JP4704645B2 - プラズマ処理システムおよびその方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の背景】
本発明は、ICの製造に使用される半導体基板またはフラットパネルディスプレイに使用されるパネル(例えばガラスやプラスチック等など)などの基板を処理するための装置および方法に関する。本発明は、特に、基板の表面全体を高い均一性で処理することができる改良プラズマ処理システムに関する。
【0002】
プラズマ処理システムが出回るようになってしばらくたつ。誘導結合プラズマソース、電子サイクロトロン共鳴(ECR)ソース、キャパシティソース(capacitive sources)等などを利用したプラズマ処理システムは、長年に渡って、半導体基板および表示パネルを処理する目的で、様々な度合いで導入され利用されてきた。
【0003】
代表的なプラズマ処理の適用例では、先ず、チャンバの中に処理用のソースガス(エッチャントガスまたはデポジションソースガス)を導入する。次いで、エネルギを供給し、処理用のソースガスからプラズマを発生させる。発生されたプラズマは、例えば静電結合、誘導結合、マイクロ波を通した結合等の様々な周知の形でプラズマに結合し得る追加のエネルギによって維持される。そして、例えば基板を選択的にエッチングする、あるいは基板上に薄膜を選択的に堆積させるなどの処理において、プラズマを利用する。プラズマ処理システムは、当該分野において一般に周知であり、参考文献には、様々な市販のシステムに関する詳細が記載されている。このため、簡潔を期するために、本明細書では、プラズマ処理の一般原則に関する詳細な説明を省くものとする。
【0004】
基板を処理するにあたってプロセスエンジニアらが改善しようと務めている重要なパラメータの1つに、処理の均一性がある。例えばエッチングの環境下では、エッチングの均一性が、歩留まりに対して重要な決定力を有する。すなわち、エッチングの均一性が高いと、欠陥のない処理済み基板を得られる確率が増し、メーカにおけるコスト削減に繋がる。ここで言うエッチング均一性とは、基板の表面に対して実施されるエッチング処理全体の均一性を指しており、エッチング速度、マイクロローディング、マスクの選択性、下層の選択性、微小寸法の制御、および側壁の角度や粗度等のプロフィル特性が含まれる。例えば、エッチング均一性が高い場合は、基板のエッチング速度がどの地点においても実質的に等しいと考えられる。この場合は、基板の1領域が過度にオーバエッチングされる一方で他の領域のエッチングが不十分になるような事態を生じにくい。ところが、このような厳格な必要条件は、基板処理の段階ごとに異なる場合が多い。これは、必要条件が大幅に異なるプラズマ処理によって処理しなければならない、何層もの薄膜が存在するためである。例えば、所望の処理特性を達成するためには、1枚の基板を処理するあいだに、ガス圧力、プラズマ密度、および化学剤を大幅に変化させる必要がある。
【0005】
処理の均一性以外にも、プロセスエンジニアを懸念させる事項が存在する。メーカにとっての大きな関心事の1つは、処理ツールの所有コストである。所有コストには、例えば、システムを入手および維持するためのコスト、処理性能を許容可能なレベルに維持するために必要とされるチャンバの洗浄頻度、ならびにシステムコンポーネントの寿命等などが含まれる。このため、望ましいエッチング処理とは、種々の所有コストとプロセスパラメータとの間でバランスを取り、より低コストでより高品質の処理を達成できる処理を意味する場合が多い。さらに、基板上の構造が小型化し、処理に対する要求が増大する(例えば、微小寸法を小さくする、アスペクト比を高める、スループットを高める等など)のにともなって、より低コストでより高品質の処理を達成できる新しい方法および装置が、プロセスエンジニアによって常に模索されつづけている。
【0006】
【発明の概要】
本発明の一実施形態は、基板を処理するためのプラズマ処理システムに関する。このシステムは、ほぼ軸対称の単一のプラズマ処理チャンバであって、処理のために内部でプラズマの発生と維持との双方が実行されるプラズマ処理チャンバを備える。プラズマ処理チャンバは、プラズマ生成用のチャンバを別途有さず、上端と下端とを有している。
【0007】
プラズマ処理システムは、プラズマ処理チャンバの上端に設けられた結合窓と、基板が処理のためにプラズマ処理チャンバ内に配置された際に基板によって規定される平面の上方に設けられた高周波アンテナ構成と、を備える。プラズマ処理システムは、また、基板によって規定される平面の上方に設けられた電磁石構成を備える。電磁石構成は、少なくとも1の直流電流が供給されるときに、結合窓およびアンテナに近い領域におけるプラズマ処理チャンバ内の制御可能な磁場に、半径方向の変化を生じさせるように構成されている。この半径方向の変化は、基板全体の処理の均一性に効果的に作用する。
【0008】
プラズマ処理システムは、また、電磁石構成に結合された直流電源を備える。直流電源は、少なくとも1の直流電流の大きさを変更することによって、アンテナに近い領域におけるプラズマ処理チャンバ内の制御可能な磁場の半径方向の変化を変更し、この結果、基板全体の処理の均一性を向上させるコントローラを有する。
【0009】
本発明の別の一実施形態は、プラズマ処理を用いて基板を処理する際に処理の均一性を制御するための方法に関する。この方法は、ほぼ軸対称の構成を有し、基板を処理する際に、内部でプラズマを発生と維持との双方が実行される単一のプラズマ処理チャンバであって、プラズマ生成用のチャンバを別途有さない、プラズマ処理チャンバを準備する工程を含む。
【0010】
この方法は、また、プラズマ処理システムの上端に設けられた結合窓を準備する工程と、基板が処理のためにプラズマ処理チャンバ内に配置された際に基板によって規定される平面の上方に設けられる高周波アンテナ構成を準備する工程と、を含む。この方法は、また、基板によって規定される平面の上方に設けられる電磁石構成を準備する工程を含む。電磁石構成は、少なくとも1の直流電流が供給されるときに、結合窓およびアンテナに近い領域におけるプラズマ処理チャンバ内の制御可能な磁場に、半径方向の変化を生じさせるように構成される。この半径方向の変化は、基板全体の処理の均一性に効果的に作用する。
【0011】
また、この方法には、電磁石構成に結合された直流電源を準備する工程と、基板をプラズマ処理チャンバ内に配置する工程と、プラズマ処理チャンバ内に反応ガスを流入させる工程と、反応ガスからプラズマを発生させる工程と、アンテナに近い領域におけるプラズマ処理チャンバ内の制御可能な磁場の半径方向の変化を変更し、この結果、基板全体の処理の均一性を向上させる工程と、が含まれる。
【0012】
本発明のさらに別の一実施形態は、基板を処理するためのプラズマ処理システムに関する。このシステムは、ほぼ軸対称の単一のプラズマ処理チャンバであって、処理のために内部でプラズマの発生と維持との双方が実行されるプラズマ処理チャンバを備える。プラズマ処理チャンバは、プラズマ生成用のチャンバを別途有さず、上端と下端とを有している。
【0013】
プラズマ処理システムは、プラズマ処理チャンバの上端に設けられた結合窓と、基板が処理のためにプラズマ処理チャンバ内に配置された際に基板によって規定される平面の上方に設けられた高周波アンテナ構成と、を備える。
【0014】
さらに、このシステムには、高周波アンテナに結合された第1の高周波電源と、基板によって規定される平面の上方に設けられた第1の磁石構成と、が備えられている。磁石構成は、自身が発散する磁力線に起因して、結合窓およびアンテナに近い領域におけるプラズマ処理チャンバ内の制御可能な磁場に、半径方向の変化を生じさせるように構成されている。この半径方向の変化は、基板全体の処理の均一性に効果的に作用する。
【0015】
