JP4702970B2 - 絶縁薄膜製造用のシリカ前駆体/有機ポリマー組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘電率が極めて低く、均一な細孔を有する絶縁薄膜を提供することが可能なシリカ前駆体/有機ポリマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
多孔性のシリカは軽量、耐熱性などの優れた特性を有するために、構造材料、触媒担体、光学材料などに幅広く用いられている。特に近年、多孔性のシリカは誘電率を低くできる、という点から期待を集めている。
LSIをはじめとする半導体素子の多層配線構造体用の絶縁薄膜素材としては、従来緻密なシリカ膜が一般的に用いられてきた。しかし近年、LSIの配線密度は微細化の一途をたどっており、これに伴って基板上の隣接する配線間の距離が狭まっている。このとき、絶縁体の誘電率が高いと配線間の静電容量が増大し、その結果配線を通じて伝達される電気信号の遅延が顕著となるといった問題が生じている。このような問題を解決するため、多層配線構造体用の絶縁膜の素材として、誘電率のより低い物質が強く求められている。
【0003】
そこで、多孔性のシリカは誘電率が1である空気との複合体であるため、誘電率をシリカ自身の4.0〜4.5よりも大幅に低下させることができ、しかも緻密なシリカ膜と同等の加工性、耐熱性をもつために理想的な絶縁膜の素材として注目されている。
多孔性のシリカとして代表的なものにシリカキセロゲルやシリカアエロゲルなどがあげられる。これらの素材は、ゾル−ゲル反応により製造される。ここで、ゾル−ゲル反応とは、ゾルと呼ばれる粒子が液体に分散したコロイド状のものを中間体として固体状のゲルに変化させる反応である。シリカの場合は、例えばアルコキシシラン化合物を原料とすると、その加水分解および縮合反応により得られる架橋構造体の粒子が溶媒に分散したものがゾルであり、さらに粒子が加水分解及び縮合反応をおこない溶媒を含んだ固体ネットワークを形成した状態がゲルである。そして、ゲルから溶媒を取り去ると固体ネットワークのみが残ったキセロゲル構造を示すシリカキセロゲルが製造できる。
【0004】
シリカキセロゲルの薄膜形成の例は特開平07−257918号に記載されているように、ゾルであるシリカ前駆体の塗布液を一旦調製し、引き続きスプレーコーティング、浸漬コーティングまたはスピンコーティングにより基板上に塗布し、厚さが数ミクロン以下の薄膜を形成する。そして、この薄膜をゲル化してシリカとした後、乾燥するとシリカキセロゲルが得られる。
一方、シリカエアロゲルの場合には、シリカ中の溶媒を超臨界状態にして除去する点がシリカキセロゲルと異なるが、ゾルであるシリカ前駆体の塗布液を調製するところはシリカキセロゲルと同じである。
【0005】
さらにシリカキセロゲル薄膜の形成例としてUSP5807607およびUSP5900879には、ゾルであるシリカ前駆体を塗布液とする場合に、調製時の溶液中にグリセロールなどの特定の溶媒を含有することによって、その後のゲル化や溶媒除去を経て得られるシリカキセロゲルの孔径および孔径分布を制御し、多孔体の機械的強度を向上させようとする方法が開示されている。しかし、この例では、溶媒に低沸点溶媒を用いているために、孔が形成される時の溶媒の除去が急激に起こり、そこに発生した毛細管力に対して、孔を取り巻く壁部分が追随できず、その結果孔の収縮が起こってしまう。そのため、孔がつぶれたり、孔のまわりにミクロクラックが発生し、ここに外的応力がかかると、ここが応力の集中点として働くため、結局、シリカキセロゲルは十分な機械的強度が発現されないといった問題が生じている。
【0006】
溶媒の除去速度を極端に遅くすることは可能であるが、この場合にはシリカキセロゲルを得るのに多大の時間を必要とするので生産性に問題がある。
上述したような低沸点溶媒を用いる場合の問題点を改善する手段として、例えば低沸点溶媒の代わりに有機ポリマーを用いる試みがある。有機ポリマーを使うと、溶媒揮発速度や雰囲気を厳密にコントロールする必要がない、などの利点もある。
【0007】
たとえば、特開平04−285081号には、アルコキシシランのゾル−ゲル反応を特定の有機ポリマーを共存させておこない、一旦、シリカ/有機ポリマー複合体を製造し、その後で有機ポリマーを除去して、均一な孔径を有する多孔性シリカを得る方法が開示されている。特開平5−85762号やWO99/03926にも、アルコキシシランと有機ポリマーの混合系から、誘電率が極めて低く、均一細孔および良好な孔径分布を持った多孔性シリカを得ようとする方法が開示されている。さらに、特開平10−25359号、および特公平7−88239号には、アルコキシシランを含む金属アルコキシドのオリゴマー中に有機ポリマー微粒子を分散させた後、ゲルを生成し、引き続き有機ポリマー微粒子を焼成除去して、細孔系を制御した多孔性シリカを得る方法も報告されている。
【0008】
