JP4706249B2 - 顕微鏡用コンデンサレンズ - Google Patents
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Description
さらに、このコンデンサレンズが光源像を対物レンズの瞳面に投影するときの収差(以下、「瞳の収差」という。)は、コンデンサレンズが視野絞り像を被観察面に投影するときの収差(以下、「視野の収差」という。)と共に、十分に抑えられていることが望ましい。なぜなら、透明な生体試料の観察には、微分干渉観察法や位相差観察法が適用されることが多く、そのときの観察像の形成に瞳面操作が伴うため、瞳面同士の共役関係が像に直接影響を与えるからである。
図3(a)には、高開口数かつ短作動距離の従来のコンデンサレンズの構成の一例を示した。図3において、符号Oで示すのが試料である。この構成のコンデンサレンズの仕様は、例えば、焦点距離f=17mm、開口数NA=0.8、作動距離OD=0.3f=5.1mmである。
そこで本発明の目的は、視野の収差と瞳の収差とをそれぞれ従来と同等に抑えつつ、高開口数(0.75以上)かつ比較的長い作動距離(0.4f以上)を確保することの可能な顕微鏡用コンデンサレンズを提供することにある。
なお、前記3枚の単体正レンズは、光源側から被観察物側へ向かって順に、両凸レンズと、光源側に凸面を向けた2枚の正メニスカスレンズとを配置してもよい。
また、全てのレンズのレンズ面が球面から構成されてもよい。
本実施形態は、コンデンサレンズの実施形態である。
図1は、本コンデンサレンズが搭載される顕微鏡の概念図である。
図1の符号16が本コンデンサレンズ(概念)である。被観察物は、透明な容器O”(シャーレなど)に収められた溶液O’(生理食塩水、培養液など)中の生体細胞などの試料Oである。
ここで、この顕微鏡には、透明な試料Oを観察するために微分干渉観察法が適用されている。すなわち、光源11から射出した照明光は、コリメータレンズ12、視野絞り13、検光子14A、DICプリズム14、開口絞り15、コンデンサレンズ16を介して試料Oを照明する。試料Oから射出した光は、対物レンズ17、DICプリズム19、検光子20、接眼レンズ21を介して観察眼22に入射する。
この顕微鏡には、対物レンズ17として、倍率10倍のファインダ用対物レンズ又は倍率4倍のファインダ用対物レンズと、倍率40〜60倍の液浸対物レンズとが装着される。
液浸対物レンズの開口数NAは、それぞれマニピュレーションが可能な範囲の値に設定される。ここでは、なるべく高い解像力を得るために、液浸対物レンズの開口数NAは、マニピュレーションが可能な範囲内の最大値とする。すなわち、液浸対物レンズの開口数NA=0.8とする。
以下、これらの対物レンズのうち、顕微鏡の光路に挿入中の対物レンズを、単に「対物レンズ17」という。
次に、本コンデンサレンズ16の仕様を説明する。
また、本コンデンサレンズ16の開口数NAは、対物レンズ17の開口数NAの最大値に対応した値に設定される。つまり、液浸対物レンズの開口数NA(=0.8)に対応した値(0.7以上)に設定される。
以下、コンデンサレンズ16の開口数NA、作動距離ODを、それぞれ「照明側の開口数NA」、「照明側の作動距離OD」という。
また、本コンデンサレンズ16の瞳の収差及び視野の収差は、それぞれ従来と同等に抑えられる。
コンデンサレンズ16を長作動距離化する方法の1つに、コンデンサレンズ16の焦点距離fを長くする方法があるが、本コンデンサレンズ16には長作動距離化だけでなく高開口数化の必要があるので、この方法だと瞳面の巨大化、ひいては照明光学系(図1符号11〜16)の巨大化を招く。当然ながら、DICプリズム14も巨大化するので、不都合である。そこで、本コンデンサレンズ16では、その焦点距離fを従来のコンデンサレンズのそれと同等(17mm)に抑えることを前提とする。
次に、本コンデンサレンズ16の構成を詳細に説明する。
図2に示すとおり、本コンデンサレンズ16は、光源側から試料Oの側へ向かって順に、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、保護ガラスCGを配置してなる。
