JP4703934B2 - アニールウエーハの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アニールウェーハの製造に関し、特に大口径のシリコンウエーハを高温熱処理しても、スリップ転位の発生・成長を抑制することができるアニールウェーハの製造方法および高温熱処理してもスリップ転位が発生し難いシリコンウエーハに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、デバイスプロセスの高集積化・微細化が促進されており、シリコンウェーハに対して、表層のデバイス活性領域の完全性と、バルク中における酸素析出物(核)からなる内部微小欠陥(BMD)の増加等による金属などの不純物を捕獲するゲッタリング能力の向上が求められている。
【0003】
ここでシリコンウエーハの欠陥等について説明すると、一般に、チョクラルスキー法(CZ法)によるシリコン単結晶引上げ装置により育成されたシリコン単結晶には、原子空孔(Vacancy、以下Vと略記することがある)と格子間シリコン(Interstitial−Si、以下Iと略記することがある)の2種類の点欠陥が発生し、原子空孔、つまりシリコン原子の不足から発生する凹部が多い領域はV−領域、また、余分なシリコン原子(格子間シリコン)が存在することにより発生する転位や余分なシリコン原子の塊が多い領域はI−領域と呼ばれている。そして、このV−領域とI−領域の間には、原子の過不足がない(少ない)ニュートラル領域(Neutral領域、以下N−領域)が存在するとともに、V−領域とI−領域の境界付近には熱酸化を行うことによりOSF(Oxidation Induced Stacking Fault:酸化誘起積層欠陥)と呼ばれる欠陥が、結晶の成長軸に垂直な断面内においてリング状に発生する欠陥の存在が確認されている。
【0004】
これらの欠陥濃度は、CZ法によりシリコン単結晶を引き上げる際のシリコン単結晶の引上げ速度(成長速度)V(mm/min)と固液界面近傍の引上げ軸方向の結晶温度勾配G(℃/mm)との関係V/Gから決まることが知られており、結晶の欠陥分布とV/Gは、概ね図6に示されるような関係がある。
【0005】
例えば引上げ速度が0.6mm/min前後以上と比較的高速の場合には、空孔タイプの点欠陥が集合したボイド起因とされているグローンイン欠陥が結晶径方向全域に高密度に存在し、この欠陥が存在する領域はV−リッチ領域と呼ばれている。また、引上げ速度が0.6mm/min以下と低速になるにつれ、結晶の周辺からOSFがリング状に発生し、このリングの外側に格子間シリコンタイプの点欠陥が集合した転位ループ起因と考えられているL/D(Large Dislocation:格子間転位ループの略号、LSEPD、LFPD等)の欠陥が低密度に存在する。これらの欠陥が存在する領域はI−リッチ領域と呼ばれている。
【0006】
CZ法によってシリコン単結晶を育成する際には、一般に、生産性の向上等のためにV−リッチ領域となる成長条件で行われることが多い。このときウエーハのゲッタリング能力の一層の向上等のために、育成するシリコン単結晶に窒素をドープすることも行われている。それによって、酸素析出が促進され、またグローンイン欠陥の成長が抑制されたシリコン単結晶を製造することができる。
【0007】
そして、この窒素をドープしたシリコン単結晶からスライスされ、研磨された鏡面ウエーハに対して、アルゴンガス、水素ガス、またはこれらの混合ガス雰囲気で、1100〜1350℃で10〜600分程度の高温熱処理(高温アニール)を行うことにより、ウエーハ表層の前記空孔が集合したボイド起因の結晶欠陥を消滅させ、またバルク中の酸素析出物の密度を増加させてIG(Internal Gettering)効果を持たせたウエーハ(窒素ドープアニールウエーハ)を製造することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、CZ法によってV−リッチ領域が優勢となる成長条件において窒素をドープしてシリコン単結晶を育成した場合、このシリコン単結晶から作製したシリコンウエーハには、ウエーハの中央領域でCOP等のサイズの大きいグローンイン欠陥が発生しており、またシリコンウエーハの周辺部では必ずOSFがリング状に発生していた。すなわち、窒素をドープするとOSFが発生する領域が広がり、特に200mm以上の大口径のウエーハに窒素ドープすると、このOSFリングの発生を抑制することが困難となる。
【0009】
そしてこのようなシリコンウエーハに前記のような高温熱処理を行う場合、特に、直径が200mmあるいは300mmの大口径のウエーハであると、ウェーハ裏面から表面に貫通するスリップ転位が顕著に発生する場合があった。スリップ転位はデバイス工程で更に成長し、デバイス工程での不良の原因となり、歩留りを低下させる要因の一つとなっていた。