しかしながら、一般にこれらのシリカ/有機ポリマー複合体から有機ポリマーを加熱により除去しようとする場合、450℃以上の加熱温度が必要であることが半導体素子製造プロセス上の大きな制約になっていた。例えば半導体素子製造プロセスにおいて金属配線の酸化および結晶成長、熱ストレス等を考慮すると、加熱温度の上限は425℃付近、かつ非酸化性の雰囲気が推奨されている。しかし、この加熱条件では、上記のシリカ/有機ポリマー複合体は大部分の有機ポリマーがそのまま残存、またはチャー化してしまい、たとえば半導体素子製造プロセスのうち重要であるビア形成過程において、いわゆるポイズンドビアと呼ばれる、有機ポリマーの分解ガスによる半導体材料の汚染が起こる。
【0009】
これを解決するため熱的に分解しやすい有機ポリマーを使用するという手段も検討されてはいるが、熱的に有機ポリマーが鋭敏すぎて、取り扱いが著しく危険であったり、ゾルゲル反応触媒によって分子量が低下して成膜性が劣化したり、成膜時に分解/揮発して膜が緻密化するなどの問題が生じ、多孔性シリカの作成は困難であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決するものであって、従来にくらべて格段に低温で多孔性シリカを合成せしめるためのシリカ前駆体/有機ポリマー組成物の提供を目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の問題点を解決すべく、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、アルコキシシランを原料とし、その加水分解物および脱水反応物、さらに有機ポリマーとを包含するシリカ前駆体/有機ポリマー組成物において、該有機ポリマーがシリカ骨格と強固な結合を生じない末端基を包含するシリカ前駆体/有機ポリマー組成物は、多孔性シリカを製造する時の加熱温度が極めて低く、とりわけ半導体素子製造プロセス上高温処理が困難な用途において優れていることを見出し、本発明を完成した。
【0012】
本発明の上記およびその他の諸目的、諸特性ならびに諸利益は、以下に述べる詳細な説明および請求範囲の記載から明らかになる。
即ち本発明によれば、
1、下記一般式(1)
R1 n(Si)(OR2)4-n (1)
(式中、R1はHまたは炭素数1〜8の直鎖状、分岐状および環状のアルキル基またはアリール基を表し、R2は炭素数1〜6の直鎖状または分岐状アルキル基を表す。またnは0〜2の整数である。)
で表されるアルコキシシランおよび/またはその加水分解物および/または縮合反応物を主成分とするシリカ前駆体と、炭素数が2〜12のエーテル基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリエーテル鎖、炭素数が2〜12のエステル基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリエステル鎖、炭素数が2〜12のカーボネート基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリカーボネート鎖および炭素数が2〜12のアンハイドライド基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリアンハイドライド鎖よりなる群より選ばれる少なくとも一種類の脂肪族ポリマー鎖から主に構成される主鎖を有する有機ポリマーであって、かつ該有機ポリマーの末端基のすべてが炭素数1〜8の直鎖状、分岐状および環状のアルキルエーテル基、アルキルエステル基およびアルキルアミド基、アルキルカーボネート基よりなる群より選ばれる基である有機ポリマーであって、かつ該有機ポリマーの数平均分子量が400〜5000である有機ポリマーと、を包含することを特徴とする多孔性シリカ薄膜用シリカ前駆体/有機ポリマー組成物。
2、該有機ポリマーの含有量が、該アルコキシシランの全量が加水分解および/または縮合反応されて得られる生成物1重量部に対して、0.1〜10重量部であることを特徴とする、1に記載の多孔性シリカ薄膜用シリカ前駆体/有機ポリマー組成物。
3、該アルコキシシランの加水分解および縮合反応を促進するための触媒として機能することのできる、少なくとも一種類の酸をさらに含有することを特徴とする、1〜2のいずれかに記載の多孔性シリカ薄膜用シリカ前駆体/有機ポリマー組成物。
4、1〜3のいずれかに記載のシリカ前駆体/有機ポリマー組成物を基板上に塗布した後、シリカ前駆体をゲル化することにより得られるシリカ/有機ポリマー複合体薄膜。
5、4に記載のシリカ/有機ポリマー複合体薄膜から有機ポリマーを除去することによって得られる多孔性シリカ薄膜。
6、4または5に記載の薄膜を絶縁物として用いることを特徴とする配線構造体。
7、6に記載の配線構造体を包含してなる半導体素子、に関する。
【0013】
尚、本発明においてシリカとはその化学組成が珪素酸化物(SiO2)のほか下記一般式(2)に示すように珪素上に炭化水素や水素原子を有するものを含むもののことである。
R1 xHySiO(2-(x+y)/2) (2)
(式中、R1はHまたは炭素数1〜8の直鎖状、分岐状および環状アルキル基を表し、0≦x≦2、yは0または1)
