JP2012060974A - キノコの人工栽培方法、及びガノデリン酸類の製造方法 - Google Patents

キノコの人工栽培方法、及びガノデリン酸類の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】培養基(菌床)の主原料として、コーヒー抽出滓を使用するキノコの人工栽培方法、及びマンネンタケ培養後の培養基から分離・濃縮するガノデリン酸類の製造方法の提供。
【解決手段】培養基主原料としてコーヒー抽出滓を用い、栄養素として米糠を添加し、培養基を、121℃、90分相当の高温加熱殺菌処理し、マンネンタケを40日以上培養し子実体を収穫する人工栽培方法及び子実体を収穫した後の培養基からガノデリン酸類を分離又は濃縮する製造方法。
【選択図】図1

Description

本願発明は、培養基(菌床)の主原料として、コーヒーの抽出滓を使用するキノコの栽培方法を提供するものである。
キノコとしては、その種類は特に限定されないが、主として、マンネンタケ(Ganoderma lucidum)、シイタケ(Lentinula edodes)、ヒラタケ(Pleurotus ostreatus)、ブナシメジ(Hypsizigus marmoreus )、エリンギ(Pleurotus eryngii)、サナギタケ(Cordycepsmilitaris)を対象とする。
又、本願発明は、特にマンネンタケ(Ganoderma lucidum)培養後の培養基から分離・濃縮するガノデリン酸類の製造方法も提供する。
本願発明に係るキノコの栽培方法は、キノコ全般に適用することが可能である。
従来きのこの栽培用の培地として一般にはオガクズ培地が用いられている。最近では、オガクズの供給が逼迫していることと森林保護の観点から、オガクズの代替原料が探索されている。
一方、産業廃棄物として大量のコーヒー抽出滓が処理されている。食素材を使って栽培するのは、安全・安心の両面から好ましい。そこで、いくつかのコーヒー抽出滓のきのこ用培地への応用が試みられている。しかしながら、コーヒー抽出滓の場合、キノコ生育阻害成分を含むため、オガクズ全量置換が困難であるとともに、複雑な前工程が必要となり、実用化にはまだ程遠い状態である。
例えば、特開平9−103193では、コーヒー絞り滓の発酵を提案しているが、処理が煩雑で時間かがかかる。
また、特開平10−98939ではきのこの栄養源を必須成分として提案しているがコーヒー抽出滓100%を培地化するには至っていない。
更に、特開2000−60297では、コーヒー滓をオガクズの50%以上代替するには、柿渋との併用を提案しているが、ブレンド処理等手間がかかる。
特開2004−33005では、コーヒー滓のきのこ生育阻害作用に着目しているが、阻害成分までは見極められていないとともに利用する場合、コーヒー滓の洗浄工程が必要となり非経済的である。
特開2005−58083においても、きのこの栄養成分が必須であり、無菌化での混合摂取という複雑な工程よりなる。
発明者らは、鋭意検討の結果、コーヒー滓中のカフェインとクロロゲン酸の含有量を制御することでオガクズ100%代替可能であることを見出した。必要に応じて適宜、米糠等の栄養成分を添加しても差し支えない。コーヒー滓は80℃以上で水溶性成分を抽出した後のものが好ましい。更に好ましくは、90℃以上が良い。低温であると、カフェインないしはクロロゲン酸がコーヒー滓中に残り菌の生育が遅くなる。カフェインないしはクロロゲン酸はコーヒー滓固形分100g当たり150mg以下が好ましい。
次に、マンネンタケについて記載する。
マンネンタケ(Ganoderma lucidum)はマンネンタケ科の一年生のキノコで、形態は系
統により様々に変化する。肉質はコルク質様で表面はニスがかけられた様な光沢がある。
