JP4705434B2 - 抗癌剤及び抗癌剤の製造方法 - Google Patents

抗癌剤及び抗癌剤の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、担子菌類としてのアガリクスを利用してプロポリスを変換してなる抗癌剤及び抗癌剤の製造方法に関する。
アガリクスのような担子菌類の菌糸体及びプロポリスには、いずれも抗癌作用及び抗菌作用があることが知られている。例えば特許文献1には、アガリクス及びプロポリス並びにアマゾン酵素の三者に共通する溶剤を用いて、それぞれのエキスを別々若しくは複合して抽出し、その一種類又は二種類若しくは三種類混合液化し、飲食料品に混入又は添加して保存貯蔵を可能とする方法によって製造された飲食料品が開示されている。
特開平10−215838号公報
本発明者らは、鋭意研究の結果、アガリクスのような担子菌類を利用して、プロポリスを変換することにより、プロポリス単独、担子菌類単独又はその両方でそれぞれ発揮される抗癌作用のような生理作用よりも飛躍的に高い生理作用を発揮させ得ることを見出した。そして、これらの知見に基づいて、本発明を完成するに至った。本発明の目的とするところは、抗癌作用のような生理作用を効果的に発揮することが可能な抗癌剤及び抗癌剤の製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の抗癌剤、担子菌類としてのアガリクスの菌糸体によりプロポリスを発酵処理してなることを要旨とする。
求項に記載の発明は、請求項1に記載の抗癌剤を製造する方法であって、前記担子菌類としてのアガリクスの菌糸体を前記プロポリスに接種し、該菌糸体により前記プロポリスを発酵処理する工程を備えることを要旨とする。
本発明によれば、抗癌作用のような生理作用を効果的に発揮することが可能な抗癌剤及び抗癌剤の製造方法を提供することができる。
以下、本発明のプロポリス変換物、その製造方法及び健康食品を具体化した一実施形態を説明する。
本実施形態のプロポリス変換物は、担子菌類を利用して、プロポリスを変換してなるものである。前記プロポリスを変換するとは、担子菌類の菌糸体又は該菌糸体によって生産される酵素等の生産物により、プロポリス中に含まれる少なくとも一種の化合物を、異なる構造を有する化合物に変換することを意味する。本実施形態のプロポリス変換物は、主として、プロポリス発酵物及びプロポリス酵素処理物の2種類に分類される。プロポリス発酵物は、担子菌類の菌糸体によりプロポリスを発酵処理することにより得られ、プロポリス酵素処理物は、担子菌類の菌糸体由来の酵素によりプロポリスを酵素処理することにより得られる。
これらのプロポリス変換物は、プロポリス単独、担子菌類単独又はその両方でそれぞれ発揮される抗癌作用よりも、飛躍的に高い抗癌作用を発揮することが可能である。なお、プロポリス変換物によって発揮される抗癌作用は、癌細胞及び癌化しつつある異常細胞のいずれに対しても有効である。このため、プロポリス変換物は、抗癌剤として利用可能であるとともに、癌の発生を予防する癌予防剤として利用することも可能である。即ち、本実施形態のプロポリス変換物は、健康食品のような飲食品、医薬品、医薬部外品等の用途に利用可能である。プロポリス変換物をこのような用途に利用する場合の投与経路は、経口及び非経口のいずれでもよい。経口投与の剤型としては、錠剤、カプセル剤、細粒剤、顆粒剤、散剤等が挙げられ、非経口投与の剤型としては、点眼剤、注射剤、点鼻剤等が挙げられる。これらの剤型は、汎用技術により製剤化される。
ちなみに、健康食品の場合、プロポリス変換物を0.01〜50質量%含有していることが好ましく、0.01〜25質量%含有していることがより好ましく、0.1〜10質量%含有していることがさらに好ましい。健康食品中に含有されるプロポリス変換物の含量が0.01質量%未満の場合、十分な抗癌作用を発揮させることができず、逆に50質量%を超える場合、不経済である。
次に、プロポリス変換物の製造方法について説明する。