また、このシステムには、処理の際にプラズマ処理チャンバ内で基板を支持するように構成された基板支持構成と、基板支持構成に結合された第2の高周波電源と、が備えられている。第2の高周波電源は、第1の高周波電源と独立して制御可能である。さらに、このシステムには、アンテナに近い領域におけるプラズマ処理チャンバ内の制御可能な磁場の半径方向の変化を変更し、この結果、基板全体の処理の均一性を向上させるための手段も備えられている。
【0016】
添付図面との関連で行う以下の本発明の詳細な説明から、本発明の上述したおよびその他の特徴が、さらに詳しく示される。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面に例示された幾つかの好ましい実施形態に関連させて、本発明の詳しい説明を行う。以下の説明では、本発明が完全に理解されるように、多くの項目を特定している。しかしながら、当業者には明らかなように、本発明は、これらの項目の一部または全てを特定しなくても実施することが可能である。そのほか、本発明が不必要に不明瞭となるのを避けるため、周知の処理工程および/または構造に関する詳細な説明は省略した。
【0018】
本発明の1実施形態は、処理の均一性を高度に制御することができる改良プラズマ処理システムに関する。代表的な改良プラズマ処理システムは、処理のためのプラズマを発生させるのと収容するのとを両方とも行う、実質的に軸対称な、すなわちウエハの平面に平行な各断面がほぼ円形であるような、単一のプラズマ処理チャンバを備える。この改良プラズマ処理システムは、さらに、処理中の基板平面の上方に設けられた上部磁石構成と高周波(RF)アンテナ構成とを備える。
【0019】
高周波アンテナ構成および上部磁石構成は、プラズマ処理チャンバの中の基板から十分に遠ざかった上方において、制御可能な磁場の強さおよびトポロジー(形状)に、適切な量の半径方向の変化が生じるように構成される。その結果、制御された半径方向の変化は、基板における磁場の強さを小さく抑えるとともに、処理が均一となるようなものとなる。好ましい1実施形態では、制御可能な磁場の強さおよびトポロジーの半径方向の変化は、主に、高周波アンテナ/真空インターフェイスに近いパワー結合(power coupling)領域の近くにおいて生じる。制御可能な磁場の強さおよびトポロジーの半径方向の変化は、処理の均一性に大きく作用する。処理の均一性に作用することができる、制御可能な磁場の強さおよびトポロジーの半径方向の変化のパターンを生成できるように、プラズマ処理システムを目的にそって構成し、さらに、その半径方向の変化を変更する手段を用意することによって、プロセスエンジニアらが処理を調整して均一性を向上させることを可能にする、均一性のダイヤルが得られる。
【0020】
1実施例では、高周波アンテナ構成と上部磁石構成とを非同一平面上に設けることによって、上述した制御可能な磁場の強さおよびトポロジーに、半径方向の変化を生じさせる。代わりにあるいは加えて、同一平面上または非同一平面上の2つまたはそれ以上の電磁コイルを有した上部磁石構成を用意することによって、制御可能な磁場の強さおよびトポロジーに、半径方向の変化を生じさせても良い。すなわち、複数の電磁コイルに反対方向の直流電流を供給し(ただし必ずしも必須ではない)、上述した制御可能な磁場の強さおよびトポロジーに、半径方向の変化を生じさせて良い。
【0021】
製造を容易にして動作を単純化するためには、プラズマ処理チャンバを、実質的に軸対称な単一のプラズマ処理チャンバになるように構成することが好ましい(ただし限定はされない)。つまり、本発明によるプラズマ処理チャンバは、基板を処理するためのプラズマを発生させるのと収容するのとを両方とも行う単一のチャンバからなり(このため、プラズマ生成用のチャンバを別途必要としない)、かつ均一性を高める実質的に軸対称の構成を有することが好ましい。例として、円筒形またはドーム状の単一のチャンバを仮定して良いが、これに限定されない。
【0022】
好ましい1実施形態では、処理のためのプラズマを発生させるのと収容するのとを両方とも行うことができる、円筒状の単一のチャンバを仮定する。このチャンバによれば、プラズマ生成用およびプラズマ処理用のチャンバをそれぞれ個別に使用する必要がない。
【0023】
代表的なある改良プラズマ処理システムは、さらに、相当数のプラズマ密度勾配が基板から遠くで生じるように構成された磁気バケット構成を備える。好ましい1実施形態では、プラズマ処理チャンバの外周付近にこの磁気バケット構成を設ける。この磁気バケット構成は、プラズマ処理チャンバの壁の内側または外側の外周付近に、軸方向に方向付けられた複数の永久磁石を含むことが好ましいが、これは必ずしも必要な要件ではない。具体的な実装例の如何を問わず、磁気バケット構成は、プラズマの密度勾配を基板から遠ざけてチャンバの壁付近に集中させるように構成される。こうして、基板を横切るプラズマ密度勾配の変化が最低限に抑えられ、または実質的に低減されるので、処理の均一性はさらに向上する。これを、上述した制御可能な磁場の強さおよびトポロジーの半径方向の変化と組み合わせれば、改良プラズマ処理システムにおける処理の均一性を、多くの既存のプラズマ処理システムにおいて可能な均一性と比べて、大きく向上させることができる。
【0024】
磁気バケットは、壁が原因で生じるプラズマのロスを低減させる傾向があるので、上記した代表的な改良プラズマ処理システムにおいて、ソースから発生したプラズマをより効果的に使用することが可能になる。したがって、代表的な処理システムを使用した場合と比べて、所定のソース出力から一般的に得られる密度が高くなるので、より幅広の処理ウィンドウを得ることができる。所望の処理密度は容易に達成できる場合が多いが、この代表的な改良システムにおいては、より低いソース出力によって所望の密度を生成することができる。当業者なら理解できるように、ソース出力を低く設定すると、ウエハを損傷させる可能性がある反応(メカニズム)が低減され、さらに幅広な処理ウィンドウが得られる。
【0025】
リアクタのプラズマ分析(例えば、壁へのボームロス(Bohm losses)によってバランスされる体積電離(volume ionization)に基づいた分析など)によると、プラズマのロス領域の減少は、所定パワーの堆積に必要な電子温度を減少させると予想される。これは、1実施形態では、磁気バケットを組み込むことによって達成される。このような電子温度の減少は、一般に、処理中の電子回路を損傷させる可能性があるウエハの面上の電位を低下させる。このようなプラズマによる損傷要因を排除すると、ツールの操作ウィンドウを大幅に大きくできる。
【0026】
また、ある種の堆積用のプラズマ化学剤を使用した場合には、壁に付着されるポリマーの全体量がバケットの場によって低減されることが、観測されている。その結果、より大型のウエハに適したチャンバに必要とされる表面積の増大から予想される、チャンバの洗浄頻度を、減少させることができる。
【0027】
また、ウエハにおける平均密度も、得られる処理効果の決定に大きく作用する。磁気バケットを使用して壁へのプラズマのロスを低減させると、ここで開示した均一性制御のメカニズムは、平均密度から実質的に独立になる。
【0028】
また、ここで開示する均一性制御の発明は、ウエハにおける磁場を非常に小さく抑えることによって促進される。これは、強い磁場をウエハから離れた領域に維持することによって達成されることが好ましい。このため、ソースから発生された密度を効果的に使用するために、磁気バケットを使用することは、非常に有効である。
【0029】
図を参照にしながら行う以下の説明によって、本発明の特徴および利点をさらに明らかにする。図1は、代表的な高周波アンテナ構成102と代表的な上部磁石構成104とを備えたプラズマ処理システム100を、本発明の1実施形態にしたがって示した図である。図1の例では、高周波アンテナ構成102と上部磁石構成104とが、プラズマ処理チャンバ106の上方に設けられた状態で示されている。以下で述べるように、高周波アンテナ構成と上部磁石構成104は、他の位置に設けることも可能である。
【0030】