霊芝は一般的にマンネンタケ科の万年茸(マンネンタケ)を指し、他に門出茸、仙革、吉祥茸、赤芝、紫芝、黒芝、青芝、白芝、黄芝などの呼称で呼ばれている。成長し乾燥させたものを霊芝として用いるが、子実体は木質で硬質系キノコとも呼ばれている。
中国の後漠の時代(25−220)にまとめられた『神農本草経』では上品に分類され、無毒で長期間の飲用により、命を養う延命の霊薬として記載されて以来、中国ではさまざまな目的で薬用に用いられてきた。
子実体を適当な大きさに切り、熱水で煎じて抽出液を服用する。日本でも民間で同様に用いられてきた経緯があり、子実体は薬理作用を有するとされる様々な多糖類(β−グルカンなど)、テルペノイド、ガノデリン酸類を含むことが知られている。ガノデリン酸類にはガノデリンA、B、C、D1、メチルガノデリン酸D2、E、F、G等が含まれる。
マンネンタケの人工栽培方法に関しては、従来、原木(菌床)として広葉樹(クヌギ、
ナラガシ)を使用するもの(特許文献1)、リンゴの剪定枝を使用するもの(特許文献2)、
梅木を使用するもの(特許文献3)等が公知である。
しかしながら、菌床としてコーヒーの抽出滓を使用したマンネンタケの人工栽培方法は知られていない。
なお、マンネンタケ以外のキノコについても以下に記載するように、マンネンタケと同様に、良好な人工栽培が可能である。
特開2008−154463 特開2009−19007 特開2009−201438 特開平9−103193 特開平10−98939 特開2000−60297 特開2004−33005 特開2005−58083
コーヒーの抽出滓は、焙煎したコーヒー豆を粉砕し、熱水又は水を加えてコーヒーを抽出した後の残渣を言うが、近年パック入りコーヒー飲料(缶コーヒー、ペットボットル入りコーヒー、紙容器入りコーヒー等)の生産量の増加に伴い、莫大な量が発生し、産業廃棄物として環境に多大の負荷をかけている。
そこで、発明者は、培養基(菌床)の主原料として、コーヒーの抽出滓を使用するキノコの人工栽培方法、及びマンネンタケ培養後の培養基から濃縮又は分離するガノデリン酸類の製造方法を鋭意研究して本願発明を完成した。ガノデリン酸類の抽出・分離は通常の方法で良い。
本願発明は、以上の状況を踏まえて、コーヒーの抽出滓の有効利用を図るものである。
従って、本願発明は、下記の請求項1〜請求項14により構成されている。
<請求項1> 培養基として、コーヒーの抽出滓を用いることを特徴とするキノコの栽培方法。
<請求項2> キノコがマンネンタケである請求項1に記載するマンネンタケの栽培方法。
<請求項3> コーヒーの抽出滓として、コーヒー粉末を80℃以上で水抽出した残りのコーヒー抽出滓を培養基として使用する請求項2に記載するマンネンタケの栽培方法。
<請求項4> 培養基に米糠を添加する請求項2、又は請求項3に記載するマンネンタケの栽培方法。
<請求項5> 請求項2〜請求項4の培養基を、121℃、90分相当の高温加熱殺菌処理して使用するマンネンタケの栽培方法。
<請求項6> 請求項2〜請求項5に記載するマンネンタケの栽培方法によりマンネンタケを栽培し、子実体を収穫した後の培養基から分離又は濃縮することを特徴とするガノデリン酸類の製造方法。
<請求項7> マンネンタケの培養期間が、40日以上である請求項6に記載するガノデリン酸類の製造方法。
<請求項8>培養基として、低含量カフェイン又は/及びクロロゲン酸のコーヒー抽出滓を用いる請求項1に記載するキノコの栽培方法。
<請求項9>培養基として、低含量カフェイン又は/及びクロロゲン酸のコーヒー抽出滓を用いる請求項2〜請求項5に記載するマンネンタケの栽培方法。
<請求項10> 請求項2〜請求項5、請求項9に記載するマンネンタケをシイタケに代えるシイタケの栽培方法。
<請求項11>請求項2〜請求項5、請求項9に記載するマンネンタケをヒラタケに代えるヒラタケの栽培方法。
<請求項12>請求項2〜請求項5、請求項9に記載するマンネンタケをブナシメジに代えるブナシメジの栽培方法。