また、本発明において先記した一般式(1)であらわされるアルコキシシランにおいて、nが0の場合、即ちSi(OR2)4を4官能性のアルコキシシランと言い、nが1の場合、即ちR1(Si)(OR2)3を3官能性のアルコキシシラン、nが2の場合、即ち R1 2(Si)(OR2)2を2官能性のアルコキシシラン、nが3の場合、即ちR1 3(Si)(OR2)を1官能性のアルコキシシランとする。
【0014】
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
本発明において用いることができる4官能性のアルコキシシランの具体的な例として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(n−プロポキシ)シラン、テトラ(i−プロポキシ)シラン、テトラ(n−ブトキシ)シラン、テトラ(t−ブトキシ)シランなどがあげられる。
3官能性のアルコキシシランの具体的な例としてトリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0015】
2官能性のアルコキシシランの具体的な例として、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどが挙げられる。
この中でも特に好ましいのがテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランである。本発明の組成物においては、アルコキシシランの部分加水分解物およびその縮合反応物が含まれていてもよい。また、これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合しても差し支えない。
【0016】
得られるシリカ/有機ポリマー複合体薄膜や多孔性シリカ薄膜を改質するために、ケイ素原子上に2〜3個の水素、アルキル基又はアリール基をもつ1官能性のアルコキシシランを混合することは好ましく、具体的にはトリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシランが挙げられる。
その他、フェニルジメチルメトキシシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、ジフェニルメチルメトキシシラン、ジフェニルメチルエトキシシランなどを用いてもよい。
【0017】
これらの1官能性のアルコキシランを添加する量は、アルコキシシランの全モル数のうち80%以下となるようにする。80%を超えるとゲル化しない場合がある。
その他、シリカの架橋密度を上げるために炭素上に複数のトリアルコキシシリル基を有する化合物を混合することも可能である。具体的な例としては、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼンなどが挙げられる。
【0018】
次に本発明における有機ポリマーについて説明する。
有機ポリマーとしては、シリカとの相溶性が良く、かつ後述するような加熱によって除去されやすい脂肪族系ポリマーが好適であり、具体的には炭素数が2〜12のエーテル基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリエーテル鎖、炭素数が2〜12のエステル基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリエステル鎖、炭素数が2〜12のポリカーボネート基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリカーボネート鎖、および炭素数が2〜12のアンハイドライド基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリアンハイドライド鎖からなる群より選ばれる少なくとも一種類の脂肪族ポリマー鎖から主に構成される主鎖を有する有機ポリマーであり、かつ該有機ポリマー末端基の少なくとも一つの末端基が炭素数1〜8の直鎖状、分岐状および環状のアルキルエーテル基、アルキルエステル基およびアルキルアミド基、アルキルカーボネート基である有機ポリマーである。
【0019】
上記有機ポリマーは単独であっても、複数のポリマーの混合であってもよい。また有機ポリマーの主鎖は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の任意の繰り返し単位を有するポリマー鎖を含んでいてもよい。
本発明の炭素数が2〜12のエーテル基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリエーテルの例として、主鎖がポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソブチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリペンタメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリジオキソラン、ポリジオキセパンなどのアルキレングリコール類で、そのすくなくとも一つの末端がアルキルエーテル、アルキルエステル、アルキルアミド、アルキルカーボネート化されたものをあげることができる。エーテル、エステル、アミド、カーボネートのグループはポリマー末端の繰り返し単位と直接化学結合していてもいいし、有機基を介して結合していても構わない。