高周波アンテナ構成102は、高周波(RF)電源112に結合された状態で示されている。高周波電源112は、約0.4MHz〜約50MHzの周波数を有したRFエネルギを高周波アンテナ構成102に供給することができる。周波数の範囲は、約1MHz〜約30MHzであることがより好ましい。好ましいエッチングの1実施形態では、高周波アンテナ構成102に供給されるRF周波数は約4MHzであることが好ましい。
【0031】
図1の実施形態の上部磁石構成104は、互いに反対方向の直流電流を流す2つの同心の磁気コイルを備える。上部磁石構成104は、可変の直流電源114に結合された状態で示されている。可変の直流電源114は、上部磁石構成104の電磁コイルに供給される直流電流の大きさおよび/または方向を変化させるように構成される。直流電流の大きさおよび/または方向の変化によって、制御可能な磁場の強さおよびトポロジーの半径方向の変化が、領域110において変わり、所定の処理における基板表面に対する処理の均一性が、所望のレベルになる。
【0032】
基板122は、基板サポート構成124の上方に設けられた状態で示されている。基板サポート構成124は、バイアス高周波(RF)電源システム128に結合され、ウエハに衝突する荷電粒子のエネルギを独立して制御する。バイアス高周波電源128は、周期的だが必ずしも正弦波ではない約0.3MHz〜約50MHzの周波数を有したRFエネルギを供給することができる。周波数は、より好ましくは約2MHz〜約30MHzの範囲であり、好ましくは約13.5MHzである。基板122は、処理したい加工物である。この加工物は、例えば、エッチング、デポジット、若しくはその他の処理を施したい半導体基板、または、フラットパネルディスプレイ用に処理したい表示パネルである。磁気バケットを利用した1実施形態では、磁気バケットの最下部分よりも十分に内側の位置に基板をサポートすることが好ましい。ただし、これは絶対に必要な要件ではない。これにより、プラズマ処理用混合物の、軸方向のあらゆる勾配を回避することができる。プラズマ処理用混合物の軸方向の勾配は、磁気バケット部分から非磁気部分への遷移部において生じる、制限のレベル変化の近傍において生じる。磁気バケットの実際の範囲および処理中の基板の相対位置は、製造およびコストの要素によって決定される。
【0033】
図1において、プラズマ処理チャンバ106は、簡単な円筒状で示されている。いいかえれば、プラズマ処理チャンバ106のうち、基板を処理するためにプラズマの発生と維持とを行うために利用される部分は、単一のチャンバからなることが好ましい。しかし、これらの技術は、マルチチャンバリアクタの形で実装することも可能である。この態様の利点として、プラズマ生成用のチャンバを別途必要としないことがある。プラズマ生成用のチャンバを別途必要とする態様は、チャンバの製造性を複雑化させ、プラズマの移送に関する問題を持ち込む(例えば、プラズマ生成用のチャンバで生成されたプラズマを基板処理用のチャンバに適切に移送するためのメカニズムを必要とするなど)。また、基板の上方におけるチャンバの側壁が実質的に垂直な、単純な円筒形を呈することから、チャンバの壁の製造を容易にし、微粒子材料が剥がれ落ちて基板を汚染する可能性を下げ、チャンバの洗浄に関する問題を簡単にすることができる。壁を何らかの形でカーブさせるとリアクタの設計が複雑になるが、チャンバの洗浄および取り扱いに関してそれ以上の利点をもたらすことができると考えられる。上述した実質的に軸対称なプラズマ処理チャンバの具体的な設計および形状は、コストと、整備の容易さと、特定のメーカにおける製造性と、のバランスに依存して決定される。
【0034】
図1において、高周波アンテナ構成102および上部磁石構成104は、同一平面上に設けられていない。すなわち、これらをプラズマ処理チャンバの軸108に沿って空間的にオフセットさせることによって、プラズマ処理チャンバのうち高周波アンテナに近い領域110において、制御可能な磁場の強さおよびトポロジーに半径方向の変化を生じさせ、窓/真空のインターフェイス構成102に結合させている。図2Aは、図1のプラズマ処理チャンバ106の中において、制御可能な磁場の強さおよびトポロジーの半径方向の変化を生じさせるために作成される、代表的な磁力線を示した図である。
【0035】
こうして、制御可能な磁場の強さおよびトポロジーに、重要な半径方向の変化が生じる。この変化は、基板表面に対する処理の均一性に大きく作用できるように、改良プラズマ処理システムの中に意図的に形成される。例えば、図2Aの磁力線140は、磁場が強い環状の領域から、チャンバ146の半径144の約半分の半径で、発散していることが示されている。そして、制御可能な磁場の強さおよびトポロジーの意図的に形成された半径方向の変化を変更するメカニズムによれば、基板の表面に対する処理の均一性を、従来技術によるプラズマ処理システムで可能なレベルよりも高く調節することが可能になる。
【0036】
Bコイルから発散されるB場(B field)の範囲は、窓/真空のインターフェイスの近くで測定した状態で約0〜約1,500ガウスである。より好ましい範囲は約0〜約200ガウスであり、さらに最適な範囲は約0〜約50ガウスである。図2Bは、図1の電磁コイル104を流れる直流電流が操作された場合に半径方向に発散される磁場の、別の代表的なトポロジーを示した図である。図1の例と異なり、図2Bの例では、軸上の強磁場領域から磁力線が発散していることがわかる。閉じたおよび開いた力線の具体的なトポロジーは、図1のコイル104を使用して制御することができる。また、このような力線の角度の変化および絶対的な大きさは、磁気コイルの具体的な設計によって決定される。例えば、磁石を非同一平面上に設けることによって、図1に示した例よりも軸よりの力線を形成しても良い。Bコイルとして最適な設計は、チャンバの直径と、磁気バケットの存在の有無および強さと、アンテナと、リアクタの設計が想定しているプラズマ処理の形態と、に相互に依存する。この設計は、本発明の原則にしたがって決定することができる。図2Cに、半径方向の変化の代表的なトポグラフィ(topographies)を示した。1000で示した場合のB場の強さは、軸上に対応した単一の極大点を有し、1002で示した場合のB場の強さは、有限半径に対応した対称的な2つの極大点と、やはり軸上に対応した1つの極大点とを有する。本発明では、このようなトポグラフィのばらつきを、電磁石アセンブリを使用して制御することができる。
【0037】
図1には、磁気バケット構成132も示されている。この磁気バケット構成132は、プラズマ処理チャンバの外周付近において軸方向に方向付けられた、複数の永久磁石を備える。上述したように、磁気バケット構成132は、ウエハ付近における磁場を非常に弱く抑えるとともに、プラズマの密度勾配を基板から離れた領域に維持するように構成される。図1に示した代表的な1実施形態において、磁気バケット構成132は、チャンバの周方向に沿って交互に入れ替わる(例えばN,S,N,S等など)放射状の磁化要素(magnetization factors)を有する32個の永久磁石カスプ(cusps)を備える。ただし、1チャンバあたりの実際のカスプ数は、プラズマ処理システムの具体的な設計に応じて変動して良い。
【0038】
強いプラズマ密度勾配を基板から離れた領域に維持するためには、一般に、カスプの数を十分に多くする必要がある。しかしながら、カスプにおけるロスは、チャンババケットの他の部分と比べて最も大きいので、カスプの数が多すぎると、密度の増大が低下してしまう。例えば、いくつかの処理では、真空と壁とのインターフェイス面における磁場の強さとして、約15〜1,500ガウスが適している。真空と壁とのインターフェイス面における磁場の強さは、より好ましくは、約100〜約1,000ガウスである。そして、真空と壁とのインターフェイス面における磁場の強さは、約800ガウスであることがさらに好ましい。磁気バケット構成102の使用は、ウエハの表面に対するプラズマの均一性を向上させるものなので、すべての処理に必要とされるわけではない。ただし、高レベルの均一性が重要である場合は、磁気バケット構成の組み込みはかなり有益である。