本実施形態の製造方法で用いられる担子菌類としては、あらゆる種類のものが使用可能であるが、アガリクス(Agaricus blazei Murill)、冬虫夏草(Cordyceps militaris)、霊芝(Ganoderma lucidum)、カバノアナタケ(Fuscoporia oblique)等が好適に使用される。これらの担子菌類のうち、高い抗癌作用を有するプロポリス変換物を製造可能であることから、アガリクスを利用することが特に好ましい。菌糸体は、担子菌類の子実体から採取して利用しても良いし、寄託機関等から入手して利用しても良い。ちなみに、アガリクスの菌糸体は、高いラッカーゼ活性を有しており、該ラッカーゼ活性は、プロポリス中に含まれる少なくとも一種の化合物を、異なる構造を有する化合物に変換させやすくすると考えられる。
本実施形態の製造方法で用いられるプロポリスとしては、プロポリス原塊を公知の抽出方法によって抽出したプロポリス抽出物が好適に使用される。
プロポリス原塊は、ミツバチが樹木の特定部位、主として新芽や蕾及び樹皮から採取したガム質、樹液、植物色素系の物質及び香油等の集合体に、ミツバチ自身の分泌物や蜂ロウ等を混合して作製した暗緑色や褐色から暗褐色を呈した粘着性のある樹脂状の固形天然物質である。プロポリス抽出物を得るために用いられるプロポリス原塊としては、ブラジルを含む南アメリカ諸国、中国や日本等のアジア諸国、ヨーロッパ諸国、北アメリカ諸国、オセアニア諸国等のあらゆる産地のものが使用可能である。
プロポリス抽出物としては、プロポリスの水抽出物、アルコール抽出物、含水アルコール抽出物、有機溶媒抽出物、超臨界抽出物、ミセル化抽出物等が挙げられるが、高い抗癌作用を有する成分を容易かつ多量に抽出可能であることから、プロポリスのアルコール抽出物を使用することが特に好ましい。アルコール抽出物を調製するために用いられるアルコールは、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコールであることが好ましく、プロポリス変換物を経口投与する場合には、エタノールであることが特に好ましい。なお、プロポリスのアルコール抽出物中には、クロロゲン酸、p−クマル酸、カフェ酸、4,5−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸、ドルパニン、フラボノイド類、アルテピリンC、バッカリン等が含まれている。また、有機溶媒抽出物を調製するために用いられる有機溶媒としては、アセトンやヘキサン等の公知の有機溶媒が使用可能である。
次に、プロポリス発酵物の製造方法について説明する。
本実施形態のプロポリス発酵物の製造方法では、担子菌類の菌糸体をプロポリスに接種し、該菌糸体によりプロポリスを発酵処理する工程を備えている。なお、発酵処理する工程に先立って、担子菌類の菌糸体を前培養することにより、該担子菌類の菌糸体をあらかじめ活性化させておくことが好ましい。ちなみに、発酵処理する工程に先立って、担子菌類の胞子を前培養することにより、活性化された菌糸体を調製することも可能である。
発酵処理では、担子菌類の菌糸体の培養に適した培地、温度、振とう速度等の処理条件を適宜選択すればよい。発酵処理及び前培養では、担子菌類の菌糸体をより早く増殖させることが可能な培地を選択することが好ましい。このような培地には、通常、糖分、酵母エキス、ペプトン、塩類等が含有されている。また、培地には、プロポリス抽出物を調製する際に用いられたアルコールや有機溶媒等が、菌糸体の培養を阻害しない程度の低濃度で含有されていても構わない。
発酵処理を実施する時間、即ち発酵時間は、特に限定されないが、好ましくは0.5〜300時間、より好ましくは0.5〜150時間、さらに好ましくは3〜72時間である。発酵時間が0.5時間未満の場合、プロポリス発酵物の抗癌作用を十分に高めることができず、逆に発酵時間が300時間を越える場合、プロポリス発酵物の製造コストが上昇するために好ましくない。
発酵処理する工程を実施した後の発酵処理物は、そのままの状態でプロポリス発酵物として利用することが可能であるうえ、スプレードライや、凍結乾燥等の公知の乾燥処理を行うことにより、粉末状のプロポリス発酵物として利用することも可能である。なお、得られたプロポリス発酵物に対して、さらに公知の精製方法を実施することも可能であるうえ、汎用技術により様々な剤形の製剤に加工(製剤化)することも可能である。
次に、プロポリス酵素処理物の製造方法について説明する。