【0020】
脂肪族ポリエーテルの末端基をエーテル化した例としては、上記アルキレングリコール類の少なくとも一つの末端を例えばメチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、グリシジルエーテルなどでエーテルとしたものがあげられ、具体的には例えばポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリイソブチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールジブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルなどが特に好ましく用いられる。
【0021】
末端にエステル基を持つ脂肪族ポリエーテル類としては、上記アルキレングリコール類の少なくとも一つの末端を例えば酢酸エステル、プロピオン酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、安息香酸エステルとしたものなどが挙げられる。また、アルキレングリコール類の末端をカルボキシメチルエーテル化し、この末端のカルボキシル基をアルキルエーテル化したものも好適に用いられる。具体的には例えばポリエチレングリコールモノ酢酸エステル、ポリエチレングリコールジ酢酸エステル、ポリプロピレングリコールモノ酢酸エステル、ポリプロピレングリコールジ酢酸エステル、ポリエチレングリコールジ安息香酸エステル、ポリエチレングリコールジアクリル酸エステル、ポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールビスカルボキシメチルエーテルジメチルエステルなどが好ましい例としてあげられる。
【0022】
末端にアミド基を持つ脂肪族ポリエーテル類としては、上記のアルキレングリコール類の少なくとも一つの末端を修飾し、カルボキシル基をつけてアミド化する方法、末端にアミノ基をつけてアミド化する方法、などが挙げられ、具体的にはポリエチレングリコールビス(カルボキシメチルエーテルジメチルアミド)、ポリプロピレングリコールビス(カルボキシメチルエーテルジメチルアミド)、ポリエチレングリコールビス(カルボキシメチルエーテルジエチルアミド)、などが好適に用いられる。
【0023】
末端にアルキルカーボネート基を持つ脂肪族ポリエーテル類としては、例えば上記アルキレングリコール類の少なくとも一つの末端に、ホルミルエステル基をつける方法が挙げられ、具体的にはビスメトキシカルボニルオキシポリエチレングリコール、ビスエトキシカルボニルオキシポリエチレングリコール、ビスエトキシカルボニルオキシポリプロピレングリコール、ビスtert−ブトキシカルボニルオキシポリエチレングリコール、などが挙げられる。
【0024】
炭素数が2〜12のエステル基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリエステルの例としては、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクトントリオール、ポリピバロラクトン等の、ヒドロキシカルボン酸の重縮合物やラクトンの開環重合物およびポリエチレンオキサレート、ポリエチレンスクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンセバケート、ポリプロピレンアジペート、ポリオキシジエチレンアジペート等の、ジカルボン酸とアルキレングリコールとの重縮合物ならびにエポキシドと酸無水物との開環共重合物であって、該ポリマーの少なくとも一つの末端にアルキルエーテル基、アルキルエステル基、アルキルアミド基、アルキルカーボネート基を持つものをあげることができる。
【0025】
炭素数が2〜12のカーボネート基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリカーボネートの例としては、主鎖部分としてポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート、ポリペンタメチレンカーボネート、ポリヘキサメチレンカーボネート等のポリカーボネートをあげることができ、該ポリマーの少なくとも一つの末端にアルキルエーテル基、アルキルエステル基、アルキルアミド基、アルキルカーボネート基を持つものをあげることができる。
【0026】