【0010】
このようなスリップ転位の発生・成長を抑制する方法として、高温熱処理を行う前に高温熱処理の温度よりも低い温度で加熱(プレアニール)を行って酸素析出物の成長を促進させ、その後高温熱処理を行う方法がある(特願2002−018584号参照)。この方法では、高温熱処理の前に酸素析出物を成長させておくことで、その後の高温熱処理におけるスリップ転位の発生・成長を抑制させる効果を奏している。
【0011】
ところが、OSFリングが発生する領域を有する、特に、直径が200mm〜300mm、あるいはそれ以上の大口径のシリコンウエーハの場合、上記のようなプレアニールを行って酸素析出物の成長を促進させた後で高温熱処理を行っても、ウエーハの外周部近くにスリップ転位の発生・成長が見られる場合が多かった。
【0012】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の主な目的は、200mm以上、特に300mm以上の大口径のシリコン単結晶ウェーハにおいても、高温熱処理の際スリップ転位の発生及び成長を安定して抑制することができ、ウェーハ表層の欠陥密度が低減され、高いゲッタリング能力を有する高品質のアニールウェーハを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、特に大口径のシリコン単結晶ウェーハを高温熱処理する際に発生するスリップ転位について鋭意検討を行った。そして、直径300mmのシリコンウエーハをXRT(X線トポグラフ法)で観察したところ、前記のようなプレアニールを行った後でも、酸素析出物からなる内部微小欠陥(BMD)が少ない領域が存在し、その領域がウエーハの最外周部やウエーハを保持するボート等の保持手段の先端に位置する部分に存在すると、高温熱処理後にスリップ転位が発生もしくは成長し易いことがわかった。そして前記のようなプレアニールにより酸素析出物の成長を促進させたとき、OSF領域のBMD密度は、他の領域に比べて少なくなることが分かった。
【0014】
さらに調査したところ、例えば、縦型の熱処理炉内でウエーハを保持手段に載置して保持した場合、図3で示されるように、ウエーハ1とボートの保持手段10との接触領域の最外周部3(単に、「ウエーハの最外周部」ということがある。)とボートの保持手段10の先端に位置する部分4が、接触するほかの部分に比べて強い負荷が掛かってこの2点においてストレスが発生するので、高温熱処理の際にスリップが成長し易いことが分かった。
【0015】
これらの知見から、本発明者らは、ウエーハ面内のうち、比較的強い負荷が掛かるウエーハの最外周部とウエーハの保持手段の先端に位置する部分において十分に酸素析出物を成長させて高温熱処理を行えば、スリップ転位の発生あるいは成長を抑制することができることに想到した。
【0016】
そこで本発明によれば、前記目的を達成するため、シリコンウエーハを熱処理炉内で保持し、アルゴンガス、水素ガス、またはこれらの混合ガス雰囲気下、1100〜1350℃の温度で10〜600分の高温熱処理を行ってアニールウエーハを製造する方法において、前記シリコンウエーハとして、OSF(酸化誘起積層欠陥)が発生する領域を有するが、該OSF領域が、少なくとも該ウエーハの最外周部と、保持手段で保持したときに該保持手段の先端に位置する部分には無いものを用い、該シリコンウエーハを前記保持手段により保持して前記高温熱処理の熱処理温度未満の温度のプレアニールを行った後、前記高温熱処理を行うことを特徴とするアニールウエーハの製造方法が提供される。
【0017】
このように、OSF領域を有するが、少なくともウエーハの最外周部と保持手段の先端に位置する部分には無いシリコンウエーハであれば、上記のようなプレアニールを行うことにより、ウエーハに強い負荷がかかる部分でOSFが存在せず、酸素析出物の成長が促され、BMDを十分増加させることができる。そのため、その後高温熱処理を行う際、ウエーハの最外周部と保持手段の先端に位置する部分に自重による比較的強いストレスが生じていても、スリップ転位の発生・成長を効果的に防ぐことができるとともに、高温熱処理によりウェーハ表層の欠陥密度が低減され、高いゲッタリング能力を有する高品質のアニールウェーハを製造することができる。
【0018】
この場合、シリコンウエーハとして、窒素を1×1014/cm3未満含有するものを用いることが好ましい。
シリコン単結晶に窒素をドープすることによって、酸素析出核の発生を促進できるが、窒素濃度が高すぎる場合、OSF領域内に転位クラスター等の2次欠陥が発生する問題がある。したがって、シリコン単結晶を育成する際にドープされる窒素の濃度は、1×1014/cm3未満とすることが好ましい。