本実施形態のプロポリス酵素処理物の製造方法では、担子菌類の菌糸体由来の酵素をプロポリスに作用させ、該酵素によりプロポリスを酵素処理する工程を備えている。酵素処理では、担子菌類の菌糸体若しくは該菌糸体の培養上清から精製(粗精製も含む)された酵素、又は、担子菌類からクローニングされた酵素遺伝子を強制発現する形質転換体若しくは該形質転換体の培養上清から精製(粗精製も含む)された酵素を用いることが可能である。このような酵素としては、ラッカーゼのような酸化酵素が挙げられる。なお、菌糸体、形質転換体又はそれらの培養上清から酵素を精製する場合、透析や公知のカラム処理等が実施され、好ましくは酵素が濃縮されるような条件で透析やカラム処理等が実施される。また、酵素処理では、最も簡便には、担子菌類の菌糸体を培養した培養上清が用いられる。
担子菌類の菌糸体由来の酵素をプロポリスに作用させる場合、該酵素は、ラッカーゼ活性として200U/mL以上の酵素量となるようにプロポリスに添加されることが好ましい。ここで、前記ラッカーゼ活性は、基質としてのシリンガルダジン(syringaldazine)を含む反応溶液3mL(pH6.5、30℃)中で、530nmにおける吸光度を1分間に0.001増加させる酵素活性の量を1U(ユニット)とする。
酵素処理を実施する時間、即ち酵素処理時間は、特に限定されないが、好ましくは0.5〜300時間、より好ましくは0.5〜150時間、さらに好ましくは3〜72時間である。酵素処理時間が0.5時間未満の場合、プロポリス酵素処理物の抗癌作用を十分に高めることができず、逆に酵素処理時間が300時間を越える場合、プロポリス酵素処理物の製造コストが上昇するために好ましくない。
酵素処理する工程を実施した後の酵素処理物は、そのままの状態でプロポリス酵素処理物として利用することが可能であるうえ、スプレードライや、凍結乾燥等の公知の乾燥処理を行うことにより、粉末状のプロポリス酵素処理物として利用することも可能である。なお、得られたプロポリス酵素処理物に対して、さらに公知の精製方法を実施することも可能であるうえ、汎用技術により様々な剤形の製剤に加工(製剤化)することも可能である。
前記実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 本実施形態のプロポリス変換物は、担子菌類を利用して、プロポリスを生物学的に変換することにより得られる。このプロポリス変換物では、担子菌類の生物学的作用により、プロポリス中に含まれる少なくとも一種の化合物が異なる構造を有する化合物に変換されるため、その変換後の化合物に起因して、プロポリス単独、担子菌類単独又はその両方でそれぞれ発揮される生理作用よりも飛躍的に高い生理作用を発揮することが可能である。特に、担子菌類に由来するラッカーゼ様の酵素作用により高分子化された化合物が高い抗癌作用を発揮するものと考えられるが、このような高分子化された化合物が変換前のプロポリス及び担子菌類のいずれにもほとんど存在していないことは極めて重要である。
・ 本実施形態のプロポリス変換物は、担子菌類の菌糸体によりプロポリスを発酵処理すること、又は、担子菌類の菌糸体由来の酵素によりプロポリスを酵素処理することにより得られる。従って、プロポリス変換物の製造にかかる手間を容易に低減させることが可能であるため、プロポリス変換物を容易かつ安価に提供することが可能となる。
<プロポリスのエタノール抽出物(抽出液)の調製>
プロポリス原塊1.2kgに95%エタノール溶液4Lを加え、常温で12時間エタノール抽出した後、珪藻土ろ過後に脱ロウすることにより、プロポリスのエタノール抽出物を得た。このエタノール抽出物を濃縮後、乳化剤(キラヤニンS−100(丸善化成株式会社製、キラヤ抽出物25%含有))を10%添加し、プロポリス固形分20%程度のエタノール抽出液を作製した。
<プロポリス変換物の調製>
(実施例1)アガリクス菌糸体によるプロポリス発酵物の製造1
2.4g/Lの濃度のポテトデキストロースブロス(PDB)培地(Difco製)で培養したアガリクス菌糸体((有)ニューピアーズより子実体入手)を集菌し、乾燥させた。次に、乾燥菌糸体を1mLあたり0.0035gの濃度となるように、0.24g/Lの濃度のPDB培地に懸濁することにより、アガリクス培養液を調製した。続いて、ミニシェーカー(IWAKI製)を用いて、アガリクス培養液を25℃、100rpmで6日間振とうすることにより前培養した後、前記エタノール抽出液(プロポリス固形分20%程度)を固形分の終濃度が0.5%となるように添加し、40℃で3.5時間撹拌することにより、発酵処理を行った。発酵処理後のアガリクス培養液を凍結乾燥することにより、プロポリス発酵物とした。