炭素数が2〜12のアンハイドライド基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリアンハイドライドの例としては、主鎖部分としてポリマロニルオキシド、ポリアジポイルオキシド、ポリピメロイルオキシド、ポリスベロイルオキシド、ポリアゼラオイルオキシド、ポリセバコイルオキシド等のジカルボン酸の重縮合物をあげることができ、該ポリマーの少なくとも一つの末端にアルキルエーテル基、アルキルエステル基、アルキルアミド基、アルキルカーボネート基を持つものをあげることができる。
【0027】
尚、アルキレングリコールとは炭素数2以上のアルカンの同一炭素原子上に結合していない2個の水素原子を、それぞれ水酸基に置換して得られる2価アルコールを指す。またジカルボン酸とは蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのカルボキシル基を2個有する有機酸を指す。
上記のような構造を有する有機ポリマーが、著しく低い加熱温度で多孔性シリカを与える理由は必ずしも明らかではないが、ゾルゲル反応によって生成するシリカのシラノール基と、本発明の有機ポリマーの末端であるアルキルエーテル基、アルキルエステル基、アルキルアミド基、アルキルカーボネート基が化学結合を実質上生成しないと考えられる。これに対して有機ポリマー末端のすべてが水酸基であると、シラノール基と強固な結合をしてしまうために、有機ポリマーの除去にはより高い温度が必要になってしまうのではないかと考えられる。
【0028】
有機ポリマーの分子量は数平均で100〜100万、好ましくは100〜30万、より好ましくは200〜5万である。分子量が100以下であると、有機ポリマーがシリカ/有機ポリマー複合体から除去されるのが速すぎて、所望するような空孔率を持った多孔性シリカ薄膜が得られないし、有機ポリマー分子量が100万を越えると、今度は有機ポリマーが除去される速度が遅すぎて、有機ポリマーが残存するので好ましくない。特に、より好ましい有機ポリマーの分子量は200〜5万であり、この場合には、短時間に所望するような高い空孔率を持った多孔性シリカ薄膜がきわめて容易に得られる。ここで注目すべきことは、多孔性シリカの空孔の大きさは、有機ポリマーの分子量にあまり依存せずに、きわめて小さくかつ均一なことである。これは高機械強度を発現するためにきわめて重要である。
【0029】
本発明における有機ポリマーの添加量は、アルコキシシランの全量が加水分解および縮合反応されて得られるシリカ1重量部に対し0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部、さらに好ましくは0.5〜3重量部である。有機ポリマーの添加量が0.01重量部より少ないと多孔体が得られず、また10重量部より多くても、十分な機械強度を有する多孔性シリカが得られず、実用性に乏しい。
【0030】
本発明においてはアルコキシシランの加水分解および脱水反応を促進するための触媒として機能する物質を添加してもよい。触媒として機能しうる物質の具体例としては、塩酸、硝酸、硫酸、蟻酸、酢酸、蓚酸、マレイン酸などの酸類が好ましい。
これらの触媒の添加量はアルコキシシラン1モルに対し1モル以下、好ましくは10-1モル以下が適当である。1モルより多いと沈殿物が生成し、均一な多孔質体が得られない場合がある
【0031】
本発明のようなシリカ/有機ポリマー複合体を経由した多孔性シリカ薄膜の製造において、溶媒の存在は必ずしも必須ではないが、アルコキシシランと有機ポリマーの両方を溶解するものであれば特に限定することなく用いることが可能である。用いられる溶媒の例として、炭素数1〜4個の一価アルコール、炭素数1〜4の二価アルコール、グリセリン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−ホルミルモルホリン、N−アセチルモルホリン、N−ホルミルピペリジン、N−アセチルピペリジン、N−ホルミルピロリジン、N−アセチルピロリジン、N,N’−ジホルミルピペラジン、N,N’−ジアセチルピペラジンなどのアミド類、γ−ブチロラクトンなどのラクトン類、テトラメチルウレア、N,N’−ジメチルイミダゾリジノンなどのウレア類などがあげられる。これらの単独、または混合物として用いても良い。
【0032】
本発明において、アルコキシシランの加水分解には水が必要である。アルコキシシランに対する水の添加は液体のまま、あるいはアルコールや水溶液として加えるのが一般的であるが、水蒸気の形で加えてもかまわない。水の添加を急激におこなうと、アルコキシシランの種類によっては加水分解と縮合が速すぎて沈殿を生じる場合があるため、水の添加に充分な時間をかける、均一化させるためにアルコールなどの溶媒を共存させる、低温で添加するなどの手法が単独または組み合わせて用いられる。
【0033】
その他、所望であれば、たとえば感光性付与のための光触媒発生剤、基板との密着性を高めるための密着性向上剤、長期保存のための安定剤など任意の添加物を、本発明の趣旨を損なわない範囲で本発明の組成物に添加することができる。
以上のようにして得られるシリカ前駆体/有機ポリマー組成物を成形することにより薄膜を形成させ、得られた薄膜中のシリカ前駆体をゲル化させることによって、シリカ/有機ポリマー複合体薄膜を得ることができる。
