JP4703528B2 - 掘削作業機のシリンダ取付構造 - Google Patents

掘削作業機のシリンダ取付構造 Download PDF

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本発明は、バックホー等の掘削作業機の、アームにシリンダを取り付けるための掘削作業機のシリンダ取付構造に関するものである。
バックホー等の掘削作業機には、ブームの先端側に揺動自在に支持されたアームと、このアームの先端側にスクイ・ダンプ自在に設けられたバケットとを備え、アームの先端側に、サムと呼称される親指状(アーム状)の部材が枢着され、このサムとバケットとで、被挟持物を挟持することができるようにしたものがある。この種の掘削作業機のアームは、一般に、背壁と左右一対の側壁とを有する断面コの字状のアーム本体と、アーム本体の開口端側を塞ぐように一対の側壁間に固着された腹板とを備え、アームの腹板側に取付ブラケットが固着され、取付ブラケットにサムシリンダの一端部が支持され、サムシリンダの他端部がサムの中途部に回動自在に枢支されて、サムシリンダを伸縮させることにより、サムが揺動するように構成されている。
この種の従来の掘削作業機のシリンダ取付構造には、アーム本体の一対の側壁の開口端に開口を塞ぐように溶接した腹板に、ベース板を重合して溶接し、さらにベース板に一対のシリンダ取付リブを重合して溶接するようにし、ベース板の形状をアーム長手方向に延びる二股状に形成して、これによりベース板の溶接範囲をアーム長手方向に増大させ、これにより、取付ブラケットのアーム長手方向の端部に応力が集中してアーム等が破損するのを防止するようにしたものがある(例えば、特許文献1,2)。
特開2003−34947号公報 特開2003−34946号公報 特開2001−82406号公報
しかし、従来のものは、アームの腹板にベース板を重合して溶接し、さらにベース板に対してシリンダ取付リブを重合して溶接するものであり、部材を順次溶接するものであって、溶接部分が平面的であり、アーム本体と腹板と取付ブラケットとを相互に溶接して補強し合うような関係にはなく、アーム乃至取付ブラケットの破損の防止が不十分であった。
本発明は、前記問題点に鑑みて、アーム本体と腹板と取付ブラケットとを相互に補強して、アーム乃至取付ブラケットの破損をより確実に防止できるようにしたものである。
この技術的課題を解決する本発明の技術的手段は、先端側に掘削作業を行う掘削作業具が設けられると共に、基端側が、ブームに揺動自在に支持されたアームを備え、このアームは、背壁と左右一対の側壁とを有する断面コの字状のアーム本体と、アーム本体の開口端側を塞ぐように一対の側壁間に溶接された腹板とを備え、アームの腹板側に取付ブラケットが固着され、取付ブラケットにシリンダの一端部が支持された掘削作業機のシリンダ取付構造において、
アームの腹板は、一対の側壁の外端面よりも背壁側に没入した開口端側中途部に溶接され、取付ブラケットは、左右一対の取付壁と一対の取付壁の底部側の端部を連結する連結壁とを有し、一対の取付壁間にシリンダの一端部が支軸廻りに回動自在に支持され、取付ブラケットの連結壁の両端部が、アーム本体の一対の側壁の外端面側に溶接され、連結壁のアーム長手方向の両端側に、一対の接続片が突設され、一対の接続片は連結壁からアーム本体の背壁側に曲げられて一対の側壁間に挿入され、一対の接続片の先端側が腹板に溶接されている点にある。
また、本発明の他の技術的手段は、前記アームの先端側に、掘削作業具との間で被挟持物を挟持するためのサムが支軸廻りに回動自在に枢支され、前記シリンダは油圧シリンダからなるサムシリンダとされ、シリンダの他端部はサムの中途部に支軸廻りに回動自在に枢支され、シリンダを伸縮させることにより、サムが支軸廻りに揺動するように構成されている点にある。
本発明によれば、アームの腹板は、アーム本体の一対の側壁の外端面よりも背壁側に没入した開口端側中途部に溶接され、取付ブラケットの連結壁の両端部がアーム本体の一対の側壁に溶接され、取付ブラケットの一対の接続片がアームの腹板に溶接され、これら溶接部分は前後、左右及び上下に互いに離間していて、立体的に離れた部分で溶接されており、また、アーム本体と腹板と取付ブラケットとは相互に溶接されて、互いに補強し合う関係になり、アームのシリンダ取付部分に応力が集中することによるアーム乃至取付ブラケットの破損をより確実に防止することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1において、1は、トラクタ(走行車両)2の前部にフロントローダ3を装着すると共にトラクタ2の後部にバックホー(掘削作業機)4を装着してなるTLBと称される作業車である。
