
るだけでなく、前記金属層間に隙間が発生しないため、
例えば、エッチング等を行っても、良好な配線パターン
を形成できる。一方、第2の金属層上に前記第3の金属
層をパネルメッキで形成した後、配線パターン上にマス
キングを行い、パターン形成を行ってもよい。この場
合、転写後の第2の金属層の表面酸化防止、ハンダ濡れ
性の改善に効果がある。
【0063】前記製造方法において、化学エッチング法
により、第2および第3の金属層を、第1の金属層の表
層部を含めて、配線パターン状に加工することが好まし
い。
【0064】前記製造方法において、前述と同様の理由
から、前記第2の金属層が、銅、アルミ、銀およびニッ
ケルからなる群から選択された少なくとも一つの金属を
含み、特に銅を含むことが好ましい。第1の金属層は、
化学エッチングによって第2の金属層のエッチングと同
時に、その表層部に配線パターン(第2の金属層)と同
じ形状の凸部を形成することから、第2の金属層と同じ
金属成分を有していることが望ましい。その中でも、第
1および第2の金属層が銅箔からなることが好ましく、
特に好ましくは、電解銅箔である。
【0065】前記第1および第2の金属層の作製方法と
しては、特に制限されず、例えば、公知の金属箔の製造
方法等により作製できる。
【0066】前記粗面化処理としては、例えば、黒化処
理、ソフトエッチング処理、サンドブラスト処理等が採
用できる。
【0067】なお、本実施形態の転写材の配線パターン
に電気的に接続するように、インダクタ、コンデンサ、
抵抗、または半導体素子等の回路部品を形成し、配線パ
ターンと共に基板へ転写することも可能である。なお、
インダクタ、コンデンサ、および抵抗等の受動部品は、
スクリーン印刷等の印刷法により、転写材上に形成する
ことが好ましい。
【0068】(実施の形態3)つぎに、本発明の転写材
の第3の実施形態(以下、第3の転写材と称する)の一
例の構成概略を、図3の断面図に示す。
【0069】図示のように、第3の転写材は、表層部に
凹凸部が形成された第1の金属層101を有する。前記
凸部は、配線パターンに対応した形状をなす。第3の転
写材は、前記凸部領域の上に、有機層あるいは金属メッ
キ層からなる剥離層102と第2の金属層103が形成
され、更にその上に第3の金属層104が形成され、そ
の上に第4の金属層105が形成された5層構造からな
る。第1の金属層101と第2の金属層103は、剥離
層102を介して貼り合わされている。
【0070】第3の転写材において、第2の金属層10
3、第3の金属層104、および第4の金属層105
が、3層構造の配線パターンである。第1の金属層10
1は、前記配線パターンを基板へ転写するためのキャリ
アとして機能する。すなわち、第1の金属層101は、
配線パターンである第2の金属層103、第3の金属層
104、および第4の金属層105を基板へ転写した
後、剥離層102と共に前記基板から剥離される。
【0071】第3の転写材の製造方法は、例えば、以下
の通りである。 (a)第1の金属層上に、剥離層を介して、第1の金属
層と同一成分の金属を含む第2の金属層を形成して、3
層構造を形成する工程と、(b)第2の金属層上の任意
の領域にメッキレジストを形成し、前記メッキレジスト
に覆われずに露出した領域が配線パターン形状となるよ
うにする工程と、(c)前記第2の金属層において、前
記露出された配線パターン形状の領域上に、メッキ層か
らなる第3の金属層を作製する工程と、(d)前記第3
の金属層上に、前記第1〜第3の金属層と異なる金属成
分であって、前記第1〜第3の金属層を腐食するエッチ
ング液に対し化学的に安定な金属成分で構成された第4
の金属層を作製する工程と、(e)前記メッキレジスト
を剥離することにより、第3と第4の金属層2層が、配
線パターン形状の凸部に形成される工程と、(f)化学
的エッチング法により、前記配線パターン形状を有する
第3と第4の金属層が形成されていない領域の、第2の
金属層、剥離層、および第1の金属層の上層部を、選択
的に除去する工程とを含む。
【0072】この製造方法によれば、前述と同様の理由
およびアディティブ法を採用していることから、微細な
配線パターンを形成できる。さらに、配線パターンの厚
みを任意に制御できる。
【0073】前記製造方法において、前記第2の金属層
上に第3の金属層を形成する前に、前記第2の金属層の
表面を粗面化処理することが好ましい。前記第3の金属
層を形成する前とは、前記第2の金属層上に配線パター
ン形成用のマスクを形成する前、または、前記配線パタ
ーン状にマスキングされた第2の金属層上に、前記配線
パターンに沿って、第3の金属層を形成する前をいう。
このように、前記第2の金属層を粗面化処理すると、前
記第2の金属層と前記第3の金属層との接着性が向上す
る。
【0074】前記製造方法において、電解メッキ法によ
り、前記第2の金属層上に前記第3の金属層を形成する
ことが好ましい。前記電解メッキ法により、前記第3の
金属層、または前記配線パターン形成用の金属層を形成
すれば、前記第2の金属層と前記第3の金属層との接着
面に、適度な接着性が得られるだけでなく、前記金属層
間に隙間が発生しないため、例えば、エッチング等を行
っても、良好な配線パターンを形成できる。
【0075】一方、第2の金属層上に前記第3の金属層
をパネルメッキで形成した後、配線パターン上にマスキ
ングを行い、パターン形成を行ってもよい。この場合、
転写後の第2の金属層の表面酸化防止、ハンダ濡れ性の
改善に効果がある。
【0076】さらに、前記製造方法において、前記第3
の金属層上に形成される第4の金属層は、電解メッキ法
により形成することが好ましい。第4の金属層の材料と
して、第1〜第3の金属層とは異なる成分、すなわち、
前記第1から第3の金属層を腐食するエッチング液に対
し、化学的に安定な金属成分を選択することにより、工
程(f)の化学エッチング法によっても、第2,3,4
の金属層を、その厚みを低減させることなく、前記第1
の金属層の表層部と共に配線パターン状に加工すること
ができ、好ましい。
【0077】前記製造方法において、前述と同様の理由
から、前記第2、第3の金属層が、銅、アルミ、銀およ
びニッケルからなる群から選択された少なくとも一つの
金属を含み、特に銅を含むことが好ましい。第1の金属
層は、化学エッチングによって、第2の金属層のエッチ
ングと同時に、その表層部に配線パターン(第2の金属
層)と同じ形状の凸部を形成することから、第2の金属
層と同じ金属成分を有していることが望ましい。その中
でも、例えば、これらの金属層は、銅箔からなることが
好ましく、特に好ましくは、電解銅箔である。一方、前
記第4の金属層としては、例えば、化学的に安定で、低
抵抗な、Ag、あるいはAuメッキ層などが望ましい。
【0078】前記第1および第2の金属層の作製方法と
しては、特に制限されず、例えば、公知の金属箔の製造
方法等により作製できる。
【0079】前記粗面化処理としては、例えば、黒化処
理、ソフトエッチング処理、サンドブラスト処理等が採
用できる。
【0080】なお、前述した実施の形態1〜3の第1、
第2および第3の転写材において、剥離層を介した前記
第1の金属層と第2の金属層との接着強度が弱いこと、
例えば50N/m(gf/cm)以下であることが好ま
しい。剥離層は、接着力を有した1μmより遙かに薄い
有機層、例えば熱硬化樹脂であるウレタン系樹脂、エポ
キシ系樹脂、フェノール樹脂などが使用できるが、これ
には制限されず、他の熱可塑性樹脂などを用いても構わ
ない。但し、1μmより厚くなると、剥離性能が悪化
し、転写が困難となることもある。
【0081】また、第1〜第3の転写材において、意図
的に接着力を低下させる目的で、剥離層としてメッキ層
を介在させても良い。例えば、1μmより遙かに薄い金
属メッキ層、ニッケルメッキ層、ニッケル−リン合金
層、アルミニウムメッキ層、またはクロムメッキ層など
を、剥離層として銅箔(第1および第2の金属層)間に
介在させて、剥離性を持たせることも可能である。これ
により、前記第2の金属層を基板に転写した後に、前記
第1の金属層から前記第2の金属層が剥離し易く、前記
第2の金属層のみを前記基板に転写することが容易にな
る。剥離層は、金属メッキ層で構成する場合、100n
m〜1μmの厚みレベルで十分であり、厚くなればなるほ
ど工程上コストがかかるので、少なくとも1μmより薄
いことが望ましい。
【0082】また、第1〜第3の転写材において、剥離
層を、Auメッキにより、意図的に第1の金属層と剥離
し易いように形成すると、転写後、第1の金属層を基板
から剥離する際に、剥離層が配線パターンの第2の金属
層の表面に残ることとなる。これにより、表面がAuメ
ッキ処理された配線パターンが得られ、FC実装(フリ
ップチップ実装)、部品実装などに優れたものとなる。
【0083】また、前記第1〜第3の転写材において、
前記第1の金属層は、銅、アルミ、銀およびニッケルか
らなる群から選択された少なくとも一つの金属を含むこ
とが好ましいが、特に銅を含むことが好ましい。前記第
2の金属層は、第1の金属層と同様、銅、アルミ、銀お
よびニッケルからなる群から選択された少なくとも一つ
の金属を含むことが好ましいが、特に銅を含むことが好
ましい。なお、前記金属は、一種類でもよいが、二種類
以上を併用してもよい。
【0084】さらに、前記第1〜第3の転写材において
は、例えば、エッチング等を行う場合、二層構造の金属
層を同時に加工しやすいことから、前記第1の金属層お
よび第2の金属層が、同一成分の金属を含むことが好ま
しい。この場合、第1の金属層と第2の金属層との間に
熱膨張係数の差がないため、加熱時にパターン歪みが生
じにくく、微細な配線パターンの転写に適する。なお、
剥離層にメッキ層を用いる場合は、銅エッチング液で加
工できることが望ましい。また、前記同一成分の金属を
含んでいれば、その金属の種類は特に制限されないが、
銅箔からなることが好ましく、導電性に優れることか
ら、特に好ましくは、電解銅箔である。なお、前記金属
は、一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
【0085】また、前記第1〜第3の転写材において、
前記第2の金属層の表面の中心線平均粗さ(Ra)が、
2μm以上であることが好ましく、特に好ましくは、3
μm以上である。第1の転写材の場合は、前記中心線平
均粗さが2μmより小さいと、転写する基板との接着性
が不十分になる可能性がある。一方、第2および第3の
転写材においては、前記中心線平均粗さが2μmより小
さいと、多層配線パターンを構成する金属層間の接着性
が不十分となり、例えば、前記金属層をエッチングする
際に、前記金属層隙間にエッチング液が入り込み、配線
パターンが不良となるおそれがある。
【0086】また、前記第1〜第3の転写材において、
前記第2の金属層の厚みが、1〜18μmの範囲である
ことが好ましく、特に好ましくは、3〜12μmの範囲
である。前記厚みが3μmより薄いと、前記第2の金属
層を基板に転写した場合に、良好な導電性を示さないお
それがあり、前記厚みが18μmより厚いと、微細な配
線パターンを形成することが困難となるおそれがある。
【0087】また、前記第1〜第3の転写材において、
前記第1の金属層の厚みが、4〜40μmの範囲である
ことが好ましく、特に好ましくは、20〜40μmの範
囲である。第1の金属層は、キャリアとして機能する一
方、配線層と同様に表層部がエッチングされて凹凸を有
する構造となるため、十分な厚みを有した金属層である
ことが望ましい。また、第1〜第3の転写材は、キャリ
アを金属層(第1の金属層)としたことで、転写時に生
じる熱歪みや平面方向の応力歪みに対して、十分な機械
強度や耐熱性を示す。
【0088】前記第1〜第3の転写材の全体の厚みは、
通常、40〜150μmの範囲であり、好ましくは、4
0〜80μmの範囲である。また、配線パターンの線幅
は、通常、微細な線幅として25μm程度のものまで要
求され、本発明においても、このような線幅が好まし
い。
【0089】なお、本実施形態の転写材の配線パターン
に電気的に接続するように、インダクタ、コンデンサ、
抵抗、または半導体素子等の回路部品を形成し、配線パ
ターンと共に基板へ転写することも可能である。なお、
インダクタ、コンデンサ、および抵抗等の受動部品は、
スクリーン印刷等の印刷法により、転写材上に形成する
ことが好ましい。
【0090】(実施の形態4)本実施形態では、本発明
の各種転写用配線パターン形成材(第1〜第3の転写
材)を用いた、配線基板の製造方法と、その製造方法に
より作製される配線基板の構成について説明する。
【0091】本発明にかかる、転写材を用いた配線基板
の製造方法としては、例えば、以下の2つの製造方法が
ある。
【0092】まず、1番目の製造方法は、(h)前記実
施形態1〜3で説明した第1〜第3の転写材の少なくと
も一つを準備し、これの配線層側(第2の金属層等が形
成された側)が、シート状基材(基板材料)の少なくと
も一方の表面と接触するように配置して、これらを接着
する工程と、(i)前記転写材から第1の金属層を剥離
することにより、前記シート状基材に配線層のみを転写
する工程とを含む方法である。
【0093】これにより、微細な配線パターンが、前記
シート状基材に凹形状に形成された配線基板を作製でき
る。また、この配線基板は、配線部分が凹形状であるた
め、この凹部を位置決めに利用することができ、例え
ば、半導体のフリップチップ実装等に優れる。
【0094】また、2番目の製造方法は、多層配線基板
の製造方法であって、前記第1の製造方法により得られ
た配線基板を二層以上に積層する工程を含む方法であ
る。第1の製造方法によれば、100℃以下の低温で配
線パターンの転写形成ができるので、前記シート状基材
としてセラミックグリーンシートおよび熱硬化樹脂性シ
ートのいずれを用いても、配線パターンの転写を行った
後も、シートを未硬化の状態に維持することができる。
これにより、未硬化状態の配線基板を積層した後に、一
括して熱硬化収縮させることが可能となる。従って、一
層ずつ配線基板を積層して硬化収縮させる工程を繰り返
す、従来の多層配線基板の製造方法と比較して、4層以
上の多層を有する多層配線基板の場合でも、各層毎の硬
化収縮の補正を行う必要がないという利点がある。ま
た、工程を簡略化できる。
【0095】これにより、微細な配線パターンを有する
多層配線基板を作製できる。但し、前記多層配線基板に
おいて、内層の配線基板に形成される配線パターンは、
凹形状である必要はない。従って、この配線パターンを
形成するための転写材は、第1の金属層の表層部が、凹
凸状に形成されている必要はなく、平坦でよい。この場
合、例えば配線パターン形状を形成する際の化学エッチ
ング時間を制御することにより、剥離層までエッチング
された段階で加工を止めて、第1の金属層はエッチング
されないようにすることが可能である。また、例えば、
剥離層がNi系のメッキ層の場合、エッチング液とし
て、塩化銅水溶液にアンモニウムイオンを加えた塩基系
の液を用いると、銅箔(配線パターン)部分のみをエッ
チング除去し、剥離層を残すことができる。この転写材
は、基板に圧着した後にキャリア銅箔(第1の金属層)
を剥離すると、剥離層であるメッキ層も同時に剥離され
るため、転写には何の問題もない。
【0096】なお、前記第1の転写材を使用した場合、
第1の転写材をシート状基材(基板材料)に圧着させる
ことにより、前記第2の金属層および第1の金属層の凸
部が、シート状基材に埋め込まれる。その後、第1の金
属層を剥離することにより、表面に凹部を有し、その凹
部の底部に第2の金属層からなる配線層を有する配線基
板が作製される。
【0097】また、前記第2の転写材を使用した場合
は、例えば、第2の転写材をシート状基材に圧着させる
ことにより、前記第2および第3の金属層の全体および
第1の金属層の凸部がシート状基材に埋め込まれた後、
前記第1の金属層が除去される。これにより、表面に、
前記第1の金属層の凸部の厚みと同程度の深さの凹部を
有し、その凹部の底部に前記第2および第3の金属層か
らなる二層構造の配線層が形成された配線基板となる。
【0098】同様に、前記第3の転写材を使用した場合
は、例えば、前記第2、3および第4の金属層の全体お
よび第1の金属層の凸部がシート状基材に埋め込まれた
後、前記第1の金属層が除去される。これにより、表面
に、前記第1の金属層の凸部の厚みと同程度の深さの凹
部を有し、その凹部の底部に前記第2、3および第4の
金属層からなる三層構造の配線層が形成された配線基板
となる。
【0099】前記した第1および第2の配線基板の製造
方法において、前記シート状基材が、無機フィラーと熱
硬化性樹脂組成物とを含むと共に、少なくとも一つの貫
通孔を有し、前記貫通孔に導電性ペーストが充填されて
いることが好ましい。これにより、熱伝導性に優れ、例
えば基板両面の配線パターンが前記導電性ペーストによ
り電気的に接続された、IVH構造を有する高密度実装
用コンポジット配線基板を容易に得ることができる。ま
た、このシート状基材を用いれば、配線基板の作製の際
に、高温処理の必要がなく、例えば、熱硬化性樹脂の硬
化温度である200℃程度の低温処理で十分である。
【0100】前記シート状基材は、無機フィラーの割合
が70〜95重量%であり、熱硬化性樹脂組成物の割合
が5〜30重量%であることが好ましく、特に好ましく
は、前記無機フィラーの割合が85〜90重量%であ
り、前記熱硬化性樹脂組成物の割合が10〜15重量%
である。前記シート状基材は、前記無機フィラーを高濃
度含有できることから、その含有量により、配線基板に
おける、熱膨張係数、熱伝導度、誘電率等を任意に設定
することが可能である。
【0101】前記無機フィラーは、Al23、MgO、
BN、AlNおよびSiO2からなる群から選択された
少なくとも一つの無機フィラーであることが好ましい。
前記無機フィラーの種類を適宜決定することにより、例
えば、熱伝導性、熱膨張性、誘電率を所望の条件に設定
することが可能である。例えば、前記シート状基材にお
ける平面方向の熱膨張係数を、実装する半導体の熱膨張
係数と同程度に設定し、かつ高熱伝導性を付与すること
も可能である。
【0102】前記無機フィラーの中でも、例えば、Al
23、BN、AlN等を用いたシート状基材は、熱伝導
性に優れ、MgOを用いたシート状基材は、熱伝導度に
優れ、かつ熱膨張係数を大きくすることができる。ま
た、SiO2、特に非晶質SiO2を使用した場合、熱膨
張係数が小さく、軽い、低誘電率のシート状基材を得る
ことができる。なお、前記無機フィラーは、一種類でも
よいし、二種類以上を併用してもよい。
【0103】前記無機フィラーと熱硬化性樹脂組成物と
を含むシート状基材は、例えば、以下のようにして作製
できる。まず、前記無機フィラーと熱硬化性樹脂組成物
とを含む混合物に粘度調整用溶媒を加え、任意のスラリ
ー粘度であるスラリーを調製する。前記粘度調製用溶媒
としては、例えば、メチルエチルケトン、トルエン等が
使用できる。
【0104】そして、予め準備した離型フィルム上にお
いて、前記スラリーを用いて、例えば、ドクターブレー
ド法等により造膜し、前記熱硬化性樹脂の硬化温度より
も低い温度で処理して、前記粘度調整用溶媒を揮発させ
た後、前記離型フィルムを除去することによりシート状
基材が作製できる。
【0105】前記造膜した時の膜厚は、前記混合物の組
成や、添加する前記粘度調整用溶媒の量により適宜決定
されるが、通常、厚み80〜200μmの範囲である。
また、前記粘度調製用溶媒を揮発させる条件は、例え
ば、前記粘度調製用溶媒の種類や前記熱硬化性樹脂の種
類等により適宜決定されるが、通常、温度70〜150
℃で、5〜15分間である。
【0106】前記離型フィルムとしては、通常は、有機
フィルムが使用でき、例えば、ポリエチレン、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ
フェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニレンテ
レフタレート、ポリイミドおよびポリアミドからなる群
から選択された少なくとも一つの樹脂を含む有機フィル
ムであることが好ましく、特に好ましくはPPSであ
る。
【0107】また、別のシート状基材としては、シート
状補強材に熱硬化性樹脂組成物を含浸したものであり、
少なくとも一つの貫通孔を有し、前記貫通孔に導電性ペ
ーストが充填されているシート状基材がある。
【0108】前記シート状補強材は、前記熱硬化性樹脂
を保持できる多孔性の材料であれば、特に制限されない
が、ガラス繊維の織布、ガラス繊維の不織布、耐熱有機
繊維の織布および耐熱有機繊維の不織布からなる群から
選択された少なくとも一つのシート状補強材であること
が好ましい。前記耐熱有機繊維としては、例えば、全芳
香族ポリアミド(アラミド樹脂)、全芳香族ポリエステ
ル、ポリブチレンオキシド等があげられ、中でもアラミ
ド樹脂が好ましい。他の好ましいシート基材は、ポリイ
ミドなどのフィルムである。ポリイミドなどのフィルム
を用いると、ファインライン性ファインビアなどに優れ
た基板を得ることができる。
【0109】前記熱硬化性樹脂は、耐熱性であれば特に
制限されないが、特に耐熱性に優れることから、エポキ
シ系樹脂、フェノール系樹脂およびシアネート系樹脂あ
るいはポリフェニレンフタレート樹脂からなる群から選
択された少なくとも一つの樹脂を含むことが好ましい。
また、前記熱硬化性樹脂は、いずれか一種類でもよい
し、二種類以上を併用してもよい。
【0110】このような、シート状基材は、例えば、前
記熱硬化性樹脂組成物中に前記シート状補強材を浸漬し
た後、乾燥させ半硬化状態にすることにより作製でき
る。前記浸漬は、前記シート状基材全体における前記熱
硬化性樹脂の割合が、30〜60重量%になるように行
うことが好ましい。
【0111】前記多層配線基板の製造方法において、以
上のような、熱硬化性樹脂を含有するシート状基材を用
いる場合は、前記配線基板の積層を、加熱加圧処理によ
る前記熱硬化性樹脂の硬化によって行うことが好まし
い。これによれば、前記配線基板の積層工程において、
例えば、前記熱硬化性樹脂の硬化温度である200℃程
度の低温処理で十分である。
【0112】また、さらに別のシート状基材としては、
有機バインダ、可塑剤およびセラミック粉末を含むグリ
ーンシートであって、少なくとも一つの貫通孔を有し、
前記貫通孔に導電性ペーストが充填されているものがあ
る。このシート状基材は、高耐熱性で密閉性が良く、熱
伝導性にも優れる。
【0113】前記セラミック粉末は、Al23、Mg
O、ZrO2、TiO2、BeO、BN、SiO2、Ca
Oおよびガラスからなる群から選択された少なくとも一
つのセラミックを含むことが好ましく、特に好ましく
は、Al23 50〜55重量%とガラス粉45〜50
重量%との混合物である。なお、前記セラミックは、一
種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
【0114】前記有機バインダとしては、例えば、ポリ
ビニルブチラート(PVB)、アクリル樹脂、メチルセ
ルロース樹脂等が使用でき、前記可塑剤としては、例え
ば、ブチルベンジルフタレート(BBP)、ジブチルフ
タレート(DBP)等が使用できる。
【0115】このような、前記セラミック粉等を含むグ
リーンシートは、例えば、前記無機フィラーと熱硬化性
樹脂とを含むシート状基材の前記作製方法と同様にして