【0039】
好ましい実施形態では、RF結合窓の上方に高周波アンテナ構成を設けることによって、チャンバおよび/またはRF結合窓および/または磁気バケット構成の、設計および構成を、有利に簡略化することが好ましい。しかしながら、チャンバ上の他の位置に高周波アンテナ構成を配置しても、磁場の強さおよびトポロジーの半径方向の変化を所望の制御状態にすることができると考えられる。例えば、図3Aは、本発明の原理にしたがって設計されたプラズマ処理システムであって、高周波アンテナ構成102が結合窓120の周囲に配置されたシステムを示している。高周波アンテナ構成は、しかしながら、処理したい基板をプラズマ処理チャンバの中に配した際にその基板によって形成される平面の上方に配置されることが好ましい。さらに、B場の強さおよびトポロジーの制御可能な半径方向の変化に基づいて定められる領域であって、より強いB場を有した領域の近くにおいて、プラズマの形成を促進させるためには、高周波アンテナを上部磁石構成に十分に近づける必要がある。
【0040】
図1に示した代表的な実施形態では、軸対称の結合を促進するために、三次元の積層構成を有した高周波アンテナを利用している。軸対称の結合は、基板に対する処理の均一性に高いレベルが望まれる際に重要である。ただし、この三次元の積層構成は、当然ながら必ずしも全ての場合に必要なわけではない。このようなアンテナの固有の軸対称の結合特性は、多くの場合は不要である(例えば、固有の軸対称の結合特性を具備していない、平面状の螺旋アンテナのようなアンテナによって、許容レベルの均一性がすでに実現可能であるような場合)。高周波アンテナ構成として利用することが可能な他の例を、図3B(平面状の螺旋コイル)、図3C(それぞれ厚さが異なる複数のループを有した高周波アンテナコイル)、図3D(垂直方向に配置された複数のループを有した高周波アンテナコイル)、図3E(個々に駆動される複数のアンテナを備えたRF結合ソース)、図3F(図に示すような単一のコイルからなるドーム状のアンテナ、または、複数の独立電源によって個々に駆動されるもしくは一度に駆動される複数のコイルからなるドーム状のアンテナ)に示した。さらに、高周波アンテナ構成は、例えばD状の複数のアンテナ等のように、様々な非軸包囲型(non-axis encircling)の構成を有しても良い。
【0041】
利用されるRF周波数の一般的な指針としては、例えば、13MHz未満の低いRF周波数を、これらのツールの代表的な誘電率および物理的寸法とともに使用すると、アンテナの非軸対称の結合特性が、あまり現れなくなることが挙げられる。したがって、RF周波数が低い場合には、幅広の配列を呈したアンテナ構成を利用して良い。例えば、RF周波数が4MHzのように低い場合は、改良プラズマ処理チャンバにおいて高品質のエッチングを実現するために、平面状の螺旋アンテナを利用して良い。例えば13MHz以上の高いRF周波数を利用する場合は、アンテナの非軸対称の固有の結合特性が明瞭に現れて、処理の均一性に悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、結合特性が本質的に非軸対称のアンテナ(例えば単純な螺旋アンテナ)は、処理の均一性として高いレベルが必要な処理には適さない。このような場合は、本質的に軸対称の結合特性を有したアンテナの使用が求められる。
【0042】
好ましい実施形態において、高周波アンテナ構成は、電磁コイル、プラズマ処理チャンバ、基板のいずれとも同軸であることが好ましい。ただし、これは絶対的な要件ではない。同軸の高周波アンテナ構成による高レベルの処理均一性を必要としない処理、または、非対称のポンピングを利用したチャンバでは、高周波アンテナ構成を同軸の構成からオフセットすることによって、チャンバ設計の非対称性に対処して良い。しかしながら、制御可能な磁場の強さおよびトポロジーの半径方向の制御可能な変化と、この変化を制御する機能とを意図的に導入して、基板表面に対する処理の均一性を微調整することは、依然として望ましい。
【0043】
高周波アンテナ設計のサイズに関しては、チャンバの断面よりも小さくすることによって、プラズマを基板の上方の領域に集中させ、プラズマがチャンバの壁に過度に拡散することを阻止することが好ましい(ただし、これは絶対に必要な要件ではない)。プラズマがチャンバの壁に過度に拡散すると、プラズマ処理システムの作動電力を大きくする必要が生じ、壁の侵食がさらに増大する。磁気バケット構成がチャンバの外側に設けられている図1の代表的な改良プラズマ処理システムでは、チャンバの壁へのプラズマの拡散を低減させるために、高周波アンテナ構成の設置面積(footprint)を、磁気バケット構成によって規定される領域の内側に維持することが好ましい。磁気バケット構成をチャンバの内側に設けた場合は(プラズマの密度勾配がチャンバの壁に向かって集中するように、内壁の近くに設けられた複数の磁石構造の形態または基板の軸近くに設けられた磁気構造の形態をとる)、高周波アンテナ構成の設置面積を、チャンバの壁に近い高プラズマ密度勾配の領域の内側に、維持することが好ましい。
【0044】
図1には、平面状のRF結合窓が示されている。ただし、RF結合窓は、窓材が下方に伸びてキャップを構成した図3Aの結合窓や、図3Gのドーム状の窓などの、他の形状を有しても良いと考えられる。図3Hは、ドーム状のアンテナとドーム状の窓とを組み合わせた場合を示した図である。ただし、RF結合窓の半径とプラズマ処理チャンバの半径とが等しい必要はない。
【0045】
RF周波数が低い(例えば約13MHz未満である)場合は、アンテナとプラズマとの容量結合が低減されるので、結合窓130への衝撃も低減される。衝撃が低減されると、半導体窓またはファラデーシールドを使用する必要がなくなる。実際の結合窓130は、SiCまたはAlxyまたはSixyなどの誘電材料から有利に形成されると考えられる。また、これらの材料をさらにSiCで接合させることによって、結合窓を、チャンバの中のプラズマ環境により良く適合させても良い。
【0046】
図1には、同軸の2つの電磁コイルを備えた上部磁石構成も示されている。ただし、優れたレベルの均一性制御が望まれる場合は、特に、2つを超える数の電磁コイルを提供しても良い。このような複数コイルの構成は、電磁コイル構成および高周波アンテナ構成が同一平面上にある場合であっても、制御可能な磁場の強さおよびトポロジーに関して所望の半径方向の変化を形成できる、という点で有益であるが、これは絶対に必要な要件ではない。上述したように、このような制御可能な磁場の強さおよびトポロジーの半径方向の変化は、電磁コイル構成と高周波アンテナ構成とがチャンバの軸に沿って同一平面上にない場合であっても、含まれるコイルの数にかかわらず、生じさせることができる。
【0047】
一般に、半径方向に発散された磁場のトポロジーは、電磁コイルに供給される直流の大きさおよび/または方向を変化させることによって変動させて良い。図1に示した例のように、複数の電磁コイルが含まれる場合は、複数の電磁コイルに供給される1つまたはそれ以上の直流の大きさおよび/または方向を操作することによって、基板表面において所望の均一性を得ても良い。制御可能な磁場の強さおよびトポロジーの半径方向の変化は、他の方法によって操作することも当然可能である。例えば、軸108とは異なる軸を中心に回転させる、チャンバの軸に沿って移動させる、同一平面内で移動させる、および/または傾斜させることによって、上部磁石構成を物理的に移動させ、半径方向に変化する磁場のトポロジーを変動させて良い。さらに別の例として、磁気コイルの周囲に磁束板部材(magnetic flux plate material)を導入し、それを移動させることによって、磁場のトポロジーを調整しても良い。
【0048】