<請求項13>請求項2〜請求項5、請求項9に記載するマンネンタケをエリンギに代えるエリンギの栽培方法。
<請求項14>請求項2〜請求項5、請求項9に記載するマンネンタケをサナギタケに代えるサナギタケの栽培方法。
本願発明を以上のように構成する理由は、下記のとおりである。
(1)コーヒー滓は、キノコの人工栽培に汎用されるコナラ、アカマツ等に比較して、概ね(後述する試験区のほとんど全てにおいて)キノコの生育により適している。
(2)また、本願のコーヒー滓を主原料として使用する培養基を、121℃、90分相当の高温加熱殺菌処理して使用するのは、キノコの菌糸の生育(培養)期間は、長期間にわたるため、培養基中の耐熱性芽胞菌(主として Bacillus属)を完全に死滅させてキノコの菌糸を純粋培養する必要があるためである。
(3) 更に、種々の薬理作用(抗HIVウイルス作用、血圧降下作用、腫瘍細胞毒性作用、抗アレルギー作用、コレステロール低下作用、肝障害改善作用)が知られているガノデリン酸類は、本願発明に係るコーヒー滓を主成分とする培養基で培養して得られるマンネンタケの子実体はもちろんのこと、培養後の培養基にも含まれることが判明したからである。
本発明によれば、産業廃棄物であるコーヒーの抽出滓を利用して、効率よくマンネンタケ、シイタケ、ヒラタケ、ブナシメジ、エリンギ、サナギタケ等の食用キノコの子実体を栽培できると共に、特にマンネンタケにおいては、子実体を収穫した後の培養基からも、種々の有益な薬理作用を有するガノデリン酸類を製造できるという効果を有する。
マンネンタケ(左列2個)とシイタケ(右列2個)を培養した結果を示す図である。両者共、上のシャーレが栄養素なし、下のシャーレが栄養素10%を含む。 サナギタケ(左列2個)とブナシメジ(右列2個)を培養した結果を示す図である。両者共、上のシャーレが栄養素なし、下のシャーレが栄養素10%を含む。 ヒラタケ(左列2個)とエリンギ(右列2個)を培養した結果を示す図である。両者共、上のシャーレが栄養素なし、下のシャーレが栄養素10%を含む。 コーヒー滓にマンネンタケGLA−07株、及びマンネンタケGLW−03株を培養した結果を示す図である(左から栄養素無、栄養素1%、栄養素10%を表示する)。 コーヒー豆にマンネンタケGLA−07株、及びマンネンタケGLW−03株を培養した結果を示す図である(左から栄養素無、栄養素1%、栄養素10%を表示する)。 広葉樹(コナラ)にマンネンタケGLA−07株、及びマンネンタケGLW−03株を培養した結果を示す図である(左から栄養素無、栄養素1%、栄養素10%を表示する)。 針葉樹(アカマツ)にマンネンタケGLA−07株、及びマンネンタケGLW03株を培養した結果を示す図である(左から栄養素無、栄養素1%を表示する)。 コーヒー滓にシイタケ、及びヒラタケを培養した結果を示す図である(左から栄養素無、栄養素1%、栄養素10%を表示する)。 コーヒー豆にシイタケ、及びヒラタケを培養した結果を示す図である(左から栄養素無、栄養素1%、栄養素10%を表示する)。 広葉樹(コナラ)にシイタケ、及びヒラタケを培養した結果を示す図である(左から栄養素無、栄養素1%、栄養素10%を表示する)。 針葉樹(アカマツ)にシイタケ、及びヒラタケを培養した結果を示す図である(左から栄養素無、栄養素1%を表示する)。 図4〜図7の結果を数値化した結果を示す図である。 図8〜図11の結果を数値化した結果を示す図である。 実施例3により得られたマンネンタケ、及びヒラタケの子実体を示す図である。 マンネンタケ子実体のガノデリン酸Aのクロマトグラムを示す図である。 マンネンタケ栽培用培地Sタイプのガノデリン酸Aのクロマトグラムを示す図である。 マンネンタケ栽培用培地Lタイプのガノデリン酸Aのクロマトグラムを示す図である。

以下、下記に記載する実施例1〜4により詳細に説明する。なお、本願発明において、キノコの発生試験は、株式会社ハイファ研究所保有の下記の菌株を使用した。