作製できる。なお、各処理条件は、前記構成材料の種類
等により適宜決定される。
【0116】前記多層配線基板の製造方法において、前
記シート状基材として前記グリーンシートを用いる場
合、前記配線基板の積層を、加熱加圧処理による前記シ
ート状基材の接着と、焼成によるセラミック粉末の焼結
とにより行うことが好ましい。
【0117】以上のような前記シート状基材の厚みは、
通常、30〜250μmの範囲である。
【0118】前記シート状基材は、前述のように、少な
くとも一つの貫通孔を有し、前記貫通孔に導電性ペース
トが充填されていることが好ましい。前記貫通孔の位置
は、通常、配線パターンと接触するように形成されれ
ば、特に制限されないが、ピッチが、250〜500μ
mの等間隔の位置に形成されることが好ましい。
【0119】前記貫通孔の大きさは、特に制限されない
が、通常、直径100〜200μmの範囲であり、好ま
しくは、直径100〜150μmの範囲である。
【0120】前記貫通孔の形成方法は、前記シート状基
材の種類等により適宜決定されるが、例えば、炭酸ガス
レーザー加工、パンチングマシーンによる加工、金型に
よる一括加工等があげられる。
【0121】前記導電性ペーストとしては、導電性を有
していれば、特に制限されないが、通常、導電性金属材
料の粒子を含有する樹脂等が使用できる。前記導電性金
属材料としては、例えば、銅、銀、金、銀パラジウム等
が使用でき、前記樹脂としては、エポキシ系樹脂、フェ
ノール系樹脂、アクリル系樹脂等の熱硬化性樹脂が使用
できる。また、前記導電性ペースト中の前記導電性金属
材料の含量は、通常、80〜95重量%の範囲である。
また、前記シート状基材がセラミックグリーンシートの
場合は、熱硬化性樹脂の代わりにガラス及びアクリルバ
インダーが用いられる。
【0122】つぎに、前記(h)工程における転写材と
シート状基材との接着方法、および(i)工程における
前記第2の金属層から第1の金属層を剥離する方法は、
特に制限されないが、前記シート状基材が熱硬化性樹脂
を含む場合、例えば、以下に示すようにして行うことが
できる。
【0123】まず、前記転写材とシート状基材とを、前
述のように配置し、これらを加熱加圧処理することによ
って、前記シート状基材中の前記熱硬化性樹脂を溶融軟
化させ、前記シート状基材に、配線パターンを形成する
金属層(第2の金属層等)を埋没させる。続いて、これ
らを前記熱硬化性樹脂の軟化温度あるいは硬化温度で処
理し、後者の場合は、前記樹脂を硬化させる。これによ
り、前記転写材とシート状基材とを接着でき、また、前
記第2の金属層とシート状基材との接着も固定される。
【0124】前記加熱加圧条件は、前記熱硬化性樹脂が
完全硬化しない範囲であれば、特に制限されないが、通
常、圧力約9.8×105〜9.8×106Pa(10〜
100kgf/cm2)、温度70〜260℃、時間3
0〜120分間である。
【0125】そして、前記転写材とシート状基材とが接
着した後、例えば、前記キャリア層である第1の金属層
を引っ張り、剥離層内で剥離することによって、前記第
2の金属層から第1の金属層を剥離することができる。
すなわち、剥離層を介した前記第1の金属層と前記第2
の金属層との接着強度が、シート状基材と配線層である
第2の金属層との接着強度よりも弱いことから、前記第
1の金属層と第2の金属層との接着面が剥離し、前記シ
ート状基材には第2の金属層のみが転写され、第1の金
属層は、剥離される。なお、前記熱硬化性樹脂の硬化
は、前記第2の金属層から第1の金属層を剥離した後に
行ってもよい。
【0126】一方、前記シート状基材が、前記セラミッ
クを含むグリーンシートである場合は、例えば、以下に
示すようにして行うことができる。前述と同様にして、
加熱加圧処理を行うことにより、配線パターンを形成す
る金属層を前記シート状基材に埋没させ、前記シート状
基材と転写材とを接着できる。その後、前述と同様に、
前記剥離により、前記配線層(第2の金属層等)以外の
転写材の構成材料を除去する。そして、配線パターンを
形成する第2の金属層等が転写された前記グリーンシー
トの両面もしくは片面に、前記グリーンシートの焼結温
度で実質的に焼結収縮しない無機組成物を主成分とする
拘束シートを配置、積層した後、脱バインダ処理および
焼成処理を行う。さらに、その後、前記拘束シートを取
り除き、第2の金属層等で構成された配線パターンを有
するセラミック基板を形成することができる。
【0127】前記転写の際に行われる加熱加圧条件は、
例えば、前記グリーンシートおよび導電性ペーストに含
まれる熱硬化性樹脂の種類等により適宜決定されるが、
通常、圧力約9.8×105〜1.96×107Pa(1
0〜200kgf/cm2)、温度70〜100℃、時
間2〜30分間である。従って、何らグリーンシートに
損傷を与えることなく配線パターンを形成することがで
きる。
【0128】前記配線パターンが形成されたグリーンシ
ートの両面もしくは片面に、前記グリーンシートの焼結
温度で実質的に焼結収縮しない無機組成物を主成分とす
る拘束シートを配置、積層する加熱加圧条件は、例え
ば、前記グリーンシート及び拘束シートに含まれる熱硬
化性樹脂の種類等により適宜決定されるが、通常、圧力
約1.96×106〜1.96×107Pa(20〜20
0kgf/cm2)、温度70〜100℃、時間1〜1
0分間である。
【0129】前記脱バインダ処理は、例えば、前記バイ
ンダーの種類、配線パターンを構成する金属等により、
その条件が適宜決定されるが、通常、電気炉を用いて、
温度500〜700℃で、昇温時間:10時間、保持時
間:2〜5時間処理することによって行うことができ
る。特に銅箔配線の場合は、熱分解性に優れたメタクリ
ル酸系アクリルバインダー等の有機バインダーで構成さ
れたグリーンシートを用い、非酸化雰囲気である窒素雰
囲気下で、脱バインダーおよび焼成を行うことになる。
【0130】前記焼成処理の条件は、例えば、前記セラ
ミックの種類等により適宜決定されるが、通常、ベルト
炉を用いて、空気中または窒素中で、温度860〜95
0℃、時間30〜60分である。
【0131】ここで、前記第2の製造方法についてさら
に説明する。この方法により多層配線基板を作製する場
合は、前述のようにして作製された単層の配線基板を積
層し、層間を接着する。なお、単層配線基板を複数枚積
層した後に、一括して接着固定することも可能である。
【0132】例えば、熱硬化性樹脂を含むシート状基材
を用いて作製された配線基板を積層して多層配線基板を
作製する場合は、まず、前述と同様に、加熱加圧処理に
よって、前記シート状基材に、転写材から配線層(第2
の金属層等)のみを転写し、単層の配線基板を得る。な
お、この配線基板を得る際に、前記熱硬化性樹脂は、硬
化処理されず、未硬化状態に保たれている。この単層の
配線基板を複数枚準備し、積層する。そして、この積層
体を、前記熱硬化性樹脂の硬化温度で加熱加圧処理し、
前記熱硬化性樹脂を硬化することによって、前記配線基
板間を接着固定する。前記単層配線基板において配線層
を転写するための加熱加圧処理の温度を意図的に100
℃以下にすると、転写後もシート状基材を殆どプリプレ
グのように扱える。これにより、単層配線基板を順次接
着固定するのではなく、単層配線基板を積層した後に一
括して接着固定することにより、多層配線基板を作製す
ることが可能となる。
【0133】また、ガラスエポキシ基板等をコア層とす
るビルドアップ基板の場合、本発明の転写材を用いるこ
とによって、シート状基材が未硬化の状態で配線パター
ンを転写して単層配線基板を形成し、これらの単層配線
基板を未硬化状態のまま順次積層し、この積層体を一括
して硬化させる方法によって作製することが可能とな
る。
【0134】また、例えば、セラミックを含むシート状
基材を用いたセラミック配線基板を積層して多層配線基
板を作製する場合は、前述と同様に、前記シート状基材
に転写材を圧着させて配線層(第2の金属層等)のみを
転写した後、この単層のセラミック配線基板を複数積層
し、加熱加圧処理と、前記セラミックの焼成とを行うこ
とにより、前記配線基板間を接着固定する。
【0135】前記多層配線基板における積層数は、特に
制限されないが、通常、4〜10層であり、20層に及
ぶものも可能である。また、前記多層配線基板の全体の
厚みは、通常、200〜1000μmである。
【0136】なお、前記多層配線基板の最外層を構成す
る配線基板は、電気的接続に優れることから、前述した
ように、本発明の転写材(第1、第2、または第3の転
写材)を用いることによって表面の凹部に配線層(第2
の金属層等)が埋め込まれた構造であることが好まし
い。また、前記多層配線基板の最外層以外の中間層は、
表面が平坦な構造の配線基板でもよいが、表面に凹部に
配線層(第2の金属層等)が形成された配線基板であっ
てもよい。
【0137】つぎに、本発明の配線基板の構成につい
て、下記に詳細に説明する。
【0138】本発明の転写材(第1、第2、または第3
の転写材)を用いて作製される配線基板の第1の形態
は、図8に示すように、シート状基材805の表面に配
線パターン801が形成された配線基板であって、少な
くとも一方の表面に、少なくとも一つの凹部を有し、前
記凹部の底部に前記配線パターン801が形成されるこ
とを特徴とする。また、配線パターン801の上に、メ
ッキ処理により金等のメッキ層802が形成されたこと
を特徴とする。
【0139】これによれば、例えば、この配線基板上に
半導体のフリップチップ実装を行う場合に、図9に示す
ように、半導体905に形成されたバンプ904を位置
決めするために、前記凹部を利用できる。また、半導体
905との接続部903が、化学的に安定な金メッキ層
等の上に形成されていることにより、接触抵抗が小さく
なると共に、信頼性が向上する。また、凹部を利用して
メッキ処理を施すため、沿面距離を確保することがで
き、メッキ間の短絡等が生じず、微細な配線パターンの
信頼性を維持することができる。
【0140】前記配線基板において、前記配線パターン
層の厚みは、3〜35μmの範囲であることが好まし
い。前記厚みが3μmより薄いと、良好な導電性が得ら
れないおそれがある。一方、35μmより厚いと、微細
な配線パターンを形成することが困難となるおそれがあ
る。
【0141】前記配線基板において、前記凹部の深さ
が、1〜12μmの範囲であることが好ましい。前記深
さが12μmより深いと、例えば、半導体を実装する場
合に、いずれかのバンプが前記配線パターンに接触でき
ないおそれや、封止樹脂の封止時間がかかるおそれがあ
る。また、前記深さが1μmより浅いと、前記バンプの
位置決めに、前記凹部を利用できないおそれがある。
【0142】本発明の転写材を用いて作製される配線基
板の第2の形態は、例えば図10(j)に示すように、
シート状基材1001の表面に配線パターン(1002
等)が形成された多層配線基板であって、少なくとも一
方の表面に、少なくとも一つの凹部を有し、前記凹部の
底部に前記配線パターンが形成されたことを特徴とす
る。この多層配線基板は、本発明の転写材を用いること
によって、各層の配線基板において、シート状基材が未
硬化状態あるいはグリーンシートの状態で、配線パター
ンが形成されることが、可能である。これにより、単層
配線基板を積層した後に一括して接着固定させたり、シ
ート状基材と金属箔配線パターンとを同時焼成すること
が可能となる。この結果、各層の層間ビアをはじめとす
る配線パターンの位置精度が極めて高い多層配線基板を
得ることができる。
【0143】本発明の転写材を用いて作製される配線基
板の第3の形態は、図11に示すように、セラミックか
らなる電気絶縁性基板1608と、少なくとも熱硬化性
樹脂組成物を含む電気絶縁性基板1602との積層構造
からなる多層配線基板である。電気絶縁性基板1602
は、本発明の転写材を用いることによって、配線パター
ンが表面から突出しない状態に形成されている。また、
前記転写材により配線パターンが転写された、未硬化状
態の熱硬化性樹脂組成物を含む電気絶縁性シートと、セ
ラミックからなる電気絶縁性基板とを積層し、比較的小
さいプレス圧で一括して硬化させることが可能であり、
セラミック層に損傷を与えることなく、多層配線基板を
実現することができる。
【0144】一方、前記多層配線基板は、予め、セラミ
ック基板に印刷および焼成にて配線パターンを形成して
おいた後、熱硬化樹脂組成物を含む電気絶縁性シートと
接合させることにより、作製することもできる。但し、
印刷で形成された配線パターンは、突起物となるため、
熱硬化樹脂組成物を含む電気絶縁性シートと接合させる
工程において、応力集中が発生し、セラミック基板層の
クラックの起点となることが多い。
【0145】本発明の転写材を用いて作製される配線基
板の第4の形態は、図12に示すように、前記第3の形
態にかかる配線基板同様、セラミックからなる電気絶縁
性基板1608と、少なくとも熱硬化性樹脂組成物を含
む電気絶縁性基板1602との積層構造からなる多層配
線基板である。さらに、積層された電気絶縁性基板の各
層において、所定の位置に、導電性ビア組成物が充填さ
れた層間ビアホール1603が配され、これと電気的に
接続された配線パターン1610が形成されている。こ
の構造によれば、セラミック基板と樹脂基板との積層体
でありながら、セラミック基板のみからなる多層配線基
板、または樹脂基板のみからなる多層配線基板の配線ル
ールと同様の多層配線接続を得ることができる。
【0146】この場合、セラミック基板の層間接続ビア
に用いられる導電性組成物としては、金属粉とガラス粉
からなる焼結物が、樹脂基板の層間接続ビアに用いられ
る導電性組成物としては、金属粉と熱硬化性樹脂との混
合物からなる樹脂組成物が用いられる。
【0147】また、熱硬化性樹脂組成物を含む電気絶縁
性基板とセラミック基板との界面に於いて、セラミック
基板に形成された配線層が、表面から突出せず、セラミ
ック基板内に内蔵されていることを特徴とする。
【0148】また、セラミック層の焼成工程に於いて
は、配線パターンが転写されたグリーンシートの両面も
しくは片面に、グリーンシートの焼結温度で実質的に焼
結収縮しない無機組成物を主成分とする拘束シートを配
置した後、焼成処理を行うことが好ましい。これによ
り、平面方向に無収縮な焼結を実現することができるた
め、樹脂系基板と積層するにあたっても、共通の層間ビ
ア位置データを採用することができる。
【0149】もちろん、予め、ビアペーストを充填した
セラミックグリーンシートに印刷および焼成にて配線パ
ターンを形成しておいた後、これと熱硬化樹脂組成物を
含む電気絶縁性シートとを接合させて、積層体の層間接
続を実現しても構わない。但し、印刷で形成された配線
パターンは、突起物となるため、熱硬化樹脂組成物を含
む電気絶縁性シートとセラミックグリーンシートとを接
合させる工程に於いて、応力集中が発生し、セラミック
基板層のクラックの起点となることが多い。
【0150】また、図13に示すように、本発明の転写
材を用いることによって、比較的機械的強度の強いアル
ミナ基板や高熱伝導性を特徴とする窒化アルミ基板等の
焼結温度が高いセラミック基板1708と、少なくとも
熱硬化性樹脂組成物を含む電気絶縁性基板1702との
積層構造により、低抵抗配線が形成された多層配線基板
を作製することが可能となる。ここでは、セラミック基
板に用いられる層間ビアも樹脂系基板に用いられる層間
ビアも同じ、熱硬化性の導電性樹脂組成物で形成されて
いることが特徴である。
【0151】もちろん、ここで用いられるセラミック基
板としては、銅や銀と同時焼成可能な低温焼成セラミッ
ク、例えばアルミナ基ガラスセラミック、Bi−Ca−
Nb−O系セラミック等を用いても構わない。
【0152】本発明の転写材を用いて作製される配線基
板の第5の形態は、図14に示すように、前記第3ある
いは第4の形態にかかる配線基板と同様に、熱硬化性樹
脂組成物を含む電気絶縁性基板とセラミックからなる電
気絶縁性基板との積層構造を持つ異種積層配線基板の一
種であり、熱硬化性樹脂組成物を含む電気絶縁性基板1
807を介して、異なる組成を有する異種のセラミック
からなる電気絶縁性基板1801・1802が積層され
ている。
【0153】この構造によれば、従来、焼結温度や焼成
収縮パターンが異なったり、焼結時の相互拡散等の要因
により技術的に困難であった、磁性体セラミックと誘電
体セラミックとの異種積層や、高誘電率の誘電体セラミ
ックと低誘電率の誘電体セラミックとの異種積層を容易
に構成することができる。なお、本発明の異種積層配線
基板の作製工程に於いては、本発明の転写材を用いて、
例えば銅箔等の配線パターンを、グリーンシートあるい
は未硬化の熱硬化性樹脂含シートに転写することによ
り、各層の配線基板を作製する。これにより、積層時に
損傷を生じることなく、全層低抵抗な配線を有する積層
体が得られる。
【0154】この第5の形態にかかる配線基板では、セ
ラミック基板の間に熱硬化性樹脂組成物を含む電気絶縁
性基板を介在させたことにより、焼結温度が互いに異な
るセラミック基板を積層する事が可能である。これによ
り、例えば、各層の誘電率が互いに異なる異種積層配線
基板や、磁性体層と誘電体層とを積層した異種積層配線
基板を、容易に実現することができる。
【0155】もちろん、予め、ビアペーストを充填した
セラミックグリーンシートに印刷および焼成にて配線パ
ターンを形成しておいた後、熱硬化樹脂組成物を含む電
気絶縁性シートと接合させて、積層体の層間接続を行っ
ても構わない。但し、印刷で形成された配線パターン
は、突起物となるため、熱硬化樹脂組成物を含む電気絶
縁性シートと接合させる工程に於いて、応力集中が発生
しセラミック基板層のクラックの起点となることが多
い。
【0156】本発明の転写材を用いて作製される配線基
板の第6の形態は、図15に示すように、前記第4ある
いは第5の形態にかかる配線基板と同様に、セラミック
からなる電気絶縁性基板1801・1802と、少なく
とも熱硬化性樹脂組成物を含む電気絶縁性基板1807
との積層構造からなる。そして、少なくとも最上層ある
いは最下層に、前記熱硬化性樹脂組成物を含む電気絶縁
性基板1807が配され、内層にセラミックからなる電
気絶縁性基板1801・1802が配されることを特徴
とする。この構造によれば、基板の最表面を覆う層が、
割れにくい性質を有する熱硬化性樹脂組成物で形成され
ているため、耐落下性等に優れる。
【0157】なお、これらの異種積層配線基板の作製工
程に於いては、本発明の転写材を用いて、例えば銅箔等
の配線パターンを、グリーンシートあるいは未硬化の熱
硬化性樹脂含シートに転写することにより、各層の配線
基板を作製する。これにより、積層時に損傷を生じるこ
となく、全層低抵抗な配線を有する多層配線基板が得ら
れる。
【0158】もちろん、予め、場合によりビアペースト
を充填したセラミックグリーンシートに印刷、焼成にて
配線パターンを形成しておいた後、熱硬化樹脂組成物を
含む電気絶縁性シートと接合させて積層体の層間接続を
行っても構わない。但し、印刷で形成された配線パター
ンは、積層時の突起物となるため、熱硬化樹脂組成物を
含む電気絶縁性シートと接合させる工程に於いて、セラ
ミック基板層のクラックの起点となることが多い。
【0159】なお、本実施形態の転写材の配線パターン
に電気的に接続するように、インダクタ、コンデンサ、
抵抗、または半導体素子等の回路部品を形成し、配線パ
ターンと共に基板へ転写することも可能である。なお、
インダクタ、コンデンサ、および抵抗等の受動部品は、
スクリーン印刷等の印刷法により、転写材上に形成する
ことが好ましい。
【0160】つぎに、第1〜第4の実施形態のさらに具
体的な実施例を、以下に説明する。
【0161】(実施例1)図4(a)〜(f)に示すよ
うにして、本発明の第1の転写材を作製した。
【0162】図4(a)に示すように、第1の金属層4
01として、厚み35μmの電解銅箔を準備した。ま
ず、銅塩原料をアルカリ性浴に溶解し、これを高電流密
度となるように回転ドラムに電着させ、金属層(銅層)
を作製し、この銅層を連続的に巻き取って、電解銅箔を
作製した。
【0163】つぎに、図4(b)に示すように、前記第
1の金属層401の面上に、剥離層402として、Ni
−P合金層をメッキ処理にて約100nmの厚みに形成
した。その上に配線パターン形成用の第2の金属層40
3として、前記第1の金属層401と同じ電解銅箔を、
厚み9μmになるように、電解メッキ法によって積層
し、3層構造からなる積層体を作製した。
【0164】この表面の中心線平均粗さ(Ra)が、4
μm程度になるように粗面化処理を施した。なお、前記
粗面化処理は、前記電解銅箔に、銅の微細な粒を析出さ
せることにより行った。
【0165】つぎに、図4(c)〜(e)に示すよう
に、フォトリソグラフィ法により、ドライフィルムレジ
スト(DFR)404を貼り、配線パターン部分の露
光、現像を行い、前記積層体のうち、第2の金属層40
3、剥離層402、および第1の金属層401の表層部
を、化学エッチング法(塩化第2鉄水溶液に浸積)によ
りエッチングして、任意の配線パターンに形成した。
【0166】しかる後に、図4(f)に示すように、マ
スク部分(DFR404)を剥離剤で除去することによ
り、第1の転写材を得た。第1の金属層と第2の金属層
が同じ銅で構成されているため、一回の化学エッチング
で、第2の金属層のみならず第1の金属層の表層も配線
パターン状にエッチングすることができる。この第1の
転写材は、キャリア層である第1の金属層の表層部も、
配線パターン状に加工されているところに構造上の特徴
がある。
【0167】作製された前記第1の転写材では、前記第
1の金属層401と第2の金属層403とを接着する剥
離層402は、接着力自体は弱くとも耐薬品性に優れ
る。これにより、第1の金属層401,剥離層402,
第2の金属層403の積層体の全体にエッチング処理を
行っても、層間が剥離することなく、問題なく配線パタ
ーンを形成できた。一方、前記第1の金属層401と第
2の金属層403との接着強度は、40N/m(gf/
cm)であり、剥離性に優れていた。このような第1の
転写用材を用いて、基板へ第2の金属層403の転写を
行った結果、第2の金属層403と剥離層402との接
着面が容易に剥離し、前記第2の金属層403のみを前
記基板に転写することができた。
【0168】本実施例にかかる第1の転写材は、キャリ
ア(第1の金属層)が35μmの銅箔で構成されている
ことから、転写時に転写材が変形しても、キャリア層が
その変形応力に持ちこたえることができた。
【0169】第1の転写材において、キャリア層である
第1の金属層の表層が、配線パターン部分が凸部とな
り、配線パターン以外の部分が凹部になっていることに
より、この転写材をシート状基材(基板材料)に圧着し
た時に、配線パターンが埋め込まれる部分から押し出さ
れた基材が前記凹部へ流れ込みやすく、パターンを歪ま
せようとする横方向の変形応力を抑制しやすい。従っ
て、本実施例に於いてのパターン歪みは、基材の硬化収
縮によって生じた分(0.08%)のみであった。
【0170】比較として、第1の金属層401の表層が
全くエッチングされず、第2の金属層のみ配線パターン
を形成した転写材(すなわち、キャリア層の表面が平坦
な転写材)を用いて、シート状基材へ配線層の転写を行
ったところ、パターンの歪みは、最大で0.16%であ
った。この比較例では、キャリアが厚い銅箔であること