【0019】
また、シリコンウエーハとして、直径200mm以上のものを用いることが好ましい。
直径200mm以上の大口径のシリコンウエーハは自重が大きいため、これを高温熱処理するとスリップ転位が発生し易いが、本発明では、他の部分より強い負荷が掛かるウエーハの最外周部と保持手段の先端に位置する部分におけるBMD密度をプレアニールで確実に高めることができるので、大口径のシリコンウエーハであっても、その後の高温熱処理におけるこれらの部分でのスリップ転位の発生を効果的に防ぐことができる。
【0020】
プレアニールは、1000℃以下で行うことが好ましい。
このようにプレアニールを1000℃以下で行えば、スリップ転位を発生させずに酸素析出物を好適に成長させることができる。
【0021】
また、熱処理炉としては、縦型のものを好適に使用することができる。
大口径ウエーハは主に縦型熱処理炉を用いて熱処理されるが、この場合、一般的にウエーハの外周部を水平に保持し、ウエーハ最外周部と保持手段の先端に位置する部分に自重によるストレスがかかることになる。しかし、本発明では、これらの部分で酸素析出物を十分に成長させることができるため、縦型熱処理炉を用いて高温熱処理を行っても、スリップ転位の発生を防ぐことができる。
【0022】
さらに本発明によれば、OSF(酸化誘起積層欠陥)が発生する領域を有するシリコンウエーハであって、前記OSF領域が、少なくとも該ウエーハの最外周部と最外周部から5〜8mmの範囲の部分には無く、かつ該OSF領域が無い部分のBMD(内部微小欠陥)密度が1×109pcs/cm3以上であることを特徴とするシリコンウエーハが提供される。
【0023】
シリコンウエーハを熱処理炉内で高温熱処理する際、ウエーハの外周部を保持手段で保持すると、保持手段の先端は一般的にウエーハの最外周部から5〜8mm以内の部分に位置することとなる。そのため、ウエーハの最外周部と保持手段の先端が当たる上記部分は、高温熱処理の際、他の部分と比べて強いストレスが掛かってスリップ転位が発生し易い。
【0024】
しかし、上記のようにOSF領域がウエーハの最外周部と最外周部から5〜8mm以内の部分に無く、かつ該OSF領域が無い部分のBMD密度が1×109pcs/cm3以上であるシリコンウエーハであれば、ウエーハの最外周部と保持手段の先端が当たる部分でのBMD密度が高くなっているので、これを高温熱処理してもスリップ転位の発生・成長が抑制され、高品質のアニールウエーハとすることができる。
【0025】
また、シリコンウエーハは、1×1014/cm3未満の窒素を含有していることが好ましい。
このような所定濃度の窒素を含有するシリコンウエーハであれば、酸素析出物の成長を促進できるとともに、窒素濃度が高すぎる場合にOSF領域内に発生する転位クラスター等の2次欠陥の無いアニールウエーハとすることができる。
【0026】
また、シリコンウエーハは、直径200mm以上のものであることが好ましい。
大口径のシリコンウエーハは自重が大きいため、これを高温熱処理すると、特にウエーハの最外周部と保持手段の先端が接触する部分でスリップ転位が発生し易いが、本発明に係るシリコンウエーハでは、これらの部分でOSF領域が無く、BMD密度が高くなっているため、直径200mm以上の大口径のシリコンウエーハであっても、高温熱処理の際のスリップ転位の発生・成長が抑制され、高品質のアニールウエーハとすることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0028】
本発明者らは、BMD密度とスリップ転位の長さ(全長)との関係を調べたところ、図4に示される結果が得られた。すなわち、BMD密度が109pcs/cm3以上の場合は、高温熱処理を行っても、発生するスリップ転位の長さを小さくすることができることが分かる。
また、プレアニール後のBMD密度とOSFリングとの関係を調べたところ、図5に示される結果が得られた。すなわち、プレアニール後、OSFリングが発生する領域においてはBMD密度が低く、109pcs/cm3に満たないことが分かった。
【0029】
これらのことから、OSFリングが発生する領域は、プレアニールを行っても酸素析出物の成長が十分でなく、すなわちBMD密度が小さく、スリップ転位が発生し易いことが分かる。そして、このようなOSF領域が、強い負荷が掛かるウエーハの最外周部とボートの保持手段の先端に位置する部分にあると、これを高温熱処理した際にこれらの部分からスリップ転位が発生し易くなる。
【0030】