前記トラクタ2は、左右一対の前輪5と、左右一対の後輪6とで車体7を走行可能に支持した2軸4輪型のトラクタ2であり、本実施形態におけるトラクタ2の車体7は、エンジン8の後部にクラッチハウジング(又はフライホイールハウジング)9,センターフレーム10,ミッションケース11,デフケース12を順次連結して構成されている。
クラッチハウジング9とミッションケース11とを連結する前記センターフレーム10は板材を組み合わせてなる板金製であり、エンジン8からの動力はセンターフレーム10内を通る伝動軸19を介してクラッチハウジング9からミッションケース11へと伝達されるように構成されている。
エンジン8の左右側面下部には、該エンジン8から前方に延びる前車軸フレーム13がボルト固定されており、この前車軸フレーム13にバッテリー,ラジエータ,燃料タンク等が支持され、これらエンジン8,バッテリー,ラジエータ,燃料タンク等はボンネット14によって覆われている。
車体7の後部の左右両側には、左右後輪6の左右方向内方側を覆う後輪フェンダ15が設けられ、左右後輪フェンダ15間には運転席16が前向き姿勢と後ろ向き姿勢とに姿勢変更自在に配置され、この運転席16はトラクタ2の車体7上にシート支持装置17等を介して支持されており(図3参照)、前記運転席16の前方にはステアリングハンドル18が設けられている。
車体7には、トラクタ2にフロントローダ3とバックホー4を装着するための作業機装着フレーム21が設けられている。
この作業機装着フレーム21は、車体7の左右両側に配置された板材からなるメインフレーム22を備えており、この左右各メインフレーム22の前部には、左右方向の軸心を有する円筒状の支持台23の左右方向内方側が左右方向に貫通されて溶接によって固定されている。
左右各支持台23の左右方向内端側には、取付ブラケット24が前方に向けて突出するように溶接等によって固定され、この左右取付ブラケット24は、クラッチハウジング9の下方側に位置する連結部材で相互に連結されていると共に前記前車軸フレーム13の左右方向外側面にボルト等によって取付固定されている。
これによって、作業機装着フレーム21の前部が車体7に取り付けられている。
作業機装着フレーム21の後部は、左右のメインフレーム22がデフケース12側にボルト固定されることにより、車体7に取り付けられている。
左右各支持台23の左右方向外端側には、各支持台23から上方突出状に固定されたマスト26が設けられ、該左右のマスト26がフロントローダ3が取り付けられるローダ取付部とされている。
また、左右の各メインフレーム22の後部に、バックホー4が着脱自在に取り付けられるバックホー取付部27が設けられている。
フロントローダ3は、後端側が左右各マスト26の上部に左右方向の軸心廻りに回動自在に枢支連結されたブーム29と、背面側下部が左右ブーム29の前端側にバケット枢軸30を介して左右方向の軸心廻りに回動自在に枢支連結されたバケット31とを有する。
左右の各ブーム29は、左右方向で同じ側にあるマスト26とブーム29との間に介装されたブームシリンダ32(アクチュエータ)の伸縮によって上下揺動され、バケット31は左右各ブーム29とバケット31との間に介装されたバケットシリンダ33(アクチュエータ)の伸縮によってスクイ・ダンプ動作(バケット枢軸30回りに上下揺動)される。
これら左右のブームシリンダ32及びバケットシリンダ33は油圧シリンダによって構成されており、ブームシリンダ32は各ブーム29の後部下方側に配置され、バケットシリンダ33は各ブーム29の前部上方側に配置されている。
ブームシリンダ32のシリンダロッド先端側はマスト26の上下方向中途部に左右方向の軸心回りに回動自在に枢支連結され、該ブームシリンダ32のボトム側端部はブーム29の長手方向中途部に左右方向の軸心回りに回動自在に枢支連結されている。
バケットシリンダ33のボトム側端部はブーム29の長手方向中途部に左右方向の軸心回りに回動自在に枢支連結され、該バケットシリンダ33のシリンダロッドの先端側には、第1リンク36と第2リンク37の一端側が左右方向の軸心廻りに回動自在に枢支連結されている。