(実施例2)アガリクス菌糸体によるプロポリス発酵物の製造2
ポテトデキストロースアガー(PDA)(Nissui製)よりなる寒天培地を用いて、アガリクス菌糸体を25℃、暗所で2〜3週間培養した。その後、寒天培地上で増殖したアガリクス菌糸体をかきとり、2.4g/Lの濃度のPDB培地50mLを入れたフラスコに添加し、5〜10日間静置することにより前培養した。次に、このフラスコ(乾燥菌糸体重量113mgに相当)内の培地をPYS培地(0.3%ポリペプトン、0.3%酵母エキス、1%ショ糖;いずれもナカライテスク製)5Lに添加し、ミニジャーファーメンター(高崎科学機器製)にて、通気0.5L/分、撹拌100rpmの培養条件で10〜15日間通気培養(前培養)した。通気培養後の菌糸体を集菌後、0.24g/Lの濃度のPDB培地に懸濁してアガリクス懸濁液を調製し、さらに該アガリクス懸濁液に前記エタノール抽出液(プロポリス固形分20%程度)を固形分の終濃度が0.5%となるように添加し、40℃で72時間撹拌することにより、発酵処理を行った。発酵処理後のアガリクス懸濁液を凍結乾燥することにより、プロポリス発酵物とした。
参考例3)冬虫夏草菌糸体によるプロポリス発酵物の製造
2.4g/Lの濃度のPDB培地で培養した冬虫夏草(Cordyceps militaris)菌糸体(IFO5298)を集菌し、乾燥させた。次に、乾燥菌糸体を1mLあたり0.0035gの濃度となるように、0.24g/Lの濃度のPDB培地に懸濁することにより、冬中夏草培養液を調製した。続いて、ミニシェーカー(IWAKI製)を用いて、冬中夏草培養液を25℃、100rpmで3日間振とうすることにより前培養した後、前記エタノール抽出液(プロポリス固形分20%程度)を固形分の終濃度が0.5%となるように添加し、40℃で72時間撹拌することにより、発酵処理を行った。発酵処理後の冬中夏草培養液を凍結乾燥することにより、プロポリス発酵物とした。
参考例4)霊芝菌糸体によるプロポリス発酵物の製造
2.4g/Lの濃度のPDB培地で培養した霊芝(Ganoderma lucidum)菌糸体(IFO8346)を集菌し、乾燥させた。次に、乾燥菌糸体を1mLあたり0.0035gの濃度となるように、0.24g/Lの濃度のPDB培地に懸濁することにより、霊芝培養液を調製した。続いて、ミニシェーカー(IWAKI製)を用いて、霊芝培養液を25℃、100rpmで3日間振とうすることにより前培養した後、前記エタノール抽出液(プロポリス固形分20%程度)を固形分の終濃度が0.5%となるように添加し、40℃で72時間撹拌することにより、発酵処理を行った。発酵処理後の霊芝培養液を凍結乾燥することにより、プロポリス発酵物とした。
参考例5)カバノアナタケ菌糸体によるプロポリス発酵物の製造
2.4g/Lの濃度のPDB培地で培養したカバノアナタケ(Fuscoporia oblique)菌糸体(IFO8681)を集菌し、乾燥させた。次に、乾燥菌糸体を1mLあたり0.0035gの濃度となるように、0.24g/Lの濃度のPDB培地に懸濁することにより、カバノアナタケ培養液を調製した。続いて、ミニシェーカー(IWAKI製)を用いて、カバノアナタケ培養液を25℃、100rpmで3日間振とうすることにより前培養した後、前記エタノール抽出液(プロポリス固形分20%程度)を固形分の終濃度が0.5%となるように添加し、40℃で72時間撹拌することにより、発酵処理を行った。発酵処理後の霊芝培養液を凍結乾燥することにより、プロポリス発酵物とした。
参考例6)アガリクス菌糸体培養上清によるプロポリス酵素処理物の製造
2.4g/Lの濃度のPDB培地で培養したアガリクス菌糸体の培養上清を回収した後、蒸留水に対して透析することにより、菌糸体外酵素溶液を得た。該菌糸体外酵素溶液に対して、前記エタノール抽出液(プロポリス固形分20%程度)を固形分の終濃度が0.5%となるように添加し、40℃で72時間反応させることにより、酵素処理を行った。酵素処理後の反応液を凍結乾燥することにより、プロポリス酵素処理物とした。なお、菌糸体外酵素溶液は、酵素活性の目安として、200U/mLのラッカーゼ活性を発揮する濃度となるように反応液中に加えられた。