から、本実施例同様、基本的には歪みが少ないが、配線
が集中している部分では、基材の流れ込む領域が確保で
きないため、部分的に配線パターンがやや歪んでしまう
ことが確認できた。このパターン歪み量は、実用的に
は、十分に小さい値であるが、例えば、前記比較例にか
かる転写材を用いると、形成された配線パターンは基板
表面と平坦または凸部となり、本実施例にかかる第1の
転写材のように凹部とならず、フリップチップ実装時の
位置合わせを容易にするという、本実施例の転写材の効
果は奏し得ない。このことから、キャリア層である第1
の金属層までエッチングすることにより、キャリア層表
面にも配線パターンに応じた凸部が形成された、本発明
の転写材の効果が認められた。
【0171】なお、本実施例では、例えば200nm以
下の厚みを有するNiメッキ層やニッケル−リン合金層
あるいはアルミニウムメッキ層などのメッキ層を剥離層
に用いているが、有機層からなる剥離層を用いてもよ
い。有機層としては、例えばCuと化学結合を形成し得
る常温で固体の長脂肪族カルボン酸などが挙げられる。
これらを用いても、前記した本実施例の転写材と同様の
転写材を実現することができる。
【0172】(実施例2)前記実施例1と異なる製造方
法で、図5(a)〜(e)に示すようにして、本発明に
かかる第2の転写材の一例を作製した。この第2の転写
材は、前記実施例1にかかる第1の転写材と配線層の構
造が異なる。
【0173】まず、第1の金属層501として、厚み3
5μmの電解銅箔を準備した。銅塩原料をアルカリ性浴
に溶解し、これを高電流密度となるように回転ドラムに
電着させ、金属層(銅層)を作製し、この銅層を連続的
に巻き取って、電解銅箔を作製した。
【0174】つぎに、前記電解銅箔からなる第1の金属
層501の面上に、100nm以下の厚みの薄いニッケ
ルメッキ層で構成された剥離層502を形成した。その
上に配線パターン形成用の第2の金属層503として、
前記第1の金属層501と同じ電解銅箔を、厚み3μm
になるように、電解メッキ法によって積層し、第1の金
属層501,剥離層502,および第2の金属層503
の3層構造からなる積層体を作製した。
【0175】この積層体における第2の金属層503の
表面に対し、その中心線平均粗さ(Ra)が、3μm程
度になるように粗面化処理を施した。なお、前記粗面化
処理は、前記電解銅箔に、銅の微細な粒子を析出させる
ことにより行った。その上に粘着剤(図示せず)を塗布
し、フォトリソグラフィ法に用いるドライフィルムレジ
スト(DFR)504を貼りつけた。なお、このDFR
504は、耐メッキ性を有し、メッキレジストとして機
能する。以上の工程により、図5(a)に示す積層体が
作製された。
【0176】次に、図5(b)に示すように、配線パタ
ーン形状にDFR504を露光した後、現像を行って、
DFR504における配線パターン領域に、第2の金属
層503に至る凹部を形成した。凹部の深さは、25μ
mであった。しかる後、図5(c)に示すように、電解
銅メッキ法で20μm厚みの銅メッキ層からなる第3の
金属層505を、前記凹部内に形成した。次に、図5
(d)に示すように、剥離液に浸積させて、DFR50
4を除去した。
【0177】最後に、図5(e)に示すように、塩化第
2鉄水溶液に浸積させる化学エッチング法により、パタ
ーニングを行った。本エッチングは、厚みが3μmと薄
い第2の金属層503及び薄い剥離層502(メッキ
層)を除去するために行う。結果的に、短時間のエッチ
ングとなるため、第3の金属層505も少しエッチング
されて厚みが15μm程度となり、さらに第1の金属層
501の表層部も一部浸食されて、図5(e)に示すよ
うに、第2の転写材を得ることができた。
【0178】第1、第2、および第3の金属層とが同じ
銅で構成されているため、一回の化学エッチングで第2
および第3の金属層のみならず第1の金属層も部分的に
削り取られ、第1の金属層の表層の配線パターン以外の
部分を凹部に形成することができた。また、実施例1と
同様に、キャリア層である第1の金属層の表層までエッ
チング加工されていること、及び、アディティブ法で第
3の金属層が形成されていることにより、その膜厚を任
意に制御できる。また、本実施例では、剥離層は、メッ
キ層に限らず、有機層で構成された極薄い接着剤層ある
いは粘着剤層でも構わない。
【0179】このように作製された第2の転写材では、
前記第1の金属層501と配線パターン形成用の金属層
503・505とを接続する剥離層502が、接着力自
体は弱くとも耐薬品性に優れ、図5(d)に示す4層構
造の積層体の全体にエッチング処理を行っても、層間が
剥離することなく、問題なく配線パターンを形成でき
た。
【0180】一方、前記第1の金属層501と第2の金
属層503との剥離層502を介した接着強度は、30
N/mであり、剥離性に優れていた。これにより、この
第2の転写材を用いて、配線層としての第2の金属層5
03および第3の金属層505をシート状基材(基板材
料)に転写した後、第2の金属層503と剥離層502
との間を容易に剥離することができ、前記配線層のみを
基板に残すことができる。このとき、メッキ層からなる
剥離層502は、剥離時に、キャリアである第1の金属
層501側に付着したままであった。
【0181】なお、図5(e)に示すように作製された
本実施例にかかる第2の転写材を、未硬化状態の熱硬化
性樹脂を含むシート状基材(基板材料)に圧着すると共
に、熱硬化を行い、その後に化学エッチングで第1の金
属層を取り除くことにより、配線層(第2の金属層50
3及び第3の金属層505)を基板へ転写させることも
できる。エッチング時間を制御することにより、前記配
線層を含む基板表面を平坦にすることも、配線層を基板
表面に対して凹状とすることも可能である。
【0182】本実施例では、実施例1と同様に、キャリ
ア層が35μmの銅箔で構成されていることから、転写
時に基材が変形してもキャリア層がその変形応力に持ち
こたえることができた。一方、本実施例にかかる第2の
転写材において、キャリア層である第1の金属層の凹部
は、5μm程度と深く確保されている。これにより、こ
の転写材をシート状基材に圧着させたときに、配線層が
埋め込まれる部分の基材が前記凹部へより流れ込みやす
く、パターンを歪ませようとする横方向の変形応力をさ
らに抑制することができる。
【0183】従って、本実施例の転写材を用いた場合の
パターン歪みは、基材の硬化収縮分の0.08%のみで
あった。この事から、キャリア層である第1の金属層の
表層部までエッチングして、前記表層部を、配線パター
ン部分を凸状に、配線パターン以外の部分を凹状に形成
することの効果が認められた。更に、転写後の配線抵抗
を測定すると、実施例1と比較して、第3の金属層で配
線層の厚みを増加させている分、配線断面積を大きくと
れ、抵抗値を2〜3割ほど低減させることができた。
【0184】なお、本実施例では、図5(e)に示すよ
うに、化学エッチング法により第1の金属層のパターニ
ングまで行った後、転写しているが、この化学エッチン
グを行わない転写形成材を用いて基材を硬化させながら
転写を行ってもよい。但し、この場合には、転写後に、
剥離層および第1の金属層を剥離し、第2の金属層をソ
フトエッチング等で除去することにより、第3の金属層
のみからなる配線パターンが形成されることになる。
【0185】また、本実施例に於いても、凸部配線パタ
ーンを有するキャリア銅箔(第1の金属箔)を転写後に
再利用できる。さらに、本実施例の転写材を用いて基板
に転写された配線パターンは、基板表面に対して凹部を
形成するので、この凹部を利用して位置決めが可能とな
り、ベアチップのフリップチップ実装が容易となるとい
う利点もある。
【0186】(実施例3)本実施例にかかる転写材は、
本発明の第2の転写材の他の例である。本実施例にかか
る転写材は、実施例2の転写材とは配線層の構造が異な
るが、図面は共通するので、実施例2で用いた図5
(a)〜(e)を用いて説明する。
【0187】まず、第1の金属層501として、厚み3
5μmの電解銅箔を準備した。銅塩原料をアルカリ性浴
に溶解し、これを高電流密度となるように回転ドラムに
電着させ、金属層(銅層)を作製し、この銅層を連続的
に巻き取って、電解銅箔を作製した。
【0188】つぎに、前記第1の金属層501の面上
に、薄い100nm以下の厚みを有するニッケルメッキ
層で構成された剥離層502を形成した。その上に、配
線パターン形成用の第2の金属層503として、前記第
1の金属層501と同じ電解銅箔を、厚み3μmになる
ように、電解メッキ法によって積層した。これにより、
第1の金属層501,剥離層502,および第2の金属
層503の3層構造からなる積層体を作製した。
【0189】この表面の中心線平均粗さ(Ra)が、3
μm程度になるように粗面化処理を施した。なお、前記
粗面化処理は、前記電解銅箔に、銅の微細な粒を析出さ
せることにより行った。その上に実施例2と同一の粘着
剤を塗布し、フォトリソグラフィ法に用いるドライフィ
ルムレジスト(DFR)504を貼りつけた。このDF
R504は、耐メッキ性を有し、メッキレジストとして
機能する。これにより、図5(a)に示すように、4層
構造の積層体が作製された。
【0190】次に、図5(b)に示すように、配線パタ
ーン部分のDFR504を露光した後、現像を行って、
DFR504において配線パターンに相当する領域に、
第2の金属層503に至る凹部を形成した。この凹部の
深さは25μmである。しかる後、図5(c)に示すよ
うに、電解金メッキ法で、2μm厚みの金メッキ層から
なる第3の金属層505を形成した。次に、図5(d)
に示すように、剥離液に浸積させて、DFR504を除
去した。
【0191】最後に、図5(e)に示すように、塩化第
2鉄水溶液に浸積させる化学エッチング法によりパター
ニングを行った。実施例2と異なるのは、本エッチング
工程では、金メッキ層505がエッチングレジストとし
て機能するため、選択的に、厚みが3μmの薄い第2の
金属層503及び薄いメッキ層である剥離層502を除
去することができる。結果的に、最表面層に金メッキが
施された転写材を得ることができるため、配線層の表面
が酸化される恐れがない。これにより、本転写材を用い
て配線パターンを基板に形成した後に、前記配線パター
ン上にベアチップや部品を実装する場合に、低抵抗な接
続を得ることができる。
【0192】なお、比較のために、図1に示したよう
な、配線パターンが銅箔配線一層からなる転写材の表面
全体に金メッキを施すことによって、金メッキ付き転写
材を作製し、基板への転写を試したところ、配線パター
ンの転写性が損なわれた。これにより、配線パターンの
表層にのみ金メッキ層を形成した本実施例にかかる転写
材の有効性が確認された。
【0193】(実施例4)図6(a)〜(e)に示すよ
うにして、本発明の第3の転写材を作製した。この第3
の転写材は、前記実施例2または3にかかる本発明の第
2の転写材と、配線層の構造が異なる。
【0194】まず、図6(a)に示すように、第1の金
属層601,剥離層602,第2の金属層603,およ
びドライフィルムレジスト(DFR)604の4層構造
の積層体を作製する。この積層体の構造及び作製方法
は、実施例1で図4(c)に示した積層体と同様である
ため、説明を省略する。
【0195】次に、図6(b)に示すように、DFR6
04において配線パターンに相当する領域以外の領域6
07を露光した後、現像を行って、配線パターン領域に
DFR604の厚み25μm分の凹部608を形成し
た。しかる後、図6(c)に示すように、無電解銅メッ
キ法で2μmほど堆積させた後、電解銅メッキ法で15
μm厚みの銅メッキ層(第3の金属層)605を形成し
た。本実施例では、更に、電解銀メッキ法による銀メッ
キ層(第4の金属層606)を3μmほど堆積させた。
【0196】次に、実施例2と同様に、図6(d)に示
すように、剥離液に浸積させてDFRを除去した。最後
に、図6(e)に示すように、塩化第2鉄水溶液に浸積
させる化学エッチング法によりパターニングを行った。
本エッチングは、基本的に厚みが3μmと薄い第2の金
属層603を除去するために行うが、銀メッキ層である
第4の金属層606がエッチングマスクとして機能する
ため、第3の金属層605及び第4の金属層606は、
わずかなサイドエッチング部を除いて基本的にエッチン
グされないため、その厚みは維持される。また、このエ
ッチングは、剥離層602と第1の金属層601の表層
部とを浸食するまで行う。
【0197】本実施例に於いても、第2の金属層603
等をパターニングするエッチングは短時間で十分であ
る。このようにして、第1の金属層601の表層部にお
ける配線パターン以外の領域が凹状に形成された第3の
転写材を得た。なお、エッチング時間を調整することに
よって、第1の金属層601の凹部の深さは任意に制御
することができる。
【0198】第1、第2、および第3の金属層が同じ銅
で構成されているため、一回の化学エッチングで、配線
層(第2、第3の金属層)と同時に第1の金属層の一部
も浸食され、第1の金属層の表層における配線パターン
以外の領域を凹状に形成することができた。本実施例に
かかる第3の転写材は、実施例1と同様に、キャリア層
である第1の金属層までエッチング加工されている。ま
た、アディティブ法で配線層である第2および第3の金
属層(銅メッキ層)とは異なる第4の金属層(銀メッキ
層)が形成されているところが特徴である。
【0199】このように作製された第3の転写材では、
キャリア層としての第1の金属層601と、配線層とし
ての第2の金属層603、第3の金属層605、および
第4の金属層606とを接着する剥離層602が、接着
力自体は弱くとも耐薬品性に優れている。これにより、
図6(d)に示す5層構造の積層体の全体にエッチング
処理を行っても、第2の金属層603のみを効果的に除
去でき、前記積層体の層間が剥離することなく転写材を
形成することができた。なお、前記第1の金属層601
と第2の金属層603との剥離層602を介した接着強
度は、40N/m(gf/cm)であり、剥離性に優れ
ていた。
【0200】このような第3の転写材を用いて、第2の
金属層603、第3の金属層605及び第4の金属層6
06からなる3層構造の配線パターンを、シート状基材
(基板材料)へ転写した。この結果、前記第1の金属層
601と第2の金属層603との接着面(剥離層60
2)が容易に剥離し、前記3層構造の配線パターンを前
記基材へ転写することができた。
【0201】本実施例では、実施例1と同様に、キャリ
ア層が35μmの銅箔で構成されていることから、転写
時に基材が変形してもキャリア層がその変形応力に持ち
こたえることができた。一方、本実施例の転写材におい
て、キャリア層である第1の金属層の凹部が10μm程
度と深く確保されている。これにより、この転写材をシ
ート状基材へ圧着させるときに、配線パターンが埋め込
まれる部分の基材が前記凹部へより流れ込みやすく、パ
ターンを歪ませようとする横方向の変形応力をさらに抑
制することができる。
【0202】従って、本実施例に於いてのパターン歪み
は、第2の実施例と同様に、基材の硬化収縮分の0.0
7%のみであった。この事から、キャリア層である第1
の金属層まで、配線パターンに応じた凹凸形状とする効
果が認められた。更に、転写後の配線抵抗を測定する
と、実施例1と比較して、第3及び第4の金属層を設け
たことにより配線層の厚みを増加させたことにより、配
線断面積が大きくとれ、抵抗値を2〜3割ほど低減させ
ることができた。
【0203】さらに、本実施例では、配線層において基
材に接触する最表層が銀メッキ層であるため、後の実施
例5で示すように、基板に設けられた導電性ビアペース
トとの接続性をより安定化させることができた。
【0204】また、本実施例の転写材を用いて配線パタ
ーンを基板に形成した場合も、凹型の配線パターンがフ
リップチップ実装の位置合わせに寄与することは、前述
の各実施例と同様である。また、配線パターンに応じた
凸部が形成されたキヤリア銅箔(第1の金属層)を転写
後に再利用できることはいうまでもない。
【0205】(実施例5)前記実施例4で作製した第3
の転写材を用いて、図7(a)〜(c)に示すように、
コンポジット配線基板を作製した。なお、図7(a)〜
(c)において、金属層701は、実施例4にかかる第
3の転写材の第4の金属層606に対応し、金属層70
2は第3の転写材の第3の金属層605に、金属層70
3は第3の転写材の第2の金属層603に、剥離層70
4は第3の転写材の剥離層602に、金属層705は第
3の転写材の第1の金属層601に、それぞれ対応す
る。
【0206】まず、配線パターンを転写する基板を準備
した。この基板は、下記に示すコンポジット材料からな
るシート状基材706を調製し、これにビアホールを設
け、前記ビアホールに導電性ペースト707を充填する
ことにより作製した。以下に、前記シート状基材706
の成分組成を示す。 (シート状基材706の成分組成) ・Al23(昭和電工社製、AS−40:粒径12μm) 90重量% ・液状エポキシ樹脂(日本レック社製、EF−450) 9.5重量% ・カーボンブラック(東洋カーボン社製) 0.2重量% ・カップリング剤(味の素社製、チタネート系:46B) 0.3重量% 前記各成分を、前記組成になるように秤量して、これら
の混合物に、粘度調整用溶剤としてメチルエチルケトン
溶剤を、前記混合物のスラリー粘度が約20Pa・sに
なるまで添加した。そして、これにアルミナの玉石を加
え、ポット中で48時間、速度500rpmの条件で回
転混合し、スラリーを調製した。
【0207】つぎに、離型フィルムとして、厚み75μ
mのPETフィルムを準備し、このPETフィルム上に
おいて、前記スラリーを用いて、ドクターブレード法に
より、ギャップ約0.7mmに造膜し、造膜シートを作
製した。そして、この造膜シートを、温度100℃で1
時間放置することにより、前記シート中の前記メチルエ
チルケトン溶剤を揮発させ、前記PETフィルムを除去
し、厚み350μmのシート状基材706を作製した。
前記溶剤の除去を、温度100℃で行ったため、前記エ
ポキシ樹脂は未硬化状態のままであり、前記シート状基
材706は可撓性を有していた。
【0208】このシート状基材706を、その可撓性を
利用して、所定の大きさにカットし、炭酸ガスレーザを
用いて、ピッチが0.2mm〜2mmの等間隔になる位
置に、直径0.15mmの貫通孔(ビアホール)を設け
た。そして、この貫通孔に、ビアホール充填用導電性ペ
ースト707を、スクリーン印刷法により充填し、前記
基板を作製した。前記導電性ペースト707は、以下の
材料を、以下の組成になるように調製し、三本ロールに
より混練したものを用いた。 (導電性ペースト707の成分組成) ・球形状の銅粒子(三井金属鉱業社製:粒径2μm) 85重量% ・ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、エピコート82 8) 3重量% ・グルシジルエステル系エポキシ樹脂(東都化成社製、YD−171) 9重量 % ・アミンアダクト硬化剤(味の素社製、MY−24) 3重量% つぎに、図7(a)に示すように、前記シート状基材7
06の両面に、前記実施例4で示した第3の転写材の第
4の金属層701側が接するように配置し、熱プレスを
用いて、プレス温度120℃、圧力約9.8×105
a(10kgf/cm2)で5分間、加熱加圧処理し
た。この加熱加圧処理により、前記シート状基材706
および導電性ペースト707中のエポキシ樹脂が溶融軟
化して、図7(b)に示すように、前記第2、第3およ
び第4の金属層703,702,701からなる配線層
が、シート状基材706中に埋没した。
【0209】そして、加熱温度をさらに上昇させ、温度
175℃で60分間処理することにより、前記エポキシ
樹脂を硬化させた。これにより、前記シート状基材70
6と第2,第3,及び第4の金属層703,702,7
01とが、強固に接着し、また、前記導電性ペースト7
07と前記第4の金属層701とが電気的に接続(イン
ナービア接続)され、かつ強固に接着された。
【0210】このような図7(b)に示す積層体から、
前記キャリア層である第1の金属層705と剥離層70
4とを共に剥離することにより、図7(c)に示すよう
な、両面に第2、第3、第4の金属層703,702,
701が転写された配線基板が得られた。この配線基板
を、配線基板7Aと称する。この配線基板7Aには、前
記第1の金属層705の表層にエッチングにより形成さ
れた凹部の深さに対応した凹部が形成され、前記凹部の
底部に第2、第3、第4の金属層703,702,70
1が形成された。
【0211】さらに、本実施例において作製した前記配
線基板7Aの他に、実施例1で説明した第1の転写材を
用いて配線パターンを転写することにより配線基板(配
線基板7Bと称する)も作製した。そしてこれらの配線
基板7A・7Bについて、半田リフロー試験、温度サイ
クル試験により、信頼性の評価を行った。各試験方法を
下記に示す。 (半田リフロー試験)ベルト式リフロー装置(松下電器
産業株式会社製)を用いて、最高温度を260℃に設定
し、前記温度における10秒間の処理を10回行った。 (温度サイクル試験)高温側を125℃、低温側を−6
0℃に設定し、各温度で30分間保持する操作を200
サイクル行った。
【0212】この結果、前記配線基板7A,7Bとも、
前記各試験を行った後でも、形状的にもクラックが発生
せず、超音波探傷装置でも特に異常は認められなかっ
た。また導電性樹脂ペースト707によるインナービア
接続抵抗も、初期抵抗は殆ど同じであった。
【0213】但し、前記各試験前の初期性能とほとんど
変化がなかったものの、その変化率は、配線基板7Aが
変化率5%以下であったのに対し、配線基板7Bは、変
化率10%以下であった。いずれの配線基板のビア接続
も十分な安定性が得られているが、配線層と導電性樹脂
ペーストとの接続部にAgメッキ層が存在する配線基板
7Aにおいて、より安定なビア接続を実現することがで
きた。
【0214】(実施例6)前記実施例1で作製した転写
材を用いて、図8に示すようなセラミック配線基板を作
製した。
【0215】まず、配線パターンを転写する基板を準備
した。この基板は、低温焼成セラミック材料と有機バイ
ンダとを含む低温焼成セラミックグリーンシート805
を調製し、これにビアホールを設け、前記ビアホールに
導電性ペースト806を充填することにより作製した。
以下に、前記グリーンシート805の成分組成を示す。 (グリーンシート805の成分組成) ・セラミック粉末Al23とホウケイ酸鉛ガラスとの混合物(日本電気硝子社製 :MLS−1000) 88重量% ・メタクリル酸系アクリルバインダー(共栄社化学製:オリコックス7025) 10重量% ・BBP(関東化学社製) 2重量% 前記各成分を、前記組成になるように秤量して、これら
の混合物に粘度調整用溶剤としてトルエン溶剤を、前記
混合物のスラリー粘度が約20Pa・sになるまで添加
した。そして、これにアルミナの玉石を加え、ポット中
で48時間、速度500rpmの条件で回転混合し、ス
ラリーを調製した。
【0216】つぎに、離型フィルムとして、厚み75μ
mのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルムを
準備し、このPPSフィルム上において、前記スラリー
を用いて、ドクターブレード法により、ギャップ約0.