そこで、本発明のアニールウエーハの製造では、シリコンウエーハを熱処理炉内で保持し、アルゴンガス、水素ガス、またはこれらの混合ガス雰囲気下、1100〜1350℃の温度で10〜600分の高温熱処理を行ってアニールウエーハを製造する際、シリコンウエーハとして、OSFリングが発生する領域を有するが、該OSF領域が、少なくとも該ウエーハの最外周部と、保持手段で保持したときに該保持手段の先端に位置する部分には無いものを用い、該シリコンウエーハを前記保持手段により保持して前記高温熱処理の熱処理温度未満の温度のプレアニールを行った後、前記高温熱処理を行うようにした。
【0031】
まず、本発明で使用するシリコンウエーハについて説明する。
OSF領域が、少なくとも該ウエーハの最外周部と、保持手段で保持したときに該保持手段の先端に位置する部分には無いシリコンウエーハとは、主に図1及び図2に示される態様のものが挙げられる。
【0032】
図1に示されるシリコンウエーハ1は、OSFリング2がウエーハ1の周辺部に発生するが、このOSFリング2はウエーハ1の最外周部には無く、また、保持手段10で保持したとき、保持手段10の先端がOSFリング2よりもウエーハの内側に位置することになる。すなわち、保持手段10がOSFリング2を跨ぐように、あるいは横切るようにしてウエーハ1を保持することになるので、保持手段10の先端はOSF領域2に位置しないことになる。
【0033】
一方、図2に示されるシリコンウエーハ11は、中央部のみにOSF領域12が発生するものであって、熱処理する際、OSF領域でないウエーハの外周部が保持手段10により保持されるものである。すなわち、ウエーハの最外周部にはOSF領域が無く、また、保持手段10はウエーハ中央部のOSF領域12に掛からないため、保持手段10の先端がOSF領域12に位置しないことになる。
なお、このウエーハ中央部のOSF領域12は、リング状であっても、図2のように中央部全体に発生していても良い。
【0034】
このように、上記いずれの態様のウエーハ1,11もOSF領域2,12を有するが、ストレスが発生しやすいウエーハの最外周部と保持手段の先端に位置する部分にはOSF領域が無いことになる。
【0035】
なお、OSF領域の具体的な大きさや位置に関しては、保持手段によってウエーハを保持する位置が異なるため、保持手段の形状、保持位置等に応じて適宜決めれば良いが、例えば、使用する熱処理炉が縦型のものであれば、通常、保持手段の先端はウエーハの最外周部から5〜8mm以内のところに位置することになる。従って、このような縦型熱処理炉を用いる場合には、シリコンウエーハとしては、図1または図2で表されるいずれの態様のものであっても、OSF領域が、少なくともウエーハの最外周部と最外周部から5〜8mm以内の部分には無いものを用いれば良い。
【0036】
本発明で使用される上記のようなウエーハは、前記V/Gに基づいてOSF領域の大きさ、位置等を調節してCZ法により製造することができる。すなわち、CZ法によりシリコン単結晶育成の際に単結晶中に発生する結晶欠陥の分布は、前述したように、シリコン単結晶の引上げ速度Vと固液界面近傍の引上げ軸方向の結晶温度勾配Gとの関係V/Gによって決定される(図6)。従って、所望の位置にOSF領域が形成されるようにV/G等の結晶成長条件を制御してシリコン単結晶インゴットを育成し、これをシリコンウエーハに加工すれば良い。
このとき、シリコン単結晶に窒素をドープすると、OSFが発生する領域が拡大されるので、これを勘案してV/G値を制御する必要がある。
【0037】
また、シリコン単結晶に窒素をドープすることによって、シリコン単結晶内の酸素析出核の発生を増加させる効果を得ることができる。
特に、OSF領域が無い部分のBMD密度は、前記したように1×109pcs/cm3以上であればスリップ転位の発生・成長を効果的に抑制することができるので(図4)、プレアニールによりそのようなBMD密度となるような窒素濃度及び酸素濃度とすることが好ましい。例えば、窒素を1×1013 〜9.9×1013/cm3、酸素を8〜16ppm含有するものをプレアニールすることで、OSF領域が無い部分のBMD(内部微小欠陥)密度を1×109pcs/cm3以上にし、スリップ転位の発生を抑制させることができる。
【0038】
なお、シリコン単結晶にドープされる窒素濃度が高すぎる場合、OSF領域内に転位クラスター等の2次欠陥が発生する問題がある。このような2次欠陥がシリコンウエーハに発生し、その後のプレアニール及び高温熱処理を行っても欠陥を消滅できずにアニールウエーハ表層に残存してしまうと、その後のデバイス工程における歩留りを低下させる原因となる。したがって、シリコン単結晶を育成する際にドープされる窒素の濃度は、1×1014/cm3未満とすることが好ましく、そうすることによって、所望の位置にOSFがウエーハに発生する条件でシリコン単結晶を育成することができるとともに単結晶内の酸素析出核の発生を増加させることができる上、2次欠陥の発生を抑制することもできる。