均一性の制御は、高周波アンテナ構成102に近い領域110の近くに主に形成される、磁場の強さおよびトポロジーの半径方向の変化を操作することによって促進されるので、基板と上部磁石構成との距離が、パラメータとして重要である。これは、磁場のトポロジーの半径方向成分の変化が、軸方向成分にも影響を及ぼすためである。基板を処理する際の磁場の強さは、基板表面においてはかなり弱く(例えば約15ガウス未満)、高周波アンテナ構成に近い軸線上の位置においては強い(例えば真空と窓との境界面の近くにおいては約15〜約200ガウス)ことが好ましい。磁場が過度に弱い領域が、ウエハに隣接した広い領域に及ぶと、プラズマの拡散プロフィルが、均一性制御のメカニズムを実施しない場合に得られるプロフィルに近づく。このような拡散プロフィルは、リアクタ内に設計された処理ウィンドウの一部においては十分に均一であるが、磁場の強さおよびトポロジーに関して制御可能な半径方向の変化を有することによる利点は、実質的に弱まる。
【0049】
以上のことを考慮すると、半径方向に変化する磁場の強さおよびトポロジーを変更された際に、処理の均一性を操作できるようにするためには、上述した距離を、十分に短くとる必要があることがわかる。しかし、処理中のウエハに流れる電流の変化または処理中のウエハ上にエッチングされた構造の帯電が原因で、基板が損傷されることのないようにするためには、上述した距離をあまり短くとり過ぎない必要もある。ウエハの電流の変化や帯電は、処理の際にウエハの位置に過度の磁場が存在することによって生じ、または増大する。また、ソースからウエハまでの距離を短くとり過ぎると、今度は、軸方向の拡散によって処理の均一性が左右されるようになる。すると、均一性の制御に必要とされる半径方向の変化の長さ(scale length)が、制御するべき非均一性の大きさに近づく。これは、磁場の強さおよびトポロジーの局所的な半径方向の変化の数を増大させ、その制御に必要な精度を高めるので、磁気設計としての最適性が低下する。つまり、チャンバがあまりに小さいと、その物理的境界が、処理の均一性を大きく左右するようになる。そして、本発明による原理を適用した場合に(依然として適用可能ではあるものの)、設計が不当に複雑化したり、上述したような所望の均一性制御と他の実際的な検討事項との間のバランス、すなわちコストや信頼度などの適性が低下したりする結果となる。
【0050】
好ましい実施形態では、制御可能な磁場のトポロジーのうち半径方向に発散された成分および軸方向の成分の強さと、処理の均一性を調整する目的で電磁コイル構成に電流が供給された際に基板が不当に損傷されるのを回避する必要性と、を考慮し、基板と上部磁石構成との間の距離を経験的に決定して良い場合がある。代表的な1実施形態では、直径が約470mm未満の半導体基板を処理できるように設計された基板処理チャンバに対し、20cmの距離が適している。
【0051】
図1の実施形態では、RF結合窓の上方に上部磁石構成が設けられている。ただし、これは絶対的な要件ではない。図4Aは、少なくとも1つのコイル104aがチャンバ106の周囲に設けられた実装例を示した図である。図4Aの実装例には、互いに同一平面上にない2つのコイルの使用も示されている。いずれの要件も(コイルが複数存在することおよび互いに同一平面上にないこと)、この実装例を適切に利用するにあたって絶対的に必要な要件ではない。ただし、図4Aでは、希望に応じて窓130の上方または下方にコイルを設けることもできる。しかしながら、基板平面の上方で且つ高周波アンテナの近くにコイルを設け、形成された磁場の強さおよびトポロジーの半径方向の変化に、意味のある影響を及ぼすことが好ましい。
【0052】
好ましい実施形態では、アンテナ、チャンバ、および基板と同軸に上部磁石構成を設けることによって、基板に対するプラズマ雲(plasma cloud)の位置合わせを簡略化する。しかしながら、例えば、非対称ポンピングを利用したプラズマ処理チャンバ、または、より複雑な磁場トポロジーを必要とするプラズマ処理チャンバでは、チャンバの軸および/または基板の軸から上部磁石構成をオフセットさせて、処理の効果を向上させることが有利である。このような実装例の1つが図4Bに示されており、図中、少なくとも1つのコイル104a,104bが、チャンバの軸からオフセットされた状態で設けられている。また、図中の磁気コイルは平面状を呈しているが、これは絶対的な要件ではなく、図4Cに示したように、ドーム状のコイルまたは他の三次元状のコイルを使用して、チャンバ内の磁場トポロジーをさらに形作っても良い。
【0053】
また、コイルは、必ずしもアンテナの真上に設ける必要はない。例えば、図4Dの実施形態では高周波アンテナ402の上に電磁コイル104bが設けられている。しかしながら、図4Eの実装例ではそうではない。
【0054】
さらにまた、上部磁石構成として好ましい実装例は電磁コイルであるが、例えばNdFeBまたはSmCoなどの磁気材料から形成された、十分に強力な永久磁石構成を利用して、上述した磁場トポロジーの半径方向の開きを、意図的に形成しても良い。永久磁石を利用した実装例では、上部磁石構成の構成要素を物理的に移動させることによって、および/または、例えば高透磁率の構造を上部磁石構成および結合窓の有効磁気回路の一部として挿入するなど、適切な構造要素または磁気回路要素を提供して磁力線を変動させることによって、磁場トポロジーの半径方向の開きを変動させられると考えられる。同様に、強磁性体の要素と電磁石とを組み合わせて使用することもできる。
【0055】
図4Fの実施形態では、基板によって形成される平面の下方であって、チャンバの外側またはチャンバの内側のいずれかに、磁場生成用の構成104Cを追加で設けることによって、基板表面における磁場の強さを弱めたり、基板表面に残留している磁場トポロジーおよび/または強さの変化を相殺したりしても良い。この場合は、上部磁石構成が原因で生じる強い磁場の軸方向成分によって基板が損傷される可能性を下げることができる。
【0056】
好ましい実施形態では、簡潔性および対称性が明示されているが、断面が円状でない(例えば六角形、四角形、または他の幾何学形状など)あるいは軸がシステムの主軸に平行でない磁気コイルによっても、同様に均一性を制御する磁場の変化を実現できると考えられる。
【0057】
図1の代表的なプラズマ処理システムでは、プラズマ処理チャンバの真空チャンバ、ガスポンピング、バケット磁場、アンテナ、および電磁コイルが、チャンバ自身、高周波アンテナ構成、および基板の軸と、同軸であることが好ましい。この実装例は、代表的な基板処理および拡散特性の対称性を最大限に活用するという点で、特に有利であるが、真空チャンバおよび磁気的設計をチャンバ、高周波アンテナ構成、および/または基板の軸と同軸にしない方が、適している場合もある。例えば、非対称ポンピングを実装したプラズマ処理システムも存在する。このような場合は、チャンバを通って流れるガスの非対称性を修正するために、真空チャンバおよび/または磁気的設計を一定の非対称性でもって設計することによって、均一性を向上させて良い。
【0058】
さらにまた、高周波アンテナの設置面積は、必ずしも上部磁気構成のそれより大きい必要はない。つまり、上部磁気構成の断面積が、高周波アンテナのそれより小さくなければならない必要はない。高周波アンテナおよび上部磁気構成の相対的な大きさは、プラズマ処理チャンバの中の磁場の強さおよびトポロジーの半径方向の変化を、プラズマと窓との境界面の近くにおいて制御できる限り、好きなように採寸することが可能である。
【0059】
好ましい実施形態において、何らかの重要な処理の均一性を向上させる目的で磁気バケット構成を設けた場合は、磁気バケットの設計も重要になる。一般に、磁気バケット構成は、大部分のプラズマ密度勾配が基板から遠ざかってチャンバの壁の近くに集中するように、十分に強い磁場を生成する必要がある。プラズマ処理チャンバのうち真空と壁との境界面における磁場の強さは、例えば15〜1,500ガウスなど、比較的強い範囲にある必要があり、より好ましくは約100〜約1,000ガウスであり、1実施形態では約800ガウスである。一方で、基板の中心における磁場の強さは、例えば約15ガウス未満のように、弱く維持する必要があり、より好ましくは約5ガウス未満である。