マンネンタケ(Ganoderma lucidum 2系統):GL W-03株、GL A-07株
シイタケ(Lentinula edodes 1系統):LE N-56株
ヒラタケ(Pleurotus ostreatus 1系統):PO NA-01株
ブナシメジ(Hypsizigus marmoreus 1系統):HM NA-02株
エリンギ(Pleurotus eryngii 1系統):PE NA-15株
サナギタケ(Cordyceps militaris 1系統)CM NK-08株
(1)コーヒー滓および栄養成分添加によるマンネンタケの生育試験
<試験方法>
マンネンタケ(Ganoderma lucidum)は、株式会社ハイファ研究所保有の2系統「GL W-03株」、及び「 GL A-07株」を使用した。
コーヒー滓を主原料として、栄養素無添加区、また栄養素として米ヌカ: 10%添加区の2種類の試験区を設け試験した。
栄養素無添加区はコーヒー滓に適量の蒸留水を加え含水率65%前後に調製した培地をシャーレに充填した。
栄養素として米ヌカ:10%添加区はコーヒー滓に米ヌカを 10%添加し、十分に混合した後、適量の蒸留水を加え含水率65%前後に調製した培地をシャーレに充填した。
調製した培地は121℃で90分間殺菌を行い、放冷後に前培養中のマンネンタケの種菌をコルクボーラーで抜き取りシャーレ中心部の培地上に接種した。接種した各試験区の培地は23℃のインキュベーター内において培養を行った。
定期的に菌糸生育状況を確認し、マンネンタケ種菌に対するコーヒー滓の有効性を評価した。
<培養結果>
栄養素無添加区に比べ、明らかに栄養素10%添加区において生育が良好であった(図1左列参照)。
前記マンネンタケと同様に、シイタケ(図1右列参照)、サナギタケ(図2左列参照)、ブナシメジ(図2右列参照)、ヒラタケ(図3左列参照)、エリンギ(図3右列参照)についても同様に試験し、同じ結果が得られた。
(2)マンネンタケのコーヒー由来産物(コーヒー滓、コーヒー豆)および木材由来培地(広葉樹、針葉樹)との生育比較試験
<試験方法>
コーヒー由来産物として、コーヒー滓、コーヒー豆を用いた。
また、木材由来培地として、広葉樹:コナラ、針葉樹:アカマツを用いた。
これらの培地主成分の成分分析の結果を表1に示す。尚、表中のたんぱく以降の成分値は固形分あたりに換算している。
各培地基材に栄養素として米ヌカ0%(無添加区)、1%(栄養素1%区)、10%(栄養素10%区)になるように任意に添加混合し、蒸留水を加え含水率65%前後に調製した培地をシャーレに充填した。調製した培地は121℃で90分間殺菌を行った。
放冷後に前培養中のマンネンタケの種菌をコルクボーラーで抜き取りシャーレ中心部の培地上に接種した。接種した各試験区の培地は23℃において培養を行った。
培養10日目の菌糸生育の測定および菌相の状態を5段階評価した。
結果を図4〜図7、図12、及び表2に示す。
図4〜図7、図12、及び表2の結果から、下記の事実が明らかとなった。
<培養結果>
(イ)コーヒー豆試験区
発菌は確認されなかった。コーヒー豆には、菌糸に対する阻害成分の存在が示唆された。
(ロ)コーヒー滓試験区
マンネンタケ(2菌株)は、栄養素無添加区においても生育が認められ、栄養素の添加
により良好な生育が認められた。
しかしながら、菌相を比較した場合、栄養素.10%区が最も良好であった(本試験結果を踏まえて、子実体発生試験は栄養素10%区で行うこととした)。
マンネンタケの2菌株を比較するとGL A-07株に比べGL W-03株において若干ではあるが生育が良好であった。
(ハ)表1のコーヒー滓、およびコーヒー豆の成分分析から以下の傾向が考えられた。
コーヒー滓では、生育良好であった。
コーヒー豆にはカフェイン及びクロロゲン酸がそれぞれ1.45%、0.97%含まれており、コーヒー滓に比べて顕著に多く、全ての菌種、試験区において発菌が観察されなかった。