第1リンク36の他端側はバケット31背面の前記バケット枢軸30の上方側に左右方向の軸心廻りに回動自在に枢支連結され、第2リンク37の他端側はブーム29前端側の前記バケット枢軸30の後方側に左右方向の軸心廻りに回動自在に枢支連結されている。
図1〜図3において、バックホー4は、作業機装着フレーム21の後部に着脱自在に取り付けられる基台41と、この基台41の後部に上下軸回りに左右揺動自在に支持されたスイングブラケット42と、このスイングブラケット42の下部側に左右方向の軸心廻りに回動自在に枢支連結されたブーム43と、このブーム43の先端側に左右方向の軸心廻りに回動自在に枢支連結されたアーム44と、このアーム44の先端側に回動自在に枢支連結されたバケット(掘削作業具)45と、基台41の左右両側に備えられたアウトリガー(図示省略)とを有する。左右のアウトリガーは、アウトリガーと基台41との間に介装されたアウトリガーシリンダによってそれぞれ上下揺動される。
スイングブラケット42は、基台41とスイングブラケット42との間に介装された図示省略のスイングシリンダの伸縮によって左右揺動され、スイングブラケット42と、ブーム43の長手方向中途部に設けたブラケット50との間には、油圧シリンダからなるブームシリンダ46が介装され、このブームシリンダ46のピストンロッドの出退によりブーム43が上下に揺動される。
アーム44の基端側に設けられたブラケット51と、ブーム43の長手方向中途部に設けたブラケット50との間には、油圧シリンダからなるアームシリンダ47が介装され、このアームシリンダ47のピストンロッドの出退によりアーム44が前後に揺動される。
バケット45は、ブラケット57,58を介してアーム44の先端側に設けたボス部53に左右方向の支軸54回りに回動自在に枢支されている。また、バケット45には、ブラケット57,58を介して第1リンク55の一端側が左右方向の支軸廻りに回動自在に枢支され、アーム44のボス部53の基端寄りには、第2リンク56の一端側が左右方向の軸心廻りに回動自在に枢支されており、これら第1、第2リンク55,56の他端側同志は、左右方向の支軸廻りに回動自在に相互に枢着されており、この枢着部と前記ブラケット51との間に油圧シリンダからなるバケットシリンダ48が介装され、このバケットシリンダ48のピストンロッドの出退によりバケット45が前後に揺動される。
アーム44の先端側には、サム59と呼称される親指状(アーム状)の部材が装着されている。このサム59は、バケット45との間で被挟持物を挟持するためのもので、その基端側が、アーム44先端側のボス部53に、左右方向の支軸54廻りに回動自在に枢支されていて、揺動自在に支持されている。
図4及び図5に示すように、アーム44は、背壁63と左右一対の側壁64とを有する断面コの字状のアーム本体65と、アーム本体65の開口端側を塞ぐように一対の側壁64間に固着された腹板66とを備え、アーム44の腹板66側に取付ブラケット67が固着され、取付ブラケット67にサムシリンダ68の一端部が支持されている。アーム44の腹板66は、一対の側壁64の外端面よりも背壁63側に没入した開口端側中途部にすみ肉溶接され、一対の側壁64の外端部は腹板66よりも外方に突出している。
取付ブラケット67は、左右一対の取付壁71と一対の取付壁71の底部側の端部を連結する連結壁72とをコの字状に有し、取付ブラケット67の連結壁72の左右方向の両端部が一対の側壁64の外端面に重合されて、連結壁72の左右方向の両端部が一対の側壁64の外端面側にすみ肉溶接され、連結壁72のアーム長手方向の両端側に、一対の接続片75が突設され、一対の接続片75は連結壁72からアーム本体65の背壁63側に曲げられて一対の側壁64間に挿入され、一対の接続片75の先端側が腹板66に溶接されている。
取付ブラケット67の一対の取付壁71間には、サムシリンダ68のシリンダ本体68aの基部が配置され、シリンダ本体68aの基部(サムシリンダ68の一端部)は一対の取付壁71間に左右方向の支軸73廻りに回動自在に枢支されている。一対のサムシリンダ68のピストンロッド68bの先端側は、サム59の長手方向中途部に左右方向の支軸廻りに回動自在に枢着されている。したがって、サムシリンダ68を伸縮させる(サムシリンダ68のピストンロッド68bを出退させる)ことにより、サム59が支軸54を中心として揺動するように構成されている。