4mmに造膜し、造膜シートを作製した。前記シート中
の前記トルエン溶剤を揮発させ、前記PPSフィルムを
除去し、厚み220μmのグリーンシート805を作製
した。このグリーンシート805は、有機バインダであ
る前記メタクリル酸系アクリルバインダーに可塑剤BB
Pを添加しているため、可撓性、および良好な熱分解性
を有していた。
【0217】このグリーンシート805を、その可撓性
を利用して、所定の大きさにカットし、パンチングマシ
ーンを用いて、ピッチが0.2mm〜2mmの等間隔に
なる位置に、直径0.15mmの貫通孔(ビアホール)
を設けた。そして、この貫通孔に、ビアホール充填用導
電性ペースト806を、スクリーン印刷法により充填
し、前記基板を作製した。前記導電性ペースト806
は、以下の材料を、以下の組成になるように調製し、三
本ロールにより混練したものを用いた。 (導電性ペースト806) ・球形状の銀粒子(三井金属鉱業社製:粒径3μm) 75重量% ・アクリル樹脂(共栄社化学製:重合度100cps) 5重量% ・ほうけい酸ガラス(日本電気ガラス製) 3重量% ・ターピネオール(関東化学社製) 12重量% ・BBP(関東化学社製) 5重量% つぎに、前記基板の両面に、前記実施例1で作製した第
1の転写材の第2の金属層(配線層)側が接するように
配置し、熱プレスを用いて、プレス温度70℃、圧力約
5.88×106Pa(60kgf/cm2)で5分間、
加熱加圧処理した。この加熱加圧処理により、前記基板
中のアクリル樹脂が溶融軟化して、前記第1の転写材の
第2の金属層(配線層)、剥離層、および第1の金属層
(キャリア)の一部(凸部)が、前記基板中に埋没し
た。
【0218】このような積層体を冷却した後、前記積層
体から前記キャリアである第1の金属層及び剥離層を剥
離することにより、前記第2の金属層のみが残され、図
8に示すように、基板の両面に前記第2の金属層からな
る配線層801を有する配線基板800が形成された。
【0219】そして、この配線基板の両面に、焼成温度
で焼結しないアルミナグリーンシートを積層し、窒素雰
囲気中で脱バインダおよび焼成することにより、固定を
行った。まず、前記グリーンシート805中の有機バイ
ンダを除去するため、電気炉を用いて、25℃/時間の
昇温スピードで、700℃まで窒素中で加熱し、温度7
00℃で2時間処理した。そして、ベルト炉を用い、前
記脱バインダ処理済みの配線基板を、窒素中で900
℃、20分間処理することにより焼成を行った。この条
件は、昇温が20分、降温が20分、インアウト合計6
0分とした。焼成後は、前記アルミナグリーンシートを
容易に取り除くことができた。これにより、低温焼成セ
ラミック配線基板800が作製された。
【0220】この配線基板800の両面には、前記第1
の転写材の第1の金属層の凹凸の厚みに相当する深さの
凹部が形成され、前記凹部の底部に前記第2の金属層か
らなる配線層801が形成された。また、前記配線基板
800の両面の配線層801は、導電性ペースト806
を焼結させてなる導電性金属焼結ビアにより、厚さ方向
に電気的に接続された。本実施例では、図8に示すよう
に、この配線基板805の第2の金属層801上に金メ
ッキ層802を形成した。
【0221】次に、前記低温焼成セラミック配線基板8
00の表面に、ベアチップ半導体905をフリップチッ
プ実装した構成について説明する。図9は、前記セラミ
ック配線基板800にベアチップ半導体905を実装し
た構成概略の一例を示す断面図である。
【0222】まず、ベアチップ半導体905表面のアル
ミパッド904に、ワイヤボンディング法を用いて金ワ
イヤによる突起バンプ903を形成し、前記バンプ90
3上に熱硬化性の導電性接着剤(図示せず)を転写し
た。そして、前記セラミック配線基板800の表面の凹
部(配線パターン部)に、突出バンプ903を位置合わ
せして、前記導電性接着剤を介して突出バンプ903を
金メッキ層802に接着することにより、半導体905
を実装した。この結果、前記したように第1の転写材を
用いて第2の金属層(配線層801)を転写することに
より形成された前記凹部において、前記バンプ903
と、配線層(第2の金属層801および金メッキ層80
2)とが接続された。
【0223】このフリップチップ実装基板について、半
田リフロー試験、温度サイクル試験により、信頼性の評
価を行った。前記各試験は、前記実施例4と同様の条件
で行った。この結果、半導体905をフリップチップ実
装したセラミック配線基板800は、前記各処理を行っ
た後でも、バンプ接続抵抗の変化もほとんどなく、安定
であった。
【0224】なお、本実施例で、図2に示す第2の転写
材であって、第2の金属層をAgメッキ層で構成し、第
3の金属層をAgのパターンメッキ層で構成した転写材
を用いて、転写を行ってみると、前記セラミックグリー
ンシート805にAgメッキ配線パターンを形成するこ
とができた。この場合、製造プロセスにおいて、大気中
脱バインダー、大気中焼成が可能となるので、コスト的
に有利である。また、配線の耐酸化性が著しく向上す
る。
【0225】(実施例7)転写材と、前記実施例5と同
様にして作製したコンポジット材料からなる基板とを用
いて、多層配線基板を作製した。図10は、多層配線基
板の作製工程の概略の一例を示す断面図である。
【0226】図10(a)〜(j)において、1001
a、1001b、1001cは基板用シート、1002
a、1002b、1002cはキャリアである第1の金
属層、1003a、1003b、1003cは導電性ペ
ースト、1004a、1004b、1004cは配線パ
ターンである第2の金属層、1005a、1005b、
1005cは剥離層、A,B,C,Dは転写材、Eは多
層配線基板をそれぞれ示す。
【0227】また、図10(a)〜(i)において、図10
(a)(d)(g)は、転写材Aと基板1001aとを
用いて、単層の配線基板を作製する工程を示す。同様
に、図10(b)(e)(h)は、転写材Bと基板10
01bとを用いて、単層の配線基板を作製する工程、図
10(c)(f)(i)は、転写材CおよびDと基板1
001cとを用いて、単層の配線基板を作製する工程を
それぞれ示す。また、図10(j)は、前記3種類の単
層配線基板を積層して作製される多層配線基板Eを示
す。なお、特に示さない限り、前記各単層配線基板は、
実施例5と同様にして作製した。
【0228】まず、図10(a)、(b)、(c)にそれ
ぞれ示すような転写材A,B,C,Dをそれぞれ作製し
た。まず、前記実施例1と同様の製箔方法により、第1
の金属層1002a、1002b、1002c、100
2dとして、厚み35μmの電解銅箔を作製した。
【0229】つぎに、前記第1の金属層1002a、1
002b、1002c、1002dの粗面上に、Ni−
P合金メッキ層からなる剥離層1005a、1005
b、1005c、1005dを100nm以下の厚みに
なるように薄く形成し、その上に配線パターン形成用の
第2の金属層1004a、1004b、1004c、1
004dとして、前記実施例1と同様の電解メッキ法に
より、厚み9μmの電解銅箔をそれぞれ積層することに
より、3層の積層体を作製した。なお、前記剥離層とし
て、クロムメッキ層を用いてもよい。
【0230】次に、前記配線パターン形成用の第2の金
属層1004b、1004c側から、銅のみをエッチン
グ除去できる塩基系塩化銅水溶液を用いてエッチングを
行い、第2の金属層1004b、1004cを任意の配
線パターンに形成し、図10(b)(c)に示す転写材
B、Cを得た。同様に、前記配線パターン形成用の第2
の金属層1004a、1004d側から、化学エッチン
グ法により銅及びNi−P合金鍍金層のエッチングを行
い、第2の金属層1004a、1004dを任意の配線
パターンに形成すると共に、第1の金属層1002a、
1002dの表層部に前記配線パターンに応じた凹凸を
形成した。なお、凸部が配線パターン領域に対応し、凹
部が配線パターン以外の領域に対応する。これにより、
図10(a)(d)に示す転写材A、Dを得た。
【0231】つぎに、図10(a)、(b)、(c)に
示すように、基板用シート1001a、1001b、1
001c上に、前記転写材A,B,C,Dの前記第2の
金属層1004a、1004b、1004c、1004
dが接触するように、それぞれ配置した。なお、図10
(c)においては、基板用シート1001cの両面に、
転写材C、Dをそれぞれ配置した。
【0232】そして、図10(d)、(e)、(f)に
示すように、前記転写材A,B,C,Dと基板1001
a、1001b、1001cとの積層体を、温度100
℃、圧力約9.8×105Pa(10kgf/cm2)で
5分間加熱加圧処理することにより、前記基板用シート
1001a、1001b、1001c中のエポキシ樹脂
が溶融軟化し、第2の金属層1004a、1004b、
1004c、1004dが、前記基板用シート1001
a、1001b、1001c中にそれぞれ埋め込まれ
た。
【0233】次に、前記積層体から、前記第1の金属層
1002a、1002b、1002c、1002dを前
記剥離層1005a、1005b、1005c、100
5dと共に剥離することにより、前記第2の金属層10
04a、1004b、1004c、1004dのみが基
板用シート1001a、1001b、1001cに残さ
れる。これにより、その表面が平坦である単層配線基板
(図10(h))、配線層部分が凹形状である単層配線
基板(図10(g)参照)、及び一方の表面が平坦であ
り、他方の表面の配線層部分が凹形状である単層配線基
板(図10(i)参照)、の3種類の単層配線基板が得
られた。
【0234】最後に、図10(j)に示すように、前記
3種類の単層配線基板を重ね合わせ、これらを温度17
5℃、圧力約7.84×106Pa(80kgf/c
2)で1時間、加熱加圧処理することにより熱硬化収
縮させ、多層配線基板Eが得られた。この処理によっ
て、前記基板用シート1001a、1001b、100
1cおよび導電性ペースト1003a、1003b、1
003c中のエポキシ樹脂が硬化して、多層配線基板E
の機械的強度が保持される。また、第2の金属層100
4a、1004b、1004c、1004dが、導電性
樹脂ビア1003a、1003b、1003cにより、
互いに電気的に接続された。多層配線基板Eは、前述の
ように、単層配線基板を重ね合わせた後、一括して熱硬
化収縮させたため、ビアonビア構造に於けるビアずれ
は全く生じなかった。
【0235】このようにして作製した前記多層配線基板
Eは、線幅50μm程度の微細な配線パターンを形成で
き、かつIVH構造を有するので、極めて小型で高密度
な実装用配線基板として有用であった。特に、本発明に
かかる転写材を用いて配線パターンを転写形成したこと
により、微細な配線パターンが集中する表層面の配線位
置ずれが生じないので、歩留まりの向上が期待できる。
【0236】さらに、チップ等を実装する表層の実装配
線層が凹形状であるため、フリップチップ実装を容易に
行うことができた。なお、本発明の多層配線基板は、前
記構造には制限されず、例えば、その内層にも、前述の
ような凹部を有した配線層を有する単層配線基板を用い
てもよい。この場合の多層基板に於いても、低抵抗で高
信頼性のビア接続が確認されている。
【0237】また、第2の金属層が銅箔である場合、そ
の上層部に酸化防止を目的として金メッキ層を形成して
もよい。この場合、金メッキ層の表面も、基板表面に対
して凹部を形成していると、微細な配線パターンでも沿
面距離をかせぐことができ、マイグレーションを防止す
る意味でも有利である。
【0238】尚、本実施例では、コンポジット基板を用
いているが、基材は何らこれに限定されるものではな
く、セラミックグリーンシートを用いることもできる。
この場合、本実施例で説明した製造プロセスの焼成プロ
セスのみを変更すれば、同様の製造プロセスによって多
層配線基板を実現できる。
【0239】また、本実施例では、転写材として、配線
層が単層の金属層からなる第1の転写材を用いたが、第
2または第3の転写材を用いれば、複数の金属層からな
る配線層を有する多層配線基板を実現できる。
【0240】(実施例8)前記実施例1で説明した第1
の転写材を用いて、セラミック基板と、少なくとも熱硬
化性樹脂を含む基板とを積層してなる多層配線基板を作
製した。
【0241】まず、セラミック配線基板1608(図1
6(b)参照)の材料であり、配線パターンが転写され
るシート状基材を準備した。このシート状基材は、低温
焼成セラミック材料と有機バインダとを含む低温焼成セ
ラミックグリーンシートを調製し、これにビアホールを
設け、前記ビアホールに導電性ペースト1609を充填
することにより作製した。以下に、前記グリーンシート
の成分組成を示す。 (グリーンシートの成分組成) ・セラミック粉末Al23とホウケイ酸鉛ガラスとの混合物(日本電気硝子社製 :MLS−1000) 88重量% ・メタクリル酸系アクリルバインダー(共栄社化学製:オリコックス7025) 10重量% ・BBP(関東化学社製) 2重量% 前記各成分を、前記組成になるように秤量して、これら
の混合物に粘度調整用溶剤としてトルエン溶剤を、前記
混合物のスラリー粘度が約20Pa・sになるまで添加
した。そして、これにアルミナの玉石を加え、ポット中
で48時間、速度500rpmの条件で回転混合し、ス
ラリーを調製した。
【0242】つぎに、離型フィルムとして、厚み75μ
mのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルムを
準備し、このPPSフィルム上において、前記スラリー
を用いて、ドクターブレード法により、ギャップ約0.
4mmに造膜し、造膜シートを作製した。前記シート中
の前記トルエン溶剤を揮発させ、前記PPSフィルムを
除去し、厚み220μmのグリーンシートを作製した。
このグリーンシートは、有機バインダであるメタクリル
酸系アクリルバインダーに可塑剤BBPを添加している
ため、可撓性、および良好な熱分解性を有していた。
【0243】このグリーンシートを、その可撓性を利用
して、所定の大きさにカットし、パンチングマシーンを
用いて、ピッチが0.2mm〜2mmの等間隔になる位
置に、直径0.15mmの貫通孔(ビアホール)を設け
た。そして、この貫通孔に、ビアホール充填用導電性ペ
ースト1609を、スクリーン印刷法により充填し、前
記シート状基材を作製した。前記導電性ペースト160
9は、以下の材料を、以下の組成になるように調製し、
三本ロールにより混練したものを用いた。 (導電性ペースト1609の成分組成) ・球形状の銀粒子(三井金属鉱業社製:粒径3μm) 75重量% ・アクリル樹脂(共栄社化学製:重合度100cps) 5重量% ・ターピネオール(関東化学社製) 15重量% ・BBP(関東化学社製) 5重量% つぎに、前記シート状基材の両面に、前記実施例1で説
明した第1の転写材を、その第2の金属層側が接するよ
うに配置し、熱プレスを用いて、プレス温度70℃、圧
力約5.88×106Pa(60kgf/cm2)で5分
間、加熱加圧処理した。この加熱加圧処理により、前記
シート状基材中のアクリル樹脂が溶融軟化して、第1の
転写材の配線層(第2の金属層)、剥離層、およびキャ
リア(第1の金属層)の表層部(凸部)が、前記シート
状基材中に埋没した。
【0244】このような積層体を冷却した後、前記積層
体から、第1の転写材のキャリアを剥離層と共に剥離す
ることにより、第2の金属層のみが積層体に残され、図
16(b)中に示すように、両面に第2の金属層からな
る配線層1610を有するセラミック配線基板1608
が得られた。
【0245】そして、このセラミック配線基板1608
の両面に、焼成温度で焼結しないアルミナグリーンシー
トを積層し、窒素雰囲気中で脱バインダおよび焼成する
ことにより、固定を行った。まず、前記セラミック配線
基板1608中の有機バインダを除去するため、電気炉
を用いて、25℃/時間の昇温スピードで、700℃ま
で窒素中で加熱し、温度700℃で2時間処理した。そ
して、ベルト炉を用い、前記脱バインダ処理済みのセラ
ミック配線基板1608を、窒素中で900℃、20分
間処理することにより焼成を行った。この条件は、昇温
が20分、降温が20分、インアウト合計60分とし
た。焼成後は、アルミナ層を容易に取り除くことができ
た。
【0246】さらに、図16(b)に示すように、前述
のように作製したセラミック配線基板1608を挟むよ
うに、図16(a)〜(c)に示すように、コンポジット材料
からなる配線基板1605、1606、1607を積層
して、全層層間接続した積層体を得た。
【0247】ここで、コンポジット配線基板1605等
の製造方法について説明する。図16(a)および図16
(b)の最上段に示すように、本発明にかかる第1の転
写材1601(実施例1と同様)を用い、この第1の転
写材に形成された配線パターンを、未硬化状態のコンポ
ジットシート(実施例5と同様の組成)1602に転写
することにより、配線パターン1604を有する単層配
線基板1605を作製する。なお、コンポジットシート
1602には、貫通孔が形成され、導電性ペースト16
03が充填されている。同様の方法で、コンポジットシ
ート1602を用いた単層配線基板1606および16
07を作製する。
【0248】しかる後に、前記セラミック配線基板16
08の両面に、前記コンポジット単層配線基板1605
〜1607を積層し、プレス温度200℃、圧力約2.