一方、コーヒー固形分当たりでは、その他の一般栄養成分すなわち、たんぱく、脂質、炭水化物には大きな差が見られなかったことから、カフェイン及びクロロゲン酸がきのこの生育を阻害していると考えられた。
(ニ)コナラ試験区
マンネンタケ(2菌株)は、栄養素無添加区においても生育が認められ、栄養素の添加により良好な生育が認められた。
しかしながら、コナラ試験区はコーヒー滓試験区に比べ、菌糸成長は低い結果であった。
(ホ)アカマツ試験区(本試験は無添加区と1%区のみ)
マンネンタケ(2菌株)は、低い菌糸成長を示し、菌相も薄い結果であった。
通常、キノコ栽培においてアカマツは利用されていないが、本試験結果においてもキノコ栽培用の樹種として不適であることが示唆される結果であった。
前記マンネンタケと同一の試験をシイタケ(Lentinula edodes)及びヒラタケ(Pleurotus ostreatus)について実施したところ、マンネンタケとほぼ同一の結果が得られた。
結果を図8〜図11、図13、及び表3に示す。
<子実体発生の確認試験>
コーヒー滓へ栄養素として米ヌカを10%添加し十分に混合し、蒸留水を加え含水率65%前後に調製した培地を菌床用P.P.袋(1.5kg容)もしくは650cc瓶に、それぞれ菌床用P.P.袋には約.500g、650cc瓶には550gの培地を充填した。調製した培地は121℃で90分間殺菌を行った。放冷後に前培養中のマンネンタケの種菌をコルクボーラー(直径10mm×6ケ)で抜き取り培地上部に接種した。接種した各試験区の培地は23℃において培養を行った。
培養期間は30日間とし、その後、発生試験を行った。発生操作として、マンネンタケは温度 20〜23℃、湿度 90〜99%の条件下で行った。
最終的には、発生の有無の確認、写真撮影、また重量を測定した(図14図の上図参照)。
図14図の上図に示すように、発生時のマンネンタケ子実体は、鹿角霊芝の形態を有することが確認できた。
マンネンタケ子実体の生重量は 21g、乾燥重量は7.5gであった。
培養前の培地ではコーヒー様の香りを呈していたが、培養終了時および発生終了後ではコーヒー様の香りは消失していた。
前記マンネンタケと同様に、ヒラタケの子実体を培養した(図14の下図参照)。
ヒラタケの生重量は、55gであった。
コーヒー滓(米ヌカ 10%添加)およびコーヒー滓(米ヌカ 10%添加)へのマンネンタケ菌の接種による各培養基材のガノデリン酸類の中でも代表的なガノデリン酸 Aの含有を調査するために下記のようにマンネンタケを栽培し、分析用サンプルとした。
コーヒー滓へ栄養素として米ヌカを10%添加し十分に混合し、蒸留水を加え含水率65%前後に調製した培地を菌床用P.P.袋(1.5kg容)に約500gの培地を充填した。調製した培地は121℃で90分間殺菌を行った。放冷後に、コントロールとして殺菌後のコーヒー滓(米ヌカ10%添加)は −20℃にて凍結保管した。さらに、別の殺菌済みコーヒー滓(米ヌカ10%添加)培地には、前培養中のキノコ種菌(マンネンタケ)をコルクボーラー(直径 10mm×6ケ)で抜き取り培地上部に接種した。接種した各試験区の培地は23℃において培養を行った。
培養期間は 30日間とし、その後、発生試験を行った。発生管理は温度20〜23℃、湿度90〜99%で行った。
ガノデリン酸A測定用サンプルの調製として、マンネンタケ子実体、未成熟な培養培地(短期培養(20日間培養):S-タイプ)、熟成培養培地(長期培養(40日間培養):L−タイプ)、またコントロールとして冷凍保管中のコーヒー滓(米ヌカ10%添加)の計4種類を粉砕し、凍結状態にて日本食品分析センターで分析を行った。
ガノデリン酸Aの分析方法
高速液体クロマトグラフ法および高速液体クロマトグラフ質量分析法を用いて行った。