【0060】
図1には、プラズマ処理チャンバの高さとほぼ同じ長さに及ぶ磁石を含んだ磁気バケット構成を示してあるが、これは必ずしも必要な要件ではない。例えば、図5Aは、磁石132がチャンバの上から下まで達していない磁気バケット構成を示している。一般に、永久磁石のサイズは、磁気バケット構成によって生成された磁場の軸方向の勾配が、基板の表面において低く維持されるように、採寸することが好ましい。1実施形態では、磁気バケット構成の磁気部分を、基板の上方(例えばチャンバの最上部近く)から基板平面の下方の1位置(例えば1.5インチ下)に及ぶように設けることによって、磁気バケット構成によって生成される磁力線の軸方向の勾配を、最低限に抑えているまたは実質的に低減させている。
【0061】
この実装例は非常に有利で好ましいが、処理の種類によっては、基板平面の一方の側にのみチャンバ磁石(すなわち磁気バケット構成の磁石)を設けられたプラズマ処理システムを利用することも、可能であると考えられる。例えば、処理の均一性に対する要求が、磁気バケット構成によって生成される磁力線の軸方向の勾配の存在を許容できる程度である場合は、基板の平面を跨ぐようにチャンバ磁石を設ける必要はない。別の例としては、基板平面を挟んで両側に1対ずつ合計2対のチャンバ磁石を設け(図5Bに示した磁石対132および180のように)、磁気バケット構成によって生成される磁力線の軸方向の勾配を基板の表面において低く維持するとともに、大部分のプラズマ密度勾配を基板から遠ざけてチャンバ側壁の近くに集中させることが可能である。さらに、図1の実施形態では、磁気バケット構成のカスプが真空領域の外側に設けられているが、これは絶対的な要件ではない。例えば、図5Bの第2の磁石対(参照番号180)は、真空領域の中に設けられている。
【0062】
さらに、好ましい実施形態では、永久磁石を利用して磁気バケット構成を実装しているが、電磁石を使用して磁気バケット構成を実装することも可能である。
【0063】
上述したように、本発明の重要な特徴の1つは、プラズマ生成用のチャンバを排除できるという点にあるが、処理用のプラズマを励起し、発生させ、収容するのに同じチャンバを使用できるならば、その同じチャンバの中に基板を保持しておく絶対的な必要もないことがわかる。図5Bに示すように、チャンバ106bを追加で設けることによって、基板を保持するサポートを収容し、基板の移送を容易にしても良い。処理用のプラズマを生成して維持する単一のチャンバ106aを利用することによって、プラズマおよび化学剤の移送ならびにチャンバの壁による吸収に関する多くの問題が解決されるので、それと同じチャンバの中にチャック構成および排気経路を設けることは、絶対的に必要な要件ではない。つまり、処理を施したい基板の表面を、処理のためにプラズマを生成させるのと維持するのとの両方を行うために利用される単一のチャンバの中で、プラズマに対して露出させ、さらに、磁場トポロジーの半径方向の開きを微調整するために、均一性制御用のつまみを設ける限りは、非常に有利な処理効果を達成することができる。さらに、生成されたプラズマの密度勾配を基板の表面から遠ざけて側に向かって集中させる目的で、磁気バケット構成を利用した場合は、チャック構成および基板の一部または全部を1つのチャンバの中に設け、処理したい基板の表面を別のチャンバの中に発生および維持されたプラズマに露出させる形でも、均一性の高い処理を実現することが可能である。
【0064】
さらに、バケットの磁石は、半径方向の磁化パターンがチャンバの周囲を交互に取り囲むように、(例えばチャンバの軸に沿って)方位的に並べられているが、磁化パターンは、交互でなくても良いと考えられる。例えば、1組の磁石を複数の組に分け、各組が同数のまたは異なる数の磁石を有するようにしても良い。これは、特定のチャンバにおいて生じるあらゆる非対称性の問題に対処するのに適している。また、各磁石の軸を半径方向以外の方向に合わせても良い。繰り返すが、この実装例は、特定のチャンバにおいて生じるあらゆる非対称性の問題に対処するのに適している。
【0065】
特に有利な1実施形態では、磁化パターンを変化させる目的で、磁気バケットの一部または全部の磁石を自身の軸を中心にして回転可能なように作成して良い。このような実装例の1つを、図6Cに示した。代わりにまたは加えて、磁石を物理的に移動させることによって、あるいは(例えば電磁石を設けた場合は)磁石に流れる電流の大きさを変動させることによって、個々の磁石の強さを変化させられるようにしても良い。
【0066】
さらに、図1に示した実施形態では、磁気バケット構成のカスプが軸方向に設けられているが、これは絶対的な要件ではない。例えば、一部または全部のカスプをチェック状のパターン(例えば図6A)または回転体形状のパターン(azithmuthal pattern)(例えば図6B)に形成して良く、この場合は、これらの磁石を基板の平面に平行に設けて良い。プラズマ処理システムの詳細によっては、これらの構成によってプラズマ密度勾配をより確実に基板から遠ざけられ、このためこれらの構成が適している場合もある。
【0067】
図7は、制御可能な磁場の強さおよび/またはトポロジーの半径方向の変化を変更することによって、処理の均一性を制御する手法に含まれる各工程を、本発明の一実施形態に従って簡単に示すフローチャートである。ステップ702では、ほぼ軸対称の単一のプラズマ処理チャンバが準備される。前述したように、このチャンバは、処理用のプラズマの発生と維持との双方に利用される。このため、プラズマ生成用チャンバとそれに付随するプラズマ移送要素とを設ける必要がない。ステップ704では、高周波アンテナが準備される。ステップ706では、上部磁石構成が準備される。上部磁石構成は、上部磁石構成と高周波アンテナとによって、制御可能な磁場の強さおよび/またはトポロジーに大きな半径方向の変化が生じるように構成されている。
【0068】
ステップ708では、処理のために、プラズマ処理チャンバ内に基板が配置される。ステップ710では、プラズマ処理チャンバ内に反応ガス(例えばデポジションソースガスまたはエッチャントソースガス)が流し込まれ、それをもとにプラズマが発生する。ステップ712では、高周波アンテナ付近の制御可能な磁場の強さおよび/またはトポロジーの半径方向の変化は、基板表面全体に渡る処理の均一性を向上させるような設定値に設定される。この設定は、処理に先立って所定の設定値になるように行われてもよいし、プラズマ処理中に処理の均一性を調整できるようにリアルタイムで行われてもよい。
【0069】
当業者ならば理解できるように、本発明は、能動的かつ時間に依存しない態様で処理の均一性の制御に容易に適用することができるため、均一性の制御を実行しない場合と比べて、より広い処理範囲に渡ってウエハの処理を完全に制御することが可能になる。例えば、本発明のプラズマ処理システムにおいては、より広範囲のプラズマ密度を利用することができる(例えば、約109 〜約1013イオン/cm3 )。これは、磁気バケットが、プラズマの生成および維持の際に非常に効率的にソースエネルギを利用可能とし、上部磁気構成が、全範囲のプラズマ密度に対して処理の均一性の制御を可能とするためである。また、磁気バケットは、より低圧力でのプラズマの維持を可能とするので、基板を処理する際に、より広範囲の圧力(例えば、1mT未満から役100mTまでの範囲)を利用することができる。広い処理窓を有する単一のリアクタを利用して種々の処理を実行することができるため、プロセスエンジニアは、従来のプラズマ処理システムでは得られない柔軟性を得ることができる。
【0070】