94×106Pa(30kgf/cm2)で60分間、熱
プレス処理した。この加熱加圧処理により、単層配線基
板1605〜1607のコンポジットシート1602中
のアクリル樹脂が溶融軟化して、図16(c)に示すよ
うに、セラミック層1608を含む全配線基板が硬化一
体化された。
【0249】本実施例と同様の方法により、図11また
は図12に示すような、コンポジット配線基板1602
およびセラミック配線基板1608からなる多層配線基
板が作製された。この構成は、図11または図12に示
す多層配線基板と同様である。
【0250】本実施例の方法により作製された、図11
及び図12に示す多層配線基板をX線を用いて観察した
ところ、セラミック層に亀裂等の損傷箇所は一切認めら
れなかった。
【0251】また、本多層配線基板のビア連抵抗を評価
したところ、低抵抗なビア接続を確認することができ
た。
【0252】なお、図11に示すように、セラミック配
線基板1608にインナービアを形成せず、容量層とし
てBa−Ti−O系セラミックを用いたところ、10〜
500nF/cm2の高容量値を容易に実現することができ
た。
【0253】また、図11に示す内層電極層は、樹脂基
板層1602に形成しても良いし、セラミック層160
8内に形成しても良い。
【0254】さらに、本実施例では、各単層配線基板の
配線層の形成に、第1の転写材を用いたが、第2または
第3の転写材を用いれば、複数の金属層からなる配線層
を有する多層配線基板を作製することができる。
【0255】(実施例9)実施例8と、ほぼ構成は同じ
であるが、セラミック層を構成するセラミック配線基板
が、高温でのみ焼結するAl23のような材料で構成さ
れた場合の多層配線基板を、図17(a)〜(c)に示すよう
に作製した。
【0256】本実施例にかかる多層配線基板は、低温焼
成セラミックでは実現できない高強度で高熱伝導な基板
と、銅箔等の低抵抗配線とを有することを特徴とする多
層配線基板である。
【0257】まず、セラミック配線基板の材料となるア
ルミナグリーンシートを準備した。これに貫通孔を設
け、後述する導電性ペーストを充填する前に焼成した。
焼成工程に於いては、貫通孔の位置データを後述する樹
脂系基板(コンポジット配線基板)と共有するため、こ
のアルミナグリーンシートの両面に、焼成温度で焼結し
ないSiCで構成されたグリーンシートを積層し、大気
雰囲気中で脱バインダおよび焼成することにより、固定
を行った。まず、前記アルミナグリーンシート中の有機
バインダを除去するため、電気炉を用いて、25℃/時
間の昇温スピードで、700℃まで窒素中で加熱し、温
度1600℃で2時間処理することにより焼成を行っ
た。焼成後は、SiC層を容易に取り除くことができ、
平面方向には無収縮な状態で焼結されたAl23基板1
708を得ることができた。なお、本実施例では拘束層
を用いた無収縮工法を用いているが、収縮分を補正して
通常の三次元に等方な収縮焼結をさせてもかまわない。
【0258】そして、Al23基板1708において予
め形成しておいた直径0.15mmの貫通孔に、ビアホ
ール充填用熱硬化型導電性ペースト1704を、スクリ
ーン印刷法により充填した。前記導電性ペースト170
4は、実施例8で説明した導電性ペーストと同じ成分組
成のものを用いた。
【0259】さらに、図17(b)に示すように、Al
23基板1708を挟むように、コンポジットシート1
702を用いた配線基板1705〜1707を積層し
て、図17(c)に示すように、全層層間接続が実現で
きた多層配線基板1709を得る。
【0260】ここで、コンポジットシート1702を用
いた配線基板1705〜1707の製造方法について説
明する。図17(a)に示すように、本発明の第1の転写
材1701(実施例8と同様)を、未硬化状態のコンポ
ジットシート1702(実施例8の構成と同様)に圧着
させる。
【0261】なお、コンポジットシート1702には、
貫通孔が形成され、Al23基板1708に充填された
ペーストと同じ導電性ペースト1704が充填されてい
る。また、この貫通孔を形成する際の位置データとし
て、Al23基板1708への貫通孔の形成時に用いら
れたものと同じデータを用いた。
【0262】そして、前記実施例8と同様に、第1の転
写材のキャリアを剥離層と共に剥離することにより、第
1の転写材の配線層のみがコンポジットシート1702
に残される。これにより、図17(b)の最上段に示す
ように、配線層1703を有するコンポジット配線基板
1705が作製される。同様の方法で、コンポジット配
線基板1706・1707を作製する。
【0263】しかる後に、Al23基板1708の両面
に、コンポジット配線基板1705〜1707を積層
し、プレス温度200℃、圧力約2.94×106Pa
(30kgf/cm2)で60分間、熱プレス処理し
た。この加熱加圧処理により、前記コンポジット配線基
板1705〜1707中のアクリル樹脂が溶融軟化し
て、図17(c)に示すように、Al23基板1708
を含む全配線層が硬化一体化され、多層配線基板170
9が作製された。なお、この構成は、図13に示す多層
配線基板と同様である。
【0264】図17(c)及び図13に示す多層配線基板
をX線を用いて観察したところ、Al23層に亀裂等の
損傷箇所は一切認められなかった。なお、Al23層は
機械的強度が強いため、プレス圧を約9.8×106
a(100kgf/cm2)としても、亀裂等の損傷は
見られず、抗接強度等の機械的強度に優れた多層配線基
板を得ることができた。
【0265】また、多層配線基板1709のビア連抵抗
を評価したところ、コンポジット層に形成された銅箔配
線がAl23層に形成された低抵抗配線として機能し、
低抵抗なビア接続および配線抵抗を確認することができ
た。なお、多層配線基板1709の熱伝導度も、樹脂系
基板として高熱伝導のコンポジットシートを用いている
ため、約6W/m・Kの高熱伝導度を実現した。
【0266】なお、本実施例では、セラミック層とコン
ポジット層で、全く同一の導電性樹脂ペーストを用いて
インナービアを形成したが、それぞれ異なる熱硬化性の
導電性ペーストを用いても構わない。また、セラミック
層に用いる基材としても、Al23に限らず、高熱伝導
なAlNや、低温焼成のガラスセラミックのいずれを用
いても構わない。
【0267】(実施例10)実施例8または実施例9に
かかる多層配線基板が、表層に樹脂系シートを用いた配
線基板を配し、内層にセラミック配線基板を配したのに
対し、本実施例では、図14に示すように、セラミック
層1801、樹脂系シート1803、セラミック層18
02の順番で積層されている。すなわちセラミック配線
基板が表層に配され、樹脂系シートを用いた配線基板が
内層に配されている。
【0268】本実施例の多層配線基板は、セラミック層
1801にNd25・TiO2・SiO2系のガラスセラ
ミックなどの高誘電率層、セラミック層1802にAl
2 3層とほう珪酸ガラスから構成される低誘電率層を用
い、樹脂系シート1803を介して誘電率の異なる異種
積層が実現されている。
【0269】但し、セラミック層はこのような組み合わ
せに限定されるものではなく、フェライト等の磁性体と
Ba−Ti−O系の誘電体のような異種の積層体も実現
されている。
【0270】本多層配線基板の利点は次のとおりであ
る。第1に、異種のセラミック層を直接積層する場合、
相互拡散や反り等の問題により、セラミック層の種類に
よっては組み合わせが困難な場合があるが、セラミック
層間に樹脂系シートを介在させることで、セラミック層
の種類に関わらず、容易に異種積層を実現できる。第2
に、セラミック層間に樹脂系シートを介在させたこと
で、積層時に、セラミック層にクラック等の損傷を与え
ない。
【0271】本実施例の多層配線基板は、図18に示す
ように作製した。
【0272】まず、Nd25・TiO2・SiO2系ガラ
スセラミックグリーンシート1801と、Al23層と
ほう珪酸ガラスから構成されるグリーンシート1802
(実施例8と同じ)とを準備した。
【0273】これらにビアホールを設け、前記導電性ペ
ースト1803(実施例8と同じ)を充填した後、図1
8(a)に示すように、配線パターンが形成された転写
材1804,1805を両面から位置合わせしながら重
ねて積層体を形成し、図18(b)に示すように80℃
で加熱、加圧した後にキャリアを剥離する事により、図
18(c)に示すように、転写材1804、1805の
配線パターンが、グリーンシート1801上に転写形成
された。なお、同様にして、グリーンシート1802に
も配線パターンを転写した。
【0274】なお、本実施例では、前記積層体を作製す
るときの位置合わせの手段にピンラミネーションを用い
るため、グリーンシート1801および1802の所定
の位置に、3mmφから3.3mmφの貫通穴を開けて
おいた。グリーンシート1801および1802は、こ
の貫通孔の位置データを樹脂系基板と共有するので、焼
成工程に於いて収縮を起こさないことが必要である。こ
のため、前記積層体の両面に、焼成温度で焼結しないA
23で構成されたグリーンシートを積層し、大気雰囲
気中で脱バインダおよび焼成することにより、固定を行
った。まず、前記グリーンシート1801,1802中
の有機バインダを除去するため、電気炉を用いて、25
℃/時間の昇温スピードで、700℃まで窒素中で加熱
し、温度900℃で2時間処理することにより焼成を行
った。焼成後は、Al23層を容易に取り除くことがで
き、平面方向には無収縮な状態で焼結された、Nd25
・TiO2・SiO2系基板(1801)及びAl23
ガラスセラミック基板(1802)を得ることができ
た。
【0275】つぎに、図18(d)に示すように、セラ
ミック層間、すなわちグリーンシート1801・180
2の間に、導電性ペースト1806が充填されたコンポ
ジットシート1807を配置し、予めピンで位置合わせ
した後、プレス温度170℃、圧力約7.84×106
Pa(80kgf/cm2)で30分間、熱プレス処理
した。
【0276】ここで、位置合わせ用ピンの直径を3mm
φとした場合、ペーストを充填していないビア穴は一部
収縮が見られ、ビア穴の一部において、ピンを通すこと
が困難であった。但し、収縮分を見越して若干大きめ
(3.06mmφから3.3mmφ前後)にパンチング
しておいたビア穴に於いては、問題なくピンを貫通させ
ることができた。このような場合、パンチング径を3m
mφのままにしてピン径を3mmφより細くして対処し
ても構わない。
【0277】また、積層プレス時の加熱加圧処理によ
り、前記コンポジットシート1807中のエポキシ樹脂
が溶融軟化して、セラミック層であるグリーンシート1
801・1802と一体化した多層配線基板(図18
(e))が得られた。この構成は、図14の構成と同様
である。
【0278】なお、本実施例のコンポジットシート18
07には配線パターンが形成されていないが、場合によ
っては、未硬化の状態で配線パターンを転写しておいて
も構わない。
【0279】また、本実施例では、無機フィラーとエポ
キシ樹脂からなるコンポジットシートを用いているが、
これに限定されるものでなく、無機フィラーを含まない
樹脂シート、ガラスクロスを含むプリプレグ、アラミド
樹脂とガラス織布から構成されるプリプレグ等のいずれ
でも構わない。
【0280】また、本実施例では、平面方向にはほぼ無
収縮な焼結工法を用いているが、収縮分を補正して、三
次元的に等方な焼結工法を用いてももちろん構わない。
【0281】図18(e)に示す多層配線基板を観察し
たところ、セラミック層に亀裂等の損傷箇所は一切認め
られなかった。
【0282】また、本積層体のビア連抵抗を評価したと
ころ、低抵抗なビア接続を確認することができた。ま
た、本多層配線基板を吸湿後(85℃、85Rh、16
8hr)、230℃でリフロー炉に通したところ(JE
DEC Level1)、樹脂系基板のみを積層した場合のビ
ア接続抵抗と比較して、抵抗変動の極めて少ないビア連
接続を実現することができた。これは、セラミック層が
耐吸湿性が高いことによる効果である。
【0283】一方、例えば図15に示すように、図14
(または図18(e))に示す多層配線基板の表層両面
に、さらに樹脂系層1807を積層した構成(セラミッ
ク層、樹脂系層の構成は、本実施例と同じ)を試作し、
落下試験を行ったところ、セラミック配線基板単独の構
成と比較して、亀裂等の損傷が極めて発生しにくいこと
が確認することができた。
【0284】なお、最表面層となる樹脂系層1807に
用いられる基材は、内層で用いられたコンポジットシー
トである必要はなく、ガラスエポキシ等、用途に合わせ
て選択することができる。
【0285】これらの結果からも、本実施例によれば、
セラミックの利点と樹脂系の利点を併せ持つ基板を実現
できることがわかった。
【0286】以上のように、本発明によれば、微細な配
線パターンを、低温で、パターンずれもなく、確実かつ
容易に転写することができる転写材を提供し、これを用
いることにより、微細な配線パターンを有し、半導体の
フリップチップ実装等に有利な配線基板を実現できる。
【0287】さらに、転写材において配線層が凸形状に
形成されているので、IVHを圧縮しやすく、ビア接続
を安定化させるうえで有利である。
【0288】また、本発明の転写材は、配線パターン
(第2の金属層等)のみを転写するため、キャリアであ
る第1の金属層の構成材料を再利用でき、低コスト化を
図ることが可能であり、また、工業上極めて有用であ
る。
【0289】また、本発明の配線基板は、本発明の転写
材を用いることによって、配線部分が基板から突出しな
い構成である。これにより、本発明の配線基板を用い
て、積層時のセラミック層の損傷によって形成が従来困
難であった、セラミック配線基板と樹脂系配線基板とを
積層させた多層配線基板を、容易に作製することができ
る。
【0290】なお、実施例1〜10における各転写材に
おいて、配線パターンに電気的に接続するように、イン
ダクタ、コンデンサ、抵抗、または半導体素子等の回路
部品を形成し、配線パターンと共に基板へ転写すること
も可能である。なお、インダクタ、コンデンサ、および
抵抗等の受動部品は、スクリーン印刷等の印刷法によ
り、転写材上に形成することが好ましい。
【0291】(実施の形態5)上述の各実施形態では、
配線パターンを基板に転写するために用いる転写材(第
1〜第3の転写材)について説明したが、以下の実施形
態では、本発明にかかる他の転写材であって、配線パタ
ーンと回路部品とを同時に基板に転写するための転写用
部品配線パターン形成材について説明する。
【0292】本発明にかかる転写用部品配線パターン形
成材の一実施形態(以下、第4の転写材と称する)の概
略を、図19(a)および図19(b)の断面図に示す。
【0293】図19(a)のように、第4の転写材の一
形態としての転写材2001Aは、第一の金属層である
離型キャリア用金属箔2101、及びその上に形成され
た第二の金属層である配線用金属箔2102との2層構
造で形成された転写用配線パターン形成材の上に、配線
用金属箔2102と電気的に接続するように、回路部
品、すなわち、インダクタ2103,コンデンサ210
4,および抵抗2105が、印刷法により形成された構
成である。
【0294】また、図19(b)に示すように、第4の
転写材の他の形態としての転写材2001Bは、基本的
に図19(a)の転写材2001Aと同じ構成である
が、インダクタ2103,コンデンサ2104,および
抵抗2105等の受動部品のみならず、半導体チップ2
106等の能動部品が、配線用金属箔2102と接続す
るように、接続部2107でフリップチップ実装された
形態である。
【0295】図19(a)および(b)に示した転写材
のそれぞれを、基板に圧着した後、離型キャリア210
1のみを剥離することにより、離型キャリア2101を
除く部品、すなわち配線用金属箔2102、インダクタ
2103,コンデンサ2104,および抵抗2105等
の受動部品、並びに半導体チップ2106等の能動部品
を、基板に転写することができる。
【0296】(実施の形態6)つぎに、本発明の他の転
写用部品配線パターン形成材(以下、第5の転写材と称
する)の実施形態の構成概略を、図20に示す。
【0297】図20に示すように、第5の転写材200
2は、第一の金属層である離型キャリア用金属箔220
1と、その上に形成された剥離層2202と、さらにそ
の上に形成された第二の金属層である配線用金属箔22
03の3層構造で形成された転写用配線パターン形成材
上に、前記配線用金属箔2203と電気的に接続するよ
うに、インダクタ2204,コンデンサ2205,およ
び抵抗2206が、印刷法にて形成された構成である。
【0298】(実施の形態7)次に、本発明のさらに他
の転写用部品配線パターン形成材(以下、第6の転写材
と称する)の実施形態の構成概略を、図21に示す。
【0299】図21に示すように、第6の転写材200
3は、第1の金属層である離型キャリア用金属箔230
1、剥離層2302、および第2の金属である配線用金
属箔2303の3層構造からなる転写用配線パターン形
成材上に、前記配線用金属箔2303と電気的に接続す
るように、インダクタ2304,コンデンサ2305,
および抵抗2306が、印刷法にて形成された構成であ
る。
【0300】離型キャリア用金属箔2301は、表層部
に凹凸部が形成されている。前記凸部が配線パターンに
対応し、その凸部領域の上に、有機層あるいは金属メッ
キ層からなる剥離層2302と、配線用金属箔2303
とが形成されている。離型キャリア用金属箔2301と
配線用金属箔2303とは、剥離層2302を介して貼
り合わされている。
【0301】前記の第4ないし第6の転写材において、
前記第1の金属層と第2の金属層との接着強度が弱いこ
と、例えば50N/m(gf/cm)以下であることが
好ましい。前記第4の転写材では、メッキ法や蒸着法等
を用いることにより、エッチング、メッキ、水洗等のプ
ロセス下では、2層の金属層間が剥がれないが、ピール
に際しては容易に第2の金属層のみ、剥離させることが
できることが認められている。また、印刷で形成された
受動部品パターンは、容易に、キャリアである第1の金
属層から剥離させることができる。
【0302】一方、前記第5及び第6の転写材では、剥
離層として、接着力を有する1μmより薄い有機層を用
いる。この有機層の材料として、例えば、熱硬化樹脂で
あるウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール樹脂
などが使用できるが、これには制限されず、他の熱可塑
性樹脂などを用いても構わない。但し、1μmより厚く
なると、剥離性能が悪化し、転写が困難となる場合があ
るので、1μm以下が好ましい。
【0303】一方、意図的に接着力を低下させる目的
で、剥離層として、メッキ層を介在させても良い。例え
ば、1μmより薄い金属メッキ層、ニッケルメッキ層あ
るいはニッケルリン合金層あるいはアルミニウムメッキ
層等を銅箔間に介在させて剥離性を持たせることも可能
である。
【0304】これにより、前記第2の金属層からなる配
線部に関しては、基板に転写する際に、前記第1の金属
層から前記第2の金属層が剥離し易く、前記第2の金属
層及び部品パターンを前記基板に転写することが容易に
なる。剥離層が金属メッキ層の場合、100nmから1
μmの厚みレベルで十分であり、厚くなればなるほど工
程上コストがかかるので、少なくとも1μmより薄いこ
とが望ましい。
【0305】なお、第5、第6の転写材においても、第
2の金属層及び印刷で形成された受動部品パターンは、
容易に、キャリアである第1の金属層から剥離させるこ
とができる。
【0306】また、第4ないし第6の転写材において、
第1の金属層が、銅、アルミ、銀およびニッケルからな
る群から選択された少なくとも一つの金属を含むことが
好ましい。特に、銅を含むことが好ましい。また、第2
の金属層は、第1の金属層と同様、銅、アルミ、銀およ
びニッケルからなる群から選択された少なくとも一つの
金属を含むことが好ましいが、第4の転写材の場合は銀
を、第5または第6の転写材の場合は、銅を含むことが
好ましい。なぜなら、第1の金属層に銅を用いる場合
は、コスト的に安いこと、つまり、市販のもので所定の
厚みを有する箔が多く存在することためである。また、
第2の金属層に銅を用いる場合は、メッキで生成するこ
とが容易であるためである。
【0307】また、第6の転写材の場合、第1の金属層
と第2の金属層が同一であれば、同じエッチング液で加
工を制御できるという効果がある。特に、金属層が銅の
場合は、エッチングによりファインな加工を行うための
条件が、既に良く検討されているという利点がある。な
お、前記金属は、一種類でもよいが、二種類以上を併用
してもよい。
【0308】さらに、前記第6の転写材においては、例
えば、エッチング等を行う時に、剥離層及び第1の金属
層の表層をエッチング除去する場合(図21参照)は、
前記第1の金属層および第2の金属層が、同一成分の金
属を含むことが好ましい。なお、剥離層にメッキ層を用
いる場合、図21に示す構成は、銅エッチング液で加工
でき、図20に示す構成は銅エッチング液で加工できな
い。また、前記のように第1の金属層および第2の金属
層が同一成分の金属を含む場合、その金属の種類は、特
に制限されないが、銅箔からなることが好ましく、導電
性に優れることから、特に好ましくは、電解銅箔であ
る。なお、前記金属は、一種類でもよいし、二種類以上
を併用してもよい。
【0309】前記第4ないし第6の転写材において、前
記第2の金属層の厚みが、1〜18μmの範囲であるこ
とが好ましく、特に好ましくは、3〜12μmの範囲で
ある。前記厚みが3μmより薄いと、前記第2の金属層
を基板に転写した場合に、良好な導電性を示さないおそ
れがあり、前記厚みが18μmより厚いと、微細な配線
パターンを形成することが困難となるおそれがある。
【0310】前記第4および第5の転写材において、前
記第1の金属層の厚みが、4〜100μmの範囲である
ことが好ましく、特に好ましくは、20〜70μmの範
囲である。第1の金属層は、キャリアとして機能する一
方、場合によっては図21に示すように、配線層と同様
に表層部がエッチングされて凹凸を有する構造となるた
め、十分な厚みを有した金属層であることが望ましい。
また、第4ないし第6の転写材は、キャリア層を金属層
(第1の金属層)としたことで、転写時に生じる熱歪み
や、平面方向の応力歪みに対して十分な機械強度や耐熱
性を示す。
【0311】前記配線パターンと電気的に接続される受
動部品を形成するための材料は、ペースト状のものが用
いられる。なお、受動部品が転写される基板が、例えば
熱硬化樹脂から構成される基板である場合は、受動部品
の材料として、同じく熱硬化性樹脂を含有するものを用
いることが好ましい。インダクタを形成する場合は、熱
硬化性樹脂に混ぜるフィラーとして、磁性金属粉やフェ
ライトが用いられる。コンデンサを形成する場合は、同
様にフィラーとしてチタン酸バリウムやPb系ペロブス
カイト等、高誘電率のセラミック粉が用いられる。各種
抵抗を形成する場合には、フィラーとしてカーボン等が
用いられる。この場合、カーボンの含有比率を変えるこ
とにより、抵抗値を調整することができる。抵抗体を薄
膜で形成する場合は、ニクロム合金、クロムシリコン、
窒化タンタル、またはITO等が用いられる。
【0312】一方、前記第4または第5の転写材を用い
れば、いずれも100℃以下の低温でパターン転写形成
ができるので、セラミックグリーンシートに部品配線パ
ターンを形成することもできる。
【0313】一方、受動部品が転写される基板がセラミ
ックの場合は、受動部品の印刷に用いられる材料(ペー
スト状のもの)は、脱バインダー工程によってフィラー
のみが残存するものが好ましい。従って、熱分解性が良
好なバインダーを溶かしたビヒクル、例えばターピネオ
ールにバインダーを溶かしたビヒクルを用いたペースト
が用いられる。具体的には、上記に記したインダクタ、
コンデンサ、抵抗特性に対応した各種フィラーを、前記
ビヒクルと3本ロール等で混練して、スクリーン印刷が
可能なペースト状の材料を形成する。
【0314】インダクタを形成する場合は、フィラーと
して磁性金属粉や低温で焼結するフェライトを用い、こ
れをガラスに混ぜたものを材料とする。コンデンサを形
成する場合は、同様にフィラーとして、チタン酸バリウ
ム及びガラスやPb系ペロブスカイト等を用いる。抵抗
を形成する場合には、フィラーとしてルテニウムパイロ
クロア、酸化ルテニウム、ランタンボライトを用い、こ
れをガラスに混ぜたものを材料とする。これらは、低温
焼成される基板用セラミックと同時に焼成できるととも
に、内層抵抗体の場合でも、抵抗値の調整が比較的容易
である。
【0315】(実施の形態8)本実施形態では、前記し
た第4の転写材(図19(a)(b)参照)の製造方法
の例を示す。
【0316】この製造方法は、(1)図22(a)〜
(e)に示すように、キャリアである第1の金属層24
01上に、配線パターンである第2の金属層2403が
直接付着した状態の2層構造を形成する工程と、(2)
図22(e)(e’)に示すように、前記第2の金属層
2403と電気的に接合するように位置合わせしなが
ら、印刷にて、部品パターン2405,2406,24
07、2408を形成する工程、とを含む。
【0317】図22(a)〜(e)に示す工程では、ド
ライフィルムレジスト2404を用いて、第1の金属層
2401上に、配線パターンの逆パターンを形成した
後、無電解メッキあるいは電解メッキを含むパターンメ
ッキ法やスパッタリング法、蒸着法等の直接描画法を用
いて、金属箔からなる配線パターン(第2の金属層24
03)を形成する。これにより、微細な配線パターンを
形成することが可能である。
【0318】また、第2の金属層2402を構成する金
属箔は、メッキ法の場合は、第1の金属層2401を構
成する金属箔(例えば銅箔)と同一でも良いし、異なる
金属である銀メッキ膜によって構成しても良い。また、
第1の金属層の金属箔は、再利用することが可能であ
る。従って、低コスト化が可能であり、工業上の利用性
にも優れる。
【0319】なお、前記配線パターンと電気的に接続す
るように受動部品を形成する方法としては、印刷法が最
適である。印刷法は、オフセット印刷、グラビア印刷、
スクリーン印刷等、いずれでも構わないが、より好まし
くはスクリーン印刷法が用いられる。抵抗体に用いるパ
ターンに限れば、場合により1μm以下の薄膜が適当で
ある場合があり、そのときはPVD法やCVD法による
誘電体層を付着させてもよい。
【0320】前記配線パターンの線幅は、通常、微細な
線幅として、25μm程度のものまで要求され、本発明
において、このような線幅が好ましい。
【0321】(実施の形態9)つぎに、前記第5の転写
材(図20参照)の製造方法の例を、図23(a)〜
(f)に示す。
【0322】この製造方法は、(1)図23(a)に示
すように、第1の金属層2501上に、有機層あるいは
金属メッキ層からなる剥離層2502と、第1の金属層
2501と同一成分の金属を含む第2の金属層2503
とを積層して、3層構造を形成する工程と、(2)図2