【0034】
本発明において、薄膜の形成は基板上に本発明の組成物を塗布することによって行う。膜形成方法としては流延、浸漬、スピンコートなどの周知の方法で行うことができるが、半導体素子の多層配線構造体用の絶縁層の製造に用いるにはスピンコートが好適である。薄膜の厚さは組成物の粘度や回転速度を変えることによって0.1μm〜100μmの範囲で制御できる。100μmより厚いとクラックが発生する場合がある。半導体素子の多層配線構造体用の絶縁層としては、通常0.5μm〜5μmの範囲で用いられる。
【0035】
基板としてはシリコン、ゲルマニウム等の半導体基板、ガリウム−ヒ素、インジウム−アンチモン等の化合物半導体基板等を用いこともできるし、これらの表面に他の物質の薄膜を形成したうえで用いることも可能である。この場合、薄膜としてはアルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、銀、タンタル、タングステン、オスミウム、白金、金などの金属の他に、二酸化ケイ素、フッ素化ガラス、リンガラス、ホウ素−リンガラス、ホウケイ酸ガラス、多結晶シリコン、アルミナ、チタニア、ジルコニア、窒化シリコン、窒化チタン、窒化タンタル、窒化ホウ素、水素化シルセスキオキサン等の無機化合物、メチルシルセスキオキサン、アモルファスカーボン、フッ素化アモルファスカーボン、ポリイミド、その他任意の有機ポリマーからなる薄膜を用いることができる。
【0036】
薄膜の形成に先立ち、上記基板の表面を、あらかじめ密着向上剤で処理してもよい。この場合の密着向上剤としてはいわゆるシランカップリング剤として用いられるものやアルミニウムキレート化合物などを使用することができる。特に好適に用いられるものとして、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジクロロシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムビス(エチルアセトアセテート)モノアセチルアセトネート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)などが挙げられる。これらの密着向上剤を塗布するにあたっては必要に応じて他の添加物を加えたり、溶媒で希釈して用いてもよい。密着向上剤による処理は公知の方法で行う。
【0037】
シリカ前駆体のゲル化温度は特に限定されないが、通常は0〜180℃、このましくは30〜150℃の範囲で行う。温度が0℃よりも低いと反応速度が小さく、シリカ前駆体が十分ゲル化するのに多大の時間を要し、逆に180℃よりも高いと巨大なボイドが生成しやすく、後述するシリカ/有機ポリマー複合体薄膜の均質性が低下する。ゲル化反応に要する時間は熱処理温度、触媒添加量や溶媒種および量によっても異なるが、通常数分間から数日間の範囲である。
【0038】
このようにして得られたシリカ/有機ポリマー複合体薄膜はアルコキシシランだけを用いて得られる酸化ケイ素薄膜に比べて密着性や機械的強度に優れているだけでなく誘電率が低く、厚膜形成性があるので、このままで配線の絶縁部分として用いることもできるし、薄膜以外の用途、たとえば光学的膜や構造材料、フィルム、コーティング材などとして使用することも可能である。
しかし、LSI多層配線の絶縁物としてさらに誘電率の低い材料を得ることを目的として、多孔性シリカ薄膜に変換することが好ましい。
【0039】
シリカ/有機ポリマー複合体薄膜から多孔性シリカへは、シリカ/有機ポリマー複合体薄膜から有機ポリマーを除去することによって行う。この時に、シリカのゲル化反応が十分に進行していれば、シリカ/有機ポリマー複合体薄膜中の有機ポリマーが占有していた領域が、多孔性シリカ薄膜中の空孔としてつぶれずに残る。その結果、空隙率が高く、誘電率の低い多孔性シリカ薄膜を得ることができる。
【0040】
有機ポリマーを除去する方法としては、加熱、プラズマ処理、溶媒抽出などが挙げられるが、現行の半導体素子製造プロセスにおいて容易に実施可能であるという観点からは、加熱がもっとも好ましい。この場合、加熱温度は用いる有機ポリマーの種類に依存し、薄膜状態下で単に蒸散除去されるもの、有機ポリマー分解を伴って焼成除去されるもの、およびその混合した場合があるが、通常の加熱温度は300〜425℃、好ましくは350〜400℃の範囲である。300℃よりも低いと有機ポリマーの除去が不充分で、有機物の不純物が残るため、誘電率の低い多孔性シリカ薄膜が得られない危険がある。逆に425℃よりも高い温度で処理することは、有機ポリマーの除去の点では好ましいが、半導体製造プロセスで用いるのは極めて困難である。
【0041】
加熱時間は1分〜24時間の範囲で行うことが好ましい。1分より少ないと有機ポリマーの蒸散や分解が十分進行しないので、得られる多孔性シリカ薄膜に不純物として有機物が残存し、誘電率が低くならない。また通常熱分解や蒸散は24時間以内に終了するので、これ以上長時間の加熱はあまり意味をなさない。