【0039】
次に、プレアニールと、その後の高温熱処理について説明する。
本発明では、上記のようにOSFが発生する領域を有するが、該OSF領域が、少なくともウエーハの最外周部と、保持手段で保持したときに該保持手段の先端に位置する部分には無いシリコンウエーハに対し、高温熱処理を行う前にプレアニールを行う。すなわち、アルゴンガス、水素ガス、またはこれらの混合ガス雰囲気下、1100〜1350℃の温度で10〜600分の高温熱処理を行う前に、この高温熱処理温度未満の温度でプレアニールを行う。
【0040】
これにより、ウエーハにスリップ転位を発生・成長させることなくウエーハ中の酸素析出物をその後の高温熱処理でスリップ転位の成長を抑制できるサイズ・密度に成長させることができる。特に、ウエーハの最外周部と、保持手段の先端に位置する部分はOSF領域ではないため、これらの部分では酸素析出物を十分に成長させ、確実にBMD密度を高めることができる。
【0041】
この時、プレアニールの温度は、950℃未満では酸素析出物の成長に時間がかかるため効率的でなく、また1050℃を超えるとスリップ転位が顕著に発生するおそれがある。そのため、プレアニールの温度は、950〜1050℃、特に1000℃以下が好ましい。すなわち、プレアニールを行う温度範囲を950℃以上とすることにより、時間をかけることなく効率的に酸素析出物を成長させることができ、また1050℃以下とすることによって、プレアニールにおいてスリップ転位を成長させることなく酸素析出物を成長させることができる。
【0042】
なお、プレアニールは、2段階で行っても良く、また、高温熱処理温度未満の温度で一定時間保持することによって行われるだけではなく、高温熱処理温度までの昇温速度を低速化することによって行うこともできる。
【0043】
プレアニール後、ウエーハの最外周部と保持手段の先端に位置する部分では酸素析出物が十分に成長しているため、その後、上記の高温熱処理を行うことによって、ウエーハの最外周部と、保持手段の先端に位置する部分でスリップ転位を成長させることなくウエーハ表面近傍の欠陥を確実に消滅させることができる。
【0044】
尚、上記プレアニールと高温熱処理は、ウエーハを熱処理炉から取り出すことなく連続的に行っても良いし、プレアニール後一旦降温してウエーハを炉から取り出し、あらためて熱処理炉に投入して高温熱処理を行っても良い。
【0045】
また、上記の熱処理工程において、高温熱処理温度未満の温度のプレアニールを少なくとも2時間以上で1段階行い、その後高温熱処理を行うことによって、熱処理工程中に発生するスリップ転位を確実に抑制できるとともに、ウエーハ表層の結晶欠陥低減の効果をさらに高めることができる。
【0046】
このようにして、アニールウエーハを製造することによって、ウエーハ表層の結晶欠陥が低減され、特に、直径200mm以上の大口径のウエーハであっても、負荷がかかり易いウエーハの最外周部と保持手段の先端に位置する部分でのスリップ転位の発生・成長を確実に防ぐことができる。またバルク中の成長したBMDによるゲッタリング能力も高いため、高品質のアニールウエーハとすることができる。
【0047】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例及び比較例)
窒素含有量が5×1013atoms/cm3(計算値)、酸素含有量が12ppmaであって、異なる部分にOSF領域が発生するV/G値の条件でシリコン単結晶インゴットを育成させ、このインゴットから切り出した直径300mmのシリコンウエーハA〜Dを用意した。
【0048】
各ウエーハのOSF領域は以下の通りである。
A:全面がOSF領域。
B:OSFリングが、ウエーハの最外周部から保持手段の先端を越える部分にかけてある。
C:OSFリングが、ウエーハの最外周部と保持手段の先端位置には無く、その間にある。
D:OSFリングが、保持手段の先端よりもウエーハの内側にある。
【0049】
これらのウエーハを、熱処理条件として600℃で炉に投入した。ボートスピードを50mm/minとして1000℃まで昇温し、1000℃で4時間保持した後、さらに1200℃まで昇温して1200℃で1時間保持した。その後降温し、700℃でウエーハを取り出した。
【0050】
高温熱処理後の各ウエーハにおけるスリップ転位の発生の有無についてXRTで評価を行った。ここでの評価は、発生したスリップ転位が最も長かったウエーハAのスリップ転位の長さ(全長)を1としてこれとの比で表した。
結果を表1に示した。
【0051】
【表1】
【0052】
また、プレアニール(1000℃、4時間)を行わずに高温熱処理を行ったところ、ウェーハC,Dにもスリップの発生が見られた。
【0053】