3(b)〜(e)に示すように、化学エッチング法により
第2の金属層2503のみ配線パターン形状に加工し
て、剥離層2502全体を維持した状態で、転写用配線
パターン2503a(図23(e)参照)を形成する工
程と、(3)図23(f)に示すように、前記配線パタ
ーン2503aと電気的に接合するように位置合わせし
ながら、印刷にて、部品パターン(インダクタ250
5,コンデンサ2506,および抵抗2507)を形成
する工程、とを含む。
【0323】前記(2)の配線パターン2503の形成
工程において、図23(b)に示す工程では、第2の金
属層2503上に、ドライフィルムレジスト2504が
貼り付けられる。図23(c)に示す工程では、パター
ン露光により、配線パターン領域2504aが形成され
る。図23(d)に示す工程では、現像およびエッチン
グにより、配線パターン領域2504a以外の領域(2
504b)のドライフィルムレジストが除去される。図
23(e)に示す工程では、残ったドライフィルムレジ
ストが剥離される。
【0324】化学エッチングは、具体的には、例えば次
のように行うことができる。アンモニウムイオンを含む
塩基性塩化第2銅水溶液をエッチャントに用いると、剥
離層2502が例えばニッケルリン合金層からなる場合
は、第2の金属層2503のみをエッチングすることが
できる。しかる後に、エッチング液として、硝酸および
過酸化水素水の混合液を用いると、剥離層2502のみ
を取り除くことができる。この方法によれば、基板へ転
写された配線部が凹部とならずに、基板表面を平坦にす
ることができる。
【0325】(実施の形態10)つぎに、前記第6の転
写材(図21参照)の製造方法の例を、図24(a)〜
(f)に示す。
【0326】図24(a)〜(c)の工程は、前記した
実施の形態9における第5の転写材の製造方法と共通で
あるが、以下の工程が異なる。
【0327】すなわち、第5の転写材の製造方法では、
第2の金属層および剥離層のみを化学エッチングにより
パターン加工したが、第6の転写材の製造方法は、図2
4(d)(e)に示すように、化学エッチングにより、
第1の金属層2601の表層部をも配線パターン形状に
加工する。すなわち、第1の金属層2601の表層部に
凹凸部を形成する。そして、図24(f)に示すよう
に、前記配線パターン形状と電気的に接合するように位
置合わせしながら、印刷にて、部品パターン(インダク
タ2605,コンデンサ2606,抵抗2607)を形
成する。
【0328】上記した第4〜第6の転写材の製造方法に
よれば、いずれもフォトリソグラフィ法等の化学エッチ
ングによって、配線パターンの金属層を形成することか
ら、微細な配線パターンを形成することが可能である。
また、第6の転写材の製造方法の場合、配線パターン
(第2の金属層)を構成する金属箔を、キャリア(第1
の金属層)を構成する金属箔と同一にしておくことによ
って、一回のエッチングプロセスで、キャリアの表層を
配線パターンと同一の凹凸形状に形成することができ
る。
【0329】前述したように、第2の金属層以外の転写
材の構成材料を再利用することが可能である。また、特
に第6の転写材の場合は、第1の金属層が配線パターン
状に加工されていることを利用して、この第1の金属層
を、凸版印刷として違うやり方のパターン形成に再利用
することも可能である。このため、低コスト化が可能で
あり工業上の利用性にも優れる。
【0330】なお、前記第4〜第6の転写材の製造方法
において、前記第2の金属層を電解メッキ法で形成して
もよい。また、第2の金属層上に、電解メッキ法によ
り、さらに他の金属層(第3の金属層)を形成してもよ
い。電解メッキ法により、前記第3の金属層、または配
線パターン形成用の第2の金属層を形成すれば、第2の
金属層と第3の金属層との接着面に適度な接着性が得ら
れるだけでなく、前記金属層間に隙間が発生しない。こ
れにより、例えばエッチング等を行っても、良好な配線
パターンを形成できる。あるいは、第2の金属層上に、
前記第3の金属層をパネルメッキで形成した後、配線パ
ターン状にマスキングを行い、パターン形成を行っても
よい。この場合、転写後の第2の金属層の表面酸化の防
止や、ハンダ濡れ性の改善に効果がある。
【0331】この転写用配線パターンの製造方法におい
て、第2の金属層上に第3の金属層を形成する前に、前
記第2の金属層の表面を粗面化処理することが好まし
い。前記「第3の金属層を形成する前」とは、前記第2
の金属層上に配線パターン用のマスクを形成する前、ま
たは前記配線パターン状にマスキングされた第2の金属
層上に、前記配線パターンに沿って第3の金属層を形成
する前をいう。このように、前記第2の金属層を粗面化
処理すると、前記第2の金属層と前記第3の金属層との
接着性が向上する。
【0332】さらに、前記転写材の製造方法において、
電解メッキ法により、前記第3の金属層上に、第1ない
し第3の金属層とは異なる金属からなる第4の金属層を
形成してもよい。前記第4の金属層の材料として、前記
第1から第3の金属層を腐食するエッチング液に対し化
学的に安定な金属成分を選択することにより、前記転写
材の製造方法において、化学エッチング法により、何ら
第2,3,4の金属層の厚みを低減させることなく、前
記第1の金属層の表層部を含む各金属層を配線パターン
状に加工することができるため好ましい。
【0333】この第4の金属層としては、例えば、化学
的に安定で低抵抗なAgあるいはAuのメッキ層などが
望ましい。これらは酸化されにくい金属であるため、こ
れらでメッキされた配線層と、例えば、予め基板に形成
されたビア、ベアチップのバンプ、あるいは導電性接着
剤との接続性を、より安定させることができる。
【0334】前記第5または第6の転写材の製造方法に
おいて、前記配線パターンと電気的に接続するように受
動部品パターンを形成する方法としては、第4の転写材
の場合と同様に、印刷法が最適である。剥離層がニッケ
ルメッキ層あるいはニッケルリン合金層等のメッキ層で
構成されている場合は、印刷法としてオフセット印刷、
グラビア印刷、スクリーン印刷等のいずれでも適用する
ことができるが、より好ましくはスクリーン印刷法が用
いられる。
【0335】また、部品パターンの印刷に用いられる材
料は、ペースト状であることが好ましい。前記第4の転
写材の場合と同様に、部品が転写される基板が、例え
ば、熱硬化性樹脂を成分として構成される基板である場
合は、部品パターンの材料として、熱硬化性樹脂を含む
ものが用いられる。例えば、インダクタを形成する場合
は、熱硬化性樹脂と混ぜるフィラーとして、磁性金属粉
やフェライトを用いることができる。コンデンサを形成
する場合は、同様にフィラーとしてチタン酸バリウムや
Pb系ペロブスカイト等を用いることができる。抵抗を
形成する場合には、フィラーとしてカーボンが用いられ
る。抵抗値は、カーボン比率を変えることによって制御
することができる。なお、抵抗体は前述したように薄膜
で形成してもよい。抵抗体の材料及びその作製方法は、
第4の転写材の製造方法の説明で述べたのと同様であ
る。
【0336】前記第5の転写材は、前記第4の転写材と
同様に、100℃以下の低温でパターン転写形成ができ
るので、セラミックグリーンシートにも部品配線パター
ンを形成することができる。
【0337】部品を転写する基板がセラミックの場合
は、部品パターンの印刷に用いられる材料(ペースト
状)は、脱バインダー工程によってフィラーのみが残存
するものが好ましい。従って、熱分解性が良好なバイン
ダーを溶かしたビヒクル、例えばターピネオールにバイ
ンダーを溶かしたビヒクルを用いたペーストが、用いら
れる。具体的には、上記に記したインダクター、コンデ
ンサ、抵抗特性に対応した各種フィラーを、前記ビヒク
ルと3本ロール等で混練して、スクリーン印刷が可能な
ペースト状の材料を形成する。
【0338】インダクタを形成する場合は、ガラスと、
これにフィラーとして、磁性金属粉や低温で焼結するフ
ェライトを混ぜた材料が用いられる。コンデンサを形成
する場合は、同様にフィラーとして、チタン酸バリウム
及びガラスやPb系ペロブスカイト等が用いられる。抵
抗を形成する場合には、ガラスフィラーとしてルテニウ
ムパイロクロア、酸化ルテニウム、ランタンボライト等
が用いられる。これらは、低温焼成基板セラミックと同
時焼成できるとともに、内層抵抗体の場合でも抵抗値の
調整が比較的容易である。
【0339】これら2種類の第5および第6の転写用部
品配線パターンは、適宜使い分けることができる。例え
ば、転写材に形成された部品配線パターンが積層基板の
内層に転写される場合は、特にビア直上にビアがまた形
成される場合において、図20で示されるような転写材
(第5の転写材)を用いることが、ビア接続の観点から
好ましい。
【0340】一方、表層に転写される場合は、特にイン
ダクタ、コンデンサ、半導体チップ等の端子間距離が接
近している場合などは、沿面距離をかせぐ意味からも、
図21に示されたキャリア層まで部分的に加工された転
写形成材(第6の転写材)が好ましい。
【0341】(実施の形態11)つぎに、前記第4〜第
6の転写材を用いて製造される回路基板の形態を、図2
2(g)(g')、図23(h)、および図24(h)
に示す。
【0342】第4〜第6の転写材を用いた回路基板の製
造方法として、少なくとも以下の二つの製造方法があ
る。本実施形態で述べる第1の製造方法は、前記第5〜
第7の実施形態における転写材(参照:図22(e)、
図23(f)、図24(f))を準備し、この転写材
を、部品配線パターンが形成された側が、シート状基材
の少なくとも一方の表面と接触するように配置して、こ
れらを接着する工程(参照:図22(f)、図23
(g)、図24(g))と、シート状基材に接着された
転写材から、キャリアである第1の金属層を剥離するこ
とにより、前記シート状基材に、少なくとも第2の金属
層及び部品パターンを含む部品配線パターン層を転写す
る工程とを少なくとも含む、部品内蔵配線基板(参照:
図22(g)、図23(h)、図24(h))の製造方
法である。
【0343】これにより、微細な配線パターンと、イン
ダクタ、コンデンサ、及び抵抗並びに半導体チップを含
む部品パターンとは、前記シート状基材に平坦上に(参
照:図22(g)、図23(h))、あるいは凹形状に
(参照:図24(h))形成される。また、このように
して作製した配線基板は、例えば、配線部分が凹形状で
ある場合(図24(h))は、例えば、配線部分と半導
体チップのバンプとの位置合わせが容易となり、半導体
のフリップチップ実装等に優れる。
【0344】(実施の形態12)また、本発明にかかる
回路基板の2番目の製造方法は、図25に示す多層回路
基板の製造方法であって、実施の形態11の製造方法に
より得られた回路基板(図22(g)、図23(h)、
図24(h)等)を、二層以上に積層する工程を含む方
法である。
【0345】ここで、2702、2709は配線パター
ンを形成する第2の金属層、2703は抵抗体、270
4はコンデンサ、2705はインダクタ、2706はシ
ート状基材である。
【0346】この回路基板は、100℃以下の低温で、
部品パターン及び配線パターンを転写形成できるので、
セラミックグリーンシートに限らず、熱硬化樹脂を用い
たシートに於いても、未硬化の状態を維持することがで
きる。これにより、回路基板を、未硬化状態で二層以上
積層した後に、一括して熱硬化収縮させることが可能と
なる。
【0347】従って、4層以上の多層回路基板に於い
て、各層毎に硬化収縮の補正を行う必要がない。これに
より、微細な配線パターン及び部品パターンを有する多
層構造の回路基板を作製できる。但し、内層を形成する
配線部および部品部に関しては、前述のように凹形状で
ある必要はなく平坦でもよいため、図22(g)、図2
3(h)に示す回路基板等が利用できる。
【0348】実施の形態11および本実施形態で説明し
た製造方法のそれぞれにおいて、前記シート状基材が、
無機フィラーと熱硬化性樹脂組成物とを含み、少なくと
も一つの貫通孔を有し、前記貫通孔に導電性ペーストが
充填されていることが好ましい。これにより、熱伝導性
に優れ、前記配線パターンが前記導電性ペーストにより
電気的に接続されたIVH構造を有する高密度実装用コ
ンポジット配線基板を容易に得ることができる。
【0349】また、このシート状基材を用いれば、配線
基板の作製の際に、高温処理の必要がなく、例えば、熱
硬化性樹脂の硬化温度である200℃程度の低温処理で
十分である。
【0350】前記シート状基材全体に対し、前記無機フ
ィラーの割合が70〜95重量%であり、前記熱硬化性
樹脂組成物の割合が5〜30重量%であることが好まし
く、特に好ましくは、前記無機フィラーの割合が85〜
90重量%であり、前記熱硬化性樹脂組成物の割合が1
0〜15重量%である。前記シート状基材は、前記無機
フィラーを高濃度含有できることから、その含有量によ
り、配線基板における、熱膨張係数、熱伝導度、誘電率
等を任意に設定することが可能である。
【0351】前記無機フィラーは、Al23、MgO、
BN、AlNおよびSiO2からなる群から選択された
少なくとも一つの無機フィラーであることが好ましい。
前記無機フィラーの種類を適宜決定することにより、例
えば、熱伝導性、熱膨張性、誘電率を所望の条件に設定
することが可能である。例えば、前記シート状基材にお
ける平面方向の熱膨張係数を、実装する半導体の熱膨張
係数と同程度に設定し、かつ高熱伝導性を付与すること
も可能である。
【0352】前記無機フィラーの中でも、例えば、Al
23、BN、AlN等を用いたシート状基材は熱伝導性
に優れ、MgOを用いたシート状基材は熱伝導度に優
れ、かつ熱膨張係数を大きくすることができる。また、
SiO2、特に非晶質SiO2を使用した場合、熱膨張係
数が小さく、軽い、低誘電率のシート状基材を得ること
ができる。なお、前記無機フィラーは、一種類でもよい
し、二種類以上を併用してもよい。
【0353】前記無機フィラーと熱硬化性樹脂組成物と
を含むシート状基材は、例えば、以下のようにして作製
できる。まず、前記無機フィラーと熱硬化性樹脂組成物
とを含む混合物に粘度調整用溶媒を加え、任意のスラリ
ー粘度であるスラリーを調製する。前記粘度調製用溶媒
としては、例えば、メチルエチルケトン、トルエン等が
使用できる。
【0354】そして、予め準備した離型フィルム上にお
いて、前記スラリーを用いて、例えば、ドクターブレー
ド法等により造膜し、前記熱硬化性樹脂の硬化温度より
も低い温度で処理して、前記粘度調整用溶媒を揮発させ
た後、前記離型フィルムを除去することにより、シート
状基材が作製できる。
【0355】前記造膜した時の膜厚は、前記混合物の組
成や、添加する前記粘度調整用溶媒の量により適宜決定
されるが、通常、厚み80〜200μmの範囲である。
また、前記粘度調製用溶媒を揮発させる条件は、例え
ば、前記粘度調製用溶媒の種類や前記熱硬化性樹脂の種
類等により適宜決定されるが、通常、温度70〜150
℃で、5〜15分間である。
【0356】前記離型フィルムとしては、通常は、有機
フィルムが使用でき、例えば、ポリエチレン、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ
フェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニレンテ
レフタレート、ポリイミドおよびポリアミドからなる群
から選択された少なくとも一つの樹脂を含む有機フィル
ムであることが好ましく、特に好ましくはPPSであ
る。
【0357】また、この他に、シート状補強材に熱硬化
性樹脂組成物を含浸したものであり、少なくとも一つの
貫通孔を有し、前記貫通孔に導電性ペーストが充填され
ているシート状基材を用いることができる。
【0358】前記シート状補強材は、前記熱硬化性樹脂
を保持できるものであれば、特に制限されないが、ガラ
ス繊維の織布、ガラス繊維の不織布、耐熱有機繊維の織
布および耐熱有機繊維の不織布からなる群から選択され
た少なくとも一つのシート状補強材であることが好まし
い。前記耐熱有機繊維としては、例えば、全芳香族ポリ
アミド(アラミド樹脂)、全芳香族ポリエステル、ポリ
ブチレンオキシド等があげられ、中でもアラミド樹脂が
好ましい。
【0359】前記熱硬化性樹脂は、耐熱性であれば特に
制限されないが、特に耐熱性に優れることから、エポキ
シ系樹脂、フェノール系樹脂およびシアネート系樹脂あ
るいはポリフェニレンフタレート樹脂、ポリフェニレン
エーテル樹脂からなる群から選択された少なくとも一つ
の樹脂を含むことが好ましい。また、前記熱硬化性樹脂
は、いずれか一種類でもよいし、二種類以上を併用して
もよい。
【0360】このような、シート状基材は、例えば、前
記熱硬化性樹脂組成物中に前記シート状補強材を浸漬し
た後、乾燥させ半硬化状態にすることにより作製でき
る。
【0361】前記含浸は、前記シート状基材全体におけ
る前記熱硬化性樹脂の割合が、30〜60重量%になる
ように行うことが好ましい。
【0362】これらの製造方法において、以上のよう
な、熱硬化性樹脂を含有するシート状基材を用いる場合
は、前記配線基板の積層を、加熱加圧処理による前記熱
硬化性樹脂の硬化によって行うことが好ましい。これに
よれば、前記配線基板の積層工程において、例えば、前
記熱硬化性樹脂の硬化温度である200℃程度の低温処
理で十分である。
【0363】前記シート状補強材が、ポリイミド、LC
P、アラミドなどのフィルム上シートに熱硬化樹脂をコ
ーティングしたものであってもよい。
【0364】一方、これらの配線基板は樹脂基板に限定
されたものではなく、セラミック基板であってもよい。
この場合、シート状基材としては、有機バインダ、可塑
剤およびセラミック粉末を含むグリーンシートであっ
て、少なくとも一つの貫通孔を有し、前記貫通孔に導電
性ペーストが充填されたものを用いることができる。こ
のシート状基材は、高耐熱性で密閉性が良く、熱伝導性
にも優れる。
【0365】前記セラミック粉末は、Al23、Mg
O、ZrO2、TiO2、BeO、BN、SiO2、Ca
Oおよびガラスからなる群から選択された少なくとも一
つのセラミックを含むことが好ましく、特に好ましく
は、Al2350〜55重量%とガラス粉45〜50重
量%との混合物である。なお、前記セラミックは、一種
類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
【0366】前記有機バインダとしては、例えば、ポリ
ビニルブチラート(PVB)、アクリル樹脂、メチルセ
ルロース樹脂等が使用でき、前記可塑剤としては、例え
ば、ブチルベンジルフタレート(BBP)、ジブチルフ
タレート(DBP)等が使用できる。
【0367】このような、前記セラミック等を含むグリ
ーンシートは、例えば、前記無機フィラーと熱硬化性樹
脂とを含むシート状基材の前記作製方法と同様にして作
製できる。なお、各処理条件は、前記構成材料の種類等
により適宜決定される。
【0368】例えば、図22に示す転写材の第2の金属
層2403すなわち配線層を銀で構成した場合、銀は耐
酸化性を有する金属であるため、大気中での脱バインダ
処理および大気中での焼成が可能となり、作製プロセス
が容易になる利点が得られる。一方、図23および図2
4に示す第2の金属層2503,2603が銅で構成さ
れている場合は、転写された配線部が酸化されやすい卑
金属となるため、非酸化雰囲気、例えば窒素雰囲気での
脱バインダ処理や、および窒素焼成プロセスが求められ
る。従って、グリーンシートも、その窒素プロセスに対
応した構成が求められることになる。さらに、インダク
タ、コンデンサ、および抵抗等の印刷に用いられるビヒ
クル、バインダーについても、非酸化雰囲気での熱分解
性が強く求められることになる。
【0369】以上のような前記シート状基材の厚みは、
通常、100〜250μmの範囲である。
【0370】前記シート状基材は、前述のように、少な
くとも一つの貫通孔を有し、前記貫通孔に導電性ペース
トが充填されていることが好ましい。前記貫通孔の位置
は、通常、配線パターンと接触するように形成されれ
ば、特に制限されないが、ピッチが、250〜500μ
mの等間隔の位置に形成されることが好ましい。
【0371】前記貫通孔の大きさは、特に制限されない
が、通常、直径100〜200μmの範囲であり、好ま
しくは、直径100〜150μmの範囲である。
【0372】前記貫通孔の形成方法は、前記シート状基
材の種類等により適宜決定されるが、例えば、炭酸ガス
レーザー加工、パンチングマシーンによる加工、金型に
よる一括加工等があげられる。
【0373】前記導電性ペーストとしては、導電性を有
していれば、特に制限されないが、通常、導電性金属材
料の粒子を含有する樹脂等が使用できる。前記導電性金
属材料としては、例えば、銅、銀、金、銀パラジウム等
が使用でき、前記樹脂としては、エポキシ系樹脂、フェ
ノール系樹脂、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂等の
有機バインダーが使用できる。
【0374】また、前記導電性ペースト中の前記導電性
金属材料の含量は、通常、80〜95重量%の範囲であ
る。また、前記シート状基材がセラミックグリーンシー
トの場合は、熱硬化性樹脂の代わりに熱可塑性バインダ
ーが用いられ、接着剤としてガラス粉末が用いられる。
【0375】つぎに、前記工程における転写材とシート
状基材との接着方法、およびシート状基材に接着された
転写材から第1の金属層を剥離する方法は、特に制限さ
れないが、前記シート状基材がセラミック基板以外であ
る熱硬化性樹脂を含む場合、例えば、以下に示すように
して行うことができる。
【0376】まず、転写材(図23(f))とシート状
基材2508とを、図23(g)のように配置し、加熱
加圧処理によりシート状基材中の熱硬化性樹脂を溶融軟
化させることにより、シート状基材に、配線パターンを
形成した金属層2503及び印刷した受動部品パターン
2505,2506,2507を埋没させる。なお、2
505はインダクタ、2506はコンデンサ、2507
は抵抗である。但し、コンデンサのように誘電体層の両
面に電極が必要な回路部品を転写する場合には、図23
(g)に示すように、予め、これに対応した配線パター
ン2510のみを、転写等によって、シート状基材25
08に形成しておくことが望ましい。
【0377】続いて、転写材を圧着させたシート状基材
を、前記熱硬化性樹脂の軟化温度あるいは硬化温度で処
理し、後者の場合は前記樹脂を硬化させることにより、
転写用材とシート状基材とを接着できる。また、第2の
金属層2503とシート状基材2508との接着も固定
される。
【0378】前記加熱加圧条件は、前記熱硬化性樹脂が
完全硬化しない条件であれば、特に制限されないが、通
常、圧力約9.8×105〜9.8×106Pa(10〜
100kg/cm2)、温度70〜260℃、時間30
〜120分間である。
【0379】そして、転写材(図23(f))とシート
状基材2508とが接着した後、例えば、キャリア層で
ある第1の金属層2501を引っ張り、剥離層界面で剥
離することによって、第2の金属層2503及び受動部
品パターン2505,2506,2507から、第1の
金属層2501を剥離することができる。
【0380】すなわち、剥離層を介した、第1の金属層
に対する前記第2の金属層及び部品パターンの接着強度
が、シート状基材に対する接着強度よりも弱いことか
ら、前記第1の金属層と第2の金属層及び受動部品パタ
ーンとの接着面が剥離する。この結果、前記シート状基
材には部品および配線のパターンのみが転写され、第1
の金属層は剥離される(図23(h)参照)。
【0381】なお、前記熱硬化性樹脂の硬化は、前記部
品配線パターンから第1の金属層を剥離した後に行って
もよい。
【0382】一方、前記シート状基材が、前記セラミッ
ク基板を構成するグリーンシートである場合は、例え
ば、以下に示すような方法を用いることができる。例え
ば、図22(a)〜(d)の場合、第1の金属層240
1に銅箔を用い、第2の金属層2403すなわち配線層
として、電解メッキ法にて銀配線を形成する。しかる後
に、この銀配線と電気的に接続するように、受動部品等
をスクリーン印刷にて形成して、転写用の部品および配
線のパターンを形成する。但し、セラミック基板の場合
は焼成を伴うので、図22(e’)に示すような半導体
チップは実装しない。この構成に対し、前述と同様にし
て、加熱加圧処理を行うことにより、部品配線パターン
をシート状基材であるグリーンシートに埋没させ、グリ
ーンシートと転写用部品配線パターン形成材とを接着で
きる。
【0383】その後、前述と同様に、キャリアの剥離に
より、前記部品配線パターン以外の転写材の構成材料を
除去する。そして、部品配線パターンが転写されたグリ
ーンシートに、拘束用アルミナグリーンシートを積層す
る。その後、大気中脱バインダ処理および大気中焼成処
理を行い、前記セラミックを焼結させ、転写された前記
第2の金属層及び部品パターンを前記セラミック基板に
固定する。この転写材は配線が銀で形成されているた
め、大気中脱バインダおよび大気中焼成が可能となると
ころに利点がある。
【0384】一方、図23(a)〜(h)及び図24
(a)〜(h)の方法の場合、第1の金属層を銅箔で形
成し、第2の金属層すなわち配線層として、例えば、フ
ォトリソグラフィ法を用いた化学エッチング法にて銅配
線を形成する。銅配線はメッキ法により作製される銀配
線より安価に作製でき、耐マイグレーション性に優れ
る。しかる後に、この銅配線と電気的に接続するように
受動部品等をスクリーン印刷にて形成して、転写用部品
配線パターンを形成する。
【0385】但し、セラミック基板の場合は焼成を伴う
ので、図22(e’)で示したような半導体チップは実
装しない。この構成に対し、前述と同様にして、加熱加
圧処理を行うことにより、配線パターンを前記シート状
基材(グリーンシート)に埋没させ、シート状基材と転
写用部品配線パターン形成材とを接着できる。その後、
前述と同様に、キャリアの剥離により、前記部品配線パ
ターン以外の構成材料を除去する。
【0386】そして、部品配線パターンが転写されたグ
リーンシートに、拘束用アルミナグリーンシートを積層
する。その後、銅が酸化しないような雰囲気、例えば窒
素雰囲気中で、脱バインダ処理および焼成処理を行い、
前記セラミックを焼結させることにより、転写された第
2の金属層及び部品パターンを、セラミック基板に固定
する。この転写材の配線は銅であるため、転写材自体
は、銀配線の場合より安価に作製できるが、銅配線に配
慮して、焼成プロセスを非酸化雰囲気で行う必要があ
る。
【0387】従って、グリーンシートのバインダー及び
受動部品を構成するペーストのバインダーも、例えばメ
タクリル酸系アクリルバインダー等の熱分解性の良好な
ものを利用する必要が生じる。
【0388】従って、基板を構成するグリーンシート
や、受動部品を構成するセラミックの焼結条件によっ
て、転写材の構成は使い分けられることになる。
【0389】前記加熱加圧条件は、例えば、前記グリー
ンシートおよび導電性ペーストに含まれる有機バインダ
ーの種類等により適宜決定されるが、通常、圧力約9.