<予備検討>疑似プロポリス変換物の成分変化
担子菌類の菌糸体は、ラッカーゼ等の酵素を菌体外に生産することが知られている。このため、プロポリス発酵物及びプロポリス酵素処理物ではいずれも、プロポリス中の成分にラッカーゼによる酸化反応が引き起されているものと考えられる。そこで、プロポリスのエタノール抽出物にラッカーゼ(SIGMA製)を200U/mLとなるように添加し、40℃で72時間反応させたときの分子量の変化を下記分析条件にて分析した。なお、ラッカーゼを添加していない試料(プロポリスのみ)についても同条件で分析した。分析結果の一部であるクロマトグラムチャートを図1(a)、(b)に示す。
分析条件(ゲルろ過)
カラム:TSKgel G3000SW(7.5mmID×30cm)
ガードカラム:TSK−GUARD COLMUN(7.5mmID×75mm)
溶媒:0.05Mリン酸緩衝液+0.3M塩化ナトリウム(pH7)
流速:1mL/分
温度:25℃
検出:220nm
図1(a)、(b)より、酵素無添加のもの(プロポリスのみ)と比較して、酵素を添加したもの(プロポリス+ラッカーゼ)では、分子量の大きな成分が多く検出されており、プロポリス中の成分が、ラッカーゼにより高分子化されていることが強く示唆される。
<本試験>プロポリス発酵物の成分変化
前記エタノール抽出液(プロポリス固形分20%程度)及び実施例1のプロポリス発酵物について、それぞれ前記<予備検討>と同様に分子量の変化を分析した。分析結果の一部であるクロマトグラムチャートを図2(a)、(b)に示す。その結果、図2(a)、(b)に示すように、<予備検討>の場合と全く同様の結果が得られた。即ち、発酵処理することによって、プロポリス中に含まれる化合物の一部が高分子化されていることが示された。ちなみに、<予備検討>において高分子化された化合物と、<本試験>において高分子化された化合物とは、クロマトグラムチャートにおける保持時間が同じであるため、同一の化合物であることが強く示唆される。この場合、ラッカーゼ処理されたプロポリスでも、プロポリス発酵物と同様の生理作用が発揮されるはずである。
<プロポリス発酵物の抗癌作用1>
ddY系マウスに継代されているSarcoma180細胞をマウス腹水より採取し、生理食塩水で目的の細胞濃度となるように調整した。次に、中部科学資材株式会社より購入したddY系雄性マウス(6週齢)の背部に、Sarcoma180細胞を1×10細胞/マウスの移植量となるように皮下移植した。Sarcoma180細胞を移植したマウスを第一群から第三群(各群10匹ずつ)に分けた。第一群には、生理食塩水を10mL/kgの投与量で28日間連続腹腔内投与した。第二群には、実施例1のプロポリス発酵物を生理食塩水に懸濁したものを10mg/kg/10mLの投与量で、28日間連続腹腔内投与した。第三群には、抗癌剤としてのカルボクリン(日本ケミファ(株)製)を10mg/kg/10mLの投与量で、28日間連続腹腔内投与した。移植後28日目に各群のマウスから腫瘍を摘出し、その重量をそれぞれ測定した。結果を表1に示す。
Figure 0004705434
その結果、プロポリス発酵物を投与した第二群では、第一群と比較して、腫瘍重量が有意に低下した(p<0.01)。プロポリス発酵物の抗癌作用は、抗癌剤カルボクリンよりも若干劣るが、十分に高い抗癌作用を有していることが示された。
<プロポリス発酵物の抗癌作用2>
<プロポリス発酵物の抗癌作用1>と同様の方法にてプロポリス発酵物の抗癌作用について検討した。なお、ここでは、生理食塩水及び実施例1のプロポリス発酵物を腹腔内投与したものに加えて、実施例1で集菌したアガリクス菌糸体の乾燥菌糸体を生理食塩水に懸濁したもの、プロポリスのエタノール抽出物を生理食塩水に懸濁したもの、並びに、前記乾燥菌糸体及びエタノール抽出物の混合物についても同様に腹腔内投与した。各サンプルの投与量及び各群のマウスから摘出された腫瘍重量をそれぞれ表2に示す。
Figure 0004705434