さらに、適切なフィードバックメカニズムを利用すれば、基板上の処理の均一性をリアルタイムで観察し、制御可能な磁場の強さおよびトポロジーの半径方向の変化をリアルタイムで変更することができ、この結果、所望の最適な処理の均一性が実現されると考えられる。これに代えて、または、これと共に、制御可能な磁場の強さおよびトポロジーの半径方向の変化を異なる設定値にダイヤル調整することによって、所定のエッチング処理の種々のエッチング工程において妥当な均一性制御を実現できるようにしてもよい。なお、これらの設定は、フィードバックメカニズムの有無に関わらず実行可能であり、また、1枚の膜をエッチングする際や膜から膜へとエッチングが進行する際に実行可能である。フィードバックメカニズムを利用しない場合には、適切な均一性の設定値をエッチングに先立ち経験的にまたは他の形で工程毎に確認した上で、それらの値をエッチングに利用すればよい。
【0071】
以上では、本発明をいくつかの好ましい実施形態の形で説明したが、本発明の範囲内で、種々の代替、置き換え、および等価物が可能である。例えば、上述した好ましい実施形態では、議論を容易にするためにエッチングを取り上げたが、均一性の制御は、例えば堆積など任意の半導体処理工程に適用できる。したがって、添付した特許請求の範囲は、このような代替、置き換え、および等価物の全てを、本発明の真の趣旨および範囲内に含むものとして、解釈される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 代表的な高周波アンテナ構成と代表的な上部磁石構成とを備えたプラズマ処理システムを、本発明の1実施形態にしたがって示した図である。
【図2A】 図1のプラズマ処理チャンバの中において、制御可能な磁場の強さおよびトポロジーに半径方向の変化を生じさせるために形成される、代表的な磁力線を示した図である。
【図2B】 図1のプラズマ処理システムの電磁コイルを流れる直流電流が操作された場合に半径方向に発散される磁場の、別の代表的なトポロジーを示した図である。
【図2C】 制御可能な磁場の強さの半径方向の変化に関して代表的なトポロジーを示した図である。
【図3A】 本発明によるプラズマ処理システムにおいて利用される様々な高周波アンテナ構成の一例を、本発明の実施形態にしたがって示した図である。
【図3B】 本発明によるプラズマ処理システムにおいて利用される様々な高周波アンテナ構成の一例を、本発明の実施形態にしたがって示した図である。
【図3C】 本発明によるプラズマ処理システムにおいて利用される様々な高周波アンテナ構成の一例を、本発明の実施形態にしたがって示した図である。
【図3D】 本発明によるプラズマ処理システムにおいて利用される様々な高周波アンテナ構成の一例を、本発明の実施形態にしたがって示した図である。
【図3E】 本発明によるプラズマ処理システムにおいて利用される様々な高周波アンテナ構成の一例を、本発明の実施形態にしたがって示した図である。
【図3F】 本発明によるプラズマ処理システムにおいて利用される様々な高周波アンテナ構成の一例を、本発明の実施形態にしたがって示した図である。
【図3G】 本発明によるプラズマ処理システムにおいて利用される様々な高周波アンテナ構成の一例を、本発明の実施形態にしたがって示した図である。
【図3H】 本発明によるプラズマ処理システムにおいて利用される様々な高周波アンテナ構成の一例を、本発明の実施形態にしたがって示した図である。
【図4A】 本発明によるプラズマ処理システムにおいて利用される様々な磁場生成用の構成の一例を、本発明の実施形態にしたがって示した図である。
【図4B】 本発明によるプラズマ処理システムにおいて利用される様々な磁場生成用の構成の一例を、本発明の実施形態にしたがって示した図である。
【図4C】 本発明によるプラズマ処理システムにおいて利用される様々な磁場生成用の構成の一例を、本発明の実施形態にしたがって示した図である。
【図4D】 本発明によるプラズマ処理システムにおいて利用される様々な磁場生成用の構成の一例を、本発明の実施形態にしたがって示した図である。
【図4E】 本発明によるプラズマ処理システムにおいて利用される様々な磁場生成用の構成の一例を、本発明の実施形態にしたがって示した図である。
【図4F】 本発明によるプラズマ処理システムにおいて利用される様々な磁場生成用の構成の一例を、本発明の実施形態にしたがって示した図である。
【図5A】 本発明によるプラズマ処理システムにおいて利用される様々な磁気バケットの構成の一例を、本発明の実施形態にしたがって示した図である。
【図5B】 本発明によるプラズマ処理システムにおいて利用される様々な磁気バケットの構成の一例を、本発明の実施形態にしたがって示した図である。
【図5C】 本発明によるプラズマ処理システムにおいて利用される様々な磁気バケットの構成の一例を、本発明の実施形態にしたがって示した図である。
【図6A】 本発明によるプラズマ処理システムにおいて利用される様々な磁化パターンの一例を、本発明の実施形態にしたがって示した図である。
【図6B】 本発明によるプラズマ処理システムにおいて利用される様々な磁化パターンの一例を、本発明の実施形態にしたがって示した図である。
【図6C】 本発明によるプラズマ処理システムにおいて利用される様々な磁化パターンの一例を、本発明の実施形態にしたがって示した図である。
【図7】 制御可能な磁場の強さおよび/またはトポロジーの半径方向の変化を変更して処理の均一性を制御する手続きに含まれる各工程を、本発明の1実施形態にしたがって簡単に示したフローチャートである。
【符号の説明】
100…プラズマ処理システム
102…高周波アンテナ構成
104…上部磁石構成
104a,104b…コイル
106…プラズマ処理チャンバ
106a,106b…チャンバ
108…チャンバの軸
110…1領域
112…高周波(RF)電源
114…可変の直流電源
120…結合窓
122…基板
124…基板サポート構成
128…バイアス高周波(RF)電源
132…磁気バケット構成
132,180…磁石の対
140…磁力線
144…チャンバの半径
146…チャンバ

Claims (24)

  1. 基板を処理するためのプラズマ処理システムであって、
    ほぼ軸対称の単一のプラズマ処理チャンバであって、前記処理のために内部でプラズマの発生と維持との双方が実行され、プラズマ生成用のチャンバを別途有さず、上端と下端とを有する、前記プラズマ処理チャンバと、
    前記プラズマ処理チャンバの上端に設けられた結合窓と、
    前記基板が前記処理のために前記プラズマ処理チャンバ内に配置された際に前記基板によって規定される平面の上方に設けられた高周波アンテナ構成と、
    前記基板によって規定される前記平面の上方に設けられた電磁石構成であって、少なくとも1の直流電流が供給されるときに、前記結合窓および前記アンテナに近い領域における前記プラズマ処理チャンバ内の制御可能な磁場に、前記基板全体の処理の均一性に効果的に作用する半径方向の変化を生じさせるように構成された前記電磁石構成と、
    前記電磁石構成に結合された直流電源であって、前記少なくとも1の直流電流の大きさを変更することによって、前記アンテナに近い前記領域における前記プラズマ処理チャンバ内の前記制御可能な磁場の半径方向の変化を変更し、この結果、前記基板全体の前記処理の均一性を向上させるコントローラを有する前記直流電源と、
    を備え、
    前記電磁石構成は、2つの電磁コイルを含み、少なくとも一つの電磁コイルは、前記プラズマ処理チャンバの軸からオフセットされている
    プラズマ処理システム。
  2. 請求項1記載のプラズマ処理システムであって、
    前記高周波アンテナ構成は、前記結合窓の上方に設けられている、プラズマ処理システム。
  3. 請求項1記載のプラズマ処理システムであって、
    前記高周波アンテナ構成と前記電磁石構成とは、前記制御可能な磁場中に前記半径方向の変化を生じさせるために、前記プラズマ処理チャンバの軸に沿って空間的にオフセットされている、プラズマ処理システム。
  4. 請求項1記載のプラズマ処理システムであって、
    記2つの電磁コイルのうちの第1の電磁コイルは、第1の方向の第1の直流電流を流すように構成されており、
    前記2つの電磁コイルのうちの第2の電磁コイルは、前記第1の方向と反対の第2の方向の第2の直流電流を流すように構成されている、プラズマ処理システム。