8×105〜1.96×107Pa(10〜200kg/
cm2)、温度70〜100℃、時間2〜30分間であ
る。従って、何らグリーンシートに損傷を与えることな
く配線パターンを形成することができる。
【0390】前記脱バインダ処理は、例えば、前記バイ
ンダの種類、配線パターンを構成する金属等により、そ
の条件が適宜決定されるが、通常、電気炉を用いて、温
度500〜700℃で、2〜5時間処理することによっ
て行うことができる。
【0391】前記焼成処理の条件は、例えば、前記セラ
ミックの種類等により適宜決定されるが、通常、ベルト
炉を用いて、空気中あるいは窒素中で、温度860〜9
50℃、時間30〜60分である。
【0392】さらに、前記配線基板の2番目の製造方
法、すなわち多層回路基板の製造方法について説明す
る。この方法により、図25に示すような多層回路基板
を作製する場合は、前述のようにして作製した単層の回
路基板を順次積層し、層間を接着することにより作製で
きる。当然ながら、単層の回路基板を二層以上積層し、
一括して硬化させることも可能である。
【0393】例えば、熱硬化性樹脂を含むシート状基材
を有する回路基板を積層する場合は、図26(a)〜
(c)にそれぞれ示すように、前述と同様に、シート状
基材に、熱硬化しない低温域で部品配線パターンのみを
転写することにより、図26(a’)〜(c’)にそれ
ぞれ示すような単層の回路基板を得る。そしてこの単層
の回路基板の積層体を、前記熱硬化性樹脂の硬化温度で
加熱加圧処理し、前記熱硬化性樹脂を硬化することによ
って、前記回路基板間を接着固定する。
【0394】部品配線パターンの転写を行う際の加熱加
圧条件の温度を意図的に100℃以下にすると、転写後
もシート状基材を殆どプリプレグのように扱える。これ
により、単層回路基板を順次積層して接着するのでな
く、単層回路基板を複数枚積層したものを一括して接着
固定することによって、多層回路基板を作製することが
可能となる。
【0395】また、例えば、シート状基材がセラミック
を含むセラミック回路基板を積層する場合は、前述と同
様に、シート状基材に部品配線パターンのみを転写した
後、この単層のセラミック回路基板を積層し、加熱加圧
処理を行うことにより、セラミックの焼成と回路基板間
の接着固定とを同時に行うことができる。
【0396】前記多層回路基板(図25)における層数
は特に制限されないが、通常、4〜8層であり、12層
に及ぶものもある。また、前記多層回路基板の全体の厚
みは、通常、500〜1000μmである。
【0397】なお、前記多層回路基板(図25)の最外
層以外の中間層を構成する回路基板の表面は、インナー
ビアによる電気的接続構造を考慮すると、配線パターン
等が凹部に埋め込まれた凹凸面ではなく、平坦であって
もよい。この構造を意図的に得るためには、第4または
第5の転写材を用いるとよい。また、前記多層回路基板
の最外層は、表面が平坦な回路基板でもよいが、表面に
凹部を有しその底部に第2の金属層等が形成された配線
基板であると、図24(h)に示すような半導体チップ
等の実装がより容易になり好ましい。
【0398】以下、前記実施の形態5〜12に関し、さ
らに具体的な実施例を説明する。
【0399】(実施例11)図22(a)〜(g’)
は、第4の転写材の製造工程の概略の一例を示す断面図
である。
【0400】図22(a)〜(e)および図22(a)
〜(e’)に示すようにして、受動部品2405,24
06,2407を含む転写材(図22(e))と、能動
部品である半導体チップ2408を含む転写材(図22
(e’))とを作製した。
【0401】図22(a)に示すように、第1の金属層
2401として、厚み35μmの電解銅箔を準備した。
まず、銅塩原料をアルカリ性浴に溶解し、これを高電流
密度となるように回転ドラムに電着させ、金属層(銅
層)を作製する。この銅層を連続的に巻き取って、電解
銅箔を作製した。
【0402】つぎに、図22(b)に示すように、ドラ
イフィルムレジスト2404を用いて、配線の逆パター
ンを形成した。しかる後に、図22(c)に示すよう
に、前記第1の金属層2401の面上に、銀で構成され
た配線パターン形成用の金属層2403を、厚み9μm
になるように、電解メッキ法によって積層し、図22
(d)に示すような2層構造を作製した。この表面の中
心線平均粗さ(Ra)が、4μm程度になるように粗面
化処理を施した。
【0403】次に、受動部品(インダクタ、コンデン
サ、および抵抗)に相当する部分をスクリーン印刷にて
形成した。本実施例では、セラミック基板に実装するこ
とを想定して、同時焼成可能な受動部品の構成を設定し
た。
【0404】インダクタ2405としては、Ni−Zn
フェライト粉と、アクリル樹脂5重量%(共栄社化学
製:重合度100cps)、ターピネオール(関東化学
社製)15重量%、BBP(関東化学社製)5重量%と
を用い、これらの成分を3本ロールにて混練し、ペース
ト状のものを作製した。
【0405】コンデンサ2406としては、Pb系ペロ
ブスカイト化合物(PbO-MgO-Nb2O5-NiO-WO3-TiO2)粉体
を用いて、同様の構成で3本ロールにて混練し、ペース
ト状のものを作製した。抵抗体2407としては、酸化
ルテニウム粉末5〜50重量%に低融点ほう珪酸ガラス
95〜50重量%を混合したものを用い、同様にペース
ト状のものを作製した。
【0406】これらのペーストを用い、所定形状のマス
クを用いて、図22(d)に示す2層構造上に、図22
(e)に示すように、インダクタ2405、コンデンサ
2406、抵抗体2407をそれぞれ印刷形成した。印
刷後は、90℃、20分の条件で乾燥させておいた。
【0407】なお、セラミック基板に転写、焼成および
固定を行う場合は、半導体チップ等の能動部品は転写材
に形成しない(図22(e)参照)。しかし、樹脂基板
に転写する場合は、能動部品として半導体チップ240
8等をフリップチップ実装してもよい(図22(e’)
参照)。フリップチップ実装後は、アンダーフィル24
11を、半導体チップ2408と配線パターン2412
との隙間を埋めるように注入し、150℃にて、完全に
硬化、一体化させてもよい。
【0408】図22(e)の転写材を用いて、図22
(f)〜(g)に示すようにして、セラミック回路基板
を作製した。
【0409】まず、配線パターンを転写する基板240
9を準備した。この基板2409は、低温焼成セラミッ
ク材料と有機バインダとを含む低温焼成セラミックグリ
ーンシートAを調製し、これにビアホールを設け、前記
ビアホールに導電性ペースト2410を充填することに
より作製した。以下に、前記グリーンシートAの成分組
成を示す。
【0410】 (グリーンシートAの成分組成) セラミック粉末Al23とホウケイ酸ガラスとの混合物(日本電気硝子社製: MLS−2000):88重量% カルボン酸系アクリルバインダー(共栄社化学製:オリコックス8125T) :10重量% BBP(関東化学社製):2重量% 前記各成分を、前記組成になるように秤量して、これら
の混合物に粘度調整用溶剤としてトルエン溶剤を、前記
混合物のスラリー粘度が約20Pa・sになるまで添加
した。そして、これにアルミナの玉石を加え、ポット中
で48時間、速度500rpmの条件で回転混合し、ス
ラリーを調製した。
【0411】つぎに、離型フィルムとして、厚み75μ
mのPPSフィルムを準備し、このPPSフィルム上に
おいて、前記スラリーを用いてドクターブレード法によ
りギャップ約0.4mmに造膜し、造膜シートを作製し
た。前記シート中の前記トルエン溶剤を揮発させ、前記
PPSフィルムを除去し、厚み220μmのグリーンシ
ートAを作製した。このグリーンシートAは、有機バイ
ンダである前記カルボン酸系アクリルバインダーに可塑
剤BBPを添加しているため、高強度、可撓性、および
良好な熱分解性を有していた。
【0412】このグリーンシートAを、その可撓性を利
用して所定の大きさにカットし、パンチングマシーンを
用いて、ピッチが0.2mm〜2mmの等間隔になる位
置に、直径0.15mmの貫通孔(ビアホール)を設け
た。そして、この貫通孔にビアホール充填用導電性ペー
ストをスクリーン印刷法により充填した。以上の工程に
より、基板2409を作製した。導電性ペースト241
0は、以下の材料を、以下の組成になるように調製し、
三本ロールにより混練したものを用いた。
【0413】 (導電性ペースト2410) 球形状の銀粒子(三井金属鉱業社製:粒径3μm):75重量% アクリル樹脂(共栄社化学製:重合度100cps):5重量% ターピネオール(関東化学社製):15重量% BBP(関東化学社製):5重量% つぎに、図22(f)に示すように、前記基板2409
の両面に、図22(e)の転写材が接するように配置
し、熱プレスを用いて、プレス温度70℃、圧力約5.
88×106Pa(60kg/cm2)で5分間、加熱加
圧処理した。なお、コンデンサ2406に関して、その
誘電体層を上下電極面で挟む構造にするために、基板2
409上に予め、電極パターン2411を転写等により
形成しておいてもよい。このような方法は、コンデンサ
が印刷形成された本発明の転写材を用いる場合にのみ可
能であり、基板グリーンシート上に誘電体層を印刷する
従来の方法では困難であった。
【0414】この加熱加圧処理により、前記基板240
9中のアクリル樹脂が溶融軟化して、前記第2の金属層
の配線層2403及び回路部品2405,2406,2
407が、基板2409中に埋没した。
【0415】この基板2409と転写材との積層体を冷
却した後、前記積層体から、転写材のキャリアである金
属層2401を剥離することにより、両面に配線層24
03および回路部品2405,2406,2407が転
写された回路基板シートが得られた。
【0416】そして、この回路基板シートを、その焼成
温度で焼結しないアルミナ無機フィラーを原料とするグ
リーンシートで挟み、大気中雰囲気で脱バインダおよび
焼成することにより、固定を行った。まず、回路基板
(図22(g))中の有機バインダを除去するため、電
気炉を用いて、25℃/時間の昇温スピードで、500
℃まで加熱し、温度500℃で2時間処理した。そし
て、ベルト炉を用い、前記脱バインダ処理済みの配線基
板を、大気中で900℃、20分間処理することにより
焼成を行った。この条件は、昇温が20分、降温が20
分、インアウト合計60分とした。焼成後は、アルミナ
層を容易に取り除くことができた。
【0417】この配線基板は、焼成後、平坦な実装表面
が形成された。この回路基板(図22(g))の配線層
2403上に、金メッキ層を形成してもよい。
【0418】この回路基板には、反り、クラック、ゆが
みは、発生しなかった。これは、平面方向に無収縮な焼
結工法を採用していることにも起因する、この工法を採
用することによって、銅箔配線とセラミック基板との同
時焼成が実現できる。回路部品(インダクタ、コンデン
サ、抵抗体)のそれぞれの実装位置も正確であり、厳密
な設計通りの回路基板を、一括転写で形成することがで
きた。
【0419】さらに、コンデンサ高温負荷信頼性試験
(125℃、50V、1000時間)を行っても、コン
デンサ2406の誘電体層に絶縁抵抗の劣化はなく、1
6Ω以上の絶縁抵抗を確保できた。また、誘電体層の
誘電率が5000,基板層の誘電率が8.1であった。
インダクタ2405のインダクタンスは、0.5μHを
確保することができた。また、抵抗体2407の抵抗値
については、100Ωから1MΩの任意の値を実現する
ことができた。
【0420】このように、本発明の転写材を用いると、
インダクタ、コンデンサ、および抵抗体等の受動部品を
含む回路形成を容易に実現することができた。
【0421】このほかに、本実施例の利点は、平面方向
に無収縮な焼成プロセスと、メッキ法による緻密な導電
パターンの転写プロセスによって、極めて導電率の大き
な配線が得られ、かつ、配線金属に銀を用いることによ
って、大気中で脱バインダおよび焼成ができることであ
る。特に、後者のプロセスを採用できることから、基板
組成、インダクタ、コンデンサ、および抵抗体等の受動
部品の各組成は、幅広く選択することができる。
【0422】なお、図22(e’)に示す転写材を、樹
脂系の基板に転写、実装、固定する場合を、図22
(f’)(g’)に示しているが、セラミックグリーン
シートの場合と同様に、一括転写、実装が良好に行える
ことが確認できている。
【0423】(実施例12)図23(a)〜(h)は、
第5の転写材を用いた配線基板の製造工程の概略の一例
を示す断面図である。
【0424】図23(a)〜(f)に示すようにして、
第5の転写材を作製した。
【0425】最初に、図23(a)に示すように、第1
の金属層2501として、厚み35μmの電解銅箔を準
備した。具体的には、銅塩原料をアルカリ性浴に溶解
し、これを高電流密度となるように回転ドラムに電着さ
せ、金属層(銅層)を作製し、この銅層を連続的に巻き
取って、電解銅箔を作製した。
【0426】つぎに、前記第1の金属層2501の面上
に、ニッケルリン合金の薄いメッキ層を、剥離層250
2として形成した。配線パターン形成用の金属層250
3として、前記第1の金属層2501と同じ電解銅箔
を、厚み9μmになるように、電解メッキ法によって積
層し、第2の金属層2503を形成した。これにより、
3層構造からなる積層体を作製した(図23(a)参
照)。
【0427】この表面の中心線平均粗さ(Ra)が、4
μm程度になるように粗面化処理を施した。なお、前記
粗面化処理は、前記電解銅箔に、銅の微細な粒を析出さ
せることにより行った。
【0428】つぎに、図23(b)に示すように、前記
積層体に、フォトリソグラフィ法によりドライフィルム
レジスト(DFR)2504を貼り、図23(c)に示す
ように、配線パターン部分の露光および現像を行う。そ
して、図23(d)に示すように、前記積層体のうち第
2の金属層2503を、化学エッチング法(塩化第2銅
水溶液にアンモニウムイオンを添加して塩基系にしたも
のに浸積)によりエッチングし、任意の配線パターンに
形成した。このエッチャントによれば、第2の金属層2
503のみエッチングされ、剥離層であるニッケルリン
合金層はエッチングされない。
【0429】しかる後に、図23(e)に示すように、
残ったドライフィルムレジストを剥離剤で除去し、転写
材を得た。
【0430】次に、受動部品に相当する部分をスクリー
ン印刷にて形成した。本実施例では、セラミック基板に
実装することを想定して、同時焼成可能なインダクタ、
コンデンサ、および抵抗体を用いた。
【0431】インダクター2505としては、Ni−Z
nフェライト粉と、アクリル樹脂5重量%(共栄社化学
製:重合度100cps)、ターピネオール(関東化学
社製)15重量%、BBP(関東化学社製)5重量%と
を用い、これらの成分を3本ロールにて混練し、ペース
ト状のものを作製した。
【0432】コンデンサ2506としては、Pb系ペロ
ブスカイト化合物(PbO-MgO-Nb2O5-NiO-WO3-TiO2)粉体
を用いて、同様の構成で3本ロールにて混練し、ペース
ト状のものを作製した。
【0433】抵抗体2507としては、酸化ルテニウム
粉末5〜50wt%に低融点ほう珪酸ガラス95〜50
wt%を混合したものを用い、同様にペースト状のもの
を作製した。
【0434】これらのペーストを用いて、所定形状のマ
スクを用いて、図23(e)に示す転写材上に、図23
(f)に示すように、インダクタ2505,コンデンサ
2506,および抵抗体2507を印刷形成した。この
転写材を用いて、図23(g)〜(h)に示すようにし
て、セラミック回路基板を作製した。
【0435】まず、基板2508を準備した。この基板
2508は、低温焼成セラミック材料と有機バインダと
を含む低温焼成セラミックグリーンシートBを調製し、
これにビアホールを設け、前記ビアホールに導電性ペー
スト2509を充填することにより作製した。以下に、
前記グリーンシートBの成分組成を示す。
【0436】 (グリーンシートBの成分組成) セラミック粉末Al23とホウケイ酸鉛ガラスとの混合物(日本電気硝子社製 :MLS−1000):88重量% メタクリル酸系アクリルバインダー(共栄社化学製:オリコックス7025) :10重量% BBP(関東化学社製):2重量% 前記各成分を、前記組成になるように秤量して、これら
の混合物に粘度調整用溶剤としてトルエン溶剤を、前記
混合物のスラリー粘度が約20Pa・sになるまで添加
した。そして、これにアルミナの玉石を加え、ポット中
で48時間、速度500rpmの条件で回転混合し、ス
ラリーを調製した。
【0437】つぎに、離型フィルムとして、厚み75μ
mのPPSフィルムを準備し、このPPSフィルム上に
おいて、前記スラリーを用いて、ドクターブレード法に
より、ギャップ約0.4mmに造膜し、造膜シートを作
製した。前記シート中の前記トルエン溶剤を揮発させ、
前記PPSフィルムを除去し、厚み220μmのグリー
ンシートBを作製した。このグリーンシートBは、有機
バインダである前記メタクリル酸系アクリルバインダー
に可塑剤BBPを添加しているため、可撓性、および良
好な熱分解性を有していた。
【0438】このグリーンシートBを、その可撓性を利
用して所定の大きさにカットし、パンチングマシーンを
用いて、ピッチが0.2mm〜2mmの等間隔になる位
置に、直径0.15mmの貫通孔(ビアホール)を設け
た。そして、この貫通孔に、ビアホール充填用導電性ペ
ースト2509を、スクリーン印刷法により充填した。
以上の工程により、基板2508を作製した。なお、導
電性ペースト2509は、以下の材料を、以下の組成に
なるように調製し、三本ロールにより混練したものを用
いた。
【0439】 (導電性ペースト2509) 球形状の銀粒子(三井金属鉱業社製:粒径3μm):75重量% アクリル樹脂(共栄社化学製:重合度100cps):5重量% ターピネオール(関東化学社製):15重量% BBP(関東化学社製):5重量% つぎに、基板2508の両面に、前述のように作製した
転写材(図23(f))が接するように配置し、熱プレ
スを用いて、プレス温度70℃、圧力約5.88×10
6Pa(60kg/cm2)で5分間、加熱加圧処理し
た。なお、コンデンサ2506に関して、その誘電体を
上下電極面で挟む構造にするために、基板2508上に
予め、電極パターン2510を、転写等により形成して
おいてもよい。このような方法は、コンデンサが印刷形
成された本発明の転写材を用いる場合にのみ可能であ
り、基板グリーンシート上に直接誘電体層を印刷する従
来の方法では困難であった。
【0440】この加熱加圧処理により、前記基板250
8中のアクリル樹脂が溶融軟化して、配線パターンであ
る第2の金属層2503と、回路部品であるインダクタ
2505、コンデンサ2506、および抵抗体2507
とが、基板2508中に埋没した。
【0441】このような転写材と基板2508との積層
体を冷却した後、前記積層体から転写材のキャリアであ
る第1の金属層2501と、剥離層2502とを剥離す
ることにより、両面に配線パターンである第2の金属層
2503と、回路部品であるインダクタ2505、コン
デンサ2506、および抵抗体2507とが転写された
回路基板シートが得られた。
【0442】そして、この回路基板シートを基板の焼成
温度で焼結しないアルミナ無機フィラーだけを原料とす
るグリーンシートで挟んで積層を行い、窒素中雰囲気で
脱バインダおよび焼成することにより、固定を行った。
【0443】まず、回路基板シート(図23(h))中
の有機バインダを除去するため、電気炉を用いて25℃
/時間の昇温スピードで、600℃まで加熱し、温度6
00℃で2時間処理した。そして、ベルト炉を用い、脱
バインダ処理済みの配線基板を、窒素中で900℃、2
0分間処理することにより焼成を行った。この条件は、
昇温が20分、降温が20分、インアウト合計60分と
した。焼成後は、アルミナ層を容易に取り除くことがで
きた。
【0444】この配線基板(図23(h))には、平坦
な実装表面が形成された。なお、この回路基板(図23
(h))の配線層503上に、金メッキ層を形成しても
よい。
【0445】この回路基板には、反り、クラック、ゆが
みは、発生しなかった。これは、平面方向に無収縮な焼
結工法を採用しているため、セラミック基板が厚み方向
のみに収縮したことによる。これにより、銅箔配線とセ
ラミック基板との同時焼成が実現できた。回路部品それ
ぞれの実装位置も正確であり、厳密な設計通りの回路基
板を、一括転写で形成することができた。
【0446】さらに、コンデンサ高温負荷信頼性試験
(125℃、50V、1000時間)を行っても、コン
デンサ2506の誘電体層に絶縁抵抗の劣化はなく、1
6Ω以上の絶縁抵抗を確保できた。また、誘電体層の
誘電率が5000,基板層の誘電率が8.1であった。
インダクター2505のインダクタンスは、0.5μH
を確保することができた。また、抵抗体の抵抗値につい
ては、100Ωから1MΩの任意の値を実現することが
できた。
【0447】このように、本発明の転写材を用いると、
インダクタ、コンデンサ、および抵抗体などを含む回路
形成を容易に実現することができた。
【0448】(実施例13)図24(a)〜(h)は、
前記第6の転写材を用いた配線基板の製造工程の概略の
一例を示す断面図である。
【0449】まず、図24(a)〜(f)に示すように
して、第6の転写材を作製した。
【0450】まず、第1の金属層2601として、厚み
35μmの電解銅箔を準備した。まず、銅塩原料をアル
カリ性浴に溶解し、これを高電流密度となるように回転
ドラムに電着させ、金属層(銅層)を作製し、この銅層
を連続的に巻き取って電解銅箔を作製した。
【0451】つぎに、前記第1の金属層2601の面上
に有機層で構成された薄い接着剤を塗布し、剥離層26
02を形成する。そして、配線パターン形成用の第2の
金属層2603として、前記第1の金属層2601と同
じ電解銅箔を厚み9μmになるように電解メッキ法によ
って積層した。これにより、図24(a)に示すよう
な、3層構造からなる積層体を作製した。
【0452】この表面の中心線平均粗さ(Ra)が、4
μm程度になるように粗面化処理を施した。なお、前記
粗面化処理は、前記電解銅箔に、銅の微細な粒を析出さ
せることにより行った。
【0453】つぎに、図24(b)に示すように、前記
積層体に、フォトリソグラフィ法によりドライフィルム
レジスト(DFR)2604を貼った。そして、図24
(c)に示すように、配線パターン部分の露光および現
像を行う。その後、図24(d)に示すように、前記積
層体のうち、第2の金属層2602のみならず、第1の
金属層2601の表層部も、化学エッチング法(塩化第
2鉄水溶液に浸積)によりエッチングして、任意の配線
パターンに形成した。
【0454】しかる後に、DFR2604を剥離剤で除
去し、図24(e)に示すような3層構造を得た。第1
の金属層と第2の金属層が同じ銅で構成されているた
め、一回の化学エッチングで、第2の金属層のみならず
第1の金属層にも部分的に凸部の配線層を形成すること
ができる。この構造は、キャリア層である第1の金属層
まで配線パターン状に加工されているところに特徴があ
る。なお、本実施例では、剥離層として有機層を用いた
が、例えば、ニッケルメッキ層等を用いても、同様の作
用を有する転写材を得ることができる。
【0455】この3層構造では、前記第1の金属層26
01と配線パターン形成用の第2の金属層2603との