高速液体クロマトグラフ法の操作条件は、カラム:Inertsil ODS-2, φ4.6mm×25cm, 5μm、移動相:水, アセトニトリル, メタノールおよび酢酸の混液、測定波長: 254nm、流量:1.0ml/min、カラム温度:40℃で行った。
高速液体クロマトグラフ質量分析法の操作条件は、カラム:Inertsil ODS-2, φ4.6mm×5cm, 5μm、移動相:水, アセトニトリルおよび酢酸の混液、流量:1.0ml/min、カラム温度:40℃、イオン化法:エレクトロスプレー(負イオン検出モード)、設定イオン数: m/z 515.2で行った。
コーヒー滓培地で発生したマンネンタケ(霊芝)子実体はガノデリン酸Aが26mg/100g存在することが確認された(図15参照)。
コントロールとしてコーヒー滓培地(マンネンタケ菌種を接種する前のもの)では、ガノデリン酸Aは存在しなかった(図16参照)。
培養培地S−タイプ(短期培養)では明確なピークは観察されなかった(図16参照)。
しかしながら、培養培地-Lタイプ(長期培養)では明確にガノデリン酸Aのピークが観察され、含有量としては0.3mg/100ml であった(図17参照)。
以上の結果から、培養前のコーヒー滓培地中にはガノデリン酸Aは存在せず、マンネン
タケ菌を培養することで、短期間培養ではガノデリン酸Aは産生されないが、長期間培養することでコーヒー滓培地中にガノデリン酸Aが産生することが示唆された(図16参照)。
特に、コーヒー滓培地で培養されたマンネンタケの子実体中にはガノデリン酸Aが効率的に産生される結果であった。
本実施例から、各種機能性が注目されているガノデリン酸類の中でも代表的なガノデリン酸Aをコーヒー滓由来培地から産生する方法を開発できた。
本発明によれば、産業廃棄物であるコーヒーの抽出滓より、効率よくマンネンタケの子実体が生産できると共に、子実体を収穫した後の培養基からも、種々の有益な薬理作用を有するガノデリン酸類を製造できる。
したがって、産業上の十分な利用可能性がある。

Claims (14)

  1. 培養基として、コーヒーの抽出滓を用いることを特徴とするキノコの栽培方法。
  2. キノコがマンネンタケである請求項1記載するマンネンタケの栽培方法。
  3. コーヒーの抽出滓として、コーヒー粉末を80℃以上で水抽出した残りのコーヒー抽出滓を培養基として使用する請求項2に記載するマンネンタケの栽培方法。
  4. 培養基に米糠を添加する請求項2、又は請求項3に記載するマンネンタケの栽培方法。
  5. 請求項2〜請求項4の培養基を、121℃、90分相当の高温加熱殺菌処理して使用するマンネンタケの栽培方法。
  6. 請求項2〜請求項5に記載のマンネンタケの栽培方法によりマンネンタケを栽培し、子実体を収穫した後の培養基から分離又は濃縮することを特徴とするガノデリン酸類の製造方法。
  7. マンネンタケの培養期間が、40日以上である請求項6に記載するガノデリン酸類の製造方法。
  8. 培養基として、低含量カフェイン又は/及びクロロゲン酸のコーヒー抽出滓を用いる請求項1に記載するキノコの栽培方法。
  9. 培養基として、低含量カフェイン又は/及びクロロゲン酸のコーヒー抽出滓を用いる請求項2〜請求項5に記載するマンネンタケの栽培方法。
  10. 請求項2〜請求項5、請求項9に記載するマンネンタケをシイタケに代えるシイタケの栽培方法。
  11. 請求項2〜請求項5、請求項9に記載するマンネンタケをヒラタケに代えるヒラタケの栽培方法。
  12. 請求項2〜請求項5、請求項9に記載するマンネンタケをブナシメジに代えるブナシメジの栽培方法。
  13. 請求項2〜請求項5、請求項9に記載するマンネンタケをエリンギに代えるエリンギの栽培方法。
  14. 請求項2〜請求項5、請求項9に記載するマンネンタケをサナギタケに代えるサナギタケの栽培方法。
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