第1レンズ群G1は、光源側に凹面を向けた接合負メニスカスレンズL1からなり、第2レンズ群G2は、3枚の単体正レンズL2,L3,L4からなり、保護ガラスCGは、平行平板からなる。保護ガラスCGは、本コンデンサレンズ16の先端部(試料Oの側)をシールしている。
次に、本コンデンサレンズ16の各要素の働きを説明する。
(保護ガラスCG)
保護ガラスCGには、本コンデンサレンズ16を保護する役割がある。
また、保護ガラスCGには、収差補正の役割もある。
接合負メニスカスレンズL1は、光源側からの入射光線を高い位置(光軸から離れた位置)にまで持ち上げて、作動距離を稼ぐ働きをする。
また、接合負メニスカスレンズL1には、コンデンサレンズ16の全体の色収差を補正する役割と、3枚の単体正レンズL2,L3,L4と共に、視野の収差の球面収差成分を補正する役割とがある。
単体正レンズL2,L3,L4には、照明側の開口数NAを高くするための光線(光軸と成す角度が大きい光線)に関係する収差を補正する働き、特に、視野の収差の球面収差成分を補正する働きがある。
ここで、視野の収差補正だけを考えたならば、単体正レンズL3,L4(何れも正メニスカスレンズ)のレンズ面の湾曲は大きい方が望ましいが、湾曲の増大は、上述したとおり、瞳の収差を悪化させ、照明側の作動距離ODの確保を困難にするという相反する効果をもたらす。
このため、曲率半径r4は、次式(1)を満たすことが望ましい。
次に、本コンデンサレンズ16の効果を説明する。
以上の構成によると、瞳の収差と視野の収差とを従来例と同程度に抑えながら、次式(2),(3)を満足するようなコンデンサレンズ16が実現する。
NA>0.75 ・・・(2)
OD>0.4f ・・・(3)
式(2)が満たされれば、マニピュレーションが可能な範囲内の最大の解像力で、観察を行うことができる。
さらに、以上の構成において、各レンズ面の曲率半径、各面の間隔、各部材の屈折率を最適化すると、瞳の収差と視野の収差とが従来例と同程度に抑えられ、かつ焦点距離f=17,照明側の開口数NA=0.8,照明側の作動距離OD=0.48f=8.2mmとなったコンデンサレンズ16が実現する。
12 コリメータレンズ
13 視野絞り
14,19 DICプリズム
14A 検光子
15 開口絞り
16 コンデンサレンズ
O 試料
O’ 溶液
O” 容器
17 対物レンズ
20 検光子
21 接眼レンズ
22 観察眼
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
CG 保護ガラス
L1 接合負メニスカスレンズ
L2 両凸レンズ
L3,L4 正メニスカスレンズ
Claims (5)
- 光源側から被観察物側へ向かって順に、
光源側に凹面を向けた接合負メニスカスレンズと、
3枚の単体正レンズと
を配置してなる顕微鏡用乾燥系コンデンサレンズであって、
最も被観察物側に配置された前記単体正レンズの光源側のレンズ面の曲率半径r4、前記顕微鏡用乾燥系コンデンサレンズ全体の焦点距離fは、
0.7f<r4<fの式を満たす
ことを特徴とする顕微鏡用乾燥系コンデンサレンズ。 - 請求項1に記載の顕微鏡用乾燥系コンデンサレンズにおいて、
前記3枚の単体正レンズは、
光源側から被観察物側へ向かって順に、両凸レンズと、光源側に凸面を向けた2枚の正メニスカスレンズとを配置してなる
ことを特徴とする顕微鏡用乾燥系コンデンサレンズ。 - 請求項1又は請求項2に記載の顕微鏡用乾燥系コンデンサレンズにおいて、
最も被観察物側に平行平板状の保護ガラスを配置した
ことを特徴とする顕微鏡用乾燥系コンデンサレンズ。 - 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の顕微鏡用乾燥系コンデンサレンズにおいて、
全てのレンズのレンズ面が球面からなる
ことを特徴とする顕微鏡用乾燥系コンデンサレンズ。 - 請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の顕微鏡用乾燥系コンデンサレンズにおいて、
開口数NA、作動距離OD、前記顕微鏡用乾燥系コンデンサレンズ全体の焦点距離fは、
NA>0.75,OD>0.4f
の式を満たすことを特徴とする顕微鏡用乾燥系コンデンサレンズ。
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