これらの結果から、ウエーハC又はDを用い、プレアニールを行ってBMD密度を増加させたウェーハは、その後の高温熱処理を行っても、ウエーハの最外周部や保持部の付近でのスリップ発生を抑制することができることが分かる。
【0054】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は単なる例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
例えば、使用する熱処理炉は横型のものでもよく、保持手段の形状や数に関しても上記例に限定されるものではない。
また、保持手段は千差万別で、例えばその先端位置を変更できるようなものであっても、ウエーハの最外周部と保持手段の先端位置でOSF領域が無いように保持してプレアニール行うことにより所定のBMD密度とし、その後高温熱処理を行えば良い。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、シリコンウエーハとして、OSFリングが発生する領域を有するが、このOSF領域が、少なくとも該ウエーハの最外周部と、保持手段で保持したときに該保持手段の先端に位置する部分には無いものを用い、これにプレアニールを行ってウエーハの最外周部と保持手段の先端に位置する部分でBMD密度を確実に高くした後、高温熱処理を行うため、直径200mm以上の大口径のウエーハであっても、スリップ転位の発生・成長を確実に防ぐことができる。このように製造されたアニールウエーハは、スリップ転位が無い上、ウエーハ表層の結晶欠陥が低減され、バルク中の成長したBMDによるゲッタリング能力も高いため、高品質のアニールウエーハとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】OSF領域がウエーハの最外周部と保持手段の先端に位置する部分には無いシリコンウエーハの一例を示す図である。
(A)平面図
(B)部分拡大図
【図2】OSF領域がウエーハの最外周部と保持手段の先端に位置する部分には無いシリコンウエーハの他の例を示す図である。
(A)平面図
(B)部分拡大図
【図3】ウエーハを保持したときのウエーハと保持手段の接触部分を示す図である。
【図4】BMD密度とスリップ転位の長さとの関係を示すグラフである。
【図5】BMD密度とOSFリングとの関係を示すグラフである。
【図6】欠陥分布とV/Gとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1,11…シリコンウエーハ、 2,12…OSF領域(OSFリング)、 3…ウエーハの最外周部、 4…保持手段の先端位置の部分、 10…保持手段。
Claims (5)
- シリコンウエーハを熱処理炉内で保持し、アルゴンガス、水素ガス、またはこれらの混合ガス雰囲気下、1100〜1350℃の温度で10〜600分の高温熱処理を行ってアニールウエーハを製造する方法において、前記シリコンウエーハとして、OSF(酸化誘起積層欠陥)が発生する領域を有するが、該OSF領域が、少なくとも該ウエーハの最外周部と、保持手段で保持したときに該保持手段の先端に位置する前記ウエーハの最外周部から5〜8mmの範囲の部分には無いものを用い、該シリコンウエーハを前記保持手段により保持して前記高温熱処理の熱処理温度未満の温度のプレアニールを行って前記OSF領域が無い部分のBMD(内部微小欠陥)密度を1×109pcs/cm3以上とした後、前記高温熱処理を行うことを特徴とするアニールウエーハの製造方法。
- 前記シリコンウエーハとして、窒素を1×1014/cm3未満含有するものを用いることを特徴とする請求項1に記載のアニールウエーハの製造方法。
- 前記シリコンウエーハとして、直径200mm以上のものを用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアニールウエーハの製造方法。
- 前記プレアニールを、1000℃以下で行うことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のアニールウエーハの製造方法。
- 前記熱処理炉として、縦型のものを使用することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のアニールウエーハの製造方法。
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JP2002050221A JP4703934B2 (ja) | 2002-02-26 | 2002-02-26 | アニールウエーハの製造方法 |
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