加熱は窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性雰囲気下で行ってもよいし、空気中または酸素ガスを混入させたりといった酸化性雰囲気下で行うことも可能である。一般的に、酸化性雰囲気を用いることによって焼成温度や時間が低減する傾向にある。また雰囲気中にアンモニア、水素などが存在していると、同時にシリカ中に残存しているシラノール基が反応して水素化あるいは窒化され、多孔性シリカ薄膜の吸湿性を低減させ、誘電率の上昇を抑制することもできる。
【0042】
得られた多孔性シリカ薄膜をシリル化剤で処理すると、吸水性が抑えられ、さらに誘電率の安定化が可能になるし、また他の物質との接着性を向上させることが可能である。用いることのできるシリル化剤の例としてトリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどのアルコキシシラン類、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、メチルクロロジシラン、トリフェニルクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン、ジフェニルジクロロシランなどのクロロシラン類、ヘキサメチルジシラザン、N,N’−ビス(トリメチルシリル)ウレア、N−トリメチルシリルアセトアミド、ジメチルトリメチルシリルアミン、ジエチルトリエチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾールなどのシラザン類などが挙げられる。シリル化の方法は塗布、浸漬、蒸気暴露などの方法で行う。
【0043】
以上、本発明のシリカ前駆体/有機ポリマー組成物を用いることにより、誘電率が充分に低く、孔径が小さく、均一な、LSI用の多層配線用絶縁膜が従来に比べて著しく低温で作成できる。
本発明により得られる多孔性シリカ薄膜は、薄膜以外のバルク状の多孔性シリカ体、たとえば光学的膜や触媒担体はじめ断熱材、吸収剤、カラム充填材、ケーキング防止剤、増粘剤、顔料、不透明化剤、セラミック、防煙剤、研磨剤、歯磨剤などとして使用することも可能である。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発目の実施例を示すが、本発明の権利範囲はこれらに限定されるものではない。
多孔性シリカの評価は下記の装置を用いて行った。
(1)空隙率、平均孔径、孔径分布:シリコンウェハ上の薄膜を削り取って、窒素吸着式表面積測定装置(クアンタクローム社オートソーブ1)を用いたN2BET法にて測定した。V/r値で10-3以下の部分には事実上孔は存在しないとした。
(2)有機ポリマー残存度:島津製作所TGA−50を用いて熱重量分析(TGA)を行い、加熱前後の重量変化から残存有機ポリマーを評価した。TGAの加熱プロファイルは室温から20℃/分で425℃まで昇温し、425℃で90分間保持するものとした。
(3)誘電率:窒化チタン(TiN)を表面に形成したシリコンウェハ上に多孔性シリカ薄膜を形成後、この薄膜の上部にSUS製のマスクを通してアルミニウムを蒸着し、直径1.7mmの電極を作製し、インピーダンスアナライザを用いて1MHzにおける比誘電率(k)を求めた。
【0045】
【実施例1】
メチルトリメトキシシラン7.0gとポリエチレングリコールジメチルエーテル(分子量500)5.2gを、メタノール10.0g、N,N−ジメチルアセトアミド3.0g、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート2.0gの混合溶媒に溶解後、この溶液に水3.0gと0.1N硫酸1.5gを加え、室温で2時間攪拌した。この溶液3gを、6インチシリコンウエハー上に滴下し、毎分1500回転の速度で回転して塗布した。次にホットプレート上で大気中120℃で1分加熱後、窒素雰囲気下のキュア炉にて200℃で1時間、ついで400℃で1時間、加熱処理し、厚さ1μmの多孔性シリカ薄膜を得た。
【0046】
窒素吸着によって求められた空隙率は52%であり、平均孔径8.0nm、20nm以上の孔は事実上存在しないことがわかった。
また、同様にしてTiN膜上に形成した多孔性シリカ薄膜の1MHzにおける比誘電率は2.0であり、SiO2の誘電率である4.5を大きく下回っていた。
シリコンウェハ上の膜を削りとって得られた多孔性シリカ粉末は白色で、TGAによる熱重量減少は1.0%以下であり、ポリマーが実質上除去された薄膜が得られた。
【0047】
【参考実施例2】
実施例1において、有機ポリマーとして数平均分子量が400のポリエチレングリコールモノメチルエーテルを用いた以外は実施例1と同様の操作で、厚さ1μmの均質な多孔性シリカ薄膜を得た。同様にしてTiN膜上に形成した多孔性シリカ薄膜の1MHzにおける比誘電率は2.1であり、平均孔径7.3nmで、20nm以上の孔は事実上存在しないことがわかった。TGAによる熱重量減少は1.3%であり、良好であった。
【0048】
【実施例3】