剥離層2602が、接着力自体は弱くとも耐薬品性に優
れ、この3層構造の全体にエッチング処理を行っても、
層間が剥離することなく問題なく配線パターンを形成で
きた。一方、前記第1の金属層2601と第2の金属層
2603との剥離層2602を介した接着強度は、40
N/mであり、剥離性に優れていた。
【0456】次に、回路部品をスクリーン印刷にて形成
した。本実施例では、樹脂系基板に実装することを想定
して、同時硬化可能なインダクタ、コンデンサ、および
抵抗体等の受動部品のみを形成した。
【0457】インダクター2605としては、Ni−Z
nフェライト粉と、液状エポキシ樹脂10wt%(日本
レック社製、EF−450)、カップリング剤0.3重
量%(味の素社製、チタネート系:46B)とを用い、
これらの成分を高速で公転、自転する混練機を用いて混
練し、ペースト状のものを作製した。
【0458】なお、磁性合金粉、センダスト粉をフィラ
ーとする同様の構成からなるペーストも作製した。コン
デンサ2606としては、Pb系ペロブスカイト化合物
(PbO-MgO-Nb2O5-NiO-WO3-TiO2)粉体を用いて、同様の
構成で混練機にて混練し、ペースト状のものを作製し
た。抵抗体2607としては、カーボンの含有量を変化
させた同様の構成からなるペースト状のものを作製し
た。
【0459】これらのペーストを用いて、所定形状のマ
スクを用いて、図24(e)に示す3層構造上に、図2
4(f)に示すように、回路部品を印刷形成することに
より、第6の転写材が形成された。印刷後は、90℃、
20分の条件で乾燥させておいた。
【0460】なお、本転写材上には、さらに、本転写材
を用いて転写を行った後の配線基板に半導体チップ26
08を実装することを想定し、配線2613を形成して
おいた。
【0461】しかる後に、前記図24(g)〜(h)に
示すようにして、プリント回路基板を以下の方法により
作製した。
【0462】まず、基板2610を準備した。この基板
2610は、コンポジット材料からなるシート状基材を
調製し、これにビアホールを設け、前記ビアホールに導
電性ペースト2611を充填することにより作製した。
以下に、前記シート状基板2610の成分組成を示す。
【0463】 (シート状基板2610の成分組成) Al23(昭和電工社製、AS−40:粒径12μm):90重量% 液状エポキシ樹脂(日本レック社製、EF−450):9.5重量% カーボンブラック(東洋カーボン社製):0.2重量% カップリング剤(味の素社製、チタネート系:46B):0.3重量% 前記各成分を、前記組成になるように秤量して、これら
の混合物に、粘度調整用溶剤としてメチルエチルケトン
溶剤を、前記混合物のスラリー粘度が約20Pa・sに
なるまで添加した。そして、これにアルミナの玉石を加
え、ポット中で48時間、速度500rpmの条件で回
転混合し、スラリーを調製した。
【0464】つぎに、離型フィルムとして、厚み75μ
mのPETフィルムを準備し、このPETフィルム上に
おいて、前記スラリーを用いて、ドクターブレード法に
より、ギャップ約0.7mmに造膜し、造膜シートを作
製した。そして、この造膜シートを、温度100℃で1
時間放置することにより、前記シート中の前記メチルエ
チルケトン溶剤を揮発させ、前記PETフィルムを除去
し、厚み350μmのシート状基材601を作製した。
前記溶剤の除去を、温度100℃で行ったため、前記エ
ポキシ樹脂は、未硬化状態のままであり、前記シート状
基材は可撓性を有していた。
【0465】このシート状基材を、その可撓性を利用し
て、所定の大きさにカットし、炭酸ガスレーザを用い
て、ピッチが0.2mm〜2mmの等間隔になる位置
に、直径0.15mmの貫通孔(ビアホール)を設け
た。そして、この貫通孔に、ビアホール充填用導電性ペ
ースト2611を、スクリーン印刷法により充填した。
以上の工程により、前記基板2610が作製された。前
記導電性ペースト2611は、以下の材料を、以下の組
成になるように調製し、三本ロールにより混練したもの
を用いた。
【0466】 (導電性ペースト2611) 球形状の銅粒子(三井金属鉱業社製:粒径2μm):85重量% ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、エピコート82 8):3重量% グルシジルエステル系エポキシ樹脂(東都化成社製、YD−171):9重量 % アミンアダクト硬化剤(味の素社製、MY−24):3重量% つぎに、図24(g)に示すように、前記基板2610
の両面に、前述のように作成した転写材(図24
(f))の部品パターン側が接するように配置し、熱プ
レスを用いて、プレス温度120℃、圧力約9.8×1
5Pa(10kg/cm2)で5分間、加熱加圧処理し
た。
【0467】なお、コンデンサ2606に関して、その
誘電体層を上下電極面で挟む構造にする場合は、基板2
610上に予め、電極パターン2612を転写形成して
おいてもよい。このような方法は、コンデンサが印刷形
成された本発明の転写材を用いる場合のみ可能であり、
セラミックをフィラーとするコンポジットシート上に誘
電体層を印刷する従来の方法では困難であった。
【0468】この加熱加圧処理により、基板2610中
のエポキシ樹脂(前記シート状基材および導電性ペース
ト2611中のエポキシ樹脂)が溶融軟化して、図24
(h)に示すように、回路部品パターン(インダクタ2
605、コンデンサ2606、および抵抗体2607)
と、配線パターンとしての第2の金属層2603とが、
基板2610中に埋没した。そして、加熱温度をさらに
上昇させ、温度175℃で60分間処理することによ
り、前記エポキシ樹脂を硬化させた。その後、配線26
13上に、半導体チップ2608をフリップチップ実装
した。
【0469】これにより、前記シート状基材と全回路部
品パターンが強固に接着し、また、前記導電性ペースト
2611と各回路部品パターンとが電気的に接続(イン
ナービア接続)し、かつ強固に接着した。
【0470】その後、キャリア層である第1の金属層2
601と、剥離層2602とを剥離することにより、図
24(h)に示すような、両面に回路部品パターン(イ
ンダクタ2605、コンデンサ2606、および抵抗体
2607)および配線パターン(第2の金属層260
3)を有する配線基板が得られた。なお、この配線基板
には、転写材において第1の金属層2603がエッチン
グされた深さに対応した凹部が形成され、全ての配線パ
ターンおよび回路部品パターンが、前記凹部の底部に形
成された。
【0471】なお、この転写材を用いることにより、基
板2610へ第2の金属層2603等の転写を行った際
に、前記第1の金属層2601と第2の金属層2603
との剥離層2602を介した接着面が容易に剥離し、前
記第2の金属層2603および回路部品パターン(イン
ダクタ2605、コンデンサ2606、および抵抗体2
607)のみを前記基板に転写することができた。
【0472】本実施例では、キャリアである第1の金属
層2601が厚さ35μmの銅箔で構成されていること
から、転写時に基板2610の基材が変形しても、キャ
リア層がその変形応力に持ちこたえることができた。一
方、本実施例の転写材は、配線部分が凸部を構成してい
ることにより、圧着時に、キャリア層である第1の金属
層2601の凹部に、基板2610の基材が流れ込みや
すく、パターンを歪ませようとする横方向の変形応力を
抑制しやすい。従って、本実施例に於いてのパターン歪
みは、基材の硬化収縮分に相当する0.08%のみであ
った。
【0473】なお、本実施例では、有機層からなる剥離
層を用いたが、例えば200nm以下の厚みを有するN
iメッキ層等のメッキ層を剥離層に用いても、同様の配
線パターン転写形成を実現することができた。
【0474】また、配線2613上に、半導体チップ2
608をフリップチップ実装することは、凹部に形成さ
れた配線2613にバンプを位置合わせすることによ
り、容易に行えた。
【0475】回路部品それぞれの実装位置も正確であ
り、厳密な設計どうりの回路基板を、一括転写で形成す
ることができた。本実施例の配線基板は、半導体チップ
2608のバンプと配線2613との接合が良好であ
り、半導体チップ2608のバイパスコンデンサとして
機能するように実装したコンデンサ2606も、良好に
機能した。また、コンデンサ高温負荷信頼性試験(12
5℃、50V、1000時間)を行っても、コンデンサ
2606の誘電体層に絶縁抵抗の劣化はなく、10 6Ω
以上の絶縁抵抗を確保できた。
【0476】また、誘電体層の誘電率が200、基板層
の誘電率が8.1であった。インダクター2605のイ
ンダクタンスは、フェライト、磁性合金を問わず0.5
μH以上の十分な値を確保することができた。また、抵
抗体2607の抵抗値については、100Ωから1MΩ
の任意の値を実現することができた。
【0477】このように、本発明の転写材を用いると、
配線パターン、半導体チップ等の能動部品、並びにイン
ダクタ、コンデンサ、および抵抗等の受動部品を含む回
路形成を容易に実現することができた。
【0478】(実施例14)本発明の第4〜第6の転写
材を用い、前記実施例13と同様にして作製したコンポ
ジット材料からなる基板とを用いて、図25に示す多層
配線基板を作製した。図26は、多層配線基板の各層の
作製工程の概略を示す断面図である。
【0479】図26において、2800A,2800
B,および2800Cは、転写材をそれぞれ示す。28
00Aは、主として抵抗体2803を印刷形成した転写
材である。2800Bは、主としてコンデンサ2804
となる誘電体層を印刷形成した転写材である。2800
Cは、主としてインダクタ2805となる磁性層を印刷
形成したものである。
【0480】また、本実施例では、図26(a)〜
(c)に示すように、基板シート2806中のインナー
ビアに導電性ペースト2807を予め充填したものを用
いた。その詳細な構成は、実施例13と同様であるた
め、割愛する。
【0481】また、多層配線基板の最上層の表面に形成
される配線層2808と、コンデンサ2804の一方の
電極2809とは、予め、転写等により基板シート28
06に形成しておいた。なお、この転写に用いる転写材
は、本発明の転写材と同様の構造が好ましい。
【0482】従来、印刷で形成された受動部品を多層基
板に内蔵させる場合、基板グリーンシート上に、個々の
受動部品を印刷形成する方法が採用されていた。但し、
この工法によれば、基板表面に、数十μm厚みの段差が
発生してしまう。従って、多層化のために、基板の積層
を何層も続けようとすると、加圧焼成時にコンデンサ等
の外周端部が加圧力によって押し潰されるように変形し
て、絶縁性が低下しやすく、コンデンサの短絡等が頻繁
に発生していた。
【0483】本実施例によれば、図26(b)に示すよ
うに、予め基板シート2806上に形成した電極パター
ン2809と位置合わせしながら、転写材2800B上
に形成された電極2802及び誘電体層2804の圧着
を行う。このとき、流動性に優れた基板シート2806
中に、これらの電極2802および誘電体層2804が
埋め込まれるので、図26(b’)に示すように、表面
に段差が全く生じない状態で、単層配線基板が作成され
る。
【0484】同様に、転写材2800Aおよび2800
Cを用いて転写を行えば、全く段差は生じず、図26
(a’)および(c’)に示すように、平坦な面がそれ
ぞれ形成される。
【0485】最後に、図26(a’)〜(c’)に示し
た単層配線基板と、図26(d’)に示すように両面に
配線パターンが転写形成された配線基板とを積層し、前
述したように加熱加圧処理によってシートを一括硬化さ
せる。これにより、インダクタ、コンデンサ、および抵
抗体等の回路部品が内蔵された各層が積層されて、図2
5に示すような多層回路基板を形成することができる。
本実施例によれば、各層とも、段差のない平坦な表面を
有するので、容易に積層工程を行うことができる。
【0486】以上のように、本発明にかかる第4〜第6
の転写材は、微細な配線パターンに加え、インダクタ、
コンデンサ、および抵抗体等の回路部品パターンを印刷
にて形成し、それらを一括して転写することができるの
で、これらを容易かつ正確に基板上に実装することが可
能である。さらに、配線パターンおよび部品パターンを
転写により実装するため、各層の表面に、配線パターン
および部品パターンが段差を生じることなく埋め込まれ
る。これにより、以降の積層工程を、配線の断線やパタ
ーン形状の崩れなどが無い状態で、容易に行うことがで
きる。
【0487】なお、前記実施形態5〜12および実施例
11〜14では、インダクタ、コンデンサ、および抵抗
のすべてが形成された転写材を例示したが、必ずしも、
これらの部品すべてが形成されていなくてもよい。
【0488】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、微細な
配線パターンおよび部品パターンを、低温で、パターン
ずれもなく、確実かつ容易に転写することができる転写
材を用いることにより、微細な配線パターンおよび部品
パターンを有し、半導体のフリップチップ実装等に有利
な配線基板を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる転写用パターン形成材(以
下、転写材と称する)の第1の実施形態(第1の転写
材)の構成概略を示す断面図
【図2】 本発明にかかる転写材の第2の実施形態(第
2の転写材)の構成概略を示す断面図
【図3】 本発明にかかる転写材の第3の実施形態(第
3の転写材)の構成概略を示す断面図
【図4】 (a)〜(f)は、前記第1の転写材の製造
工程の概略を示す断面図
【図5】 (a)〜(e)は、前記第2の転写材の製造
工程の概略を示す断面図
【図6】 (a)〜(e)は、前記第3の転写材の製造
工程の概略を示す断面図
【図7】 (a)〜(c)は、本発明の転写材を用い
た、コンポジット配線基板の製造工程の一例の概略を示
す断面図
【図8】 本発明の転写材を用いて作製されたセラミッ
ク配線基板の構成概略を示す断面図
【図9】 図8のセラミック配線基板に半導体チップを
フリップチップ実装した構成概略を示す断面図
【図10】 (a)〜(j)は、本発明の転写材を用い
た、多層配線基板の製造工程の一例の概略を示す断面図
【図11】 本発明の転写材を用いて作製された多層配
線基板の一例の構成概略を示す断面図
【図12】 本発明の転写材を用いて作製された多層配
線基板の他の例の構成概略を示す断面図
【図13】 本発明の転写材を用いて作製された多層配
線基板のさらに他の例の構成概略を示す断面図
【図14】 本発明の転写材を用いて作製された多層配
線基板のさらに他の例の構成概略を示す断面図
【図15】 本発明の転写材を用いて作製された多層配
線基板のさらに他の例の構成概略を示す断面図
【図16】 (a)〜(c)は、本発明の転写材を用い
た、多層配線基板の製造工程の一例の概略を示す断面図
【図17】 (a)〜(c)は、本発明の転写材を用い
た、多層配線基板の製造工程の他の例の概略を示す断面
【図18】 (a)〜(e)は、本発明の転写材を用い
た、多層配線基板の製造工程のさらに他の例の概略を示
す断面図
【図19】 (a)および(b)は、本発明の第5の実
施の形態にかかる転写用部品配線パターン形成材(第4
の転写材)の構成概略を示す断面図
【図20】 本発明の第6の実施の形態における転写用
部品配線パターン形成材(第5の転写材)の構成概略を
示す断面図
【図21】 本発明の第7の実施の形態における転写用
部品配線パターン形成材(第6の転写材)の構成概略を
示す断面図
【図22】 (a)〜(g’)は、前記第4の転写材を
用いた多層回路基板の製造工程の概略を示す断面図
【図23】 (a)〜(h)は、前記第5の転写材を用
いた回路基板の製造工程の概略を示す断面図
【図24】 (a)〜(h)は、前記第6の転写材を用
いた回路基板の製造工程の概略を示す断面図
【図25】 前記第4〜第6の転写材を用いて製造され
る多層回路基板の断面図
【図26】 (a)〜(c)は、図25に示す多層回路
基板の各層を構成する単層配線基板を、本発明の第6の
転写材を用いて形成する方法を模式的に示す断面図であ
り、(a')〜(c')は、(a)〜(c)の各々の方法
により形成された、多層回路基板の各層の断面図であ
り、(d’)は、前記多層回路基板の最下層の配線基板
の断面図
【符号の説明】 【符号の説明】
101,201,301,2101,2201,230
1 第1の金属層 102,202,302,2202,2302 剥離層 103,203,303,2102,2203,230
3 第2の金属層 105 第3の金属層 2103,2204,2304 インダクタ 2104,2205,2305 コンデンサ 2105,2206,2306 抵抗 2106 半導体チップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05K 3/46 H05K 3/46 L 5F044 Q (72)発明者 平野 浩一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 中谷 誠一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 松岡 康之 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 朝日 俊行 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 山下 嘉久 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4E351 AA02 AA07 AA11 AA13 BB01 BB24 BB26 BB31 CC11 DD01 DD58 EE02 EE03 EE09 EE13 GG01 5E317 AA24 BB01 BB04 BB14 BB25 CC22 CC25 CC52 CD32 CD34 GG14 5E336 AA04 AA11 BB03 BB16 BB18 BC34 CC32 CC44 CC58 EE05 GG14 5E343 AA02 AA07 AA15 AA16 AA24 BB03 BB08 BB15 BB23 BB24 BB44 BB66 DD56 DD63 ER49 ER52 GG08 5E346 AA06 AA12 AA15 AA22 AA38 AA43 BB01 BB16 BB20 CC02 CC08 CC17 CC32 CC35 CC36 CC40 DD02 DD33 EE02 EE06 EE07 EE24 EE43 FF18 FF35 FF36 FF45 GG01 GG02 GG03 GG09 GG28 GG40 HH11 HH26 5F044 KK02 KK04 KK17 KK18 KK19 KK23 LL01

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気絶縁性基板と、転写材を用いた転写
    法により前記電気絶縁性基板の少なくとも一主面に埋設
    された配線パターンと、前記電気絶縁性基板の表面に設
    けられた少なくとも1つの凹部とを備え、前記凹部の底
    部に前記配線パターンが形成されていること特徴とする
    配線基板。
  2. 【請求項2】 前記凹部の深さが、1〜12μmの範囲
    である請求項1記載の配線基板。
  3. 【請求項3】 前記配線パターンは、第1の金属層と前
    記第1の金属層上に形成された第2の金属層とを備えた
    請求項1または2に記載の配線基板。
  4. 【請求項4】 第2の金属層は金メッキである請求項3
    記載の配線基板。
  5. 【請求項5】 配線パターンに実装された半導体素子を
    さらに備え、前記半導体素子のバンプが前記凹部に位置
    合わせしてフリップチップボンディングされ、前記バン
    プと前記配線パターンとが電気的に接続された請求項1
    〜4のいずれかに記載の配線基板。
  6. 【請求項6】 前記電気絶縁性基板が、導電性組成物が
    充填された貫通孔を有し、前記配線パターンが、前記導
    電性組成物と電気的に接続された請求項1記載の配線基
    板。
  7. 【請求項7】 前記電気絶縁性基板が、無機フィラーお
    よび熱硬化性樹脂組成物を含み、導電性組成物が充填さ
    れた貫通孔を有する請求項1記載の配線基板。
  8. 【請求項8】 前記無機フィラーが、Al2O3,MgO,BN,AlN
    およびSiO2からなる群から選択された少なくとも一つの
    無機フィラーであり、前記無機フィラーの割合が70〜
    95重量%であり、前記熱硬化性樹脂組成物の割合が5
    〜30重量%である請求項1記載の配線基板。
  9. 【請求項9】 前記電気絶縁性基板が、ガラス繊維の織
    布、ガラス繊維の不織布、耐熱有機繊維の織布、および
    耐熱有機繊維の不織布からなる群から選択された少なく
    とも一つの補強材に、熱硬化性樹脂組成物を含浸させた
    ものからなる、請求項1記載の配線基板。
  10. 【請求項10】 前記電気絶縁性基板がセラミックから
    なる請求項1記載の配線基板。
  11. 【請求項11】 前記セラミックが、Al2O3,MgO,ZrO2,T
    iO2,SiO2,BeO,BN,CaO及びガラスからなる群から選択さ
    れた少なくとも一つの成分、または、Bi-Ca-Nb-Oを含む
    セラミックである請求項10に記載の配線基板。
  12. 【請求項12】 複数の配線基板を積層してなる多層配
    線基板であって、少なくとも一層に、請求項1〜11の
    いずれか一項に記載の配線基板を備えたことを特徴とす
    る多層配線基板。
  13. 【請求項13】 前記複数の配線基板の少なくとも一つ
    が、セラミックを含む電気絶縁性基板を有するセラミッ
    ク配線基板であり、前記セラミック配線基板の少なくと
    も一つが、その主面の少なくとも一方に、凸状に形成さ
    れた配線パターンを有し、前記凸状の配線パターンが形
    成された主面に積層された配線基板が、熱硬化性樹脂組
    成物を含む電気絶縁性基板を有するコンポジット配線基
    板であり、前記凸状の配線パターンが前記コンポジット
    配線基板の主面に埋設された請求項12に記載の多層配
    線基板。
  14. 【請求項14】 前記複数の配線基板の少なくとも二つ
    が、セラミックを含む電気絶縁性基板を有するセラミッ
    ク配線基板であり、前記セラミック配線基板の少なくと
    も一つは、他のセラミック配線基板とは異種のセラミッ
    ク材料を含み、互いに異なるセラミック材料を含むセラ
    ミック配線基板の間に、熱硬化性樹脂組成物を含む電気
    絶縁性基板を有する配線基板が配された請求項12に記
    載の多層配線基板。
  15. 【請求項15】 前記複数の配線基板の少なくとも最上
    層及び最下層が、熱硬化性樹脂組成物を含む電気絶縁性
    基板を有するコンポジット配線基板であり、内層に、セ
    ラミックを含む電気絶縁性基板を有するセラミック配線
    基板を備えた請求項12に記載の多層配線基板。
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