その結果、アガリクス菌糸体投与群及びプロポリス発酵物投与群では、生理食塩水投与群と比較して、それぞれp<0.05及びp<0.01で有意に腫瘍重量が低下した。また、エタノール抽出物投与群及び混合物投与群では、生理食塩水投与群と比較して、いずれも腫瘍重量が低下する傾向が認められた(p<0.1)。これらの結果より、プロポリス発酵物は、エタノール抽出物、アガリクス菌糸体、及び両者の混合物よりも飛躍的に高い抗癌作用を有していることが確認された。
<プロポリス変換物の抗癌作用>
ddY系マウスに継代されているEhrlich細胞をマウスの腹水より採取し、滅菌生理食塩水で目的の細胞濃度となるように調整した。次に、表3に示す各サンプル(いずれも蒸留水に懸濁)をddY系雄性マウス(6週齢、体重30g前後)に対し、1日1回の割合で7日間、同表に示す投与量で経口投与した。7日間の経口投与後、6×10のEhrlich細胞を各マウスの腹腔内に移植した。その後、引き続き、表3に示す各サンプルを同じ投与量で6日間経口投与した。各サンプルを経口投与してから15日目に、各マウスの腹水を採取した。採取後の腹水について、全容積(TV;total volume)を測定した後、3000rpmで5分間遠心分離して腫瘍細胞を分離し、その分離された腫瘍細胞容積(PCV;packed cell volume)を測定した。また、TVよりPCVを差し引くことにより、腹水容積(EV;exudate volume)を求めた。これらの結果を表3に示す。なお、表3に示す5−FUは、抗癌剤5−フルオロウラシル(ナカライテスク製)を表す。
Figure 0004705434
その結果、エタノール抽出物投与群、実施例1,2のプロポリス発酵物投与群及び5−FU投与群では、いずれも蒸留水投与群と比較して、PCVが有意に低下した。よって、これらのサンプルは、経口投与によって、高い抗癌作用を発揮することが示された。さらに、これらのサンプルを投与した群では、いずれもEV及びTVに関しても同様の傾向が見られた。特に、発酵処理を72時間行った実施例2では、発酵処理を3.5時間しか行っていない実施例1と比べて、PCVが著しく低下している。従って、発酵処理を長時間実施することにより、プロポリス発酵物の抗癌作用が顕著に高められることが明確に示された。なお、アガリクス菌糸体及びエタノール抽出物の混合物を投与した群では、抗癌作用が認められなかった点も重要である。一方、参考例6のプロポリス酵素処理物投与群にも、PCV、EV及びTVの減少傾向が認められた。
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ プロポリス原塊に担子菌類の菌糸体を直接接種することにより、発酵処理を実施することも可能である
・ プロポリスに対して、発酵処理及び酵素処理の両方を実施することにより、プロポリス変換物を得ることも可能である。なおこの場合、発酵処理及び酵素処理を実施するタイミングは、同時であっても異なっていてもいずれでもよい。
・ プロポリス変換物は、抗癌作用以外の生理作用も発揮し得るため、抗癌剤及び癌予防剤以外の効能・効果を有する健康食品や医薬品に利用することが可能である。
用した技術として、プロポリスにラッカーゼを作用させることにより、ラッカーゼ処理プロポリスを提供することができる。このラッカーゼ処理プロポリスは、上記実施形態のプロポリス変換物と同様に、抗癌作用のような生理作用を効果的に発揮することが可能である。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
記プロポリスはプロポリス抽出物である前記抗癌剤
(a)、(b)は参考例の疑似プロポリス変換物の成分変化の結果を示すクロマトグラムチャート。 (a)、(b)は実施例のプロポリス発酵物の成分変化の結果を示すクロマトグラムチャート。

Claims (2)

  1. 担子菌類としてのアガリクスの菌糸体によりプロポリスを発酵処理してなることを特徴とする抗癌剤。
  2. 請求項1に記載の抗癌剤を製造する方法であって、
    前記担子菌類としてのアガリクスの菌糸体を前記プロポリスに接種し、該菌糸体により前記プロポリスを発酵処理する工程を備えることを特徴とする抗癌剤の製造方法。
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