実施例1において、有機ポリマーとして数平均分子量が400のポリエチレングリコールジアセテートを用いた以外は実施例1と同様の操作で、厚さ1μmの均質な多孔性シリカ薄膜を得た。比誘電率は2.0、平均孔径は6.8nmで、20nm以上の孔は存在せず、またTGAによる熱重量減少は0.3%であり、極めて良好であった。
【0049】
【実施例4】
実施例1において、メチルトリメトキシシラン7.0gに代えてテトラエトキシシラン12.0gを用いた以外は実施例1と同様な方法で厚さ1μmの多孔性シリカ薄膜を得た。誘電率は2.5、平均孔径は11.3nmであった。TGA上の重量減少は0.4%で良好であった。
【0050】
【実施例5】
実施例1において、分子量500のポリエチレングリコールジメチルエーテルに代えて、分子量5000のものを用い、塗布する場合のシリコンウエハーの回転数を1000回転にする以外は、実施例1と同様な方法で厚さ1.3μmの多孔性シリカ薄膜を得た。誘電率は2.3、平均孔径は8.4nmであった。TGA上の重量減少は1.5%で良好であった。
【0051】
【比較例1】
実施例1において、有機ポリマーとして数平均分子量が400のポリエチレングリコール(両末端水酸基)を用いた以外は、実施例1と同様の操作で厚さ1μmの多孔性シリカ薄膜を得た。得られた多孔性シリカ粉末は褐色で、TGAによる熱重量減少は5.8%であり、最高加熱温度400℃かつ窒素下という条件ではポリマーの分解時に部分的な残存とチャー化が起こったことが分かった。
【0052】
【比較例2】
実施例1において、有機ポリマーとして数平均分子量が400のポリエチレングリコール(両末端水酸基)を用いて、加熱温度を425℃にした以外は実施例1と同様の操作で厚さ1μmの多孔性シリカ薄膜を得た。得られた多孔性シリカ粉末のTGAによる熱重量減少は3.2%と依然高い値を示した。
【0053】
【発明の効果】
以上の本発明のシリカゾル前駆体と有機ポリマーとの混合組成物を用いて得られた多孔性シリカ薄膜は半導体プロセスに適する温度で作成でき、半導体プロセスを通す過程で顕著なガス発生を起こすことがない。かつ、誘電率が十分に低く、多孔質体の孔サイズが小さく、均一である優れた絶縁薄膜を提供できる。
Claims (7)
- 下記一般式(1)
R1 n(Si)(OR2)4-n (1)
(式中、R1はHまたは炭素数1〜8の直鎖状、分岐状および環状のアルキル基またはアリール基を表し、R2は炭素数1〜6の直鎖状または分岐状アルキル基を表す。またnは0〜2の整数である。)
で表されるアルコキシシランおよび/またはその加水分解物および/または縮合反応物を主成分とするシリカ前駆体と、炭素数が2〜12のエーテル基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリエーテル鎖、炭素数が2〜12のエステル基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリエステル鎖、炭素数が2〜12のカーボネート基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリカーボネート鎖および炭素数が2〜12のアンハイドライド基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリアンハイドライド鎖よりなる群より選ばれる少なくとも一種類の脂肪族ポリマー鎖から主に構成される主鎖を有する有機ポリマーであって、かつ該有機ポリマーの末端基のすべてが炭素数1〜8の直鎖状、分岐状および環状のアルキルエーテル基、アルキルエステル基およびアルキルアミド基、アルキルカーボネート基よりなる群より選ばれる基である有機ポリマーであって、かつ該有機ポリマーの数平均分子量が400〜5000である有機ポリマーと、を包含することを特徴とする多孔性シリカ薄膜用シリカ前駆体/有機ポリマー組成物。 - 該有機ポリマーの含有量が、該アルコキシシランの全量が加水分解および/または縮合反応されて得られる生成物1重量部に対して、0.1〜10重量部であることを特徴とする請求項1に記載の多孔性シリカ薄膜用シリカ前駆体/有機ポリマー組成物。
- 該アルコキシシランの加水分解および縮合反応を促進するための触媒として機能することのできる、少なくとも一種類の酸をさらに含有することを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載の多孔性シリカ薄膜用シリカ前駆体/有機ポリマー組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のシリカ前駆体/有機ポリマー組成物を基板上に塗布した後、シリカ前駆体をゲル化することにより得られるシリカ/有機ポリマー複合体薄膜。
- 請求項4に記載のシリカ/有機ポリマー複合体薄膜から有機ポリマーを除去することによって得られる多孔性シリカ薄膜。
- 請求項4または5に記載の薄膜を絶縁物として用いることを特徴とする配線構造体。
- 請求項6に記載の配線構造体を包含してなる半導体素子。
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