前記実施の形態によれば、バケットシリンダ48を伸縮させることにより、図2〜図3に示すように、バケット45を左右方向の支軸54廻りに揺動動作させて、すくい動作及びダンプ動作をさせることができる。また、サムシリンダ68を伸縮させることにより、サム59をサム59が支軸54を中心として揺動させて、図3に示すようにバケット45とサム49との間で被挟持物を挟持することができる。
そして、アーム44の腹板66は、アーム本体65の一対の側壁64の外端面よりも背壁63側に没入した開口端側中途部に溶接され、取付ブラケット67の連結壁72の左右方向の両端部が、アーム本体65の一対の側壁64の外端面側に溶接され、一対の接続片75は連結壁72からアーム本体65の背壁63側に曲げられて一対の側壁64間に挿入され、一対の接続片75の先端側が腹板66に溶接されているので、取付ブラケット67のアーム44への各溶接部分及び腹板66とアーム本体65の溶接部分は、前後、左右及び上下に互いに離間していて、立体的に離れた部分で溶接されおり、また、アーム本体65と腹板66と取付ブラケット67とは相互に溶接されて、互いに補強し合う関係になり、アーム44のシリンダ取付部分に応力が集中することによるアーム44乃至取付ブラケット67の破損をより確実に防止することができる。
なお、本実施の形態では、掘削作業機として、TLBと称される作業車においてトラクタ2の後部に装着してなるバックホー(掘削作業機)4を例示したが、本願発明が適用される掘削作業機は、専用機のバックホーであってもよく、本発明は、ブーム、アーム、バケット等の掘削作業具を有する掘削作業機に採用される。
また、取付ブラケット67の取付箇所は、本実施の形態のものに限定されることはないし、取付ブラケット67に取り付けられるシリンダ68はサムシリンダに限定されず、他のシリンダーであってもよいことは勿論である。
本発明は、トラクタの後部にバックホーを装着してなるTLBと称される作業車やバックホー等の掘削作業機に利用することができる。
本発明の一実施の形態を示す作業車の側面図である。 同バックホー部分の側面図である。 同バックホー部分の側面図である。 同取付ブラケット部分の側面断面図である。 同図4のA−A線断面図である。
符号の説明
1 作業車(TLB)
2 トラクタ
4 バックホー(掘削作業機)
43 ブーム
44 アーム
45 バケット(掘削作業具)
59 サム
63 背壁
64 側壁
65 アーム本体
66 腹壁
67 取付ブラケット
68 サムシリンダ
71 取付壁
72 連結壁
73 支軸

Claims (2)

  1. 先端側に掘削作業を行う掘削作業具(45)が設けられると共に、基端側が、ブーム(43)に揺動自在に支持されたアーム(44)を備え、このアーム(44)は、背壁(63)と左右一対の側壁(64)とを有する断面コの字状のアーム本体(65)と、アーム本体(65)の開口端側を塞ぐように一対の側壁(64)間に溶接された腹板(66)とを備え、アーム(44)の腹板(66)側に取付ブラケット(67)が固着され、取付ブラケット(67)にシリンダ(68)の一端部が支持された掘削作業機のシリンダ取付構造において、
    アーム(44)の腹板(66)は、一対の側壁(64)の外端面よりも背壁(63)側に没入した開口端側中途部に溶接され、取付ブラケット(67)は、左右一対の取付壁(71)と一対の取付壁(71)の底部側の端部を連結する連結壁(72)とを有し、一対の取付壁(71)間にシリンダ(68)の一端部が支軸(73)廻りに回動自在に支持され、取付ブラケット(67)の連結壁(72)の両端部が、アーム本体(65)の一対の側壁(64)の外端面側に溶接され、連結壁(72)のアーム長手方向の両端側に、一対の接続片(75)が突設され、一対の接続片(75)は連結壁(72)からアーム本体(65)の背壁(63)側に曲げられて一対の側壁(64)間に挿入され、一対の接続片(75)の先端側が腹板(66)に溶接されていることを特徴とする掘削作業機のシリンダ取付構造。
  2. 前記アーム(44)の先端側に、掘削作業具(45)との間で被挟持物を挟持するためのサム(59)が支軸(54)廻りに回動自在に枢支され、前記シリンダ(68)は油圧シリンダからなるサムシリンダとされ、シリンダ(68)の他端部はサム(59)の中途部に支軸廻りに回動自在に枢支され、シリンダ(68)を伸縮させることにより、サム(59)が支軸(54)廻りに揺動するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の掘削作業機のシリンダ取付構造。
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