  5. 請求項1記載のプラズマ処理システムであって、
    前記高周波アンテナ構成は、前記プラズマ処理チャンバの軸を中心としてほぼ対称である、プラズマ処理システム。
  6. 請求項1記載のプラズマ処理システムであって、
    前記プラズマ処理チャンバ内のプラズマ密度分布に影響を及ぼす前記プラズマ処理チャンバに関連する構造は、前記プラズマ処理チャンバの軸を中心としてほぼ対称に構成されている、プラズマ処理システム。
  7. 請求項1記載のプラズマ処理システムであって、さらに、
    前記処理の際に前記基板を支持するように構成された基板支持部と、
    前記基板支持部に結合された第1の高周波電源であって、前記高周波アンテナ構成に結合された第2の高周波電源と独立して制御可能な前記第1の高周波電源と、
    を備える、プラズマ処理システム。
  8. 請求項1記載のプラズマ処理システムであって、
    前記制御可能な磁場の前記半径方向の変化を変更する処理は、前記制御可能な磁場の大きさ成分を変更する処理、または前記制御可能な磁場のトポロジー成分を変更する処理
    のうち、少なくとも一つの処理を含む、プラズマ処理システム。
  9. プラズマ処理を用いて基板を処理する際に処理の均一性を制御するための方法であって、
    ほぼ軸対称の構成を有し、前記基板を処理する際に内部でプラズマを発生と維持との双方が実行される単一のプラズマ処理チャンバであって、プラズマ生成用のチャンバを別途有さない、前記プラズマ処理チャンバを準備する工程と、
    前記プラズマ処理システムの上端に設けられる結合窓を準備する工程と、
    前記基板が前記処理のために前記プラズマ処理チャンバ内に配置された際に前記基板によって規定される平面の上方に設けられる高周波アンテナ構成を準備する工程と、
    前記基板によって規定される前記平面の上方に設けられ、2つの電磁コイルを含み、少なくとも一つの電磁コイルは、前記プラズマ処理チャンバの軸からオフセットされている電磁石構成であって、少なくとも1の直流電流が供給されるときに、前記結合窓および前記アンテナに近い領域における前記プラズマ処理チャンバ内の制御可能な磁場に、前記基板全体の処理の均一性に効果的に作用する半径方向の変化を生じさせるように構成された前記電磁石構成を準備する工程と、
    前記電磁石構成に結合される直流電源を準備する工程と、
    前記基板を前記プラズマ処理チャンバ内に配置する工程と、
    前記プラズマ処理チャンバ内に反応ガスを流入させる工程と、
    前記反応ガスからプラズマを発生させる工程と、
    前記アンテナに近い前記領域における前記プラズマ処理チャンバ内の前記制御可能な磁場の前記半径方向の変化を変更し、この結果、前記基板全体の前記処理の均一性を向上させる工程と、
    を備える方法。
  10. 請求項9記載の方法であって、さらに、
    前記プラズマ処理チャンバの周囲に設けられる磁気バケット構成であって、前記プラズマ処理チャンバの外側において前記プラズマ処理チャンバの軸にほぼ平行に設けられた複数の永久磁石を含む磁気バケット構成を準備する工程を備える、方法。
  11. 請求項10記載の方法であって、
    更に、前記複数の永久磁石の少なくとも一部を回転して、前記磁気バケット構造により形成される磁化パターンを変化させる工程を備える、方法。
  12. 請求項9記載の方法であって、
    前記プラズマ処理チャンバ内に前記基板を配置する工程は、前記電磁石構成によって生成される磁力線の軸方向の勾配を最小化する位置に、前記基板を配置する工程を含む、方法。
  13. 請求項9記載の方法であって、
    前記半径方向の変化を変更する工程は、
    前記直流電流の大きさを変更する工程と、
    前記直流電流の方向を変更する工程と、
    前記高周波アンテナの1つを移動させる工程と、
    前記電磁石構成を前記基板に対して移動させる工程と、
    磁束板材料の集合体を前記電磁石構成の付近で移動させる工程と、
    のうち少なくとも1つを含む、方法。
  14. 請求項13記載の方法であって、
    前記制御可能な磁場の前記半径方向の変化を変更する工程は、
    前記直流電流の大きさを変更する工程
    前記電磁石構成の1つを前記基板に対して移動させる工程、または
    前記磁束板材料の集合体を前記電磁石構成に対して移動させる工程
    の少なくともいずれか一つを含む、方法。
  15. 基板を処理するためのプラズマ処理システムであって、
    ほぼ軸対称の単一のプラズマ処理チャンバであって、前記処理のために内部でプラズマの発生と維持との双方が実行され、プラズマ生成用のチャンバを別途有さず、上端と下端とを有する、前記プラズマ処理チャンバと、
    前記プラズマ処理チャンバの上端に設けられた結合窓と、
    高周波アンテナ構成と、
    前記高周波アンテナの上方に離間して設けられた電磁石構成であって、少なくとも1の直流電流が供給されるときに、前記結合窓および前記アンテナに近い領域における前記プラズマ処理チャンバ内の制御可能な磁場に、前記基板全体の処理の均一性に効果的に作用する半径方向の変化を生じさせるように構成された前記電磁石構成と、
    前記電磁石構成に結合された直流電源であって、前記少なくとも1の直流電流の大きさを変更することによって前記磁場を調整して、前記アンテナに近い前記領域における前記プラズマ処理チャンバ内の前記制御可能な磁場の半径方向の変化を変更し、この結果、前記基板全体の前記処理の均一性を向上させるコントローラを有する前記直流電源と、
    を備え、
    前記電磁石構成は、2つの電磁コイルを含み、少なくとも一つの電磁コイルは、前記プラズマ処理チャンバの軸からオフセットされている
    プラズマ処理システム。
  16. 請求項15記載のプラズマ処理システムであって、前記高周波アンテナ構成は、前記結合窓の上方に配置された三次元の積層構成である、プラズマ処理システム。
  17. 請求項15記載のプラズマ処理システムであって、前記高周波アンテナ構成は、前記基板が前記処理のために前記プラズマ処理チャンバ内に配置された際に前記基板によって規定される平面の上方に設けられている、プラズマ処理システム。
  18. 請求項1記載のプラズマ処理システムであって、前記電磁石構成は、前記高周波アンテナ構成の上方に離間して設けられている、プラズマ処理システム。
  19. 請求項9記載の方法であって、前記電磁石構成は、前記高周波アンテナ構成の上方に離間して設けられている、方法。
  20. 請求項1または請求項15記載のプラズマ処理システムであって、さらに、
    前記プラズマ処理チャンバの周囲に設けられた磁気バケット構成であって、ほぼ対称な磁束板システムによって囲まれた前記磁気バケット構成を備える、プラズマ処理システム。
  21. 請求項20記載のプラズマ処理システムであって、
    前記対称な磁束板システムは、
    前記磁気バケット構成の外周を囲むように連続的に設けられた磁束板を含み、
    前記磁束板は、前記磁気バケット構成の磁気要素の近くに配置されている、プラズマ処理システム。
  22. 請求項1または請求項15記載のプラズマ処理システムであって、
    更に、前記プラズマ処理チャンバの周囲に磁気バケット構成を備え、
    前記磁気バケット構成は、前記プラズマ処理チャンバの外側において前記プラズマ処理チャンバの軸にほぼ平行に設けられた複数の永久磁石を含む、プラズマ処理システム。
  23. 請求項22記載のプラズマ処理システムであって、
    前記複数の永久磁石は、前記プラズマ処理チャンバの前記上端から前記下端までの高さの一部分にのみ及ぶ、プラズマ処理システム。
  24. 請求項22記載のプラズマ処理システムであって、
    前記複数の永久磁石の少なくとも一部は、磁化パターンを変化させるために回転可能であるプラズマ処理システム。
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